○
岡野国務大臣 お答え申し上げます。お説の通りに、ま
つたくあなた方の御心配とわれわれと憂いを同じゆうするのであります。昨年度の
貿易の
情勢を見ましても、これはただいまおあげに
なつたように、昨年度
輸出は十一億六千八百万ドル、
輸入が十七億九千万ドル、
ちようど六億二千二百万ドル
輸入超過にな
つております。これを何で埋めて国際バランスをと
つておるかと申しますれば、御承知の通り、特需の七億八千万ドルというので埋め合せておるわけであります。ただ私
どもといたしましては、これはむろん特需が急激になくな
つてしまうということはないと
考えておりますけれ
ども、もともと臨時的な突発的な収入でありまして、その臨時的収入をも
つてわれわれが生きて行かなければならぬ、十七億九千万ドルをこの七億八千万ドルも受持
つてバランスを合せなければならぬという
日本の
貿易の現状は、まことに痛嘆にたえないところであります。どうしても正常
貿易によ
つて輸出入のバランスを合せて、同時に国民生活の向上をはか
つて行くように、
輸出入計画を立てて行かなければなりません。これにつきましては、
政府としてもいろいろ苦心をしているわけであります。そこで問題は、急激にとも行きませんけれ
ども、できるだけ早く、すなわち早くと申しますことは、特需のなくならぬうちに正常
貿易に引きもどして行く
方策を講じなければならぬと思います。これにはいろいろな露がございまして、昔のように今日はよい品物で安い物ができれば幾らでも飛んで売れて行くような
世界情勢ではございませんで、いくら品物がよくて安くても、これを受入れる方で
輸入制限をされますと、何らの効果はありませんので、第一段といたしましては、
世界的に割高であると称せられておる
日本の物価のコストを下げるということが一番大事なことである。同時に今度は、下げもしますけれ
ども、受入態勢、すなわち
輸出相手国に、
外交交渉によ
つて、そうしてこれをできるだけ打開して販路を獲得して行きたい、こう
考えるものでございまして、外務省といたしましてもそういう点に
努力もいたして来ておりますが、ますますその
努力を続けなければならぬ、こう
考えます。私
どもといたしましては、まず
外交交渉でそういうことをしていただくと同時に、またもう
一つは
日本の商品というものが、十分相手方に認識をしてもら
つていない、こういうようなこともあるように思います。一例を申しますれば、東南アジアの市場のごときものは、これは今まで
輸入が二割くらいでございます。それから
輸出は三割という割合を保
つて、われわれの将来の
貿易の中心をなすものじやないか、こう
考えております。ところがそういうところにおきましても、
日本の商品というものの真価をよく知
つておらぬ。また取引をどういうふうにしていいかよくわからぬということでございますから、われわれはできるだけ
外交交渉によりまして、向うへ入国が自由にできるようにし、また向うへ
経済使節団でも行きまして、いろいろ宣伝もし、また二十八年度
予算で
ちよつと触れてはおいたのでございますが、技術相談室というようなものを向うへつくりましてそうして向うでいろいろプラントとか何とかいうものについて、
日本からの
輸入を希望しておるものに対して
指導をし、またお互いに技術を交流するというようないろいろな手を打
つて、とにかく
輸出貿易をうんとやらなければならぬと思います。そういうふうにして行きまして、おいおいに、と申しましても、あまりおいおいで長く待
つているわけに参りませんけれ
ども、できるだけの
努力をして行きたいと思いますが、ただいまのところではまだ
輸入制限をうんとしなければならぬというところまでの結論は出ておりません。けれ
どももし
方策としまして必要ならば、私はある程度の
輸入制限もしなければならぬというようなことも出て来るのじやないかと思いますが、まだ十分私研究しておりませんうう、至急にそういうことを研究いたしまして早く結論を出したい、こう
考えております。