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1953-07-16 第16回国会 衆議院 郵政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十六日(木曜日)     午前十一時四十三分開議  出席委員    委員長 田中織之進君    理事 船越  弘君 理事 大高  康君    理事 片島  港君 理事 吉田 賢一君    理事 濱地 文平君       小林 絹治君    武知 勇記君       稻葉  修君    井手 以誠君       佐々木更三君    淺沼稻次郎君       土井 直作君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         郵政政務次官  飯塚 定輔君         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     八藤 東禧君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         郵政事務官         (経理局主計課         長)      佐方 信博君  委員外出席者         専  門  員 稻田  穰君         専  門  員 山戸 利生君     ————————————— 七月十六日  委員木村武雄君辞任につき、その補欠として山  本正一君が議長の指名で委員に選任された。 同日  濱地文平君が理事補欠当選した。     ————————————— 七月十四日  郵便切手類及び印紙売さばき手数料引上げの請  願(岡本忠雄紹介)(第三六四四号) 同月十五日  市川橋通りに無集配郵便局設置請願(大上司  君紹介)(第四〇二八号)  郵便切手類及び印紙売さばき手数料引上げの請  願(濱地文平紹介)(第四一〇三号)  下川崎郵便局集配事務開始請願羽田武嗣  郎君紹介)(第四一〇四号)  高光村に無集配特定郵便局設置請願高津正  道君紹介)(第四一〇五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  郵便物運送委託法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八〇号)  郵政職員給与体系是正調停案に関する件     —————————————
  2. 田中織之進

    田中委員長 これより開会いたします。  この際お諮りいたします。理事濱地文平君が去る十三日委員を辞任されましたので理事が欠員になつておりますが、その補欠選任委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中織之進

    田中委員長 御異議なしと認めまして、濱地文平君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 田中織之進

    田中委員長 これより郵便物運送委託法の一部を改正する法律案及び郵政行政に関する事件について、前会に引続き質疑を許します。片島港岩。
  5. 片島港

    片島委員 郵政職員給与体系是正に関する調停案の、その後のてんまつについてお尋ねしたいと存じます。私ども郵政委員会において申合せをし、また予算委員会においても自由党の首脳部及び改進党の首脳部とも十分打合せをして、予算委員会理事会においても、一般会計より必ずこれをめんどうを見よう、繰入れをやろうということになつておりましたところが、一夜のうちにこれがひつくり返つたのであります。しかし六月一日からいよいよ完全実施をするということになつておりますが、その財源はどういうどころから求められるかを、まず第一にお伺いしておきたいと思います。
  6. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 ただいま片島委員からの御質問でございますが、これはあの決定される前の晩まで、私たちも片島委員のただいまのお話のごとくに信じて、各党にも呼びかけておつたのでございますけれども、この点発表された結果から見ますと、まことに最初の意思とは食い違つた点もございますので、われわれの力の及ばなかつたことをまずおわび申し上げますけれども予算その他についての詳細なる点は、担当官から説明申し上げることといたします。まずこの点だけをおわびを申し上げておきます。
  7. 佐方信博

    佐方政府委員 お答え申し上げます。完全実施いたしますためには三十五億七千万円の金がいる、約三十六億いるという計算でございましたが、六月から実施ということになりましたので、その六分の五、いわゆる十二分の十でございまして、三十億の金がいるということに相なつたわけであります。従いまして予算面におきまして三十億の、いわゆる給与経費に必要な額は計上いたしました。その財源といたしまして他会計、いわゆる保険会計であるとか電気通信会計、そこからは十一億五千万円の金を入れてもらうことに相なりました。そのほか貯金と郵便料でそれぞれ持たなければならないことになつたわけでありますが、一般会計から入れないということでございましたので、その金はまつたく郵政省の内部の金を節減いたしまして——いわゆる一般会計行政費節減をいたしましたので、それと同じような観点から郵政会計自体でまかなうということに相なつたわけであります。郵政会計でまかなわなければならぬ金が十八億円になるわけでございますが、その中でまず予備費が六億八千万円ございますが、その予備費の中から五億一千万円ほど使いまして、そのほかは行政費節約で行こう、すなわち物件費旅費局舎建設費というものを合せまして、十三億を節約するとういことにいたしまして、支弁をするということになつております。
  8. 片島港

    片島委員 その節約額というのは、今度の予算修正によつてからきまつたわけでありますか。その節約された額は十三億五千万円と開いておりますが、十三億五千万円というのはどういうところから算出したものでありますか。
  9. 佐方信博

    佐方政府委員 これはいわゆる政党の方できまつ数字が流れて来て、その率に従つてはじいた数字でございます。たとえば一般的に申し上げまして、旅費は二〇%を原則とする、それから一般庁費については一四%を原則とする、そのほかのものについては一〇%だというふうな計算をいたしまして出て来たところの数字であります。
  10. 片島港

    片島委員 行政費節約をやります場合に、一般のいわゆる行政官庁というものと、こういう現実に企業を営んでおるところの事業官庁というものとの場合には、節約する項目によつて、またその節約しなければならぬ割合において、当然違いが出て来るべきはずと思うのでありますが、それは他官庁まつたく同じように、企業体であるところの郵政省におきましても、やはり同じ率をもつて算出されたものであるかどうか。
  11. 佐方信博

    佐方政府委員 何と申しますか、一般行政費に類するものにつきまして、その率を適用しております。従いまして郵政省独自のものについては、ある程度除外をするということにもなつております。たとえば集配関係関費がありますとか、そういうものについては直接減じない。しかし一般の物品であるとか、あるいは地方局経費などは、一応一般会計と同じような率になつておるわけであります。
  12. 片島港

    片島委員 そうすると節約された額というのは、郵政省特別会計だけでありますか。それとも郵政省で所管しておる一般会許の方からも節約したのでありますか、また両方から節約をしたとするならば、その数字はどういうことになつておりますか。
  13. 佐方信博

    佐方政府委員 郵政省におきましては、一般会計もそれから郵政特別会計も、おのおの節約しております。しかし郵政省のいわゆる一般会計所属節約は、そのまま落ちてしまう。それから郵政会計において節約しましたのは落さないで、それを人件費の方にまわしたというかつこうになつております。
  14. 片島港

    片島委員 そうすると節約した十三億五千万円というのは、特別会計だけの分だというふうに了解してよろしうございますか。
  15. 佐方信博

    佐方政府委員 その通りでございます。
  16. 片島港

    片島委員 この前、給与体系是正をする場合において、その財源として見積られておつたのには、増収予定額が四億くらい、あるいはその他——年賀郵便の分だけでも四億と聞いておるのでありますが、その他にも増収予定額というものがあつたわけでありますが、今度のこの修正案によるところの六月一日から実施ということになりますと、節約額を充当するために、増収予定額というものは全然予定してないのでありますか。前に予定しておりました増収予定額というものはどういう計ふうになつておりますか。予算上は上してないけれども、当然年内において、やはり従業員の努力によつてそれだけのものは自然と余つて来る、余剰分が出て来る、こういうふうに考えておつてよろしいのでありますか。
  17. 佐方信博

    佐方政府委員 今度の場合には事務的の折衝はまつたくいたしておりませんで、そういうふうにきまつた率を適用しておるのであります。結局収入を見るということは取上げられなかつたわけでございます。従つてまつたく節約だけで支弁するということになつております。今後収入が上るということにつきましては、そのものはあるいは今後の補正予算の場合のいろいろな歳出増に伴う財源になる、あるいはそういうことがなければ、予算総則にきめてありますような弾力条項の発動ということになるというふうなことで、今後の問題になつて来るわけであります。
  18. 片島港

    片島委員 私は給与体系是正の問題については、一応これで質問を留保いたします。
  19. 田中織之進

    田中委員長 それではちよつと委員長からお伺いいたします。十三億五千万円の節約のうち、局舎建設関係節約も含まれているように承つたのでありますが、この十三億五千万円のうち、局舎建設関係節減は幾らになりますか。
  20. 佐方信博

    佐方政府委員 それは四億円であります。
  21. 田中織之進

    田中委員長 なお委員長から調停案について伺いたいのでありますが、予算的措置の問題についての現在までの経過がわかりました。このきまつたところに従つて調停案受諾について当事者としての郵政大臣調停委員会に対する諾否決定が、去る九日から当分の間延期されておるのでありますが、いつなされることになるのでありますか。
  22. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 お答え申し上げます。去る六月九日をもつて、二箇月間以内に期限延伸をなすことを得という法律上の規定によつて延伸期間は切れたわけでございまして、その際各般の情勢から、組合並びに省側が協議をいたしまし、中央調停委員会及び仲裁委員会に、当分の間期限の再延伸ということの了解並びに調停継続中とみなすという了解を得たことは、御報告申し上げたところでございます。御承知のような情勢によりまして、予算的にも調停案実施に関する大綱が決定されました今日においては、省側といたしましては極力早い機会に、調停案に対する態度を明白にいたさなければならぬようになつて来た次第でございます。その時期につきましては、私どもといたしましては、やはり先般申し上げましたようにこの際諾否決定する唯一のきめ手と申しますか、根拠であるところの予算上可能なりや不可能なりやが未決定なるがゆえに、今日まで延伸して来たという基礎に立ちまして、予算が正式に確定する時期、申しかえますれば衆参両院通過ということが第一に考えられるところでございます。しかしながらやはり調停委員会方面のいろいろな意向、あるいは部内の実情、また現在まで再延伸経過をたどつて来ておつた事情、いろいろ勘案いたしまして、その時期より以前に態度を表明することができればということを現在研究、考慮しておるところでございまして、その時期と申しますれば、当衆議院におきまして、私どもの承つております予算案が通過した時期において、省側としてこの態度を公にいたしたい、これがその時期ではなかろうか、かように考えておる次第でおります。
  23. 田中織之進

    田中委員長 その点については、先ほど来委員各位からも、郵政大臣出席を得て明確なる答弁を求めたいという要求もありますので、委員長としてもなお尋ねたい点がおりますが、大臣が出るまでその問題は保留することといたします。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつとそれと関連して……。この調停案についてですが、これはなお調停中という趣旨延伸の通知をしたらしいですが、そこでもし受諾するということであれば、四月一日ということが調停案の一内容をなすものと思われます。今政府側の方針としては、予算等関係から六月一日ということに起点を置くらしいのだが、そうすると政府案の六月以降という趣旨調停案受諾ということになるのでしようか。その点法律的の解釈、運用の問題かと思うのでありますが、調停委員会慣例等考えてみて、その点どうお考えになつておりますか。
  25. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 お答え申し上げます。この問題に関しましては、すでに今日に至りますまでの間におきましても、当委員会においても非公式にお尋ねのあつた次第でございますが、その当時私ども中央調停委員会その他といろいろ話し合つておる中に、もしも一部修正ということをするならば、それは調停案成立になるのか、受諾になるのかという点の疑問が若干あつたのであります。もしも一部修正受諾ということが認められないとすれば、この際は調停不成立ということにならなければならぬ。調停不成立になりますれば、当然それは仲裁にかかることになるわけでありますが、その後のいろいろと中央調停委員会と折衝いたしまして、結局中央調停委員会方面意向として、六月一日ということに期日が変更になつても、両者が受諾する場合においては、一応それをまつて調停成立とする、かような言明を私ども得……。して、私どももこの際一部修正のために不成立になり、それが仲裁に行くことは、この事案を根本から消滅せしむることになりますし、なお今後の仲裁その他の裁定いかようになるかという点については非常に不安に思います。また本日までいわばゼロからここまで行きましたのも、諸先生方委員会の御決議と御苦心からでありますし、この情勢から一日も早い方がいいと思いますので、この際は調停委員裁定にもまつたく賛成をいたしまして、六月一日にかえるということだけは表明いたしますが、調停実施する。但しその期日は六月一日からであるという態度を表明することによつて組合がこれを受諾するならば調停成立にいたしたい、かように考えております。なお法律の中には、仲裁の場合においては裁定最後的決定という——条文の文句は忘れましたが、仲裁に関してはさようなことがうたわれております。ところが調停の場合においては、さようなことはうたわれておりませんし、なお調停委員会調停案を勧告するというふうな言葉を使つておりますし、一部修正仲裁の場合においては非常に疑問もあるかと思いますが、調停の場合においてはさようなことも調停委員会法律上も可能なのではないか、かように解釈しております。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは政務次官伺つた方がいいと思いますが、省内において捻出せんとする財源の問題に関して、行政費一般節約の問題は、これはやはりほんとう節約ということが目的にならねばならぬと思います。さすればその節約によつて生むものを、この経費に充当するという姿になると、節約趣旨にかなわぬことになります。横すべりさすという予算の使い方になるのですが、この点についてのお考えはどうですか。
  27. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 この節約の問題は、この調停問題と切り離しても考えられる問題であることは、御同様でありますけれども、これに対して、は節約表面上だけの節約、いわゆる節約をしたという看板だけを出す節約では、ほんとう意味節約にはならないのであります。しかし節約をすることは、国家の財政上から考えて必要なことでありますけれども、特に現業庁である郵政省においては、単に表面上の節約という看板をあげただけで、それでいいかどうかということを相当考えなければならないのでありまして、従いまして事業を完全に遂行して行く上においては、これを相当考えて実行しなければならないのでありますから、これは事務当局とよく相談の上で、万遺憾のないようにやつて行きたいと考えております。なお詳細の点については、事務当局から説明申し上げたいと思います。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はこの点につきましては、なお保留しておきますけれども、時間を活用するために、本来の郵便物運送委託法審査に入つたらどうかと思いますが、その質疑をしてもよろしゆうございますか。
  29. 田中織之進

    田中委員長 委員長の方も大臣が来られてから確かめたい点も一、二ありますので、大臣の見えるまでその点は保留して、あとの質疑に入つていただきたいと思います。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは二、三伺います。私は前の質疑におきまして、総論的に大臣にこの改正法によりまして生ずるところの、いろいろ独占的傾向について伺つてみたりしていたのでありますが、事務当局でも長い御経験があるのですから、伺つてみたいと思うのです。独占禁止法の第二条三項によりますと、「一定取引分野における競争を実質的に制限する」こういう字句がございます。そこでこの改正によりまして、第七条但書によつてさらに四箇年の期間を、ある条件のもとには更新することができるということになり、また先般の大臣答弁等から考えまして、将来にわたつて、たとえば日逓などの大きな企業請負業者は、なかなかに関係を断つというときは到来しないものという推測ができるのであります。そうしますと、事実上他の競争者が現れるということは、至難な実情で推移して行くのじやないかと思われますので、そう考えますと、やはりただいまあげた独禁の二条三項の趣旨に牴触して来るのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  31. 松井一郎

    松井政府委員 お答えいたします。ただいま吉田委員から御指摘通り独占禁止法において事業者はが相共同していろいろな企業支配等をするということに対する禁止規定がございます。これは私から申し上げるまでもなく、どこまでも事業者自身のそういう行為でございまして、これはわれわれが今度の場合国がある契約をしようとする場合などには、もちろん直接適用されるものではございませんが、吉田委員からもおつしやいましたように、結果から見てそういう事態が起きはしないかというようなことについては、これはなるほど、あるものを一般競争入札にいたしましても、ある特定業者が非常に安くそれを落してしまつたといいますと、結果的に見ると、その人がいかにも独占しているような形になるという点が一点起りますが、しかし独占禁止法法律は、そこまで禁止している趣旨とは私ども思つておりません。従つて片方で今度の政正によつてういうそものをどんどん継続して行つて、新しい業者の介入の余地をなくするのではないか、それによつて間接的にそういうふうなものを援助しはしないかというような点についての御危惧だろうと思いますが、この点につきましては私どもはこの新しい法律によつて、決してわれわれの方がそういうことを義務づけられているものはございませんので、よくその事情を見まして、ほんとうによりよいりつぱな業者が出た場合においては、その業者を取入れることにおいては決してやぶさかでない。そうしていわゆる私的独占の弊といわれているものが、事情いかんにかかわらず、起らないようにいたしたい、かように考えております。これはむしろ行政運営やり方から出て来る問題じやないかと考えます。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 若干議論のとりかわしのようなことになりますから、あまり多く申しませんが、これは深く入らなくてもいいと思いますが、私の質疑するのは、結果から見てというのは、法律自体がさような結果に当然追い込むということにこれではなるのではないか。何となれば現状及び過去の事実そのものは、容易に他の競争を許さないというふうに発展して来ております。そうしてこの法律によつてさらに再度、再々度更新が確保されて行くということになる。確保しようという法律のきめ方は、それは独禁法に違反する、こういうことを言うのです。
  33. 松井一郎

    松井政府委員 私の申し上げたのが若干言葉が足りなかつたと思うのでございますが、なるほどそういうことがやられた結果において、あるすぐれたサービスをする者が非常に大きな勢力を持つというようなことは、これは当然起つて来ると思います。しかしそれはこの独禁法の正面からうたつている弊害ではないのじやないか。結局独禁法自身弊害というものは、新しい意欲のある業者の進出をどこまでも拒もうというようなことがあるということじやないか。私どもは結果的に起つて来る問題については、真にその業者が、まじめにやつた業者ならば、これは必ずしも独禁法の精神と違反するものじやない、かように考えておる次第であります。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 独禁法二条三項は取引分野において実質的に競争を制限する、これなんですから、競争分野において、取引分野におきまして、だから実質的に制限するということに事実今日もなりつつある現状でありますが、さらにその上にこの法律によつて制限が強化されるということになるのではないか、こういう意味です。
  35. 松井一郎

    松井政府委員 間接的にはおそらくそういう影響が起り得るということは、これは想像できると思います。御承知のように独禁法は、事業者がどこまでも他の事業者と共同してという形になつております。私どもやり方いかんによつては、間接的には行政運営の結果、そういうものが反射的に来る危険性が一応認められると思います。しかしわれわれとしては行政運営やり方によつて、そういうことの弊害に陥らないようにいたしたいということと同時に、そのことに対してあまり神経質過ぎる結果、ほんとうの日常やつておる業者が安心してやり得ないというような状態の方がむしろ好ましくないのではないかというふうな観点から、こういう改正案考えついたわけでございます。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これもあなたにお尋ねするのは適当でないかと思うのですけれども伺つておきます。郵政のこの種の郵便物運送という業務は、受託さしたり請負わしたりするような場合においては、競争原則でなければならぬ。随意というものはあくまでも例外でなければならぬ、こういうふうに原則として一応大きな線を守らねばならぬと考えているのですが、その点について、省で相当これは歴史も持つているのですからお考えもきまつているだろうと思いますが、どうなんですか。
  37. 松井一郎

    松井政府委員 御指摘のようにこの郵便物運送委託法というのは、どこまでも競争入札ということを原則としてうたつてございます。ただその次の各条に書いてございますように、運賃が大体きまつておるというような問題につきましては、競争入札といいましてもこれは入札する余地がないというようなものについて、随意契約を特例として認めているわけであります。そこで第七条の後段は、そういう意味随意契約期間更新というものをうたつているだけの問題でございまして、随意契約をするかしないかはむしろ五条によつて規定せられる問題だろうと思つております。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 別の場合を想定して御質問しますが、たとえば今の日逓の問題ですが、日逓の問題が万一経営状態が不良となりまして、不幸にして解散というようなことが絶無とは言いがたい、これは営利会社ですから……。そこでさような場合に今局長のおつしやるががごとくに、新しい競争者も事実上出ないというような場合には、新視受託者が出ない。従つて郵政業務自体に重大な支障が生じる、こういう結果も想定されるわけであります。だからなるべく広くそこに門戸を開いておくということが、根本原則で最善の道であろう。よいからよいものにまかしておく、よいよいと思つてつて営利会社のことですから、いつどうなるかわからないのです。ですからそこは伸び伸びと競争し得る広い視野において、いろいろなことが伸びて来るのを待つというのが、政府ほんとうの立場だろうと思う。その点の考え方はどうですか。
  39. 松井一郎

    松井政府委員 おつしやる通りどもほんとうにわれわれの郵便事業にまじめに協力していただく方々が出て来られることを、大いに歓迎しておるものでございます。決してこれを積極的に門戸を閉鎖しようというような考えは持つておりません。それからもう一点御懸念のように、これは一定業務に全部を契約するという形はとつておらないのでございます。そうなりますと弊害が大きく及びます。そこである特定の地区々々における業務を、いわばこま切れにしたようなかつこうで契約をしておりますので、おそらく全部が全部不良になつて、どうにもならぬというような事態はそう起らないのではないか。但しある一定の地区において非常に困つた事態が起きるということは、あり得ることだと思つております。そういう場合には必ずわれわれの方といたしましては契約を解除いたしまして、新らしい別のよりよき業者を受入れるというような措置をいたしたいと思います。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の質問しているのはそうじやない、そういう場合、個々の一定区域を限つてということは、これも一応了承しております。そうではなしに、一つの大きな会社によつて、それが善良な、よい素質の、力のある、忠実に仕事をやつてくれる者が、何べんも継続して行くということになつておるときに、なかなか他の新しい競争は生じません。しかし経済界の不測の原因によつて営利会社である受託会社が経営不良になり、破産するようなこともなきにしもあらずというようなことを想像しますと、そういつた場合には、郵便事業に重大な支障が生ずるのであるから、なるべく視野を広くして、新しい者の出ることも考えておかなければいかぬじやないか、こういうのであります。
  41. 松井一郎

    松井政府委員 おつしやる通りどもは新しい方々の出現することを拒む意思はちつとも持つておりません。
  42. 田中織之進

    田中委員長 大臣がお見えになりましたから、大臣に対する質疑をしていただきたいと思います。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ききに片島委員から政府委員に御質疑になりました点について、私は大臣にぜひ尋ねておかなければならぬと思いますが、それは過般の全逓調停結末の問題であります。この問題について三点お尋ねしたいのです。この問題につきましては幾たびか当委員会におきまして、関係当事者あるいは調停委員の責任者等の方から、各般の意見を聴取した上で、この委員会多数の意見といたしまして、両当事者とも受諾すべきだという意思決定をいたしまして、大蔵大臣予算委員会などへもその趣旨を申し送りまして、そうしてまた各党は、両社会党、改進党におきましても、五億円、七億円という一般会許からの繰入れの予算組みかえの措置までそれぞれ準備しまして、なお予算委員会におきまして特別にこれらの事情により、ぜひ双方受諾することが適当であるから、それに伴うべき予算措置をすみやかに講ずべしというような、こういう趣旨のもとに決議案を提案しよう、大多数をもつて通過する見込み十分だというので、こういう成案を得たわけであります。そこで自由党にも誘いかけましたところが、自由党もそれぞれ機関に諮られたらしく、そこまで及ばぬ、それは妥協して決議案を出さずして成立さすように、目的が達するようにはからいたいから、決議案を出すことはひとつ差控えてもらいたいというふうにわれわれは聞いております。予算委員会におけるそれぞれの党の理事の諸君にも、前後の経緯、経過等は全部打合せつつ、かように進んだわけであります。ところがそういうような経緯をたどりまして、ごく最近に至りまして、まだ当時あなたもこの委員会におきまして、非常に明朗な見通しをもつてこの成行きを見ておるという御報告でありました。その言葉は深い含蓄のあるものとわれわれは聞いて、その成立を期待しておりました。ところが自由党におきましては、一般会計からの五億なり何がしの繰入れということにつきまして、これをいなんでいるということを聞き及んでおります。そういたしましてまた、今政府委員からの御説明によりますと、郵政省の内部において経費節約等で捻出することによつて、しかも四月一日からの調停案趣旨ではなくて、六月一日からというような、さような形勢に立ち至つているという説明も聞き及んでいるのであります。これは郵政大臣としてあなたは、この委員会において何べんかお出になつて質疑応答を重ね、御意見をお述べになつて、もはやこの経緯については直接お知りになつているはずであります。こういうことになりまして、まことにこれは委員会といたしましても面目ないと思います。もしあのときに改進党の大高君がここにおられますが、大高君が発言される順序になりまして、決議案の案文まで国会対策委員会へ持ち帰つて、協議して承認を得たわけであります。そこまで手を尽しておるのを、自由党の諸君の申出によりまして差控えた結果が、今のようなことになつたのであります。まことにこれはあなたのお立場から考えましても、私は相当責任がある問題じやないかと思うのです。どういうふうにこれに向つて臨んで行かれる態度、御方針でありますか、それを伺いたい。
  44. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 今度の全逓の給与体系に関しての一応到達いたしました結論につきましては、経過はただいま吉田委員から御説明になつ通りであり、結果については私も実は非常に不満があり、かつむしろ面目ないとさえ思つておるわけであります。ただ何にいたしましてもこの問題は、初めから私自身の力に及ばないという結果で、国会のお力によつて何とか打開したいということで努力をいたして参つたのであり、そうしてその途中におきましては、見通しについては確かに私も調停案全面受諾ができるという、相当はつきりした見通しを持つておつたわけでありますが、最後の段階におきまして、いろいろその他の事情がから合つて、今度のような結果になつたと承知しております。しかし何にしましても面目のないという話は、この結果が面目がないということよりも、むしろこれほど大事な問題を、当初の予算決定するときに自分の考え通りに持つて行き得なかつた、自分の能力の不足を面目ないと考えるべきであつて、そのときから国会の力によつてということで、他力本願でやつて来ました以上、私といたしましても今度の結末が出た以上、どうにも私の力で左右するわけにはなかなか参らないような結果になつておる状態でありまして、なお節約が大体今度の財源に充てられるということについては、私もそれがよかろうということで同意をいたしておるわけでありますが、ただ節約は給与本系を是正するために節約が行われたという考え方ではなしに、今度の改進党との予算修正におきましての非常な重要な問題の一つは、やはり予算にむだがあるならば節約しようという考え方が大きな眼目になつており、そのために改進党案におきましては百四十五億という節約が立てられておつたわけであります。これが結果において若干減つたようでありますが、従つて一般会計においてああいう節約考え方というものが出て来ます以上は、郵政特別会計におきましても、給与体系是正の問題のあるなしにかかわらず、この節約というものは当然しなければならなかつたろう、こういうふうに考えておるわけでありまして、その場合には給与体系是正がなくて、節約だけすればおそらくその節約額が五千万円と心得ておりますが、この額は当然現在の予算費の中に追加して盛り込まれて、これは何か予備費が使える段階、そういう費目があつたときでなければ使えないという費目に移されるということになつたろうと思うのであります。それが今度の給与体系是正財源なつたわけでありまして、もしそれがありませんでして、当初改進党案のように五億、一般会計から繰入れということであつた場合には、むしろあの五億で不足する約一億の一般会計からの繰入れの分は、企業努力によつて内部から働き出すという考え方であり、またそうしなければならないと思つてつたのでありますが、そういう面においての今後のいわゆる特別会計内部における幾らか想像されるゆとりというものは、今度の給与体系是正には使われずに留保されておる、そういう意味において今後いろいろな給与の問題を考える場合に、幾らか郵政の、特別会計内部にまだゆとりが残されておるという意味において、かえつて今度の措置の方が私としてはよかつたのではないか、こういうように実は考えておるわけであります。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでよかつたか悪かつたかについては、これは大きな批判が加えられなければならない。まことに不可解な感じを受けるものですが、郵政省当事者といたしましてはどうなさるおつりでありますか、その点をはつきり御答弁を願います。
  46. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 どうしようといふ考えかという御質問は……。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 調停案に対してですよ。
  48. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはまあ結局国会の意向が最終的に決定をいたしまして、つまり、予算がはつきりとあの形で修正される見通しがつきました段階になりましたならば、一応調停委員会に、こういう線で受諾をしたいという回答を出したいと考えております。もちろんすでに調停案が出ております場合に、それに若干の修正をいたして受諾をするということが、調停案受諾になるかどうかという点につきましては、私もかなり疑問を持つておりましたので、その点調停委員会と内々相談をしてみたのでありますが、先ほど人事部長からもお答え申し上げたそうでありますが、その点についてはこの程度の修正受諾ならば、双方話合いがつくならば、これは調停受諾したという形で認めるというような意向だそうでありまして、もしそうでありましたならば、私の方といたしましても今申し上げたように、こういうぐあいに六月一日から調停案受諾したい、こういうふうにお答え申し上げ、調停委員会に中に立つていただいて全逓との話合いをつけて、双方あの線で受諾したというような形で持つて行きたいと考えております。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣郵政大臣でもあり、同時に自由党の幹部でもあられる。これは文書の交換にあらずとも、口頭でそれぞれと約束をしまして、そうしてこの重大な調停案の結末を衆議院においてある種の解決へ持つて行くべく、数次の協議を重ねました。このような手続を経まして、予算委員会の決議案も出すことなくして終つたのであります。そこでさような場合に、これは一種の不信行為が自由党によつてなされとるものと、われわれは批判せざるを得ないのであります。何となれば、一般会計から全然繰入れることなく、郵政省自身の特別会計で適当にまかなえという意味でありまするから、そういうような場合に対処しまして、郵政大臣であり自由党の幹部であるあなたは、これは少くとも政治道義上きわめて重大な一種の違反行為がここに行われて、お互いの不信を買うべき事実が生じた。もしこういうようなことが平然として行われるということでありましたなら、これは一々領収書をとつたり、一々契約、書を交換しなければならぬのであつて、口頭間の約束はできません。そういうことなしに行くというところに、お互いの信頼と国会における民主的な、ほんとうの誠実、信頼、公正といつた、そういうものが私は行われて行くものと思うのです。ところがこれが蹂躙されております。これを蹂躙して行くということになりましたら、やはり二十数万の全逓の従業員諸君にいたしましても、国会というところはそういうたよりないところが、政党の約束などはそんなたよりないものかということにもなり、ひいては国民の信頼を落すということにもなるわけであります。こういうような波紋を描くわけであります。これはきわめて重大な現象と私は考えざるを得ないのであります。従つて郵政大臣として、自由党の幹部のあなたとして、私は少くとも政治道義上の大きな責任を負わねばなるまい、こういうふうにも考えておりますが、いかがでございますか。
  50. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 この点はお互いに公党の政党人として、御指摘通りだと私も思うのであります。今後そういう話合いをいたします場合には、もつとはつきりした形で、従つて文書でやろうが口頭でやろうが、お約束したものはその通りというようになるべくやりたいと思うのでありますが、ただ今度の場合には、どんな党と党との間の話合いもしくは予算委員会においての話合いがあつたか、しかしとにかく私は、一般会計から繰入れるよりも、この給与体系是正をするということの方にむしろ話の重点があり、その点については異論がないということであり、またそのような結果に結局なつたので、そのほかの明細な点において、必ず一般会計からこれだけの金額を繰入れてこの問題を解決するというほどの、この解決の方法についてまでの話合いでなかつたのじやないかと実は思うのであり、それも実は私自身が直接この衝に当つたのではなくて、詳細のことは知りませんが、多少この感じの上にずれがあつたということは争えないと思いますし、今後最初に申し上げましたように、こういう問題はお互いもう少しあざやかに解決する慣例をつくつて行かなければならぬのじやないかと考えておるわけであります。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はこれ以上あなたに申しませんが、お互いではないのです。お互いでなくて、われわれの立場は当初から首尾一貫しております。きわめて明確に行動もし、話合いも進め、手順も進めて来ております。ただ最後に至りまして、あれだけかたい約束をしながら、公党である自由党が約束をしておりましたような措置に出ることなしに、今日に至つておるのでありまして、四月一日からの施行を六日一日からということにし、財源の捻出についても省へおつかぶせてしまつておる、こういうことになつておりますので、お互いが同等の責任を負うというような関係では絶対にありません。そういうことは重ねて特に御留意を願わなければならぬと思います。
  52. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 ただいま郵政大臣との間の応答で、大体大臣は現在の段階において条件付かどうかは別として、この調停案受諾する意思を持つておる、こういうふうに理解いたします。そういうふうに考えてよろしゆうございますか。
  53. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 さように考えております。
  54. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 そういたしますと、まず第一にその受託をする時期でございますが、どうも大臣みずから告白をしておるように、この問題の解決の途上において、大臣はきわめて他力本願主義と申しましようか、ほとんどその責任を議会に転嫁して、ただいまの答弁でも大臣自身が積極的にかかる線において、大臣の自主性においてこれを解決するという熱意は見られない、これは非常に遺憾でございますが、そこでもし大臣が国会に全責任を転嫁するということになれば、むろんこれは衆参両院を通過した後でなければならぬという結論がそこに出て来ると思うのでございます。しかしもはや衆議院における予算は、大体において自改両党においてすでに修正の意見が一致しておるのでございますから、大体この線において大臣受諾の内容をお考えになつておられると思うのでございます。そういたしますと別に参議院の最終的決定を見なくとも、大臣は大体においてここに受諾をする内容を決定できておる、こう思うのでございますから、これはすみやかに受諾の意思をはつきりと表示した方がよろしいと思うのでございます。一体いつごろこの受諾の意思表示をするつもりでございますか。
  55. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはまあいろいろな機会が考えられるわけなんでありますが、政府が現に予算を組んでおるといたしますれば、国会を通過するしないにかかわらず、その前に受諾をしても一向、それが国会で修正になつてできないということに形式的になる場合もあるかもしれないが、受諾してもいいということになるわけですから、そういたしますと国会が少くとも衆議院だけきまるという見通しがはつきりし、そうしてその前段階として閣議もこれを了承するということになれば、私はその時期についても、受諾の正式の意思表示をしてもいいのではないかと考えております。ですから閣議で一応了解ができ上つたとき——きのう閣僚懇談会では大体了解ができ上つておりますが、正式閣議でありませんので、明金曜日に閣議がありますから、その直後にやりますか、それとも予算が衆議院を通過した機会にやりますか、それともここに来たのであれば、日時はどつちにしても六月一日にきまつておるのですから、形式的な受諾の回答はそう急ぐことはない。実質的に影響もないから、参議院で予算が通過するときまで延ばすか、三つの時期を考えていろいろ検討しておるわけであります。まだその時期ははつきり決定しておりません。
  56. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 この問題がこの委員会の最初から非常に大きな問題になりまして、委員会が満場一致で全面受諾をすることが妥当であるという決議をしております。むろん国会の予算修正もさることながら、政府独自の予算操作の上において、政府の責任においてこれを受諾することを本委員会は要求しておるのでございまして、あなたの方がかつてに議会に転嫁するというのは、まつたくあなたの方のでたらめなかつてなことであります。従つて委員会の意思を尊重されると言われる大臣としては、たとい他力本願主義で、自主性を失つておるといえども、一片の政治的良心を持つて、この委員会の決議を尊重することが当然だと思う。従つて今の大臣答弁からしても、大体において閣議決定をなされれば、内容的にはすでにその予算の限度において実現することは明らかである。これ以上延ばすということは、まつたく無用の政治的かけひきなんです。だからそういうような非良心的な態度をとらないで、ここに実行が可能だという目安がつくならば、せめてこの委員会に対してなしたる大臣の不信行為の一端を償う意味においても、当然私はここで受諾の意思を表示することがやはり政治家として、行政庁の長官としての大臣の責任だと思う。だから実施の時期はどうせそう大差ないのだから、そういうような不誠意なことをおつしやらずに、やはり政治的良心をもつてその実行可能と考えるならば、これを表示するというかけひきのない態度をとつてもらいたいと思います。この点どうですか。
  57. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは実はかけひきは少しも考えておらないのでありますが、ただ解決の方法はこういうぐあいになつたのでありますから、国会の立場も尊重して、あるいは参議院まできまつたときが一番いいというような感じをもつて今お答えしましたわけであります。しかし今いろいろ御意見を伺つておれば、なるべく早く正式意思を表示しまして、従業員諸君が安心されるということも非常に必要であり、また不信行為の責任を負うという意味におきましても、なるべく早く回答を出したいと考えております。
  58. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 おそくともひとつ衆議院において予算が通る時期までは、いさぎよく、むしろあつさりと受諾の意思を表明されることを希望いたします。そこで問題は受諾の内容でございますが、ただいままでの大臣答弁からすると、大体六月以降、四、五の二箇月はこれを不履行といいますか、不受諾といいますか、大分これまたかけひきが強いのであります。そこで条件付受諾になるのでございますが、その財源については一般会許から繰入れがないのでございまして、企業内の予算の操作の上において、これは大臣が実行する、こういうことになるわけでございますね、そうですね。
  59. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 ええ。
  60. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 そこで企業内のむろん経費もしくは利潤ということもあるでありましようが、真に大臣がこれらの郵政省内の費用の操作その他でやりますというと、別に財源一般会計からの繰入れを必要としない、言いかえると財源的な制限がないのです。財源的な制限がないのであるからして、大臣のお考え大臣の腕のいかんでは、これは当然全面受諾ができると思う。だからこの際、大臣はひとつ十分省内予算の操作について御研究なさつて、そんな二箇月ぐらい打切るようなけちな受諾の仕方をしないで、この際全面受諾の努力をするよう願いたい。まだその時期はおそくない。これからだつて私は十分その努力ができると思う。大臣はこれについてひとつ努力してもらいたいと思いますが、どうでしよう。
  61. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 今度のこの問題の解決のあり方というものは、一般会計から繰入れてもらいたいという形で、初め問題が提起されたのでありますけれども、解決の実際としては、一般会計から繰れにならなかつたということは、考え方としては、私はむしろこうなつた方がよかつたし、こうありたいと実は思つておるのであります。一般会計からの繰入れということは、今の郵政特別会計で、ことしの予算も三十一億ばかり繰入れになつておりますが、ああいう形におきます以上は、今後郵政従業員の給与の問題が起きるたびに、非常に強く大蔵省の意向の制約を受ける。ところが私は郵政従業員の給与の今後のあり方というものは——今度もそのつもりで努力したいのでありますが、むしろ公企労法を適用されている以上は、公社職員と同じように行きたい。従つて内部にゆとりがある以上は、公社職員と同じレベルで今後も絶えず行きたいと思つております。ですから今後給与の問題は、御指摘のように、内部の財源状態を、むしろ主として頭に置きながら考えて行きたいと思うのであります。しかし何にいたしましても、今御審議を願つております二十八年度予算は、すでに三十一億も繰入れがある。今度も予備費節約財源に充てたとはいえ、やはりまた建設財源の繰入れをしたものもあるのでありまして、かなり無理な給与の引上げになつておるのであります。ですから内部に財源のゆとりがあつてできたといえば、そうでありますが、かなり無理をしておりますから、今度の段階においては、これをさらに四、五まで繰上げてというところまでは、とても行きにくいのじやないかと考えております。しかし今の郵政特別会計一般会計と間の関係は、ご承知のようにまだ一部分足らぬ分を繰入れる。しかもこの繰入れるという考え方が出て来るもとは、例の貯金特別会計が非常に高いコストで金を集めておる。しかも高いコストで金を集めざるを得ないのは、あの貯金業務の実態から来るのでありまして、その高いコストでもなおかつ金を集めてほしいというのが、国の金融政策全体から来るものであつて、私は郵便貯金のコストが高いということは、必ずしも貯金業務自体の責任ではないと思つております。とにかくそういう形で高いコストで集めた金を、実質を償わない利子で資金運用部に渡してしまうという形になつて、その不足分を一般会計から繰入れてやるのだというような形になつておりますから、この面をむしろ今後本質的な解決をいたしまして、かかつただけは貯金も少くとも赤字を出さない程度には当然もらう。もらうという形は利子でよこすという形になるか、それでなければ、足らないから繰入れるという形でなしに、当然の繰入れという形でもらう。そこで赤字を生じないようにして、あと郵政事業全体として見て、大いに勧いて、ゆとりをつくつて、給与を上げて行く。従つて今度四、五の分はできないけれども、今後の郵政従業員全体の給与のあり方としては、御指摘のように内部にゆとりがあれば、少くとも公社職員と調和をとつた形で、絶えず上げて行く、こういうように持つて行くように努力したいと考えます。
  62. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 今回の不公正給与の是正調停案受諾財源について、私は何も無理に一般会計から繰入れろというわけではない。先般来大臣を初め政府委員が、一般会計から繰入れがなければこれを是正することはできない、調停案受諾できないというから、われわれは一般会計から繰入れろということを主張したわけであります。しかしそれが一般会計から繰入れなくして、省内の操作において是正され、受諾されるならば、これはまたわれわれとして別に反対する理由はない。従つて大臣がこの省内予算の操作で受諾するというその態度に対して、私どもは別にどうこう異存を言うものではございません。ただ私の言うのは、もし省内予算の操作でこれを是正するという予算措置の方針をとるならば、大臣考えようにおいて、私はいかようにもできるだろうと思う。従つてそうすれば現在の郵政省予算においても、何とかここのところで四、五の両月を打切らないで、全面受諾するだけの操作はできるのではなかろうか。この点について聞いておるわけです。できないのですか。
  63. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 それはこれから洗いざらいに増収見込みや、その他一応今ある程度確定した見通しのあるものを全部出しますならば、財源的には四、五の二箇月分くらいを出すゆとりがないとは、私も申し上げるわけには行かない。むしろ財源的にはゆとりはある。しかしこれがいろいろな政治的な意味において、そういうことを了解を得てやれるかどうかという点は、非常に疑問であると同時に、この程度の財源的なゆとりは、まだこれから先に考えられるいろいろな事態のために、むしろとつておかなくちやならぬのじやないか。結果においてはどういう形でか、やはりゆとりのできたものだけは、何とかそういう形において従業員の諸君の待遇政善のために使われるようになるだろうと自分では考えておるわけであります。
  64. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 よくわかりました。そこで今郵政大臣のお答えは、ともかく、洗いざらいに操作をすれば、多分四、五の両月分も、これを受諾することはできるであろうけれども郵政行政一般の将来を考えて、多少ゆとりを残さなければならぬから、まだそこまで行かぬのだというお話である、大臣の心境がそこにあるということはわかりました。そこで受諾するのにはまだ四、五日かかるようですから、もう一歩進めて、財源が何とかなるということですから、ひとつもう一段と研究して、これをもつて最後の大臣答弁としないで、もう少し研究してみてください。そうすると四、五月くらいは当然その操作でやれる。ゆとりのないところは、あとでまたゆとりを考えればいいのですから、当面出ている問題として解決するよう努力されんことをお願い申し上げて、私の質問を打切ります。
  65. 田中織之進

    田中委員長 ただいま問題になつておる給与の是正に関する調停案については、ほかに質疑はございませんか。——開会が大分遅れたのですけれども、時間も大分経過しておりますから、郵便物運送委託法関係質疑は、まだ吉田さん等お残りのことと思うので、すけれども、きようはこの程度にして、あすまた委員会を続会したいと思います。本日はこの程度にとどめ、次会は明日午前十時半より開会いたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十一分散会