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門司亮君 私は、ただいま
議題にな
つておりまする
地方税法の一部を
改正する
法律案に対しまして、
社会党を代表いたしまして
反対の
意思表示をするものであります。
すなわち、
政府原案の第十六条の七項は、先ほど
北山君からも
反対の意見が開陳されたのでございまするが、これは、
特定の
徴税義務者に対してあらかじめ
税相当額のものを
担保として
提出せしめようとするものでございます。
日本の
憲法の二十九条には、明らかに
財産権は侵してはならないということが書いてあるのであります。さらに敷衍いたしまして、この
財産権も、
法律の定めるところによ
つて、
公共のためにはやむを得ないというような字句を使
つておる。私どもは、この
国民の
財産権を侵してはならないという余文と、さらに三十条にありまする
納税義務との
関連性を考えて参りまするときに、
納税の
義務は当然でございまするが、しかし、
徴税義務者と申し上げましても、その
徴税をする事実が発生しなければ、私は、
徴税義務者としてこれに
担保を
提供せしめるということは、明らかに
財産権を侵害するものであるということを言わなければなりません。(
拍手)すなわち、
税法には、御
承知のように、もし
憲法三十条に定めておりまする
納税の
義務を怠
つている者に対しましては、明らかに
財産権に侵害を加える、あるいは抑制を加えて
差押えの
処置をとり、さらにこれを競売するの
権限を与えているということは御存じの
通りである。でありますがやえに、
差押え競売の
権限を越えた
担保権の
提供は、明らかに
憲法二十九条違反であるということを断定しなければならぬ(
拍手)私は、かくのごとき税を保全することのための行過ぎの
法案だ対しましては、少くとも
憲法を守る上において、
日本の
国民の名において、これに
反対しなければならないと思うのであります。
さらに、三百十三条における
住民税事の
標準税率の改訂でございまするが、これは、皆さんも御
承知の
通り、
現行住民税の
徴収の中に、第二項の
規定に事おいて、いわゆる
所得税総額の対象となるべきものについては、一応その百分の十までを
徴収することができるという
規定を設け、さらに、第一項には、前年度納めた
所得税の百分の十八を
標準税率として、百分の二十まで
徴収することのできるという
法律が
現行法に存在しているのであります。しかるに、現在の
地方の自治体の状況は非常に財政が困難であるということと同時に、
農村における
所得税の
関係から、
地方公共団体の八五%が第二項の
規定において
徴収していることもまた事実でございます。残りの一五%程度というものは、多くの
勤労者をかかえた
大都市等によりまして、もし第二項の
徴収をいたして参りまするならば、きわめて零細な
所得者に対しましても税が課せられるというような
危険性がございまするので、
住民のきわめて強い
反撃のあることのために、この
住民の
反撃をごまかすことのために今回の
改正が行われて、百分の十八の
制限税率を撤廃して、第二項の
税額を越えない範囲においてこれを
徴収することができるという
内容でございましよう。従
つて、明らかにこれは、この三百十三条の
規定にようて、
住民税は三十数億の増徴が行われるという案であることに間違いはないのであります。私どもは、今日
地方財政の貧困は十分了承はいたしておりまするが、しかしながら、
地方財政の充実による
地方住民の家計の上に大きな
影響を与えては断じてなりません。従
つて、われわれは、かくのごとき増徴案に対しましては、
断固として
反対をせざるを得ないのであります。
なお、七百四十二条の二並びに七百七十六条の二項につきましては、先ほど
北山君から申し上げられましたので、私はこれ以上
反対の意見を申し上げる必要はないと思いまするが、いずれにいたしましても、今回の
地方税漢の
改正は、あげて
国民大衆に対して
憲法を侵害しておるところの苛斂誅求の
増税あるいは増徴の案であるということに間違いはないのであります。従
つて、一括いたしまして、かくのごとき理論の上に立
つて反対せざるを得ないのであります。
なおまた、自由党あるいは
改進党、さらに鳩自党で
提案されて参りました
修正案の
内容に対しましては、私どもとまつたく合致するものがございまするので、これにとやかく申し上げるわけではございませんが、しかしながら、
協議の過程の上におけるわれわれの当然の主張でありまする、勤労階級が源泉
徴収においてきわめて苛酷の取扱いを受けておるということは御存じの
通りである。しかも、
政府の
原案によりまするならば、さらに
政府の本年度の
地方財政計画の
内容を見てみまするならば、申告
納税に対して捕捉事率九五%を見、源泉
徴収に対して捕捉率わずかに九〇%を見ておるというところに大きなごまかしがある。源泉
徴収を受けまする勤労階級は、どこに一〇%の捕捉が困難であるか。われわれは、かくのごときごまかしのこの財政計画のもとに
徴収されて参りまする勤労階級の、理論的にも実際的にも非常に多くを背負
つておりまする
住民税の
所得割の
軽減のために、本税において勤労
控除を認めておりますと同様に、
地方税におきましても、これまた勤労
控除を認めるということが正しい意見であるとして、その主張をして参つたのであります。しかも、その財源とするところは、三十六億内外の
減税に相なるでございましようが、これの財源
措置といたしましては、現在、
現行法におきまして、前年度の
所得税の百分の十八を
標準税率として一般の勤労階級は
徴収されておる。しかるに、
法人に対しましては百分の一二・五を
標準税率とし、さらに
制限税率を百分の十五に
規定いたしておりますときに、個人と
法人との間について、同じ
所得割に対してきわめて不
均衡がございますので、これを是正いたしまして、いわゆる
法人に対して
制限税率を百分の十五から百分の十八に
引上げることにおいて、ここに三十六億の
税金の財源を得て、しこうまして
地方財政に
影響のないようにすることを、最も正しい意見としてわれわれは主張し参つたのでございます。(
拍手)しかるに、このわれわれの、財政的に何らの
影響を持たず、きわめて理論の通つた問題が通過し得なかつたということは、あげて自由党あるいは
改進党の
資本家擁護の本性の現われであるということを、われわれは見のがしてはなりません。(
拍手)私どもは、税の
負担はあくまでも
均衡でなければならない、あくまでも
国民大衆の理解と納得の上に、厳正に、適正なる税制をしがなければならないということを主眼といたします場合に、かくのごときことを申し上げるのであります。
以上は
地方税法に対します
反対の趣旨であります。
さらに、自治法の一部
改正に対しましては、御存じのように、
修正案によりますれば、
附則六条によ
つて、全国の
市町村において
教育長の任務を
助役が兼任することができるという趣旨でございます。しかるに、一方、
地方自治法あるいは
地方公務員法等の
規定を参酌いたして参りますならば、
助役は特別職であ
つて兼職は禁じられているはずであります。これは、執行部におります者が同じような
教育長という執行部に対しましてその席を同じゆうするということは、行政の運営の上にきわめて混迷を来すからであります。自由党、
改進党からなるこの
修正案は、あえてこの混迷を犯そうとするのである。私はここにはつきり申し上げておく。教育
委員会制度がきわめて不
合理であり、かつわが国の自治体の実情に即しないものであるということは、諸君も御
承知の
通りである。にもかかわらず、自由党の絶対多数の横暴によ
つて、今日全国の
市町村にその教育
委員会制度が
施行せられ、しこうして、本年三月三十一日限りにおいて暫定
措置が打切られております以上は、本年四月一日からは、全国の
市町村に対して完全に
教育長を設置しなければならないということは、
法律の命ずるところであります。しかるに、この
措置は何らとられておらない。単に
措置がとられておらないだけではない。本年度の
地方財政平衡交付金の
内容を見て参りますときに、全国八千八百幾つの
教育長を設置しなければならないにもかかわらず、予算
措置といたしましては、わずかにその半数だけが平衡交付金の
内容に見積られておるという事実であります。私は、自由党にして、もし真に教育
委員会法が是であ
つて、この
法律の
施行を完全に行おうとするならば、かりに実際の
教育長選任に対して無理があるということをわれわれが是認いたしましても、財政的
措置だけは完全に行うということが正しい行き方ではないかと考えるのであります。(
拍手)財政
措置も行わずして、しこうして今日の
助役がこれを兼任するということは、先ほど申し上げました
通り、同じ執行部におります者が両またかけておいて、教育行政と町村行政とが混同するの
危険性をあえて犯そうとする、きわめて愚劣きわまりない案であるということを言わなければなりません。(
拍手)
もし自由党にして、
政府にして良心があるならば、潔くこの
市町村教育委員会法を撤回するの意思を表明すべきであるということをここに申し上げまして、私は両案に対しまする
反対の
意思表示をするものであります。(
拍手)