○佐竹新市君 ただいま
議題と相なりました、
内閣提出、
土地改良法の一部を
改正する
法律案、
金子與重郎君外二十四名
提出、
畑地農業改良促進法案、並びに
内閣提出、
農業災害補償法に基く
家畜共済の
臨時特例に関する
法律案につきまして、農林
委員会におきまする審議の経過並びに結果の概要を簡単に御
報告申し上げます。
まず、
土地改良法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
現行
土地改良法は、御承知のごとく
昭和二十四年八月施行せられ、爾来、国土資源の総合的開発の見地に立ちまして、灌漑排水施設、農業用道路の整備、農地の区画整理、農地の集団化、農地の造成及び保全並びにその災害復旧等の土地改良事業を実施いたし、食糧生産の増強、農業生産力の高揚に多大の貢献をいたして参つたのであります。しかしながら、施行以来今日までの運営実施の状況を検討いたしますと、土地改良事業の実施の
手続の点で煩瑣に過ぎますので、これが簡素化をはかりますほか、土地改良事業の一層円滑な推進をはかりますために、土地改良区の組合員以外からも役員を置くことができること、国営並びに
都道府県営土地改良事業についても必要により計画
変更をすること、市町村も土地改良事業を行い得ることとすること、並びに農地法に基いて買収した土地につき国または
都道府県が開田または干拓事業を行う場合、必要と認めるときは、その近傍の民有地について土地改良事業をなし得ること等につき
改正をいたす必要がありますので、本
法案を
提出することと
なつたのであります。
本
法案は、七月七
日本農林
委員会付託となり、翌八日保利農林大臣より提案
理由の説明を聴取いたした上、十七日から審議に入りました。その審議におきまして、農道の整備拡充、今後市町村が行わんとする土地改良事業と既設の土地改良区との競合
関係、畑地に対する改良事業の促進、土地改良事業に対する科学技術の導入等の諸問題に対し、各委員から建設的御
意見の御開陳がございましたが、詳細ば速記録に譲りたいと存じます。
次いで、本日質疑終了後、
討論を省略、別項のごとき
附帯決議を付しまして、全会一致をも
つて原案の
通り可決いたしました。
土地改良法の一部を
改正する
法律案の
附帯決議
本法による
政府の助成対象面積は、一事業主体につき五町歩以上とすること。
この
附帯決議もまた全会一致をも
つて可決いたしました。
次に、
畑地農業改良促進法案について申し上げます。
御承知のごとく、現在
わが国総耕地面積約五百万町歩のうち、その半分近い二百余万町歩が畑地でありまして、これが食糧生産並びに農業経営安定上に占める地位はきわめて高いのでありますが、この畑地農業は、一般に灌漑施設を欠き、もつぱら自然の降雨に依存しております
関係上、しばしば早魃をこうむ
つている状況であります。従いまして、これら畑地につきまして、灌漑施設の設置をいたしまするとともに、その他土地改良及び農業技術の普及改善を行い、土地利用の高度化をはかりますならば、比較的短期間のうちに飛躍的増産効果をあげ得ることは明白なのであります。従いまして、今後強力に畑地農業の振興対策を促進いたします
目的をも
つて、畑地地域に対し、総合的計画に基き事業を実施いたしまして、灌漑施設を設置するとともに、区画整理、客土、農道等の土地改良事業を施行し、耕種改善等の農業技術の高度化をはかることとし、これに対し国が
予算の範囲内でこれを助成すること等を
内容とする本
法案をここに
提出することと
なつたのであります。
本
法案は、去る七月二十七
日本農林
委員会付託となり、本二十九日、提案者を代表して金子委員より提案
理由の説明がございました後、質疑に入りました。その質疑の折、本
法案は畑地農業振興上画期的意義を有するものであるから、
政府においてもその意議を十分認識して所期の成果を発揮し得るよう、
予算その他の点について万遺憾なき
措置を講ずべきであるとの積極的な御
意見の開陳がございました。
本日質疑を終了後、
討論省略、別項のごとき
附帯決議を付して、全会一致をも
つて可決いたしました。
畑地農業改良促進法案の
附帯決議
本法による
政府の助成対象面積は、一事業主体につき五町歩以上とすること。
なお、この
附帯決議もまた全会一致をも
つて可決されました。
次に、
農業災害補償法に基く
家畜共済の
臨時特例に関する
法律案について申し上げます。
現行農業共済制度におきまして、
家畜共済には、死亡廃用共済、疾病傷害共済並びに生産共済の三種類ありまして、これらはそれぞれ一応別々のものとして諸般の事項が組み立てられておるのであります。従いまして、疾病傷害共済の掛金の大部分が国の再保険に付せられまする等の
関係もありまして、共済事故が少ければ国から来る再保険金も少いので、事故をかえ
つて誘発するというような、いわば道徳的危険を増大せしめる欠陥を含んでおるのであります。従いまして、死亡廃用共済と疾病傷害共済とを一元化して事務
手続の簡素化に役立たしめまするとともに、家畜診療態勢の拡大、死亡廃用事故率の低下をはかりますることが、本制度を改善しまする上の重要な目標と相なるのであります。そこで、
政府は、この両共済を総合して死廃病傷共済となし、掛金率等の
算定について必要な
基礎資料を得る
目的をも
つて、今後おおむね二箇年を限り、農林大臣の指定する共済組合に対して試験を行おうとして、本
法案を
提出されたのであります。
本
法案に対しましては
日本獣医師会よりの
反対陳情が行われておりまする等の
関係もありまして、
委員会としましては、その細部の検討を行い、慎重を期しまする意味合いをもちまして、農業共済制度に関する小
委員会に
本案を付託することとしたのであります。小
委員会としましては、前後五回にわたり
会議を開き、その間
政府よりの説明を聞きますることはもちろん、参考人の参考
意見の聴取、埼玉県下への現地調査等を行い、真摯なる態度をもちまして調査研究を続けました結果、七月二十八日、足鹿小
委員長より、本法制定後、法の運用上
政府に対して
要求すべき点として各派間に
意見の一致を見たる事項は、一、死廃病傷共済の種類はA種とB2種とすること、二、開業獣医師を家畜診療所の有給嘱託とし、かつ専任獣医師偏重となるような特別の指導方針をとらしめないこと、三、特別賦課金制度はとらないこと、四、二十八
年度実験対象馬頭数は五十万頭とすること、五、
中央及び
地方の保険審査会に開業獣医師代表を参加させること、六、家畜の繁殖
障害等の事故については、一事故の診療給付限度
引上げに努めること、以上の六点であ
つて、これらを本
法律案の
附帯決議とせられたい旨の
報告並びに
要望が述べられたのであります。
よ
つて、
委員会としましては、本
法律案を
議題とし、
討論を省略して採決に付しましたるところ、本
法案は
政府原案のごとく可決すべきものと決し、次いで、前に足鹿小
委員長より
報告せられた
要求事項を
附帯決議とすることについて諮り、これまた総員の
賛成を得た次第であります。
右御
報告申し上げます。(
拍手)