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1953-07-27 第16回国会 衆議院 本会議 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十七日(月曜日)  議事日程 第二十八号     午後一時開議  第一 刑事訴訟法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 青年学級振興法案内閣提出)  第三 武器等製造法案内閣提出)  第四 木材防腐特別措置法案首藤新八君外四十名提出)  第五 日本国フイリピン共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定締結について承認を求めるの件  第六 厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 国有財産法等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第八 歯科医師法の一部を改正する法律案参議院提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  今回の長野県下における豪雨による被害調査の件を水害地緊急対策特別委員会に併せ付託するの件(議長発議)  山下春江君外二十四名提出戦争犯罪による受刑者釈放に関する決議案は、海外胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会に付託するの件(議長発議)  旧軍港市国有財産処理審議会委員任命につき同意の件  日程第一 刑事訴訟法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 青年学級振興法案内閣提出)  日程第三 武器等製造法案内閣提出)  日程第四 木材防腐特別措置法案首藤新八君外四十名提出)  日程第五 日本国フイリピン共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定締結について承認を求めるの件  日程第六 厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 国有財産法等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第八 歯科医師法の一部を改正する法律案参議院提出)  公職選挙法の一部を改正する法律案公職選挙法改正に関する調査特別委員長提出)     午後二時二十四分開議
  2. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) お諮りいたします。今回の長野県下における豪雨による被害調査の件を水害地緊急油策特別委員会にあおせ付託いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なーしと認めます。よつてその通り決しました。      ————◇—————
  5. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) なおお諮りいたします。山下春江君外二十四名提出戦争犯罪による受刑者釈放に関する決議案は、海外胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会に付託いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。      ————◇—————
  7. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 次に、内閣から、旧軍港市国有財産処理審議会委員福島正雄君、荒井誠一郎君、野村秀雄君、堀越禎三君、山田義見君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて同意するに決しました。      ————◇—————
  9. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第一、刑事訴訟法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。法務委員長小林錆君。     〔小林進登壇
  10. 小林進

    小林進君 ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案の、委員会審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知のごとく、本案は重大な案でありまして、その報告内容は相当広汎にわたりますので、報告書提出いたしまして、詳細はこれに譲り、その省略した部分議長許可を得まして速記録に掲載することといたして、きわめて簡単に御報告申し上げたいと思います。法の基本的な性格を維持しつつ、運用上現実に障害のある点をさしあたり除去するのに必要な部分的改正を施そうとするものであります。  次に、本法案の主な改正点を御説明申上げますと、第一は、起訴前の勾留期間であります。現行法では原則としてこれを十日以内とし寸やむを得ない場合に限り、最大限十日の延長が認められているのでありますが、本案は、なお特別の場合に限つて、さらに五日だけ延長しようとし、又起訴後の勾留期間も、現行法では更新が行われても、原則として、三ヶ月に限られているのを、禁鋼以上の実刑の宣告があつた後の勾留期間更新は、裁判所裁量にゆだねることとするのであります。  第二は、いわゆる権利保釈除外事由を拡張しようとするものであります。すなわち、現行法被告人死刑又は無期懲役若しくは禁錮に当る罪を犯した場合、とあるのに加え、短期  一年以上の刑に当る罪を犯した場合までこれを拡張するとともに、被告人が多衆共同して罪を犯した場合、及びいわゆる御礼まわりなどによつて被害者等に脅迫がましい態度をとる危険が多分にある場合にも、権利保釈を許さないこととするのであります。  第三は、勾留理由開示に関するものでありまして、現行規定開示における関係人意見陳述口頭によりできることとなつているのを書面によつてのみ行うことができることとしようとするものであります。  第四は、犯罪捜査に関する検察官司法警察職員との関係に関するものでありまして、これは二点についてであります。  その一つは、検察官のいわゆる一般的指示権を定めた第百九十三条でありまして、本条は、解釈上明確を欠くので、これを今回明確にしようとするものであり、その二は、第百九十九粂の逮捕状に関するものであります。最近、司法警察職員による逮捕状濫用に対する非難があるのにかんがみ、この弊害を除くため、司法警察職員逮捕状請求するには、原則として、検察官同意を得なければならないこととしようとするものであります。  第五は、簡易公判手続を新たに設けようとするものでありまして、いわゆる重罪事件を除くその他の軽微な事件について、被告人が有罪の陳述のあつた訴因に限り、関係人意見を聽き、相当と認めるときは、簡易な手続によつて審理を行い、その促進を図るとともにへよつて生ずる余力を他の複雑困難な事件に振り向け、もつて刑事裁判全体の迅速化適正化を図ろうとするものであります。  第六は、控訴審における事実の取調範囲を拡張したこと、すなわち、第一審判決後の被害の弁償その他の情状に関する事実については、控訴審においてもこれを考慮することができることとするとともに、第一審の当時から存在しながらやむを得ない事由にまつて公判審理の過程において、法廷に顕出されなかつた事実も、控訴趣意書に記載することができることとした点であります。  第七は、いわゆる供述拒否権告知規定改正でありまして、現行法では捜査機関取調をするに際し、被疑者に対し、あらかじめ、「供述を拒むことができる旨」を告げなければならないとありますのを、「自己不利益供述を強要されることがない旨」を告げなければならないと改めようとするもの等であります。  さて、法務委員会におきましては、刑事訴訟法刑事手続基本法であり、憲法の保障する国民の自由、人権に直接極めて重大な影響を与えるものであることにかんがみまして本改正案審議にあたつては、慎重の上にも慎重を期したのでありまして、夫る七月七日政府より提案理由の説明を聞き、審議を重ねるごと十四回、各委員より終始熱心なる質疑が行われ、その間七・月十六日、裁判所、検察庁、警察弁護士会、学者、評論家等十数名の参考人から意見を求め、七月二十二日には地方行政委員会との連合審査行つたのであります。  質疑の詳細については速記録に譲りたいと思いますが、王なものを申し上げますと、第一に、最も論議の集中されました検察官司法警察職員との関係についての規定一つであります第百九十三粂の、検察官一般的指示権規定改正につきまして、「捜査を適正にし」という一句を加えることによつて検察官は、個々事件に介入して、一々指示するようなことになると思うが、政府所見如何との質疑に対し、政府から、個々事件の指揮は旧刑事訴訟法への逆行である。検察官は決して個々事件目的として指示するのではなく、公訴の遂行を全うするため必要な事項に関し、一般的な指示をするのであることは改正前と同様である。また、この準則は、警察側と緊密な連絡をとつた上定めるようにしたい旨の答弁がありました。  第二に、逮捕状濫用防止の第百九十九条の改正規定も、右と同様、論戦華かなものがありまして、「司法警察員逮捕状請求に際し、検事同意を要することとした理由、及び一般的に同意を与える事件範囲如何逮捕状発付の責任は裁判官にもたせるべきではないか等の質疑に対しまして、政府から、現在、殊に、警察職員による逮捕状濫用非難が高いのに鑑み、公訴官であり、かつ、比較的法律上の素養の高い検察官をして、逮捕の適否を判断、せしめ、この検事判断逮捕状発付の権限を有する裁判官に反映させることが最もよいと思うからである、現行法裁判官は、逮捕状請求があつた場合、これが適法か否かの形式的判断はできるが、相当性ないし必要性に関する判断はできないというのが、学説上の多数説であり、また個々事件について、裁判官がその逮捕必要性について判断することは、困難な実情にあるとの答弁がありました。  第三に、勾留期間五日の延長は、人権を侵害する悪改正で、その必要が認められない、現行法通りで充分ではないか、との質問に対しまして、集団暴行事件被害者多数の詐欺事件偽造事件等においては、現在の二十日の期間ををもつてしては、取調ができない実情にあるので、このような場合の必要と、人権保障との二つの要請との調和を考慮して、さらに五日間延長することにしたい旨の答弁がありました。  第四に、権利保釈除外事由として短期一年以上の罪を犯した場合を加えた理由如何。多衆共同して罪を犯した場合とはどのような場合か、現行規定で十分ではないか等の質疑に対し、政府から、現行法では、強姦、営利誘拐人身売買強盗等の場合でも保釈を許さなければならないという不都合を生ずることがあるので、これに対処するためであり、多衆共同の場合とは、騒擾罪内乱罪集団強盗等集団犯罪事件であつて、多衆というのは数十名群つてやつた場合で、このような場合は、通謀ないし証拠いん滅の蓋然性が通常多いのであるが、個々人について証拠いん滅のおそれを証明することが困難であるため、現行法をもつてしては、まかないきれない、またこの多衆の場合は権利保釈から除外されても、個々の場合を見て裁量保釈を許すことはできる等の答弁がありました。  第五は、現行勾留理由開示手続改正し、書面をもつて意見陳述をさせることは違憲ではないか、憲法趣言及び人権尊重という意味で、少くとも本人には口頭陳述を許すべきではないか等の質疑に対し、憲法第三十四条は、勾留理由開示本人及び弁護人の出席する公開の法廷で行うべきことを要請しているにすぎず、関係人意見を述べることは憲法上の権利ではない。従つて書面をもつて意見を述べさせることにても違憲ではないが、裁判所の「規則」をもつて裁判所が必要と認めるときは、口頭意見陳述を許すことができる旨を定めるつもりであるとの答弁がありました。  第六に、簡易公判手続を一般に法律的知識の低い現在のわが国において実施することは、果して妥当だろうか、  本委員会審議は七月初めに始められまして、爾来会を軍ねること実に十四回、この間委員諸君の終始熱心なる質疑の結果明らかにされましたところによりまして、小会派を除く各派共同提案として修正案提出せられたのであります。  すなわち、その内容は、第一、勾留理由開示現行法第八十四条に但書をつけまして、裁判長は、相当と認めるときは、意見陳述書面をもつてなすべきことを命ずることができるものとし、第二、権利保釈の制限に関する第八十九条第四号「多衆共同して罪を犯したものであるとき」を削除し、これに基く第六十条の条文整理をいたしました。第三には、いわゆる黙否権の第百九十八条第二項中「自己不利益供述を強要されることがない旨」を「自己意思に反して供述する必要がない旨」と改め、第四に、警察職員逮捕状請求検事同意を要することとする第百九十九条の新設規定を削除し、第二項に、「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。」また、逮捕状請求をする司法警察員については公安委員会が指定する警部以上の者に限ることの規定を新たに設け、第五、第二百八条の二の五日間の勾留期間延長は、内乱、外患、国交、騒擾の罪の場合に限るものとし、第六、第二百十九条の二の看守の規定を全面的に削除し、第七、第二百九十一条の二の「検察官及び被告人又は弁護人」を「検察官被告人及び弁護人」とし、第八、上訴権放棄の第三百六十条の二、「死刑」のほか「無期懲役若しくは禁錮」を加えることであります。本修正案につきましては、提出者より趣旨弁明を聴取した後、小会派から質疑がありました。  かくて、原案及び修正案を一括して討論に付しましたところ、自由党、改進党、社会党両派並びに鳩山自由党の各党よりそれぞれ賛成、小会派より反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもつて刑事訴訟法の一部を改正する法律案修正決議せられた次第でございます。  なお、この際、多数をもつて本案に対し附帯決議を付することにいたしました。その内容は   検察官の定める一般的指示を行う場合には検察と警察とがあらかじめ、緊密に連絡し相互に協力することを政府は建前とせられたい。   右の一般的指示により個々事件捜査を直接指揮しないよう留意されたい。   右決議する というのでございます。  以上御報告申し上げます。(拍手
  11. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  12. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  13. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第二、青年学級振興法案議題といたします。委員長報告を求めます。文部委員会理事原田憲君。     〔原田憲登壇
  14. 原田憲

    原田憲君 ただいま議題となりました青年学級振興法策について、委員会における審査経過並びに結果を樹報告申し上げます。  まず、提案理由を簡単に御報告申し上げます。わが国勤労青年実態は、義務教育の課程を修了した満二十五才までの青年のうち、高等学校及び大学に在学している者は約一七%、残余の八三%は教育を受ける機会に恵まれず、勤労青年層が自主的に開設運営して来た共同学習組織がいわゆる青年学級でありまして、現在その学級数は約一万一千学級受講生数約百万人の多きに及んでおるのであります。今日、これらの青年学級の共通の悩みは、地方財政貧困等に基因する経費及び指導者の不足により運営上の困難に直面していることでありまして、これに対し法的根拠を与え、国庫補助の道を開き、助成振興措置を講じようとしたのが立案趣旨でございます。  次に、本案のおもなる内容を簡単に申し上げます。第一に、本案は、勤労青年に対し、実際生活に必要な職業または家事に関する知識、技能を修得させるとともに、一般的教養の向上をはかることを目的として市町村開設する事業であること、第二に、原則として市町村の設立する公民館または学校事業として実施するものであること、第三に、勤労青年自主性を尊重し、かつ生活実態地方実情に即応して開設運営しなければならないこと、第四に、実施機関に、主事、講師及び講師補佐を置くことができることを明らかにいたしまして、それらの職務を規定いたしておること、第五に、国庫補助について、国は一定要件を備える青年学級開設する市町村に対し、予算範囲内で、運営に要する経費の三分の一以内を補助すること等でありまして、以上が政府原案の概要でございます。  さて、本案は、六月二十九日本委員会に付託となりまして以来、慎重に審査を行い、青年学級における教育中立性勤労青年自主性尊重内容等について熱心なる質疑応答が行われましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  かくて、七月二十五日、社会党前田榮之助君より、本法案中より罰則規定を削除し、自主性尊重のための青年学級運営委員会を設けようとする旨の修正案提出されました。次いで、修正案に対する質疑を行い、質疑終了後、本案並びに修正案に対する討論に入り、自由党、改進党、自由党よりそれぞれ原案賛成日本社会党より修正案賛成修正案を含まざる原案反対日本社会党、小会派クラブよりそれぞれ原案並びに修正案反対討論がなされ、次いで修正案について採決いたしました結果、起立少数をもつて否決となり、引続き本案について採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決すべきものと決定した次第でございます。  以上御報告申し上げます。(拍手
  15. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。野原覺君。     〔野原覺登壇
  16. 野原覺

    野原覺君 私は、ただいま議題となつております青年学級振興法案委員長報告につきまして、日本社会党を代表いたしまして反対し、日本社会党右派修正案に対しましても反対討論を展開せんとするものでございます。  御承知のように、青年学級というのは、敗戦直後の虚脱混乱の中より立ち上りました東北地方のまじめな青年諸君の手でつくられた小さな学習グループから発展いたしたものであります。すなわち、青年学級は、地方青年たち自己の向学心を燃やして各町村に自主的につくり上げた社会教育の場でございまして、それぞれの地域の実情に即した学習をする機関でございます。申すまでもありませんが、日本の将来ば働きつつ学ぼうとするまじめな青年諸君の双肩にかかるのでございまするから、これらの青年諸君教育機会を与えねばならぬという法案趣旨はもとより当然のことでございまするけれども、はたして、ただいま委員長より報告せられました法案によつて、真に勤労青年教育の正しい意味振興が可能であるかは、大いに疑いなきを得ないのであります。以下、私は、その具体的箇所と、しかるべきゆえんを指摘いたしまして、反対理由を明確にいたしたいと思うのであります。  まずその第一は、法案第三条の基本方針には「勤労青年自主性を尊重し、」とうたつているのでございまするが、それは第十三条による財政的援助理由として地方教育委員会開設許可権廃止権を持ち、地方自治体が議会の議決を条件として開設権を持つように規定づけていますために、青年学級研究サークルとしての自主性根本から踏みにじられているのでございます。しかも、地方議会外部から拘束力を加えることによつて地方権力青年運動に対する統制を来し、あるいは一部のボス等による不当な介入、弾圧の危険性をはらむことは否定できないのであります。(拍手)かくして、発生当初の青年学級自発的精神の芽はつみとられ、自主的研究の意欲を喪失する結果を来すことになるのであります。これ私が反対する第一の理由であります。(拍手)  しかし、国庫補助金を出す条件として、第十八条には六つの項目にわたつて規定しているのであります。このことは、実質的には自主的な小さな研究サークルの開催ないしはそれに対する国庫補助を不可能ならしめ、さらに、第二十二条のごとき補助金返還規定を設けることによつて、その内容及び運営自体にも大きな制約を加えているのであります。これ反対の第二でございます。  申すまでもありませんが、社会教育としての青年学級は、青年自主的意思の決定に基いて、青年みずからによつて行わるべきであつて外部からの拘束を加えるべきではありません。しかるに、法案によりますると、青年学級法制化し、財政的援助を与える代償として、これが組織、教科の内容講師の選定、指導などを法的に束縛しようとする意図が明らかであります。このことは、今日の逆コースの一路をたどる客観情勢の上に立つて見ますとき、青年を軍国主義的、官制的利用の具に供する危険性多分にあるのであります。(拍手)これ反対の第三点でございます。  次に、この法案による青年学級法制化は、全国一千三百万に及ぶ働きつつ学ぶ青年に対する教育の本質的、根本的な解決には何らなつていないということであります。すなわち、勤労青年教育というものは、学校教育社会教育との両面から総合的に検討されなければなりません。しかるに、この法案は、単に社会教育のわく内にのみ固定いたしまして、不完全な、貧困な施策をことさらに体系づけようとするものであります。たとえば、予算について申し上げまするが、年額総計七千二百万円を計上いたしておるのでございますが、これは、今日青年学級に参加している百万人の生徒に対し、一人年間、驚くなかれ、わずかに七十円にしか当らぬのでございます。政府は、このような、すずめの涙ほどの零細な金で、日本勤労青年全体に対して思想統制のひもをつけようという悪質きわまる考え方の上に立つた法律であります。これ私が反対する第四の理由であります。  最後に、もつと大きな問題があります。それは、青年学級法制化によつて、本来自主的なるべき青年団運動の上に強大な圧力と拘束を加え、その自由な発展が阻害されるということであります。ここで、私どもは過失の歴史を振り返つて見たいと思うのであります。御承知のように、明治のころの自主的夜学会が実業補習学校に発展し、それが青年訓練所を合併して青年学校となり、かくして青年団官製的御用団体と化したことは、歴史がこれを証明しているのであります。(拍手吉田内閣は、口を開けば、教育は大事だと言うのであります。しかしながら、今日までの吉田内閣政治は、教育を道具に使うことは知つておりましても、教育に奉仕することを知らないのであります。だから、教育は大事だと口で言いながら、名ばかりの独立を得たとたんに、政治の分野から、皆さん御承知のように、六・二制復活論が飛び出したのであります。教育勅語が今日大連文部大臣によつて礼讃されておるのであります。政府文教政策に批判的な、進歩的な教職員の手足を頭から縛るために、義務教育学校職員法案を前国会に出して、世の識者から非難されるの愚を繰返してみたりするのであります。(拍手)  私は、以上申し上げました五つの点から、この法案反対いたすものであります。なお、日本社会党右派修正案についてでございますが、この修正案官製的御用法案修正しようとする熱意はうかがえるのでありますけれども、しかしながら、この程度の修正では、以上申し上げました根本的欠陥の是正はできないと思われますので、遺憾ながら賛意を表しかねるのであります。  以上をもつて私の討論を終ります。(拍手
  17. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 前田榮之助君。     〔前田榮之助君登壇
  18. 前田榮之助

    前田榮之助君 ただいま議題となりました青年学級振興法案に対し、私は、日本社会党を代表し、遺憾ながら反対の意を表するものであります。  青年学級振興は、わが党の強くその必要性を認めるところでありますが、本法案は、わずかばかりの国の補助を支出することによつて、現在各地において自発的に開設され、実施されているところの青年学級を、文部省の官僚的統制によつて縛つてしまうおそれがあり、また罰則規定によつて青年教育を萎靡沈滞せしめるおそれもあるので、最小限度修正を加えてこれらの欠陥を是正し、もつて青年学級振興勤労青年のはつらつたる意向を反映せしめんといたしまして、文部委員会において努力し、修正案提出いたしたのであります。  すなわち、本法案第三条において、「勤労青年自主性を尊重し、かつ、勤労青年生活実態及び地方実情に即応して、開設し、及び運営しなければならない。」と規定いたしながら、第二章の青年学級開設及び運営の条項に何ら運営規定の見るべきもののなきは、羊頭を掲げて狗肉を売るに類するもので、政府は、本法実施にあたつても、全国青年学級数一万一千に対して、予算額七千二百万円の僅少をもつてし、一学級年間約六万ないし八万を要する実情において、約一割の僅少なる補助金にすぎない冷淡な取扱いをなしておるごときは、われらの容認せざるところであります。(拍手政府は、本法において、青年学級に関する規定をつくり、青年教育のことを書いてあるが、教育を受ける青年たちから種々なる注文を出して来ておるのに、それに耳をかそうとせず、政府の一方的かつ机上の考え方をもつてでつち上げたのがこの法案であります。  そもそも戦後青年教育は、政府において何ら見るべき施策を行わなかつた間において、自然発生的に、各地において、その地域社会の実情に即して行われて来ているのであります。親はばかでも子は育つという世の中のたとえのように、吉田政府は無為無能でも、青年たちは育つて来ておるのであります。そして、各市町村において勤労青年が自発的に集まつて学習的講座を持ち、講習会を開き、実習を行い、中には、青年が村の推進力となつて、新しい村づくりをしておるところもあるのであります。(拍手)しかるに、本法案は、現に全国津々浦々にある勤労青年を中心として行つている自発的な教育を、文部省があとから出て来て官僚的統制を行おうとするものであるとして、青年たちから非難されているのであります。  よつて、わが党が原案に強く反対するおもな点は、第一に、本法案第三条に、青年学級勤労青年自主性を尊重して開設運営しなければならないと規定してあるにもかかわらず、第二章の「青年学級開設及び運営」の箇所においては、どこを見ても、勤労青年の自主的運営の条項がありません。青年教育において最も大切なことは、地域社会各層の意向を十分反映させ、ことに青年層の総意に基く運営を行つて生徒に魅力を持たせることであります。(拍手)現に、各地において行われている青年学級は、多く青年の代表を含む運営委員会によつて運営されており、また文部省の事務当局の研究によつても、かかる仕組みがよろしいとの結論が出ておるのにかかわらず、青年代表を加えた運営委員会の明文を規定せずにおくことは、了解に苦しむところであります。  今、日本青年組織団体である日本青年議会において最も心配している点は、天くだり的官僚統制になり、青年の自主的意向が無視され、保安隊の温床になるのではないかということであります。このことは、吉田政府において日米安全保障条約締結後とつて来たところの自衛力漸増の方針によつて警察予備隊が保安隊となり、保安隊がやがて防衛隊となり、さらに一歩進めて太平洋防衛圏の一員となつて行く傾向にあるのにかんがみ、再軍備に対して最も鋭敏な感覚を持つている青年層にとつては、自分たちのつくつた青年学級も今度政府のつくる統制のわく内にはめられ、やがてまた大東亜戦争中の青年学校のごとく変転され、保安隊の予備軍的存在にかわつて行きやしないかとおそれるのは無理からぬところであります。(拍手)なおまた、おそれることは、過般来行われた教育根本問題に関する文部委員会質疑において現われたところの大達文部大臣の保守的、官僚的な物の考え方であります。ことに、文相の四大方針の一つである愛国心を養う基となる道義の高揚について道徳教育を強調する際、すでに昭和二十三年第二国会において院議をもつて廃止されておるところの教育勅語の底に流れている思想をもつて、現代の民主主義下の道徳教育にも当てはまると断じておるごとき、追放のギヤツプが露骨に現われておる時代錯誤的考え方であるだけに、ひとり青年だけでなく、われわれもまた、青年学級運営を誤るならば、とんでもない方向に行くのではないかと心配しておるものであります。従つて、わが党は、青年学級運営を文部省の指導にまかせ、その指導によつて事実上の運営を行うがごときあやふやな制度とせずに、運営委員会の制度を法律に明記して、もつて青年の危惧を一掃せんと欲して修正案提出したのであります。すなわち、法案第九条のところに一条入れて、当該実施機関青年学級運営委員会を置かなければならないとし、その委員組織には学生代表等青年代表を参加せしめ、自主的運営につき法律によつて保障を与え、これによつて、現在まちまちである青年学級運営について一定の基準を与えると同時に、青年の抱いておる不安、すなわち天くだり官僚統制の弊に陥ることのなきよういたさんとしたのであります。  次に、わが党が反対修正せんとした点は、官僚的統制を押しつけんとする罰則規定であります。法案第十七条には、第十一条の規定に違反した場合は一年以下の懲役もしくは禁錮または三万円以下の罰金に処することが規定されています。これは、おそらく、社会教育法第二十三条、第四十条、同第四十一条の規定を何の気なしに持つて来たのであるが、この罰則は有害無益の規定であり、青年学級事業を萎縮せしめる悪い効果があるだけであります。  そもそも、青年学級振興法は、その名の示すごとく、振興法であり、奨励法であります。奨励法に罰則があることは条理にも合わないのみならず、場合によつては、これが悪用される危険すらあるのであります。すなわち、昨今のごとく再軍備等が問題になつておる際、教師は青年学級において憲法規定に従い再軍備が禁止されておるゆえんを教えることは当然であるが、各政党の政策として論争される際に、これに関連してその可否等を教えることは、教育中立性とも関連して、本法違反の有無は主観と認定のために明瞭を欠くものであります。その証拠には、一両日来の文部委員会の文部大臣の答弁を聞いても、すこぶるあいまいでありましたが、いわんや、町村教育委員会等において、青年学級講師が再軍備不可の教育を実施する場合において、どこまで適法で、どこまで行けば不適との断定困難なことは言うまでもないのであります。大達文相は、政談演説になつてはいけないと申すのでありますが、政談演説と、しからざる講演との差異は、いかなるものさしをもつて決定するか、実に、一例を軍備問題にとつても、まことにあいまいであります。そのあいまいな規定によつて一年以下の懲役に処する等のごとき罰則は、はれものに触るようなもので、政治教育を施すことに消極的となるおそれもあると言わねばなりません。(拍手)このことは、ひいては政治以外の問題についても当然同様な結果を来すもので、去勢された青年と現状維持の保守勢力の温存には役立つかもしれないが、心ある青年反対することは当然であります。(拍手)  わが党は、真に青年の心理を理解し、青年の自発的向学心を助長し、もつてわが国産業の振興に寄与し、かつ民主的文化国家を建設するために貢献し得る勤労青年をつくり、かつて誤れる指導者が未来ある青年を戦場に送り、あたら有為な国民を国家の犠牲たらしめたるごときあやまちを再び繰返さざらんことを念願し、自主的運営の実を明らかにせず、罰則をもつて青年及び青年指導者を威圧するがごとき非民主的本法案原案に、残念ながら断固反対するものであることを表明する次第であります。(拍手
  19. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  20. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  21. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第三、武器等製造法案日程第四、木材防腐特別措置法案、右両案を一括して議題といたします。通商産業委員会理事小平久雄君。     〔小平久雄君登壇
  22. 小平久雄

    ○小平久雄君 ただいま議題となりました武器等製造法案及び木材防腐特別措置法案の、通商産業委員会における審議経過並びに結果につき御報告申し上げます。  まず、武器等製造法案につき申し上げます。  武器等の製造に関しましては、昭和二十年ポツダム共同省令により全面的に禁止されておりましたところ、このポツダム共同省令の改正により、昨年四月九日より例外的に許可されるようになりましたが、本省令も昨年十月二十四日をもつて失効いたしましたため、現在武器の製造に関しましては法の規制がないのであります。しかも、昨年五月ごろより駐留軍関係の発注も相当増加しており、加えて関係業者の受注に対する態度はややもすると混乱の傾向すら見受けられ、武器の持つ特殊な性格からいたしましても、また武器生産の混乱から来る国民経済への悪影響を避けるためにも、武器製造事業に法の規制を加えることはきわめて必要となつて来たのであります。以上が本法案提案の理由であります。  次に、本法律案の要旨につき申し述ベます。第一に、この法律案の適用を受ける武器とは、銃砲、銃砲弾、爆発物等、公共の安全を確保するとともに、事業の調整を行う必要が特に大きいもののみに限定いたしております。第二に、武器製造事業はこれを許可制とするとともに、武器の製造販売等を行う者の契約の内容を届出制とし、契約の不当なものについては戒告をすることができることといたしておる等であります。  本法律案は、六月十八耳通商産業委員会に付託されましたので、六月二十三日通商産業大臣より提案理由を聴取し、七月三日より七月二十五日まで前後五回にわたり、きわめて熱心に質疑が行われました。さらに、七月二十四日には参考人を招致して参考意見を聴取いたしましたが、これら審議の詳細は速記録を御参照願います。  七月二十五日、本案に対する質疑が終りましたので、ただちに討論に入りましたところ、日本社会党を代表して永井勝次郎君、日本社会党を代表して伊藤卯四郎君、宮本共産党を代表して川上貫一君はそれぞれ本法案反対されましたが、採決の結果、多数をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたした次第であります。  なお、本法案可決後、改進党の長谷川四郎君より、左のごとき要旨の附帯決議案が提出されました。  一、本法施行の際政府は中小企業の活用、擁護について特別の配慮をすること。  二、武器生産審議会を最高度に活用するはもちろん、特に本法第五条の当該武器の製造能力の判定については十分公正を期すること。  三、過度の競争による弊害については、元請業者相互間はもとより、下請業者間における点についても、不当なる競争の排除について運用上特段の考慮を払うこと。等であります。本附帯決議案を採決いたしましたところ、多数をもつて可決いたした次第であります。  次に、木材防腐特別措置法案について御報告申し上げます。  わが国の木材の需給は不均衡の一途をたどり、昭和二十七年度においては約七百万石の不足を示しておりますので、政府においては、先年来木材需給対策要綱を策定いたしまして、消費の節約と需給の調整に努力いたして参つたのでありますが、木材の防腐措置につきましては、昨年度において約百六十万石の実績をあげている程度であり、これ以上実績をあげるためには、行政措置のみによつてはおのずから限度があり、法的措置を講じない限り困難であるというのが、本法案提案の理由であります。  次に、本法律案内容を申し上げますと、第一に、木材の消費節約のため、鉄道のまくら木及びその他特定の用途に供する木材に、一定の方法により防腐措置を施さねばならぬことにしておりますが、種々適用困難な場合を予想して、これらに対する除外規定を設けてあります。第二に、需要者のうち所要資金の調達困難な者に対しては国において融資のあつせんを行うこと等であります。  本法律案は、七月二十日通商産業委員会に付託されましたので、七月二十二日、提案者を代表して首藤新八君より提案理由の説明を聴取し、質疑は七月二十三日に行われましたが、その詳細は速記録を御参照願います。  次いで、七月二十五日質疑を打切り、討論を省略して採決の結果、全会一致をもつて法律案原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。  以上をもつて報告を終ります。(拍手
  23. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。永井勝次郎君。     〔永井勝次郎君登壇
  24. 永井勝次郎

    ○永井勝次郎君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となつております武器等製造法案に対し反対をいたすものであります。  朝鮮休戦の調印がまとまり、世界の各地における紛争も局地的な動きに集約せられ、緊迫した世界情勢は漸次緩和の方向に動き出しておるように思われます。主要各国は軍備拡張の競争から輸出貿易の経済競争に転換、市場争奪の闘いようやく高まろうとしておるとき、わが国のみは、世界の動向に逆行して軍備を強化し、武器生産に狂奔しようとしておるのであります。この道ば、わが国の独立を強化し、民族の自立を期待し得るコースではありません。軍備はアメリカの傭兵であり、武器生産は労働者の奴隷的低賃金による犠牲の強制であります。そのために、わが国の産業構造は平和的性格から軍事的性格に変質せられ、貿易市場からは後退し、ドルのわが国経済支配は強化せられ、アメリカ隷属化を強める方向に転落する道であります。わが民族の独立、国民生活の安定、平和擁護の立場から、われわれの断じて許し得ないところであります。  本法案に対する反対理由の第一は、憲法違反の点についてであります。御承知の通り、新憲法の前文には戦争放棄が宣言されており、第九条第二項には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」とあります。法学協会等の解釈によりましても、軍用機、海軍艦艇、兵器弾薬等の製造工業は戦力の範囲に含まれるとされておるのであります。さらに、顕在的なものだけではなく、一たび戦争が起つた場合、ただちに戦争に用いることができるような潜在的なものも、すべて戦力に含まれると解されておるのであります。もし自衛のための軍備は戦力でないというならば、憲法前文の宣言も、第九条の規定も必要としないでありましよう。そのかわり、自衛軍における少くも統帥に関する規定、兵制、宣戦、講和、徴兵制等に関する規定は、当然加えられなければならないはずでありますが、何らの規定がないのであります。保安隊武器生産、MSAの受諾は明らかに憲法違反でありまして、政府憲法違反に対する責任はきわめて重大であると言わなければならぬのであります。  反対理由の第二は、本法案の欺瞞性についてであります。条文中の重要な諸点は、ほとんど政令で定める、省令によると逃げておりまして、ことさらに具体的な表現を避けております。たとえば、第二条の武器の定義は、一から六までを規定しておるのでありますが、具体的なものは、銃砲、銃砲弾、爆発物の三つだけで、他は政令で定めることとなつておるのであります。その五には、「前各号に掲げる物に類する機械器具であつて、政令で定めるもの」とありまして、政令によつて戦車を指定しようといたしておるのであります。しかるに、第二条第一項は武器を定義し、第二項にはこれに並べて「猟銃等」として、猟銃、捕鯨砲、もり銃、屠殺銃を仰々しく書き上げておるのであります。表看板には猟銃や銃砲や原始的武器を帯しておいて、裏口の政令で戦車や航空機や艦艇や近代兵器を逐次追加指定して行こうとするごまかしが、はつきりうかがわれるのであります。  また、第三条以下には、武器製造事業許可制を定めてありますが、許可の基準は省令に譲られておつて、はつきりといたしておりません。二軍投資、過剰投資を抑制するための企業許可であるということでありますが、遊休の施設と技術を活用するという建前をとる限り、必然的に旧財閥系資本家中心の工場復元となることは言をまたないのであります。あるいは旧軍工廠跡の払下げないしは貸下げを合理化しようとする口実となる以外の何ものでもないのであります。財閥産業の独占が確立され、中小企業ばその傘下の系列の中で手きびしく支配されるに至るべきは想像にかたくないところであり、企業許可制は独占資本の安定をはかるためのみの効用であると断じても過言ではないと信ずるのであります。  さらにまた、政府は、武器生産を輸出産業として安定させたいと言つているのでありますが、計画の立たない外国発注にすがつて安定できる条件はどこにもありません。百も承知の上のごまかし口上にすぎないのであります。さしあたつてはMSAをつなぎ資金としてかせぎ、保安隊、海上警備隊の漸増につれて国内発注に切りかえ、国の計画と助成にまつて利潤の安定を予定している二とば明らかであります。MSA資金の域外発注分はどのくらいかわからないようでありますが、現在までの米発注武器は年間五千万ドル内外にすぎません。本度年、国内保安隊、警備隊の発注分は、飛行機、ヘリコプター、戦車、艦艇等を含めますと概算五百億に上り、企業の比重はすでに保安庁に傾きつつあることを実証しているのであります。武器産業は、アメリカのようなところでも、国防生産法によつて原材料、生産設備、製品売却、損失補償、融資あつせんなどを初め、税法上においても加速減価償却制による短期の減価償却が認められるなど、助成政策がとられておるのであります。企業許可制によつて財閥産業の独占を確立した後における国家助成の政策は、今から予見し得らるるところでありまして、自由党内閣と財閥、旧軍閥の提携による再軍備前進、それによる平和産業と国民生活の重圧を考えますとき、われわれは断じてこの欺瞞を許してはならぬと思うのであります。  反対理由の第三は、出血受注対策についてであります。本法案においては、契約の届出制、不当価格受注への戒告によつて出血受注の対策としておるのであります。問題はそんな上つらなところにあるのではありません。発注は日米安全保障条約、日米行政協定に基く米陸軍調弁規約の直接調達であり、価格改訂条項、契約再商議法等、米国内法の適用であり、米国式商慣習の一方的強制であり、あるいは職場における日本の労働者の基本的人権が守られていないという事実、あるいは入札検査等にあたり米側ば必ずしも公正なる処置をとるとは限らぬという事例等、いろいろ枚挙にいとまなき原因の錯綜しておることを見のがしてはならないのであります。要するに、アメリカ隷属下のわが国産業の哀れなる姿の実態であつて、これが対策は、アメリカ一辺倒の外交政策の転換以外にはありません。アメリカのわが国植民地化政策の払拭以外にはないのでありまして、腹をすえてかからねばならぬ問題であると確信いたすのであります。  今日、われわれ国民の切実なる願いは、日本の完全独立であり、平和であり、生活安定であります。政府はこの民族の願望をになつて最大の努力を払うべきにもかかわらず、自由党吉田内閣は、外、アメリカに奉仕してわが国の植民地化を結果せしめ、内、独占資本に奉仕して大衆を搾取し、国民に耐乏生活を強制しようとしておるのであります。英国などでさえ、自国経済からドル支配を排除し、完全独立を確保するため、軍備を縮小し、平和産業に転換し、自給体制を整えて、海外市場の獲得に懸命の努力をしておるのであります。こういう情勢の中で、わが国だけは逆に、MSAにすがつて傭兵軍備の増強を請負い、武器生産に力を入れて、日中貿易はもとより、輸出市場から後退を余儀なくされる始末に至つておるのであります。経団連は、みずから米国と折衝し、防衛生産委員会をつくり、旧軍人がここにたむろして、戦力増強の一役を買つておるのであります。米国の議会においては、本年三月十一日以来、日本の軍備の問題について検討が続けられております。ダレス国務長官、ナツシユ国防次官補、ウツド米相互安全保障本部副長官、アジア局長ヤング氏、オルムステツド将軍の発言を総合すれば、日本の再軍備は日本の義務である、日本国民に制服を着せ、防空陣地につくよう訓練すれば、米国は日本から引揚げてよい、日本と米国は運命は一つである、中共はやつつけねばならぬというのでありまして、こういう討議を背景として現われて来たMSAであり、再軍備であり、武器生産であります。  われわれは、われわれの独立と平和と生活を守るために、われわれ民族の血をいけにえにせんとするこの法案に対し、断固反対を表明するものであります。(拍手
  25. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 長谷川四郎君。     〔長谷川四郎君登壇
  26. 長谷川四郎

    ○長谷川四郎君 私は、改進党を代表して、ただいま議題となりました武器等製造法案に強い要望を付して賛成するものであります。(拍手)  政府は、本法案の立法理由といたしまして、第一に、昨年十月に兵器等の生産を規制するポツダム省令が失効したために、現在武器製造を取締る法的処置がない、しかしながら、昨今の駐留軍等の武器の発注は相当額に上り、いわゆる特需としての武器の製造が相当活発であり、一方、関係業界の受注に対する態度はやや濫立の傾向にあり、武器生産の混乱から国民経済を守ることはきわめて緊急のことであると信ずる、よつて公共の安全の維持、確保の面をあわせ考慮して、すみやかにこのような法の空白期間をなくするために本法案提出したと言つておるのであります。私は、政府のこのような考え方には、原則的には反対はいたしませんが、遺憾ながら、本法案内容程度では、業界の混乱を防止することはでき得ないと思うのであります。かつまた公共の安全を維持することもできないことを指摘せざるを得ないのであります。  なぜならば、第一に、政府の武器生産に対する態度はきわめてあいまいでありまして、およそ計画性のないものであります。すなわち、武器製造事業をどの程度の規模にするかさえも明らかにせずして、どうして政府の言われている国民経済の健全なる運行を守ることができましようか。いかに表面のみを巧みな答弁によつて切り抜けようとしても、その内容において何ら信念がなく計画性のない法律は、百害あつて一利ないということを申し上げなければならないのであります。いわんや、武器製造は、ある意味において一国の運命をトする重要産業であり、今後のわが国産業構造の上においても大いなるウエートを持つものであると思うときにおいて、政府はもつと計画性と真剣な態度で臨むべきであつたと思うのであります。昭和二十七年度においても、わが国輸出のほぼ八割が特需であることを思い起すときに、一層二の感を深くするものであります。  次に、私が指摘したい第二の点は、本法案内容がきわめてずさんであることであります。すなわち、本法案は、第五条の許可の基準、第十六条の契約の届出等の点を初め、あまりにもあいまいな点が多いのであります。はたして、この程度の内容で、本法案が意図する点をうまく調整できるかは、きわめて不安であるのであります。最近新聞紙上をにぎわしておるところの出血受注のごとく、不当に安い契約を、単に届出制のみによつて防ぐことは不可能であります。さらに、武器の製造事業許可する際、いかなる方法で、いかなる基準をもつて臨むか、その場合、元請業者と下請業者との生産系列をも許可の基準に含めるのかどうか、こういう点であります。審議の際も明確を欠いていたことは、まことに遺憾とするところであります。  最後に、私が政府に一言申したいことは、最近の政府は、国会を軽視する余り、法案審議の際の態度もきわめて抽象的であり、かつあいまいなる表現をもつて糊塗しようとする傾向の著しいことは、真に不満とするところであります。本法案審議におきましても、本法案とMSAとの関係を初め、われわれの真剣なる質問に対する政府答弁がきわめて誠意のないものであつたことは、われわれの最も不満としたところであります。今後は、すみやかに、かかる態度を一擲していただきたいのであります。  従いまして、私は、以上の点と、武器生産の持つ重要性にかんがみまして、次のごとき附帯決議を付したのであります。すなわち   武器等製造法案に対する附帯決議  (一) 本法施行上大企業偏重に堕することを避けるため中小企業の活用、擁護について政府は特別の配慮をすること。  (二) 武器生産審議会を最高度に活用するは勿論、特に本法第五条第一項第三号『当該武器の製造能力』の判定に就いては、公正を期すると共に武器製造に関連する下請企業をも包含して生産系列としての能力を判定すること。  (三) 過度の競争による弊害は、元請業者相互間に於てのみならず、当該受注業者の下請業者間に於ても起り得る点に鑑み、此等下請業者間に於ける不当なる競争の排除に就いても、本法律案趣旨が徹底する様、運用上特に意を用いること。  以上、私は、政府に、附帯決議の精神を尊重し、この法案の運用に十分留意していただきたいということを強く要望いたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手
  27. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 中崎敏君。     〔中崎敏君登壇
  28. 中崎敏

    ○中崎敏君 日本社会党を代表いたしまして、簡単に本法案反対の意を表明せんとするものであります。  本法案は、兵器産業の自由な活動を制限せんとするものでありまして、自由主義経済の大なる破綻だと言わなければなりません。われわれは、計画経済を主張し、一貫せる方針のもとに国の財政、産業、経済を規整し、国民経済の発展と国民の福祉の向上に寄与せんとするものであります。内外の情勢は、自由経済を揚棄して計画経済に移るのほか道はないものと信ずるのであります。本案のねらいとするところは、銃砲、銃砲弾、爆発物などの武器及び猟銃等の製造、販売その他の規制を行い、かつまたこれらの製造事業許可制にするなど、経済活動に大幅の制限を加えんとするものでありますが、私は、何ゆえに武器に対してのみかかる大幅の制限をせんとするのか、理解に苦しむものであります。  まず第一に、政府は公共の安全保持のために本法案提出したと言いますが、銃砲、火薬等に対しては爆発物取締法、銃砲火薬取締法等がすでに実施せられまして、これらの法律で十分に公共の安全は保たれておるはずであります。第二の理由といたしましては、事業の濫立防止をあげておりまするが、これはひとり武器製造事業のみに限つたものではないのであります。各種事業が活発に起り、自由競争のもとにその所を得ることこそが、自由主義者の主張する唯一の武器なのであります。それにもかかわらず、それを理由に本法案提出するに至つたことは、自由主義の破綻以外の何ものでもないのであります。もとより、われわれは、事業が必要以上に濫立されまして、国家の貴重な資材、資金などを空費することには賛成できないのでありまするが、ひとり武器事業のみを切り離して強力な国家権力を発動することは、あまりにも片手落ちと言わなければならぬのであります。  次に、武器製造事業を規制するからには、武器の需給の将来について確固たる見通しがなければならぬのであります。さらにまた、これと関係の深いところのMSAについては、政府は口を緘して語らないし、さらにまた保安隊に要するところの装備計画につきましても、何ら国会においてこれを明らかにしていないのであります。さらに政府は、武器製造事業の濫立は国際信用を害すると言いますが、政府の秘密主義こそ海外に不信を買つておる大きな理由だと考えるのであります。(拍手)なお、本法案は、旧財閥の復活、跋扈に拍車をかけ、中小企業を犠牲に供するものであります。これが犠牲に立つ多数の下請業者に対しまして、何らの対策が考えられていないのであります。一将功成りて万卒枯るといいますが、国家権力をうしろだてにいたしまして、ひとり旧財閥の独占資本が繁栄する一面において、多数の中小企業者の倒れ行く姿をそのまま放任できないのであります。(拍手)  最後に、公正なる取引を尊重するために私的独占禁止法が制定されておるのでありまするが、政府はこれを大幅に改正せんとし、さらにまた輸出取引法の一部を改正せんとする等、幾多矛盾せるところの政策を強行せんとするばかりでなく、今また本法案を強引に法律化いたしまして、中小企業者と勤労大衆の犠牲の上に、一部大資本家の番犬に堕し去らんとするがごときは、国民の名において反対すべきものと信ずるのであります。(拍手)  以上のような理由によりまして、私は社会党を代表して反対せんとするものであります。(拍手
  29. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  まず日程第三につき採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  30. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて本案は善貝長報告の通り可決いたしました。  次に、日程第四につき採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  32. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第五、日本国フイリピン共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。委員長報告を求めます。外務委員会理事富田健治君。     〔富田健治君登壇
  33. 富田健治

    ○富田健治君 ただいま議題となりました、日本国フイリピン共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定締結について承認を求めるの件に関し、外務委員会における審議経過及び結果について御報告申し上げます。  本協定の目的は、この協定に基きまして、フイリピン共和国に対し、その領海にある沈没船舶を引揚げるための役務の提供という形において賠償を実施いたそうとするものであります。わが政府におきましては、フイリピン共和国との国交調整のためには、できるだけすみやかに賠償の実施を開始することが必要であることを認めまして、本年一月にマニラ湾及びセブ港にある沈船の調査を目的として君島丸を派遣いたしましたが、この調査作業と並行して、マニラにあるわが在外事務所とフイリピン外務省との間で、沈船引揚げに関するとりきめにつき交渉が行われ、本協定の妥結を見るに至つたものであります。政府委員の説明によりますと、比国領海の沈没船の概数は約百八十隻ないし二百隻でございまするが、調査の結果、確実なところば、マニラ湾内に五十二隻、二十二万トン、セブ港に十二隻、一万トン、計六十四隻、二十三万トン程度の沈船があるとのことであります。本協定によりまして、賠償の実施に対するわが国の誠意を示しますることは、フイリピンとの友好関係の樹立に寄与することがきわめて大きく、またわが国の東南アジア諸国との善隣外交を積極的に推し進めて行く第一歩であると申しましても過言ではないのであります。また、今回の協定により必要といたしまする経費は約四十億円でありまして、平和回復善後処理費のうちから支弁されることになるであろうとの説明があつたのであります。  本件は、七月十日に本委員会に付託されましてから、二十五日まで五回にわたり慎重に審議を行いました。本件に関する本委員会における審査経過の詳細につきましては委員会議録に譲りたいと存じます。  質疑応答を終りまして、本件を議題となし討論を行いましたところ、日本社会党の田中稔男委員は、日比間に平和条約を結ばずして、しかもその内容の一部をなす賠償協定を結ぶことは変則的な取扱いであり、かつ比国大統領選挙が今秋に行われるに先だつて本協定を締結することは時期尚早である、アジア人の真の友好関係を確立することを望むことと、沈船の引揚げを賠償に充てる構想はけつこうであるが、政治的考慮より出た批准には反対であること、また賠償問題は誠意をもつて解決したい希望を持つているから、本協定の承認反対したからといつても、対比賠償には誠意を持つている旨を述べて反対せられ、また日本社会党の戸叶里子委員は、第一に、本協定実施に要する予算四十億円の支出にあたつては不正なことのないようにすること、第二に、日比間の平和条約の締結をすみやかに行うこと、第三に、引揚げたスクラツプを有償でわが国が引取り、日比両国双方に有利な方法を考えられたい旨の三点を要望して賛成せられ、ここに討論を終り、採決の結果、本委員会は多数をもつて本件を承認することに決定いたしたのであります。  右御報告申し上げます。(拍手
  34. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 討論の通告があります。これを許します。田中稔男君。     〔「いないく」と呼ぶ者あり〕
  35. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 田中稔男君は議席におられませんから棄権と認めます。  これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  36. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。      ————◇—————
  37. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第六、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案日程第七、国有財産法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事淺香忠雄君。     〔淺香忠雄君登壇
  38. 淺香忠雄

    ○淺香忠雄君 ただいま議題となりました二法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、別途今国会に日雇労働者健康保険法案提出されておりますが、この日雇労働者健康保険法による日雇労働者健康保険事業にかかる政府の経理を、厚生保険特別会計において新たに日雇健康勘定を設けて行うことといたそうとするものであります。  次に、国有財産法等の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、国において直接公共の用に供する財産の管理を適正にするため、国有財産の分類及び種類に変更を加え、公共福祉用財産と公共物とを統合して、行政財産の中に新たに公共用財産という種類を設けるとともに、皇室用財産等の取得、用途廃止等についての手続を緩和し、また国立大学の施設の集合整備をはかるため、国立大学の施設と地方公共団体その他の者の所有する施設との交換について特例を設けることといたしております。  右の両法律案につきましては、審議の結果、一昨二十五日質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決いたしましたところ、いずれも起立総員をもつて原案の通り可決いたしました。  右御報告申し上げます。(拍手
  39. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  41. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第八、歯科医師法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。厚生委員会理事中川源一郎君。     〔中川源一郎君登壇
  42. 中川源一郎

    ○中川源一郎君 ただいま議題となりました歯科医師法の一部を改正する法律案につきまして、厚生常任委員会における審査経過並びに結果の大要につきまして御報告申し上げます。  現行法では、歯科医師は死亡診断書を交付できないのでありまするが、歯科医業の口腔外科においては、その治療中大出血等のため死亡する事実がありますので、かような場合、歯科医師に死亡診断書の交付を認めることといたしたのであります。  本法案は、七月十三日予備審査のため木厚生委員会に付託せられ、七月二十四日本付託となり、提出者、参議院議員林了君より提案理由の説明を聴取いたしました後、審査に入り、同日質疑を終了し、二十五日討論を省略いたしまして採決に入りましたところ、本法案委員会において全会一致原案通り可決すべきものとじて議決いたした次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  43. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  45. 今村忠助

    ○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、公職選挙法改正に関する調査特別委員長提出公職選挙法の一部を改正する法律案は、委員会審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  46. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。公職選挙法改正に関する調査特別委員長森三樹二君。     〔森三樹二君登壇
  48. 森三樹二

    ○森三樹二君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、簡単にその提案理由を御説明申し上げます。  本案は、本日公職選挙法改正に関する調査特別委員会におきまして全会一致をもつて起草提出いたしました法律案であります。御承知の通り、本特別委員会は、公職選挙法改正につきましては法全般にわたり、また根本的な問題につきましても現在鋭意調査検討を重ねつつあるのでありますが、さしあたり、近く行われる予定の再選挙等に備えまして、選挙の一部無効による再選挙に関する規定を整備する必要が生じましたので、ここに本改正案提出するに至つた次第であります。  申すまでもなく、選挙の効力について争訟が提起され、その結果、選挙の一部が無効となり、その一部の区域のみで再選挙が行われることとなりました場合、現行の公職選挙法規定によりますと、選挙運動の期間、各種の選挙運動に関する制限、選挙公営等、ほとんど本来の選挙と同様の規定が適用されますので、本改正案は、右のような不合理を除きますために、選挙の一部無効による再選挙につきまして、その区域の広狭や選挙の種類等を考慮いたしまして、選挙運動の期間を短縮し、あるいは選挙事務所の数、自動車等の使用数、通常はがき及びポスターの枚数、個人演説会の回数等の選挙運動や選挙公営を制限するなど、政令で特別の定めをすることができるようにしようとするものであります。  何とぞ満場の御賛成あらんことを切望する次第でございます。(拍手
  49. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。  明二十八日は定刻より本会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十七分散会