○安平鹿一君 私は、
日本社会党を代表いたしまして、
総理大臣の
施政演説に対して、特に労働問題並びに基地の問題に対しまして、やや具体的に
お尋ねしたいと存じます。(
拍手)
まず私は労働
行政に対して
お尋ね申しまするが、さきの
総理大臣の
演説の中で、
わが国の物価のコスト高が
国際市場への進出に一大支障なるにかんがみまして、基礎産業の合理化を極力推進し、コスト引下げによる
国際競争力の培養をはかる所存であるとのことでありました。今日、
日本の物価のコスト高は、
吉田内閣自身の片面講和に基く向米一辺倒の
特需経済依存のための原料高がその主たる
原因であることを知らなければならないのであります。(
拍手)だからこそ、今日
朝鮮問題が、
休戦という、われわれ
国民にとりましてまことに喜ばしき平和への希望に直面しておりながら、
日本の
経済が混乱と危機に見舞われておるという悲しむべき
事態に立ち至
つたのであります。(
拍手)昨日わが党委員長が述べられたことく、
アジア貿易を促進し、自立
経済への道を開くことがコスト引下げの唯一の道であると信ずるのであります。合理化もここに基調を置いて進められなければならないことは、私が申すまでもございません。しかるところ、総理は、頭の中では、従来とり来つた資本家的合理化、すなわち労働者の賃下げ、労働強化、首切りにより、
特需経済の破綻を労働階級への苛酷なる弾圧と犠牲に求め、よ
つてコストを引下げまして、
国際市場への進出を企図するものと思われるのでありますが、総理のお述べに
なつた、いわゆる産業の合理化とはいかなる内容のものか、具体的にお示し願いたいのであります。(
拍手)
第二に、
政府はすでにスト規制法案を本
国会に提出されておりまするが、吉田総理は、さきの十三
国会におきまして、
憲法に保障された労働者のストライキ権を抑圧し、労働者の基本的人権を侵害する緊急調整制を、全労働者及び各界の反対にもかかわらず
成立せしめたことは、御承知の通りであります。この制度を昨年の争議にあた
つて適用したことも——昨年の炭労の争議にあた
つて適用したことも、これまた御存じの通りでございます。ここに至
つて、この昨年起つた炭鉱の大ストライキも、法の命ずるがままにストを中止し、法の目的は完全にこれによ
つて達せられたのでございます。しかも、十三
国会以来、同法令はわずかにたつた一度の発動しか経験を持つに至らないのであります。しかるに、今またスト禁止法を提案せんとするがごときは、屋上屋を重ねるにひとしい、実に愚かなことと言わなければならないのであります。(
拍手)かかる弾圧をも
つて資本家的合理化
政策を強行するならば、遂に破壊防止法が破壊を呼び、スト規制法がストを招くであろうことを知らなければならないのであります。(
拍手)ことに、本案は、昨年の炭鉱争議にその根拠を求めておるようでありまするけれども、当時の炭鉱労働者は、坑外夫わずかに七千五百円、坑内夫一万二千円のきわめて低い賃金で、地下数千尺で、命を的に国の資源を掘り起す労働者諸君であります。これら労働者諸君は、女房子供とともに共かせぎをしなければ食
つて行けない
状態であることは、いまさら私が申し上げるまでもございません。それが、莫大なる利益をむさぼ
つておる炭鉱資本家に、食えるだけの賃金を要求することは当然ではありませんか。それが何ゆえ悪いのでありますか。この切実なる労働者の要求を無視して、いたずらに法律をも
つて弾圧することは、資本家はもうけるだけもうけろ、労働者は文句を言わずに働けというにほかならないのであります。もし、こういうことであるならば、戦時中の東条の労働
行政と、どこに選ぶところがございましようか。労働者をして喜んで生産に協力させ得なかつた東条は、遂に国を滅ぼしたのであります。賢明なる総理は、東条の轍を踏むことなく、スト規制法案を撤回し、労働者が喜んで生産に協力し得る労働
政策を樹立するの意思はないか。この所見を承りたいのであります。(
拍手)
第三に、
政府は
わが国の民主的労働組合を育成すると言いなから、事実は民主的労働組合の分裂を策しておるのではないかとさえ考えられる
政策をと
つておるのであります。(
拍手)この点において、労働
大臣は、労働組合育成のための
具体案をお示し願いたいと思うのであります。
もう
一つ小坂労働
大臣に
お尋ねしておきたいことは、さきに労働組合、資本家及び学識経験者の三者で労働問題協議会を提唱しておきながら、一方にはスト規制法案を議会に提出するがごときは、労働者を欺瞞するもはなはだしいと言わなければならないのであります。(
拍手)あえて労働
大臣の
答弁を求める次第であります。
第四に、失業問題について、総理は、乏しい財源の中から失業対策費を増額したと、あたかも鬼の首でもとつたようなことを言われたのでありまするけれども、今日の失業者は、総理府の発表を見ましても、昨年三月四十二万人であつたものが、本年の三月には六十一万人に増加しておるとのことでございます。しかし、この発表は完全失業者の数字のみでございまして、潜在失業者を加えるならば優に七百万を越える厖大な失業者があると言わなければならないのであります。このように失業者が年ごとに増加しておることは御承知の通りであります。一方においては資本家的合理化を進め、どしどし首を切りながら、一方においては失業対策費を増額いたしましても、結局はいたちごつこに終るだけでございまして、最終的受取人であるところの失業者の生活は一向に楽にならないということにお気づき願いたいのであります。失業対策を所管
大臣は抜本的に組み立てる意思があるかないかをお伺いいたしたいのでございます。(
拍手)
第五に、今日の国家公務員及び公共企業体に従事する労働者は、
占領下における圧力で、
憲法で保障されたスト権を奪われ、労働者の基本的人権を失
つたのであります。これに対しまして、
政府は、人事院の勧告及び中労委の調停裁定は尊重しなければならない義務があるように思われるのであります。今日までに起つた官公労組及び公共企業体の紛争に対し、人事院の勧告を初めといたしまして、中労委の調停、裁定等が満足に実行ざれたためしがないのであります。
かくのごとく、
政府みずからが法の
精神と権威を失い、これがために無用の紛争をますます深刻にしておるのであります。しかし、スト権を奪われましたこれらの諸君は、極度に生活の困窮に陥
つておるのが現在の
状態でございます。今日、官公労組は、ベース・アツプと夏季手当一箇月分を要求しておるのでございます。
政府は当然この要求を受け入れるべきだと考えるのでありまするが、
政府の所見を伺いたいと存ずるのであります。(
拍手)
第六に、駐留軍の問題についてお伺いしたいのであります。今日駐留軍に働いておる労務者は約十九万人に及んでおるのであります。これらの労務者は、驚くべき悪い条件のもとに、涙をのみ、歯を食いしば
つて、米軍の無慈悲な待遇のもとに働かされておるのであります。(
拍手)もちろん、これらの悪条件は、
政府の結んだ
行政協定に因をなし、
米国の管理権、裁判権等、広大なる治外法権に存在することは言うまでもありません。その一例をあげれば、昨年、
米国の
極東司令部に勤務する労務者四百五十名が、予告なしに解雇された
事件があるのであります。この
事件は労働基準局も御承知のことと思うのでありますが、
当局も基準法違反を認められておりながら、何らこれに対する
解決の方法が見出されないままに今日に及んでおるのであります。もちろん、その中には、紛争
解決のために労資協議会なるものがありますけれども、これは単に名のみでございまして、米軍が協議会に参加を拒否すれば、団体
交渉すら開くことができないのでございます。このように、一方的通告で大量的に首切りが行われ、しかも、基準法に定められた予告手当すら受取ることが、これらの労働者はできないのであります。これらの労働者は、空腹に泣き、恐怖におびえているのが、今日の
状態であります。これらの労務者は、これ以上もはや働く者の権利の侵害は許さるべきでない、ぎりぎりのところにまで来ておるということを知らなければならないのであります。(
拍手)こういう
事件に対して、労働
大臣はいかような対策をお持ちにな
つておるか、お聞かせ願いたいのであります。
以上は、私の労働問題に対する、やや具体的にわたつた質問でございます。明確に御
答弁が願いたいのであります。
次に、木村保安庁
長官に御質問を申し上げます。木村保安庁
長官は、去る六月九日、
福岡におきまして、
わが国の
防衛計画を明らかにいたしましたが、それによりますると、陸軍二十万五千、航空部隊一千五百三十六、うちジエツト機が四百六十という内容のものでございます。こういう事実を考えてみまする場合、明々白々たる戦力でありまして、
従つて、かかる
計画は平和
憲法に違反するものと思うが、
木村長官はどのようにお考えにな
つておるか。(
拍手)さらに
木村長官は、去る十二日に、この
計画の内容を確認するとともに、この
計画を実現するには、現在の志願制度では無理であるので、徴募制を考えなければならないとの
見解を発表しておるのであります。
政府は明らかに徴兵制を採用する
計画を持
つておると考えられるが、
木村長官の考えを承りたい。さらに
木村長官は、九日の
談話において、二十万以上の軍隊を持つことは現在の法制上容易なことではない旨を語り、
憲法改正をほのめかしておるのであります。この
計画を実行するには、また
憲法を改正しなければならぬと思うが、
木村長官の
見解をただしたいのであります。
さらに緒方副総理は、十二日、
木村長官の
計画は個人的な
見解ならばよろしいと言
つておるようでありまするけれども、
木村長官は、
吉田内閣の
国務大臣であり、保安庁
長官であることは間違いないのであります。保安庁がかかる
計画を立てておるのは当然であり、また義務であると
言明しておるのでもわかりまするように、この
計画は木村氏個人の
見解ではなくして、
政府の
国務大臣として、保安庁の
責任者として行われておるのであります。緒方副総理は、これは単なる個人的の
見解であり、また個人的
見解であるならば、
憲法に違反しようと、
国民をそのことによ
つて混乱させようと、何を言うてもかまわないというのか、御
見解をお聞きしたいのであります。(
拍手)
さらに、木村
計画をも
つてするならば、
MSA援助及びすでに組まれておる軍事費のほかに、少くとも二千億円の軍事費を必要とすることは明らかであります。これは少くともインフレを招き、重大なる
経済混乱を来し、
国民に与える影響は甚大であると考えるのであります。
国民生活の立場から、
経済審議庁
長官は、この
計画についていかなる考えを持
つておるか、この際お伺いしたいのでございます。
さらに、この
計画は、
MSA援助を予想して出されるものであると思うのでありまするが、
MSAがひもつきであることは、昨日鈴木委員長が明らかにいたした通りであります。
MSAと結ぶ木村
計画は、
日本を
戦争に引きずり込み、
日本の肉弾傭兵制度を打立てようとするものであります。総理が既定方針で進むとするならば、この
木村長官の
言明は明らかに
政府の方針と食い違
つておるのであります。総理は
木村長官を罷免する意思があるかどうかを承りておきたいのであります。(
拍手)
次に、私は、軍事基地の問題につきまして、これまた具体的に聞きたいと思うのであります。第一に、今日
日本が当面する最も重要な課題は、
日本の独立と平和が日に日に虫ばまれて行く現状をいかに打開するかということでございます。わが党が、講和
条約、安保
条約並びに
行政協定に対しまして、祖国の平和と独立を売り渡す
条約であるとの観点から反対して参つたことは、御承知の通りであります。今、
日本の現状は、不幸にも私どもの心配した通り、祖国の権威は地に落ち、独立という美名のもとに特定国の隷属国となり下りつつあるのが現実の姿でございます。(
拍手)また、
朝鮮事変の
解決の糸口は、
世界の平和を大きく目ざして躍動しておりますのにもかかわりませず、
日本が不幸にも血なまぐさい硝煙の基地と化しておるのであります。
わが国の基地は、本年一月の調査によりますれば、七百三十三箇所を数えております。その面積は三億一千万坪と言われておるのでありますが、
政府はさきに軍事施設の返還を発表し、基地数は減少したとの放送がなされたのでありまするけれども、その返還されたものは、戦略的価値を失つた一時
使用の若干の減少を見たのみでございまして、むしろ無
制限永久基地は逆に増加しておるという、嘆かわしい事実を申さなければならないのでございます。(
拍手)ことに見のがせないこれらの特徴は、数に変化はございませんけれども、実質的に基地の拡張をはかるという、この著しい特徴が最近出て参
つていることを見のがすわけに参らないのであります。本年五月現在において解除されたものが二箇所、縮小されたものが七箇所、これに対しまして、追加されたものが十六、拡張されたものが四十七の多きに達している事実は、この間の特徴を雄弁に物語
つているのでございます。
かくのごとく、全国至るところ基地として、農民の土地も、漁民の海も侵され、奪われております。こうした基地は、外国の例によりますならば、フイリピンにおいては九十九箇年の間に二十九箇所、
英国は四箇年の間に十箇所と定められているにもかかわらず、
日本の
行政協定は無期限で、しかも数も無
制限で、今日まで一箇年の間に七百三十三箇所の基地が設けられているのであります。
政府はさらにこれ以上の基地をお認めになるつもりであるかどうか。総理の明確なる御
答弁をお願いしたいのであります。(
拍手)
さらに、これらの全国的な七百三十三箇所の基地では、すべて大きな問題を引起しておるのでありますが、この一々を申し上げる時間がございません。(「常任委員会でやれ」と呼ぶ者あり)ここに北海道の一例と、
内灘との二つの例を取上げまして、あとは常任委員会等において詳細に質問をしたいと存ずるのであります。
まず第一に、北海道の日高門別町は、高射砲演習地として七十三町歩を接収せられまして、
昭和二十六年に五十三日間も演習地に
使用したのでありまするけれども、漁家のこうむりました被害に対して、全額で八十万円、一戸当り二千円という、真にすずめの涙程度の見舞金を交付されたにすぎないのでございます。ところが、
昭和二十七年度には、漁家の損害は約六百万円に上
つておりますのにもかかわらず、今日に至るもなお一銭の支給もなしておらないのみか、今回さらに上陸用舟艇による上陸演習を始めるために、その数十倍に上る三千五百町歩を接収されようとしておりまして、日高門別の農民漁民はあげてこれに反対をしておるのでありまするが、このように最初の施設より数十倍に上るような施設を今後
政府は考え、また承知しておるかいなかを
お答え願いたいのであります。(
拍手)
次に
内灘問題について申し上げたいのでありますけれども、今日、
内灘問題は政治問題に発展しておるのであります。あたかも従属国である
日本の縮図として、
日本国民の怒りを込めた注目の的とな
つておるのであります。
内灘は、すでに御承知の通り、当初
政府と
住民との間において四箇月間に限り
使用するという期限付の
了解のもとに、基地として
使用されたのでございます。この明確なる期限の四月三十日を
経過しておるにもかかわらず、これを撤去せざるのみか、逆に無期限
使用の方針を一方的にとりきめるに至つたことが、今日流血の悲惨事を引起した
原因であると思うのであります。現在までの現地
報告によりますれば、十日、十三日、十四日には、それぞれ一名ずつの
住民が警官になぐられ、五センチを越える負傷をした者を出し、いまなお三百名の
住民は、着弾五百メートルの近くにある森に、死を賭してすわり込みをや
つておるのであります。一方、富山、福井、大阪管区における警察学校の生徒等を合せますれば、優に一千八百名の警官が出動いたしまして、
事態はますます険悪なる空気に包まれつつあるのでございます。
政府の約束不履行によ
つて引起されたこの
事件に対して、
政府はその
責任を明らかにされたいのであります。
さらに、本月五日、十日、
政府は伊関
国際協力局長及び田中副官房
長官を現地に派遣したのでありまするけれども、この際両君は、問題の現地
内灘駅に下車せずに、石動の倶利加羅峠を越えて金閣ホテルに至りまして、しかも警官隊五十名を先頭に県庁入りをして、帰りには小松から
アメリカの飛行機に乗せられて逃げて帰つたとの話でございます。(
拍手)しかも、見のがせない事実は、これら両君は、
日米協定の合同委員会の要請であるからという口実で、金の補償で
解決を迫つたとのことでございまするが、かかることは、片手に強権を握り、片手に札束を握
つて、金で
解決しようという下劣なやり方であると言わなければならないのであります。(
拍手)
政府は、金さえ出せば
解決できると
思つておりましようが、
内灘の
住民の要求は、金ではなくて、常に総理の唱えておりまする道義に基く約束の履行を迫
つておることを知らなければならないのであります。(
拍手)
住民の郷土愛や独立心までも金で買おうとすることは、それはできないことであります。この両君の、地元民の意思を無視した、非民主的にして一方的な態度が、かえ
つて地元住民の怒りをかり立てておる。こういう事実をいかに考えておるか。今後地元民の意思を十分に反映せしめるため、基地の決定は
住民の民主的な投票できめるか、あるいはその他の処置を講じ、紛争の
解決をはかる意思があるかいなかを
お尋ねしたいのであります。
次に、今日問題とな
つております浅間山の山麓基地の問題でございます。ただに附近
住民の生活権を脅かすだけではなくて、今日浅間山は、地震学会を中心とする
日本の学界の問題となりつつあるのであります。当地は、火山、地震の歴史的に重要な
研究地でありまして、その成果が
世界的に期待されておるという事情にありまして、特に学界は強硬に反対するに至
つたのでございます。これは
アメリカ一辺倒の政治が遂に学問の権威と自由を侵害するに至つた具体的な事実でございます。(
拍手)また奈良は、京都とともに、
日本における最大の文化財集中地として
国際的に認められておることは、御承知の通りであります。文化財保護に関する
国際条約が明年度とりきめられる運びにな
つておることは、昨年パリにおきまして、ユネスコの総会決定に基き開かれました
世界各国の
政府、専門家の
会議において決定を見ておるのであります。しかるに、
政府は、京都、奈良、浅間山等が問題とな
つて紛糾を重ねておりまする一昨々日、六月十五日に、あわてふためいて、
国際条約の特別保護下に置くように要請するところの文書を各
関係国に送つたとのことでございまするが、まことに許しがたき
政府の怠慢であると言わざるを得ないのであります。(
拍手)
政府は、浅間山を初めといたしまして、各地の文化財保護物に対し、紛争を起す以前に積極的な努力が払われなかつたところに、今日の紛争のおもなるものがあると思うのでございます。私はまことにこの
政府の態度は不可解千万と言わなければならないのでありまするが、この間の説明を願いたい。さらに所管
大臣は、現に基地化し、またはされんとしておる京都、奈良、浅間山等の文化財保護物の基地化反対を積極的になされる御意思があるかどうか、御
答弁を願いたい。
次に、私は、
日本の基地が
国民の教育上に与える影響について
お尋ねしたい。基地の子供たちは、爆音や砲音に悩み、勉強のできないことを切々として訴え、小さき胸を痛めておるのであります。また風紀のはなはだしい頽廃は、勤労意欲の喪失、青少年の不良化に拍車をかけ、著しく学力を低下せしめておるのであります。さらに基地における人権蹂躙は目に余るものがあり、もろくも生命を奪われ、貞操を犯されつつあることは、
政府閣僚の諸君もよく御存じの通りであります。文部
大臣はいかにしてこの教育を守られるかを伺いたいのであります。
最後に伺いたいことは、
朝鮮事変の
解決によりまして、在
朝鮮国連軍が大量に、しかも長期にわた
つて日本に駐留するということが伝えられておるのであります。
朝鮮事変も
解決し、
世界は平和を目ざして歩もうとするとき、
日本の
国民は、これ以上一人の駐留軍とい、どもまつぴらごめんでございます。(
拍手)これは単に私の要求ではなくて、全
国民の強い要求でございます。
従つて、
政府は、これらの事実を明らかにされるとともに、かかる申入れに対し断固これを拒否すべきであると思うが、
政府にその決意ありやいなや、
お答え願いたいのであります。今や、
国民の声は独立を求め、祖国を他・国の軍事基地とすることに絶対反対をするとともに、武装を放棄いたしました
日本こそ平和のための拠点となるべき名誉をになえと訴えておるのであります。私はこの程度で基地に関する質問を終りといたす次第であります。
次に、私は六月西
日本を襲いました風水害の対策について
お尋ねしたいのであります。本月上旬襲来いたしました暴風豪雨の被害は、愛媛、岡山、
福岡ほか西
日本の十七県を中心にいたしまして、ほとんど全国に及び、その期間は長期にわた
つておるのであります。時あたかも麦、菜種等の収穫最盛期にあたりまして、農産物を中心として家屋、土木、耕地、畜産、林野、水産、炭鉱、教育施設等、きわめて広汎にわたる被害をこうむ
つたのでございます。その被害総額は実に三百六十一億三千六百五十八万二千円に達しておりまして、近来まれに見る天災であ
つたのでございます。従いまして、災害復旧に努むべきはもちろんでありますけれども、特に農産物は所定の法規によ
つては復旧し得ない特異の災害でありますので、農業再生産を確保し、農民生活の危機を救うためには、新たな立法
措置を講じ、または特別
措置をはか
つて、緊急に次の対策を樹立する必要ありと考えるのでございます。すなわち、農産物については利子補給による長期営農資金を早急に貸し出すこと、菜種及び果樹など農業災害対策対象外の農産物に対して、同法に準じて特別補償を行うこと、検査規格を緩和し、等外品の無
制限政府買上げを行うこと、災害農家の飯米確保等の処置を講ずるほか、公共事業の災害復旧を初めといたしまして、各
関係被害の救済
措置を実行すべきであると考えておるのであります。(
拍手)半歳の長きにわたる辛苦の結晶を一瞬にして無にいたしました罹災者の打撃を考え、その早急な実現を要求いたしまして、農林
大臣の方針を承りたいのでございます。問題がはなはだ具体的にわたりましたので、具体的に御
答弁を願いたいと存ずるのであります。
以上で質問を終りたいと存じます。(
拍手)
〔
国務大臣吉田茂君
登壇〕