○加藤(精)委員
委員長からも御要求がありますので、非常に簡単に申し上げますので、非常に簡単にお答えを願いたいのであります。
地方行政委員会の行政の面からの感じでございまして恐縮ですが、自治
警察は、先ほど国家
警察長官が言われましたように、
国警以上によく
検事当局に打合せて
逮捕状の
請求をしているということでございますが、この点につきまして、私は固有事務または委任事務にかかわる
ところの
捜査の事務を、
地方行政事務として自治体は非常に円満に運営しているというふうに
考えておるものであります。その点につきまして
警察法全体の
改正がございますものなら別でございますけれども、そうでない際に、
自治体警察並びに市町村
公安委員会の権限にも響く
ところの百九十三条、百九十九条の両
規定の
改正は、その必要がない。また
改正いたしましたらこの
警察制度全体の創設の意義を失わせるものじやないか、こういう前提に立
つて私は
お尋ねするものでございます。大体文章論にな
つて恐縮ですけれども、百九十三条の
一般的指示の
内容規定でございますが、重要な事項に限定するという表現と、必要な事項に関しては、言うてみれば、必要な限りはどんな準則も定めることができるというような
規定の仕方でございますが、これらはどうも単なる意義の明確化とは言いがたいものがひそんでいるのではないかというふうに
考えます。この点は意義の明確化ということにつきまして、ある場合には
法務大臣の通達または
国会の速記録等によ
つて明らかにして、そうしてこの両者の
関係を処理して行きたいということを言われる
法務大臣とせられましては、これらはむしろ
法律を
改正しないで、たびたびお使いになりまする
ところの通達とか、あるいは
国会の論議の速記録にとどめておいて、そうして運営して行くという
方法でお
考えにな
つて、この意義の明確化を実現していただけば、それでいいのじやないかというふうに
考えます。それでなおこれらに関しましてどうも私の気になりまする
ところを具体的に申し上げますれば、この
警察法の
改正はどこまでも憲法の精神に
従つてこの
警察法というものができた、また同時に
地方自治を推進する観点からこの自治
警察というものができたということになるのでありまして、その点については疑いのない
ところでございます。なお自治法の
関係から申しますと、この自治法そのものが憲法の文字と同じように
地方自治の本旨に基いてということを、この
制度創設の根本
規定にいたしておりまするし、そうしてそれに基いてこの
地方公共団体が団体の長のほかに執行機関として委員または委員会を置くとございまして、その委員会の中に御
承知のごとく市町村
公安委員会というものが法定されているわけでございます。そうして憲法によりますと、その九十二条に「
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、
地方自治の本旨に基いて、
法律でこれを定める。」とな
つておりまして、本旨に基かないで
法律で定めることはできない。単に
法律でこれを定めるというのとは違うのであります。そうしてさきに申しましたような
地方自治法の
規定がされているわけでございます。そういたしますと、これは自治
警察の運営管理を全般的にいたしております市町村
公安委員会の権限に相当な制肘を加えることになりますし、
警察法自身の
改正で行わなければならない。
地方自治の本旨にかんがみてつくつた
地方自治法、それに渕源する
ところの
警察法という形で進んで参るものでございますから、この自治権の
範囲の限定は、厳にこれを狭義に解釈すべきであるという解釈を持
つております。そういうことに
関連して
考えますと、
警察法の
改正はそういう点を特に重視しまして、公安維持上必要な場合には、内閣総理大臣は市町村
公安委員会に
指示をすることができる、そうしてそのときには特に慎重な
規定を置きまして、
国家公安委員会の
意見を聞いた上でなければ
指示ができないとまでしてあります。もちろんこの自治
警察というものは、主として
警察の固有事務という
立場において
考えているものだろうと思うのでありますが、この
刑事訴訟法その他の
法律の委任による委任事務の
範囲もある。その
範囲におきましても何らこれが執行を自治
警察でや
つていかぬということはないのでありまして、そういう点におきまして自治権の
範囲に制肘をいたします場合におきましては、
地方自治法または
警察法によりまして、憲法の
規定を受けまして、
地方自治の本旨に合するごとく
規定しなければならないのではないか。そういう面から見ましても、現在
警察制度の根本的
改正をやる場合以外に、百九十三条並びに百九十九条の
改正をするのは、ちよつと時期が早いのではないかということを
考えておりますので、その点についての御
意見を伺いたい。