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板垣証人 キヤノン機関というのは、一つの別箇な分室だ
つたのです。それでどうしてそういうことを判断したかというと、中に一年も
生活しておるうちに、いろいろの話を聞いて、総合的にそういうふうに
自分で判断しているのですが、
キヤノン機関の性質と、その後の
状態を説明すると長いのですが、今したいと思います。
キヤノン機関というのは、
キヤノンは初め
日本へ、
昭和二十二年くらいに来ているそうです。それで話を聞くと、横浜のCIDにお
つた、松井もそうです。CIDにお
つて、
朝鮮動乱が始まる直前、特別な指令を本国の方から受けて、
自分で分室をつく
つた。それでこの分室に対しては、GHQから金が出ていないのです。またこの機関内で働いた
人間は、GHQの名簿に載
つていないのです。ただGHQの名簿に載
つているというのは、
キヤノン一人だけなんです。それで
キヤノンに対しては、
アメリカから金が送られて来ておるわけです。これも中にお
つて松井や何かの話を聞いたのですが、フォスター・ダレスが
日本の対日講和条約の草案をつくるのに、
日本の国民感情を
調査する必要があるという目的をも
つて、一つの民間情報という形でつく
つたそうです。それでダレスが、何か
アメリカの一流
法律家で、
アメリカでは千億万長者といわれる
人間が、その条約をつくるのに片腕を貸して、そうして弟のダレスを通じて、その千億万長者から金をと
つて、そしてフィリピンのキリノ大統領の奥さんの妹で、奥さんの手を通じて
日本の外務省も黙認されて入れたというテツド・ルーインを通じて、
日本に送
つた。そして情報をここで総合的に集めたのを、そのルーインの手を通じて、当時フィリピンにお
つたガルシエーに送
つた。ルーインだけでなく、その後南京虫
事件、密輸
事件で有名にな
つたジヨージ・ブロック、彼も
キヤノン機関の情報を持
つて、香港経由でマ二ラに
行つた。それで、その当時まだウイロビーがお
つた当時で、
昭和二十六年の秋にな
つてから、講和条約の草案ができたわけです。そうすると
アメリカ本国のダレスからの送金がなか
つたので苦しんでお
つたときに、延という
人間が現われたのです。その延という
人間は、以前大東亜戦争が始まる前に
アメリカにお
つて、二十数年
生活してお
つたそうです。大東亜戦争が始まると、
アメリカ本国から
自分の国、
朝鮮に逃げて来た。二十年
日本が敗戦となると、韓国軍を建設するのに延が活躍したそうです。
朝鮮動乱初期には、海軍の中佐とな
つて、仁川で一艦の司令官をしてお
つた。そして千九百数十名の部下を持
つてお
つた。動乱の初期に、何か悪質な犯罪を犯した。内部の話では、国民を裏切
つたのだそうです。それで軍裁にかか
つて、無期懲役を食
つた。無期懲役を食
つてどうしたかというと、彼は
東京に逃げて来た。
東京に逃げて来て、
アメリカに住んでお
つたころの知人に会
つた。それでその後話があ
つて、どうしたというようなことで、
自分の
立場を説明して聞かしたところが、それじやおれにまかせておけというので、まかしておいだそうです。その友人というのが、G2を通じて韓国政府に交渉したそうです。延の無期の判決を零にして、コリアン・ミッシヨンとして
日本に置くことにな
つた。そうして犯罪を零にしたばかりか、海軍中佐をそのまま与えたのです。その後またその友人というのが運動して、
アメリカのリジヨン・カードという臨時市民権を与えた。また
アメリカ海軍の位も持
つてお
つたのです。
アメリカと韓国の両方の海軍中佐にな
つたのです。
日本にいると二世、韓国に行くと釜山司令部において、延より上の
人間が、当時密輸してお
つたときにいなか
つたのです。密輸していたときも、延の命令で韓国の憲兵が護衛しております。それで
キヤノン機関が、その資金をつくるために苦しんでいたときに、
自分がそういうふうにしてもら
つたので、それはぼくが一人で貸そうというので、横浜のCIDに籍を置いた
キヤノンのところに延が特別に来た。それで密輸を企てて、資金を獲得しようとしたけれども、G2とCIDの対立があ
つて、何か民間情報局と感情のもつれがあ
つて、常ににらみ合
つていたそうです。それで
キヤノンがGHQやG2に籍を有しながら、GHQを無視して、
アメリカ本国のCIAのガルシエーのところから来た情報を送
つていた。ここに当然感情的なもつれがあ
つたそうです。その感情的もつれで、ウイロビーや何かが帰
つたときに、GHQやG2は、
キヤノンを全然援助しなか
つた。それで密輸をして、資金を獲得してお
つたのですが、その資金の獲得が、時期が少し遅れたために資金がなくな
つて、
アメリカのCIAから、それ以上
日本にお
つてはならないから、それを解散せいというので、
キヤノンを本国に呼びもどした、
キヤノンを呼びもどしたけれども、
キヤノンはGHQに軍籍があるが、
あとの
人間は籍がないわけです。
あとの籍のない
人間は、あらためてGHQか
CICの方に籍をつく
つて、移動したわけです。
キヤノンそのものは
アメリカに帰
つたけれども、そのものにかわるものは、新しく延が支配して、
キヤノン機関の実権をほとんど握
つた形で、現在も延がおるのです。延ばさつき
言つた住所に住んでおります。