○山内(隆)
政府委員 占領期間中におきまして、年によ
つて金額を区別しておる、あるいは
国家賠償法施行前後によ
つて、いかに見舞金と申しながら、金額に差をつけておるということがはたして妥当かどうかということにつきましては、見方によ
つては、あるいは意味がないということも言えないとも限らないと思います。
政府のとつた処置についての考え方は、私どもの一つの想像ですが、俸給等が物価の変動等によ
つて動いたと同じように、一番初め物価の低ときにいろいろな情勢を考えて金額をきめ、その後起つたものについて、物価なり賃金が非常に違
つておる際に同じ額でやることはおかしいじやないか、従
つててそういうきわめて事務的のことを考えて差等を設けたのじやないかと考えておりますが、さらに根本にさかのぼ
つて考えれば、いろいろな御
意見も立つと思います。ただ講和
条約発効以後と発効以前の占領期間中における
取扱いを截然と区別したことについては、事人命に関することについてそう区別すべきじやないというような見方もないとも限りませんが、占領期間中の軍の
不法行為については、責任はすべて連合国軍にあるという強い考えのもとに、すでに
政府としても初めから軍において賠償をせられるように交渉したのでありますが、遺憾ながら日本
政府の意向はいれてもらうことができませんでした。しかしながらその気持を決してあきらめた意味ではなくして、一方において交渉を続けながら、他方において、ほ
つてもおかれませんので、見舞金の支給の手続をとつたわけでありますが、講和
条約の十九条におきまして、連合国軍側に責任がないのだということがはつきりきめられてしまつたので、これはりくつから言えば、それでは日本
政府が責任を持つのだということも一概には申されないと思いますが、さればとい
つてほ
つておくわけにも参りませんし、
関係者にも非常に気の毒だと思いますので、こういう
措置をとつたわけであります。さような
事情でありまして、今考え方を根本的に異にしてやるということについては非常に問題があると思いますが、なおまた御
趣旨の点は十分検討してみたいと思います。この根本の
趣旨は別として、金額ははたしてそれでよいのかどうか、ことに
国家賠償法施行以前と以後について、そこにはつきりした区別を設けるかどうかというような点につきましても、なお十分
研究してみたいと思います。ただ先ほど申しましたのは、
政府として現在と
つておることを申した次第でございまして、御
趣旨につきましては十分検討して参りたいと思います。
それから先ほど申しました
国家賠償法施行以前の
取扱いをどうするかというようなことをきめて通牒を出すまでには、実にかような気持のもとに、各府県を通じ、あるいは調達局を通じまして、あるいは本庁としては新聞広告等で全国版で公告するとか、あるいは
地方は
地方で
地方版で公告するとかいうことで、その他行政的の
措置をとりまして、極力漏れのないようにということを考えて行動したいと思いますが、しかしながらいかにや
つてもまだ漏れが絶対にないということは申しかねますので、一応事務の整理として日をきめておりますけれども、しかし別に法によ
つてそうしなければならないわけでもありませんから、漏れの絶無を期する覚悟で十分に
調査して遺憾なきを期したいと風
つております。