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加藤政府委員 お答えいたします。ただいま
保安庁法の第七十七条をおあげになりましたが、警務官と申しますものは
保安庁法の第七十七条に基いてできたものであります。私
どもの考え方といたしましては、この七十七条の規定というものは国の機関におきましても、たとえば郵政
関係の郵政監察官、あるいは国税庁
関係の国税庁監察官というものがありまして、それぞれ国税庁察監官は国税庁の職員の犯しました
犯罪、あるいは国税庁の職員に対しまして行いましたところの
犯罪というものを捜査する。郵政監察官は郵政業務に関するところの
犯罪を捜査するというような権限を与えられておるのであります。そういうふうな類似した性格のものを保安隊の規模、性格というふうなものから考えまして、必要とするのではないかというようなことからいたしまして、
保安庁法第七十七条にこういう規定を設けたのであります。憲兵とどう違うかというふうなお尋ねでございますが、憲兵というものをどういうふうに解するかということについていろいろな問題があると思います。ただ私
どもの持
つております警務隊というものは、そういうふうな趣旨から出たものであるということを御了承を願いたいと思うのであります。
次に、警務隊のことを
お話になりましたが、警務隊というものは全国で約八百名の人数を持
つております。この警務隊は保安隊の方におきまして二十七の駐屯地にそれぞれ配属をされておりまして、これがその駐屯地のまわりの見まわりでありますとか、あるいは重要物件の警護でありますとか、あるいは
犯罪の捜査というようなことを担当いたしておるのでございます。この警務
関係の部隊の八百名が全部
保安庁法の第七十七条によりまして司法警察権を行うのかというと、そうではないのでありまして、これらの警務部隊に所属しておりますもののうちで一定の資格要件を備えた者、ただいまのところではこれは従前司法警察職員の経歴のあ
つた者でありますとか、あるいは保安隊の業務学校におきましてこのための特別の教育を受けたというふうな者を特に警務官及び警務官補として指定することにいたしておるのであります。これは保安隊について申しますと百二十二名であります。この警務隊のうちで百二十二名のものを司法警察職員としての職権を行えるところの警務官及び警務官補として指定いたしておるのであります。同様のことが警備隊の方にもあるのでございまして、警備隊の方は特に警務隊というふうな編成はいたしておりませんけれ
ども、警備隊の職員のうち十八名の者を警務官及び警務官補に指定いたしておるのであります。
この権限は
保安庁法の第七十七条にありまする通り、第一に「保安官、警備官並びに第一幕僚監部、第二幕僚監部及び部隊等に所属する保安官及び警備官以外の職員並びに学生の犯した
犯罪又は職務に従事中の職員に対する
犯罪その他職員の職務に関し職員以外の者の犯した
犯罪」その次に「
保安庁(海上公安局を除く。)の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設内における
犯罪」その次に「
保安庁の所有し、又は使用する物件に対する
犯罪」この以上申し述べました者の
犯罪についてのみ司法警察職員としての権限を行うのであります。もつともこのことは決して一般警察の権限を排除したものでも何でもないのでありまして、この点私
どもは係の者によく徹底するように申しておりますが、一般警察の権限と相並んで、特に保安隊、警備隊の中にこういうような職員を置きまして内部規律を維持させるということに主眼を置いていたしておるような次第でございます。