○近藤
政府委員 ただいま中村
委員からお話を伺いました。しごくごもつともな御意見でございます。すでに大臣から提案理由の説明がございましたが、その際にも私学の現状は国、
公立に比較して、非常に
政府の
補助が劣
つておるという点を指摘され、しかしながら私学の
教育界における地位というものはきわめて高いものである、
従つて政府といたしまして、今日まで私学を
振興するという意味におきまして、去る
昭和二十四年には
私立学校法、また
昭和二十七年には、
私立学校振興会法というものを制定いたしまして、私学の基礎を強固にし、かつまた私学に対して経営資金の貸付をするという
制度を設けたのでございます。しかしながらひるがえ
つてその
教職員の福利厚生の面につきましては、今日まで遺憾ながら比較的国、
公立の場合に比較いたしまして、手ぬるいというのは事実でございます。わずかに、御
承知と思いますが、財団法人私学恩給財団、これが
教職員の長期給付の仕事をして参
つております。また財団法人私学
教職員共済会というものが昨年設けられまして、これは私学の
教職員の短期給付の仕事をしておるわけであります。ただそれだけでございまして、それに対して国が事務費、事業費を合せまして、一千万円を助成しておるというにすぎない、そこで今日これをどういうふうに取上げるかという問題が起つたわけでございます。ところがたまたま、御
承知と思いますが、厚生省所管の健康保険法並びに厚生年金保険法の改正がございまして、これはただいま国会で審議されておるわけでございますが、これが九月一日に改正いたしまして、
私立学校の
教職員を全部これに強制適用するという事態が起つたわけでございます。それに対しまして私学全体といたしましては、これはそういう法文もさることながら、私学は私学として、ぜひこれは
教育基本法の第六条の線並びに前回の私学
振興会法をつくつたときの附帯決議の線に沿
つて特別な立法をしてもらいたいという要望がございましたので、われわれといたしましてはその線に沿いまして実は立案いたしたのでございます。
立案の経過はさような次第でございますが、しかしながら御指摘ございましたように、この
法案の内容につきましては、もちろんあるいは御満足の行かない点があろうかと思います。たとえて申しますれば、役員の数、あるいは
都道府県の
補助がないという点、あるいは
振興会の
補助がないという点、また百分の十であるという点、いろいろ御不満の点がございましたことは事実でございます。私
どもはそういう私学側の意向を十分咀噛いたしまして、できるものはこれを取入れるという方針で実は立案して参つたのでございます。しかしながら
関係官庁との折衝——あるいは急な話でございましたので十分これを見直す余裕もございませんので、そういつた意味におきまして御不満があろうかと思いますが、
最小限度この
程度ならばできるという案を実は御提案したのでございます。
ただ御指摘のような百分の十の点でございますが、これは共済組合の長期給付の財源計算でございまして、非常に専門的にな
つて恐縮でございますが、これは
教職員の脱退残存表とか、あるいは年金受給者の生残表とか、あるいは
給与指数とか、あるいはまた予定利率、そういつたいろいろな面をかみ合せまして、国の
補助が百分の十でできるという線をつくり出したのでございます。もちろんこれは百分の二十、百分の三十であることは望ましいわけでありますが、一面そういうものかと申しますと、必ずしもそうではございませんので、それに伴
つて教職員の掛金の負担率がふえるということがございますので、その点は専門的にいろいろ検討いたしました結果、百分の十という線を一応出したわけでございます。しかしながらこれはさらに詳細に内容を分析いたしますと、もちろん
都道府県から
補助があ
つて、また
振興会から
補助がありますれば、これは
教職員の個人の負担率が少くなる、あるいはまた
学校法人の負担が軽減されるという面はもちろんございます。そういつた点につきまして、御希望の点は十分わかるわけでございます。しかしながらかりに、これは現在厚生年金保険法とかあるいは健康保険組合を組織しておる
学校に対しまして例をと
つて申しますならば、必ずしも負担は現在よりも軽くならない、むしろその負担が多くなるというのが事実でございます。これは相互扶助事業であります性質上やむを得ないものがあると思うのでございます。また一方給付内容につきましては、現在の厚生年金保険法と比較いたしまして、できまする共済組合は相当上まわ
つております。
従つて給付内容が上まわ
つておりますから、給付の負担も相当上まわるのは当然である。ただその上まわり方があまり極端であれば、
学校が負担にたえないという問題は起ります。そういつた点も十分勘案いたしまして、一応百分の十という線を
考えたのでございます。しかしながら御指摘の点は確かに御意見の
通りだと思いますので、なおその点につきましては十分考慮いたしたい、かように
考えております。