○
足立委員 ただいま御
説明をいただきました
農林省の一応の
考え方につきまして、若干私の
意見も入るかもしれませんが、質問をしてみたいと思うのであります。
Aの問題で、
強制加入についての
難点を緩和するために
弾力性を持たせるという
考え方については、私は賛成です。ただ
共済事業というものの
性質からして、これはやはり相当広く実施されないと
事業が成り立たない。これがやはり
全国の
農業のためによいのだということに立脚して、こういう
制度が現在まで設けられて来ておりますし、今後もその
必要性を感ずると思いますので、普通の場合のように、
組合員の過半数の同意で、ただちにやることも、あるいはやめることもできるのだということは、やはり
国家的な
農業政策としてはどうかと私は思うのです。かりにきめるとすれば、一応
事業は当然に実施するのであるが、やはり
全国にはいろいろ特殊な地帯もあると思いますので、
組合員の少くとも三分の二以上の反対の意思があれば
事業を停止することができるという
程度の規定で、緩和したらどうかというふうに思いますが、
経済局長はこれに対してどういうようにお
考えになるか。
それから次のBの問題でありますが、この
農家単位共済は、今試験的に実施しておりまして、大体各部一
町村くらいを指定してや
つておりますが、まあ併用してや
つている
関係もあると思いますが、実際にや
つてみるとこれは非常に問題があります。もちろん理論的には、
農業災害補償制度というものは、
農家の
経営補償を目的としておりますので、理論的にはこれは非常にいい
制度であると思いますが、現在
アメリカでこの
制度が実施されておるからとい
つて、ただちに
日本において最も合理的な
都合のいい
制度であるということは、簡単には言えないと思うのでありまして、
アメリカの
実情は、これは
収穫保険ということで、
農家一戸当りの
収穫物があまりにも厖大であるために、
農家で
収穫をごまかすとか、あるいはそういう手の込んだことをする
余地がない。
従つて収穫を把握することはもうきわめて明確にできるわけであります。
従つてそうすれば、一々
一筆ごとに調べる必要もないし、
事務費もきわめて安くつく。簡単に結論が出まして、最も理想的に行われるのでありますが、
日本の場合においては、一軒の
農家がつく
つている農地にしても、いろいろ危険の
程度がわかれて参りまして、全体として二割以上の
災害を受けた場合にだけこの
共済金の
支払いが行われるということでは、なかなか
農家がこの
制度に満足をしてついて来るということは不可能ではないかという大きな問題が残るわけであります。現在試験的に実施されている地区で、今年の
風水害等でたまたま起つた
実例もあるのでありますが、たとえば一町五反もつく
つておるような
農家におきまして、二反歩くらいの水田が冠水その他の水害によ
つて徹底的にやられて
収穫皆無にな
つてしまつた。しかし全体として一側以上にならないために、
掛金はかけ捨てで一文の
共済金ももらえないという
実例が起
つて来るのであります。そうなりますと実際問題としては、零細な規模の
日本の
農業におきましては、この
制度の恩恵を受けることが非常にむずかしくなりまして、問題が残
つて参ります。ですから私は、実際に試験をしてみた結果、この
農家単位共済というものは
日本の
実情には合わない。
収穫保険制度というものは、現在の
災害補償制度は
収穫保険には違いありませんが、その
収穫を把握する時期は、田畑に
作物が立
つているうちに把握しなければ、この
制度の
厳正化は期せられないというふうに思います。この
農家単位共済というものは、や
つてみるとどうも実際にそぐわない点が出て参りまして、
農林省はどうお
考えにな
つているか知りませんが、私どもとしてはこれはむずかしいのじやないかと思
つております。いろいろ手続その他たいへんでございますが、やはり一筆
引受けということにならざるを得ないのじやないか。そこでもしこれを加味して考慮するとすれば、一筆
引受けでやりまして、その一筆
引受けの
災害が
農家個人の全体の
経済に、たとえば三割以上の
減収をもたらすというような場合には、さらに厚く救済するというような
制度で、この農原
単位のものを取入れて来れば、私はそこに大きな
意味があると思うのですが、
財政負担その他の
関係から、こういう理想的な
制度ができるかどうかということは疑問であります。今私の
考えを率直に申し上げてみて、
言葉も足りませんが、これに対して
農林省はどうお
考えになるか、伺いたいと思います。
それから
評価の問題が現在根本問題になるということは、私も同感であります。
評価と掛け捨ての問題がやはり今日の
共済制度に対する一番大きな
難点であろうと思います。そこで、この
評価の
客観性を確保するという
言葉を使
つておりますが、これはまことに
けつこうなことでありますが、現在の
統計調査部で調べる
数字と、この
共済が
一筆ごとに調べ上げて上
つて来ます
数字とは、これは必ずしも一致しないのが原則でありまして、一致すれば私はどうかしていると思う。これは筋道からい
つて必ず違うのであります。従いまして
統計調査部の
数字で
客観性を確保するということは、これはお
考えにな
つていないと思いますが、
一つの大きな
寄りどころになりますので、その
危険性が多分にあると思います。現在ではある
程度こういう
寄りどころに寄らざるを得ないという状態にな
つておりますので、
農林省が
大蔵省あたりと折衝なさる場合、この
統計調査部の
数字というものは
一つの基礎になる。これは私は
現状はまことにやむを得ないと思いますが、これを今度の
合理化によ
つては、この
統計調査部の
数字を
寄りどころにしなくてもいいのだというところまで行くことによ
つて初めてこの
制度が
農民にぴつたりして来ると私は思
つております。この
損害評価の
厳正化を期するために、少々経費はかかりましても、
監督官を配置するとか、あるいは
一つの
やり方としては、
郡単位くらいにする
——統計調査部の調べる
数字と
共済の
評価とはおのおのその
性質が違いますので、
末端に行けば行くほどその
性質の違うことは
はつきりわかるのでありますから、これをつき合せて
統計調査部でも
共済の
評価を公認をして出すというような
結びつけをやつたらどうか。これは
中央で机の上で
数字が出て来ますと、
数字の
性質の違いというものが実感的になかなかわかりにくい点がある。
農林省では今いろいろ
保険課で苦労して、方程式を出しておりますが、これが
末端に
行つて、
郡あたりでは
数字の
性質の違いというものが実感的にわかるのです。そこでこれをただちに
統計調査部の
共済制度の
監督機関にするということはむずかしいかもしれませんが、この
結びつけをや
つて、平価の
厳正を期し、
統計調査部でもこれを認めたものが出て来れば、これにそれ以上に手をつけ加える必要はないので、
評価というものが一回で済むというところまで行けば、煩わしさもないし、
不正事件等も起きる
危険性はなくなる。今日この
共済制度でいろいろ非難されておりますうちに、
共済金に関する
不正事件等が大きく取上げられておりますが、これは
町村で
評価をして出しますと、それを郡の
評価委員で
査定をし、これを県で
査定をし、さらに
中央で
統計調査の
数字と合わせて
大蔵省との折衝で
査定をする、そうなりますと、切られるたびに
末端の
数字がかわ
つて来る、一応
一筆ごとに三割以上の
被害は取上げて
町村では
数字をつく
つておる、それが上から天くだり的に
数字を切られて来るたびに、実際に
被害のあるものまでも落さなければならぬ、あるいは七割の
被害は王制に落すというようなことをやらなければ、上の方の
査定に順応することができないということで、何回もこういう
町村の
組合で事務的な仕事をや
つて、実際に合わないことをや
つておるうちに、そこに
評価というものがルーズにな
つて、
不正事件も誘発する危険もある。
つまり評価というものに対する厳粛さといいますか、この気持が失われて来て、
数字は幾らでも自由に動かせるものだというふうな感じをそこに誘発して参りまして、問題が起
つて来る、取扱いが非常にルーズにな
つて来るという結果になると思います。
従つて町村で
評価し、郡で
査定する、その場合には
統計調査部の方とも連絡をとり、
結びつけを
行つて、その
数字の出て来る
性質の違いというようなものはよくわかるのでありますから、それによ
つて、
統計調査部の方でも、この
共済の
評価についてはこの
程度であるということを公認したものが上
つて来て、県でも
中央でも、これについては特別の事情がない限り尊重するというような
制度にまで持
つて行けば、これは
農民も非常に信頼をするし、正しい
評価が行われるし、また
評価した
数字については、どこまでもこれを厳粛に尊重するというふうな気風が生れて来ればもうしめたものだ、この
制度はほんとうに根をはやして行くものだというふうに私は思
つております。
なお掛け捨ての問題についてもこの際あわせて御考慮いただきたいと思う。
農林省は行にこれを取上げておりませんが、これはわずかな無事もどし
程度は
農家はなかなか納得できないし、また無事もどしをするという
制度をつく
つても、無事もどしは
現状においてはなかなかできないと私は思います。そこで今再
保険形式をと
つておりますが、この
形式はどこまでもや
つて行かなければならぬと私は思いますし、
国家の
補償はさらに増額して、
農家の
負担を軽減して行かなければならぬと思
つておりますが、しかし
農家が積み立てる金は、郡なり県なり
農家の目の届くところへ
積立制度をやつたらどうか、そうしてたとえば
県知事が
自分の県内においてはこれだけの
共済の
掛金が積み立てられたという
保証書のようなものを
中央に提出することによ
つて——これは
県知事にどこまでも
監督権を認めて、
県知事の名においてその
積立金を保管をしても
けつこうですが、
中央に
保証書を出すことによ
つて再
保険契約が成立するというような
制度にして、要するに
自分の県あるいは郡から金は出て行かないのだ、やがて
自分の郡なり県なりが大
災害を受けた場合には、その金はまるまる
自分の県なり郡なりの
農民にまた下げ渡されるものであるのだという
形式をとれば、私は現在のこの
制度についてのいろいろな
不満はありますが、これでわか
つてもらえない
農民はもうしようがないというふうに、私は思
つております。こういう
制度ができないものかどうか。現在の
制度のもとにおいては、理論的にも
結びつけがなかなかむずかしいと思いますが、ひとつ大飛躍をしていただいて、要するに、
中央には
国家補償、県あるいは郡以下には
共済制度というように、この
結びつけ、ジヤンクソンさえ
考えれば、これは成立すると思う。この間の
公聴会でも、
学者あたりからこういう
意見が出ておりまして、
共済制度と
保険制度とを
結びつけるところに矛盾もあるし、むずかしさもあるということを言
つておりますが、これはまさしくその
通りで、これはむしろ
共済制度と
国家補償制度とを
結びつけるという
方向へ向わなければならないというふうに
考えますので、この点についてさらに御研究を願い、もし御
意見があれば本日伺いたいと思います。
なおここには上
つておりませんが、
病虫害防除対策というものと
共済制度とは表裏一体の
関係にあるにかかわらず、今日
改良局におきまして、相当大きな金を
病虫害防除に使
つておりますが、
共済制度との
結びつけが非常に薄弱でありまして、各県には
災害防除本部というようなものをつくる、これにはもちろん
共済も加わ
つてはおりますが、一
賛助員のような形で、
やり方は、
町村に
地方事務所を通じて金はおろしてや
つて、
町村で
防除をするというような形にな
つておりますが、この
共済組合こそ
共同防除態勢がすでにでき上
つている常設の
機関でありますから、これに
防疫所とか何とかい
つて、セクシヨナリズムから
改良局あたりが余分なものを余分なところにつくらないで、これを一体化して、
共済組合で
災害防除を行い、その
薬剤費あるいは機具の代金、
費用等は国で出すという
制度で
防除する、それでなおかつ防ぎ得なかつたものについては
共済金を支払うという行き方に、この際統一してほしい。これは
経済局と
改良局にわかれました
関係上、今日組織的に非常にやりにくいところがありますが、今度の
制度改正にあた
つては、ぜひともこれを実現しなければ、この
共済制度というものが
農民からほんとうに歓迎され、また
国家的にも役立つものにならないというふうに、私は強く信じておりますので、この点について
農林省全体として大きく取上げていただいて、御研究を願い、この
制度改正に間に合うように実施をしたいというふうに思
つております。
以上
意見をまじえて質問にならない点もありましたが、以上申し上げました点につきまして、
経済局長あるいは
保険課長からお答えなり、御
意見なり伺いたいと思います。