○
奧井参考人 私、ただいま御
紹介いただきました
三重県
農政食糧課長の
奥井であります。先ほど
委員長の
お話にありましたように、
府県庁におきまして、
農業共済組合の
監督指導に当
つておる者であります。従いまして
共済組合に対する
認識も、
検査ないしは
各種の
調査ということを通じまして、村の
共済組合に触れておるわけでありますので、ただいまから、過去において私の県でいたしました
検査の結果の
実態を御報告申し上げまして、
皆様方の御
参考にいたしたいと、思うのであります。
まず第一に
検査の
実情でございますが、私の方の県では、
検査の
種類において
常例検査と
精密検査と
特別検査の三
種類にわけております。そのうち
特別検査と申しますのは、特に何か
不正事件でありますとか、特殊の事態が起りました場合の
検査を
特別検査と称しております。それからモデル的に数箇村特により出しまして精密な
検査をする場合に、
精密検査と申しております。本日は
常例検査の結果のみについて申し上げたいと思います。
その前に県の
検査陣容と申しますか、それに簡単に触れてみたいと思います。
農政食糧課に
農業共済の係がおりますが、六名であります。
地方事務所に十一名の係がおります。本庁の
農政食糧課の六名は
専門の
共済の係でありますけれども、
地方事務所の十一名は
共済の
事業のみに携わ
つているものではございません。私どもの県の
共済組合数は三百二十六
組合でございます。この三百二十六
組合に対しまして、先ほど申しました
陣容でも
つて総日数百十二日、延人員二百四十四名のものをもちまして百六十五の
組合の
常例検査をいたした結果を申し上げるのであります。パーセントにいたしまして、全三百二十六
組合に対しまして五〇・六%の
検査を終了いたした結果であります。一日
平均一・五
組合の
検査をいたしております。その一・五
組合を一日にやるということはもちろん無理なことでありまして、
従つて必ずしも
常例検査はすみそれまで精密に
検査をいたしたものとは言えないと考えております。その点も御了承おき願いたいと思います。
検査の結果を順次申し上げたいと思います。第一に、
組合の
役職員の
実情はどういうことであるか。
役員総数は三千九百十二人であります。一
組合当り十二人の
役員を持
つているわけであります。特に
役員につきましては、
専任か
兼任かということの
調査をいたしたのでありますが、
役員中
農業共済組合に対して
専門に
役員をいたしているものはわずかに五%であります。
農協の
役員と
兼務をいたしているものが八三%、
村長兼務が二〇%、その他が二%であります。大
部分のものは
農協兼務ということに相な
つております。
次に
職員の
実情であります。
職員は
総数六百九十名おります。一
組合当り平均二・一名であります。この
職員の
専任、
兼任の状態をながめますと、
専任のものが七〇%、
兼務のものが三〇%であります。三〇%の
兼任者の
内訳を見ますと、六五%が
農協職員を
兼務しており、三〇%が
役場の
職員を
兼務いたしており、五%はその他の
職員を
兼務している
人たちであります。この
職員の
専任、
兼任の
内訳は七〇%と三〇%に相な
つておりますけれども、これは
検査の表面に現われました
数字でありまして、事実におきましては
兼任の
比率はもつと大きいのではないかと推定いたしておるのであります。
それからただいま申しました六百九十九名の
職員の前歴、過去において何をしてお
つたかということを調べてみますと、一番
比率の大きいのは
農業をうちでや
つてお
つた、また
学校の先生であ
つた、
会社員等であ
つたというきわめて種々雑多な経歴を有するものが五四・三%でありまして、大
部分はこういう
人たちであります。それから次に
比率の大きいのは、
農業協同組合なり、
農業会なり、その他
農業団体から
共済組合に移
つて参りましたものでありまして、これが二七・三%を占めております。
農業会の
技術員をしておりました者が、次に一三・七%であります。これをお開き願いますと、
職員の
素養ないし
質的内容が経理に適したものであるか、技術的な問題に適したものであるかということがおわかりになると思うのであります。
それから
職員の
学歴を見てみますと、半数以上、すなわち五六・五%は
中等学校の
卒業者であります。それから四〇・五%は
高等小学校の
卒業者であります。従いまして、全
職員の九七%、ほとんど大
部分は
中学校卒業者以下と申しますか、そういうような
学歴なのであります。
次に
職員の
年齢別内容を見てみますと、一番大きい
比率を占めておりますのが、二十歳ないし二十五歳の者でありまして、三五・三%であります。二十六歳ないし三十歳が一七・五%、二十歳
未満が一七・三%、二十歳
未満に至りましては、ほとんど給仕と申しますか、その
程度の
能力しかないのではないかと考えております。大体若い者が
中心を占めておるということに相な
つております。
次に
職員の性別を調べますと、男子の数が六五%であり、女子が三五%を占めております。
以上の
職員の
現状を見ますと、これらの
職員の
素養、
能力、また村の
有力者に対して、どこまでこの若い
素養の低い
職員が
共済制度の本質を貫徹し得るかというような点について、疑問のあることも明らかだと思うのであります。
次に
事務所の
所在地でありますが、全
組合中
農業協同組合の中に
事務所を持
つておるものが八三%、
役場の中におるものが一三%、独立の
事務所を持
つておるのが二%、その他が二%とな
つております。これはおのずから
役員の大
部分が
農業協同組合役員を
兼務しておるという結果が、
事務所の
所在地の
比率と大体同じにな
つておりますことも当然だと思うのであります。
それから
組合の
実態といたしまして一、二例をあげますと、
総会がございますけれども、
総会は、こういうような
協同組合といたしましては
最高の機関でありまして、
総会によ
つてその方針、過去の実績、
計画等が検討される最も重要なものでありますけれども、この
総会は、大
部分農業協同組合の
総会の場合、しまいごろにな
つてから
共済の
総会と切りかえて形式的に済ますというようなやり方が多く、また
総会を開かないような
組合さえもあるのであります。従いまして、
組合員に対する
農業共済組合の
制度の
説明なり
認識を与えるチャンスも、きわめて少いといわなければならぬと思うのであります。
それから
農業協同組合、
役場の援助も相当受けております。同時にまた
農業協同組合ないし市町村
役場の事務の限界と申しますか、その辺の点も
役職員の
兼務、
事務所が同じ場所にあるというような点から考えまして事務の限界等についてもはつきりしない点が多分にあるのであります。
次に
共済組合の
規模、すなわち大きさと業務財政の内客について申し上げたいと思います。業務財政の
内容と申しますのは、申し上げるまでもなく事務その他の諸経費の
部分であります。私の方の
共済組合が、一
組合当り大体どれくらいの引受げ面積を持
つておるかと申しますと、この引受け面積が
組合の
規模を判定する一番はつきりした要素であると考えますが、
平均いたしまして水稲の引受け面積は二百町歩、麦の引受け面積が九十五町歩であります。この
数字から割出しますと、掛金は、
平均いたしまして水稲において二十一万八千円
程度、麦において二万八千円くらいにな
つておるのであります。昨年の状況を見てみますと、これだけの掛金に対して受取りました
共済金が、
平均しまして水稲において五十三万三千円、麦において五万八千七百円にな
つております。それからただいま申し上げました水稲並びに麦の引受け面積から計算をしまして、賦課金は、これだけの引受け面積から大体どの
程度集ま
つて来るかと申しますと、水稲において四万八千円、麦において一万五千円
程度の賦課金が集ま
つて来るわけなのであります。この賦課金の約半分は、
連合会の事務的な経費として
連合会へ行きますから、約半分が
組合に残るわけでありまして、この金を
中心といたしまして国なり県なりの補助金を足しまして、一名ないし二、三名の
職員が事務に当る諸経費をまかな
つているという
実情であります。
この業務財政の状況を、さらに私の方の県で各
地域別に代表的な町村を選びまして、かつ
組合員数、水稲の引受け面積、麦の引受け面積、蚕繭の引受けグラム数その他を点数で表わしまして、総点数を抽出いたしました代表的な
組合ごとに勘定をいたしてみたのでありますが、抽出
組合七
組合中、
最高の点数が千五百点、最低は百点
程度であります。
これらの抽出
組合の
事業と申しますか、掛金総額に対する賦課金総額の割合、これを見てみますと、点数の非常に大きい、八百点ないし一千点の村におきましては、掛金総額に対する賦課金の総額の占める割合は、二八%ないし三二%
程度にな
つておるのでありますけれども、先ほど申しました総合点数が二百点、百点というような小さい
組合になりますと、掛金総額に対する賦課金総額の割合は、四〇%から四三%を占めるに至るわけであります。すなわち、非常にコストの高い
事業であると申しますか、事務経費の
比率が
事業分量に対しまして、非常に大きい
部分を占めることに相な
つておるのであります。
さらに、
調査組合について収支の
内容を調べてみますと、最も
赤字の大きい
組合は、引受け面積百町歩、ないし二百町歩の
組合でありまして、
職員数は一・五ないし二名を持
つているのであります。これらの
組合におきましては、七万五千円から八万一千円
程度の
赤字を持
つております。引受け面積がそれより下るに
従つて、また引受け面積がそれより上るに
従つて、漸次
赤字が減
つておりますが、引受け面積が少い
組合におきまして
赤字が減ると申しますことは、これは
職員数が減
つて行くためであります。しかしほとんど、私の方の県の
最高の引受け面積を持
つている
地域にありましては、すなわち引受け面積八百町歩
程度の村にありましては、
赤字は五千円
程度に減じている
実情であります。これらのいかんともしがたい
赤字に対しまして、
組合が相当無理な借入金をいたしておりますとか、また無理な金の調達の仕方をしておりますことも、想像のできるところであります。
次に
共済事業の各
組合の
内容につきまして、
共済事業そのものがどういうぐあいに行われておるかということにつきまして、二、三の項目を選び出して
実態を申し上げてみたいと思うのであります。
組合の
行つております
共済事業の出発点と申しますか、第一は、引受け並びに掛金の問題であります。引受け面積は、一戸
当りにいたしますと、私の方の県で
平均いたしまして、水稲で五反三畝、それから麦で二反四畝、蚕繭で三十五グラム
程度であります。
組合員からの申込みに応じまして、引受けの記録をまず必要とするのであります。細目書が必要なのでありますが、
検査の結果によりますと、
共済事業のまず基礎になるべき引受け面積の細目書の不備な
組合が三〇%あります。それからこの引受けに伴いまして、掛金徴収ということが起
つて参りますが、掛金徴収の補助簿の不備な
組合が三〇%ございます。それからきめられました期日までに掛金を徴収していない
組合は九八%にな
つております。ほとんど全
組合が徴収の時期に掛金が集ま
つていないという
実態であります。翌年度へ未収として、掛金の未収繰越しをしている
組合が二〇%に及んでおります。それから掛金の徴収の
方法といたしまして、賦課金も同じような
実情でありますけれども、現実に掛金を徴収しないで、
共済金支払いと相殺しておるものが三五%ございます。それから掛金徴収が先ほど申しましたように遅れて参りますために、上級機関に対する
保険料の支払いに支障を生じて来るのは当然でありますが、この場合
農協等から借入れして上級機関へ
保険料を払
つておるものが一〇%であり、それから前年度の受取り
保険金と一支払うべき
保険料を相殺と申しますか、受取り
保険金を支払うべき
保険料に充当して支払
つておるというような窮余の策をと
つておりますものが、六〇%を占めておるという
実態であります。
次に、損害評価の問題でありますが、損害評価は引受け掛金に次ぎまして、
共済の成否を決する重要な作業なのでありますけれども、
実態を見てみますというと、私の方の県で
最高の水稲の筆数を持
つておる村におきまして、一万七千九百筆からあるのであります。麦におきまして、一番多いのが一万八百四十五筆であります。こういうような多数の筆数を持
つておる
水田に対しまして、ただいま
最高だけ申しましたけれども、
平均をいたしますと、各
組合水稲の引受け筆数は
平均いたしまして三千六百七十三筆、麦におきまして二千五百四十七筆であります。これらの非常に医大な、小さいたんぼに対しまして、損害評価の的確を期することの困難なことは、おのずから想像されるのでありますが、損害評価にあたりまして、評価委員によ
つて実地に評価を
行つていないのはほとんどございませんので、四%くらいに相な
つております。もつともこの実地に行う損害評価は、米の供出問題等もにらみ合されまして、行われておることは事実であります。それから評価の野帳に基いて、正しく損害評価の行われていないと考えられるものが、約四〇%ございますし、また評価野帳と損害評価額の
内容が一致していない、また被害
程度別計算の行われていない、すなわち
共済金支払いの最も正しい基礎となるべきものが不備であるという
実態なのであります。こういうような
組合が四五%を占めておるであります。
この機会に申し上げておきたいと思いますが、私の方の県の県で
検査を漸次強行しておる
関係上、
組合の
役職員は、
農家と監督官庁との間に立
つていろいろ苦しい手段を講じ、これらのただいま申し上げておりますような
数字におきましても、
検査を受けるためにわざわざつく
つたのではないかと思われるような帳簿さえも発見されるような
実情であります。
次に、
共済金の問題でございますが、
共済金支払いと掛金徴収と相殺しておる
組合が六〇%ございますし、
組合員個々の
共済金領収書を備えていないものが四〇%ございます。
従つて領収書がないのでありますから、はたして
組合員の個々に
共済金がわた
つておりますものか、また金額的にも示された正しい
共済金額が支払われておるのかわからないという
実情であります。
それから次に、経理の状態でありますが、これは先ほど申しましたように、
職員中に会計経理の
素養のある者の
比率が非常に少いことを先ほど申し上げたのでありますが、それを反映いたしましてか、勘定科目の誤
つておるものが七五%あり、資産表を誤
つておるものが五〇%もあるという
実情であります。
こういうような監査結果を総合いたしまして、Aクラス、Bクラス、Cクラス、Dクラスにわけてみたのでありますが、Aクラスのものは九%、Bクラスに属するものは五五%、Cクラスに属するものが二三%、Dクラスに属するものが二三%に相な
つております。Aクラスの
組合というものは、大体どういうような
組合かというと、これはざつとしたとりまとめでございますけれども、比較的引受け対象耕地が多い。また中庸な
農村でありましても、その
地域内の
役場なり
農協の状態が非常によい、協力的であるというようなこと、それから
職員が積極的であり、熱意がある、すなわち人的要素も何割かを占めていると思うのでありますが、このAクラスに属するものを調べてみますと、大体こういうような
組合なのであります。Bクラスに属するものは、耕作地は中庸の
農村組合でありますか、または山村漁村におきまして多少条件の悪い所でありましても、
役職員が積極的に努力をいたすことによ
つて、悪条件をある
程度克服しているというような
組合がBクラスに属しておりまするC、Dになりますと、ほとんどが海岸並びに山村
地帯で耕地の少いもの、また
役職員の努力の足りないもの、そういうものがC、Dクラスに属しておるのであります。
以上申し上げましたような監査の
実態から考えまして、われわれの悩みとするところと申しますか、そういうようなものを申し上げたいと思うのでありますが、
検査をやります以上は、われわれはあくまでも法律に示された
通り、また上級官庁から指示せられました
通りを、未端の
組合に対して実行を強要するのが当然であろうと思うのであります。従いましてわれわれは、監査の結果見出しましたいろいろな欠陥を指摘いたしまして、実行をしておるわけなのでありますけれども、これを徹底的に強行いたしました場合に、はたして先ほど申しましたような条件のもとにある
共済組合が、どういうことになるかということに疑問を持つのであります。いいかえますと、
共済制度そのものが、先ほども御
説明になりましたような
農村、
農家の
実態にどこか合わないところがあるのではないか。そしてさらに
役職員の努力のみで到達し得ない
程度のむずかしさと申しますか、
制度的にも、また対象の
農村のいろいろな
実態から申しまして、
役職員の努力で到達し得ないようなものがあるのではないか、
従つて役職員は積極性ないしは熱意を喪失しがちなのであります。あえてわれわれが
検査の結果を強行しようということになりますと、先ほどもちよつと触れましたように、
検査のための書類をつくる、出すというような結果になる心配もありますし、また場合によりましては
役職員が手をあげてしまうのではないかという心配もいたすのであります。しかしながら
検査をルーズにやるというようなことは、
検査の権威の失墜でありますので、あくまでも厳格にやりたいとは考えておりますけれども、今申し上げたような
矛盾を痛切に感じておるのであります。
それから、
共済制度と
農村の
実態とがどういうぐあいに合わないかという問題があるのでありますけれども、これらの問題は、
保険制度自体のみの問題であるのか、
農業政策ないし
農業問題一般として解決すべき問題であるのか、そういうような疑問もあります。またそれらの問題を解決するということは、ある意味においては
共済の問題を
一つのテスト・ケースとして、
農業問題一般の再検討を必要とするというようなことにもなるのではないかと思うのであります。
農家のうちに、
農業経営上
保険事業を必要とする
農家もありますし、また
保険の必要を感じていない
農家もあります。掛金の
能力の点におきましても、また受取る
共済金が
農家の考えておるよりは少いというような点におきましても、また同じ稲作をや
つておる
農家におきましても、とれました米を大
部分販売に供する
農家もありますが、逆にその米をほとんど自家用にするというような
農家もあるのであります。ことに麦などにおきましては、私の方の県では、麦の商品化率は全
生産の三割にすぎないのであります。こういうような商品化しない農
作物は、
農家にと
つて損がはつきりしないと申しますか、そういうような点から考えまして、この
保険事業すなわち
保険の必要を痛感していない
農家も相当あると考えられますけれども、現在の
制度におきましては、そういうような考慮なしに、
強制加入に相な
つておるのであります。
それから
役職員の
能力の問題もございますが、これにつきましては待遇の問題も出て参りますし、また十分の
職員を備えようとしますれば、
現状においてはますます
赤字を招来する結果に相なると思うのであります。これらの点にも、どうも身動きのできない点があるように考えられます。
それから業務財政の問題を当初申し上げましたが、こういうような業務財政の苦しい原因の第一としてわれわれが考えますのは、
組合の立
つておる区域内の経済的基盤の弱小ということであります。この問題は
農業協同組合の運営とも共通の問題と思いますけれども、まだ
農協の場合におきましては、
経営技術と申しますか、
役員が
経営上腕を発揮する余地があり、
経営内容が多岐にわた
つておりますから、区域内の経済的基盤の弱小ということをある
程度補い得るとは思いませけれども、
共済組合の場合におきましては、すみからすみまで法律で縛られてその
通りに実行するということになりますれば、この経済的基盤の弱小ということは、そのままはつきりと
経営の困難、
赤字の増大という形で現われて来ておるのであります。これらの問題を解決しますためには、一
組合内に包含する田畑の面積の多いということが必要でありますが、このために弱小
組合の統廃合ということが考えられます。しかしながら統廃合したらどうなるかということを考えますと、先ほど申しましたように、
役場や
農協に依存をしておる面が非常に多い。また人的要素におきましても共通的な面が非常に多い。これらの
組合が村という行政区域を離れた場合におきまして、経済的基盤が多くなるというプラスと、それから
農協なり
役場と直接的
なつながりを失うマイナスを差引してどうなるかということは、疑問に思
つておるのであります。従いまして根本的にはやはり行政区域をまず広める、すなわち町村統合促進ということに、こういうような
組合の運営という
立場から、大きな期待をわれわれは持
つておるものなのであります。
それからもう
一つ考えられます点は、
農家ないし
保険対象の農
作物に対しましては、国なり、県なりがいろいろな角度から補助、助成、融資等の援助を
行つておるのであります。そうしてこれらの援助は、補助、助成というような援助の仕方が、
農家にとりましてはきわめて端的に話がわかりやすい援助の受け方なのであります。それに比べますと
保険による援助の仕方というものは非常にむずかしい、そしてまた場合によると時間にも相当ずれがあるというようなことも、また痛切に
保険というものの必要を感じていない
農家もある
一つの理由ではないかと思うのであります。なおこの仕事が
制度通りになかなか実行しにくい理由の中には、先ほど申しましたように、
共済事業そのもの以外の、
農村の中にありますいろいろな条件があると思うのであります。他の
農業団体との
関係でありますとか、政治的問題でありますとか、供出の問題でありますとか、いろいろな問題がからんで、
共済制度の
制度通りに実行することをはばんでおる点があると思いますので、
共済事業の改善をもしされるとしますならば、他の条件というものについても一応再検討を行う必要があるのではないかと思うのであります。
ただいま申し上げたような意味におきまして、総括しまして、現在の
農村の段階、それから
役職員の
素養、そういうようなものとにらみ合せまして、この
制度が何かもう少し端的にわかりやすい——簡素化という言葉は語弊があると思いますけれども、端的にわかりやすい簡単なものになし得られないか。われわれ中間の
立場にある者は、
農村の
実態と上からのいろいろな詳細な御指示等の板ばさみになりながら、
検査をや
つておるような
実態なのであります。実際にやり得る可能な、また
役職員が少し努力すれば手の届き得る
程度の、また
農家を少し啓蒙しますれば得心の行くような
程度のものになり得ないかというようなことを、ふだん考えておるようなわけであります。
なお
共済制度を今後どうするかというような問題につきましては、何とぞひとつ対象
農村の
実態、また
組合の
内容につきましては十分の
調査資料を積み上げなれまして、中途半端と申しますか、改正の結果が五十歩百歩ということになりませんように、十分の
研究資料、
調査資料を整え上げられました上で、御検討を
お願いいたいたいと思うのであります。
以上で私の意見を終ります。