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1953-10-26 第16回国会 衆議院 農林委員会造林及び治山治水に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月二十六日(月曜日)     午前十一時五十分開議  出席小委員    小委員長 川俣 清音君       平野 三郎君    松岡 俊三君       吉川 久衛君  小委員外出席者         農林委員長   井出一太郎君         林野庁長官   柴田  栄君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      藤村 重任君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十月二十六日  小委員加藤高藏君同日小委員辞任につき、その  補欠として吉川久衛君が委員長の指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  冷害地における治山事業等に関する件     —————————————
  2. 川俣清音

    川俣委員長 これより会議を開きます。  臨時国会を前にいたしまして、林野庁冷害対策に対する方針もほぼ確定しておられるかと思うのでありまするが、冷害地一帯農民から、今日こそ国有林野が率先して冷害地のために努力すべきであるという要望が強く出ております。これに対して林野庁も、薪炭林払下げ等につきまして、すでに通牒を出されたり、御配慮になつておるようでありますが、まだ受持つべき林道の、国有地内における奥地開発林道または民有地開発林道等について、もう少し具体的に説明願つて冷害地農民に安心を与えたいと思うのであります。また聞くところによりますと、炭がま補助が大規模削減を受けておるようでありますが、これらに対しましても、当小委員会といたしまして非常に関心の深いところでありますので、これらの点について、林野庁当局の御説明を願いたいと思います。
  3. 藤村重任

    藤村説明員 私は林野庁指導部長藤村でございます。長官は間もなくお見えになりますけれども、時間の関係もあるかと思いますので、私がかわりまして冷害対策の、特に林野関係内容を申し上げまして、御参考に供したいと思います。  林野庁といたしましては、北海道東北地方主体といたしまする今までにないはなはだしい冷害に対して、何とかして地元の方々の救済と申しますか、特に経済上の内容をゆたかにする意味合い対策をいろいろ考究いたして参りまして、今次補正予算に関しまする計画を立てまして、大蔵省にそれぞれ現在折衝を続けておる次第でございます。その内容の概要について御説明申し上げます。  民有林関係におきましては、特に冷害地方に対しまして、できるだけ地元に金を落すというようなことから、また特殊の資材をたくさん使わないで、特に労務関係内容を多分に持つている事業、そこに重点的に指向する。あるいは既定計画を少し広げたり、あるいは繰上げ施工をいたしまして、できるだけそういう意味合い仕事を増して行きたい。こういうふうな考えから取上げましたのが、一つは山の道、すなわち林道を特にその地帯において主体にしたい。この冷害対策林道考え方は、現在既定予算でやつております林道継続事業主体にいたしまして、なお幾分現在の補助林道わくをはみ出ても、それよりやや小規模のものもこの中に取上げて行く。このような考えから、冷害対策林道予算を組みまして、要求をいたしております。その額は、当初計画いたしましたのは、林道予算といたしまして国費約六億九千万円でございます。なおそのほかに、冷害地帯におきます山くずれ等の修復のための治山事業、それから、これは冷害を緩和するために非常に必要でございます海岸防風林海岸砂地造林というようなものを主体といたします冷害対策治山事業というものを組みまして、総額国費として約三億五千万円、合計林道と合せますと十億の予算を一応つくつて要求をいたしたわけであります。この民有林補助金関係いたしますものは、大蔵省予算編成等段階におきましては、いろいろ紆余曲折を経ておりまして、必ずしもまだ十分の目鼻はつかみ得ない状態でございますか、冷害対策に関する総わくで、農林省考えておりますのと大蔵省考えとが、まだ十分の一致を見ていない状態でございますのでわかりませんけれども、その冷害対策予算の中の仕組みもだんだん再検討されて参りまして、現在のところは、他に既定予算の節約というような問題もございまして、それとのからみ合いなどの関係もあり、一応現在、先ほど申し上げました林道並びに治山関係既定予算削減を受けておりますので、冷害地方に対しては、できるだけその削減の度を少くし、場合によりましてはそれをしないで、できるだけ地元投資を多くする。こういう意味合いから、冷害予算を強く要求いたしている次第でございます。林道関係は、特に山間部労力主体にいたしている仕事でございますので、最も冷害対策としては好適な事業と思いまして、強く要求いたしておりますが、冷害地方の、災害をある程度受けたところのものに対しては、冷害対策としての災害復旧費というものも中に考えて、そしてこれに対してもいくらか資金的な考えをする。それから純然たる、災害を除いたほんとう意味合い冷害だけの対策としての林道を別途に考えるというようなことで、現在は仕組みを進められております。それで現在の段階を申し上げますと、林道冷害対策としては、災害復旧のものとして約一億、それから災害を受けていない冷害対策林道として約二億、合計三億の冷害対策林道が一応見通されつつある現状でございます。これは現状からいたしますと非常に少いのでありまして、私たちは、既定計画も遂行し得ないので非常に憂えております。なお海岸地帯海岸砂地造林主体にして、山間部の山くずれ等の修復をいたします災害地帯治山事業につきましても非常に削減を受けておりまして、現在のところこれは非常に少く、三千万円程度が見通されておる状態でございます。従いまして、林野庁関係民有林災害対策資金計画約十億は、内容は多少かえましたけれども、総体としてはそれの四分の一以下、二億四千万円程度が現在見通されつつある現状でございまして、なお強くもともとの計画を遂行するための予算をぜひ認めてもらうように折衝継続中でございます。  なおそのほかに特に民有林冷害地帯仕事といたしまして、製炭事業が非常に益んな地帯が多うございますので、特に冬の農山村の仕事として、この製炭事業の基盤をなします炭がまに対して、できるだけこれを補助金政策の線に浮かび上らせて、かつて昭和九年でございますか、冷害対策として取上げられた例もございますので、できるだけ今度の冷害対策の中に強くこれを打出したいというようなことで、炭がま補助金要求いたして参つた次第でございます。これは炭がま三万一千基を対象にして、内地では単価二万円、北海道では五万円の内容をもつた炭がま助成要求して参りましたが、現在の階段ではなかなか認められかねるというような悲観的な状態でございますので、特に冷害地帯農山村の経済援助のために、これは最後まで要求を続けて参りたい、こう思いまして、目下なお折衝中でございます。  そのほかに国有林関係におきましては、特別会計の中でやはり林道治山、それから造林に対する——特にこれは撫育枝打ち等主体にしておりますが、八億の冷害地帯農山村の事業内容といたしました冷害対策費折衝を続けております。現在の冷害対策に対します大きなわくといいますか、約四十億を対象にして、農林省はいろいろな案をつくつておりますが、大蔵省では四十億の中に融資資金も入れるというような意向もございますし、ただいま申し上げましたのは、一応大蔵省意向に基いた四十億の中で三十億が補助金、あと十億が融資資金、そういう一つ計画に基いた内容と私たちは承知して、先ほど申し上げますように、まだ折衝継続中でございます。以上簡単でございますけれども説明申し上げます。
  4. 吉川久衛

    吉川(久)委員 今御説明を伺いまして、大蔵省との折衝が非常に困難なようでございますが、特にその中でお尋ねをいたしておきたいことは、国有林関係林道治山等を中心とする冷害対策事業費を八億と言われましたが、これはもう少しその内容を具体的にお教えを願いたいこと、それから炭がまの問題が大蔵省との折衝が非常にむずかしいといいますが、大蔵省はどういう主張でありますのか、むしろ大蔵省をきよう呼んで、ここで尋ねるのがほんとうだと思いますが、林野庁の今日までの交渉の経緯、そのむずかしい点をお伺いをしておきたいと思います。
  5. 藤村重任

    藤村説明員 ただいまお尋ねにあずかりました点について御説明を申し上げます。国有林冷害対策内容といたしましては、ただいま補正予算経費約八億と申し上げましたが、その内容をいま少しく御説明申し上げますと、冷害地帯に対する林道事業でございます。この林道事業は、現在までございます林道修繕主体にいたしまして、多少改良等を加えて参ります。新設はいろいろの関係で、あまり大きな実施ができかねる点もございますので、修繕主体にした林道の費用でございますが、これは総経費二億で計画をいたしております。なお造林事業でございますが、この造林も時期等の関係もございますので、現在ございます人工造林地撫育主体的な内容にいたして参り、多少撫育に必要な補導あるいは防火線の開設、修復、また場所によりましては地ごしらえのための雑木の整理というようなものを内容といたしまして、造林経費といたしまして四億八千万円、なおそのほか治山事業でございますが、この治山事業も、主体は、治山事業を遂行いたしますための準備作業と申しますか、いろいろ材料の収集とか、そういうものを主体的な仕事といたしまして、総経費四千万円でございます。なお官行造林事業でございますが、これは先ほど申し上げました造林事業内容とほとんど内容を一にいたしております。そのほか林産物の処分に関するものでございますが、これは冷害地帯薪炭原木払下げを、現在のところ三百五十万石ほどを対象にいたしておりますので、これに関するいろいろの調査が必要でございますので、その調査主体にいたしまして組んでおりますが、総経費一千万円、なおそのほかに製品に関するものでございますが、これはおもに運材でございます。この運材主体にした製品一億二千万円、以上合計いたしまして、補正予算経費として、冷害対策費八億になるわけでございます。これが国有林冷害対策内容でございます。  炭がまは、先ほど申し上げましたように、三万一千基を対象にして、補助金要求をいたして参つておりますが、現在のところ、なかなか大蔵省の方では認めがたいというように承つております。大蔵省でなかなか炭がま補助金を認めがたいというような具体的なはつきりした理由は、私たちもつかみ得ない状態でございまして、まあ補助率関係もございますが、全体としての炭がまに対する補助金わくの問題が、ほかの事業との関係等から、冷害対策費わく内でどういうふうなことでこれを処理して行くかという問題が、現在削減されておる主体的な課題になつているように存じております。その炭がま補助する予算内容等の検討が、まだ必ずしも詳細な折衝段階には入つていない状態でありますので、これはもうしばらく時間がたつて行けば、あるいはまだ獲得し得る余裕があるのではなかろうかと、私たちは推測いたしておるのであります。
  6. 吉川久衛

    吉川(久)委員 炭がまの問題について、大蔵省とまだ交渉過程にあつて部長のおつしやることが大蔵省に悪い影響があつてはというので、非常に慎重に、しかも抽象的なお答えでございましたが、私にはよく想像はできるのでございます。しかし私たちも、場合によつて大蔵省折衝する用意がございますので、ほんとうはお聞かせ願えたら、どういう理由かがあらかじめわかつておりますと、私たち交渉にも役立つと思つたのでございますが、そこまでお尋ねするのは無理でございましようから、おきましよう。  そこで林産物の処理についてでございますが、この薪炭林払下げもありましようが、これについて営林署が直接この事業を実施して、その地元の山村の冷害を受けた住民に対して、収入方法を講ずるというような問題もあろうと思うのでございますが、そういうような御計画がありますか。なぜそういうことが考えられるかといいますと、救農的な事業として、一どきにこれをやるようになると思いますが、そうなりますと、製炭価格影響をいたしまして、非常に骨を折つて炭は焼いたが、値段はべらぼうに下つてしまつたというようなことになつては、せつかく救農事業がその所期の目的を達成できないというようなことになりますので、そういうものを県で買い上げておくなり、あるいは林野庁が買い上げておくなりできない場合には、林野庁直営をして、製炭をして、それを平均売りをするというような措置を講ずるならば、価格の維持ができるのではないかと思うのでございますが、その辺について何かお考えがございましたら……。
  7. 柴田栄

    柴田説明員 増産というような声もございますので、それに対しまして、あるいは価格を売りたたかれるという御懸念等から、何か国有林で処理する方法はないかというお話だと存じます。私どももその点は非常に心配いたしまして、一応炭がま助成をいたします場合に、集荷の問題をも考慮いたしまして、協同組合で一括処理するということによりまして、協同組合に一応全部集荷して、値くずれ等を考慮して、あるいは備蓄等考えるということで、融資をあわせて考える。あるいは国有林といたしましても、製品費の方におきまして、従来も直営製炭事業をいたしておりますので、そこらで吸収できるものはできるだけ増加吸収いたしまして、労賃収入の形で働いていただくというようなことも一部考えたいということで、計画はいたしておりますが、全体の薪炭需給の情勢を考えますと、全国的には必ずしもそれほど大きな増産にはならないと思われるのでございます。最近までの六月以降における水害地方の減産は、かなりその後の大都市の集荷影響を見せておりますので、全国的な需給から言いますと、年度当初計画いたしました二百万トンをほぼ確保するという程度までしか参らぬのではないか。ただ時期的なずれという問題があるので、多少地方的にストツクする、こういうことになるというふうに考えておりますが、現在のところ、国有林が増加払下げしますものを、全部一応炭にして集荷するという方法は、なかなか国有林のみでは困難だと思つておりますので、主として協同組合を通じて集荷、それから販売等方法金融措置考えて参りたい。それに対する融資利子補給を一部計画させていただいておる、こういう程度でおりますことを御承知願いたいと思います。
  8. 川俣清音

    川俣委員長 それでは委員長からもお尋ねしますが、農林委員会といたしまして、林道について約九億程度要望いたしたい、こういう案を持つておるわけでありますが、この林道について九億というのは、非常に厖大であつて、こなし得ないのではないかというような議論もないわけではありません。しかしながら農林委員会といたしましては、大体林道に動員される者が、五百万ないし六百万の動員が、就労延べ人員にして可能である。可能であるばかりではなくして、ぜひとも就業させなければならない、こう考えて参りますと、九億でもなお足りないのでありまして、私どもは当初関係府県に対して、千五百ぐらいの路線、またキロにいたしまして千五百くらいのキロ数を要する工事を仕上げたい、こういう強い要望を持つてつたのでありますが、それを時局柄幾分削減いたしましてもなお九億を要する、こういうふうに考えておるのでありますが、これは林野庁としてごらんになつて、これだけの仕事ができないというふうにお考えになりますかどうか、この点をさらに確めておきたいと思います。
  9. 柴田栄

    柴田説明員 私どもといたしましては、当初には、今回の冷害地域は主として山つき地域ということで、ぜひともこの際に山つき仕事を多く見つけて、賃金収入方法考えていただきたい。その際には林道事業が一番よろしいということで相当額計画をいたしたわけでありますが、その計画主体は、従来の補助基準と申しますか、一応大蔵省ととりかわしております補助対象というものの基準を設けておりまして、奥地林道におきましては一千町歩以上、延長幾ら、あるいは民有林開発林道につきましては一団地町歩以上、延長キロ以上というふうな基準を設けてやつておりますので、従来百町歩前後の一団地で、一キロ以内の道をつけましても非常に効果を現わすと思われるようなものが補助対象になつておらない。しかしそれは今回のごとき場合には一年で完成させ得て、ただちに需給にも利用させ得るということで、これを計画いたしましたので、これを対象とし得るといたしますれば、ただいまお話総額は決して消化し得ないものではないと私ども考えておるわけでございますが、今日までの予算折衝の経過から申し上げますと、従来の対象林道において継続事業の可能なものだけということに限定されておりますので、これは公共事業全般をさような方針考えるということで、原則的な問題ということで大蔵省が非常に強く主張しておられますので、さようなもので今回の救済をかねた仕事にすると申しますと、奥地林道のごときはほとんど時期的に対象になり得ない。しかも民有林開発林道は、比較的さような制限のために量が少い。なおこれを継続的に実施するという分量が非常に少いということで、どうしても計画にならないというのが現状でございますので、ただいま申し上げましたように程度を引下げ、しかも一年で完成して、有効に利用できるという林道まで幅を広めていただけるということになれば、有効な消化は十分可能であると私は考えております。
  10. 川俣清音

    川俣委員長 さらにお尋ねしたいのですが、農林委員会、特にこの小委員員は、今長官説明のありましたように、今まで恵まれておりません小団地林道がむしろ必要である、こういう考えに立つておるわけであります。なぜかと申しますると、いまさら説明の要はないと思いますけれども、このたびの冷害は非常な広汎な地域にわたつて、しかも高冷地が一番被害を受けておりまして、この高冷冷害地に対しまして最も適切な処置としては、小団地林道修理その他の計画が最も必要であるのでありまして、これが一番公平な分配となると思うのであります。大きな規模林道になりますると、予算が大きくてもこれが一般に公平にわたるわけではなくして、ある部分に集中されるということになりますと、最も冷害対策として就労人員をどうして勤労させるかということが、この冷害対策の基本でありますので、小団地について、あくまで小団地林道補助要望する声が高いのでありまして、政府及び大蔵省は、新規事業だということでこういう小団地林道に対し非常に理解がないのでありますが、委員会といたしましては委員諸君の熱烈な要望にこたえて、ぜひとも林野庁を通じて政府要望したいところでありますが、もう一度これについての御意見を伺いたいと思います。
  11. 柴田栄

    柴田説明員 私どもは終始今回の冷害対策として考える場合に、ただいまお話通りのことが最も有効であり、かつ従来残された部面といたしまして適切であるという考えで主張し続けて参つておりますが、ひとり私ども仕事ばかりではなく、建設農地等も同一の方針基準で相談をするのだという態度で、大蔵省は強く主張しておられますので、この原則を例外的に打ち破るということは、現段階においては、私どもの力では非常に困離に逢着しておるということを、率直に申し上げざるを得ないという段階でございます。
  12. 川俣清音

    川俣委員長 委員の皆さんにお諮りいたしますが、これは委員会の強い要望でありますので、ここで要望を表現し、これに対して政府が適切な処置をとらない場合においては、われわれはあらためて政府にこの点を臨時国会において夢呈するということにして、この点はこれで一応打切つておきましようか。
  13. 吉川久衛

    吉川(久)委員 小規模土地改良の問題について基準団地の問題がいろいろに論議された結果、二十町歩以上というのを五町歩にというのが、農林委員会の強い要望でありました。これとつり合いのとれるような林道についても措置を講ずべしということは、かねてから強く要望して来た問題でございますから、本委員会においても、ぜひこの問題をとりまとめて要望されんことを私は望みます。
  14. 柴田栄

    柴田説明員 なおちよつとつけ加えさしていただきますが、基準を引下げて救農事業をする施設ということで、今回特に臨時救農施設経費を含めるという施策は入れていただいておりますが、それがただいまお話のありました、従来の基準を引下げるというようなことをも加味して、全体の仕事量を適正に配分して就労の機会を与えるという対象にはなつておると思われますので、全然考慮されていないというわけではないと思いますが、その総額は現段階におきましては四億五千万円を一応認められておるという程度でございますので、私どもが当初計画いたしましたものとは、農地その他の関係等考え合せまして、ほど遠いものであるということをつけ加えさしていただきたいと思います。
  15. 川俣清音

    川俣委員長 長官お聞きの通り、本委員会では今吉川委員より発言のありましたように、強い要望を持つておることを十分政府にお伝えを願つて、もしもこの要望にこたえるだけの処置がとれなかつた場合においては、臨時国会において修正等が行われることがあるということを、あらかじめ御通告申し上げておきたいと思います。  次に炭がまの問題ですが、この炭がま補助農林委員会は二分の一にしてほしいという要望を持つておりますが、これに対するお考え方をひとつ御答弁願いたいと思います。と申しますのは、農林委員会では、冷害対策で今まで薪炭事業を比較的やつておらなかつたようなこともありますので、補助をやることによつて増産に寄与させなければならないのじやないか、こういうところから補助率を、三分の一を二分の一にいたしたい、こういう考え方でありますので、その点を御理解の上で御答弁願いたいと思います。
  16. 柴田栄

    柴田説明員 お説の通り、今回の冷害対策といたしましての製炭事業の増強に対処いたしまする炭がま助成関係は、従来必ずしも製炭を業としてやつておられなかつた方たちにも御参加を願う、あるいは新規炭がまを増加して、増産を地方的にはかつていただく、こういう考え方で出発いたしましたので、私どもといたしましても、大体内地一基二万円、北海道一基五万円という規模炭がまを構築するといたしまして、その二分の一ということで要求をいたしましたが、構築費の大部分労賃になる、材料費内地等におきましては約四分の一という程度になりまして、その他はほとんど全部労賃ということになるというので、労賃への補助というのは自家労力等を相当活用できるという場合に不当であるという大蔵省意向が非常に強く、しかし私どもといたしましては、目家労力でまかない得るものは、そのうちの労力費、全体のこれまた三分の一程度ということになりまするので、どうしても二分の一が不可能ならば三分の一ということでぜひお願いしたいということで、折衝過程において三分の一まで折れざるを得ないというので、三分の一で要求を続けて参つた次第でございまするが、最後段階に参りまして、あくまで労賃対象とすることは従来も補助対象として取扱われたことがないというような御見解で、現段階におきましては四分の一という補助率になつておるような次第でございます。ただ開拓者に対しましてのみ三分の一ということが認められておるという段階でございますので、これまた私ども折衝過程において非常に難渋を続けておるという実情を申し上げたいと存じます。
  17. 吉川久衛

    吉川(久)委員 ただいまの炭がまの問題でございますが、内地二万円、北海道五万円というこの差はどういう基準でございますか。私は規模の問題であろうと思うのでございますが、私たち考えでは、内地は三万円くらいが妥当じやないと思うのでございます。それから普通の場合と違いまして、冷害対策ということで、特に炭を焼かなければならないというような地方は寒冷地帯で、ほとんどは青立ちで全然現金収入の道がない所でございます。そういう所へ特別のあたたかい配慮をしようというのでございますから、労賃が相当かかるからこれには補助をしなくてもよろしいとか、あるいはする場合にはきわめて低い補助でいいのであるというような考え方では、冷害対策にならないと思うのでございますから、この点は私どもはぜひとも二分の一でなければならない、こういうように考えているのでございますが、この辺に対する長官のお考えをいま一度伺いたいと思います。
  18. 柴田栄

    柴田説明員 炭がま一基当りの単位二万円というものは低過ぎるではないかというお話でございますが、これは地方によりましては——もちろんこれは基礎を算出いたしておりまするが、規模の問題でございまするので、地方によりましてはこれでは少し低いと申しますか、従来の慣習によりまする規模がもつと大きいというところも出ると思いまするが、東北地方一帯を考えますと、大体一基一回の出炭量五十俵というのは平均あるいは多少平均以上ということになる程度規模と存じますので、私どもの見解としては、一応一基当りはこの程度で妥当ではないか、かように考えておりますが、補助率の問題に関しましては、まことに吉川委員の御説の通り、私ども労賃主体だとは申しながら、みずからの労力をただちに金にかえなければその日の生活に困るというような状況に対処するために、私どもは当然労賃の一部もこの際は救済を兼ねて補助対象にしていただくべきだというふうに考えて、折衝を続けて参つたわけでございますが、補助の原則からいつて賃金に対する補助はまことに困るという一点張りで、なかなかこれが認められないという現状でございまして、これにはいささか苦慮いたしておるという状況でございます。
  19. 川俣清音

    川俣委員長 委員長からさらにお尋ねいたしますが、これが自家労賃であるならばまた問題でありますが、かなり他人の労力を借りてかまを築かなければならないということになりますと、普通の年でありますならば、かまができて炭を焼いてからあと払いをするというようなことも可能なのでありますが、その日の生活に追われております今日の冷害地においては、一日働けば一日すぐ賃金としてもらわなければならないというのが、冷害地の今度の特徴であります。それを強く吉川委員が表現しておられたわけですが、まつたくその収入がないところにかまを築くのでありますから、日払をしなければならない。これが例年でありますならば、日払いでなくても済むのでありますが、冷害地という特殊事情に基く対策でありますので、大蔵省の見解をぜひとも是正させて、少くとも二分の一の補助まで引上げなければならない、こう思うのですが、これもまた実情に即して委員諸君が熱望しているところでありまして、委員が熱望するということよりも、今日の高冷地帯における農民の窮状を見て、このままに放任できないという切実な要望だと思いますので、この点についても委員会が強く要望していることを、政府にさらにお伝えを願いたいのであります。この点につきましても、われわれは臨時国会等において当然修正等処置に出なければならないということを御通告いたしておきます。
  20. 吉川久衛

    吉川(久)委員 先ほど長官から、炭の価格の安定のために農協に集荷、販売をできるだけさせるようにしたいというお話がありました。私非常に、適切なお考えだと思うのでございますが、ただいま御案内の通り、農協はこの冷害影響を受けまして資金的に非常に弱つております。それに対して長官融資措置を講じたい、それには利子補給等について考えたい、こういうお言葉でございましたが、これは林野庁の会計からそういう措置がとられるのでございますか、それとも他の一般の融資に対する利子補給の制度の中でお考えになるのでございますか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  21. 柴田栄

    柴田説明員 もちろん林野庁でのみ処置する方法はございませんが、一般の融資に対しまする利子補給として予算要求いたしておりますので、それによつて利子補給をお願いするということで計画を立てております。それに対応いたしまして、さしあたりの融資として中金に交渉いたしまして、現在構築費融資、あるいは原木代その他の経費を約十五億大体お話がついておりますので、政府融資というものが決定いたしますれば、これを振りかえてその利子補給考える、かようなことで考慮いたしております。
  22. 川俣清音

    川俣委員長 もう一つお尋ねしておきます。林野庁の独立会計の中で行われまする救農的な冷害対策としての事業が約八億とあるという説明がありましたが、これもまた常に松岡委員から主張されておるところでありますが、今日の国有林野は、いわゆる山間僻地の農民とともに育つて来たのであるから、こういう冷害のときにこそもつと手厚い援護の処置をなすべきであるという強い要望があるわけであります。これにこたえるにこれだけの予算では、今日まで国有林野を保育し、愛護して参りました住民に対する処置としては、非常に薄いような気がするの下あります。もつと増額が可能じやないかと思いますが、これに対する御意見はどうですか。
  23. 柴田栄

    柴田説明員 冷害対策といたしましての増額は八億程度ということになりまするが、既定計画によります事業が特に東北地方には相当残つておりまするので、それらを組み合せますると、私どもといたしましては、一応消化可能の国有林事業といたしましては、絹当限度まで計画したつもりでおるわけでございまするが、なお消化できるということになつた場合に、はたしてこれが組めるかどうか、こういう問題は、依然として独立採算の範囲内において実施しなければならないということになりますので、財源等がどうなるかという点も検討いたさなければならないと思いまするが、もし消化可能ならば、現在においてはまだ多少の限度は計画し得る、かようには考えておりまするが、一応地元対象として救済事業をできるだけ考える。ただこの際増伐という問題は、製炭資材等につきましても計画ないことを対象としなければならないという今日、国有林直営伐採におきましては、できる限り増伐は避けて参りたいという考え方を持つておりますので、その面での仕事の増強はちよつと困難だと思つております。たとえば林道の修理であるとか、あるいは造林地の手入れであるとか、治山事業として海岸等で処置できる問題であるとか等につきましては、もし可能ならば多少の増強も計画し得ると私ども考えております。
  24. 川俣清音

    川俣委員長 それではきようはこれにて散会することにいたします。     午後零時四十七分散会