○平川
説明員 この開拓
事業の
建設工事に対する負担
関係につきましては、
大蔵省の方で、開拓
事業というものを今まで全部国家
事業として行
つて参
つたのでありますけれ
ども、逐次これを
地方の
事業に移すという
考えを持
つたらどうか、
従つてこの
建設工事費の負担にいたしましても、国が全額持つという
考え方でなしに、一部を
補助して、それに対して
地方の
補助なりあるいは地元負担なりというものをあわせて
事業を
実施する
ようにしたらどうかという意見が、大蔵当局にある
ようであります。これは明
年度予算に関連して、そういう意見が今出ておるわけであります。それからなお地区の単位を、今まで五十町歩といたしておりましたのを、百町歩までに上げる。百町歩以下のものについては全額でなしに五割
補助で行く、こういう
ようなこともその一環として、大蔵当局の意向として出ておるのであります。私
どもはこれに対しまして、現在いろいろ折衝いたしておるのでありますが、私自身の
考えといたしましては、開墾
建設の
事業費の中にもいろいろ種類がございますので、基本的に、入植をし畑をつく
つて耕作をするというために、最小限度必要な道路でありますとか、あるいは飲料水の施設でありますとかいう
ようなものに対しては、現在の開拓
事業の
段階において、経営主体は県がやる場合もあるといたしましても、
費用の負担としては、そういう基本施設については、全額国家が見るのがしかるべきじやないかというふうに
考えております。ただ問題になりますのは、開田の
事業費でございます。開田の
事業費につきましては、これは率直に申し上げますと、私としても相当疑問を持
つております。と申しますのは、現在の開拓の新たに出て参ります予定地の地区の
状況を見ますると、
建設事業費全体に対して、開田地区というものが非常に少いのであります。全体としておそらく一割弱ぐらいの面積、あるいは入植戸数から見まして一割足らずくらいの割合しか占めておらないのでありますが、これに対して、その
建設事業費はおそらく過半を占める。具体的に申しますと、たとえば
昭和二十八
年度の新規地区として出て参りました地区を全部集計してみますると、これに対する開墾
建設の総
事業費が約五億円でございます。そのうち約三億円が開田の
事業費であります。残り二億円が道路その他の基本施設でございます。ところがこれに対する入植の戸数を見ますると、その地区に対する入植可能の全戸数がたしか四千戸内外であ
つたと思いますが、それに対して水田地区に入りますものは五百戸内外ということであります。そのほかにいわゆる地元増反というものがございまして、地元で一反歩なり二反歩なりの面積を既存の農家に与えるという部分があるわけであります。要するに四千戸内外の入植可能地に対する
建設工事費が五億円であり、その五億円のうち、五百戸内外の入植者のために要する水田施設というものが、その六割である三億を占める。残りの三千数百戸、九割方の戸数というものは、残りの二億円で
建設工事を行うという
ような状態にな
つておるわけであります。その道路その他の
建設工事が円滑に進んでおればよろしいのでありますけれ
ども、御
承知の
通り、そういう道路その他の施設は非常に遅々として進んでおりません。私はずいぶんその点に注意をいたしまして、一昨年あたりからかなり、従来に比べて二倍以上のスピードをかけて、地区内道路その他の基本施設の
建設を進める
ように
予算の割振りをいたしておりますけれ
ども、しかしなお各地区における道路の完成という面から見ますと、遅々として進まない。各地区の毎年数干の開拓地に対する
建設工事費の割振りを見ますと、一部に対して七十万円とか、百万円とかいう
ような微微たる工事費がついて、それによ
つて道路等がわずかずつできて行くとい
つたような情勢にある。それに対してたまたま一割弱の水田施設を行
つております開拓地においては、一挙に数百万円、あるいは千万円を単位とする
ような
予算をつけざるを得ない。それによ
つて恩恵をこうむるところの開拓者は、全体の一割弱というので、どうもはなはだ
建設工事のテンポがバランスを失するではないか。それで私は、開田については土地改良と同じ
ようなアイデアを入れまして、国が五割なら五割の
補助をする。県も二割なら二割の
補助をする。それから金融公庫の資金をも
つて残りのものを受持つ。そうして工事が完成いたしましたならば、その全
事業費の二割か二割五分の負担を開拓者にしてもら
つて、これを十年なら十年の年賦償還でする。そうするとたとえば一反歩に十万円かかりました場合に、そのうち五万円は国が持つ。二万五千円か、その辺は県で持つ。残りの二万五千円くらいを開拓者が持つ。それは金融公庫の金で完成後十箇年くらいで返す。そうすれば年に一反歩あたり三千円かそこらの返還金で済む。こういう
ようなことを加味いたしまして、先ほど申しました
ような五億の中で三億円を占めるという
ような金額を、かりに一億五千万円だけにして、残りの一億五千万円を外の資金からと
つて来るという形になりますと、道路その他のやむを得ない、どうしてもつくらなければならぬ基本施設をもつとテンポを早めて、入植したなら速急に道路を完成するという
ようなことができるのではなかろうか。これにつきましては、開拓者の大会その他においては、やはり全額々々という声が強いのでありますけれ
ども、しかし資金にもおのずから限りがあるわけでありますから、開拓者全体として見ますと、やはり九割方を占める人々が早くこの基本工事を完成してもらう方がより大事ではなかろうか。そうして水田地区に入
つておりますものは、畑作
地帯のものに比べますと非常に恵まれておるわけでもありますし、なお畑作
地帯においては、畑地灌漑とい
つたものを積極的にや
つてあげる必要があるのではないかと思います。そういう方面では、全体の資金をある
程度の
補助で広くまわす方が全体としていいのではないか。これは私見でございますけれ
ども、そういう
考えを持
つておるのであります。しかしこれにつきましては、なおいろいろ議論も言い事ので、まだ確定をいたしておりません。問題に触れましたので、私見にわたりましたけれ
ども、
ちよつと
お話しておきます。