○安田
説明員 ただいま
委員長から
食糧問題というお話でありますが、私は役目上とりあえず統計
調査部及び統計
調査事務所が把握をいたしました本年産の麦類の推定実収高及び本年の八月十五日現在におきまする稲作の作柄概況を御
報告申し上げたいと思うのであります。
簡明な数字を複雑に多少御
説明申し上げるのもいかがかとも思いますので、お手元に資料を御配付申し上げたのでございますが、それによりまして、特殊の技術用語な
どもございますが、本年の特殊事情にかんがみまして、特殊の
調査をなし、また特別の収穫ないしは作況を示しておりますることにつきまして、補足的に御
説明を申し上げたいと思います。詳細は御判読願えれば、書きました分については御了察が願えるかと思います。
まず本年の麦類でありますが、私
どもは御
承知のように統計
調査事務所を使いまして、特に推定実収高の段階におきましては、各県各
調査圃におきます標本筆における
調査を
中心にいたしまして、標本筆を坪刈りいたしまして、まず反収を出して、その坪刈り反収に、各県に約二百ばかり置いております農家の
調査圃場をそのまま作況
調査圃に置かれておりますものの試験圃の
調査圃の結果から推定いたしました反当収量、その両者の反当収量と、作付
面積は平板測量によつた
面積でありまして、それから立毛皆無
面積を控除いたしました結果の収穫
面積、この両者をもちまして一応收取量を出しまして、これに照応いたします
被害調査の
被害量を控除いたしまして照し合せて算定しておるのでありますが、種々この
委員会でも御指摘がありましたように、また
対策上御論議のありましたように、本年は成熟期、収穫期、乾燥調製期にあたりまして、また初期の凍霜害等もありまして、たかんずく長雨と
豪雨による
被害が発生いたしました。そこで従来の標本筆における
調査ばかりでなしに、特に
一般調査において
一般農家につきまして
調査をしました
被害量も種々勘案いたしまして、一応
決定をいたしました。また従来は圃場の
生産力を示しました生産結果について統計を出すことに
なつておりましたが、これも刈取り後乾燥調製期について見ますのは、従来通りのほか、収納後についても、これは農林省として初めてでありますが、統計
調査事務所の把握し得る限りにおきまして把握をいたしてみましたのが特徴であります。特に実収期までにおきましては、今年は五月下旬以降の長雨と
豪雨との
被害が非常にありまして、今申しましたようにさらに収納後の病害の発生蔓延、浸水、
流失等の
被害量が
相当見込まれておる点が特徴でございます。私
どもが従来農業統計上麦と申しておりますものは、
食糧検査におきまする検査等級上の上表とは必ずしも一致しておりませんで、
調査上客観的に把握し得るような精密唐箕により選別されたものでありまして、その選別によります基準は、おのおの各麦に応じて水分と選別基準において整粒歩合とを定めておるものであります。従いまして、実収推定高として計上いたしております麦の収量は、検査等級の組成上におきましては、本年は特に
被害地においては下等級に偏するものが多いと思います。また
調査の基準にいたしました麦の平年反収は従来通りでございますが、大正十三年以降
昭和二十七年までの一十九年間の中で、終戦前後の
昭和十八年から二十二年まで収量結果が多少異常と認められますものの五箇年を除きまして、二十四年間の一貫した
作物統計上における数字から趨勢値を出したものでございます。その結果といたしまして、麦の方の三ページでございますが、北海道はまだ坪刈り反収を出しましたものの、最終の推定実収高ではございません。他の都府県はすべて最終の数字でございまして、全国合計二千七百三十四万三百石でございます。三菱中では裸麦が最もできが悪くて、小麦は平年に比しましては、ほぼ平年の反収をもちまして、大麦のできが立地の
関係、時期の
関係等からいたしまして比較的よかつたものと考えております。その三菱別の作付
面積及び収穫
面積またその反収を見ました推定高は、第三ページに計上をいたしておるものでございます。地区で申しますと、おのずから小麦、大麦、裸麦で違いますが、
水害あるいは凍霜害等がございました事情等もありまして、小麦におきましては、近畿
地方が最もできが悪く、九州がこれに次ぎまして、以下東
山地方——東
山地方と申しますのは長野、山梨、岐阜でございますが、その
地方ができの悪かつた
地方と存じております。大麦につきましては第五ページでございますが、産地であります関東を
中心にした東日本は比較的よろしゆうございましたが、もう一つの大きい産地の九州はやや不良でございます。裸麦におきましては、他の二麦に比べましては総対的に平年以下でございまして、東日本は比較的よろしゆうございましたが、特に九州、近畿、四国、中国におきましては不良を示しております。この麦におきましては、本年は昨年に比しまして四万三千
町歩の作付減少を示しまして、特に特異の
被害状況を呈しましたのが特徴でございます。
一方従来麦の作に最も影響がありまする湿害——日本は比較的不適地でありますので、湿害が非常に多いのでありますが、七ページ以後におきまして、麦の
被害減収量としまして、三麦別
被害原因と全国及び各ブロックの
地方別に
被害状況を出しておきましたが、平年に比しまして、風
水害、雨害、また雨害に伴いまする赤かび等によりまして、
被害量が非常に大きくありました。反面湿害、雪害につきましては、比較的少かつた
状況でございます。収穫量そのものは比較的維持されました。全般的に初期あるいは成育過程において、低温とはいいますものの、麦にはそう悪い気候でもありませんで、結実期までは比較的よか
つたのでありますが、反面
被害も非常に大きくありまして、全国では四百十二万石を算定いたされる
状況にあります。特に本年
国会等の要求もございまして調べました、六月以後の推定実収高には入れておりません別個の
被害としての麦類収納後の
被害減収量は、私
どもは事務所を使いまして、総量でも
つて三麦計六十八万石ばかりと把握をいたしております。これは坪刈り等をいたします筆に当ります農家についてお聞きをして算定をいたしたものであります。第八ページにそれを計上いたしておるのであります。県別の作付
面積その他の収量
被害状況は、表についてごらんくだされば非常に幸いかと思う次第であります。
次に、別紙の本年度米の
状況でございますが、まず結論を申しますと、八月十五日現在におきまして、平年に対しまする指数で申し上げますると、全国では九五%と見積
つております。水稲におきましては、全国で見ますと九五%、北海道、近畿、中正などが比較的悪くて、九州が特に悪いのは、
水害等あるいは
水害のあと植えの成育等が悪かつたことに
関係しているわけであります。第一表に括弧を付しましたのは、作況指数は成育
状況の収量的なるものと作付
面積のウエートをかけました平均でございますが、まだ作付
面積の確定数字が
決定いたしておりませんので、本表は
概略把握をいたしております
面積、すなわち前年までの作付
決定面積と本年の
水害地等を考えました
面積とでありますが、括弧内は
水害地の
被害を加味したもの——
水害地にも植えたが、収穫皆無や
流失埋没等があつたと見た場合でありまして、従
つて九州などにおいて指数が下るものであります。陸稲につきましては全国的に低温ぎみでありますが、一番先に影響いたします旱害がございませんので、普通のできぐあいであると存じております。ただ北海道は冷害を受けまして
相当作が悪い、全国的には一〇一%と思
つております。その県別の指数は第二表にあげましたもので、
調査期日の
関係から見まして各
地方にわたりまして
水害が続出して発生いたしておりますので、念のために本
調査はどの
地方のどこまでの
水害を含んでいるかいないかを特に備考において掲記をいたしたものであります。この作況指数は石数で表わしますとまだ必ずしも十分なときではありません、それは当然に稲作の成育
状況に応じて
調査をいたしておりますので、今回は草丈と茎数と病虫害あるいは
水害等の
被害を加味して勘案をいたしまして、作柄概況をつくつたものでありますが、長年事務所で
調査をやらせていただいております経験からいたしまして、作況
調査後の
調査、職員の現地見まわりの作柄
調査、
被害調査のほかに
気象感応試験という試験地においての成育
状況を約五日目ごとに調べておりますものを
適用いたしまして、いささか大胆でありますが、収穫の石数を試算いたしてみたのであります。その試算は第五ページ及び六ページにあるわけでありますが、水稲におきましては、水稲の平年の一〇〇は、ただいまのところの作付
概略面積におきましては、六千三百四十五万石弱として基準をおきまして、反収としては二石一斗を全国平均と見ております。陸稲におきましては第六ページに書いておきましたが、全国平均反収を一石五升と見まして八月一日現在の作付
概略面積では全国平年収穫高を百四十五万九千石余と見込んでおります。これによりまする表の一ページ、二ページの本年の作況指数と申しますのは、水稲におきまして六千三十四万二千石でございまして、陸稲におきましては百四十七万二千八百十石でございます。これを合計いたしました水陸合計は六千百八十一万四千八百十石でございまして、昨年の実収高より減少すること四百三十三万七千石余と見込んでおります。
特に今年の特徴といたしましては、御配付申し上げました資料の九ページにあげておきましたが、
被害に特に特徴があること御
承知の通りでございます。
水害の多くは、不連続線による
豪雨によりまして、また
一般的に低温の継続があり、梅雨も長くございまして、また九州その他においては、
水害後一時好天候で持ち直したこともございますが、
水害跡地の跡植えが、非常な
努力にもかかわらず、やはり湾まきであつたり、老衰苗であつたり、遅れて今後うまく稔実するか、青米になるかというあたりの問題が
相当問題でありますが、先月の十五、六日以降、長野より東及び北につきまして異常の低温が
相当長期に継続いたしましたものの影響も、本
調査の外でございますが、特にこれは二週間ぐらいたちませんと、稲の
生育状況の結果としての把握が、あるいは生殖障害を来したのか、稔実障害を来したのか、出穂にどのぐらい障害を来したのか、
程度別に、ついてなかなかわかりませんので、
調査期日のあとでございますが、ある
程度の影響はあることは当然かと思
つております。他の特徴といたしましては、いもち病、二化めい虫が全国的に発生をいたしまして、特にいもちにおいては、北関東、北陸——新潟たけはいささか少いと思いますが、東山、近畿、中国
地方の一部に目立
つて多く出ております。二化めい虫も、ただいままでのところは一化期が多いのでありますが、今までのいもちにおきまする葉いもちの発生のほかに、穂首いもちの発生が心配されますと同様に、一化期の二化めい虫の
被害の心配が
相当濃厚でございまして、特に一化期の
被害については、南関東、東海、近畿、山陽、四国、九州の発生が多くあります。その概況を九ページについてごらん願いますと、例年に比しまして異常なものがございまして、ここでは昨年の同期との比較を掲げておきましたが、昨年も
相当水害の多い年でありまして約二十一万
町歩でございましたものが、今年はすでに三十六万六千
町歩、それに伴います減収の見積りは、昨年同期で六十万石余りでありましたものが、二倍半の百五十四万石と見積られております。病害の中で特に多いのは、先ほど御
説明申し上げましたようにいもち病でありまして、その過半を占めますが、昨年ほぼ同期で十六万四千
町歩と
調査結果を出しましたものが、本年はすでに五十六万
町歩、三倍強出ておるのであります。従いまして非常に農家の方々、改良普及員、
地方庁、農林省等において、農薬の手配その他防除の
努力をされておることが
調査においても明瞭に現われておりますが、やはり進行性葉いもちが非常に蔓延いたしまして、その中には苗しろから本田に移入をいたしましたものも本年度は特に顕著でありまして、従来山沿いの
地帯に多いいもちが本年は平坦部に多く発生していることも特徴的でございまして、昨年同期において四十万石減収かと見積
つておりましたものが、ただいまのところ八月十五日現在では百四十七万石と見積られております。虫害におきましても、特に二化めい虫が先ほど申しましたように多くございまして、三十五万六千
町歩昨年の同期において見られましたものが、本年はすでに五十五万
町歩弱、
被害量といたしましては、
被害面積よりも特に多くて、昨年五十八万石と見積
つておりましたものが約その二倍でございます。他の
被害、黒椿象、つと虫、その他いろいろございますが、総じまして
被害面積において昨年同期の二倍強、減収量においてはさらにその割合を多く見ておるように思われます。
風
水害につきましては、特に第二台風、あるいは山陰の
水害、
和歌山、南九州の
水害、北海道、秋田、山形等の
水害を発生いたしました時期別のおのおの
被害面積の見積り及び減収を出して掲記をいたしておきました。
地方のブロック別あるいは
生育過程における時期別の概況もここに記述をいたしておきました。
時間も
相当過ぎておりますので、簡明に補足して御
説明を申し上げた次第でございます。