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1953-08-07 第16回国会 衆議院 農林委員会 第30号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月七日(金曜日)     午前十一時五十六分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 平野 三郎君    理事 金子與重郎君 理事 足鹿  覺君    理事 佐竹 新市君       小枝 一雄君    佐々木盛雄君       佐藤善一郎君    佐藤洋之助君       福田 喜東君    松岡 俊三君       松野 頼三君    松山 義雄君       加藤 高藏君    井谷 正吉君       芳賀  貢君    川俣 清音君       中澤 茂一君    河野 一郎君       久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         長)      坂根 哲夫君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農林経済局肥         料課長)    林田悠紀夫君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      谷垣 專一君         農林事務官         (農業改良局         長)      塩見友之助君         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君         食糧庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         議     員 杉山元治郎君         農 林 技 官         (農業改良局植         物防疫課長)  堀  正侃君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 八月七日  委員八木一郎君及び五十嵐吉藏君辞任につき、  その補欠として綱島正興君及び加藤高藏君が議  長の指名で委員に選任された。 同日  綱島正興君が理事補欠当選した。     ————————————— 八月七日  日本肥料公社法案足鹿覺君外五名提出衆法  第八五号) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  閉会審査に関する件  農業災害補償制度に関する小委員補欠選任に関  する件  農業共済制度に関する小委員会名称変更に関  する件  自給肥料増産特別措置法案杉山元治郎君外十  一名提出衆法第七八号)  肥料管理法案足鹿覺君外五名提出衆法第八  一号)  日本肥料公社法案足鹿覺君外五名提出衆法  第八五号)  林業に関する小委員長より中間報告聴取の件  蚕糸に関する件  農作物の病虫害に関する件  農業団体の再編成問題に関する件     —————————————
  2. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 これより会議を開きます。  去る八月五日本委員会付託になりました足鹿覺君外五名提出肥料管理法案及び本日付託になりました足鹿覺君外五名提出日本肥料公社法案一括議題といたし、審査を進めたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 御異議なしと認めます。それでは両案の趣旨について、提案者説明を求めます。足鹿覺君。     —————————————
  4. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 それではただいま上程せられました肥料管理法案提案理由を御説明いたします。  現在問題となつている肥料問題を解決するためには、肥料産業の健全なる発達と、及び肥料農家経営に及ぼす影響との両面を考慮しなければなりません。従来の肥料問題の取扱いにおいて、とかく肥料産業立場と農民の立場とが相矛盾するかのごとく印象を与え、そのことがこの肥料問題の解決を今日に至るまで遷延せしめて来た原因となつております。この矛盾を解決し、肥料産業合理化による健全なる発達をはかり、同時に農業生産力の発展と農家経済改善に寄与するために、この法案提出した次第であります。  次に本法案概略説明いたします。第一、この法案において「肥料」とは、硫安、石灰窒素、過燐酸石灰、尿素、塩化カリおよび硫酸カリを含むものといたします。第二に、国内において生産された肥料及び輸入された肥料は、別に日本肥料公社法において定める日本肥料公社が、その全額を買い上げるものといたします。第三に、公社は、その買い入れた肥料を、公社の指定を受けた販売業者に売り渡すものといたします。以上公社肥料を買い上げまたは売り渡す場合の価格は、公社がこれを定めて公告するものであります。その際、この価格決定及び変更について、国会の同意を要するものといたします。第四に、公社はその買い入れた肥料を輸出するにとができ、かつ、輸出しようとする肥料数量及び価格等について農林大臣承認を得るものといたします。第五に、農林大臣は毎年肥料需給計画および輸出入計画を定め、また、必要あるときは、肥料生産者または肥料を輸入するものに対し、生産または輸入すべき数量および品質等について、必要な命令をすることができるものといたします。第六に、農林大臣は、肥料生産合理化のため必要あると認めるときは、肥料生産者に対し、その経営等について必要な命令をすることができ、またそのために必要があると認めるときは合理化のための諸措置を講ずるものといたします。右のごとき方法によつて、初めて、肥料産業発達農家経済改善とを同時に期し得るものと思います。  以上この法案提出理由並びに内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されることをお願いする次第であります。  次に日本肥料公社案提案理由を御説明申し上げます。  さきに説明いたしました肥料管理法案は、肥料生産、流通及び輸出入国家管理のもとに置き、肥料価格国家決定し、さらに必要ある場合は、肥料産業合理化をも国家命令  によつて行おうとするものであります。肥料に関してのかかる国家総合的管理は、一個の強力なる機関の設置であります。この強力な機関として日本肥料公社を設立せんがために、この法案提出した次第であります。  次に本法案内容概略を御説明いたします。第一に、公社資本金は五十億円といたします。第二に、公社には、公社事務の運営に関する重要事項決定する機関として、肥料政策委員会を置くものといたします。肥料の買入れ価格及び販売価格公社予算事業計画、その他重要な事項決定肥料政策委員会が行なうものといたします。第三に、公社の役員として、総裁、副総裁各一名、理事二人以上、監事一人以上を置くものといたします。その他各章、各条につき、おおむね専売公社法に準ずるものであります。  以上この法案提出理由並びにその内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決されることをお願する次第であります。  なおこの日本肥料公社法案提案理由説明書の中にミスプリントがありますが、私が、ただいま申しました方が正しいのでありまして、その点は各自において御訂正をお願い申し上げます。     —————————————
  5. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 次に閉会審査に関する作についてお潜りいたします。会期も本日をもつて終了する予定に相なつておりますが、国会法第四十七条第二項によりまして、特に院議をもつて付託された事件につきましては、委員会閉会中もなお審査をすることができることになつておりますので、付議議案取扱いについては後ほど協議を願うことにいたしまして、この際国政に関する閉会中の調査事項について議長に対し希望を申し出ることにいたしたいと思います。つきましては先ほど理事会申合せによりまして一応、一、土地改良に関する件、一、治山治水に関する事項、一、畜産に関する件、一、農業災害補償制度等に関する件、以上四件につきまして本委員会閉会中もなお調査をいたしたい旨を申し出ることにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお都合によりましては審査事件変更を必要とする場合も起きるかと思いますが、その際は委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  8. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 なおこの際便宜お諮りいたしますが、議長に申し出ることにいたしました事項について、院議をもつて閉会審査をすることに決定いたされました際、審査方法として現地につき実情を調査する必要も当然生ずるわけでありますが、この委員派遣につきましては、調査事項派遣委員派遣になる派遣地名等委員長に御一任願いまして、議長委員派遣承認申請をいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 御異議なしと認めて、さよう決しました。     —————————————
  10. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 次に病虫害の問題について審査をいたしたいというお申入れがありますので、これを許します。足鹿覺君。
  11. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 今春来の異常天候によりまして、まれに見る病虫害の異常大発生を見ておるのでありますが、これに関連をいたしまして政府の当面とりつつある緊急処置並びに今後にとらんとする恒久的な施策について、緊急に御質問を申し上げたいと存ずるものであります。  今次病虫害異常発生は悪天候もその大きな要素の一つではありますが、各種のこれに対する緊急措置についても、必ずしも万全を期し得なかつたところに、ますますその蔓延を広くし、全国の水稲耕作地の五〇%になんなんとする地帯がその被害を受けつある現状でありまして、これに対しては当局並びに地方におきましても必死の防除対策を講じておりますけれども、薬剤の不足あるいは防除器具不足等によつて、必ずしも満足すべき状態にないことは政府もよく御承知の通りでありますが、もしこのままに推移いたしますならば、本秋の食糧確保はもちろんのこと、これが供出問題をめぐつて重大なる事態発生する危険が予想されるのであります。すなわち本日の報道機関が伝えるところによりますと、農林省予想収穫高が六千七十二万石に対し、都道府県のまとめた収穫予想高は五千五百三十二万石でありまして、平年作の六千五百万石に比べますならば、政府収穫予想高は五百四十万石の減となり、府県の収穫予想高を対比しますならばその減は実に一千万石を突破いたしておるのであります。このような収穫予想高を今後において急速に挽回し、食糧確保に万全を期すると同時に、供出問題について未然にその紛糾を阻止して行くためには、当面最も緊急なる病虫害異常発生に対する措置を講じ、またあわせて今後の恒久的病虫害予防態勢の完璧を期して行かなければならないと存ずるのであります。今次異常発生の場合にあたつて当局がとられた措置にも、必ずしも満足すべき点はなかつたと思いますが、特に著しいその欠陥は、一言にして申しますならば農薬不足にそのすべてが起因するかのごとくわれわれは考えられるのであります。この農薬不足については、農林省の当初の防除計画欠陥があつたのではないか。すなわち病虫害防除対策について安易な点があつたのではないかということすら、われわれは疑わざるを得ないのでありますが、このような状態のもとにあつて、今後農林省緊急対策としていかようなものを考えておるのであるか、また現在とりつつある緊急対策の重点的な施策について、この際御説明を願うとともに、当面必要である農薬増産について、いかよう措置をとり、またそれが関東以西晩稲地帯に間に合い得る適当か対策を講じてやつて行くかということについて、最初にお伺いを申し上げたいのであります。
  12. 堀説明員(堀正侃)

    堀説明員 お答え申し上げます。お説の通り本年の病害虫発生、特に稲のいもち病と二化めい虫発生は、最近めずらしい大発生でございまして、七月末日に私どもの手元でまとめました発生報告を見ましても、いもち病で約七十二万八千町歩発生をいたしまして、これに対しまする都道府県防除計画が百万町歩を多少上まわるくらいになつております。また二化めい虫につきましても、同じく七月末のわれわれの調査によりますと、発生面積が九十八万九千町歩となつておりまして、防除面積はおそらく百十万町歩を突破することになると思うのであります。本年は暫定予算その他のいろいろの関係がありまして、農薬に対する地方手当が非常に遅れまして、例年でありますと、三月ころは少くとも農薬購入が始まりまして、五月になりますと、購入の山になるのでありますが、本年は今申しましたようないろいろの都合手配が非常に遅れまして、たとえていいますと、いもち病に対する農薬につきましても、六月までに各都道府県手当をした農薬量は、大体いもちにつきまして三十三万町歩くらいしか手当をしていなかつたといつたような現状であつたのであります。ところが六月の末から七月に入りまして、いもちも、それから二化めい虫も急激な発生をした結果、農薬に対する需要が急激に増大して参りましたので、われわれといたしましては、いもち病につきましては、その防除農薬原料を供給する硫酸銅製造業者等に緊急に製造を要請いたしまして、その対策を講じておるのであります。その結果われわれの予定していまする農薬の量は、いもち病につきましては、七月中に約三十七万五千町歩分防除をできる農薬を期待しておりますし、八月はさらに二十八万九千町歩くらいの農薬生産を期待しておるわけであります。従つていもち病につきましては、大体九十万町歩くらいの農薬確保できるというふうに考えておるのであります。先ほども申しましたように、いもち病に対する農薬必要量は、大体百万町歩を必要とするというふうに考えておりますので、なお現在硫酸銅につきましては、通産省の鉱山局等の非常なごあつせん、あるいは水銀につきましても鉱山局の非常なごあつせんを受け、またわれわれといたしましては一山元等に現在の状態を訴えまして、その優先的な出荷を依頼いたしますとともに、農薬製造業者につきましても、ほとんど現在終夜作業をもつて農薬製造してもらつておるような状態でございます。  それから二化めい虫につきましては、その特効薬でありますホリドール等主体といたしまする、いわゆるパラチオン剤でありますが、これにつきましては大体当初六、七十万町歩防除し得る量を輸入によりまして準備していたのでありますが、今申し上げましたように、非常に急激な防除面積の増加によつて、現在第一化期においてほとんど使い尽されようとしている状態でありますので、第二化期に対しましては、多少このパラチオン剤よりは効果が劣る傾向があり、また使用につきましても若干むずかしい点もあるのでありますが、BHCのガンマー三%のものを使わざるを得ない状態でありまして、これにつきましては生産能力が非常にございますので、BHCならば大体間に合せ得るというような状況であります。  御指摘の防除計画の点でありますが、確かにわれわれの防除計画は、昭和十一年から昭和二十三年までの統計主体とした計画でありまして、その後三十四年からいもち病も、二化めい虫も、その発生がそれ以前よりもかなり多くなつておりますので、その意味におきましてはわれわれの計画は、程度としてはかなり小さかつたと思います。特別防疫法に基きまする備蓄農薬、これは全購連に農薬備蓄を国から依頼しておるのでありますが、これなどもいもち病については五万町歩、二化めい虫につきましては三万町歩備蓄しかしていない状況でありまして、この備蓄農薬も全部使い果してしまつたという状況であります。  大体今申し上げました数字から考えますと、全国的に見ますと、ややきゆうくつではあるが、相当間に合せ得るという状態でありますが、実際問題といたしましては、農薬偏在相当ございますし、それから需要が現在、つまり八月上旬に殺到している関係から、地方的にはかなり農薬がきゆうくつになるのではないかと考えております。なお今後の見通しといたしまして、こういう天候が続きますと、今私が申し上げましたよりも、いもち病のごときは防除面積がはるかに増大する可能性がきわめて大きいのであります。われわれといたしましては、なお原料等につき、あるいは農薬業者に要請をいたしまして、農薬緊急増産手配をいたしたいと考えております。
  13. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 時間があまりございませんので、簡潔に数点お尋ねして打切りたいと思いますが、ただいま率直な自已批判をも含めた当局の御説明を聞いのでありますが、私はこの問題を取上げて当局責任を追究しようというのではありません。問題は、今後いかようにして幼穂形成期を越えて出穂期までに、適期に農薬要求に基いて与え得るか、その点について具体的に聞きたいのでありますが、農薬業者協力を十分受けておられるようなお話でありますが、農薬業者協力態勢に遺憾はないか、この点をお伺い申し上げます。
  14. 堀説明員(堀正侃)

    堀説明員 農薬業者に対しましては、すでに七月の中旬以来毎週の初めにその出荷計画報告を求めまして、大体技術的な面から、たとえば北陸地方早場米地帯であるから早く農薬をまわさなければならぬとか、東北地方がその次に必要であり、さらに西の方に行きますに従つてやや遅れてもいいというような技術的な見地から、農薬出荷につきましていろいろわれわれの意見を述べたり、あるいは農薬偏在等の点を考慮いたしまして、この点については、この地方はやや農薬が手薄であるから、ひとつ重点的にまわしてもらいたいというふうな点を申し述べまして、いろいろとこういう面につきましては、農薬業者もまず相当協力をしてくれておると思います。ただ農薬業者がいろいろな取引関係もありまして一必ずしも全面的にわれわれの言う通りに、われわれの指導通りに動いておるとは限らないのでありますが、週一回の出荷計画の打合せにおきましては、かなりわれわれに協力をしてもらつておる、こういうように考えております。
  15. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 問題は当局防除計画に当初甘い点があつた。すなわち備蓄量をわずか五万町歩や三万町歩程度のものしか用意しなかつたというところに、当局が現在狼狽してこのような緊急施策を講じなければならなくなつた大きな原因があろうと思います。しかし率直な当局お話でありまするから、あえて責任は追究いたしませんが、われわれがよほど前にこれを指摘した際に、ことしは用意は十分である。とても供給に事欠くようなことはありませんということを言つておられたわけでありますが、しかし今現実にこういう事態が起きて来ておるのでありまするから、今後十分施策に遺憾なきを期せられ、今後とも、少くとも時期をはずれたのでは意味をなしませんので、すみやかなる施策をさらに推進せしめられたいと思います。こういう事態が赴きたということは、これを要するに予算弾力性がなくて、植物防疫法が制定されてから今日まで、相当の年月を経ておるにもかかわらず、しやくし定規に、規定にとらわれて、弾力性を欠いたところにこういう事態を起していはしないか、私はこういうふうに考えておるものであります。同時に植物防疫法の重点であつた病虫害発生予察にのみあまり比重がかかり過ぎて、これもまた予算関係がありますが、防除楽備蓄であるとか、あるいは防除器具普及奨励であるとか、あるいは防除態勢整備等について遺憾な点があつたことは、率直に認めなければなりません。そこでその認められた自己批判の上に立つて、今後かかる事態を惹起せしめないためのいろいろなる施策を講じなければならないと、私は考えておるものでありますが、植物防疫法内容の検討、また防除予算の問題、それらの点について、今後いかよう当局処置をされようとしておりまするか、施策を講じられようとしておりまするか、この点についてあわせて伺いたいのであります。
  16. 堀説明員(堀正侃)

    堀説明員 農楽につきましては、先ほどお話申し上げましたように、その利用いたしました統計が悪かつたために、計画においてもやや過少であつた点があるのでありまして、二十九年度予算におきましては、三十四年以降のいろいろ栽培条件も加わつて、また気象条件変化等によりまして、病害虫発生増大に伴う防除面積増大に対処し得るような平常の防除計画並びに備蓄計画を立案し、予算要求をいたしたい、こういうように考えております。  それから防除態勢の問題についてでありますが、現在病虫害防除においての一番大きい欠陥は、やはり防除器具不足でございます。病害虫は大体一週間以内くらいに共同防除を完成いたしませんと、同じ農楽の量を撒布いたしましても、その防除効果が半減するのでありますが、現在の防除器具状態を見ますると、まだ至つて不完全なもので、しかも普及台数が非常に少いという現状でありますので、昭和二十九年度の予算要求におきましては、科学的に進んだ防除器具普及ということを頭におきまして、これに対して相当予算的措置を講じまして、この器具普及することによつて自然に防除班等防除組織が育成されて行くように、防除組織が整備されるように考えたい、こういうふうに思つております。
  17. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 最後に委員長に御要望申し上げると同時に、私の意見を述べて質疑を終りたいと思いますが、年々病虫害による米等減収は四百万石を越えると言われておる。本年の場合は、過般の凍霜害あるいは今次の連続した風水害等によつて先ほど申し述べましたように著しい減収を見ることはもはや避けがたい。ただ最善を尽して、今後人為によつてなし得ることは、病虫害防除の徹底によつてどの程度までこの減収を食いとめるかということにあろうかと考えられるのであります。しかしながら現行の予算の上において、あるいは制度の上において、必ずしも十分ではないことはわれわれ残念に思いますが、     〔委員長退席佐竹委員長代理着席〕 今後とも速急にこの問題を処理せられまして、私ども十分協力をいたしまして、最も農家の身近かな、経営に響くこの問題に対して、適切なる措置を至急に講じていただきたい。このことを強く強く要望いたしますとともに、さらに委員長におかせられては、ただいまの当局の答弁に基き、私どもといたしましても今後の問題に対して、今までの点は過ぎ去つたことでありますからいかんともいたし方はありませんが、今後の緊急措置と、また恒久的なる防除態勢なり、あるいは備蓄の問題なりあるいは器具普及なり、そういうようなことについて本委員会において一つの決議並びに申合せをしていただきまして、当局を激励、鞭撻し、国会の意思を明らかにして完璧を期すべきではないかと考えておりまするので、午後にもその機会をお与えいただきますようにお願い申し上げる次第であります。  以上で私の質疑を打切ります。
  18. 佐竹委員長代理(佐竹新市)

    佐竹委員長代理 ただいまの足鹿委員の御意見に対しましては、委員長が空席でありますので、よくその旨お伝えいたします。     —————————————
  19. 佐竹委員長代理(佐竹新市)

    佐竹委員長代理 なおこの際お諮りいたします。先ほど農業災害補償制度に関する件を閉会審査事項として議長に申出ることにいたしましたが、これと関連して、現在本委員会に設置しております農業共済制度に関する小委員会名称を、農業災害補償制度に関する小委員会と改めて、閉会中もなお審査せしめて、もつぱら本件調査に当らせることにいたしたいと思いますが、この処置に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 佐竹委員長代理(佐竹新市)

    佐竹委員長代理 御異議なしと認め、さよう決します。  暫時休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後四時十三分開議
  21. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事が一名欠員となつておりますのでその補欠委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 御異議なしと認め、綱島正興君を理事に指名いたします。     —————————————
  23. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 次に農業災害補償制度に関する小委員が五名欠員となつておりますので、その補欠委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 御異議なしと認め綱島正興君 中澤茂一君 安藤覺君 以上三名を小委員に指名いたします。     —————————————
  25. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 次にただいまの理事会申合せにより、昨日本委員会付託になりました杉山元治郎君外十一名提出自給肥料増産特別措置法案を議題といたし審査を進めます。まず本案の趣旨について提出者の説明を求めます。杉山元治郎君。     —————————————
  26. 杉山元治郎君(杉山元治郎)

    杉山元治郎君 ただいま上程になりました自給肥料増産特別措置法案につきまして、提案者の一人として提案の説明を申上げます。  現下食糧増産は国家の至上命令とも言うべきものであります。増産には深耕と多肥が不可欠の条件でありますが、元来わが国の土壌は酸性のものが多く、しかるに化学肥料を多く施しますことは、いよいよ酸性化し、土壌を悪変することは周知の事実でありまして、これらを防止し、土壌生産力の増加をするにはぜひ自給肥料によらねばなりません。なお自給肥料の増産は金肥の節約と相まち、農家経済に好影響を与えるものであります。しかるに現在有畜農家中、尿だめのある畜舎を持てるもの約十分の一にすぎません。かつ堆肥等を持てるもの約二割余にすぎない状態で、残余のものは屋外に野積みとし、大切な肥料分を流出するにまかしている状態であります。その損失は約十七、八億円といわれております。今や有畜増産五箇年計画と併行し、堆厩肥の増産をはかるとともに、畜舎の尿だめ、堆肥舎の普及をはかるため本法案を立案した次第であります。  次に法案の要点について申し上げます。自給肥料と称しますものは多々ありますが、第二条に自給肥料の範囲を限定いたしておきました。第三条には堆肥舎、畜舎、屎尿貯溜槽等の造成並びに改良に要する資金を、国家が融通斡旋することで、第四条には自給肥料原料たる緑肥の原種の採取並びに対耐寒品種の造成研究に助成するようにいたしております。第五条には都道府県が行うた自給肥料増産施設に対しましても、その利子の全額あるいは補助金を国家が補助することといたしてあるのであります。  以上が法案の概要でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御決定くださることをお願い申し上げる次第であります。     —————————————
  27. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 次に林業に関する小委員長より、小委員会の経緯について報告いたしたいとの申入れがあります。これを許します。川俣清音君。
  28. 川俣委員(川俣清音)

    ○川俣委員 林業に関する小委員会の中間報告を申し上げたいと思います。  林業小委員会は去る大月三十日設置せられましたが、爾来六回にわたり小委員会を開会いたし、林野行政が当面いたしております治山治水対策、国有林、民有林の造成並びに今般水害による災害復旧及び本年度林野庁予算案等の基本的重要問題を初め、当時地方行政委員会において審議中であつた町村合併促進法案中の、合併町村に対する国有林野払下げまたは交換等に関する問題、国有林材払下金一箇年猶予の問題等、さらに本年一月以降懸案となつておりました林野庁職員の給与改訂問題等、すみやかに解決すべき緊急課題につきまして、林野庁より説明を求め、さらに必要に応じ詳細な資料の提出をも求めました上、慎重な検討を加えますとともに、さらに二十八年度予算案につきましても説明を求めます等、林野行政の根本的あり方につきまして、農林委員としての独自の立場から審議をいたし、御出席の各委員から終始活発な積極的な意見が関陳せられました。その結果、小委員会といたしまして一応の結論を得ましたので、ここに審議の経過を御報告申し上げたいと存じます。  現在全国の林野面積は三千四百万町歩でありまして、国土全面積のおよそ六七%を占めておりますが、そのうち造林を要するものが全国で四百六十六万町歩ありますので、これが造林をすみやかに行わなければなりませんが、その間無立木地百三十万町歩、山くずれ等の荒廃山地約五十八万町歩、合せて百六十九万町歩が危険な山地でありまして、全林野の七%に当つております状況で、これらの危険な山地に対しては特に緊急に造林及び治山施設を行い健全な森林に育成しなければなりません。なおこのほかに瘠悪林地二十万町歩がありまして、これまた同様優良な森林への転換をはからなければなりません。また現在の人工林は四百万町歩で全体の二〇%に当つておりますが、木材需給の逼迫にかんがみましてこれを二倍の八百万町歩に早急に増加して行く必要がございます。さらに最近におきまする水害の被害が特に激烈をきわめておりますのは、降雨量が大であることばかりではなく、その上さらに濫伐のため山が荒廃している結果災害を特に過大ならしめているのでありまして、そのことは今般の西日本の水害におきまして、優良な森林地帯においては災害が非常に僅少であつた事実によつても十分察知できるのであります。それゆえ、以上のごとき最近の水害並びに森林の現状を総合的に観察いたしますると、治山治水対策として、水源地帯の保安林を思いきり拡充強化しなければ中下流の保全は絶対に期し得ないのでありますので、保安林強化のため、これに必要な法制的措置をいたす必要が痛感いたされます。この保安林整備強化に関連し、国有林野の適正な配置と運営に関しましても今後根本的再検討を加え、国有林の使命達成上遺憾なきを期する必要があります。  さらに国土保全を通じ、森林資源の確保をはかるため、治山事業と造林事業とを画期的に企画強行することが、不可欠の要件でありまするとともに、森林の破壊を防止するため計画伐採を励行する必要があります。  以上、緊要なる山林事業を確実に行い、その効果をあげるためには、所要の法制的処置と十分なる予算処置とがなければ不可能でありますので、その確保を期する必要があります。なおこれに要する経費は総額で約千六百億円程度に上るものと推定されますが、さしあたり明二十九年度は公共事業四百億、一般会計四十億程度はぜひ確保する必要がございます。  次に、国有林の立木、用材の払下げについても改善を要する旨の意見提出されましたが、さらに検討を加えることといたしました。さらに坑木及びパルプ材として幼齢林が新しい森林法に反して伐採される等の行為があるから、適当な処置を考慮すべきであるとの意見を強く提示されました。  さらに町村合併促進法案成立のあかつきにおきましては、第十七条の適用について特に慎重を期すべきであるとの強い御意見が各委員から提出されました。さらにこれら治山治水対策に関する検討の結論に基き、治山治水対策確立に関する決議案文を本小委員会にて作成の上、各委員を通じてそれぞれの党にお諮り願い、その結果御賛成を得ましたので、これを本会議の決議といたすことといたしました。さらに治山治水根本対策樹立の上から造林のあり方について、国政調査を求めたいとの小委員会一致の要望がありました。  以上御報告を申し上げまして、委員長のおとりはからいを願いたい次第であります。     —————————————
  29. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 次に病虫害異常発生対策に関しまして、足鹿覺君より発言の要求があります。これを許します。足鹿覺君。
  30. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 病虫害異常発生に対しまする緊急質問を午前中農林当局にいたしたのでありまするが、さらに当委員会といたしましても、事の緊急重要性にかんがみまして決議をいたし、当局を鞭撻いたしまして、今後の事態に対処する一端といたしたいと存ずる次第でございます。先ほど理事会におきまして御了解を得ましたので、ここに決議案文を朗読いたしまするので、満場の御賛成をいただきたいと存ずる次第でございます。以下案文を朗読いたします。    病害虫異常発生対策に関する件   不測の悪天候により、本年のいもち病及び二化螟虫の発生は激甚をきわめ、食糧生産に甚大なる被害を与えつつあるとともに、これが防除のために農家の投じた費用もまた莫大な金額に達する。   政府のこれに対する対策をみるに、植物防疫法の運用上、極めて消極的たるの感を免れない。よつて政府は、この際緊急対策並に恒久対策の二方面にわたり、左記の措置を講じ、もつて農家防除意慾を昂揚することにより、極力食糧生産の減退防止に努むべきである。      記  一、緊急対策   1 農薬防除機具の供給につき、緊急必要なる方面に重点的分配を行う等、適切なる措置をすみやかに講ずること。   2 農家農薬及び防除機具購入費に対し、予備費中より相当額の補助金を支出すること。  二、恒久対策   1 防除資材の完全なる準備を行わしめるため二十九年度以降購入補助金の飛躍的増額を図ること。   2 病害虫異常発生に対処しうるよう、備蓄数量及び備蓄場所を増加する等農薬の完全なる備蓄計画を策定すること。   3 末端防除実践組織の整備確立を促進するため、これに必要なる諸般の措置をすみやかに講ずること。  右決議する。   昭和二十八年八月七日         衆議院農林委員会  以上が案文でございますが、いまさら申し上げるまでもなく、本年の病虫害の異常大発生は、水害あるいは凍霜害等の甚大なる被害と相まちまして、食糧確保、ひいては供出等きわめて困難な状態にあることはまことに心痛にたえない次第であります。収穫予想を本日見まするのに、農林省は六千七十二万石と称し、また府県の統計によれば五千五百三十二万石にしか達しておりません。これを平年作の六千五百万石に比しますれば、府県統計は一千万石の減収を今予想しておるのであります。しかも病虫害異常発生の実情は、いもち七十万町歩、めい虫百万町歩にわたりまして、わが国水稲面積の五〇%になんなんとし、今後も大発生の傾向にあるといわれておるのであります。これらの実情に対処して、政府のとつた緊急措置につきましても、必ずしも的確なる緊急措置が講ぜられたとは考えられない点もあるのでありますが、これを要するに、農薬不足とこれに伴う備蓄量の不徹底等がこの不慮の悪天候によりまして、さらに被害の程度を大きくしているきらいもなしといたしません。この点は農薬不足とともに、農林省防除計画にどこかに大きな欠陥があつたのではないか。われわれはあえて当局責任を追究するものではなくして、過去は過去とし、今後水稲の出穂期までの短期間に、きわめて効果的迅速に、当局がその全力をあげて緊急事態を収拾する方策を実施するとともに、今後の恒久対策においても、植物防疫法予算的な裏づけを初めとし、恒久対策に遺憾なきを期し、今後再びかかる事態を惹起せしめざる防除施策を講ずることを、農民とともに要望いたす次第であります。  以上の立場から、本決議案を提出いたした次第でありまするので、何とぞ御決定を願いたいと存ずるのでございます。なお御決定の上は、委員長において、この決議の取扱い方等につきましては、最も迅速に効果的にお取扱いくださいますようお願いを申し上げまするとともに、この機会に、もし決議案の通過後において、関係当局の御所見をも伺えるならば、あらためてこれを表明をしていただきたいと存ずる次第でございます。
  31. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 ただいまの足鹿君の御提案に対し、御意見があれば発言を許します。別に御発言もなければ、これに対する政府の所見を求めます。
  32. 塩見政府委員(塩見友之助)

    ○塩見政府委員 この決議案の通り現状でございます。植物防疫法を徹底して施行して、その趣旨に沿うて、この決議にありますように、私の方としましては極力努力して参りたい、こう考えております。最近における農薬の非常な発達と、農民の防除に対する意慾の高揚というような点からして、在来考えておりましたような防除計画をこの際再検討いたをまして、われわれの方としましては、この趣旨にのつとつて努力して参りたい、こう考えております。
  33. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 これより採決いたします。ただいまの病虫害異常発生対策に対する件を、本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお本件の議長に対する報告、及び関係国務大臣に対する参考送付方につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  36. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 速記を始めて。  次に蚕糸の問題に関して審議を進めます。昨日足鹿覺君の留保せられましたる問題について発言を許します。足鹿覺君。
  37. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 私は渡部官房長に直接この問題について追究を試みようとするものではありません。昨日寺内蚕糸局長に対しましては追究をいたしましたが、その態度たるや、何ら反省の色も見えず、また前非を悔いたような態度もなかつたことをはなはだ遺憾に思いますので、通牒等の最終的責任立場にある官房長に対して事実を指摘し、注意を喚起し、これに対する所見を求めて、今後の当局のお考えを聞いておきたいと存ずるのであります、それはすなわち昨日私が問題に取上げました局第二三二号昭和二十八年四月十五日付、農林省蚕糸局長から各府県知事あてに発せられた昭和二十八年産繭処理の基本方針なる通牒の違法性の問題であります。この通牒によりますと、明らかに独占禁止法の改正を前提にして、しかもまた選挙のどさくさにまぎれてかかる大それた通牒を一局長の名前をもつて府県に指示し、糸価安定に名を借りて、事実上において独禁法改正による事態を予定して、製糸業者にあたかも利便を提供するかのごとき措置をとつたことは、きわめて不当な行為であると存じます。これにつきましての内容は、申し上げるまでもなく御存じでありましようが、独占禁止法の改正の際に、当局蚕糸業法自体の改正をやめて、その十五条を独禁法の改正によつて緩和する措置自体が誤りであるにかかわらず、いまだ全然その法律案の声のない、しかも国会の選挙のさ中にかくのごとき法案決定されざる前に、その改正案の内容をことごとく局長通牒で行政機構に流していることは、政府みずからが独禁法の違反をあえて奨励するかのごとき措置であつて、はなはだ遺憾しごくであると同時に私ども蚕糸局の従来取来つた日本蚕糸業に対する指導方針等も疑わざるを得ないのであります。  すなわちこの通牒のおもなる点は、第三の繭価決定方式にあるのでありますが、その繭価決定方式の一項に、農業協同組合またはその連合会は、繭価の協定に関しその相手方たる製糸業者その他の繭需要者に対し、繭価協議会を開いて共同して協議するよう要求することができると指示しておることの追究に対し、昨日寺内繭糸局長は、そのようなことはいたしておりません、あくまでも研究会であると逃げました。研究会というがごとき字句はこの通牒のいずこにもないが、それでよいのかと追究いたしましたところが、蚕糸主任官会議を開いて研究会の趣旨を述べたと、恬然として反省の色が見えません。通牒に記載ないことを研究会だといつて主任官会議で指示したかしないかは、われわれの周知するところではない。この局長通牒は、研究会どころか明らかに一つの方式を、しかも独禁法の改正を内容とする重要な事項を全部指示しており、しかもその前書においては、公正取引委員会と打合せ済みであることを明記し、最終においては公正取引委員会に報告することを指示し求めておるのでありまして、いかにこの通牒が国会の権威を冒涜し、いまだ議会の審議にも入らない時代に、かかる通牒を出したということを、官房長は御存じになつておつたかどうか、蚕糸局長の独断によつてかかる通牒が出されたのであるかどうか、私は微々たる問題でありますならば、あえてかくのごとく追究はいたしませが、事いやしくも独禁法の改正の問題を予想して、かかる通牒を出すがごときはさたの限りである、まさに違法の行為であると私は考えますがゆえに、官房長はかかる通牒の最終責任者として、その事実を知つておるかどうか、その点からお尋ねを申し上げたいのであります。
  38. 渡部政府委員(渡部伍良)

    ○渡部政府委員 繭糸価の安定のためにどういうふうな仕組みでやつたらいいかということは、昨年来蚕糸業法の改正に関連して、いろいろの議論がなされておつたのであります。ところが蚕糸業法の改正がとりやめになりましたので、春繭の処置をどういうふうにするかということが議題になりまして、いろいろ研究を重ねました結果、お説の通牒が出たのであります。役所の内部のことでありますので、私の方が目の通し方が足りなかつたという点は率直に認めざるを得ないのであります。承知しないということは言えません、承知したと言わざるを得ません。
  39. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 目が届かないということをお認めになつたのでありますが、ほかた事務上のただ単なる通牒と異なりまして。この内容は非常に重大な影響を春繭の価格決定あるいはその取引の条件等に与えることは御存じであつたと思うのであります。ただ専門の立場でないから目が届かなかつたと言われるならば、あえて官房長にその責任を追究しようとは考えませんが、少くともかかる重大な通牒は、出すこと自体が誤りであり、また出した結果がすでに随所に現われておるのでありまして、この点については今後十分御反省になり、かかる国会審議権をも事前に冒涜するがごとき重大なあやまちを犯さないと保証をされるならば、私はあえてこれ以上追究はいたしませんが、昨日の寺内蚕糸局長の私に対する答弁は、他にも誠意を認めがたい点がいま一つあります。それは昨日私が長野県の上高井郡目野村及び豊洲村の事実をあげて、この不当なる製糸業者の圧迫に対して事実を知つておるかと申しましたところが、全然知らないと言つた。さらに知らないでは済まぬではなかろうかというので追究をいたしましたところが、辛うじてそつぽを向きながら、事務的に今後調査いたしますと言つた。しからば私はここに材料があります。これは、寺内局長は、八月七日付日本農業新聞にこの独禁法違反かいなかをめぐつて農協の繭販売を束縛した事実等について、全版その他からの抗議に対しての談話を発表していわく、「一方的報告で判断できぬ」という見出しで寺内農林省蚕糸局長は、「独禁法違反かどうかは微妙でことごとく全養連と敵対関係にある全販連の一方的な聴取報告だけをもつて判断することはできない。」と談話を発表しておる。この七日付の新聞はおそらくこれより数日前に記者が談話をとつて編集されたものに相違ない、とするならば、昨日の私の質問に対して、初めの答弁は事実を全然知らないととぼけたではありませんか、知らないどころか、新聞にその所見を述べる程度であるならば、事実をよく知つておるはずである、よく知り尽しながら口を緘して不誠意きわまる答弁をしたと断じられても御答弁の余地がありますか。私はあえてこの問題についてあなたに対して事実を歪曲して攻撃しようとするものではない。あなたたち自体が何ら反省の色のない態度に対しましては、農民の立場からも、また国会議員の言論に対して冷然たる態度自体にも、私は大いに糾弾に位するものがあると考えるのでありまして、もし今私が述べたような事実をもつてしてもなお蚕糸局長は知らぬと言つて答弁を拒否するつもりであるかどうか。あげ来れば数限りなくたくさんありますが、すべてかような始末をしでかし、これを追究されるならば知らぬ存ぜぬと言う。少くとも自分の君名入りの通牒を出しておきながら研究会であろと言つて逃げ、その答弁はまつたくしどろもどろであり、事実誠意の一片を見ることのできないことを私は遺憾に思うものであります。官房長はこういう点について見のがしの点ははなはだ相済まぬということでありますが、この点については今後いかなる御措置をとられるか、その御所信を明らかにしていただきたいと存ずるのであります。
  40. 渡部政府委員(渡部伍良)

    ○渡部政府委員 お話の点は一々ごもつともでありまして、私の方で国会の立法権を無視するとか、そういつた気持は全然ありません。ただ法律の改正等が意のごとくならないし、春繭の対策を考えなければならないという見地から、少しく処置を急ぎ過ぎたという点は、率直にあやまらざるを得ないと思うのであります。今後こういうことにつきましては、これまた役所の中のことでありますが、農林行政の全般の調整を預かる私としましては、慎重に注意をいたしまして、明確でないとか、あるいは行き過ぎというような点のないように万全の注意を払いたいと考えます。
  41. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 官房長に対する質疑は、大体、誠意のある御答弁と認めまして、一応打切ることにいたしますが、寺内蚕糸局長は、ただいま私が新聞記事を引用して述べた点について、なお昨日の答弁のごとき意思を固執されますかどうか。長野県の事実については知つておつたが、自分としては昨日のような答弁をしたことは誤りであつたということを率直にお認めになりますかどうですか。その一点だけをこの際承つて、あとは公取の方に質問を申したいと思います。
  42. 寺内政府委員(寺内祥一)

    ○寺内政府委員 ただいまのお話の点につきまして、長野県の日野村と豊洲村につきまして問題があることは知つておつたのでありますが、ただ昨日の足鹿先生の御質問は、茨城県の何とか製糸が糸を買いに行つて、それを長野県の製糸協会で、そういうことをするならば、お前の地盤も撹乱するぞというような脅迫的なことをやつた。そういうことについて知つているかというお話でありましたが、その点については知らなかつたのでありまして、私の知つておりました範囲は、この豊洲村と目野村の単位農協が、県の農協がきめた蚕価協定にたしか不服で、別に入札をしようとしたところができなくて、茨城県の何とか製糸に売つたところが、それを製糸協会が圧迫した、こういう話があつたのであります。そこでさつそく調査いたしましたところ、これは検定を受けておりませんでしたので、検定を受けるまで、しばらくさしとめたという事実があつたのでありまして、製糸協会の方から圧迫をしたという事実は存じませんでしたので、知らないと申し上げましたが、なおその事実をただいま調査いたしております。昨日の私の答弁は、はなはだ言葉が簡単でございまして、お気にさわりましたならば、爾今注意をいたします。
  43. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 ただいまの御答弁は、私は十分了承はできませんが、長野県上高井郡日野村及び豊洲村における実際の問題は、従来団体契約で売つておるが、いつも三百円程度安い。それはなぜかというと、現物を会社に納めてしまつてから、蚕価の決定が事後でなされておる。従つて現物を農民が先に渡してしまつておるから、結局泣寝入りになつて、安い値段を押しつけられても、文句の言いようがないという事実にかんがみて、その両村においては、これを茨城県の須藤製糸と契約をした。そうして須藤製糸と契約が成立いたしまして、現物の引渡しを行う直前に、長野県の製糸協会が、蚕糸業法の違反でこれを摘発するとか、いろいろな言辞を弄して、遂にその契約を破棄せしめるに至つたことは、これは事実であります。それまでも御否定になることはないと思います。  なお問題になりまする点は、以上のような点のみならず、長野県の製糸協会は、今後須藤製糸が他県に進出し振買いをするがごときことをするならば、須藤製糸の地盤に報復的投売をやつてこらしめてやろう、こういう処置に出ようとした。無言の圧迫をとろうとしたということも、これは私どもそう聞違つた情報ではないと思う。従つてそういう事実は明らかに——私的独占禁止法は当時は生きておる。ようやく昨日参議院を通過して成立は見ておりますけれども、当時は明らかに生きておる。当然これは私的独占禁止法に違反した違法の行為である。不当に生産者の繭価を圧迫した行為であるとわれわれは考えざるを得ないのでありまして、ここに一斉に報道機関がこの問題を取上げて論ずることも私は至当であろうと存ずるのであります。この問題について蚕糸局長は、ただいま一応昨日の言葉の足りなかつた点とか、いろいろ心境を漏らされましたから、私はこれ以上あえて追究はいたしませんが、もう少し民主的に、すべて国会における答弁は、われわれが知らぬことでも、あなたは国民の公僕として真実をお述べになることをお考えにならないと、いよいよもつてあなたが今後おやりになることについて、私どもは事ごとに誠意のほどが疑われ、勢いわれわれとしては、さなきだにあなたの蚕糸行政に対しては、昨日も申しましたが、従来幾多の不満がある。また矛盾を指摘いたしまして、今後断固追究の手をゆるめないということを申し上げたい。あえてこの点については御答弁を要しません。  公取の経済部長さんに二、三関連してお尋ねを申し上げます。ただいま私が読み上げました、昭和二十八年四月十五日の通牒の面から申し上げたいと思いますが、この通牒によりますと、この前書きのところにはつきりと、「この件については公正取引委員会とは打合済であり、」とうたい、その最終の項目のところには「繭価協議会が開催された場合は都道府県は開催日時、場所、その構成員若しくは出席者名並びに協議決定内容につき夫々農林省及び公正取引委員会に報告すること。」と、いわゆる指導方針を明らかにしておりますが、この通牒の出される前に、農林省から打合せ済みであるというがごとき打合せをされ、またこれに対して了解をお与えになつた事実がありますかどうか。それをまずお尋ね申し上げたい。
  44. 坂根政府委員(坂根哲夫)

    ○坂根政府委員 ただいまの御質問でございますが、この通牒を出される際に農林省から御協議はございました。そうしてわれわれとしては、その繭価協定と申しますか、お話合いになるのが独禁法の対価の協定になるようなことがあつたのでは困るということは申し上げまして、この通牒をお出しになることについて協議にあずかつた次第であります。
  45. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 その際に通牒の全文について内示を受けられ、その通牒全文について適当であると御判断になつて了解をお与えになつたのでありますか。
  46. 坂根政府委員(坂根哲夫)

    ○坂根政府委員 通牒の全文につきましては御相談を受けたわけではございませんが、繭価の決定方式というところは御相談を受けまして、何と申しますか、全員集つて相対で話をする繭価の研究のような会ならば、私たちも承知いたしますということで了承いたしました。
  47. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 しかしこの繭価決定方式の第二項には「製糸業者その他の繭需要者は農業協同組合又はその連合会からの要求に応じ全員を以ての繭価協議会に参加することが出来る。」というこの条文だろうと私は存じますが、このことは独占禁止法がまだ当時は生きておる。今度独占禁止法が緩和になつて、改悪されて初めて、繭価協定について供給者がこれを申し出て繭価協議会が開催される建前になつておる。これは事実その独禁法に抵触するとお考えがつかなかつたのでありますか。どのような手続を経ようと、どのようなことをやろうと、事実においては独占禁止法に固く禁じておることを——公正取引委員会は独禁法の玄関番であらせられるはずでありますが、そのようなことを簡単にお認めになるのでありますか。私は少しその点についてのただいまの御答弁は了承がつきかねますが、いかがでありますか。
  48. 坂根政府委員(坂根哲夫)

    ○坂根政府委員 それは仰せのように多少疑問点もありますし、あるいは私どもの方でその後の調査を最近やつておりまして、まだ調査の結果は出ておりませんけれども、あるいは御質問のような点も出て来るかも私はしれないと思いますが、この御相談を受けましたときには、全員が出て相対で話合いをする、そういうことになりますれば、その前に製糸業者なら製糸業者としての横のお話合いはない。そこでその席でいろいろ相対でお話合いになるならば、一応最後の協定とはならないのじやないか、こう私どもは考えて一応了承いたした次第であります。
  49. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 ただいま私が資料として引用いたしました新聞紙に記載するがごとき事態が、現実にその後起きておる。いわゆる力を持つた製糸業者の有利になるような通牒自体が、非常に違法不当な通牒であると私は信じますが、だれしも常識でこれは判断のつくことではありませんか。あなたの公正取引委員会の岸川調査課長は、長野県に起きた事実については、私が先刻述べましたような事実が事実とするならば、明らかに独占禁止法違反の疑いはあると述べておられます。こういう事態が起きるというのも、あやまつたそういう通牒がもとになつておることは疑う余地はありません。従つて十分その全文については示されなかつたと言われますなれば、寺内さんは全文を示さずして、局長通牒には完全に公正取引委員会の了解済みなどということは、詭弁ではありませんか。
  50. 寺内政府委員(寺内祥一)

    ○寺内政府委員 この第三の繭価決定方式については公取との関係がありますが、前の方は関係がございませんから、公取に関係のないところは私は示さなかつたのであります。公取の所管事項でありますところについて見せたというわけであります。
  51. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 必ずしも繭価決定方式のみに限りません。この通牒は全体として初めて意義があるのであつて、その中の重要な部門が第三の繭価決定方式であるのであります。それを繭価決定方式だけでよろしいというただいまの御答弁は、昨日同様あなたはいわゆる事務的のみものを判断されるくせがついておると私は思う。もう少し虚心坦懐に、先刻のあなたの心からなる御答弁が真実とするならば、もう少し謙虚な立場で、あなたは反省の要があると私は認めます。また繭価決定方式の一番中心になるのはその一項になりておりまして、あとの第二項の問題は「蚕繭共販運動週間の設定」であつて、これが繭価決定方式を推進して行く一つの組織をあなた方は指示しておいでになるのであつて、これが全体としての通牒の趣旨になつておるのです。どれを一つ切り離してみてもこの通牒というものは体をなさない。そういういわゆる遁辞を述べられるのではなしに、もつと虚心坦懐に非は非としてお認めになり、今後の反省に資していただきたいと私は思うのであります。  それからさらに経済部長にお伺いをいたしますが、通牒末尾の七項に、公取に報告することを指示しておりますが、その報告を聴取せられた事実がありますかどうか。
  52. 坂根政府委員(坂根哲夫)

    ○坂根政府委員 報告調査課長のところに参つておりまして、調査課長の方で一括して委員会の方に報告することになつておりますが、その一括した報告はまだ承つておりません。
  53. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 さらに長野県の上高井郡日野村、豊洲村の事実について公取は御調査になりましたかどうか。
  54. 坂根政府委員(坂根哲夫)

    ○坂根政府委員 その長野県の問題については、私の了解しておるところではまだ調査をいたしておらないかと思います。
  55. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 この新聞は今月七日付でありますから、これが編集され、その編集の素材が現地で調査され、集められたのはまだそれよりも前のことであろうと思います。そして印刷にまわされて昨日付で私どもは見たのでありますから、相当時日がたつておると判断せざるを得ません。にもかかわらず、全然聴取しておらないというようなことは、私は少しあなた方の態度が緩慢ではないかと考えます。すでにこの取引は何箇月も前に済んでおることなんです。ようやくこれが正義感の強い人たちによつて暴露して来たのです。そういう前に事実が起きておる。相当の期間の後にこれが輿論になつて初めて気がつくというようなことではなしに、もつと地方の実情を考えられて、ほんとうに弱い立場に立ち、製糸業者から人件費の補助を受けてようやく経営をやつておるような養蚕協同組合が、何年来の製糸資本の横暴に耐えかねて、思い余つてそういう措置に出たことを、これをまた不当に逆に押えつけるということについては、実に悪質であります。すべてが計画的であります。すべてが独占禁止法を無視しておる行為であるといわれても、弁明の余地はない暴挙であろうと私は思います。そういうものに対して、あたたかい法の公正なる立場からこれを適用し、処分して行くことが、私は公正取引委員会の真の任務であり、それなくしては公正取引委員会はその存在を疑われてもしかたがないと考えます。その点について、今後あなた方は、かような事態を未然に防止するために、もつと熱意と積極的な努力を払われんことを私はこの際強く要望いたす次第であります。御所見いかがでありますか。
  56. 坂根政府委員(坂根哲夫)

    ○坂根政府委員 ただいま足鹿委員からお述べになりました通り、私どもといたしましても、なるべく今おつしやいました地方養蚕農民の弱い立場に着目いたしまして、スピーデイーに仕事をやり、独禁法の精神からこれを処理したい、こう思つておりますが、今御指摘になりました点は、はなはだ怠慢のようでございまして、この点は今後とも御指摘の通り大いに努力して行きたい、こう思つております。
  57. 足鹿委員(足鹿覺)

    足鹿委員 私は、昨日官房長もおいでにならず、政府責任者がおいでになりませんでしたから、ずいぶん留保した点もあります。しかしこれをいまさらむし返し、当局責任を新しく追究するのみに終始してもなりませんが、問題は、政府がいやしくも最も公正な立場に立ち、むしろ強い製糸資本ではなくして、逆に弱い農民の団結と、その団結に基く行為を保護するという立場にお立ちにならなければならないのに、事実は今の日本の蚕糸行政を担当している人々の中で、最近の蚕糸局のやりかたは、何か陰の糸にあやつられて、その字句の中には直接出ておりませんが、事実は公正な立場よりも、結果的に見るとそれが製糸資本の圧力を増大し、弱者をいよいよ窮地に陥れるような指導があえてなされているということを私は指摘いたしたい。この方針が改められない限り、私どもは全国の養蚕業者の声なき声を代表して、最後までこの点については究明を忘らないつもりであります。今後も十分公正取引委員会は、蚕糸局なりあるいは製糸業者なりあるいは養蚕業者の一部のボスの行動等については監視の目を怠らず——もし事実が少しでも現われるならば、その根は深いのであります。断固たる御処置をとられることを強く要望いたしまして、あまりくどいようでありますからきようはこれで質問を打切つておきますが、十分御留意を願いたいと存じます。
  58. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 この際川俣清音君に関連質問を許します。
  59. 川俣委員(川俣清音)

    ○川俣委員 独禁法の改正が行われました際、繭価協定等が現に行われている事実に徴しまして、緩和して行くというのが改正案の要点であつたと思うのであります。しこうして現にこういうことが行われていることを前提として、それを緩和しようという考え方で改正案が提出されたものと思つております。それだけに改正以前においては、この法の厳守方を監督すべきのが公取の任務であると思うのであります。改正前からこれらの違反行為が行われましても、将来改正するであろうという前提で、あえて独禁法を侵されるようなことについての監督について、部長はいかようにお考えになつておりますか、この点をお尋ねいたします。
  60. 坂根政府委員(坂根哲夫)

    ○坂根政府委員 ただいまの御質問は、独禁法が改正される、そこで繭価協定が認められることになる、そういうことを見越して蚕糸局の行政指導方針を認めたのではないかということに帰着するかと思います。この繭価の行政指導方式に対しましては、先ほど足鹿委員から鋭くおしかりを受けましたけれども、私どもは一応こういうかつこうで繭価の協定に必要な事項を話合う、しかも事前に代表が出て話合うのではない、全部がそこに出て話合うということで、くれそれも対価協定にならないような意図のもとに、この指導方針を了承したものであります。
  61. 川俣委員(川俣清音)

    ○川俣委員 対価協定にならないようにという注意を喚起されて容認されたわけでありまするから、協定になつたかならないかということについては、さらに調査検討せらるべきだと思うのです。たとい法案が改正になりましても、その以前における行為につきましては、責任は公取にあると思いますので、この点について私は注意を喚起いたしておきたいと思います。  さらにこれに関連いたしまして、硫安協会が御承知のように、海外輸出の際において海外において入札をいたしておりますが、この一社が入札をいたしました価格において、国内の硫安メーカーでありまする硫安協会に所属しておりまする十四社が、数量の割当と価格協定を行いまして国外に輸出いたしておりますが、これらの点については、公取の委員長調査をいたしまして、かかる事実があつた場合におきましては、適正な処置をとる旨の御答弁があつたのであります。通産省はそういう事実はないと否定いたしておりますが、現に御承知の通り、硫安協会の中におきまして、かかる数量の強制割当は反対であるということで脱退の意思を持つておる者もあり、または生産高に対する割当は不当であるから、地域差、地理的条件その他の条件を勘案して割当数量変更を求めておるような事実もあるわけであります。このように、一社が入札いたしましたものが、輸出をする場合においては何らの制約もないのであります。一社が入札をいたしまして、他の入札をしないものまでが、この一社の協定に入りまして、価格を協定いたしまして輸出いたしますことの明らかに違反行為であることは、公取の委員長が認めておられるところであります。これに対する調査がいまだ十分行われておりませんが、将来すみやかに行おうとする意思があるかどうか、この点をお尋ねいたしておきたいのであります。
  62. 坂根政府委員(坂根哲夫)

    ○坂根政府委員 ただいまの御質問は、私どもの方はあくまで硫安の問題については調査を続けて行くというつもりであります。
  63. 川俣委員(川俣清音)

    ○川俣委員 この点につきましては、今度の輸出会社法が出ましたのも、これは明らかに独禁法に違反する行為でありますために、除外規定を設けようということで出ております。従いまして、現に行われている行為が独禁法に触れることは明らかなんです。この行為を、独禁法適用外といたして輸出会社を設けたいというのでありますから、現に行われている姿は独禁法に違反していることはすでにお認めで、調査を待つまでもなく御承知のはずでおると思うのでありますが、なおまだ調査をしなければならぬというお考え下ありますか。現に行われていることについての認識が足りないのでありますか、その点はどうですか。
  64. 坂根政府委員(坂根哲夫)

    ○坂根政府委員 御承知でもございましようが、独禁法でその事件の違反をとらえますときには、よほど証拠がはつきりいたさなければならぬのでありまして、今お示しの問題は、なるほどそうであるかもしれませんけれども、もし審判でもやるということになれば、証拠を固めて行くという点でなお私は調査をして行きたいと考えております。
  65. 川俣委員(川俣清音)

    ○川俣委員 これは調査とおつしやいますけれども、赤字会社も輸出に参加いたしておる。いわゆるコストに合わない会社もあえてこれらの輸出に参加いたしておる。もしも自由でありますならば参加いたさないはずであります。またこの輸出につきましては、どの社がどのくらいの数量を輸出いたしたかということは、通産省ですでにわかつておることであります。あえて調査を待たないでも現に明瞭なことであります。これらの点について、すでに世間では明瞭になつておる点を、公取だけが不明瞭だ、調査をしなければならぬということは、どうも解せないのですが、どうですか。
  66. 坂根政府委員(坂根哲夫)

    ○坂根政府委員 その点は公取だけが不明瞭というわけではございませんで、先ほど申し上げましたような法律的手続をとるために、少ししつかりしたものを認めて行きたいということが一つ、今川俣委員がおつしやいましたように、公取委員長がすでに認めておるものでありますれば、私また帰りまして、よく委員長と相談して、研究して行きたいと思つております。
  67. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 農林大臣がお見えにかりましたので、この際農林委員会を代表して委員長より御要望を申し上げ、かつ大臣から御見解の表明をいただきたいと考えます。  本委員会において審議せられた農業委員会法の一部を改正する法律案、農業協同組合法の一部を改正する法律案に関しましては、技術指導組織、農民の代表機関等のあり方について、なお検討すべき点を少からず含んでおると思うのであります。一方食糧増産の推進、農家経営改善、農協経営の刷新強化等のため、農業指導組織の確立、末端における技術陣営の整備拡充等に関しまして、農業団体の果す役割の重要性については異論のないところであります。由来日本農村の特徴といたしましては、企業的農業経営者の集団ではなく、自然発生的な、有機的な地域共協体でありまして、農業者の繁栄をはかるためには、まずこの農村という集団組織共協体の繁栄策を講ずべきであろうと思うのであります。それゆえ日本農業の繁栄策といたしまして、農業団体のあり方は、諸外国の農業政策に比し、一層の重要性を持つものであろうと信じます。終戦後のわが国の農業団体は、従来の権力的な、あるいは統制的な農業会の解消以来、占領政策に基く理由もありまして、いたずらに濫立せる感があつて、今や真の農業団体再編成を断行すべき時期に立ち至つておると思うのであります。  政府は以上の観点からいたしまして、日本農村の経営上、農村団体の主要な役割を十分に考慮せられまして、既存の系統農業団体の勢力均衡や、ふるいは予算の獲得の方便等にとらわれることなく、また団体の設立はきわあて安易ではありますが、その統合や廃止がいかに困難であるか、こういうことも考えられまして、真に農村繁栄の施策として、農業団体が今後いかなる形態にあるべきかという点を根本的に検討をせられまして、それに基いた立案をなさつて、次期の国会農業団体関係法を提出せられんことを要望する次第でございます。これについての大臣の御見解をまず伺いたいと思います。
  68. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 農業団体関係につきましては、帰するところは農村の経済をいかに発展せしめて、農村の発達を期して行くかというところに目標がなければならないと存じます。そこで考え方としてはいろいろ出て来ると思うのでございます。理想論としてはいろいろの考え方もあろうかと存じますが、一つ制度を改革するという場合におきましても、既成の事実というものも尊重してかからなければならない。既成の事実が生れるには、やはり生れるだけの社会的、経済的な理由がそこにあつて生れて来ていると思う。今回政府提出いたしました両法律の改正案は、さような現実の面を見つ、しかも農村の発展をはかつて参りまする上に、農村団体を強化して行くという考えのもとに提案をいたしておるわけでございます。従いまして、むろんこの農村団体のあり方につきましては、農林当局としまして絶えず研究をいたして参ることは申すまでもないわけでございますけれども、次期国会にこれらの抜本的な根本案を出し得るかどうかということは、にわかに言明のできない問題であろうかと思います。
  69. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 この問題は、政府におかれましても長い年月非常に努力をされたということは承知をしております。また既存の団体間におきましても、それぞれ要望があつたということも承知をしております。さらにまた本委員会におきましても、なかなか根本的な論議が尽きず、難航をいたしましたことは大臣も御承知だろうと思います。つきましては、これがこのまま流れてしまうということであつてはならないことはもちろん、先ほど私の申し上げましたように、きわめて重要度の高い問題でありますので、何とかしなければならぬということは、私の申すまでもなく御承知のはずと思います。つきましては、その方法といたしまして、何か御腹案がおありになりまするかどうか、たとえば何らかの委員会のようなものでもつくられて、それによつて検討をされるというようなことをお考えになつておりましようか。この点を伺いたいと思います。
  70. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 問題をひとつ具体的に取上げるということがきわめて困難ないろいろの関連性があるということは、よく承知をいたしておるわけでございます。どういうことで研究をいたして参るかは、今後ひとつ検討してみたいと思います。
  71. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 その次にお伺いをいたしたいことは、団体機構が確立されまするまでの過渡的な時期は、若干予算的その他の面を考えまするときに、混乱が生ずるのではないかというふうなおそれもございます。政府は今問題になつております両法案に関連いたしまして、本国会において成立を見た予算案との調整をどうなされるかというふうな問題についても、多分苦慮なさつておられると思うのでございます。こういつた過渡的な措置として、適切な御考慮を払つていただきたいと思うのでありますが、これについての御見解をお漏らし願いたいと思います。
  72. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 成立いたしております本年度の予算中に、この両法案の成立したあかつきにおいてはこういう予算を執行する、というものが若干ございますことは御承知の通りであろうと思います。しかしながらこの両法案が成立をしないという場合にはどうするか。むろん法案の成立を期待しておる部面におきましては、これは相当の食い違いが生じて参りますので、心配いたしておるわけであります。しかし建前といたしましては、これはこの団体強化という線において計上いたしております予算が、法案が成立しないということであれば、むろんこれはもう使うわけには参らない。ただその中において、農村団体の活動を保持いたしますために具体的にどういう措置をとつて行くかということは、その場合に研究してみなければ何とも申し上げられません。
  73. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 本問題に関連いたしまして、委員諸君のうちに何か御発言がございますか。——別に御発言もなければ、この際、さきに留保せられました加藤高藏君の質問を許します。加藤高藏君。
  74. 加藤(高)委員(加藤高藏)

    加藤(高)委員 過日の委員会におきまして、私は輸入小麦と内妻との関係を大臣にお伺いいたしたのであります。すなわち外麦が当初予定されましたより以下の価格で輸入されました場合に、政府といたしましては、内麦を圧迫しないために一定の利潤を外麦に加えましてこれを払下げなければならないと思うのでありますが、この場合におきまして、これによつて生じました利潤をいかなる方法で佐用するかということをお伺いしたのでありますが、大臣は重大な問題であるから十分研究して、後刻御答弁をくださることをお約束したのでありますが、この点についてお尋ねしたいと思います。
  75. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 その問題につきましては、食糧当局にも十分研究を願つて参りました。ちようど食糧庁長官が参つておりますから、食糧庁長官から御答弁いたさせます。
  76. 前谷政府委員(前谷重夫)

    ○前谷政府委員 お答え申し上げます。御承知のように、現在の小麦の場合を考えますと、国際小麦協定におきまず場合におきましては、お話のように補給金をつけないでおります。と申しますのは、ただいまの加藤委員お話のように、外麦と内麦との価格をある程度シヤツトいたしますために、内麦価格から逆算しました外麦の売払い価格決定いたしておりますので、その価格との関係上、国際小麦協定の場合におきましては益が出て参ります。その国際小麦協定のほかに、自由小麦といたしましては、まだ現存の国内小麦価格と比較しまして不足が出て参ります。これを両者小麦を内部でプールいたしまして、現在におきましては補給金をつけておるわけでございます。しかしながら今後国際価格が下落いたして参りまして、小麦全体といたしまして補給金がいらないばかりか、内麦価格から逆算いたしました価格と比較して安いという場合にどうするかというお尋ねかと存じますが、その場合におきましては、現在のわれわれの考え方といたしましては、現に内妻価格において、小麦内麦につきまして食糧特別会計において赤字を負担しております。従いまして、そういう麦の間のプールということが考えられるわけでございます。またさらに進みましては、内麦等の補給金がまだ一般会計から食糧特別会計に繰入れられておりますので、そういうものと合せまして、食糧特別会計全体といたしましてプールして参ることが妥当であろうと思いまして、目下具体的な事態が起つた場合の措置については研究をいたしておる次第でございます。
  77. 加藤(高)委員(加藤高藏)

    加藤(高)委員 次にお伺いしたいのは、湿田単作地帯の農業改良促進法の目的は、農地の利用率を高めまして、農業経営の高度化をはかることにあると思うのでありますが、この高度化についての政府の御意見をお伺いしたいと思うのであります。なお水田の利用度が遅れているということは、単に湿田であるという自然的条件以外に、各種の経済的諸条件が介在していると思われるのでありますが、今後の湿田単作地域の農業改良促進については、土地改良事業のみでなく、農業経営立場に立つた総合的な助成指導が同時に行われなければならないと思うのであります。湿田単作地域農業改良促進法の第三条にありますところの農業改良計画とは、かような意味での総合的開発計画意味と解してよろしいかどうか、もしそうであるといたしますれば、予算措置におきまして、土地改良事業費のみに限定して、総合的改良計画に対する予算現状を見ていないのはいかなる理由によるものでありますか、あわせてお伺いしたいと思います。
  78. 渡部政府委員(渡部伍良)

    ○渡部政府委員 湿田単作地域の農業改良促進の特別法の目的は、ただいまお述べになつ通りでありまして、わが国の水田のうち約三割弱が二毛作になつているのでありまして、それ以外は何がしの湿田というふうになつております。従いまして、これを三毛作化することはわれわれの一つの大きい夢であります。そのためには、まず湿田を乾田化するということが第一であります。その見地の上に立ちまして乾田化をいたしますれば、いろいろな問題が派生して来るのであります。土壌の性質がかわる、従つて作物の種類もかえなければいかぬし、また一方から言うと、完全な乾田化をやれば、今度は水量が不足になる場合、灌漑水の不足を来す場合等々がありますので、これは総合的な研究のもとにやらなければならないのでありますが、何を申しましても、根本は、湿田をできるだけ裏作の導入できる程度の乾田化に持つて行かなければならないのであります。従いまして、これの政府対策といたしましては、土地改良という面が第一に大きい施策として取上げられるのは当然なのであります。この土地改良ができました上からは、これの程度によりまして、最も耐湿性の強い菜種がまず入り、次に麦が入つて行く、麦の中でも大麦、裸麦よりは小麦が入つて行く、さらに程度によつて家畜の飼料としての飼料作物、あるいは青刈うん薹とか、あるいはクローバその他入れるものもいろいろあるが、これを湿田の改良度に応じまして、その地帯に最も適合した農業改良計画を立てて行こうとするのが、湿田単作地帯振興の臨時措置法なのであります。従いまして、われわれのやつておりますのは、加藤先生のおつしやいますような、総合的に各方面からその土地に最も適合するものを順次入れて行つて、農業経営改善と安定をねらつているのであります。ただお話のありました国家の助成金が土地改良に集中されているじやないかということでありますが、これは実は先ほど申し上げましたように、品種の改良であるとか、家畜の導入であるとか、あるいは湿田特有の車粘土地帯の耕起のための動力耕耘機でありますとか、それぞれの縦の予算が組まれているのであります。それらの予算を湿田単作地帯の農業改良計画に適合したように県で配分するときにうまく持つてつてもらうことにしております。根本は土地改良が根本でありますので、土地改良の分だけは特に取上げて重要性をはつきりする、こういうふうにしておるのであります。ほかの予算が湿田単作地帯についてないというのではないのであります。
  79. 加藤(高)委員(加藤高藏)

    加藤(高)委員 湿田単作地帯農業改良事業に関連して、もう一点お伺いしたいと思います。  裏作作物として政府はいかなる作物を奨励しておりますか承りたい。裏作作物として奨励されておりますところの菜種は、すでに生産過剰の様相を来しておるのであります。今後における世界食糧生産の動向、わが国自立経済の確立としての国内食糧自給度の向上並びに農家経済の安定等の諸点から考えましても、最も合理的な作物の導入を期すべきものであろうと思うのでありますが、政府の所見をさらにお伺いしたいと思うのであります。また菜種の増産が麦作の減反に影響することはないかどうか、また今度制定されました安定法におきまして、菜種の価格決定の方式はいかにされたか、またこの問題は大豆の輸入にも大きな影響を与えると思うのでありますが、この関連性をお伺いしたいと思います。
  80. 渡部政府委員(渡部伍良)

    ○渡部政府委員 先ほどちよつと触れました通り、湿田の面積が多い、かつこの湿田の広がつておるのは、いわゆる積寒地帯相当多い、こういうのでありまして、どうしても耐湿と耐寒性の作物を入れなければ、裏作の導入が困難である。そこで菜種が最も耐湿、耐寒性を帯びておるのであります。たとえば秋田、岩手ぐらいまでは完全に作付ができる農林二十八号というような菜種の品種もできまして、どんどん入つて来ておるのであります。従つてこの菜種が麦に次ぐ裏作の重要作物として取上げられまして、それが予想以上の成績を上げて来ておるのは、御指摘の通りであります。一時一俵三千円から四千円もした菜種が三千円以下に下つておるのも、また事実であります。しかしながら二毛作化をやるというためには、どうしても菜種を無視することはできないのであります。菜種をつくれば表作から裏作への耕起とかあるいは移植とか、そういう農作業の時間的なやりくり、あるいは耐冷、耐湿に対する管理の方法等が農家の農業経営の中に自信をもつて取入れられまして、これがさらに麦作も十分つくれるというふうな裏づけになることを、われわれは期待しておるのであります。そういう意味において菜種が最も重要な裏作になつております。そのほか先ほど申し上げましたように、飼料作物等につきましても、相当裏作として需要されております。また緑肥作物としても、特別の品種改良の予算を組みまして、裏作ことに積寒地区の裏作としてやつておるのは御承知の通りであります。  次に菜種の増産によつて麦の面積が相当食われておるのじやないか、こういうお話でありますが、これは統計に明らかに、菜種の作付面積の増と麦の作付の減が大体同じような面積になつております。この内容を私どもしさいに分析したのですが、一部分におきましては、麦の供出制度で無理に作付されておつたのがだんだんそのほかの作物に転換したということによる麦の作付減もありましよう、また麦よりも菜種の方が割高である、有利であるという理由で減つた分も否定できないと思います。また菜種は深根作物でありますので、麦、米と略奪的な経営をやつたところに麦を輪作の一つとして入れ、土壌の改良に資するために裏作として菜種を入れる、こういう部面もあります。これらの点は今後麦及び菜種の品種改良あるいは耕作技術の改善等によつて、適当なる作付をやるように指導して参りたいと思います。  それから第三の菜種の増産によつて菜種の価格はうんと下つて困るじやないか、こういうお話でありますが、菜種の価格の問題につきましては、先般国会で御提案になりました農産物価格安定法に基く運用によつて菜種の生産を維持して行くように、運用に遺憾ないようにやつて行きたいと思います。また菜種の価格決定方法でありますが、これは菜種のパリテイ価格を基準としまして、そのほかの経済事情等を参酌してきめるようにして行く方針であります。  それからまた菜種と大豆との競合の問題であります。菜種と大豆の用途はそれぞれ食料油脂が大きい問題でありまして、どうしても国内の菜種が増産されれば輸入大豆による油と競合するのは当然であります。しかしながら食生活の改善等から行きまして、現在よりももつと油を食べて行くことは必要であります。従つて一方では菜種の生産について先ほども申し上げましたように、品種の改良とか耕作技術の改善等によりまして、これの値段をできるだけ合理化して行くということも努力する必要があります。大豆の競合についてはこれ以上の菜種の生産がある場合には、どうしてもある程度大豆の輸入について調整的な処置を考えなければならない、こういうふうに考えるのであります。当面の問題としては、現在大豆の外貨割当の際に菜種の生産状況等をにらみ合せながら調整をとつてつておるのであります。
  81. 加藤(高)委員(加藤高藏)

    加藤(高)委員 ただいま申し上げました菜種、大豆等これらの農産物については、単に価格の安定をもつて足れりとするものではなく、これらの貴重な油脂作物また大豆のごとき油脂及び蛋白質の作物については、今日の食習慣と密着した合理的な消費方法を研究して、国民の食用に供すべきものであろうと思うのであります。特に農民は、御承知のように都民に比べまして脂肪、蛋白の摂取量が劣つておる現状でありますから、農村を対象といたしまして、特に考慮さるべきものと考えるのであります。
  82. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 加藤君に申し上げますが、農林大臣は六時から参議院の本会議へお臨みになります。そこで、大臣に残つている質問がございますれば、それを先に集約して御質問題います。
  83. 加藤(高)委員(加藤高藏)

    加藤(高)委員 それではこの問題をあと二、三やりまして……。それと同時に輸入食糧の節減、国民経済の自立安定並びに国民体位の向上等の諸点から見ましても、もつと重点的に考える必要があると思うのでありまするが、政府の所見はいかがでありますか、お伺いしたいと思います。
  84. 渡部政府委員(渡部伍良)

    ○渡部政府委員 菜種の増産の一つ理由は、これは計数的に出て来ないのでありますが、実は菜種が増産しても大工場に集中しないのでありまして、地方工場で処理されておるのであります。このことは、やはり地方で、農家等で相当油が消費されている証左とわれわれは了解しておるのであります。このことが菜種の増産の一つの刺激材料になつておるということも推定しておるのでありますが、これは統計的に出て来ないもので、一応推測の域を出ないのであります。しかし、われわれといたしましては、米麦偏食から蛋白、脂肪によつて、できるだけ国民体位の向上をはかるのみならず、国内でできる食糧で国民の栄養をまかなつて行きたい、こういうのが念願なのであります。今後そういう方面につきましては、さらに研究をして行きたい、こういうふうに考えます。
  85. 加藤(高)委員(加藤高藏)

    加藤(高)委員 肥料の問題について大臣にお伺いいたします。現在当委員会におきまして審議中の二法案は、国会の末期に提出されたのでありまして、本国会の通過は困難のように見受けられるのでありますが、政府はこれに対しまして、この秋肥の対策はいかにするお考えでありますか、特に大臣にお伺いしたいと思うのであります。安定帯価格による方式をもう一期続けてするといたしますならば、そのあつせんの立場に立つておられますところの政府として、硫安の価格決定はいかにしようとするのでありましようか。
  86. 保利国務大臣(保利茂)

    ○保利国務大臣 私は現下の肥料問題に対しまするいろいろの関係方面の要請にこたえて、ぜひ需給安定法案の成立をただいまも心からこいねがつておるものでございます。しかしいずれにしましても、生産コストの調査をもとにして動かして行くべき建前になつておりますから、秋肥の問題については、むろんこの法律がこの国会で成立いたしましても、これによつて動かして行くことはできないであろうということは申し上げてある通りであります。秋肥につきましては、今日までとつて参りました安定帯価格による行政措置を今後も続けて参りたいと考えております。
  87. 加藤(高)委員(加藤高藏)

    加藤(高)委員 湿田単作地域農業改良促進法に関連して、もう一点お伺いしたいのであります。湿田単作の土地改良事業を行いますときは、まず第一に排水工事を行うと同時に、必要によりあわせて灌漑工事をも行う場合が多いと思われるのでありますが、この際この用水の調整につきまして研究せられておるかどうかという点であります。御承知のことと思いますが、干拓事業などを行いました結果、その周辺の水田が干魃に悩むようになつた事例がしばしば見受けられるのであります。従いましてこの湿田単作地域の農業改良事業の促進について、この点にいかなる留意を払われておられるか。もし万一この事業によつて水田が干魃にかかる危険が生じた場合に、それらの水田の灌漑工事に対して何らかの補償対策を考えておられるかどうか、これをお伺いしたいと思うのであります。またその場合にはどの程度の補償をするお考えであるか。また、たとえば埼玉、千葉、茨城等の今後の湿田単作の振興をはかることにつきまして、この水について特に総合的な計画を立てるべきであろうと思うのであります。幸い利根川を中心といたしますところの総合開発計画があるわけでありますが、政府はこの総合開発計画に基きまして湿田単作地域の改良促進、農業用水と工業用水との調整、裏作として導入させるべき作物、さらにその上に立ち上るべきところの農業経営形態の確立等につきまして、総合的な系統的な対策があつてしかるべしと思うのでありますが、これにつきまして政府の御所見をお伺いしたいと思うのであります。
  88. 渡部政府委員(渡部伍良)

    ○渡部政府委員 湿田の乾田化によりまして、灌漑水が不足するおそれはないか。これに対する対策いかんという問題でありますが、元来灌漑、排水はうらはらの関係をなしておりますので、事業をやるときに、最も基本的な問題として用水と排水の相関関係を遺憾なくするということは、事業を行います者の頭を悩ます問題であります。これは事業の設計にあたりまして十分慎重を期して行き、どうしても排水によつて灌漑水の不足になるというような場合には、あらかじめ水揚げポンプ等の施設を備えつけるというふうなことをやらなければならないのは、もうすでに御承知の通りであります。もしそういつた設計が間違つて、排水によつて用水が足りないようなことにならないように、慎重を期さなければならないのでありますが、もしそういう事態発生しました場合には、先ほど申しましたように、揚水機の増設等による処置をしなければならない。この点は私専門でございませんので、説明が不十分であるかと思いますが、御了承を願いたいと思います。  なお排水後の対策でありますが、これは先般土地改良法の改正に関連しまして、当委員会でも、新潟県等で、排水したために収量が落ちたというような事例が問題になりましたが、要するに排水をやりますと、土壌の理化学的な性質から、土壌の状態がかわるから、農機具等一切の革命を起しますので、それにつきましては、従来いわゆる経営土地改良との関係が、必ずしも十分密接に行つておつたと言えないような事例も否定することができないと思うのでありまして、この点につきましては農林省としましても、これは役所の機構的な関係からいいまして農地局と農業改良局とが一緒になつて大きい、たとえば要所々々のようなところでは、そこにあらかじめ小さい委託試験地を置きまして、工事の完成したあかつきにはすぐそれが農家に自信をもつて、作物はこうすればいい、肥料はこういうふうにやる、農機具はこう使えばいいというように指導できるような方向に進めて行きたいと考えまして、来年度の予算にもそういうことを要求しようと、目下具体的に作業を進めております。  なお利根川総合開発の関係であります。これは非常に大きい計画でありまして、総合開発となりますと、利根川本流から、国営、県営の根幹事業、それから末端の各土地改良区に至るまでの総合的な計画が入つております。われわれの方といたしましては、農地の関係を担当してやるのでありますが、全体の計画との総合調整につきましては、十分遺憾のないようにやつて行きつつあり、今後さらに力をいたして行きたい、こういうふうに考えます。
  89. 加藤(高)委員(加藤高藏)

    加藤(高)委員 時間がありませんので、これで質問を打切りますが、次の国会におきましてさらにこまかく申し上げます。
  90. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 この際付託法案取扱いについてお諮りいたします。臨時硫安需給安定法案につきましては、今日のところ議了することは困難な情勢にありまするので、この際閉会審査の申出をいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 御異議なしと認めます。なお情勢が変更になりました場合はあらためて御協議を願うことにいたしたいと思いますので御了承を願います。
  92. 金子委員(金子與重郎)

    ○金子委員 肥料関係の二法案につきましては、委員会が農林と通産のニつにまたがつておりまして、その二法案を今後継続審議いたしますのは、あるいは小委員会でやられろ場合もありましようし、その他の場合もありましようが、主として小委員会等において研究する場合は、通産委員会におけるわける肥料委員と農林委員会における肥料委員と緊密な連絡をとつていただきまして、そうして参考人を招致するなりあるいは調査するなり、あるいは審議するのにもともに行動して行くことが、法案の全きを期する上から行きましても、あるいは能率の点から行きましても、その方がよろしいと思いますので、ただいま委員長においてそういうふうに今後の議事の進め方をはかられるよう御努力願いたいことをお願いいたしまして、今後この法案ができるだけ早く、最も全きものが完成するようにお願いいたしたいと思います。
  93. 足立委員(足立篤郎)

    ○足立委員 ただいま肥料問題の取扱い方につきまして金子委員から御発言がございました。今後の遺骨につきましての金子委員の御意見につきましてはまことに傾聴に値すると存じまするが、ただ今日の段階におきまして審議を完了することは不可能であるという委員長の御断定のもとに継続審議決定がなされたのでございまして、これは事情まことにやむを得ない事態に立ち至つたということを私どもも認めるのであります。しかしながら委員各位御承知の通り政府の提案が遅れた等の理由から、審議の期間がまことに不十分だつたことは、私ども与党の議員として責任を感じますけれども、全国の農民が待望いたしており、強い輿論になつておりますこの肥料問題を、国会において、しかも延長されたこの会期において、何とか通過成立をはかりまして、農民の期待にこたえたいと私ども真剣な努力を払つて参りましたし、また参議院側におきましても、委員長みずからおでましになりまして、この法案については協力する態勢ができておるという申出もありまして、この数日間各党派との間におきまして、私ども真剣に相談して参りましたが、事ここに至りまして遂に審議の完了を見ることができないということはまことに残念でございます。特に本日も理事会におきましてお諮りをいたし、各派で修正案等も用意をいたし話合いをいたましたが、遂に野党各派の御了承を得ることができず、ここにこの国会において成立を見ることができなかつたということは、まことに残念でございますので、ただいま金子委員から御発言のありました通り、一日も早く、この肥料対策につきましては完全なる法案国会において通過せしめられますよう、委員長におかれましても格段の御配慮を願いたいと、強く要望申し上げる次第であります。
  94. 井出委員長(井出一太郎)

    井出委員長 ただいまの金子、足立両委員の御発言は、委員長におきましても十分勘案の上、今後の審議を続ける所存でございます。  暫時休憩いたします。     午後六時二十二分休憩      ————◇—————   休憩後は開会に至らなかつた