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1953-08-06 第16回国会 衆議院 農林委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月六日(木曜日)     午後二時十七分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 平野 三郎君    理事 金子與重郎君 理事 足鹿  覺君    理事 佐竹 新市君 理事 安藤  覺君       小枝 一雄君    佐々木盛雄君       佐藤善一郎君    佐藤洋之助君       福田 喜東君    松岡 俊三君       松野 頼三君    松山 義雄君       八木 一郎君    五十嵐吉藏君       吉川 久衛君    井谷 正吉君       芳賀  貢君    川俣 清音君       中澤 茂一君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君  委員外出席者         議     員 杉村沖治郎君         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    有吉  正君         大蔵事務官   玉井  振君         農林事務官         (農地局管理         部農地課長)  和田 正明君         参  考  人         (閉鎖機関日本         蚕糸業会特殊清         算人)     黒瀬 勘一君         参  考  人         (特殊法人関係         閉鎖機関特殊清         算事務所業務第         二部第三課長) 渡辺 与樹君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 八月六日  委員遠藤三郎君、綱島正興君及び加藤高藏君辞  任につき、その補欠として佐々木盛雄君、八木  一郎君及び五十嵐吉藏君が議長の指名で委員に  選任された。     ――――――――――――― 八月五日  肥料管理法案足鹿覺君外五名提出、衆法第八  一号) 同月六日  自給肥料増産特別措置法案杉山元治郎君外十  一名提出、衆法第七八号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  蚕糸に関する件  農地の転用に関する件   請 願  一 新村星川原野返還に関する請願伊東岩男    君紹介)(第三六号)  二 農業協同組合育成強化等に関する請願(    山口丈太郎紹介)(第九〇号)  三 凍霜害対策確立に関する請願佐瀬昌三君    紹介)(第一二八号)  四 急傾斜地帯農業振興対策予算増額に関す    る請願今村忠助紹介)(第二一九号)  五 硫安肥料国内価格引下げに関する請願(    今村忠助紹介)(第二二六号)  六 頓別及び仁達内両原野開発促進請願(松    浦周太郎紹介)(第二三三号)  七 なだれ防止対策事業確立に関する請願(玉    置信一君紹介)(第三二五号)  八 北海道農業事業費暫定予算に計上等の    請願椎熊三郎紹介)(第二四八号)  九 下尾井国有林の立木を北山村に払下げの請    願(世耕弘一紹介)(第二四九号) 一〇 硫安肥料国内価格引下げ等に関する請願    (佐藤善一郎君外十一名紹介)(第三〇九    号) 一一 大樹町に営林署設置請願伊藤郷一君紹    介)(第三一〇号) 一二 大樹町を高度集約酪農地区に指定の請願(    伊藤郷一君紹介)(第三二号) 一三 石坂地区国直轄排水工事施行請願(伊    藤郷一君紹介)(第三一六号) 一四 県村地内に道路開設請願足鹿覺君紹    介)(第四八二号) 一五 北海道農業事業費暫定予算に計上等の    請願松浦周太郎紹介)(第四八六号) 一六 肥料価格適正化に関する請願渡邊良夫    君紹介)(第五六〇号) 一七 トムラウシ地帯生産木材十勝清水駅に搬    出の請願伊藤郷一君紹介)(第五六一    号) 一八 国内産砂糖政府買上げ及び消費税撤廃に    関する請願山中貞則紹介)(第七一九    号) 一九 農業団体再編成に伴う農業改良補助職員の    増員に関する請願山中貞則紹介)(第    七二四号) 二〇 開拓地酸性土じよう改良事業に関する請    願(山中貞則紹介)(第七二五号) 二一 急傾斜地帯農業振興臨時措置法適用請願    (山中貞則紹介)(第七三六号) 二二 畑地かんがい特殊法制定請願山中貞則    君紹介)(第七二七号) 二三 農業共済掛金農家負担率軽減に関する請    願(山中貞則紹介)(第七二八号) 二四 農業政策確立に関する請願大石ヨシエ君    紹介)(第七二九号) 二五 東襲山村農業共済組合農家単位共済実施    指定組合に認定の請願池田清志紹介)    (第七三〇号) 二六 福島県に集約酪農地区設定請願鈴木義    男君紹介)(第七九〇号) 二七 熊毛糖業育成に関する請願岩川與助君紹    介)(第七九一号) 二八 凍霜害対策に関する請願渡邊良夫君外一    名紹介)(第七九二号) 二九 積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法に基く予    算増額に関する請願渡邊良夫君外一名紹    介)(第七九三号) 三〇 米価対策等に関する請願中村時雄君紹    介)(第七九四号) 三一 荒川及び駒込川の毒水排除車業に関する請    願(山崎岩男紹介)(第八〇六号) 三二 蚕糸座繰製糸を機械座繰変更許可に関す    る請願長野長廣紹介)(第八四八号) 三三 桑園の凍霜害対策確立に関する請願(小山    倉之助紹介)(第一〇九八号) 三四 降ひよう害対策確立に関する請願大石ヨ    シエ君紹介)(第一〇九九号) 三五 上原井領用水路改修工事施行請願(橋本    龍伍君紹介)(第一一〇五号) 三六 笠之原に畑地かんがい用高隈ダム設置の請    願(永田良吉紹介)(第一二〇五号) 三七 凍霜害対策費増額等請願(萩元たけ子君    紹介)(第一四三七号) 三八 雄国山ろく開拓道路開設請願河原田稼    吉君紹介)(第一四四四号) 三九 凍霜害対策費増額等請願増田甲子七君    外一名紹介)(第一四九七号) 四〇 川内市地内農作物水害対策確立に関する請    願(冨吉榮二紹介)(第一七七〇号) 四一 広島県東部の農業災害対策確立に関する請    願(高津正道紹介)(第一七七一号) 四二 桑園の災害対策確立に関する請願西村力    弥君紹介)(第一七十二号) 四三 凍霜ひよう害対策確立に関する請願(原茂    君紹介)(一七七三号) 四四 桑園の凍霜害対策確立に関る請願只野直    三郎君紹介)(第一八三五号) 四五 開拓道路花岡線改修工事施行請願(永田    良吉君紹介)(第一八三六号) 四六 肝属地区畜産試験場設置請願永田良    吉君紹介)(第一八三七号) 四七 山梨県の農業災害対策確立に関する請願(    古屋貞雄君外四名紹介)(第一八三八号) 四八 六ケ所村に開拓地診療所設置請願(淡谷    悠藏君紹介)(第一九五九号) 四九 愛媛県下の農業災害対策確立に関する請願    (中村時雄紹介)(第一九六六号) 五〇 広島県下の農業災害対策確立に関する請願    (高橋禎一紹介)(第一九六七号) 五一 国有林野整備臨時措置法の一部改正に関す    る請願淡谷悠藏紹介)(第一九六八    号) 五二 農業政策に関する請願大石ヨシエ君紹    介)(第一九七〇号) 五三 広島県東部の農業災害対策確立に関する請    願(岡本忠雄紹介)(第二〇六五号) 五四 同(船越弘紹介)(第二〇六六号) 五五 凍霜ひよう害対策確立に関する請願(船田    中君紹介)(第二〇六七号) 五六 桑園の凍霜害対策確立に関する請願(小山    倉之助紹介)(第二二二三号) 五七 凍霜害対策確立に関する請願(原茂君紹    介)(第二二二四号) 五八 農業災害対策確立に関する請願山口丈太    郎君紹介)(第二二九三号) 五九 農業政策に関する請願佐藤善一郎君外十    一名紹介)(第二三六二号) 六〇 川内市地内農作物水害対策確立に関する請    願外一件(池田清志紹介)(第二三六三    号) 六一 飼料需給調整に関する請願大石ヨシエ君    紹介)(第二三六五号) 六二 小松島市に農林省神戸植物防疫所支所設置    等に関する請願外二件(小笠公韶君外一名    紹介)(第二三六六号) 六三 東鷹栖村地内国有林野払下げに関する請願    (武田信之助紹介)(第二三六七号) 六四 柳原用水土地改良事業施行請願栗田英    男君紹介)(第二三六八号) 六五 神辺町外十四箇市町村農業水利改良事業施    行促進に関する請願高津正道紹介)(    第二五九〇号) 六六 川内市地内農作物水害対策確立に関する請    願(尾崎末吉紹介)(第二五九一号) 六七 朝倉郡の農作物水害対策確立に関する請願    (福田昌子紹介)(第二七七六号) 六八 県営土地改良事業施行に関する請願(船越    弘君紹介)(第二七七七号) 六九 愛媛県の農業災害対策確立に関する請願(    中村時雄紹介)(第二七七八号) 七〇 凍霜害対策費増額等請願(原茂君紹介)    (第二八九七号) 七一 朝倉郡の農作物水害対策確立に関する請願    外四件(熊谷憲一紹介)(第二八九八    号) 七二 同(熊谷憲一紹介)(第二九六七号) 七三 高岡村地内国有牧野所属替えに関する請    願(山崎猛紹介)(第二九六八号) 七四 砂糖の輸入量増加に関する請願辻寛一君    紹介)(第三〇〇五号) 七五 大ヶ所村に開拓地診療所設置請願(山崎    岩男君紹介)(第三〇〇六号) 七六 農民組合法制定に関する請願井谷正吉君    外三名紹介)(第三〇〇七号) 七七 肥料対策に関する請願井谷正吉君外二名    紹介)(第三〇〇八号) 七八 昭和二十八年産米価格等に関する請願(井    谷正吉君外二名紹介)(第三〇〇九号) 七九 西日本水害対策確立に関する請願大石ヨ    シエ君紹介)(第三〇一〇号) 八〇 朝倉郡の農作物水害対策確立に関する請願    外一件(熊谷憲一紹介)(第三二〇九    号) 八一 福岡県下の農作物水害対策確立に関する請    願)(熊谷憲一紹介)(第三二一〇号) 八二 淡路島農作物水害対策確立に関する請願    (佐々木盛雄紹介)(第三六〇三号) 八三 除虫菊の水害対策確立に関する請願(岡本    忠雄君紹介)(第三六三六号) 八四 淡路島農作物水害対策確立に関する請願    (永田亮一紹介)(第三六三七号) 八五 朝倉郡の農作物水害対策確立に関する請願    (熊谷憲一紹介)(第三六三八号) 八六 広島県東部の農業災害対策確立に関する請    願(高津正道紹介)(第三九七四号) 八七 広島県東部の農業災害対策確立に関する請    願(高津正道紹介)(第三九七五号) 八八 土地改良事業制限範囲拡大並びに補助率    引上げ請願高津正道紹介)(第三九    七六号) 八九 地方競馬民営移管反対に関する請願(鈴    木茂三郎紹介)(第三九九四号) 九〇 八街町外三箇村の凍霜害対策確立に関する    請願小川豊明紹介)(第四〇一七号) 九一 農産物価格安定法制定に関する請願(山中    貞則君紹介)(第四〇一八号) 九二 生活改良普及員定員増加に関する請願(    山中貞則紹介)(第四〇二一号) 九三 米崎村の凍霜害対策確立に関する請願(柴    田義男紹介)(第四〇二二号) 九四 山梨県営土地改良事業施行に関する請願(    平野力三君外三名紹介)(第四〇二三号) 九五 広島県東部の農業災害対策確立に関する請    願(高津正道紹介)(第四〇九七号) 九六 野鼠の被害山林に対する復元費並びに駆除    費助成に関する請願岡村利右衞門君紹    介)(第四〇九八号) 九七 宮崎県の農作物風水害対策確立に関する請    願(相川勝六君外五名紹介)(第四二五三    号) 九八 鳥海山ろく農業開発地域開発に関する請    願(齋藤憲三紹介)(第四二五四号) 九九 広島県東部の農業災害対策確立に関する請    願(船越弘紹介)(第四二五五号) 一〇〇 同(岡本忠雄紹介)(第四二五六号) 一〇一 果樹の凍霜害対策確立に関する請願(原    茂君紹介)(第四二九号) 一〇二 朝倉郡の農作物水害対策確立に関する請    願外一件(熊谷憲一紹介)(第四三三〇    号) 一〇三 農村の電柱敷地補償に関する請願(熊谷    憲一君紹介)(第四四四二号) 一〇四 農業災害補償法に基く家畜共済臨時特    例に関する請願笹本一雄紹介)(第四    四四三号) 一〇五 農産物価格安定制度確立に関する請願(    八木一郎君外五名紹介)(第四四四四号) 一〇六 急傾斜地帯農業振興事業対策に関する請    願(小枝一雄紹介)(第四四四五号) 一〇七 八平搦及び福富搦干拓工事施行に関する    請願江藤夏雄紹介)(第四四四六号) 一〇八 双三郡の農作物水害対策確立に関する請    願(岡本忠雄紹介)(第四四四七号) 一〇九 農業倉庫整備資金増額に関する請願(小    平忠君紹介)(第四五五八号) 一一〇 農業政策確立に関する請願(加藤高藏君    外一名紹介)(第四五五九号) 一一一 広島録県東部農業災害対策確立に関す    る請願高橋禎一紹介)(第四五六〇    号) 一一二 暗きよ排水工事施行に関する請願(小平    忠君紹介)(第四五六一号) 一一三 土地改良法の一部改正に関する請願(早    稻田柳右エ門紹介)(第四六七四号) 一一四 農林漁業組合に対する長期低利資金融資    に関する請願鈴木善幸君外一名紹介)(    第四六八一号) 一一五 入鹿川上流地帯治山事業施行請願(篠    田弘作紹介)(第四六九五号) 一一六 小清水村に営林署設置請願永井勝次    郎君紹介)(第四八三一号) 一一七 倉橋ため池補強工事施行に関する請願(    仲川房次郎紹介)(第四八三二号) 一一八 本新島干拓入植に関する請願平野力三    君紹介)(第五〇三五号) 一一九 西村山郡の土地改良事業等に関する請願    (牧野寛索紹介)(第五〇三六号) 一二〇 仁田山山地酪農地区指定に関する請願(    牧野寛索紹介)(第五〇三七号) 一二一 滝葉沢林道開設請願牧野寛索君紹    介)(第五〇三八号) 一二二 輸入こんにやくに対する対策確立に関す    る請願小峯柳多君紹介)(第五〇三九    号) 一二三 同(福田赳夫紹介)(第五一九二号) 一二四 愛知川土地改良事業用水ダム建設反対の    請願森幸太郎紹介)(第五〇五二号) 一二五 因島市の農作物等水害対策確立に関する    請願岡本忠雄紹介)(第五一八二号) 一二六 農業災害復旧促進のための法律制定に関    する請願永田良吉君外二名紹介)(第五    一八三号) 一二七 広島県の農業災害対策確立に関する請願    (高橋禎一紹介)(第五一八四号) 一二八 水源かん養林造成事業拡充強化等に関す    る請願星島二郎紹介)(第五一八五    号) 一二九 台風第二号による風水害対策確立に関す    る請願星島二郎紹介)(第五一八六    号) 一三〇 鹿屋市地内のえん体ごう及び誘導路解体    開こんに関する請願永田良吉紹介)(    第五一九九号) 一三一 京都府下農業災害対策確立に関する請    願(大石ヨシエ紹介)(第五三〇二号) 一三二 居辺無水地帯開発促進に関する請願(本    名武君紹介)(第五三〇三号) 一三三 配給米増配請願飛鳥田一雄紹介)    (第五三〇四号) 一三四 統計調査部職員の旅費及び庁費増額に関    する請願外一件(大石ヨシエ紹介)(第    五四六六号) 一三五 家畜飼料自給に関する請願山本正一君    紹介)(第五五一一号) 一三六 農地交換分合指定市町村国庫補助制度    確立に関する請願中村英男紹介)(第    五五一二号) 一三七 狩猟期間延長に関する請願中村英男君    紹介)(第五五一三号) 一三八 霞浦北浦干拓事業禁止に関する法律制    定の請願(山村新治郎君紹介)(第五五一    四号) 一三九 農業改良普及事業強化に関する請願(小    澤佐重喜紹介)(第五五一五号) 一四〇 震災害復旧耕地事業用排水機維持費国庫    補助に関する請願中村英男紹介)(第    五五二六号) 一四一 新城村地内国有林野払下げに関する請願    (永田良吉紹介)(第五五四九号) 一四二 開拓道路花岡線改修工事施行請願(永    田良吉紹介)(第五五五〇号) 一四三 甘しよ切干を含む農産物価格安定法制定    に関する請願馬場元治紹介)(第五五    五一号) 一四四 花岡ダム建設に関する請願永田良吉君    紹介)(第五五五二号) 一四五 鹿屋市に国立農林試験場設置請願(永    田良吉紹介)(第五五五三号) 一四六 佐多町地内国有林野払下げに関する請願    (永田良吉紹介)(第五五五四号) 一四七 高隈ダム建設に関する請願永田良吉君    紹介)(第五五六二号) 一四八 人造米主要食糧指定に関する請願(坂    田英一紹介)(第五七五四号) 一四九 千葉県の水害対策確立に関する請願(森    清君紹介)(第五七六四号)   陳情書  一 農村振興助成法制定実施に関する陳情書    (第五五号)  二 農業協同組合再建に関する陳情書    (第五六号)  三 甘しよ育苗用温床紙に対する国庫補助金交    付の陳情書(    第五七号)  四 急傾斜地帯における土地改良費予算増額    に関する陳情書    (第五八号)  五 水田かんがい用電力設備費軽減に関する陳    情書    (第五九号)  六 はぜ実生産農家救済に関する陳情書    (第    六〇号)  七 桑園の凍霜害対策に関する陳情書    (第    六一号)  八 四国地方国立園芸農業試験場設置に関す    る陳情書(    第六二号)  九 国有林野払下げ促進に関する陳情書    (第六    三号) 一〇 国有林払下げに関する陳情書    (第六四号) 一一 愛知県下の豚コレラ予防注射禍対策陳情    書(第六六    号) 一二 有害鳥獣の駆除に対する国庫補助金計上の    陳情書(第六    七号) 一三 家畜共済一元化試験実施に関する陳情書    (第六八号) 一四 農作物凍霜害対策に関する陳情書    (第一一三号) 一五 昭和二十八年産茶樹に対する霜害対策に関    する陳情書    (第一一四号) 一六 雲仙別所ダム建設促進に関する陳情書    (第    一一五号) 一七 長崎大干拓事業促進に関する陳情書    (第一一    六号) 一八 土地改良事業に対する国庫補助強化に関す    る陳情書    (第一五一号) 一九 霜害対策に関する陳情書    (第一五二号) 二〇 農林漁業協同組合整備強化を図るための    政府の財政援助に関する陳情書    (第一五三号) 二一 凍霜害対策に関する陳情書    (第一七九号) 二二 同(第一八〇    号) 二三 同(第一    八一号) 二四 農業協同組合整備強化に関する陳情書    (第一八二号) 二五 防災ダム建設に関する災害防止施設事業促    進助成陳情書    (第一八三    号) 二六 土地改良に関する陳情書    (第二一三号) 三七 凍霜害対策に関する陳情書    (第二一    六号) 二八 凍霜害対策に関する陳情書    (第二六    四号) 二九 繭糸価格安定法改正に関する陳情書    (第二六五号) 三〇 農林漁業金融公庫法に基く伐採調整資金の    融資方法改訂に関する陳情書    (第二六六号) 三一 同(第二六七    号) 三二 桑園の凍霜害対策に関する陳情書    (第三〇八号) 三三 麦価格引上げに関する陳情書    (第三〇九号) 三四 芋作維持の一環としての製あめ工業の振興    に関する陳情書    (第三一〇号) 三五 凍霜害対策に関する陳情書    (第三六九号) 三六 桑園の災害に関する陳情書    (第三七〇号) 三七 造林に対する野ねずみ防除に関する陳情書    (第三七一号) 三八 凍霜害対策に関する陳情書    (第四〇五号) 三九 農業団体再編成に関する陳情書    (第四    二八号) 四〇 畜産組合法に関する陳情書    (第四二九    号) 四一 豆類の価格安定に関する陳情書    (第四    三〇号) 四二 北海道農業改良開発に関する予算増額の    陳情書    (第四三一号) 四三 養鶏振興に関する陳情書    (第四九七号) 四四 香川県下の台風第二号による麦被害対策に    関する陳情書(第    四九八号) 四五 熊本県下の農作物風水害対策に関する陳情    書(第四九九号) 四六 農業災害補償制度の改正に関する陳情書    (第五〇〇号) 四七 蚕糸業振興に関する陳情書    (第五二六号) 四八 電力会社所管電柱敷地補償引上げに関する    陳情書    (第五五三号) 四九 凍霜害並びにひよう害対策に関する陳情書    (第    五五四号) 五〇 ジュディ台風及び豪雨被害による農林漁業    資金償還延期陳情書    (第六〇二号) 五一 ジユデイ台風及び豪雨による被害のため政    府所有の麦類の原価払下げに関する陳情書    (第六〇三    号) 五二 ジユデイ台風及び豪雨被害による麦類菜種    の政府買上げ並びに検査手数料免除陳情    書(第六〇    四号) 五三 ジユデイ台風及び豪雨被害による麦類、菜    種等の種子確保並びに菜種の特別補償に関    する陳情書    (第六〇五号) 五四 ジユデイ台風及び豪雨被害による農業共済    金の概算払並びに営農資金の助成に関する    陳情書(第    六〇六号) 五五 ジユデイ台風及び豪雨被害による開拓地の    営農資金貸付に関する陳情書    (第六〇七号) 五六 ジユデイ台風及び豪雨被害による災害荒廃    地並びに災害林道の復旧に関する陳情書    (第六〇八    号) 五七 ジユデイ台風及び豪雨被害による農地及び    農業用施設応急工事費補助並びに復旧繋    資金の融資に関する陳情書    (第六〇九号) 五八 兵庫県の麦類被害対策に関する陳情書    (    第六一〇号) 五九 梅雨前線及び台風第二号による被害対策に    関する陳情書    (第六一五号) 六〇 九州各県開拓地風水害対策に関する陳情    書    (第六五八号) 六一 緊急食糧増産に関する陳情書    (第    六七六号) 六二 凍霜害対策に関する陳情書    (第六七七号) 六三 国内油脂原料確保のため菜種増産に関する    陳情書(第六    九〇号) 六四 電力会社所管電柱敷地補償料引上げに関す    る陳情書    (第    六九一号) 六五 殺鼠剤フラトール使用即時停止に関する陳    情書    (第    六九二号) 六六 電力会社所管電柱敷地補償料引上げに関す    る陳情書外一件    (第七一五号) 六七 農村生活改善普及員増員に関する陳情書    (第七六八号) 六八 肥料価格引下げに関する陳情書    (    第七六九号) 六九 経営不振農業協同組合の整備促進対策の実    施に関する陳情書    (第七七〇号) 七〇 主要雑穀類の共販体勢の強化に関する陳情    書    (第七七一号) 七一 馬鈴しよ及びでん粉対策に関する陳情書    (第七七二号) 七二 国有林払下げに関する陳情書    (第七七四号) 七三 梅雨前線および台風第二号による被害対策    に関する陳情書(    第七九一号) 七四 積雪寒冷単作地帯の各事業に対する国庫助    成増額陳情書    (第八〇六号) 七五 農山漁村並びに中小商工業の振興対策に関    する陳情書    (第八〇七号) 七六 広島県下の豪雨による災害対策に関する陳    情書    (第八〇八号) 七七 自作農維持制度の強化に関する陳情書    (第八二七号) 七八 集約酪農地区設定に関する陳情書    (第八    三八号) 七九 北海道空知郡下の果樹凍霜害    対策に関する陳情書    (第八二九号) 八〇 農事用電力料金引下げに関する陳情書    (    第八五九号) 八一 電力会社所管電柱敷地補償料引上げに関す    る陳情書    (第八六〇号) 八二 農山漁村並びに中小商工業の振興対策に関    する陳情書    (第八六一号) 八三 積雪寒冷単作地帯及び急傾斜地帯に対する    国庫補助対象事業の制限緩和等に関する陳    情書    (第八六二号) 八四 同    (第八六三号) 八五 台風第二号による農村災害救済対策に関す    る陳情書    (第八    九八号) 八六 同    (    第八九九号) 八七 大分県下の豪雨による被害対策に関する陳    情書(第九〇〇    号) 八八 大中之湖干拓工事実施に関する陳情書    (第九〇一号) 八九 電力会社所管電柱敷地補償料引上げに関す    る陳情書    (第九一三号) 九〇 台風第二号による農作物被害に関する陳情    書(第九一四    号) 九一 電力会社所管電柱敷地補償料引上げに関す    る陳情書    (第九四五号) 九二 家畜保健衛生所増設に関する陳情書     (第九四六号) 九三 愛媛県下の豪雨による水稲等農作物被害に    対する対策の陳情書    (第九四七号) 九四 有害鳥獣駆除に対する救済策早急実現に関    する陳情書    (第一〇一九号) 九五 積雪寒冷単作地帯及び急傾斜地帯に対する    国庫補助対象事業の制限緩和等に関する陳    情書(第一〇    五九号) 九六 農産物価格安定法に関する陳情書    (第一〇九五号) 九七 六月長雨と台風第二号による農作物の被害    に関する陳情書    (第一〇九六号) 九八 昭和二十八年産米基本価格設定並びに早場    米奨励金に関する陳情書    (第二四六号) 九九 福岡県下に水害による農作物被害等対策に    関する陳情書    (第一一四七号) 一〇〇 食糧対策に関する陳情書    (第一二一二号) 一〇一 昭和二十八年産米基本価格設定並びに早    場米奨励金に関する陳情書    (第一二一三号) 一〇二 台風等ひん襲地帯に対する農業災害防除    措置の立法化に関する陳情書    (第一二一四号) 一〇三 食糧自給促進法並びに農産物価格安定法    等の実施促進に関する陳情書    (第一二一五号) 一〇四 同(第一二    一六号) 一〇五 土地改良法に基く換地処分に関する陳情    書    (第一二一七号) 一〇六 小清水村東野、萱野地区開拓に関する陳    情書(    第一二三二号) 一〇七 西日本水害による蚕糸復旧対策に関する    陳情書(第一二五    三号) 一〇八 食糧自給促進法の制定等に関する陳情書    (第一    二七六号) 一〇九 食糧自給対策に関する陳情書    (第一三〇四号) 一一〇 家畜保健衛生所増設に関する陳情書    (第一三〇五号)     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより会議を開きます。  蚕糸に関する問題について調査を進めます。  この際お諮りいたします。閉鎖機関日本蚕糸業会の残余財産の件につきまして、特殊清算人を参考人として本委員会に招致してその意見を聞きたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なきものと認め、さようとりはからいます。  これより質疑に入ります。五十嵐吉藏君。
  4. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 蚕糸業問題についてお尋ねをいたしたいと思います。まず第一番に蚕糸業に対する政府の基本的な考え方を承ります。と申しますのは、こういうことなのです。今後政府として日本の蚕糸業というものを指導し、育成し、また奨励をして行くという上におきまして、一体この蚕糸業というものを輸出産業として育成をして行くか、それとも内需産業としてこれからひとつ奨励をして行くかという点なんです。一体なぜこういうお尋ねをするかというと、言うまでもなく戦争前までは日本の蚕糸業というものは輸出貿易の大宗であつて、その王座を占めておつた。従つて大きな外貨の獲得の役割を果しておつたのですけれども、戦争後これが中断されておる。しかし近年ぼつぼつ回復をいたしたとはいうものの、まだまだ輸出はまことに振わない状態にある。私は日本の蚕糸業の使命というものは、やはり国家的な見地から見て、どうしても輸出を振興させるということにあると思うのですが、この点に関する基本的な考え方を承りたい。
  5. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいま蚕糸業に対する政府の根本的考え方、輸出が重点か内需が重点かという御質問でございますが、もちろんわれわれといたしましても蚕糸業は輸出産業として考えておりまして、ただ現在の状況といたしましては、御承知の通り戦前は七十万俵の生産があり、そのうち五十万俵を輸出しておつた、そのうち二十万俵が内需だつたという情勢でございましたが、戦争により非常な痛手を受けまして十生産量も三分の一に下り、ただいまのところ、昨年の実績で申しますればわずか二十五万俵の生産となり、そのうち七万俵の輸出であり、内需が約二十万俵という状態になつております。これは戦後における異例の状態でありまして、このままの状態でよろしいとは決して考えておらないのであります。ああまでも蚕糸業としては生糸を外国へ輸出し、特にアメリカからドル貨を獲得いたしまして、わが国経済自立の基礎たらしめようというように努力いたしておるのでありますが、ただ遺憾ながら、戦後食糧状態の緩和に伴いまして衣料の方面に対する内需が相当旺盛でありますのと、それから繭の増産ということについては相当の力を尽しておりますが、御承知の通り桑というものの本質に制約せられまして、そう急に繭ができないということによつて、価格が相当高騰しております関係で、輸出が伸びないような情勢になつておりますが、なお今後われわれといたしましては、輸出増進策を考えまして、二十八年度の予算におきましても、輸出を振興させますための宣伝費を国家である程度負担するというような方策をとつたのであります。なお二十九年度以降の予算におきまして、できるだけ輸出振興の方面に重点的な施策をいたしたいと思つて、ただいま研究努力いたしておる次第であります。
  6. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 ただいまの御説明で、やつぱりこれは輸出産業として育成をして行くのだというお話、これはよくわかりましたが、しかしほんとうに生糸並びに絹織物を大いに輸出振興しようというお考えであるとすれば、私はもつと積極的な手を打たなければ、とても思うような輸出はできないのじやないかと思うのです。戦後特にナイロンであるとか、人絹であるとか、いろいろな化学繊維ができまして、何となしに生糸の輸出というものは前途見込みがないのじやないかといつたような、半ばあきらめ的の気持が相当あるのじやないか。そういうことが相当作用しているのじやないかということすら実は心配になるのですが、今の局長のお話で、その点はたいへん力強く感じたわけであります。そうだとすれば、一体輸出はなぜ振わないかという問題になつて来るのですが、私は輸出不振の原因というものはいろいろあると思いますけれども、何といつてもやはり生糸の価格の問題と、第二点は宣伝の問題だと思うのです。この価格政策と宣伝というものは、これは両々相まつて相当積極的に進めることができれば、私は生糸の輸出なんというものについては、決して悲観しなくてもいいと思うのです。そこでその価格の問題でありますが、今海外の消費国の事情を大体聞いてみると、何としても二十四万円じや高い、それに輸送費もかかるし、いろいろな雑費もかかる。そこで一、二割くらい生糸を安くしてくれないかという要望は、大体どこの国でもそうらしいのでありますが、そこで大体二十一万円内外ならば相当輸出ができるであろうという一応の見通しはだれも持つておるようでありまするし、大体一致しておるようであります。しかしそれなら生糸を二十一万円程度に下げるということになりますと、これは一面においては繭の増産を今後やつて行く上におきまして、繭の再生産というものをどうしても保障して行かなければならない。そういう見地からいつて、いろいろここに問題が生まれて来ると思うのでありますが、まずその対策の一つとしてこういうことはいかがですか。製糸企業の合理化によつてまずそのコストを下げるという問題が一つあります。これはいうまでもなく自動繰糸機の問題でありますが、この自動繰糸機の出現というものはまさに製糸業界の一大革命だとも言えると私は思うのであります。そしてこの自動繰糸機というものが相当に普及をすれば、この面から糸生のコストが相当下ると思うのであります。そこで積極的に自動繰糸機に切りかえるというお考えがあるかどうか。またこれをやらんとするかどうか。それには金融の措置であるとか、あるいは機械メーカーへの援助であるとか、いろいろな方法があると思うのですが、私はこの際思い切つて自動繰糸機というものを普及すべきであると考えておるのですが、この点についてのお考えをひとつお聞かせ願いたい。
  7. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいま生糸の輸出増進につきまして、生糸の価格が問題であつてこれをもう少しアメリカ等の買いやすい値段に下げるという点につきましては、まことにその通りでありまして、われわれもそう考えておりますが、ただ現在二十四万円の禁止価格にくついております価格を、人為的に急激に下げるということはむしろマイナスが出て来るのでありまして、企業の合理化、生産の合理化によりまして生産費をだんだんに下げて行くというふうにし、養蚕方面におきましてもいろいろな助成講じ、また技術の向上をはかりまして、反当収繭量をふやし、単価を安くして間に合つて行くという方策をとりますと同時に、製糸の方面につきましても、企業の合理化特に自動繰糸機の普及化ということにつきましては、産地におきましても非常な関心を持つておるのでありまして、ただいまのところ大体約千八百台ばかりの自動繰糸機がすでに稼働いたしておりまして、これが今年度中にあと約三千台ばかり入るわけでありますが、なお今後の計画といたしましては、まだがつちりとは考えておりませんが、ある程度の希望的観測はいたしております。これを三十三年度までには一万五千台、と申しますのは、ただいまの機械器具等の許可設備が約五万台でありますが、このうちの三万台は自動繰糸機にとりかえて行くという計画を立てて進めておりますし、なおこれの設置につきましては相当の資金も要しますので、開銀と交渉いたしまして、開銀から長期低利の資金を受けておりまして、ただいまのところは相当スムーズに出してもらつておるような状態であります。なおこれは企業合理化促進法の適用を受けまして、初年度に五割以上の償却を認められて税金の軽減もあるというような猶予措置もありますので、これらを保護促進いたしますとともに、できれば自動繰糸機の融資に対する利子補給その他の点について、研究すべき点があるのではないかと思つてただいま作業中であります。そういう方策の実現に向つて努力いたしまして、自動繰糸機の普及化を徹底的にはかつて行く、こういうように考えております。
  8. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 ひとつさらに一段の御努力をお願いいたします。  次は輸出の奨励金といいますか、あるいは補給金のようなものですが、こういうことは考えておりませんか。何にしても多額の外貨収入というものがあるのですから、この際輸出奨励ということと、もう一つは価格対策、この二つを意味した輸出奨励金というようなものをお出しになつたらいいと思う。これはもちろん財政との関係でなかなか簡単には行かぬと思いますが、かりに十万俵輸出をする、これに対して一俵当り一万円の奨励金を交付したとしても十億でありまするが、私はこの程度のことは十分考えてもいいのじやないか、こう考えておるのであります。昨年の貿易の実績を見ましても、輸出製品の第一位を占めておるものは繊維製品の四億七千七百万ドルであります。第二位が金属並びに金属製品の三億六千万ドル、ところがその輸出製品の中で首位を占めておるものは綿布の約二億ドルであります。ただ問題は、数字だけに幻惑されてはならないのでありまして、要は外貨の実質的な歩どまりがとうであるかという問題になるわけでありますが、試みに中央蚕糸協会の調査によるところの手取りのドル、つまり歩どまりを調べてみますと、綿布は二三・四%、綿糸は二六%でありまして、鉄鋼は四六・五%となつておる。これに対しまして生糸は実に一〇〇%の歩どまりを示しておるこれは言うまでもないのです。こういうような一〇〇%の歩どまりであるというような、しかも国策の上から見ても、これは輸出産業として大いに伸ばせば伸ばすことができるという産業でありますから、この輸出の奨励のためには、私はこのくらいの処置はとつてもいいと思う。この点どうお考えになりますか、お伺いいたします。
  9. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 輸出奨励金についてのお尋ねでありますが、これはわはわれも現在の状況といたしましては、生糸は内需に向けた方が輸出に向けるより有利である、むしろ内需と外需との間に逆ざやがあることはいなむべからざる現実でありますが、それが一面におきまして輸出を阻害している一つの原因であると思うのであります。これを除きますために、輸出した者の方が有利であるという方面の工作につきましてはいろいろ考究いたしておりまして、実はお説のような輸出奨励金というものを、輸出した者に直接出すという方策も、昨年いろいろ研究いたしたのでありまして、もちろん二十八年度予算編成のときにもそういう交渉をいたしたのでありますが、これはいはいろな都合がありまして、結局先ほど申しました宣伝費というものにかわつて予算化いたしたのであります。この輸出奨励金というものを直接輸出した者に出すということは、現在の自由主義諸国間の貿易におきましては、多少相手国側に対しまして刺激すると申しますか、かえつてそれだけ値をたたかれるというおそれもありますし、また将来ガットに加入いたしますような場合を予想いたしまして、輸出を奨励するために政府が特別の施策を講ずるということは、多少そういう自由諸国間の貿易原理に抵触するというようなきらいもありまして、直接出すことはちよつとまずかろうと思うのであります。しかし何らかの方策におきまして、輸出を奨励する施策は講じなければなりませんので、ただいまわれわれ研究いたしておりますのは、そういう露骨に、輸出した者にただちに一万円なり二万円なり補助金を出すという方策でなくて、輸出生糸をつくつた者にこれを補助する、たとえば購繭資金の金利について考究するとか、あるいは貿易方面の金融の利子をできるだけ低下するように金融機関と話をつけるというような、間接的な補助という方策の方が、かえつて現在の自由主義諸国間の貿易関係の原則にも反しないで、しかもその実効を収めるという方策についてただいま検討中でございまして、われわれは二十九年度予算におきましては、何らかの形でこれを実現いたしたいと思つて、ただいま係官において鋭意作業を継続中であります。
  10. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 これは方法はいろいろあろうと思いまするが、いかような方法であろうとも、要はその趣旨に合えばいいのですから、この点について特段の御検討を願いたいと思います。  次に宣伝の問題ですけれども、宣伝の重要性は言うまでもないことでありまして、政府においても今まで心配しておつた。ところがこれもいかにも少いのです。そこで一体どのくらいの宣伝費があれば宣伝効果があるのかということですが、もちろんこれは三千万円でも五千万円でもあるには違いはありませんけれども、おのずからある一定の線がある。大体耳門家の意見を総合してみると、日本の生糸を海外に輸出するには、どうしてもこの際二億円くらいの宣伝費が必要である、こういうことを言われているのですが、いろいろ考えてみるとそれは当然だと思うのです。それに対していかにも少いのですが、この点は先ほども局長はちよつとお触れになつたようですが、あなたのお考えはこの点についてはどうですか。
  11. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 わが国の生糸の宣伝費がただいまのところ非常に少いということは、私もまつたく同感でございましてたとえば今まではISAに対しまして三十万ドル、邦貨に直しまして約一億円というものを業界の募金によつて送つておつたのでございますが、三十万ドルとアメリカで申しますと、例のナイロンのデユポン社一社が使う宣伝費の十分の一にも足りないという実情でございまして、まことに微々たるものでございます。私は理想を申しますると百万ドルは使いたいと思つております。邦貨に直せば三億円でございますが、これを今ただちに業界に負担させることもできない、こういうふうに考えまして、実は二十八年度予算に、これについてできるだけ政府でも援助しようとしまして予算を要求いたしましたが、残念ながら二千万円しかとれなかつたのであります。私どもとしましては将来これをできるだけ増額いたしまして、一挙に三億円にはならないといたしましても、さしあたり第一歩といたしましては、五十嵐先生もおつしやつたように二億円、要するにそのうちの半分は政府で持つというようなことから出発して行こうと思いまして、来年度予算の編成につきましては、そういう目標に向つて努力いたしたいと考えております。
  12. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 次に繭の増産の問題についてお尋ねをしたいのです。農林省の立てた蚕糸振興五箇年計画というものがありまするが、この実績は、概要でようございますが、どうなつておりまするか、お示し願いたい。
  13. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいま実施いたしております蚕糸業振興五箇年計画の目標は、昭和三十年におきまして繭の産額を三千三百万貫、生糸に直しまして三十万俵という目標で、二十六年以来ずつとやつておつたのであります。その実績は、関係各位の御努力と農家の熱意によりまして、二十七年度までは大体計画を一年上まわるような情勢でございまして、二十八年度におきましては三千万貫の目標を達成できるとわれわれ喜んでおつたのであります。そういたしますると計画は、二十九年の三千万貫と三十年の三千三百万貫という情勢でございましたが、これが遺憾ながら本年の四月末から五月にかけましての凍霜害によりまして非常な減収を来しまして、ただいまの予想では、本年の産額はせいぜいよいよ行つて昨年と同額の二千七百五十万貫程度であろうという状態となりましたことは、まことに遺憾でございますけれども、ただいまのような糸価並びにこれに伴いまする繭価の現状から申しまするならば、来年は目的通り三千万貫にはなる。三十年には三千三百万貫の――本年のような特別の凍霜害というものがないといたしまするならば、五箇年計画は完全に三十年には目標に達成し得ると考えております。
  14. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 大体五箇年計画は順調に進んでいるようでありまするが、私はいろんな情報を総合し、海外の消費事情等を総合して、この際思い切つて、政府はもつと大きな増産計画を立てる必要があると思うのです。ところが繭の増産計画を立てる上において一番めんどうな問題は、これは私が言うまでもなく、はたして消費がどのくらい見込めるかという問題になつて来るのですが、この問題になりますると、だれしも簡単に答えが出ないのです。しかし大体における国内消費の見通し並びに海外消費の見通しを総合すれば、しかも専門家の意見等を総合した場合においては、大よその見当は出て来ると思うのであります。最も近日本製糸協会で立てた輸出振興五箇年計画を見ますると、二十九年から三十三年までの計画ですが、最終年度桑園を二十万町歩にする、反当り十八貫とる、繭を三千六百万貫生糸を三十五万一千俵つくる、そしてそのうち六割を輸出する、こういう計画を立てたようであります。しかし私はこの際こう思うのです。少くとも政府としては、今後五箇年計画において五千万貫ぐらいの計画は優に立つはずだと思います。これはいろいろなさつき申し上げましたような点を総合しての話でありますけれども、私の考えでは、新たに政府が五箇年計画というものをこの際お立てになる必要もあるし、また日本の置かれておる今の経済事情等から考えてみましても、こういうふうな思い切つた計画を立てて、これが達成のためにひとつ積極的におやりになつたならばどうかと思うのです。私は最終年度において、二十五万町歩にし、反当り二十貫とる、そうして繭を五千万貫つくり、そのうち上繭を四千四百万貫とる。こういう程度のことならば、これは決してできないことではないと思います。そうして輸出を大体二十四万俵、内地使いを二十万俵に見る。今日二十四万俵はたして海外消化があるかどうかという問題ですが、今の海外の事情をだんだん調査してみますと、潜在需要というものは非常に高まつて来ておることは事実のようであります。ですからこの際政府がほんとうに本腰を入れてやるということであれば、決してこれはできない相談ではないと思うのです。最近の南北アメリカ、あるいは欧州、近東、南方諸国等の絹への嗜好というものは、非常に高まつて来ておりまして、ことに一例をあげれば、南米諸国のごときは技術と機械というものを日本から導入いたしまして、そうして養繭、製糸、製織という一貫作業をやりたい。それであるから日本の養蚕移民ならば大いに歓迎するということを各地で言つておるのであります。そういうような潜在需要というものは相当見られるのでありまして、この際そうした思い切つた方策――思い切つたというと何ですが、これはそんなに無理ではないのですから、そのくらいの御決意をもつて蚕糸業の振興のために乗り出してもらいたいと思う。思い切つてそういう大増産計画をお立てになるお考えがありますか、その点をひとつ伺いたい。
  15. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいまのお説まことにごもつともでございまして、われわれも努力目標と申しますか、希望的目標といたしましては、ただいまおあげになりましたような五千万貫というところまで持つて行きたいというふうに考えてはおりますけれども、ただこれは価格の関係もございまするし、需要の関係もございますので、これをたださに実現するというわけにはちよつと参りかねると思うのでありますが、ただいま実行いたしております五箇年計画が完成いたしまして、三十一年からまた新五箇年計画というものを立てなければならなくなつておりますので、その際に十分考慮いたしたいと思いますか、そうなりますと、ただいまから申しますと、七、八年先のことまで、予想するということは、現在のような経済情勢からは、ちよつとわれわれといたしまして、ここで自信をもつて、必ず五千万貫る増産計画ができますとは申し上げかねるのでありますけれども、これから先の五箇年計画というものにつきましては、大体製糸協会が出しました数字程度がはたして実行できるかどうかということについて、検討いたしてみますると、これについては、施策よろしきを得るならば、何とかなりそうだという見当はついておりますが、とかく役人というものは憶病でありますので、値段があまり下つて農家に御不利をかけてもいけないし、さればといつて蚕糸業の振興もはからなければならぬ。いわゆるプラス・マイナスの両面を勘案いたしまして、計画を立てておるのであります。お説の点はまことにわれわれも内心は同感でありますが、今ただちにそういう計画事実行いたしますとは、ちよつとお約束いたしかねるのが遺憾と思うところであります。
  16. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 要はやろうと思つて、ほんとうに積極的にやればできると思うのです。いろいろな施策がこれに伴わなければならぬことはもちろんですが、どうか責任者たる局長には、大いにがんばつて、ひとつ積極的におやりを願いたいと思います。  それからそういつた繭を増産する、蚕糸業を振興させるという意味において一番かんじんなことは、何といつても養蚕指導の態勢を整えるということであると思うのであります。これが増産の上にも、あるいは品種の改良の上にも、すべてに大きな役割を果しておるわけでありまして、この問題はほんとうに慎重に、同時に十分考えなければならぬと思うのでありますが、遺憾ながら、現在の蚕業技術員の指導態勢というものがまたはなはだ貧弱であります。これだけの重要産業に対して、どうしてこんな貧弱な態勢にあるかということ自体がどうもわからない。数字をちよつと申し上げてみますと、現在養蚕技術指導員の実数は、各町村技術員を入れまして五十二十七人という数字がある。これに対して政府の査定は三千七百人ばかり、半分にも行つていない。実数が約六千人近くあるのに半数も置かないといつたような実情ですが、これを一般農事指導の方面に比較すると何と雲泥の差があると思うのであります。農業関係におきましては、農業改良助長法によりまして、その指導陣というものは実に完備しておる。たとえば講習の問題をとつてみましても、講習所で講習をする場合においても助成も大きければ、その卒業生は短期大学の卒業生と同等の資格を与えておるとか、とにかくいろいろ援助の手が十分伸びておる。従いまして一般農事の指導陣営はりつぱなものだ。だからやはり蚕糸業を同じようにそこのところまで持つて行かなければならぬと思うのであります。ところが養蚕の方はどうかといいますと、これは蚕業試験場で苦心さんたんをして技術員を養成しているというような実情であつて、しかも国費なんていうものはこれにはほとんど行つていないようであります。これはそういつたような血の出るような努力をして養成をしておる。これでは均衡の上からいつてもいかにも不均衡だと思うのです。しかも法的には何の裏づけもない、法的根拠がない。そこでひとつお尋ねしたいことは、蚕業技術員は実数がとにかく六千人近くあるのだから、これまで引上げるということは絶対必要だと思うのであります。これをひとつ承りたい。  第二点は、技術の普及態勢を強化するために、農事関係と同様に現在の指導所を法制化するところの御意思があるかどうか。この二つの点をお尋ねいたします
  17. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいま養蚕技術員の増員の問題についてお尋ねがありましたが、この点につきましても、実はわれわれ五十嵐先生とまつたく同感なのでありまして、毎年度予算の要求のときには、ただいま二千七百人でありますものをもつとふやす要求をいたしておるのでありますが、いろいろ財政の都合でそれが実現いたしておりませんのは、まことに残念だと思います。しかしこれは現在の二千七百人ではまつたくどうにもならないのでありまして、もつとふやして参りたいと考えております。と同時に法制化の点につきましても、実はわれわれといたしましては本国会、あるいは前の国会に、この蚕糸業の技術指導の点について一つの法律をつくりまして、農業改良の面に農業改良助長方があるのと同じような、あの精神を盛り込んだ法律を立案したのでありますが、法制局の方もいろいろ忙しかつたり何かいたしまして、また臨時国会であろ関係上審議が聞に合わなかつたという関係がありますが、ただいまこれについて大体成案を得ましたので、近い将来の国会に必ず提出いたしまして、皆様方の御審議を得たいと考えている次第であります。
  18. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 この指導員の増員の問題であるとか、あるいは身分の安定の問題であるとか、こういうことはあなたにばかり申し上げても無理だと思うのですが、とにかく私どもも、今後蚕糸業振興のためにこの問題は十分協力をいたして参るつもりでありますので、ひとつこの点は強くお取上げ願いたいと思います。  次は繭糸価格安定の問題であります。これは繭糸価格安定法によつて安定政策というものは一応でき上つておるわけでございます。しかし一番かんじんな基金の三十億という点ですが、もし一朝がらがらつと下つた場合に、三十億では、買上げるといたしましても、わずかに一万人、七千俵しか買上げることができない。おそらく私はこの最低を割つて生糸を買上げなければならぬというようなことは、万々ないとは思つております。しかしこういうような業態ですから、いつ何時そういうようなことが参らぬとも限らない。それにしては、いかにも三十億という基金は、その場合にわずか一万六、七千俵くらいの買上げでは、どうにもならぬと思うのでありますが、この点については今どうお考えになつておりますか。この点ひとつお尋ねいたします。
  19. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいま糸価安定特別会計の基本金といたしまして三十億ありますのは、この特別会計を編成いたします当時の糸価から考えまして、最低価格をたしか十四万五千円くらいに見積りまして、そうしてどの程度買上げればいいかという算術をいたしましたところが、過去の糸価安定施設の結果から見ますと、大体一・七箇月分の生産数量を買上げればいい。その一・七箇月分がちようど当時の――上当時のというのは二十六年の夏から秋にかけてのころでありますが、当時の生産量からいたしますと、その一・七箇月分というのはちようど一万俵くらいになる。従つて二万俵を一俵十四万五升円で買上げれば二十九億円だ。それで三十億という予算ができたわけでございます。その当時の予算の編成のそういう基礎数字から申し上げますと、その後ずつと生糸が増産しておりますし、その後の糸価の暴騰で、現在は最低価格は十八万円になつておるのであります。しかもこれを現在の生産数量から見まして、一・七箇月分を買うということになると、とても三十億では足りないのでありますが、幸い御承知の通り糸価のあのような状態でありますので、今ただちにその処置をしないでもいいじやないかというような関係で、大蔵省方面とも交渉したが、その資金増額について実現はいたしておりませんけれども、来年度の予算編成のときあたりから、相当考えなければならぬと考えまして、二十九年度予算編成について、ただいまその作業中でございますが、この中へは三十億円の資金増額するか、あるいは三十債という資金を出したと同じような方法で、たとえば百億というような予算をとつておくというようなことが、資金の運用上不可能であるならば、足りなかつた場合には、借入金をするというような法律を改正いたしますとか、その他いろいろ方法はございますが、とにかく三十億で足りなければ、間に合うような準備をしておく方策について、ただいま研究中でございます。
  20. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 この点については、ひとつ十分御用意あらんことを、これは希望として申し上げておきます。  それから次に繭の価格ですが、これは繭糸価格安定法というもので、生糸の価格というものは一応対策ができているわけですけれども、繭については何の手も打つていないのですが、これは非常にむずかしいと思うのです。当然乾繭というような問題に関係を持つて来ると思うのでありますが、何か農林省といたしまして、繭そのものの価格安定ということについて御腹案があるかどうか。一般の農産物にいたしましても、相当農産物の価格というものが保証さておる。ところが繭については、今のところ何といつてもこれは野放しです。一面生糸の価格を安定すれば、従つて当然繭の価格というものが安定するのだという考え方が、これは一応成立つのですけれども、とにかく農林省は繭の価格安定について、何かひとつ御腹案があつたらばお聞かせ願いたい。
  21. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいままでの考えと申しますか、繭糸価格安定法をつくりましたときの考えといたしましては、繭の価格は、生糸の価格が安定すれば繭の価格も安定すると、こう考えたのでありますし、またその後現在までの状態で申しますと、むしろ生糸の需要に比べまして繭の生産が非常に少いものでございますから、生糸の値段が下つて繭の値段がそれほど下らないだろうという見通しは、現在もそのままでございますけれども、しかし将来の問題といたしまして、大いに繭が増産され、むしろ生糸の値段以上に下るというようなことがないとも保証できないのであります。これらの点につきましては、ただいま申し上げましたような繭糸の情勢、あるいは近き将来の見通しといたしまして、生糸の価格以上に繭の価格が下るというようなことが予想できませんので、役所の考え方といたしまして、繭の価格をどう安定するかというような点につきましては、具体的な研究段階にはまだ入つておりませんけれども、私といたしましては、将来繭の増産が大いに可能になり、生糸の価格の安定だけでは繭の価格の安定が不可能であろうというような場合には、私の個人的な考えといたしまして、先日通りました農産物価格安定法におきます澱粉価格の維持と、その原料であるいもの価格の維持、あの方式の運用状況を見まして、あおいう考えを織り込んで行つて、将来繭糸価格安定法の改正というような問題に立ち至る時期が来るのではなかろうか。そういう場合にはそういうふうに処置したらよかろう、こう考えている次第であります。
  22. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 次に養繭処理の問題について二、三お尋ねしたいのですが、その問題の中で繭の検定についてひとつ伺います。今強制検定をやつておりますが、一体繭の検定というものは、強制することは無理じやないか、これは任意検定に持つて行けという意見も相当あるようでございます。また同時に、これはどこまでも強制検定でなければいかぬのだという両論があるようですが、一体これは今のところどう考えておりますか。
  23. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 繭の検定を強制制度にいたしました趣旨は、当時繭が非常に増産されまして、とかく農家に利益が反映しない。ことに農家は、自分で繭はつくつておりますけれども、一体この繭の糸目がどうであるとか、解舒がどうであるとかいうことを知らずについ売つてしまうというような関係で、繭の需要の方面から買いたたかれて、品質以下に買われるというおそれがありましたので、農家の利益を保護するために、強制検定という制度をやると同時に、またこれによつて繭の品質、技術の向上をはかろう。こういう二つの目的があつたと思うのでありますが、この二つの目的は、現在でも失われておらないと思うのであります。現在は繭の生産量が、製糸設備に対して相当不足でありますので、今ではむしろ農家の繭価格が有利に売れておりますけれども、この状態が長く続くとは考えられないのでありまして、将来は繭の、先ほど来お話のありました通り、当然増産をはからなければなりませんから、増産に伴いまして、だんだん昔のような情勢になつて。農家が不利になるということもあると考えますので、今ただちにこの繭の強制検定という制度をやめるという考えはございませんので、原則として繭の検定は、やはり強制して行くことが必要であろうと考えますが、但しあまりこまかい、たとえば厳密に申しますと、一粒の繭を販売するについても強制検定だというようなことは、少上行き過ぎだと思いますので、この運用の面におきましては、大いに運用の妙を発揮しなければなりませんければも、原則といたしましては、繭の検定は強制制度がよろしかろう、こう私は考えております。
  24. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 そこで、強制の趣旨はよくわかりましたが、強制をして行くということになりますと、現在の繭検定というものが、はたして今あなたの御説明になつたようなその趣旨通り、妥当であり公正に行われているかという問題なんです。これは非常に問題が多いのですが、私はこう思う。強制検定をずつとやつて行くということであるならば、当然これは国においてその裏づけとなるべきところの措置をしなければならぬと思うのであります。というのは、何といつても実際の問題といたしましては、公正に繭の強制検定をするという上においては、これはどうしても共用繭を第三者の採取という、あの制度をとつて行くよりほかはないと思うのであります。そういつた場合に、これは第三者の採取で行くのだということに持つて行かなければ、一体繭検定などというものは私は意味をなさぬと思う。そういうことに持つて行くとするならば、当然その裏づけの措置というものは、強制している以上は国が持たなければならぬと思うのであります。     〔委員長退席、金子委員長代理着席〕  これは当然何とかしなければならぬと思うのでありますが、この点についてのお考えはどうですか、お尋ね上ます。
  25. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 繭の検定制度は、私は先ほど申しました通り、原則として強制検定がよろしかろうと思うのであります。しからばその検定に供用する繭をどうしてとるかという問題につきましては、現行法では両当事者の合意の上でこれを出すということになつておるのでありますが、私はやはりこれがいいのではないかと思うのであります。ただいま全国的な情勢を見ますと、大部分の、ことに西の方面におきましてはほとんど問題はないのでありますが、ただ二、三の、特に養蚕の盛んな、むしろ繭がたくさんとれるが、それ以上に製糸家の繭の争奪がはなはだしいところにおきましては、製糸家が多少の不利を忍んでも、繭を農家に出すことを黙認するというような情勢があるようでございます。しかしこれは別に全国的にそうなつているというよろな情勢でもございませんし、これにつきましては、製糸家でもそうしなければならない、また購繭資金等の関係で、そうすることがかえつて有利であるという情勢もあるようでございますので、あまり第三者が立ち入つてそこまでやるということは、むしろ思わざる副作用があると私は考えます。これはそれぞれの県の実情によりまして、県においてそうすることがやむを得ないというようなところは、県でやつているところもございますが、これを全国的な制度としてそうするという点につきましては、もう少し研討の余地があろうと私は考えております。
  26. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 それは全国的に見たらそういうことになると思うのです。しかし大量生産県の実情を見ると、検定供用繭の採取というものが大きな問題になつているのです。ことにほんとうに繭検定というものの趣旨を徹底さして、そのねらいとするところの品種そのものの取引をする、またこれによつて品種改良もやつて行くという点を考えた場合に、公正にこの制度を運営して行くには、やはり私は第三者の採取で行くということを十分考えなければならぬと思うのであります。しかしこの問題は今局長の言われたように、各県等においても十分研究もしているでありましようし、またその県の事情等もありましようから、それはそれでいいといたしましても、とにかくこの繭検定というものが公正に妥当にされ、しかも十分その趣旨に沿うように御指導を願いたいと思います。  次は品種改良の問題にちよつと触れてみたいと思うのでありますが、これは蚕糸業の改良発展の根本的な問題でありまして、きわめて大事な問題ですが、今の蚕糸業法で行くと、これは大臣の指定した品種以外はつくつてはならぬということになつている。また品種の統一をする上からいつても、生糸を外国に輸出するという、いわゆる輸出産業としての見地から見ましてもこれは当然だと思うし、またいいことだと思うのです。ただこの場合に、そういうことになつておりますので、民間で品種を育成し、これをつくり上げたといつたような場合には、当然これは公開をしなければならぬ義務があるわけであります。しかし私は今までの状態を見て参りますと、官民を問わずこの品種の育成あるいは改良という問題については、相当の年数も要しまするし、また相当多額の金も使つている。そこで仕上げたものを公開いたしまして、国の方へ出すのですから、それには何といつてもこれにこたえるだけのことはしてやらなければ無理だと思うのですが、今の状態ではこれに対して、こういう人たちがいかにも報いられ薫らないもともと利益本位でやるのじやないのでけれども、それにいたしましても、そういつたものを育成しようというその意欲を押えるような結果になつてはたいへんなことになるので、その点についてはどうお考えですか、この点をちよつとお伺いしたい。
  27. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいま蚕品種の改良の技術者の優遇というか、そういう新しい品種を産出した者に対する報償制度を考えろという御趣旨でございますが、これは私もまつたく同感でございまして、ことに蚕品種の点は、繭は生糸の原料でございますので、製糸家の方面といたしましては、できるだけ糸目の多い繭を要望するわけです。しかしこれを飼う農家の方からいいますと、やはり虫が強く丈夫である、違蚕の少いという点も要望せられているわけであります。ところがあまり虫の丈夫な、違蚕の少い繭はとかく糸目が少い。糸目が多かつたり、開静率のいいものは虫が弱いという関係もございます。つまり自由しておくわけにはいかないというわけで、長短相にらみ合せまして農林大臣が指定して、その指定した品種でなければ一般に飼育させないということをやつておるわけでございますが、これらの点につきまして、だんだん蚕品種の研究家の方にもその趣旨が徹底して参りましたし、またその努力も相当のものがあるのであります。とかくわが国はそういう方面の技術者が恵まれておらないということはまことに残念なことでありますが、私もさつきちよつと技術者のことで触れまして、蚕品種の技術対策の法案をただいま研究中であるということを申しましたが、その中で何らかの対策を研究してみたい、できればただいま民間においてそういう技術の研究をいたしておられる方々に、――政府の予算のことでございますから、そう思うようには差上げられませんが、何らかの補助的な意味というか、報償的な経費も、将来ひとつ組んで行きたいというふうに考えております。
  28. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 これは別に御答弁はいりませんが蚕糸科学の研究の問題です。いろいろの研究機関がある。ところが蚕糸科学の研究費が何としても少な過ぎて十分の研究ができない。しかもこの研究に携わつている人たちは、そういつた非常に苦しい環境に置かれておりながらも一生懸命やつておりますけれども、この点も十分お考えを願いたいと思います。  次に蚕種金融の問題についてちよつとお尋ねいたしたいのです。今度中小企業金融公庫というのができましたが、この対象に蚕種製造業者が入つておらないのであります。これはあなたに質問することはどうかと思うのですけれども、いずれにいたしましてもこの貸付の対象の中に入つていない。しからば農林漁業金融公庫の方はどうかといいますと、この農林漁業金融公庫の方は、協同組合である企業だけが対象になつておりまして、同じ仕事をしておつても、株式会社ということのために、株式会社はこれまた除外されている。そうすると農林関係からも長期の融資を受けることができない。今度できた中小企業金融公庫の方も対象になつておらない、そういうことになりますと、株式会社であるところの蚕種製造業者は一体どうしたらいいのか、この問題は非常に困る。同じ業態のものがどんどん融資をされて、これだけが融資の対象から除外されている。これはたいへん困る問題なんですが、この問題については一体どうお考えですか。
  29. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいま蚕種業者の金融の問題についてお尋ねでございましたが、今回成立いたしました中小企業金融公庫法の施行令の中には、この指定業種といたしまして製造業と書いてあります。われわれといたしましては蚕種製造業もこの製造業の中に入るという解釈でもつて、通産省と交渉いたしておる次第でございますが、向うの言い分は、蚕種の製造は、これは動物の製造であるから製造業に入らないとがんばつているのであります。しかしこれはまだ交渉の余地がありまして、その法の運用及び解釈の点においてただいま交渉中でございますので、まだ全然あきらめてはおりません。なおただいま申し上げました点について将来も通産当局と交渉を進めます。なおその他の点につきましても研究しておる点がございますので、蚕種製造業者に対する金融の点については、今後とも善処いたしたいと思います。
  30. 金子與重郎

    ○金子委員長代理 五十嵐君簡単に願います。
  31. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 それではごく簡単に申し上げます。  蚕種製造会社に対して農林漁業金融公庫を利用するという道をお開きにな考えはありませんか、その点を承りたい。
  32. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 それも一つの方法かと思いまして、研究いたしておりますが、これはまだ関係方面と折衝いたしておりませんので、ここではつきりお約束はいたしかねます。私はそれも一つの方法であろうと存じております。
  33. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 通産省との交渉がうまく進めばよし、もし最悪の場合は、私は農林省の責任において、農林漁業金融公庫から十分これを利用し得るというところまでは、ぜひとも持つて行かなければならぬと考えておるわけであります。これはもう何と申しましても、先ほどから申し上げておりまするように、蚕糸業の振興というこの根本策は、関係業者はもちろんのことでありますが、政府蚕糸業に対するところの認識と決意の問題であると思うのであります。蚕糸業をもし軽視をしておるというようなことがあつたならば、これは各方面で大きな声をあげても、とてもこれは振興できつこない。そこで私は、この蚕糸業の振興という問題は、ほんとうに日本の経済自立のためにも大いに力を入れてもらわなければならぬと考えておるのです。そこでわれわれ民間人といたしましても、十分やりはいたしまするが、さらに政府の積極的な蚕糸業振興対策というものをお立てになつて、すみやかに実行にとりかかられるように、この点を強く要望いたしまして私の質問を終ります。
  34. 金子與重郎

    ○金子委員長代理 吉川久衛君。
  35. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 この際局長に二、三の点について伺つておきたいと思いまする同僚五十嵐委員から詳細にわたつてお尋ねをされたと思いますが、繭糸価の安定の問題について、ただいまのところ、この制度がとられてからまだ十分にその機能を発揮していないと思います。特に繭の価格について、最近業者の間においてもあるいは組合、製糸間等においても非常に問題になつているのでございます。これについてただいままで農林省としてはどのような手を打つて参りましたか。その点をひとつ具体的にお答えを願いたいと思います。
  36. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいまの御質問の趣旨は、結局繭の値段は高過ぎるというか、繭糸価格と生糸の禁止価格とのにらみ合せで高過ぎるのをどうするかという御趣旨でございますか。
  37. 吉川久衛

    ○吉川委員 そういう意味もございます。
  38. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 そういう点でございまするとただいま繭糸価格安定法におきましては、生糸の価格の安定によりまして繭の価格も安定する。従つて生糸の値段は最高価格、最低価格をきめております。繭の価格はこれに応じてそれぞれ安定するという予想のもとに措置をとつております。ただいま二十四万円の禁止価格に比べると、見方によつては高過ぎるとも申されましようけれども、しかしながら一体繭の価格というものの標準掛目の算出等から考えましても、生糸の値段から加工、販売費を差引いたものが繭代金であると考えるのでありますが、生糸の加工、販売費なるものが工場によりまして非常に差があるのであります。繭糸価格安定の最高、最低をきめます場合の資料といたしましては、農林省で調べました五十工場の工費の平均値を出しまして、これによりますと、五万三千円という数字が出たのであります。この出る根拠を調べますると、最低は三万円、最高は七万円を越しておるのでございます。従いまして各県で、現実に繭を売買いたします場合の繭の価格を農林省できめてしまうというわけに行かないのであります。たとえば三万円程度の加工費で済む工場で購入する繭につきましては、たとい生糸が二十四万円であつても、現在の高い繭でも十分間に合うのであります。従いましてただいま生糸の禁止価格に応じて繭の禁止価格をつくるとか、最高価格をきめるというようなことをいたすことは、かえつて不公平であると私は考えております。
  39. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 もう一つ、今お尋ねの中の私の尋ねた意味は、繭の取引が非常に各地において混乱をしているのです。そういうことに対して農林省としてはどういう措置をとつて来たか、そういう問題について今後どういう指導監督をされようとするのか、そういうことについての所見を伺いたい。
  40. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいま繭の取引か相当混乱しているという御説でございましたが、なるほどそういう部面もあるのでございまするが、農林省の方針といたしましては、一般農産物の販売と同じでありまして、繭につきましても協同組合を通じての共同販売ということについて努力いたしておるのでございまして、たとえば全国養蚕連合会が中心となり、各県のそういう養連が中心となつてやつております共同販売促進運動につきましては、農林省においてもパンフレットの配付等についての予算的援助をいたしまして、大いに協同組合を通じての団体取引ということについての奨励に努力いたしておりまするが、中にはこれを法律的にもつと強化いたしまして、農業協同組合以外のものによつてはいかぬというような法制化もせよということもあります。しかしこれは生産いたしました農家の自由を拘束する問題でございますので、そこまで行くのは行き過ぎとは思いますが、奨励方策といたしましては、団体取引の奨励をいたしまして、これに対しては、政府としてもできるだけの後援、援助をするという方針でおる次第であります。
  41. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 他の農産物と違つている点は、非常に価格の動揺がはなはだしいのです。価格の上り下りがはなはだしいという特異性があるので、繭糸価格安定法という法律をわれわれはつくつたのです。ところが糸値と関係を持たないで繭の値段が非常に上つたり下つたりするというような面があるので、糸価安安定に繭の価格安定もプラスされたわけなのですけれども、ところがその繭の価格の安定について、何らの対策を持たないということが、こういうように繭の取引に不必要に混乱を生じているのです。だから糸の関係だけでなくて、立法当時の精神をもつと徹底的に実現するような努力がなされなければならないと思うのですか、そういう点が一向に触れられていない。そういうことについて、どういうふうにお考えになるのでございますか。
  42. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 先ほども申し上げました通り、繭糸価格安定法の考え方といたしましては、生糸の値段を安定することによつて、繭の価格も大体安定するという思想で、ああいう法律ができておるのであります。ただいままでの情勢といたしましては、幸い下つた場合がございませんのでわかりませんが、まあ上つても――ただいま禁止価格についておりまして、これに応じた繭価格が出ておるのでありますが、これが今後より以上、禁止価格を突破するほどの繭価格が出るかどうかという点につきましては、私はそれほどの値段は、将来も出ないであろうと考えております。大体現在のところが、どうやら生糸の禁止価格を標準としたぎりぎり最高の点に行つておると思うのであります。なお御質問の御趣旨は、おそらく最低価格以下に下つた場合にはどうするかという御趣旨かとも思いますが、これにつきましては、法律の十一条にもその場合には、適当な処置をとると書いてありますが、その適当な処置とは何ぞやということは、いろいろ問題があるのでありますが、それは、そのときの情勢によつて、いろいろの方策があるわけでございます。一つの考え方といたしましては、先ほど五十嵐委員の御質問にお答え申し上げましたような、澱粉といもとの関係というようなものを勘案いたしまして、これの将来の運用の状況等をにらみ合せまして、同じようにやられるならやることも一つの考え方でありますし、なお現実に、糸価が最低価格以下に下る、それ以上に繭が下つたという実情に応じまして、それぞれの対策はあるのでありまして、そのときに応じまして、私は対策を立てて行くべきであろう、こう考えております。
  43. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 繭の値段を決定するのに、糸の値段を先にきめて、それから逆算して、繭の値段をきめるという考え方は、繭値の比較的高いときには、それでもけつこうでございますが、しかし、方式としては、それでは逆なので、そういう考え方で行くと、結局繭の生産農家にしわを寄せるような結果になるので、それが原則であつてはならない。むしろそれは逆なんです。そういう考え方をしなければ、繭の生産増強ということは期待されないと私は思うのです。そういう点について、もう一段の御配慮を願つておきたいと思います。そういう意味で繭の価格の安定ということも、あの立法措置をとるときの考え方にあつたということをひとつ想起していただきたい。  次に、先ほど五十嵐君からも質問されたのですが、歴代の繭糸局長は、生糸の市場を拡張するために、宣伝をやらなければならないといつておりますが、具体的にどういうことをやつていられるのか、われわれここ数年間この委員会で見ているのでございますが、われわれの目の前にはつきりとした宣伝の行為が見えないのでございますが、局長になられてからどういう具体的な宣伝措置をとられておりますか。
  44. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 生糸の宣伝につきましてはこれは国内へ宣伝してはかえつてまずいのでありまして、海外の宣伝に重点を置いております。ただいまのところといたしましては、この前の世界絹業会議の決議に基きまして、わが国の業者が資金を三十万ドル、円貨にして約一億円を出しまして、これをパリに本拠がありますISAという世界絹業会議に送りまして、そこで各国にその三十万ドルを振り当てまして、各国でそれぞれポスターでありますとか、商本陳列ということで、宣伝をいたしておりますので、国内におけるわれわれの目の前での宣伝効果は現われておりませんけれども、諸外国ではそのようにわが国の資金によつて宣伝をやつておるのでありまして、これが業界でその負担に耐え切れないという点もございますので、二十八年度予算で二千万円の国庫補助金を出しまして、これもやはりジヤパン・シルク・アソシエーシヨンという、世界絹業会議の一員であるわが国の絹業会議を通じまして、世界綿業会議に送りまして、これで諸外国に宣伝いたしておるのであります。
  45. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 もちろん私が尋ねているのは、国内の宣伝ではないのであります。国内には宣伝どころではない、国内の消費があまりに多過ぎるので、業者はこれに安易に依存して、その結果が輸出にも影響している。直接影響しているわけではないけれども、そのためにこの製糸業の合理化をはばんでいるというようなことがあると思うのでありますが、こういう点について、私はもつと合理化についての積極的な措置が農林省においてとられてしかるべきだと思うのであります。その点について何か対策があるのでありますか。
  46. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 生糸の輸出の増進のためには、価格の合理化ということが一つの問題点だと思います。生糸の価格を合理化するということにつきましては、まず第一に養繭方面の合理化でございますが、養繭業の合理化と申しましても、具体的には結局は反当収繭量の増加ということであります。これにつきましてはいろいろな技術指導をいたしましたり、あるいは桑苗の補助とか、いろいろな国家的補助によりまして、技術の向上をはかつて、反当収繭量を増し、従つて単位当りの生産費の軽減をはかつて行く。製糸の方面につきましては、自動繰糸機がようやく最近研究が完成いたしまして実用化いたしましたが、現在までに約千八百台の自動繰糸機が運転されております。これにつきましては農林省におきまして、資金のあつせんをいたしますと同時に、企業合理化促進法の適用によりまして、減税等の処置を講じて、製糸業の合理化については力を尽しておる次第であります。
  47. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 安定の問題、宣伝の問題について、たいへん抽象的ではあるけれども、考えを持つておられるということでございますが、価格の合理化のためにはもつと反当収量をあげなければならないということで、生産の問題についていろいろ考えているようですが、この蚕糸業の振興のために農林省がいろいろ考えておられるとするならば、私は予算の面でもう少し裏づけられるものがなければならないと思うのであります。ところが予算書を見ますると、蚕糸業関係の予算がはなはだ不十分なんです。二十九年度にはもつとひとつ積極的な予算の要求をされて、今あなたのお考えになつておられるような問題の具体化のために、もう少し積極的に努力されたいと思います。ことに予算が、日本の国の今の乏しい財政のわくの中で、きわめて困難であるということが一応考えられるでしようけれども、日本蚕糸業会の閉鎖機関の残余財産が眠つているのですけれども、ああいつたものを活用して、もう少し蚕糸業の振興等の問題をお考えになつたことはございますか、またやらなければならないとお考えになつておいででございますか、その辺の考えをひとつ伺つておきたい。
  48. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 閉鎖機関蚕糸業会の残余財産の処分の問題につきましては、私もそういう財源がありますれば、これを蚕糸業のために使うということにつきましては、いろいろ努力いたしまして、このために昨年の暮に、前の山添次官とも御相談いたしまして、一応山添案というものが出たと思います。これに対しまして、一部の方面からまだ御不満であるというような点がありまして、今までそれが実現いたしておりませんが、農林省といたしましても、もちろんこの残余財産を出資者に全部わけて雲散霧消してしまうようなことは考えませんで、その中の一部を積み立てて、蚕糸業振興のために使うというようなことにつきまして、一応案をつくつてあるのでございます。
  49. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 足鹿議員が見えましたので、私はもう一つだけ伺つて、あと譲りたいと思います。この残余財産の死蔵しておるものを活用することによつて、蚕糸業の振興ができるとするならば、私はまことにけつこうなことだと思うのですが、ただ先ほど局長は、役人は気の弱いもので、どうも積極的な施策はなかなか立たないというような、えらい謙虚なというか、謙遜なというか、気の弱いことをおつしやつておいでになりましたが、そういう気の弱いお立場でお考えになると、こういうものを活用することによつて大蔵省に気がねをしなければならないとか、あるいはまた蚕糸局の予算が削減されるのじやないかというようなことを、不必要に御心配になるのじやないかと私は想像するのです。だから気が弱いなどと御自分からおつしやらないで、ひとつ気を強くして、蚕糸局の予算をうんと二十九年度予算には計上されて、われわれも応援してあげますから、あまり気が弱いなんて消極的にならないで、もつと積極的におやりになつていいのじやないかと思うのです。その点について気を強く、もつと積極的にやつてみようという、元気を出してやろうとお考えでございますか。そうだとするならば、この死蔵されておる金を活用するためにも、積極的にやろうということをここで言明できますか。その辺できなければできないでもよろしい、私は無理な要求はいたしませんが、ただいまのお考えを承つておきたい。
  50. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 実は先ほど五十嵐委員の御質問に対しまし、役人は気が弱いと申し上げましたのは、あのときは、五十嵐委員はただちに五千万貫の増産計画を立てろとおつしやるので、今ただちに五千万貫の計画を立てろことは、価格の点や需要の点もありますので、もつと詳細な検討をいたしませんと、今ただちに五千万貫増産計画は立てかねますという意味において、気が弱いということを申し上げたのでありまして、蚕糸業の振興の施策を積極的に推進することに、気が弱くてうじうじしておるという意味では決してございませんので、蚕糸業の振興の目的のためには、万難を排してもその実現に努力いたす所存であります。なお蚕糸業会の残余財産の処分の問題につきましては、これは現行法の解沢上は無理であろという点につきましては、この無理を押せという一部の御意見がありまして、この点の意見が合わずに、ただいま実現いたしかねるという点があるのでございます。     ―――――――――――――
  51. 金子與重郎

    ○金子委員長代理 この際、先般来延期しておりました農地の転用問題について、佐々木君の質疑を許します。佐々木君。
  52. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 他の同僚諸君から、蚕糸の問題についてまだ質疑が継続されるようでありますから、私は懸案の農地の問題について、簡単に質疑をいたしておきたいと思います。それは千葉県千葉郡の犢橋地区に起りました、農地を壊廃してゴルフ場に便つたことに関連する農地法第五条との関連の問題であります。今農地課長がお見えのようでありますから、局長がお見えになつた後にまた伺うことにいたしまして、少し事務的なことを確かめておきたいと思います。  まず第一に、御承知だと思いますが、犢橋村の柏井から横戸の両地区にまたがりましたゴルフ場、これは戦争前にゴルフ場として約八十余町歩の敷地を持つておつたものが、戦争後農地に開拓するということになつて、千葉県県農会が県の指導によつて開拓地として指定し、その中の約六十町歩に東京都から約五十人の入植者を迎え、他の一部二十町歩には直接東京都のあつせんによつて開拓訓練所を卒業した者が入植した。ところがその後になりまして、国府台カトンリー・クラブというものがありまして、この中の約五十町歩というものを、農地をつぶしてゴルフ場にしようとして、旭建設という会社に建設工事を請負わせた。こういうことがあつたわけであります。こういう事情につきましては、よく御承知であると思いますが、いかがでございますか。
  53. 和田正明

    ○和田説明員 お尋ねのことはよく承知をいたしております。
  54. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 私の申したことに大体輪郭において間違いございませんか。
  55. 和田正明

    ○和田説明員 おつしやる通りでございますが、ただその間に、開拓農地を買収いたす手続が済みませんで、賃貸借関係でございましたのが、昭和二十五年九月に当該賃貸借関係が切れまして、所有者側から立ちのいて返還を求めるという請求が出ておつたという事情がございます。
  56. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 これは農地法第五条第一項の規定によりますと、農林大臣の許可なしにはいかなる農地の壊廃もできないことになつておりますが、その間の許可申請の手続はとられたものでありましようか。またここに第五条との関係はどうなるものかという点につきまして、伺いたいと思います。
  57. 和田正明

    ○和田説明員 当然農地法第五条の許可を要する事項でございますが、本件につきましては、許可申請書は正式には出て参つておりません。事前に事務的の連絡はございましたが、ゴルフ場にすることは現在の情勢から不適当であると考えましたので、そのような施設にすることはないようにという事務的な折衝をいたしておりましたところ、事実行為として工事を強行いたしましたので、その後に東京の農地事務局長から工事の中止の命令を出しまして、県側から、従前のやり方に指導の直接の責任者である県知事としても、十分でなかつたので、今後十分指導いたしたい、それから工事をやる旭建設側からも、許可を受けずに工事をやることはまことに悪かつたので、今後このような行為はいたさないということを申して参りました。その後県知事において、当該地区を従前と同じように農耕用に利用させるという前提で、知事の指導のもとにそういう方向に進んで行くものというふうに考えております。
  58. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 ただいまの御説明は、相当時間的なずれがあるようであります。この問題が起りましたのが、二十七年の八月二十三日に、もう千葉県開拓者大会を開いております。そうして農地のゴルフ場への転用に対する反対声明を発表いたしております。また同八月二十七日、三十日の二回にわたつて、開拓者の代表者が副知事にも面会をいたしまして、同様の趣旨を陳情いたしております。そうして副知事に対して、すみやかに実情を調べて適正な処分をしてくれということを要求しておるにもかかわらず、一向に調査したような形跡もございません。またこのゴルフ場の建設工事の中止を命じたという事実も全然ないのであります。それのみか、逆に知事が農地開拓課長の小高五郎なる者に命じて、耕作者等のこの反対運動を極力制圧いたした事実があります。必要ならば証人を連れて来ることもできます。ときには恐喝的な言辞さえもつてその転出あるいは農地の移転を強要いたしております。そういういきさつもあつて、その後この農地をゴルフ場に使うことに反対の耕作者たちが、あるいは農林大臣に嘆願書を提出し、あるいは東京都知事に対して救援方の陳情をした。農林省からは、今日死んでおりますが、当時の千葉県農地部長の池田氏とか、農地開拓課長の小高氏らに対して、再三工事の中止を命ずるように示達をいたしております。東京都知事からも同様な交渉があつたのです。ところが千葉県はこのような示達も交渉もまつたく黙殺して、その後において耕作者に対して転出、移転を非常に強要し、先ほど言つたように、耕作者が大会を開いて決議文をつくつて陳情に行つたのが八月、その後同年の十一月になつて大規模なゴルフ場の建設工事に着手しておるのです。あなたのおつしやることには、非常に時間的に間隔があるわけですが、いかがですか。
  59. 和田正明

    ○和田説明員 私ずつと端折つて申し上げましたが、私の方へ、県からゴルフ場にすることについて文書で許可申請を出してもよろしいかというこうで、口頭で相談がございましたのが十一月の上旬でございます。それで、先ほども申し上げましたように、そういうことは現下の情勢から考えて不適当であるから、ゴルフ場への転用はいけない、県民全体のレクリエーシヨン施設であるならば、それはまた場合によつて考えられないこともないけれども、ゴルフ場は次官通牒にもだめだということをはつきりと言つておるので、そういうことはないようにということを伝えたわけであります。その後十八日ころに起工式が行われた旨を新聞等で承知をいたしましたので、ただちに県の農地部長を呼びまして、私から口頭で工事の中止方の申入れをいたしました。一時工事をやめておつたようでありますが、年を越して春ごろになりましてまた工事を始めましたので、先ほど申しましたように、東京の事務局から文書で指示をいたしましたが、なおやめませんので、四月の末になりまして、私が現地を見まして、千葉県知事に会いまして、工事をやめるように申入れをいたしたわけであります。それからあとは、先ほど申したように、工事をいたしました旭建設なりあるいは監督者としての千葉県知事なりから、今後を約する旨の書面が参りまして、知事の責任において、従前と同じように農耕用地に利用されるということに知事が指示をいたすようにということをこちらから申したわけであります。
  60. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 大体ただいまお話のような概略の経過でありますが、昭和三十七年の十二月二十日付で、山添農林次官から千葉県知事にあてて、農地法の施行についてという題で、農地法第五条の農地農地以外のものに転用することを許可する場合においては、公用あるいは公共用その他国民生活の安定上必要な施設の用に供することが、緊急やむを得ないもので、他の土地をもつてかえることが困難であり実現の具体性のあるものに限つて認めることとして、ゴルフ場だとか、競輪場だとか、その他娯楽施設については認めない方針であるという旨の通達を出しております。これは私は写しを持つております。にもかかわらず、千葉県といたしましては、何ら通達の趣旨に沿うような措置をとつておらない。そしてゴルフ場の建設工事をどんどん進めておる。それからその後二十八年三月三十一日付で東京の農地事務局長から、千葉県知事及び国府台のカントリー・クラブの代表者に対しまして、この工事の進捗は農地法第五条違反であるから、厳重に対処しなければならなくなるような事態に立ち至ることは遺憾であるので、ただちに該工事を中止されたい旨の通達を出しており、実はその写しをここに持つております。そこでお聞きしたいのですが、そういうことを許可してはならない、これは農地法違反であるということを、農林省の方から千葉県知事に対して、通達を与えておるにもかかわらず、千葉県の知事が、監督官庁の本省の通達を無視して、かつてな行為をやつておる。これに対する責任は一体だれが負うのですか。
  61. 和田正明

    ○和田説明員 今御指摘がございましたように、私どもの方から直接千葉県知事あてに文書も出しましたし、今御引用になりました山添次官からの通牒は、全国各府県に一般的な指示として出したものであります。これは直接の指導監督の立場にあります地元の農業委員会がいろいろ意見を具して知事のところに上つて行き、さらにこちらに上つて参るのでありますが、私の方からは、そういう文書で申請を出しても許可はできないし、やつてはならないということを言つております。これは直接工事をいたしましたのは、カントリー・クラブかあるいは旭建設かでありまして、指導者の立場には知事がありましたが、違反行為をいたしたものは建設会社だと思います。それで最近五月の初めに参りまして、知事を通じてただちに工事の中止を強力に指導していただくように知事にお諾いたしまして、それからあとは現知事の責任とその指導において、農耕の用に供するということで、現在はゴルフ場としては利用いたしておらぬはずであります。
  62. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 私は単にこういうような千葉県に起つた不幸な事件だけを取上げて問題にしておるのではないのであります。数日前の新聞を見ましても、農林省におきましては、農地改革の趣旨を守れという意味のことを、全国各市町村の農業委員会に対して明らかにされておるようであります。その中には農地をつぶしてゴルフ場に使うということはもつてのほかだというようなことを言われておるようでありますが、今や単に千葉県だけの問題ではなくして、最近では農地法の趣旨とまつたく逆行するような傾向が全国的に見られます。私はそういう観点から農地法の欠陥やあるいは監督官庁の責任の問題を追究しておるわけでありますが、それでは一体農林省の命令に服せすしてかつてなことをやつた知事の責任はどうか。この場合において千葉県知事がその事情を知らなかつたわけはないのです。これはカントリー・クラブがかつてにやつて、千葉県知事は何ら関係かないと言うが、千葉県知事の柴田なるものはカントリー・クラブの発起人なんです。発起人になつてその工事と直接関係があるのです。私たち地元の方々からいろいろ聞きますと、どうも千葉県知事や、あるいは――はなはだ失礼な話ですが、東京の農地事務局長あたりがともにぐるになつてやつたことじやないかというような空気が非常に強いのです。従つて私はこの間の真相を明らかにしていただきたいのでありますが、一体それでは農地法違反の罪を犯した、中央の命令を聞かないところの知事に対して、一体どういう措置をとられるのですか。
  63. 和田正明

    ○和田説明員 中央の命令を聞かない知事にどういう措置をとるかというお話でございますが、この千葉県の問題のみならず、その他各地で農地法の許可を受けずに無断で農地をつぶしました場合には、農地法の規定によつて罰則の規定があるわけでございますが、それは当事者自身の責任の問題で、当事者自身が罰せられることになるかと思います。もしも一般的に中央官庁の指示を地方庁の知事が聞かなかつたらどうなるかという問題になりますと、私からお答えをいたしますよりは、地方自治庁から法律的な解釈をお聞きいただいた方がよろしいかと思います。
  64. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 私は法律的な解釈をあなたに求めようとするのではない。あなたは農地問題についての監督官庁の責任者じやないですか。私は農地の問題において知事が中央の指示に反する行為をやつたときに、どういう処置をするかということを聞いているのです。そういう片々たる法律論をあなたに聞いているのではない。
  65. 和田正明

    ○和田説明員 具体的に千葉県の問題につきましては、直接の担当者であります小高開拓課長が、直接工事をいたしました者に対して指導して、これを中止させるべき責任者でありますから、この課長のやり方が私どもの事務的な指示の線に沿つておりませんでしたので、知事にお話をいたしまして、この課長をかえてもらいました。それからあとは先ほど申しましたように、農耕の用に供するということを知事の責任において処置をするという知事からの書面をもらつて、今後知事のやり方によつてはなお考えるということであります。
  66. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 私は同じことを長くやつてもなんですから先に進みます。それではその後その土地をめん羊の飼育農場とか、千葉農場とかいうものに転用する許可申請が行われたということを聞いておりますが、そういうことがあつたかどうか。またそれを許可したのかどうか。
  67. 和田正明

    ○和田説明員 本年五月の二十二日付で先ほど申しましたように、ゴルフ機関の方から、工事は従前の例にかかわらず強行したことはまことに相済まなかつたので、今後はゴルフ場計画をとりやめて、そういうことはいたさないという誓約がありました。さらに千葉県知事からは、監督上不行届きであつたので、今後は十分に監督をいたしたい、あわせて当該地を今後農耕用として利用させてもらいたいから、承認をされたい旨の書面が出て参りまして、同日付で農地局長名で、この方法でさしつかえないから農地として利用をするようにという文書が出ております。
  68. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 それでは承りますが、このゴルフ場の建設工事はすでに八千万円の金が投じられておる。現在行いつあります工事は、現場へ行つてみますと、まつたくその延長工事であつて、全然めん羊飼育農場に使うというような設計じやございません。要するにこれは表面上めん羊の飼育農場として転用の許可をとつたのであるが、工事が完成した後には、これをゴルフ場として転用するであろうということはみなが認めるところであります。しかもこのことは、本年七月十三日の千葉県会におきましてすでに問題になつております。これに対して柴田千葉県知事は、この農場は、将来ゴルフ場として使用されることがないかどうかということについては、保証の限りでないということを答弁しておる。これらの事情は皆さん御承知でありましようか。
  69. 平川守

    ○平川政府委員 農地課長から事情を御説明申し上げたと思いますが、農地法の建前から申しまして、農林省としてなし得ることは、農地を壊廃する場合においては、農林大臣の許可を受けなければならぬが、その許可を受けずして壊廃した者がある場合においてはこれを処罰する、こういうことが農地法の中にあるわけであります。そこで私どもも、実は農地が実際上壊廃されてゴルフ場の建設が進みつつあるということを事後に知りましたので、これをさしとめるようにということを数回にわたつて知事の方に申入れをいたしたのであります。その後それがなかなかはつきりいたしませんでしたが、ただいま説明がありましたように、これは知事としてもまことに失態であつて、まことに申訳ないが、今後十分監督し気をつけるから今回の件については許してもらいたいというような――言葉は正確ではありませんが、そういう趣旨の申出がありました。そのときにいろいろ私の方でも相談をいたしましたけれども、農地法の運用としてこれを強行いたすとすれば、その壊廃した者を処罰するという問題があるわけであります。知事の方も、その監督を厳重にし、農業用に使うからというふうにあやまつて来ておるから、今後慎むようにということで解決をして参るという状況になつているわけであります。従つてただいまお話の事情はその後私もよく承知しておりませんが、県からの報告においては、牧場として使用するように、めん羊等も入れるように手配している、こういうことを聞いております。     〔金子委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 これはどのように言われようとも、明らかにめん羊の飼育農場ではなく、将来ゴルフ場に使う目的でカムフラージュしながらこれを設計いたしておることは、周辺の住民が周知のところであります。そこで承つておきますが、もしこれが将来ゴルフ場になるというような場合におきましては、いかなる措置をなさいますか。
  71. 平川守

    ○平川政府委員 ただいま申し上げましたように、農地法の運用の問題といたしましては、農地の壊廃があります場合に、壊廃者に対して許可なくして行つておりますればこれを処罰するということがあるだけでありまして、これを再び農地の原状に回復するとかいうような条項がないのであります。これは言つてみれば、あるいは法の不備ということになるかもしれませんし、法の不完全ということになるかもしれません。そこでわれわれといたしましても、これは行政上の一般の監督権で、知事に対してさようなことがないようにということを指導監督いたす以外には、農地法に基いて厳格な処置というものがとり得ないわけであります。ただいまのお話のような場合におきましても、これはそういうことがないということを知事の方でもわれわれの方に正式に申して来ておるわけでありますので、われわれといたしましては、これを信用して措置をいたしております。かりにこういう事態が起りますれば、さらに知事に対して適当な行政的な戒告なり何なりをいたすということ以外には方法がないわけであります。
  72. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 現に六田千葉県知事なる者は、開拓地をゴルフ場に転用するにあつたては、農林省の通達を無視してこれを許しておるわけです。すでにそこにおいてこの農地法を知事がふみにじつておるわけです。表面はめん羊の飼育農場とか言つておりますが、将来これを切りかえてかりにゴルフ場に使つたというそのときにおいて、知事に対とて適当な措置をとりますというあなたのお説をもつていたしますると、この農地法を何ぼ蹂躙しても、結局それに対するところの罰則規定というものがきわめて不明確であつて――一回壊廃された辰地というものはもう原状に復さない。従つてここに罰則さえ覚悟するならば、農地をゴルフ場に使おうと、競馬場に使おうと、娯楽場に使おうと自由自在だ。現に陣頭に立つて踊つておる人間が、千葉県知事だということになつたのでは、一体どこに農地改革の精神というものがあるのか、私はこれは全国的に重大な問題だと思う。われわれは先般本委員会におきましても、この土地改良法の一部を改正する法律案をつくりましてやつておりますことから考えましても、まるで逆コースのようなことをどんどんやつておる。それに対して監督官庁の農林省が何ら有効適切な手を打つことができないといつたのでは、一体どうなります。耕作者というものは戦々きようきようとしなければならない。こういうような状態でありますので、一体そういうときに知事であるとかあるいはそれを監督する立場にある者に対するところの責任、まずその知事に対する責任を、どういうふうな形において追究するかということの一点と、それから、カントリー・クラブなるものの責任者に対するところの措置はどうするか、この二点を明確にひとつ承りたい。
  73. 平川守

    ○平川政府委員 知事に対しては、これは法律上、農林大臣が農地法に基いてどうこうするというような規定がございません。これは一般の行政的な監督で指導して行くよりいたし方がないのであります。     〔委員長退席、足立委員長代理着席〕  それからゴルフ・クラブその他の壊廃をした責任者に対しましては、これは処罰の道がございましよう。これは農地法に基いて壊廃について許可を得ずに壊廃をしたということで、処罰の道があるわけであります。  それからこれをゴルフ場に実際上かえる場合はどうか、これは現在牧場としてあるわけでありまするから、これがゴルフ場になるというときには、やはり壊廃の許可がいるということになるわけであります。但し先ほど申し述べましたように、農地法の不完全と申しますか、処罰を覚悟で壊廃をしたという者に対しては、処罰以外に道はないということは確かに御意見の通りであります。それに対してさらに原状回復といつたような制度を設けるならば、さらに完璧になりますが、現在の農地法はそこまでは規定しておりません。大体はその処罰規定によりまして申請に来るだろう、また現に大部分の場合においてはその申請に来ておるわけであります。でありますから、大体それによつて目的を達しておると思うのでありますけれども、そういう極端な、処罰を覚悟でやるという場合においては、現在の農地法ではこれを防ぎ得ない。  それからなお耕作者が戦々きようきようとするという問題についても、これは耕作者の耕作権は別に保護されておるわけでありまして、ただいまの千葉の場合におきましても耕作者は了承をしておる。これに対して離作料等を支払いまして耕作者は了承しております。耕作者は了承しておりましても、農地法によりまして壊廃者を処罰することができることになつております。
  74. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 この農地を転用するにあたつての経緯から見まして、決して耕作者というものが喜んで、自分の自発的な意思に基いて契約したものでないという、その間の事情を私は言つたわけなんであります。そこで先ほど来お話を承つておりますると、既成事実は既成事実として一応認めて行く。既成事実の上に立つて新たにまたさらにそれを動かす場合においては、また次の対策を講ずる。しかもその次の対策なるものが、既成事実をすでに容認するという当局の立場に立つておるのでありますから、私は将来これがゴルフ場に転用されることの危険なしと保証し得ないと思います。現に柴田千葉県知事なるものはこの国府台カントリー・クラブの発起人なんである。発起人になつてこれを何に使うかという事情を知りなが、農林省の通達を無視してかような処置をとつている。農地法第五条というものを、地方長官が陣頭に立つてこれを蹂躙しておる。それに対して監督官庁が何ら施す手がないといつた事実。私はこの千葉県知事のとつた態度に対して、当然農林省として適当な措置をとられる――法律上の措置はもとよりとれないかもしれませんが、法律上でないところの、行政上の立場から、少くとも政府の意向を、その法律を無視するような行為をやつた地方長官に対して、これを黙つておるというようなことは、私はとんでもない話だと思う。日本は法治国でありますから、法律の建前から地方長官に対してもつと厳重な、少くとも政治的な、行政上の措置をとられる必要があるのじやないかと私は思うのです。  それから、それでは承つておきまするが、少くともこういう農地法の精神に反することだけは明確であります。こういう問題を起したカントリー・クラブなるものの責任者は、農地法の違反によつてこれを告発して、そうして法の適用を受けることによつてこの問題の結末をつけようというような考えがありますかどうですか。
  75. 平川守

    ○平川政府委員 先ほど申し上げましたが、事実上壊廃が行われましたあとでその事実を知りまして、知事に対して戒告を数回にわたつていたしましたが、その結果知事の方としては、はなはだ申訳のない事態になつて来た。そこで知事の方としてもこれはゴルフ場に使うのではなくて、農業用に使うことにさせるからかんべんしてもらいたいといつたようなことが来ましたわけでありまして、その際にわれわれの方としましては、カントリー・クラブの責任者を告発するということは可能であるのでありますけれども、ただ知事の方で責任を持つてこれを農業用に使う、だから今回のあやまちについては許してもらいたい、こういうことを知事が申し出て参りましたので、知事を信用しまして、その告発については差控えをいたしたのであります。告発をいたしましてもこれを処罰するだけでありまして、元の農地に復活するだけの法律の条項がございません。しかしこれは告発することは十分可能でございます。けれども知事がそれだけの責任を持つてゴルフ・クラブにはしない、農業用に使うようにするからということを申して参りましたので、私の方では告発を差控えたという事情でございます。
  76. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 私は時間がありませんから、もう二点だけ簡単に質問いたします。  もう一点は、それではあなたがお認になつておりますように、農地法というものは罰金かあるいは、よく存じませんが、三年ぐらいの懲役を覚悟さえすれば、農地を他に転用することは自由自在ということになる。そういうことになつておるわけで、現に事実が千葉県で起つておるのですが、法の欠陥というものは明らかにお認めになつておるなれば、この法は何らか適当の方法によつて改正するという必要が生れて来はせぬかと思いますが、その点はいかがですか。
  77. 平川守

    ○平川政府委員 その点については今研究をいたしております。大部分の場合におきましては、先ほど申し上げましたように現に壊廃の申請が相当出ております。大体のケースは正しい認可の手続を経まして行われておるのでありますが、ただいまのような場合が出て参りますと、現在の法律では処罰以外には救済の道がない。これは言つてみれば確かに法の不完全ということも言えるかと思います。それでは初めからそのつもりでもつて――あつちこつちで壊廃が行われるといつたようなことになつては困るわけであります。そういう意味において、何か原状回復の義務を課するというふうな条項を加える必要があると考えて、ただいま検討いたしております。
  78. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 最後に一点、結論でありますから、この点だけは明確にしていただきたい。それはどうも私は今までの事情を見ておりますと、千葉県知事とそれからカントリー・クラブなるものとが組んで、しかもそれに対して農地局の事務局長までもがそれに意識的にあるいは無意識的におどらされた形跡が多分にあります。そこでそれでは千葉県知事自身が、県会議員の質問に対して、公の場所で、もし将来めん羊飼育場がゴルフ場に転用されるというような場合があるかどうか、あつたときにはどうするかという質問を受けたのに対して、明確な返答をあえて避けておるそうであります。こういうことからいたしますと、私はやがてこれが正体を現わしましてゴルフ場になつたときに、これに対してそれでは農林当局は中止命令をする、絶対にゴルフ場にはさせない、こういうことを明らかに今言明することができますか。
  79. 平川守

    ○平川政府委員 農林省の法律上の立場といたしましては、放牧採草地を廃してゴルフ場にするという場合におきまして、許可がいるという問題があるのであります。そこでわれわれといたしまして、これをゴルフ場に変更するということについては、認可をいたす方針はございません。ただ、ただいま申しましたように、これも処罰を覚悟でやられますと、ただいまのような欠陥がありますので、その場合にはその違反者を告発し処罰するという問題が起るかと思います。
  80. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 それでは私はこれで終つておきまするが、農林当局は、これを将来ゴルフ場に転用する場合において、農林大臣に許可の申請をされた場合においては、絶対にこれに許可を与えない、こういう御方針であると思いまするが、そのように私は承つて質問を打切つてよろしゆうございますか。
  81. 平川守

    ○平川政府委員 それでけつこうです。     ―――――――――――――
  82. 八木一郎

    八木一郎委員 質問に入る前に委員長にお尋ねしますが、政府委員、主として大蔵省関係の局課長をこの委員会に出席してもらうように要求してあるはずだつたのですが、要求してある名前と現在までに出席されておる人の名前を、この際ちよつとお知らせ願いたい。
  83. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 お答えいたします。大蔵省の銀行局長、主税局長に対して要求をいたしまして、先ほど主税局長は出席をいたしましたが、大蔵委員会の方の要求で、ただいま大蔵委員会の方に出席をいたしております。なお銀行局長もただいま大蔵委員会に出席を要求されて出席しておるそうでございます。なおただいま管財局の閉鎖機関課の課長補佐玉井説明員が出席いたしております。なお八木一郎君からの御要求の参考人として、閉鎖機関日本蚕糸業会特殊清算人黒瀬勘一君は間もなく見えるとの連絡があります。約二十分くらいかかるのじやないかと思います。
  84. 八木一郎

    八木一郎委員 さらに厳重出席の督励を願いたい。一十分ばかり待つことにいたします。
  85. 足鹿覺

    足鹿委員 蚕糸問題について蚕糸局長にお尋ね申し上げたい。この国会で若干の修正を受けて成立を見ました私的独占禁止法の一部を改正する法律案、すなわち独禁法の改悪によつて、蚕糸業法第十五条の規定を、法案自体の改正を待たずして、私的独占禁止法の改正によつて提案をされた理由はどこにありますか。まずその点からお伺いいたしたい。
  86. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 今回の独禁法改正案の附則に、蚕糸業法の改正をいたしまして、十五条の二として新しく繭価協定をやる場合の、製糸家の共同行為の許容規定を設けたのでありますが、あれは蚕糸業法を改正する場合には、その中に入れるつもりでありまして、たしかこの前の国会に、この蚕糸業法の全般的改正案を出すつもりでおつたのでありますが、これが非常に大部の法律になりますことと、それから当時農林省といたしましても、団体再編成の問題でありますとか、あるいはいろいろな大部の法律がありまして、その方を先にしなければならぬというような、法制局及び農林省文書課の審議の能力の関係上、この前の国会に出せないという事情がありましたので、蚕糸業法の改正案の提出が不可能になつたのであります。しかしながら一面におきまして、繭価協定の規定につきましては、これを急ぐ関係もございまするし、またこれが独禁法の適用を排除するという、独禁法そのものの改正の規定ごございますので、独禁法の附則の中に入れてその処置をしたという事情でございます。
  87. 足鹿覺

    足鹿委員 それで手続上の点は一応わかりましたが、繭価協定をすることが、日本の養蚕農民を不当に圧迫する結果をもたらすということについて、御検討になつたのでありますか。
  88. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 現在実際行われております繭価協定というものが、私は繭価を不当に圧迫するというふうには考えておらないのでありまして、これは沿革的に考えますと、そもそも繭の販売の当初は、繭の仲買人というものが、農家の庭先まで出て行つてこれを買いたたいたような事情があり、その後生繭市場というものが発達して、そこで取引されたのでありますが、その場合も商人に農民がたたかれたというのが、だんだん改善されて参りまして、その後製糸家の方の都合によりまして、この繭仲買人あるいは生繭市場というものを排除して、直接農家との間に、いわゆる特約組合という制度があつたのでありますが、これではやはり農民の利益が十分に擁護されないという関係がありまして、その特約組合的なきずなを断ち切つて、農民自体の協同組合による共同販売ということがだんだん発達して参りまして、これが戦前でもそういう方向にありましたが、特に戦後におきまして、そういう方向がだんだん発達して参つたのであります。そうなると農家の方は団結して協同組合で共同販売する。その相手方である製糸業者と、そこで団体的に話合いをつけて繭価をきめるというのが、繭の取引及び繭価の決定の方法としてただいままでに発達して来ました発達段階でありまして、私はこれが完全な、理想的な制度であるとは思つておりませんけれども、繭の特殊性から考えまして、そのただいままでの発展段階としては、過去に行われた制度よりはよくなつている、こう考えている次第であります。
  89. 足鹿覺

    足鹿委員 これは重大な問題だと思います。今局長が言われるように、養蚕協同組合組織、またその他の農民の協同組織が、製糸業者に匹敵する、互角の力を持つた場合においては、不当な圧迫の事実というようなことはあり得ないと思う。若干あつても、またはね返す力が、繭の生産業者である養蚕農民にも漸次出て来ると思う。しかしながら現在は、御存じのように養蚕協同組合と申しましても、その組織は必ずしも――農民の自主的な意思に基いてできたものではあるが、その運営の実態は、製糸業者から経常費の補助を受け、また技術員の援助る受け、あらゆる点において製糸業者の御用機関的な運営が現実になされていることは、御存じでありましよう。そういう力の差が明らかになり、しかも製糸業者のある程度庇護を受けておる養蚕協同組織が、強力な繭需要者の繭価協定に圧迫されないと何人が保障できましようか。私どもは、なるほど不当なる繭価の圧迫ということはあり得ないはずだとは思いますが、それは互角の力のときにおいて初めて言い得ることであつて、今申しますように、養蚕協同組織が詭弱なときに、大きな資本の圧力を排除する正当な繭価の協定ができ得ると局長はお考えになつておりますか。それほど現在の養蚕協同組織というものは、製糸業者に対抗する完璧の組織であるとお考えになつておりますか。まずその点をお伺いいたしたい。
  90. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいまの養蚕協同組合の実態は、足鹿先生のおつしやるように多少不備な点もありますけれども、しかし私は、過去の産業組合時代を通じて、長年の団体運動の結果、だんだんよくなつておる、完璧なものであるとは申し上げかねるのではありますけれども、しかし相当の団結の力を発揮いたしまして、農民の利益を代表するところまでだんだん来ておる、今後なおこれを育成し、改正すべき点は多々ありますけれども、なお今後これを保護助長して行つて、できるだけ完全な農民団体の姿に直して行くという点は多々ありますけれども、だんだんそうなりつつある、従つてこれを育成して行かなければならない、こう考えております。
  91. 足鹿覺

    足鹿委員 私はそんなことを聞いておるのではないのです。現実に力が互角であると御認定になつておるかということを聞いておるのです。弁明的なことはよろしいから、結論的におつしやつていただきたい。
  92. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 私は現在の状態でも、それほど製糸家から圧迫を受けて不当な繭価を押しつけられろというほどの弱体な団体ではないと思つております。
  93. 足鹿覺

    足鹿委員 しからば事実を一つ申し上げて局長に御答弁願いたいのでありますが、これは長野県における一つの事例である。すなわち長野県日野村、豊州村の両村において、従来両村は製糸家の繭価格が非常に安いので、長野県方面のそういう製糸家に販路を求めることをやめまして、そうして茨城県の須藤製糸という製糸会社に販売の契約をした。ところが長野県の製糸協会はこれに対して非常な報復的な処置をとり、もしあえてこの契約を実施するならば、茨城県のその須藤製糸の地盤に向つて繭の濫買をやつて、報復的に処分をするであろう、こういう態度に出て威圧を加え、そして遂にその契約を解除せしめるに至つた事実が、昭和二十八年七月十日付蚕糸新聞に掲載されておりまするが、これは明らかに製糸資本の横暴を如実に現わした事態ではありませんか。こういう事実が発生しておる。私どもはいたずらに、ただ養蚕協同組織が弱いと抽象的に言つておるのではない。一つの事実から推して、現在の製糸資本の力と、養蚕農民の結束の力はとうてい互角には行かない、著しく差があるということを言つておるのである。しかもこういう事態に対して蚕糸局は、むしろ地方の出先機関等と連絡をとられ、そういうような行き方に御賛成になつておるやの気配すら見えるのは、はなはだ奇怪しごくに私どもは存ずる。第一、独禁法が改正にもならないうちに、蚕糸局長名の通牒をもつて、独禁法の改正の趣旨に準ずるような指導方針を末端に通達するのは、さたの限りではありませんか。独禁法の改正がなるかならないかは、国会の権限だ。その独禁法の改正を予想して新たなろ今年の繭価協定の方針を指示し、しかもそれは公正取引委員会とすでに打合せ済みであるかのごとき印刷物を地方に配布するがごときは、官吏として越権のさたではありませんか。大体蚕糸局は、従来のやり方を見ておれば、真に養蚕農民の立場に立つておやりになつておるかどうかということは疑わしい。真に公正な立場に立つて、日本の蚕糸業を発展せしむる上においても、養蚕民が欣然として増産にいそしむような政策をとらない限り、日本の蚕糸業の発達はあり得ないと思う。一体蚕糸局長は、独禁法の改正に先立つて、正改独禁法の内容にマッチするがごとき指導方針を立てるような通牒を出すことは、越権だとお考えになりませんか。その点について御所見を承りたい。
  94. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 おそらくただいまお話のありました通牒は、春繭取引の前にいつも蚕繭処理方針について通知をいたしますそのことと思うのであります。しかしあの通牒でございますならば、独禁法の改正になる前に、独禁法の改正趣旨の通りやれというような意味のことを言つたのではないのでありまして、従来とも繭価の協定には、製糸なり養蚕なり、いろいろな方面から、研究が必要でございますので、各県で繭価協議会――県が主として主催いたしまして、これにはたとえば製糸の加工販売面はどうだというような資料を提供いたしまして、標準掛目の研究をする委員会をつくつておつたのでありまして、これを今年もやつてもいい、これは独禁法に関係なく、そういう研究機関ならばよろしい、そういう審議会をつくつてもよろしいという趣旨を出したのでありまして、独禁法改正前にその通りやれというような通牒を出したのではございません。
  95. 足鹿覺

    足鹿委員 それは脆弁でありましよう。蚕糸局長の通牒の第三項に何と書いてありますか。すなわち今回の独禁法の改正の重点として、繭の供給者から需要者へ向つて繭価協定を申し込んだときに、初めてその繭価協定が成り立つと今度の改正法にはうたつてある。それに完全に符合するがごとく、すなわち第三項の繭価決定方式第一号に、農業協同組合またはその連合会は、繭価の協定に関し、その相手方たる製糸業者その他の繭需要者に対し、繭価協議会を開いて、共同して協議するよう要求することができる、と指示しておられるではありませんか。法律がいまだ成立をしておらないうちに、独禁法の改正趣旨の条文をそのまま地方へ御指導になることは、私どもは越権だと思う。研究会を開けなどということはまつかな偽りでありましよう。どこに研究会を開けという文句がありますか。明らかにこういう事実があるではありませんか。あなたはこれをあえて研究会だと強弁するつもりでありますか。
  96. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 それはまことにわれわれといたしましては研究会のつもりでありまして、それが独禁法と同じような方向になりましたけれども、そういう研究会といえども、養蚕農業協同組合の方で好まなければやらないでもよろしい、そういう研究会をいたしましようという発議権を協同組合に持たした趣旨でございまして、独禁法改正前にその通りやれという趣旨ではございません。
  97. 足鹿覺

    足鹿委員 研究会でやれということは書いてありません。どこに書いてありますか。はつきり第三項の繭価決定方式の第一号に、繭価協議会を開いて、共同して協議するよう要求することができるとはつきり言つておるじやありませんか。この内容はほとんど改正独禁法の内容に該当するではありませんか。研究会と言われますが、研究をしてやれ、研究をしろというようなことは一つもありません。また独禁法改正の精神に基いて供給者が需要者に対して申し込んだ場合に初めて繭価協定が成り立つことは私どもも知つております。しかしながら申し込んで初めてできるということは、そこに力関係があるということを私が先刻から指摘した通りであります。なぜかならば、製糸業者から養蚕協同組織なり、あるいはその他の養蚕組織の中心人物に対して、いろいろな支援を与えておるのが現実であつて、申込みをするなと言つても、申込みをせざるを得ないではありませんか。研究会というようなことをやつて研究をしてみようなどということがどこにありますか。しかも繭価決定方式の最終の段階には、繭価協議会が開催された場合には、都道府県は開催の日時、場所、その構成員もしくは出席者名並びに協議決定の内容につき、それぞれ農林省及び公取委員会に報告しろと言つておるではありませんか。これのどこに研究会がありますか。そういう詭弁はわれわれは受付けることができません。最高の権威の国会を冒涜するものである。どこに研究の事実がありますか。
  98. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 当時といたしましては、そういう研究会を開くことについても、独禁法違反のおそれがあるという公取等の話がありましたので、その点はわれわれの方で十分研究いたしまして、また説明もいたしまして、現在のところは、それは基準の掛目を算出する研究会であるからということで公取とも了解を得たのでありますし、またそこにははつきり研究会とは書いてないとおつしやるかもしれませんが、これは主任官会議等で十分その趣旨を徹底いたしておりますので、この通牒を読む県ではその内容がわかるのであります。またあとでその詳しい報告を農林省と公取へよこせと書いてあります趣旨は、それによつて独禁法違反にならないかどうか、また研究会という趣旨を逸脱しておるかどうかを調べるために、そういう報告をとつておるのでございまして、これは決して先生のおつしやるような趣旨の通牒ではないのであります。
  99. 足鹿覺

    足鹿委員 いよいよもつて奇怪なことをあなたはおつしやいます属この通牒には書いてないが、研究会の趣旨でやれ、私の当初の質問に対してはそういう趣旨で通牒を出したと言つて、今私の追究にあつて、この文書にはないかもしれませんが、主任官会議等においてそういう説明をした、こういうふうに言い改められたと思う。主任官会議などというものは、別に公式のわれわれ国会に報告の義務のあるものではありません。われわれは政府を代表して出した通牒によつて、今あなたに御質問申し上げておるのである。あなたがどういう説明をなさつたか、あなたかどういう意見を主任官会議で述べられたということは、何もわれわれの関知するところではない。政府を代表して、しかも仲禁法改正前に改正を予想して、かかる不穏当な指導方針を出したということを追究しておるのである。しかも独禁法の改正に対して蚕糸業法の十五条で改正して行くべきものを、ただそれは政府の都合ではありませんか。農業委員会法の改正だとか、あるいは協同組合法の改正があぶないということは政府の都合である。政府が必要と思えば関係法律の修正を出すがしかるべきでありましよう。そういうことは理由になりません。大体従来の蚕糸局の運営を見れば、まだまだ伺いたいことはたくさんある。すなわち、本年の関東を中、心とする凍霜害の際に、蚕糸局は一体どういう指導方針をとつておりますか。組織の大小を問わず、現在の養蚕組織には幾多の組織があることは御存じでありましよう。養蚕連の中核体であるところの全国養蚕連合会が大なるものであることは承知しておりますが、まだほかにもたくさんの養蚕農民の利益を代表する組織があろことは御存じでありましよう。この農業予算の施行に対しても、大して急ぎのない、内容もそう大して重要でないものを、しかも養蚕の最繁期に講習会を開いて、全国養蚕連にそれを全部委託して、栃木の経済連並びに全販連からの抗議にあつて、このときに、あなたは何と言つておりますか。全国養蚕連にお前たちが入つておらないから悪いのだ。講習の委託費がもらえないならば、全養連に入つたらいいじやないか、こういう暴言をあなた方はしておる。それは何という指導方針でありますか。加入、脱退の自由は官吏のさしずを受ける必要はない、農民の自由意思であります。しかもあなたは凍霜害の農業予算の支出の問題をめぐつて、どういう放言をしておりますか。全養連の主催でいけなければ講習を受けなければいいじやないかという暴言を吐いておる。あなたは一体全養連の手飼いの蚕糸局長でありますか。全国の蚕糸業を指導代表するところの政府の中枢の立場にある人ではないですか。何という暴言を吐くのです。事業の大小は、そのときの経済情勢なり、そのところごろの住民の意思によつて決定することである。何をあなた方が組織の大小や員数の多寡によつてとやかく言う必要がありますか。弱ければなるべくこれを強くして行くと今あなたは言つたじやないですか。従来の日本の蚕糸業を、戦後壊廃したものを今後復興して行くためには、あらゆる養蚕に関心を持ち、熱意を持ち、正しい主張を持つ者が力を隻めてやつてこそ初めてできるではありませんか。組織の大小などによつて、予算の問題について不公平を行い、その不公平について地元住民の意思を代表するいわゆる農協が抗議を申し込めば、悪ければ受けなければいいとは何ですか。ことごとに現在の蚕糸局の蚕糸行政を見ておるのに、ほとんどあなた方の独立性というものが失われ、何か一つのあやつられる糸によつて蚕糸行政が運営されておるという疑念すらわれわれは抱かざるを得ない。私は架空のことを言つておるのではない。今の長野県の両村の場合においても、またこのたびの栃木におけるところの事件にしてみましても、あなた方の態度は公明を欠いております。これに対してあなた方は弁明の余地がありますか。あればこの際承つておきたい。
  100. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 いろいろおしかりをこうむりましたけれども、凍霜害の講習会の予算につきましては、なるほど栃木については問題があつたのでありますが、いろいろ言つたとか言わないとか、おつしやるようなことは、私は言つた覚えはないのでありますが、もしも両当事者があるならば共同で主催したらよかろうということを申し上げたのであります。受けなければよかろうとか、あるいは加入したらいいじやないかというようなことを私自身は申した覚えはありませけんれども、かりに私の不敏によりましていろいろそういうふうに誤解されるような点かありましたならば、今後注意いたしたいと思います。
  101. 足鹿覺

    足鹿委員 ないとおつしやいますが、それは現実に聞いた者があるから申し上げるのです。あなたは最初から少くとも誠意のある答弁をしておらない。今のあなたの局長通牒にしても、今度の予算の施行の問題にしても、少くとも私は事実をあげて言つておるのです。あなたが今までとつて来られたような蚕糸行政の運営をされるならば、われわれとしても全養蚕農民とともに断固として糾弾するであろう。第一、これは先刻申し上げたからいまさらくどくは申し上げませんが、少くとも二十八年四月十五日の局長通牒は国会の権威を冒涜し、一更僚が独禁法改正に先駆して、しかも養蚕農民に利益となるかならないかすこぶる疑わしい通牒を出して指導したという責任は、われわれは今後長く追究するでありましよう。同時に、養蚕の協同組織に対しても公正なる指導を行わずして、一方的な指導を行われたことについても、われわれとしては今後長く――あなた方がその方針を衷心から改められてやられない限り、私どもは今後とも糾弾の手をゆるめないことをここに声明しておく。同時に長野県におけるところの日野村、豊州村における事実について、蚕糸局長は調査をして、これに対する的確なる資料を持つておるかどうか。その点もあわせて最後に御答弁願いたい。
  102. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 この問題については、実は私初耳でございまして、まだ調査いたしておりません。
  103. 足鹿覺

    足鹿委員 調査しておらないというが、全然知らないのか、事実があつても調査をしておらないのか、今後調査をするのか。そういう御答弁がありますか。事実と若干違うならば、今後慎重に調査するとか、検討するとか、そういう事実があつたならばどうするとかいうことが誠意ある答弁ではありませんか。存じておりませんというのは何ですか、そういう答弁がありますか。
  104. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 実は初めて伺いましたので、調査しておりませんということを率直に申し上げたのであります。もちろんそういう事実がありますれば、さつそく資料をいただいて厳重に調査いたしたいと思つております。
  105. 足立篤郎

    ○足立委員長代理 八木一郎君。
  106. 八木一郎

    八木一郎委員 出席要求の関係当局はまだお見えにならないようでもありますし、時間も経過いたしますので、私はこの際閉鎖機関日本蚕糸業会に関して五点ばかり簡単に御質疑を申し上げ、その答弁によつて事実を明瞭にいたしたいと思うのであります。  第一は、閉鎖機関日本蚕糸業会の特殊清算の状況についてであります。日本蚕糸業会は、御承知のように蚕糸業法二十九条に基いて、全国を地区とする蚕糸業の改良発達及び統制に目的を置きまして、日本のオール蚕糸業会を網羅しておる。すなわち養蚕、蚕種、製糸、輸出貿易等の業者を漏れなく強制加入、いな当然加入会員といたしまして、マッカーサー司令部の指導のもとに統制会社解除のあとを受けて、昭和三十一年一月に設立いたしましたが、翌二十二年十一月一日には事業者団体等の関係から、閉鎖機関令第一条によつて閉鎖機関と指定されています。この間業務を行つた期間はわずかに一年九箇月でありますが、閉鎖機関の指定を受けました当時、手持ち財産がどういう状態であつて、それが特殊清算を続行して今日に及び、ただいま残余財産七億数千万円があると伝えられております、この内容に関しまして、でき得る限り具体的に、詳しく知りたいのでございます。これが特殊清算人の関係御当局の御出席を煩わしてお伺いいたそうとしたゆえんでございます。何とぞ御答弁あらんことをお願いいたします。
  107. 黒瀬勘一

    ○黒瀬参考人 大体バランスを申し上げますと、商品として閉鎖日に持つておつたものが十七億五百四十五万一千四百十九円六銭、指定業務として持つておつた商品が六十六億八千二万二千二百九十三円四十六銭、それらをすつかり処分いたしたのでありますが、その商品の利益金として、資産処分益が四億二千八百九十五万五千五百二十五円、うち生糸の処分益が四億二千七百九十五万二千六百五十七円、これが大部分であります。それから利息収入として一億四千八百一万一千六百九十五円、その他の利益が五百九十八万八千九百七十七円、それから約一年間の指定業務中の利益金でありますが、その利益が六億三千三百五十一万二千六百十三円、それを全部総計して十二億一千六百四十六万八千八百十円、こういうことになつたのです。  それから損失の状態でありますが、損失金は、指定業務経費――これは指定業務中に使つた経費でありますが、三億二百三十九万六千三百三十四円、それから資産処分の損が五百四十四万一千五十円、五年間の清算費が一億六千百四十三万七千四百七十六円、合計して三億六千九百二十七万四千八百大十円となりまして、その差引利益が八億四千七百十九万三千九百五十円、こういうことになつております。  現在持つております資産の中で、銀行預金としてありますものが六億五千五百五十万四千八百一円、それから投資証券としては、あるいは割興と称します割引興業債券、あるいは割引商工債券を持つておるかと思いますが、大部分は食糧証券でありまして、九千七百七十九万九千四百五十円というのがただちに現金にかえ得るものであります。これを合計して七億五千三百三十万四千二百五十一円、これがほぼ現金に相当するものでありまして、その他の財産が合せて八億四千七百十九万三千九百五十円になるのであります。  それから清算の現況でございますが、かようにいたしまして、清算は現在におきましては、ほとんどこういう現金にかわつておりまして、大体においてほぼ最終分配をいたし得るに近づいた状態に来ておるということが申し上げられると思います。
  108. 八木一郎

    八木一郎委員 ただいまの資産表は、資料として後刻御提出願いたい。
  109. 黒瀬勘一

    ○黒瀬参考人 よろしゆうございます。
  110. 八木一郎

    八木一郎委員 それから最終分配に近づいたところまで特殊清算の進行はいたしておる、了承いたしました。ただここで伺いたいのは、ただいままでに特殊清算を続けておる際、指定業務としてですか、価格差益金等を政府に特殊生産中に納入された額が七十四億にも及ぶというようなことも出ております。この価格差益金として、あるいは税金として国税庁その他政府に納入いたしました額は、総体で大体何十億程度であるかということ。いま一つは閉鎖後の、取立て不能といつては何ですが、未収となるであろうと思われるような御説明を今伺いませんでしたが、何か未収になるような懸念を持つものもあるじやないか。この二点を伺いたいと思います。
  111. 黒瀬勘一

    ○黒瀬参考人 ただいまの第一点の価格差益金の納入実績でありますが、これは二十三年の十二月二十四日よりいたしまして、三十六年の十二月二十二日に至る間、十回前後にわたりまして、政府に納付をいたしておりますが、その納付いたしました総金額が七十四億五千四百三十一万七千七百三十四円という金額になつております。  それからその次の不良債権はどうかというお話でありますが、大体私の方で見ております一つが、閉鎖後未収金というバランスで載つております。この金額五百九十五万というのがございますが、この大部分は、これは確か山梨県の県購連に対する何か少しスキャンダルが起つておるようでありまして、打切りにしなければいかぬのじやないかというふうに考えられますが、今整理進行いたしております。これは確か検事局の方で起訴になつておるかと思います。そのほかは共助金といたしまして、六千四百四十一万七千九百円というものが、取立て債権というふうにバランスに載つております。これはだんだん聞いてみますと、転廃業者に対する共助金を蚕糸業会が払いまして、勧業銀行その他の銀行から借入金をして、実際に払つたのでありますが、それに対しては業者から――これで四十五円でありますか、幾らか手数料をとりまして、この共助金を残つた業者から払わせる、こういうことであつたようであります。これが途中で組織が大変更になりまして、今後とれないおそれがあるんじやないか。この点につきましては、先般来農林御当局といろいろお打合せをいたしておりますが、これは場合によりましては、切捨てをいたさなければならないようになりはしまいかということを、実は心配しておるのであります。
  112. 八木一郎

    八木一郎委員 ただいまの共助金というのは、切捨てなければならぬようになろうかというお話はちよつと了解に苦しむのですが、取立て債権として共助金がすでに転業蚕糸業者には支払つてある。     〔足立委員長代理退席、井出委員長着席〕  その分は残存復興業者が当然支払うべきである。この関係を思いますと、おそらく残存業者というか、今日復興途上に蚕糸業を経営しておられる方は、大部分、あるいはほとんど全部が蚕糸業会の出資者ではないかと思う。しますと、出資に対する相当の配分が行われます目途が立つている今日、相殺しても勘定ができるはずのように思いますが、そういう性格のものではございませんかどうか、重ねてお伺いいたします。
  113. 黒瀬勘一

    ○黒瀬参考人 今ちよつと私感違いをいたしておりましてはなはだ恐縮でありますが、今の六千四百万というのは、そのうち仮受金として三千四百三十一万ばかり現実に入つておりますので、その差額の四千万くらいがそういうことになるおそれがあるのではないかということで、数字を訂正いたします。たいへん恐縮であります。
  114. 八木一郎

    八木一郎委員 数字は四千万でもよろしゆうございますが、共助金として取立て債権に属するものが打切らなければならないかもしれないという根拠が、私には納得しかねる。と申しますのは、現に事業をしておられる方1当時で言えば転業者に対する残存業者が、当然払つて行くべき共助金であろう。その共助金を持つている業者は、蚕糸業会から言えば出資者であろう。この出資者に対しては、あとで明かにさしていただきますが、配分が行われるであろう。財源はここに出て来るのに、相殺経費か何か方法をくふうすれば、当然その金は取立てがつくじやないか。打切らなければならないという、何か打切る法律か命令か通牒か、そういうものがありますか。
  115. 黒瀬勘一

    ○黒瀬参考人 打切らなければならぬかと申し上げたのは、あるいは言い過ぎであつたかも存じませんが、清算につきましては、極力残存業者その他から回収をしたいと、農林御当局ともいろいろ先日来協議をいたしている次第であります。これをいろいろ研究しました結果におきますと、この四千万を債権として確立するについては、法律的に相当の疑問があるということでありまして、これはなお御指示に従つて極力回収をいたすようにいたしたいと思つておりますが、なおそういう点についていろいろ研究をいたしている次第であります。
  116. 八木一郎

    八木一郎委員 特殊清算の今日の状況においては、共助金の取立てが可能であつた場合には、出資者の配分と見合うべき金額は幾ら、もしこれが不能であつたならば幾らになるか、世上七億五千万とか言われておりますが、明らかな数字があれば、この際伺いたいのでございます。
  117. 黒瀬勘一

    ○黒瀬参考人 結局特殊清算の清算方式の原則から参りますれば、大体債務を全部弁済いたしまして、債権をできるだけ取り立てて、現在残つたものが昭和二十八年六月末で七億五千三百三十万四千二百五十一円の現金がございますが、かりにこれを配分いたしますには、まず問題は清算所得税というのがございまして、その所得税は大体今私が調べたところによりますと四〇%を払わなくちやならぬということであります。地方税は蚕糸業法によつてかからないはずであるというふうに考えております。まだこれはいろいろ研究の余地がございますが、そうしますと大体六〇%のものが業者関係に、出資及びそれに対する比例配分ということでお返しをいたさなければならぬ金額になるのじやないかというふうに考えられる次第でございます。もちろん清算経費は差引かなければなりません。
  118. 八木一郎

    八木一郎委員 もう一点伺いたいのは、六年九箇月にもわたる長い期間の清算を続行しておられるのであります。ただいまほとんど最終の分配をしてもいいというような、清算結了に弄いところまで清算が進んで来たとおつしやいますが、現在清算事務を続行するために必要な経費はどのくらいかかるか、それだけはこの清算財の中から果実として生み出して来るものによつてまかなつて行けるのであるか、食い込んでおるのか、この点を伺いたい一思います。大まかな数字でけつこうです。
  119. 黒瀬勘一

    ○黒瀬参考人 今ちよつとこまかい数字は持ち合せておりませんが、月の清策経費が約三十万ございまして、七億数千万の運用利益というものは、先ほど申しましたように預金とそれから評券にまわつております。もちろん運用の利子でまかなつて十分に余りがあ若のじやないかというふうに考えております。
  120. 八木一郎

    八木一郎委員 特殊清算に関する第一点のお尋ねは、以上によつて了解いたしました。了解した結論として私が印象を深めておることは、閉鎖機関として政府が一方的に閉鎖してから今日まで、蚕糸業者の血と汗の結晶である財産の大部分である七十数億円が価格差益金の名をもつて国税庁に収奪された、さらに清算結了後における所得に対しては、四〇%すなわち三億近くの税をまたここから収奪されようとする。あたかもこの閉鎖機関日本蚕糸業会の手持ちの残余財産を、苛斂誅求とまでは申しませんけれども、あげて政府の税金収奪の役を果して来ておるという印象さえ持つのであります。  ここで私は蚕糸業会の性格につきまして、第二点として明らかにいたしたい。こういう経過をたどつてここに生み出された残余財産の処分に関しては、少くとも日本蚕糸業会を設立した当時にさかのぼりまして、この法人の持つ性格について検討を加える必要があろと思いますが、私の調べによりますと、これは非常に国家的な特権をもつて統制権を付与し、配当を制限した公益性の強い特殊な、類例のない法人であつて、その表決権のごときも議員制によつて、全国の蚕糸業者百五十名の議員によつて表決し、四割一分は養蚕農民に振当てて五十九人、三割三分は製糸業者に振当てて四十七人、一割七分は蚕種業者に振当てて二十四人、七%は輸出業者に振当てて十人、その他と、こういうようなわが国の蚕糸業界における養蚕業の主体性を尊重しておる注目すべき公益性の強い特殊な法人である、こういうふうな了解に到達したのでありますが、この点に関して蚕糸当局はどういう御所見でございますか、この点を伺いたいと思います。
  121. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 この蚕糸業会の法人の性格につきましてはただいま御説明の通りでありまして、統制会社のあとを引継ぎまして、蚕糸業を統制しております時代の統制の中心機関でありましたので、たしかその根拠法も蚕糸業法の中に入つておりまして、そういう特殊なものであつたと思います。
  122. 八木一郎

    八木一郎委員 営利を行わない非営利的な特権を持つた団体であつて、配当についても、蚕糸業法施行令の三十七条にございますように「年六分ヲ超ユルコトヲ得ズ」、定款には五分以下、特殊な事情があつても年八分以上は認めない、こういうことを打ち出している。この特殊法人の残余財産を処分するにあたつては、ただいま私が申しましたように特殊清産続行中においては七十億、八十億にも近い金が政府に収奪せられて、一般の会計に奉仕しておる形においてこの始末をつけられ、しかも最後に残つだ残余財産の問題を考えてみますると、配当額について、制限額相当額と出資額とを限度として、固有の財産権である。それ以上の問題に関しては、これは出資によつてもうけ出した金ではないのだから、その財産は蚕糸業全体の共通の利益増進のためにこれを活用すべきであるという説を主張する者がございまするが、この主張に対して農林省はどう考えておられるか、お伺いいたしたい。
  123. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 なるほどこの蚕糸業会はそういう特殊の公益法人でございますので、やはりその基礎は出資者の出資によつて運営いたしておるのであります。従いましてこの法人が生きている間の仕事は、公益性がございますから配当を制限いたしておりましたけれども、外部からの圧力によつて、死んだではありませんけれども、事業が一切休止いたしまして、最後に残つた残余財産をどうするかということについては、ある程度やはり出資者の権利も認めなければならないと思うのでございます。しかしそれを出資者に全部わけて雲散霧消してしまうことも、これまたまことにもつたいない話でございます。また全体の目的がそういう蚕糸業の公益的な見地から生れたものですから、出資者の同意を得まして、できれば配当された財産を雲散霧消せずに、あげて蚕糸業界のために使う、こういう方向に持つて行くのが最もよろしいのではないかと考えております。
  124. 八木一郎

    八木一郎委員 質問の第三点は、金融機関再建整備法との関係である。残余財産の分配については養蚕農民の分配分の大半、すなわち農林中金、県農協連などの分は調整勘定に帰属せられるという結果、私の調べによりますると、ほとんど全部養蚕農民の出資持分とみなすべき九百万円のうちで、八百五十万円まではこの調整勘定に繰入れられる数字にのぼつておる。もし二十倍の配当があるとすると、一億七千万円という残余財産分配分は、類似団体をともかく国が補償してやるからというだけの理由で調整勘定に取上げられてしまう。配分と同時に国に差押えされるような憂目にあうということで、農民は非常に憂慮しておるわけであります。これに反しまして養蚕以外の蚕糸業者すなわち製糸、蚕種、輸出業者の資本家の分はこういう心配もなく、二十倍にも及ぶ配当を入手する。同じ蚕糸業者として業会を組織しながら、一方は差押えられる、片方は二十倍も配分してもらえるということになつては困るので、ここに残余財産をめぐりまして、この点から乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂う、こういう見地からの政治題となつて参りまして、前国会また今期国会におきましてもいろいろと当局とも折衝が重ねられておるのでありまするが、私の見るところをもつてすれば、大蔵当局がこの事実を政治的に見るならば、大蔵大臣の親心によつてひとつやつてみようというならこれはできることだと思うが、     〔委員長退席、川俣委員長代理着席〕  法律によつて委任された点で、ここに閉鎖機関令の第十九条の二の二項には、「残余財産の処分につき、別段の定をなすことができる。」かなり幅の広い委託、委任をいたしておりまするし、また二十条の五にも、特別の法令によつてできたこの蚕糸業界のような特殊の法人については政令で別段の定めをなすことができる、こういうふうにありまするが、やろうと思えばその二つの条例のいずれかを適用することによつて、ただいま私が指摘いたしました事由はどうあろうとも、一方は二十倍ももらつて大喜び、片方は差押えにもひとしいような憂目にあう、これを何とか善処するということについては御研究になつた経過がありますか。また御所見はいかがでございますか、大蔵当局よりお答えを願いたいと思います。
  125. 有吉正

    ○有吉説明員 ただいまのお話の閉鎖機関日本蚕糸業会の清算につきまして、その残余財産の分配に当りまして、これをたとえて申しますならば、農林中金の持分あるいは県の養連の持分につきまして、一括いたしまして新たに蚕糸業の発展をはかるために便う、そのためには農林中金がたまたま調整勘定を持つておる。持分が返つて来てもその中に入つてしまう、あるいは県の養連の分につきましても、やはり調整勘定に入つてしまう。これでは意味がないということに対しまして、私ども農林省との間にしばしば研究を続けて参つた次第でございます。先ほどのお話の通り、そのままで考えますならば、農林中金の持分に対応する分につきましては、農林中金が調整勘定を持つております以上は、あくまでも調整勘定に繰入れられてしまうということになるわけであります。ただ県の養連の持分については、一応日本蚕糸業の出資組合というものに中間的に帰属し、その出資組合というものは金融機関ではありませんから、調整勘定がございませんので、新たな団体に投資することも可能なわけでございます。ただその場合におきましては、農林中金の持分というものが御質問のようには参らぬという欠点がある。さらにその点から進めまして、私どもとして考えておりました問題は、先ほどお話の通り閉鎖機関令によりまして、その措置を行つて行くということでございます。私閉鎖機関の方の所管の課長でございませんので、その点につきましてはどういう政令の関係になるかということは明確に申し上げるわけに参りませんでございますが、これも一つの考え方であろうかと、かように感じておる次第でございます。ただ問題は、かようにいたしまして、蚕糸業の全体の発達をはかるための一つの団体をつくる、それに対してこの政令によりまして、特別に総会の決議をもちまして、これに出資をする、そうしてそれぞれの持分の所有者が残余財産に対するところの分配請求権を持つということになりますならば、調整勘定に対しましては、あくまでも残余財産の分配請求権というものによつてつながつて来るということになりまして、あるいは国の補償分を害しないというようなふうに考えられる、それは一応私もそういうふうに考えられるような気もいたすわけであります。なおこの点につきましては、国の補償の関係で特に主計局との関係がございますので、この方面と話合いをいたしておるわけであります。私どもといたしましては、さらに主計局なりあるいは閉鎖機関の方と密接な連絡をとりまして、できるならば御趣旨に沿つたような点で解決してもらいたい、かように考えている次第でございます。
  126. 八木一郎

    八木一郎委員 御説明の程度までの研究は実は一年前にも――一年にもならないかもしれませんけれども、相当前に一応到達しかけたところであります。しかし農林中金といえどももともと養蚕農民の団体加入であつた蚕糸業会のために、今はああいう形になつておりますが、少くも養蚕農民の統制に服して供出させられた繭から出て来た残余財産である、こういうような立場に立つて見ますと、どうしてもこれは応分の配分権は主張する権利を放棄するわけに行かない、こういう気持なんです。この気持を了として、蚕糸業者、製糸あるいは蚕種、輸出業者その他の方も、この問題が解決するまではとがまんを願つて、今日まで特殊清算の結了の日を待つて来ているというのが実情でございます。こういう経緯にもかんがみまして、ただいま私がお尋ねいたしましたように、読み上げました閉鎖機関令の二箇条のいずれかを適用することによつて、大蔵大臣に法律によつて委任された権限で、今申しますような、ひとしからざるを憂うる政治問題が起きないように、具体的に言えば農林中金の分も農民の手に留保されるような措置ができますか、できませんか。やるとすれば、法律によらなければならないのか、あるいは現在の閉鎖機関令によつてできるのか、事務的な法律的な見解になると思いますけれども、お伺いいたしたい。
  127. 有吉正

    ○有吉説明員 先ほども申し上げました通り、閉鎖機関令の問題につきましては、私から責任を持ちました答弁をいたしかねるわけでございます。私といたしましては、金融機関再建整備の建前から申しますれば、農林中金が調整勘定を持つております以上は、これに対して国の補償というものを考えられます次第でございますので、特に国の補償との関連というものを慎重に考慮して参らなければならぬと考えます。
  128. 八木一郎

    八木一郎委員 閉鎖機関令の執行に当つておられる主務課長に御答弁をお願いしたいと思います。
  129. 玉井振

    ○玉井説明員 お答えいたします。ただいま八木委員から御質問がありました点につきまして、閉鎖機関課といたしまして申し上げます。担当の課長が出張いたして不在なものでございますから、とりあえず私からお答え申し上げます。  八木委員がおつしやいました通り、私の閉鎖機関課といたしましても、機関令の示すところによつて進めて行きたい。それはどういうことであるかと申しますと、御趣旨に沿うようにいたしまして、この際指定解除いたすことは妥当であると考えておるわけであります。但しただいま特殊金融課長からの御説明にもありました通り、残る問題は調整勘定が問題になるのではないかと思いますが、大体閉鎖機関課としてお答えすることはそういうことでございます。
  130. 八木一郎

    八木一郎委員 こういうことになると思つて主十局長を呼んだのですが、出席になりませんが、呼んでもらうわけには行きませんか。
  131. 川俣清音

    ○川俣委員長代理 至急呼ばしておりますから……。
  132. 八木一郎

    八木一郎委員 主計局長が見えるまで、なお一点伺いたいのですが、先ほどもお言葉が出ました残余財産の分配請求権――言葉はちよつと違うかもしれませんが、私の伺いたいのは、残余財産の分配権というのは、法律的にはむずかしい問題かとも思いますけれども、この会の性格、そしてこの会が特殊清算を一方的に政府から指定された経緯、そうして、今日蚕糸業の置かれておる重要性等から視野を広くながめて、この会の残余財産が相当な多額になつておる。     〔川俣委員長代理退席、足鹿委員長代理着席〕 繰返しますと、わずか一年九箇月しか事業を行わない蚕糸業会が、供出を強要されて出した繭から生れた値上り所得は七十四億円も政府に巻き上げられる。その後に起きた残余財産も、さらに税金として三億も収奪される。さらには調整勘定になつたからというだけの理由をもつて、直接関係なき間接的な立場にあります養蚕農民だけの持ち分については、これを調整勘定取立ての対象として、さらに二億近くも持つて行つてしまう。どう考えても私はこのまま見送るわけには参らない、こういう感が深いのであります。そこでこの残余財産の処分については、先ほど来申し上げましたように、明らかになつた問題点をただいまあります閉鎖機関関係法令によつてこの点が調整できるものならばそれでよろしい。もしできないものならば閉鎖機関令を、一昨昨日あたりに通過成立させました一般の営利会社に対する場合のごとく、特殊法人もこの場合に当てはめるように法律を改正いたしまして、問題点を大衆養蚕農民う戸心として、蚕糸業者がこの円満な解決を期待しておるこの際でありますから、何とか善処しなければならぬというのがこの問題に対する熱意でありますが、そこは法律によらずとも閉鎖機関令のさつき読み上げた大臣に委任した特段の定めを大臣がなすことができるということによつて、政令を出すなりあるいは特段の定めをなすなりによつてやられるか、法律を必要とするか上ないかという点についての見解を伺いたいのでありますが、この点は重ねて大蔵当局の御見解を明らかにいたしたいと思います。
  133. 玉井振

    ○玉井説明員 お答えいたします。ただいま法律を改正してやるのか、それとも現行法でやれるのかどうかという御質問のように伺いましたが、それについてお答えいたしますと、一昨々日本国会に提出されましたところの改正法律案が通過いたしたのでございます。その改正されました法律案によらずとも、ただいま八木委員のお読み上げになりましたところの十九条と二十条の関連におきまして指定を解除いたしまして、御説のような方面にこれが動いて行けるというふうに解しております。但しそれにつきましては所管監督官庁であるところの農林省の側におきまして、一つの立法措置をやつていただく必要があるだろうと考えます。
  134. 八木一郎

    八木一郎委員 大蔵省から見れば特段の立法措置は必要としないが、農林省においてはいるということはどういうのですか、ちよつと了解に苦しむのですが……。
  135. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいま申し上げましたように、閉鎖機関令によつて閉鎖機関の指定を解除いたします。解除したあとの清算手続はどうするかということは政令でかける、その政令は蚕糸業会であるから、蚕糸業を所管しておる農林省が起案する、こういう趣旨でございます。
  136. 八木一郎

    八木一郎委員 大事なところですから、もう一度裏から申しますと、その政令を出すことによつて農林中金に属する分、これを養蚕農民に帰属せしむる措置ができるかどうかという点を伺いたいと思う。今までの経過から見て、これもできると了解してさしつかえございませんか。念のために伺つておきます。
  137. 玉井振

    ○玉井説明員 ただいまの御質問でございまするが、閉鎖機関課の立場におきましては一応そういうことになるのでございますが、先ほど特殊金融課長が御説明申し上げましたごとく、調整勘定の関係になりますと、これは検計いたさなければ、私の方としてはちよつとお答え申、しかねます。
  138. 八木一郎

    八木一郎委員 委員長に伺いますが、主計局長を呼んでもらつておるのですが、どんな連絡になつておりますか、ちよつと調べてもらいたい。
  139. 足鹿覺

    足鹿委員長代理 ただいま主計局長を呼びに行つておるそうであります。もうしばらくお待ちください。  その間、この際委員外杉村沖治郎君より発言の許可を求められておりますが、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 足鹿覺

    足鹿委員長代理 御異議なしと認めます。杉村沖治郎君に委員外の発言を評し事。杉村沖治郎君。
  141. 杉村沖治郎

    杉村沖治郎君 私は蚕糸局長に事実をお話して伺いたい。それは繭の生産農民と製糸業者との間の繭の売買関係に関してですが、事実は昭和二十七年の春蚕の生繭の売買につきまして、製糸業者と養連との間において繭の仮渡金の価格が千二百円ないし千三百円という決定があつた。これに対して他の方から製糸業者が、私のところで繭を買わせてもらいたいということを言つて来た。     〔足鹿委員長代理退席、委員長着席〕 本年は即時現今で千八百円で買うから買わせてもらいたいということを申し出たのであります。それから私は、非常に価格に差があり、養連と製糸業者との間の協定仮渡金がは千一百円ないし千三百円である、それにもかかわらず千八百円即時現金渡しで買うから買わせてくれということを申し入れた、それで買つたらいいじやないかと言つたら、養連が買わせないということである。そういうばかなことはない、いかに養連がどうであろうと、一方において千八百円即時現金で買うからという者があるにかかわらず、養連が千二百、千三百の仮渡しで契約をして、それを買わせないなんということはない、こういうことを言つて、それで私が生産者大会を開いて、そうして自由にこれを売らせろということを決議をして、県の地方事務所に申し入れたが、何だかだと文句を言つてなかなか返事をしない。そこで、かまうことはないから買えといつて千八百円で買わせ始めた。ところが千八百円で買うものだから、養連の千二百ないし三百の仮渡しの方へ売る者がない。それで養連並びに製糸業者との売買契約の仮渡金の千百ないし三百というのはだめになつてしまつて、養連も千七百ないし千八百円を出して買うということになつた。これは私どもから考えるときわめて不合理なことであつて、どういうわけで、他の業者が千八百円即時現金で買うというのにもかかわらず、養連と製糸業者との間の繭価協定で仮渡金千二百ないし千三百という定めをして、他に売つてはならぬ、買つてはならぬというのか。群馬県と埼玉県の境の神流川の通路に張番をさせて、持つて行つてはいかぬというようなことをさせたということは、きわめて不合理だと思うのであるが、これについての御所見を伺いたい。
  142. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいまお話になりましたような点はしばしば起る問題でありますが、大体農産物の販売につきましては、団体を通じての共同販売ということが、終局から見れば大体個別販売よりもよろしいという立場から、われわれは団体販売を奨励はいたしておりますけれども、しかしそれを強制する意思はございません。ただいまのようなことは、たとえば千八百円で直接買うということは、機械製糸ではなくて、おそらく座繰りであろうと思いますが、そういう場合もあるのでありますが、われわれとしましては、それは農民の自由意思にまかせるという根本的立場をとつております。
  143. 杉村沖治郎

    杉村沖治郎君 そうすると、そういう強制的なことをやつたことは誤りであつて、農民の自由意思は束縛しないのであるというふうに伺つておいてよろしいですか。
  144. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 われわれとしては強制する意思はまつたくありませんけれども、農産物については共同販売ということを理想として指導をいたしておりますので、指導的立場から、団体その他が指導んることはさしつかえありませんが、強制はさせないつもりでおります。
  145. 杉村沖治郎

    杉村沖治郎君 そこで繭価の決定の方法がきわめて不合理と私どもは思われる。神流川ただ川へ筋違えば、常に掛目も違えば糸の価格も違つて来るのであるが、今の生繭の繭価決定はどんな方法でおきめになつておりますか。
  146. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 地方によつても違いますけれども、大体のやり方といたしましては、県単位におきまして、県の養蚕を代表いたします協同組合の代表者、それから今までのところは独禁法の関係がありまして製糸業者の方は共同して繭価協定をすることが正式にできませんでしたから、あらかじめ県におきまして大部分は県が指導的立場に立ちまして、養蚕代表と製糸の方の代表を呼びまして、一応研究会という趣旨において繭価協議会を開きまして、そこで繭の加工販売費は幾らである、また農民の方から繭の生産費は幾らであるというような資料を出し合いまして、大体この繭価の標準掛目は幾らぐらいであるというものを出しまして、それを標準にして個々の養蚕家あるいは單位組合が製糸業団体と交渉する、その場合に大体の標準掛目というものがきまる。先ほどお話の千二百円というのは標準掛目として予想し、その前に、仮渡しを幾らということも繭価協議会の研究の結果、その繭価の標準がきまるわけでありまして、それによつて取引されるという情勢になります。大体そういうふうに農民の自覚によつて団体取引をやつて行くというように指導奨励はしておりますが、絶対そういうようにやらなければならぬという強制はいたしておりません。
  147. 杉村沖治郎

    杉村沖治郎君 そこで伺いたいのですが、標準掛目を出すのについて、養連の幹部がほんとうに農民の代表として製糸業者と厳重に掛目を検討するかどうかということを、われわれは非常に疑問に思う。その点についてはたして厳重に行われておるかどうか、その方法を私は聞きたい。ほんとうにそれが公平に行われておるかどうか。今のあなたのお話はあまり抽象的だ。さらにもう一点は、標準掛目だけ出して繭価を定めると、いい繭をつくつたものは、いい繭をつくつてもさほどに効果がないということになる。おのおの繭にはいい繭と悪い繭があるが、悪い繭を出した方が得をするということになつて来ますが、その掛目の算出方法及び検定方法はどういうふうにして行われておるか、それを具体的に活していただきたい。
  148. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 今やつております標準掛目の出し方は、大体繭の出まわり期に一定の期間をとりまして、その際における生糸の相場を算出いたします。それを平均いたしまして大体標準生糸の値段はどれくらいかということをきめるわけでありますが、その際にもいろいろ養蚕側と製糸側とでは意見の食い違いがありますが、大体そこで糸価を今回はこの程度のものをとるということをきめ、それから製糸の加工販売費を差引きますとそれが生糸一俵をつくる繭の元値になる。これを十六で割りますとここに掛目というものが出て来るわけであります。それから検定によります糸目をかけますと繭の値段が出て来る。従つて掛目がきまつてそれに糸目をかけたものが繭の値段でありますから、品質のいい繭をつくればそれだけ糸目が上昇して来て値段が高くなるということになりますから、掛目をきめることと、検定をやるということの両方の制度によりまして品質のいい繭は高いということになつて来るわけであります。
  149. 杉村沖治郎

    杉村沖治郎君 今あなたのおつしやられる横浜の糸の相場であるとか、それをかけてどうということは私は承知しております。そういうことを伺つておるのではない。まず生産農家が出した繭、私なら私が出した繭を、どれだけの糸が出たかという検定、その検定方法をどうしてやつておるかということを、具体的にお答え願いたい。ただ養連の幹部と製糸業者との間だけで検定をしておるのか、そうではなくて、いま少し厳重に何人が出しても心配のないような、公平な糸目が出るのかどうか、それを聞きたい。私の出した繭が幾らであるかということは、糸量を検定しなければならぬが、それはどうなんですか。
  150. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 これは各県それぞれ繭検定所というのがあり噂して、これは政府からも補助金を出して機関の整備をはかつております。繭の取引ごとに、両者の合意の上で、検定繭を供出いたしまして、実際に検定所で繭を繰つて、繭を糸にしまして、繭の糸目が幾らか、県の検定所で出しております。
  151. 杉村沖治郎

    杉村沖治郎君 その検定所のあることも知つておりますが、一体検定所で、だれが立会つて、どういうふうにしてやるかということなんです。だれかが無責任ということはないだろうが、農民の知らない間にそれがきまつて来るのだから、検定所ではどういうふうにして検定されるのか、それを伺いたい。そういういろいろ設備や何かのことは、あなたに聞かなくても私は知つておるのです。
  152. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 そうなりますと、御質問の趣旨が私にぴんと来ないのでありますが、繭の検定所で、県の役人が検定しておるのであります。もちろん農民の参加の希望があつて、それを監視したければ、農家の方々がいつでも見てよいように公開いたしております。
  153. 杉村沖治郎

    杉村沖治郎君 そこなんです。同じものがあつて、いいとか悪いとか価格をつけるのだから、その価格をつけるときに、県の役人がやつておるというが、われわれが考えると、先ほども申したように非常に不公平なことがあつて、どうもほんとうの繭の価格が現われておらないと思うから、その価格の決定方法について、いま少し公平なるやり方がありはしないか。こう考えるというのは、先ほど言つたように、仮渡金が、いかに仮渡金だとは申しましても、千二百ないし千三百の仮渡しに対して、一方においては千八百円即時現金で出して買つたのですよ。さような差があるはずはない。一貫目について六百円も違うのである。そして、この差上げましたところの千八百円の現金を返してもらうということはいたしませんから、御心配のないようにと言つて買つたのです。これは事実埼玉県児玉郡一円そうでありますから、どうかお調べを願いたい。かくのごとき不公平な繭価が出ておるということは、私どもが推測するのには、養連の幹部あるいは検定所の役人たちが、製糸業者と結託をして、実際においては千八百円の価格のあるところの繭を、千二百ないし千三百という価格で、農民のあまりに研究心の足らないところ、あるいは団結心の足らないところにつけ込んで、逆に言えば、裏の方で悪いことをしておる。金もうけをしておるのではないかということさえうかがわれるようなことであるから、私どもはその繭の検定方法について伺つた次第なのです。これについてこれ以上お尋ねいたしましても、水かけ論みたいなことになりますが、事実昭和二十七年の春蚕繭において、さつき私の申しましたような事実が、埼玉県児玉郡下にあつたのですから、どうかあなたもこれをお調べになつていただきたい。  第二点は支払い代金の支払い方法について伺いたいのです。それはどういうふうにお支払いになるか。繭価がきまつたならばすぐ払うのか、払わないのか。いつ買い上げた繭価が定まるのか。売つた繭の繭価の決定の時期。それから決定したならば、いつ金を支払うかという点について伺いたい。
  154. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいまの実際の取引は、繭を製糸工場に出しますと、ただいまお活のような仮渡金を一応出します。その上で先ほど申しました検定がございますから、検定所で検定をいたしまして、普通早くて検定に一週間くらいかかると思いますが、その間に県が先ほど申しましたような養蚕組合と県の製糸家の間に繭価協定がありまして、標準掛目がきまるのであります。その標準掛目と検定の成績が出まして、ほんとうの繭の価格ができ、前に払いました仮渡金との精算が行われるのでありますが、それは繭価協定がスムーズに行けば早くなりますし、それぞれの養蚕なり製糸の方の主張が強くなかなかまとまらない事情もありますので、地方によりまして最後に決定する時期がまちまちでありますが、ただいま一体どのくらいできまつておりますか、はつきりした数字を持つておりませんが、そういうような事情で、県によつて、繭価協定がスムーズにきまるかきまらないかによつて最後の繭価の決定の早いおそいがあると思います。
  155. 杉村沖治郎

    杉村沖治郎君 しかしそれはなるほどスムーズに行つたか行かないかに上つてその差が出て来るかもしれないが、まず通常の状態においては、農民が繭を出して検定をしてもらつて、検定前に出したときに前渡金をもらいますが、糸目の検定があるのは一週間くらいというが、通常の状態ではまず繭を出したときからその繭代金の支払い期間まではどれくらいであるか伺いたい。
  156. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 たとえば春繭について申しますと、各県の繭価協定がきまつたという報告がただいま私のところに来ておりますから、これよりも一週間くらい前にきまつたと思います。大体春繭につきますればおそくきまつてただいまごろと思いますから、まあ一月か一月半くらいではなかろうかと思います。
  157. 杉村沖治郎

    杉村沖治郎君 そうすると通常の状態においては、まず出荷後において一箇月くらいで繭代金は支払うということになる。それは当然のことであろう。しかし一月でもわれわれから見ればおそいと思うが、さてここに実に不可思議なことがある。埼玉県下におけるところのこの繭代金の支払いは、昨年の秋蚕の繭の支払いを本年の四月になつても払わない。これがために非常な問題を起して、厳重なる抗議をしたのであります。それでようやく本年の五月になつてその繭代金の支払いをしておる。こういうことになつたならば、これは一農家の繭の売買代金はわずかといたしましても、全県下におけるところの繭代金は――埼玉県は全国でも第二位でありますので莫大なる価格がそういうように流用されておるということになる。この問題は私は決してよいかげんなことを言うのではありません。この問題について、当農林委員会に埼玉県の農民が陳情に参つておるのであります。それはちやんと繭代金の支払いの書類を持つて来た。それを現にここにおられる川俣委員がごらんになつた。今日はそういうものを持つておらない。実はその陳情農民が来たときに私は蚕糸局長に伺いたいと思つたのですが、私の方も都合が悪く、あなたの方も都合が悪いというので伺うことができなかつたのであります。しかしこれは非常に不都合なことである。これについては刑事上の問題が起るのではないかとさえ考えられるのですか、これに対する御所見はいかがでありますか。
  158. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 それは具体的な例といたしましてはどういう事情でありましたか、なお詳しくお伺いいたさなければわからないことでありますが、あるいはその製糸工場の経理の都合その他によつてそういうことがあつたかもわかりません。そうなりますとこれは農家の方で繭を売る場合の製糸工場の選定いかんによりまして、原則論といたしましては、そういうように農家が迷惑するといけませんので、製糸業者につきましては、ただいまでも免許制度をとつておるというのはその趣旨であります。あまり零細な工場ができまして、そういうように繭の取引につきまして繭の受入れから生産までどうしても農民の方の利益の代表が強くなればなるほど繭価協定がむずかしくなるのであります。代金支払いがおそくなる。そういう場合にでも、最後にそういうことがないように製糸家の免許制というものがしいてあるのであります。その具体的な例につきましては、なお実情をよく伺いませんといかなる理由でその製糸家が払わなかつたのかということにつきましては、もう少し具体的事例を調べた上でなければその具体的事例についてどうの、こうのと言うことはちよつと申し上げかねると思います。
  159. 杉村沖治郎

    杉村沖治郎君 それはここでこの前川俣委員にもほかの委員にも見せたのですから、これは具体的事実においては間違いがない。これについてあなたとここに論争をいたしてもしかたがありませんが、私が申し上げたことはうそでないから、あなたもどうかひとつお調べを願いたい。と同時に私は蚕糸局長にお願いする。あなたが先ほどから各委員の質問に対していろいろお答えになつておるところを承つておると、規則というかあるいは方法というか、そういうことについてはある程度までは御研究になつておるようであるが、私が質問したような、農民に対してほんとうに金が入つておるかどうか、真に日本の養蚕の発達をはかり、農民のことを考えるのであるなれば、上の方の大まかなるところの規則や方法ということについては、あなたが自分で直接それをやらなくても、みなあなたの手となり足となる人間がおるのであるが、はたしてそういうふうに定められたところの規則などによりまして、その方針等は下の方まで徹底しておるであろうかどうか。たとえば今昔つたように、百姓が繭を売つたなれば、その売つた繭の金がいつごろ農民の手に入つただろう。そして農民はその金によつて次の再生産にどういうふうな状態で移つて行くであろうかというようなことを、いま少しく実際について繭糸局長は、農民のほんとうの一番下の方の、家庭の実態に立ち入つて、あなたがほんとうに農民のことを考えてあげるのでなかつたなれば、私は日本の繭糸局長としてはいささかどうももの足らない。本日あなに伺つたことに対しての御答弁では、私はきわめて不満足ですが、どうかいま少しく勉強していただきたいということを申し上げて、私の質問を終ります。
  160. 八木一郎

    八木一郎委員 私は本日・閉鎖機関日本蚕糸業会の残余財産に関しまして、五点をあげてそれぞれ直接事務を担当しておる責任者の御出席を願い、おおむねこれを明らかにすることを得たのでありますが、いまだに大蔵省の主計局長の出席が得られないのは、まことに遺憾であります。われわれが要求しておる政府委員にして、国会優先主義をとつておる政府委員にして、かくも長時間出席をしないという事例を私はあまり経験しておりません。そこでこれ以上時間を経過いたしましても他のさしつかえも出て参りますから、本日は委員長に対しまして、適当なる機会においてさらに本問題、すなわち閉鎖機関日本蚕糸業会の残余財産七億五千万円を財源といたしまして日本の蚕糸業の発展政策を樹立するために、本件を議題として日をあらためて立法的、予算的、行政的な措置について国政の調査検討をする機会を与えられたいということを要求いたしたいのでありますが、委員長これを了承しますか。
  161. 井出一太郎

    ○井出委員長 了承いたします。
  162. 八木一郎

    八木一郎委員 もう一点。委員長の了承を得たといたしまして、本日の質疑は私はこれ以上続行しません。最後に私の質疑を通じて当局の御答弁を得て今日に至りました、蚕糸局長に一言確答を得ておきたい。それは、日本蚕糸業会が設立せられ、それが一方的に閉鎖せられ、それが特殊清算を続けて今日に至つた。ただいま置かれておる蚕糸業の重要性に関しまして、私がくどく申しましたが、蚕糸業の主体性を養蚕農民において確立し、これを大黒柱としてその生成発展を期することのためには、先立つものは財源であります。聞くところによると、蚕糸局長は本問題に対処するにあたつて、正規の予算要求の道でないとのゆえでありますか何でありますか知りませんけれども、まるまる七億五千万円をわが日本の蚕糸業発展政策のために投じて行くべきだという信念的な御協力については、とかくの声があるのでありまするが、お考えはいかがであるかということを念のため伺いまして、私の質疑は終ります。
  163. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 結局ただいまの御質問は、残余財産七億のうち、現在法律の建前上政府へ納めなければならない清算所得税の問題と、中金の例の九千万円ばかりの調整勘定の問題でありますが、これは私も大蔵省とさんざん折衝したのでありまするが、現行法を守る以上は、何ともいたし方ないというところまで参りましたので、これ以上清算所得税を免除するということと中金の調整勘定を免除するということは、行政的な措置としてはただいまのところいかんともなしがたいという情勢になりましたので、私は現行法を守る行政官としてはやむを得ない、こう考えておるのであります。
  164. 八木一郎

    八木一郎委員 私は、かかるひとしからざるを憂える政治問題となることここに一年有余、この問題を何らの考慮なしに、ただあなたが事務的にさようなことだけにとらわれておるとすれば、これは大蔵省にかわつてもらつたらいいと思う。日本の養蚕農民、蚕糸業者は何とかして蚕糸当局に親心を求めておるというのが現実であります。われわれもその声を今ここにあげておるのであります。帰つて上司にも伝えられ、反省をして、ぜひとも全国蚕糸業者の期待に沿うごとく政治的考慮をめぐらされんことを望みます。     ―――――――――――――
  165. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより請願の審査に入ります。今会期におきまして本委員会に付託になりました請願は、本日の請願日程に掲げております通り百四十九件であります。  これより日程第一より第一四九を一括議題といたします。  まず審査方法についてお諮りいたします。各請願の趣旨につきましては、請願文書表によつて十分御承知のことと存じますし、また先ほどの理事会におきまして詳細に検討をいたしたところであります。さらにまた付託議案の審査、あるいは議長の承認を得ました事項についての国政に関する調査に関して、各請願に盛られております趣旨を十分尊重して、委員会の審査に留意して来たことは、各位のよく御承知の通りであります。従いましてこの際、本委員会におきましては、各請願について、趣旨説明の聴取等のことは省略いたしたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 井出一太郎

    ○井出委員長 異議なしと認めます。  それではこれより採決いたします。日程第二ないし第七、第九ないし第一四、第一大、第一八ないし第二一、第二三ないし第五〇、第五二ないし第六〇、第六二ないし第七五、第七八ないし第九〇、第九二ないし第一〇四、第一〇六ないし第一二三、第一二五ないし第一三七、第一三九ないし第一四二、第一四四、第一四六ないし第一四九の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認めさよう決しました。  次に、日程第二二、第九一、第一〇五、第一四三は、今会期において同種議案の議決を見ておりますが、特に採択といたしたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認め採択と決しました。  次に日程第八及び第一五は、すでに予算が国会の議決を経ておりまするし、また日程第六一はすでに過般の国会で措置がなされておりますので、議院の議決を要しないものと議決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認めさよう決しました。  なお、その他の請願につきましては暫時延期いたします。     ―――――――――――――
  170. 井出一太郎

    ○井出委員長 次に陳情書の取扱いについてお諮りいたします。本委員会に送付になりました陳情書は百十件であります。この陳情の趣旨も、陳情文書表によつて御承知の通り、おおむね先ほどの請願と同様でありますので、今後ともこれらの趣旨を十分に体して、農政の施策に反映せしめて行く意味におきまして、陳情書は了承ということにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認め、さよう取扱うことにいたします。  なお、本日議決いたしました請願に関する報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後大時一分散会