○
河野(一)
委員 こういうことを
一つ申し上げてみたら、さらに私の
趣旨が徹底すると思う。現在
生産費の高い
硫安が
国内で
消費する以上に
生産されておるという事実がある。その余
つたものを安い国際
価格と競争して海外に
輸出しておるというのが、一品にい
つて今日の
硫安の実情であります。この線をくずさずに
合理化して、そうして一方国際
水準よりも高い
硫安を買わされておる辰民の不満を押えて行こうというのが、今日の
政府当局のお
考えのように私は思う。なぜそうする必要があるかと私は言いたい。一体四千万
農民が大事なのか。
通産大臣が私が今申すようなことを
考えてお
つて、そういう立場で主張しておるなら私も一応了とする。それに対してわれわれ農村の代表者は、それは困る、こうもせい、ああもせいというのなら困るでせう。重要な食糧増産にこれだけ
政府は重点を置いており、農村の育成強化をはか
つておる
農林当局が、ただいま申し上げた事実をなぜ肯定しなければならぬのか、どういうわけでこれを肯定しなければならぬのか、ここに私は非常に大きな疑問を持つ。百歩譲
つて、この事実をくずさず肯定しようとすれば、その責任は農村の責任でなしに、や
つてもらいたい。
政府の責任
においてこれをや
つてもらいたい。すなわち
内地の
農民に国際
価格で
肥料を配給して、そうして
生産者に対してはその
損失は
政府の
負担において、カバーしてや
つてもらいたい。これにはわれわれ異存はない。いくら
政府が出してや
つても、文句は言わない。ただ
内地のみの
農民の
負担において、今のような現状を維持しつ、ただいま
政府において希望しておるような目標に現に進もうとするから、そこにわれわれ
農民の不満があるということを御
承知願いたい。しこうして、この不満は不満として
政府は甘んじて受けることができるかどうか。一体なぜそうしなければならぬのか。しかも最大限にやるだけのことはや
つたんだけれ
ども、うまく行かないのだというのならよろしいが、話がくどくなりますけれ
ども、先ほど申し上げましたように、わずか四十億やそこらしか出していないじやないか。何も
政府は出していないじやないか。第四条にこう書いてあるというけれ
ども、これはこれからやろうとしておる。これからやるんなら、なぜ船舶と同様に——
委員長もそういう点については造詣が深いそうでありますから、お働き取り願いたいと思う。船舶に対してあれだけの保護助成をした議会が、現実に百姓がこれだけ高く買
つておる
硫安に対して、なぜ船舶同様の保護助成をすることができないのだろうか。なぜ
政府はそうお
考えにならないのだろうかという点に、私
ども不満がある、不平がある、疑問がある。これから先に徐々に金を出して、徐々に
合理化して、だんだんや
つて行くつもりだ。急いでやるから——今三年が目標だそうだが、三年でやりますという
答弁はできるかもしれぬが、こつちが三年た
つて二百億便うときには、向うがまた三年た
つて一千億使
つてもつと先へ進んでしまう。私は過去の経験から見てもそう思う。だからこそ船舶のように国際洋上
において競争しておるものは、思い切
つた施策を講じなければ国際競争に勝てないという現実なのでありますから、
硫安工業が国際
価格に追いつくには、今のように外安と内安との間の
価格、国際
価格と
内地の
価格をこういうふうに段階をつけておくというこの
考え方に一掃しない限りは、どうしてもこれが追いつけるものではなく、終始
農民はこの不満を永久に持ち続けて行かなければならぬと思う。その今の私の思想に
政府の当局が頭を切りかえれば、そのときに初めてわれわれ議会も、船舶と同様な感覚で
硫安製造業に対する保護をする気になる。助成をする気になる。そうしてこれを助けるだけ助けて、国際
価格で
内地の
農民にもわけることのできる日が、必ず最近
において出て来ることができると思うが、今のような
考え方でや
つたのでは、こちらが進めば向うも進んでいる。常にこちらは、今の
政府当局が
考えておられるように、温室の中で
生産費を補償しながら
合理化をや
つて行かなければならぬのだから実が入らぬ。そんなものはだめだ。
政府は思い切
つて外安を入れてごらんなさい。全購連に外安の輸入を許可してごらんなさい。ただちに
国内の
硫安価格が国際
価格に下る。
肥料業者がうんと減産をやるならか
つてにやらしてごらんなさい。つくらぬわけには行かない。減産をするなら減産をするだけ外安を輸入すればよろしい。そうすると全国的な問題が起
つて来る。金融界にも産業界にも大問題が起
つて来る。これも
一言申し添えておきたいが、
大臣はこの
法案の
説明をされるのに、
肥料対策委員会の
答申を得て、
政府の
考えも加えてとおつしやるが、そんなことはわれわれ議会はまつぴら迷惑だ。だれが
政府に知恵をつけようが、そんなことはわれわれの聞くところではない。
政府の責任
において議会に出してもらえばいいのだ。
政府がや
つたことで議会が責任をとるわけには行かない。そんなことを基礎にして
政府がわれわれに
説明するのは、今後やめていただきたい。われわれ議会の代表者がそこに入
つておるのなら、これは大いにと
つても
つて傾聴いたします。われわれ議会の代表者が入
つておらぬような
対策委員会をつく
つて、一万田君や藤山君がや
つておられようが、そんなことはわれわれ国民の代表の間には通用しないと思う。そういう人たちが集ま
つて、そうしてそれを重視されて、その
答申の中には
政府の
考えも入
つているが、そういうふうな偉い人が集ま
つてや
つたのだからというようなこをとい
つたつて、ちつとも偉いことはありはせぬ。そうして出て来るところのものは、業界の現状をくずさない範囲
において持
つて行こうという。辰村の意向はちつとも入
つていない。われわれ
農民がぶつ壊してみろと、初めて業界も目ざめるだろうし、金融界も目ざめるだろう。そうして現内閣はこれらの金融界や業界の圧力が一番きくから、そこであなた方も
考えざるを得ぬようになるだろう。そういうものがうしろだてをしてつく
つた案を持
つて来るから、現状の維持でも
つて、全部が
農民のしわ寄せ
においてやられておる。そういう
肥料法案だと私は申し上げる。すみやかに外安二、三十万入れてごらんなさい。その勇気があるかどうか。それで初めて
日本のすべての各界がこれに協力する。今の船舶と同様の感覚
においてこれに保護をしよう、助成もしよう、
めんどうも見ようということで、初めて
日本の
硫安工業が国際競争に耐え得るようにな
つて来る。一ぺんそこまでぶちまけてみれば、ほんとうに立ち直ると思う。これをわくの中に入れておるから立ち直れない。
農民の犠牲としわ寄せ
においてやるから立ち直らないということを申し上げたい。そういう
意味合いからして、
政府当局は今私の申し上げておることを十分にお聞きいただいて、反省をしてもらいたいと思う。全農村は、おそらくこの私の
意見には、わが意には、共鳴していただけるものと思う。自由党の諸君も今私の申し上げたことをよくお聞き取りいただきまして——くどいようですが、一方
において船に対してあれだけの金を出しておるのです。船に出しながら、農村に重大な
関係のある——第四条に、金を出すということが書いてあるが、絵に描いたぼたもちだ。選挙区へ帰
つてごらんなさい、どういうことになるか。その
意味において私はこういう
法案は全面的につぶして、すみやかに反省して出直してもらいたいと申し上げたいのが私の結論なのです。よく
農林大臣は御考慮を願いたい。御所見を承りたい。