運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-07-22 第16回国会 衆議院 農林委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十二日(水曜日)     午前十一時三十四分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 平野 三郎君    理事 金子與重郎君 理事 足鹿  覺君    理事 安藤  覺君       小枝 一雄君    佐々木盛雄君       佐藤善一郎君    福田 喜東君       松岡 俊三君    加藤 高藏君       吉川 久衛君    芳賀  貢君       山本 幸一君    稲富 稜人君       川俣 清音君    久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      谷垣 專一君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   柏木 雄介君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 七月二十二日  委員佐々木盛雄辞任につき、その補欠として  池田勇人君が議長指名委員に選任された。 同日  委員池田勇人辞任につき、その補欠として佐  々木盛雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十一日  小清水村に営林署設置請願永井勝次郎君紹  介)(第四八三一号)  倉橋ため池補強工事施行に関する請願仲川房  次郎君紹介)(第四八三二号) の審査を本委員会に付託された。 同日  積雪寒冷単作地帯及び急傾斜地帯に対する国庫  補助対象事業制限緩和等に関する陳情書  (第一〇五九号)  農産物価格安定法に関する陳情書  (第一〇九五号)  六月長雨と台風第二号による農作物被害に関  する陳情書(第一〇  九六号)  昭和二十八年産米基本価格設定並びに早場米奨  励金に関する陳情書  (第一一四六号)  福岡県下の水害による農作物被害等対策に関す  る陳情書(第一一  四七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  農林漁業組合連合会整備促進法案内閣提出第  一三一号)  土地改良法の一部を改正する法律案内閣提出  第一六〇号)     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 会議を開きます。  先日来本委員会連合審査会を開きました中小企業金融公庫法案は、去る十八日通産委員会審査を終了いたしたのでありますが、その際附帯決議におきまして、「貸付対象に就いては通産省所管の業種にウエイトを置き、」云々という表現がございます。これはまことに不穏当と思われますので、先ほどの理事会において協議いたしました結果、すでに法案は本日の本会議に上程されることになつておりますので、その際の討論において、右部分附帯決議につき本委員会としての反対意思を表明することに決定いたしたのでありますが、さよう決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め委す。さよう決しました。  なお討論者等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  5. 井出一太郎

    井出委員長 次に、まず土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑に入ります。川俣清音君。
  6. 川俣清音

    川俣委員 私、昨日土地改良法について局長といろいろ論争いたしたのでありますが、その中において、大臣の御出席を願わなければ解決つかぬ問題が出て参りましたので、特に大臣出席を求めて質疑を続行いたしたいと思うのであります。それは、土地改良法大臣御承知の通り日本の遅れたるところの農法をさらに高度化して行くだめの基礎でありまする土地改良事業を行おうとする意図のもとにつくられた法律であります。従いまして今臨時立法あるいは特別立法として湿田地帯振興法、あるいは海岸地帯振興法、あるいは傾斜地あるいは灌漑畑振興等法律案が出ようとしたり、すでに出ております。こうしたことは本法に基いて当然できることであると私どもは解釈しておりまするし、局長もそういう見解でありますが、一体なぜこういう法律が出るかということを、大臣はどういうふうにお考えになりますか。その点を伺いたい。
  7. 保利茂

    保利国務大臣 各種の急傾斜あるいは湿田その他それに類似の法律があり、土地改良という大きな線につながつて行くべきものについて個々法律が出ておる、それをどういうふうに考えるか。それはやはり特殊地帯におけるそういう農業生産力を高めて参ります上にそういうところがおろそかになつてはならぬ、おろそかにならぬようにという国民の声と申しますか、これが議員立法として、多くはほとんど議員立法ででき上つておると思うのでありますが、そういうところの必要性国民意思として反映せられ、それがそういう法律になつておるというふうに私は理解をしております。
  8. 川俣清音

    川俣委員 大臣の御理解必ずしも誤つていないけれども、問題は土地改良法の中にこういうことがみなできるようになつておる。それが本法目的なのであります。土地改良事業を行うには湿田を乾田に切りかえて行くとか、海岸砂地の不十分な土地を振興して完全な耕地に持つて行きますとか、あるいは灌漑畑につきましてもみな土地改良なのであります。いずれも本法の規定にうたつておるところの事業対象になるべきものであります。この対象になるものをわざわざ特別立法でなければやれないというのはどういうことですか。こういう点をお尋ねしておる。もつと言うと、局長は、まことにその通りであるけれども、予算がないからだ、こういう御答弁なのであります。この法律の規定通りやればあえて特別立法にせぬでもよろしいのであるけれども、予算がないためにこういう法律を出さざるを得ないのであろうという局長答弁でありますが、これを大臣はどういうふうに考えますか。局長ならそういう考えもやむを得ないと思いますが、大臣としては予算がないからこういう立法が出たのだという答弁では、どうも十分でないと思いますが、やはり局長の言うように、予算化が十分でないために特別立法をつくつて予算便宜を得なければ、予算獲得ができないというお考えですか。その点をお伺いいたしたい。
  9. 保利茂

    保利国務大臣 筋合いから行きますと、お話のように、そういう地帯のための予算も当然確保できるのじやないか、それがその目的を達成できないものだから、こういう法律がぞろぞろ出て来るのではないか、これはおそらくその通りだと思います。そういうところに十分手の届き得るような予算がとれれば、あるいはそういう問題は起きて来なかつただろうと思う。ともすればおろそかになりがちだと申しましたのは、そういう意味で、予算が十分ないためにどうしても効率的に考え、手取り早く行けるところから行こうと、まあ当事者としても向きたがるわけでございましようから、従つてそれじや困るのだという地方の声が反映してこういう法律によつて一定予算を確保するというような手段をとらざるを得なくなつて来たからだ、そういうふうに私は思つております。
  10. 川俣清音

    川俣委員 大臣ももうちよつとこれは御検討願わなければならぬのです。本法からこういう特殊立法を全部とつてしまうと、本法の実がからになつてしまつて事業目的がなくなつてしまいます。あらゆるものをみんな特別立法でやつて行かなくちやならないということになると、本法事業目的がなくなつてしまうのであります。そういう意味からも、こうした立法が出て来なければならないということは、土地改良予算獲得が十分できないからだと見なければなりません。もう一つは、こういうふうに特別立法をしなければ予算が出ないのだということになりますと、初めの間にたつた一つ出たときには、確かにその予算が有効にその方面に向いて行きます。あまりたくさん出ると、結局総体の予算が少なければ、特別立法予算が全部削られて行かなければならないというので、最初目的が何も達成できなくなると思う。総括した予算の中から特別立法が出たときには、その第一回の分には確かに向いて行きます。積寒地帯に対する予算のようなときには、最初に出たときには確かに向いて来る。土地改良予算がきまつておるところに、特別立法が出ると、ただぶんどるだけですから、内容はちつともふえていないのです。ですから、何も特別立法をつくつたつて意味をなさないのです。それでもつくらなければ減らされるだろうというのでやつきになつて議員立法をされるわけですが、私はそういうものが出なくても、わくを大きく広げて行くことが農政の基本であるという態度を大臣がとられなければ、これは大蔵省の認識を大臣みずからが改められなければ、幾つもこういう立法が出て参る、今も灌漑畑地特別立法をつくろうという。土地改革に伴いましての、大きな耕地の革命的なあり方として私は賛成するわけだけれども、予算がないためにこういうものをつくらなければならないという行き方では、議員立法は行き詰まるおそれがある。問題は、どうしても土地改良のために大臣がよほど骨を折られる考え方を持たなければ、この法律を改正して、手続簡素化して便宜をはかろうというのですが、その目的はよろしい。簡素化するという目的はよくわかりますが、件数が多く出て来て割当が少いということになると、何も簡素化した意味をなさない。簡素化させるということは、事業目的を達成させようというために簡素化するのでありましようから、その事業に即応するような予算が出なければ、ただ申請件数がふえて来るだけです。これをこなせるだけの態勢ができないで、法律だけをいじくるということは、その趣旨には賛成だけれども、予算が伴わないで、簡素化だけではほんとうの目的は達成できないと思うのですが、これに対する大臣見解を伺いたい。
  11. 保利茂

    保利国務大臣 これはただいま前段、後段お述べになりました点は、まつたくその通りだと思つております。これはかりにどういう名目で予算を確保してみたところで、百億なら百億のわくの中をあつちへ持つて行く、こつちへ持つて行くということになるだけだから、それは同じことじやないか、問題は、要するに土地改良という一連の施策に要する予算をどれだけ持ち得るかということが、大体各地の要請にこたえ得る予算をとり得るならば、そういう声は起きて来ないじやないか、もうその通りだと思います。またこの土地改良によつて事務簡素化して行く、これは予算の大小にかかわらず、私はこれはもう簡素化できるだけは、いらざる手続はばんばん省いて行くようにすべきであろう、同時に一方においてそう簡素化して行く以上は、土地改良のねらつている目的をできるだけ多く達するように、予算をできるだけ措置を講ずるという御趣意は、まつたくその通りだと思つております。私の方も一生懸命やつてみるつもりですから、どうぞお力添えをお願いいたしたいと思います。
  12. 川俣清音

    川俣委員 どうも大臣からそう言われてしまうと、質問対象物がなくなるのですけれども、この改正法律案は、申請手続簡素化をねらつているのです。今は手続が非常にやかましいので、いろいろな申請予備審査をやらなければならないというので、相当数申請制約を受けているわけですが、その制約簡素化しまうということなんです。ねらいまことによろしいのです。一般の農民要望にこたえている。しかし農民要望は、申請手続簡素化伴つて予算の裏づけをしてくれという要望でありまして、手続簡素化しても予算がついて来なければ農民の期待に沿うものではないのでありまして、その意味法律上の申請手続簡素化ということは望ましいことではあるけれども、それに即応して予算ができなければ意味をなさない、こういう意味で申し上げているのです。  もう一つお尋ねしなければならぬのは、国営事業県営事業、あるいは土地改良区、あるいは協同組合の主宰する土地改良区、または今度市町村が主宰する土地改良区等を新しく改正されるわけであります。その目的いずれもよろしいのであります。それについては何らの反対もないのでありますが、このほかに日本土地生産向上を念願する農民気持から行くと、こうした大きい目的もけつこうでありましようけれども、自家労力によりまして、あるいは共同の労力によりまして小規模な土地改良行つて、幾らかでも増産しようという念願でいたしているのが非常に多いのであります。これらに対しては大きな事業だという、どうしても国も県も熱心になる。ところが小規模なものについて自家労力でやるという場合には、割合経費がわずかで済むわけです。わずかの土地をあるいは数人が寄り集つてやるのですから、割合経費が安く済む。そのかわりもちろん大きな土地改良ではありませんけれども、なかなか成績が上るものです。こういう小規模の土地改良が行われますと、食糧増産の上に非常に寄与いたすのであります。そういう方面に対してはこの法律で必ずしもできないようにはなつておりませんけれども、これまたその方面に対する予算の手当がまことに貧弱であります。この法律によつてできないために予算化ができないのか、あるいはこの法律によつてできるけれども、予算化が不十分なのか、この点をまず先に御答弁願いたいと思います。
  13. 平川守

    平川政府委員 これはもちろん法律によつて実行できるわけであります。ただ昨日も、申し上げましたように、一応国費にも限度がある。また監督上も、あまりこまかいあのは監督の十分行届かぬということのために、補助対象が二十町歩程度以上のものだけに限つておるわけであります。その他は長期融資を行うというようなやり方になつておるわけであります。法律上はそういうわけであります。
  14. 川俣清音

    川俣委員 今大臣のお聞き及びの通り、この法律ではできるわけです。それで実際に事業が行われておらないということは、農民希望しておる、自分労力でやろうという希望ですから、この希望は非常に大きい。自分個人経済の上からも、国家経済の上からも、これはやろうとする熱意は非常に高いのです。今の二十町歩以下に対する融資等が十分行われないのです。これが融資でありますが、いずれにいたしましても増産いたすためになるのです。ですから監督がいるとかいらないとかいう問題ではなくて、土地ですから、これは親代々持つている土地ですから、それをよくして行こうという点については一点の疑いもないのです。ほかの事業と違いまして、特別な水害でもない限り、あるいは天災をこうむらない限りにおきましては、その美田化さした利益の上からこれを返して行こうという考え方は、今日の農民は何人といえども持つておるのです。おそらく一人の例外もなく、その融資を受けたなら返済をしない者はないのです。天災を受けても、いやしくも借りた金は、農民としてはこれを何よりも先に返還して行くという気持を持つておるのでありますから、こういう事業監督しなければ融資をしないのだ。監督が不十分だから、なかなかできないんだということでは、これは農民増産の上に影響するところ非常に大きいので、どうかこういう意味におきましても——これは二十町歩以上でなければ補助ができないということも一応うなずけます。また現在もそれでやつておられますから、それをもつと縮小したい気持もありますけれども、それよりもまず、そういう方面の二十町歩以下については融資を豊富にする、あるいは低いところにつきましては補助額を上げろという要望もあります。私は今補助率を上げることよりも、もつと広汎に——補助率は今まででよろしい。それよりももつと広汎に広げて行くことが必要だと思う。受ける方から言えばもつと広めてもらいたいという要望もありましようけれども、これは日本耕地面積主体にできるだけ早く及ぼして、土地改良事業が行われることか望ましいと思うのでありますが、それに対する大臣見解をお尋ねいたすのであります。
  15. 保利茂

    保利国務大臣 私も御趣意は全然同感でございます。それでただいま計画して出ておりますものにつきましても、二十町歩以下の融資わくが四十七億かになつているように思います。相当の金額とは思いますけれども、これはもう手取り早く、しかも農家が増産目的を意識して、それでこれだけやればこれだけとれるという、これこそ地についた増産計画の上に立つて来る要請だと思いますから、この要請にはできるだけこたえて行くということが、むしろ大きい増産目的を達する上からも必要だ、私そういうふうに考えます。
  16. 川俣清音

    川俣委員 大臣は大体理解を持つておりますので、私はこれ以上その点については追究しようと思いませんけれども、四十七億というと確かに大きいように見えますけれども、日本全国で米にいたしまして六千三百万石、麦にいたしましても、その他の農作物にいたしましても、それだけの生産をあげておるところに対する四十七億の金でありますから、これは決して大きいというわけには行かないのです。おそらく要望は四百億から四百五十億に上るだろうと思いますから、十分の一です。十分の一より上か融資対象になつていない。しかもそれが純然たる消費の方面についてこれだけ金が流れるということになりますと、インフレを起す懸念もあるという非難が起りましようけれども、これは融資をやつた翌年から増産になつて現われて来る。それでなければ農民融資を受けてやりませんよ。すぐ生産にかわるべきところの融資でありますから、この融資というものは、決してインフレになる融資ではないのです。そういう意味からも大臣は、四十七億とかいうと相当なものだとお考えにならないで、これはもつと御勉強願わなければ——大蔵省との折衝におきましても最大の努力を願わなければならぬ問題だと思いますけれども、御努力願えますかどうか、この点もう一度……。
  17. 保利茂

    保利国務大臣 私の努力できます限り御趣意の線に沿うて努力をいたします。
  18. 川俣清音

    川俣委員 大臣は御趣意に沿うてということの御答弁でありますから私はこれで満足しますが、これは真剣に御努力願わなければならないと思いますので、特に御出席を願いましたのはその言明を得たいからでありまして、二十九年度に一体どの程度局長あたりは盛られて、大臣の方に交渉なさる予定でありますかどうか、その点を明らかにして、それについての大臣の御答弁を願いたい。
  19. 平川守

    平川政府委員 われわれの大体の考え方といたしましては、かねて御説明いたしましたように、五箇年計画のような線に沿つて、これで申しますと大体現在の予算なり資金なりの倍ないし二倍半くらいに増額してもらいたい、かように考えておるわけであります。
  20. 川俣清音

    川俣委員 今局長は、農地局としての考え方とすると、今大蔵省に二十九年度において——あるいは二十八年度において要求されたのは、大体二倍半から三倍くらいのものを要求して、三分の一くらいしか達成できていない、二十九年度におきましても大体今年度は三倍くらいの要求をしなければ希望に沿い得ないだろう、こういう答弁でございますが、大臣はこれに対してどの程度お骨折願えるものであるかどうか。
  21. 保利茂

    保利国務大臣 から約束はできませんけれども、とにかくよく事務当局計画地方要請も伺いまして、できるだけ努力をいたします。
  22. 井出一太郎

    井出委員長 芳賀貢君、関連質問を許します。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 この際農林大臣に関連して質問をいたしたいと思います。この土地改良法の中で、市町村がみずから一定条件を具備した場合においては改良事業を行えるということを明記しておりますし、これが一つの特色になつておると思うわけであります。問題は従来の農業協同組合土地改良区が行つた事業であつて、それが至難であるというような場合においては市町村がやれるわけでありますが、現在地方における自治体の現況というものは、財政的にも非常に窮乏の度を加えておつて、いろいろ自治体自体の確立ということさえも至難なような条件に追い込まれておるわけであります。こういうような情勢の中において、行政機関が特に土地改良事業というようなみずからが事業体になつてこれを執行するというようなことは、事業の進捗とか効果を二日も早くすみやかならんことをさせるためには、あるいはこういうことも必要であるかもしれませんけれども、本質的な立場の上に立つた場合において、そういうような事業地方自治体に行わせるというようなことに対する基本的な考え方について、大臣はどのように思つておられますか。
  24. 保利茂

    保利国務大臣 要は土地改良事業をできるだけ円滑に推進したいという希望から出ておるわけでございます。町村団体において財政上の都合でやれないところはむろんやれないわけでありますが、しかしやりたいと思つてもやれないというきゆうくつ制限がおかれておるわけですから、やれる条件のもとにある市町村にはやれるような道を開く、そして土地改良事業を推進して行きたい、こういう趣意に御了解をいただきたいと思います。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 その程度のことでやるとすれば非常に消極的であつて、むしろ積極的にこの事業を推進するために市町村にやらすということの趣意にはなかなか沿わないのではないかと思います。もちろんこの事業をやる場合においては、もつぱら融資等に依存するわけでありますが、こういうような場合、たとえば市町村みずからが一定土地改良計画を立てて、特に融資等に依存できないような場合において、あるいは起債等にその財源を求めて、強力なる村の土地改良計画の線に沿つてそれを実施しようとするような場合においては、どのような取扱いをするわけでありますか。
  26. 保利茂

    保利国務大臣 そういう目的をもつて市町村土地改良事業をやる場合、それが協同組合あるいは改良区等と摩擦なしに事業を推進するということであれば、起債等についてはできるだけ努力をいたしたいと考えております。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一点お伺いいたします。この場合に、地方自治体事業面に対する監督というようなものは等閑に付することはできないと思いますが、土地改良区あるいは協同組合違つた自治体の建前の上に立つて当局はこれに対してどのような適正なる監督あるいは指導を行う用意がありますか。
  28. 保利茂

    保利国務大臣 これは現在土地改良区や協同組合行つております監督あり方と何う異らるところなく行つて行かなければならぬ。別により以上のことをやり、またより以下のことで済ますというわけには行かぬだろうと思います。
  29. 井出一太郎

    井出委員長 金子典重郎君、一問に限り許します。
  30. 金子與重郎

    金子委員 ちよつと農地局長にお伺いしますが、先ほど川俣君から質問の、一団地二十町歩ということが結局土地改良の一番のがんになつておるわけであります。これは毎国会土地改良の問題が出ると耳にたこの出るほど問題になつておることであります。そのときに一時はもう少し下げるというような感じの答弁をしたこともある。それでこれは予算がないからといえば別でありますが、実質的に小規模の方が比較的事業者自体個々熱意も出て来るし、また労力奉仕のような実際に現金を支出しなくて済むこともできるので、一番実行しやすいことは政府当局もわかつておる。連合軍から占領されていた当時、農業一つ企業だとするならば、国家個人企業に対して援助するという考え方であれば、どの商売にでも援助しなければならぬという変なりくつから出ていることも聞いておるのであります。しかし日本農業食糧生産立場というものは、ほかの自由企業の場合と根本的に性格がかわつておる実情に置かれておることは、否定できないところであります。そうだとするならば、この問題はもう少し考え直して、地積の一団地ということでなくて、その事業主体が三つか四つの箇所にまたがつてつても、それを一つ対象とするという見解で、もつと事業をしやすくしたらどうかと思う。それが一つ。もう一つは、これは政令か何かでおきめになつておるのだと思いますが、それをそうするには、あなた方の方で行政的な一つ手続をどういうふうに直さなければならぬか。委員長は一間に限り質問を許されておりますから、この二つの問題に対して明確にお答え願いたいと思います。これは大事なことです。
  31. 平川守

    平川政府委員 司令部の方にお話のような考え方もあつたようでありますが、私どもとしましては、そういう考え方はもちろん今とつておりません。土地改良あるいは災害復旧事業というものは、個人の財産でありましても、それがすなわち食糧増産という国家的な要請に連なつておるわけであります。そういう意味で助成をしておるわけであります。ただ今二十町歩以下を避けておりますのは、要するに一つは、限りある助成であるから、その中において間違いなく事業が行われるという監督の目も十分届くものをつかまえる。それ以下のものについては、比較的負担の金額も少いことであるし、県単位の助成というところぐらいにある程度まかせてはどうか。こういう考え方で国としては融資の道を講ずる、こういうことで今やつておるわけであります。しかし二十町歩というものがお話のように絶対のものとはもちろん考えておりません。現に灌漑排水あるいは区画整理につきましては、平地地帯におきましては五十町歩が原則になつております。しかし土地の事情によつて、山地帯とか地形上の関係から二十町歩という例外を設けております。暗渠排水とかその他のこまかいものになりますと二十町歩を限度にしております。しかしこれは必ずしも絶対のものと思つておりません。われわれとしては一応十町歩単位くらいまでは調査をいたしておりまして、このくらいまでは、助成単位にしてもまず監督の全然できないことはないだろう、かなりの程度までできるのではないかということを言つておるのであります。大蔵省ともいろいろの話の結果、一応二十町歩という妥協線を出しておるわけであります。これをただいまお話のように、団地という考え方をとるか、あるいは事業主体を一まとめに考えるかという問題は、たとえば区画整理等につきましては、必ずしも全耕地がその対象でなくても、ある程度全体として一まとめとして考えられるというものについては、それをまとめて考えてもよろしいというようなことにいたしておるわけであります。実際の運用面において、二十町歩というのは、どういう範囲のものを集めて二十町歩考えるかということについては、規則を出しておりまして、これについては、大蔵省の了解を得ますれば農林省限りで直すことができるわけであります。ただ実際問題といたしまして、全体の予算が非常に少いために、いたずらに範囲を広げましても、二十町歩以上の現在該当するものが満足に仕事ができない。希望が非常に殺到しておるのに対して予算が非常に少い、こういう状態にありますために、一応現在の程度で運用をいたしておるわけであります。
  32. 井出一太郎

    井出委員長 川俣君、御要求の主計局関係の政府委員がまだお見えになつておりませんので、本案に対する質疑は留保いたします。     —————————————
  33. 井出一太郎

    井出委員長 農林漁業組合連合会整備促進法案を議題として質疑を行います。吉川久衛君。
  34. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 これは大臣にお答え願えればけつこうでございますが、御都合では谷垣部長がお答えくださつてもけつこうです。  農協の不振なものがございまして、過般来再建整備等の措置を講じなければならないというような状況にあるのでございますが、その原因はどういうところにあると政府当局はお考えでございますか。
  35. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 その原因はいろいろな面に広く問題があると思います。これは再建整備法を制定いたしましたときにやはり問題になつたところでございますが、経済界の状況の変化に即応して、たとえば統制が解除されたために持つておつた在庫品の売りさばきが非常にむずかしくなつた、あるいは値下りになつた、あるいは経済界の状況が非常に変転をした際において、売掛をしておりました相手方が倒産をするというようなこと、その他いろいろな状況が重ねられまして、非常に大きな欠損金を再建整備法をつくりました当時持つておつたような事情でございまして、これがやはり今日におきまする農協を再建いたします際の非常に基本的ながんになつておる点であろうかと思うのであります。再建整備法だけでなかなかやれなかつた点を、このたびの促進法においては援助をして行きたい、かような考えから再建整備法の進捗状況を見ましたところ、出資の進捗状況、増資の進捗状況、あるいは固定しました債権であるとか、固定しました在庫品の流動化というような、再建整備法が直接に手段として選びましたやり方については、ある程度効果を実は上げておる状況なのであります。ところがそれをことに県連と県連以下の小さい組合とをわけて考えました場合に、何せ非常に大きな固定債務を持つておるのが県連の現状でございます。百二十六億程度のものが農協の県連単位に固定した債務として残つております。その金利の重圧を何とか軽減して行くということをやりませんと、再建の態勢がおぼつかないと思われましたので、従いまして再建整備法につけ加えまして、そういう特に連合会において累積した債務の金利負担の重圧を軽減して行くという方法をとつた次第であります。現在不振であるという理由には、やはり再建整備法を制定いたしました当時の基本的な問題と、それに引続きまして、再建整備法で十分やれなかつた、特に県連段階における金利重圧の問題がからんでおるわけであります。
  36. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 谷垣部長のお答えは、現われておるところの事象をつかまえて、再建整備をしなければならないという理由をお答えになつたのであつて、なぜそうしなければならないかという原因の根本的な問題に触れていないのです。農協のごときものは、出資、配当の限度、あるいは地域の制限とか事業範囲というようなもののきわめてきびしい制限があるのです。こういうわくの中に押し込められてあるところの、経済事業をやる団体にいろいろの制約があるのです。営利を目的としない団体でありながら、こういうきびしい制約がありながら、課税の対象にしないということを法律に明記されていながらも、課税の対象にするというようなこと、それからまた農林省の機構の問題のときに、これは相当論議されたのですが、経済局の、当時農政局の中に、協同組合課という一つの課を設ければよろしい、部まで設けなくてもよろしいという論議か相当やかましかつた。そのときに私どもは部を置く必要がある、そうしてもう少し協同組合の育成強化のために指導監督を強力にやつてもらいたい、こういうようなわれわれの願いから、課でなくて部を置くということになつていたわけです。その後農林省の、部の存置された理由から考えるならば、もう少し私は強力に指導監督をやるべきであつたと思うのです。その点私は政府は怠慢であつたのではないかというような感じがするのでございます。またその一つの現われとしては、農協の役員が絶えず転々とかわつております。これは村長になるところの一つの足場であるとか、あるいは農協の役員をやりながら、もう数え切れないくらいの各種の村の役員を兼任するというようなことが盛んに行われております。あるいはまた職員の場合でもきわめて低い待遇なんです。そのために転々として職員がかわつております。仕事になれたころにはもうまつたくのしろうとの職員が入つて来る、またなれかけたころにはかわつてしまうというようなことで、この変転きわまりない経済界において経済事業を営まなければならないときに、ほとんどしろうと同士でやつておるというようなこと、こういつた問題について今まで何ら政府としての配慮が払われておりません。すなわち指導監督の使命が果されておりません。こういうことに顧みて、今後農林省としてはどういうようにやつて行こうというお考えなのか、その所見をまず大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  37. 保利茂

    保利国務大臣 協同組合の健全化を果して参りますためには、いろいろの部面から考えなければならぬと思いますけれども、やつぱり一番大事なことは、協同組合、これはほんとうの農民の自主団体でございますから、その農協というものの持つ意義を農家の方がよく理解をしてくれて、そうしてそれが何かの名誉職の足場に使われるようなことのないように、真に農村と取組んで農村の発展を願つて行くというような、ほんとうに堅実な人を指導者、役員等に得なければ、結局積んではこわし、積んではこわしということを繰返すのでありますから、問題はやはりお話のように、実際の衝に当る人をどうしてこの農協傘下の農家の方々が選び出してくれるか、ここに私どもは最大の関心も持ち、またそれを期待するわけでございます。そのほかいろいろ物的な面でくふうをいたしましても、その人を得なければ結局うまく行かない。よく農家の方々が何のために自分たちは農協を持つかということをよく考えていただくように、農協の意義を徹底するということがまず第一に必要だろう、そういうようにまず基本的には考えるわけです。
  38. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 時間がないようでありますから、最後に一つだけ伺います。農協に組合員が関心を持つようにしなければならない、それは大臣のおつしやる通りなんですが、関心を持たせるようにしたことがあるのか、そういう点に私は欠くるところがあると思うのです。だから関心を持つように組合員の教育といいますか、指導といいますか、そういう面について私は非常に不十分であつたと思うのです。今後どういうようにそういう問題についてお考えになりますか、関心を持たせなければならないということは私は大臣とまつたく同じ考え方なんです。そこまでは同じ掴んです。それから先なんです。関心を持たせるようにするためには、どういうように教育啓蒙をして行つたらいいのか、具体的にどういうふうにお考えになつておいでになるのか、その対策をひとつ伺つて私の質問を打切ります。
  39. 保利茂

    保利国務大臣 これはまた吉川さんはいろいろお考えを持つていらつしやると思いますから、お知恵もぜひいただきたいと思うわけです。私の狭い見聞からいたしますれば、農協活動がうまく行つていない村が農協活動のうまく行つている村の近い所にあります。うちの農協はどうしてこんなにうまく行かなないのだろう。あの村は非常にいいけれどもうちの村は悪いというようなことは、今日かなり全国的にあると私は思うのです。それはとりもなおさず農協に対する生産農家の関心が非常に高いということだと思いますけれども、そういうことでほつたらかしておいてそれでいいのか、むろんそういうわけには参りらぬと思います。そこで今度お願いしております農協中央会の仕事の大きい一つの面も、そこに出ると私どもは期待しておるわけであります。実際面になつて参りますと、実際地について御意見を持つておられる一方の御意見をよく承つて行かなければ、中央におつて頭だけで考えてやれるような問題でもないように思いますから、そういう心持ちでやりたいと思います。
  40. 井出一太郎

    井出委員長 足鹿覺君。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 この間農協部長で御答弁が困難な問題が一、二残つておりますので、大臣からこの際承つておきたいと思います。  今度の整備促進法の対象になつておるのは連合会ということになつておりますが、大臣も御存じのごとく、協同組合組織は、末端の単位協同組合が府県連をつくり、さらにそれが構成員となつて中央組織をつくつておるのであつて、これを分離して考えることは、理論的にも実際的にも適当でないと私は思う。なぜ連合会だけを対象にしておられるのか、その点大臣から御所見を承つておきたいと思います。
  42. 保利茂

    保利国務大臣 今度の整備促進法は、連合会の固定化しております固定債務の利子重圧のために、連合会の活動が非常にいわば動脈硬化になつている。それは何のためだ。固定債務が非常に大きくなつておるものだから、従つてその結果はどういうことになるかといえば、これは申すまでもなく単位農協にしわ寄せされて来る。単位農協にしわ寄せされれば、結局単位農協のメンバーにしわ寄せられるわけでございますから、従つて連合会の今度のねらいといたしましては、大きく百数十億にのぼつておりまする、固定債務から生じて来る単位農協及び組合員に対するしわ寄せをなからしめる目的をもつていたしておるわけです。単位農協の方はむろん一番大事なことでございますけれども、今吉川さんの御意見に私もお答え申し上げました通り、この分はむろんあります。ありますけれども比較的少額でもございま心し、いずれにいたしましても、人にその人を得るというような面から経営の刷新が期待せられるならば、これは重圧というほどのものにはなつていないというように見て、今回は連合会を対象にしてお願いをいたそうとしておるわけであります。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 一応そういうお考え方も成り立つでしようが、金額の多寡ではないと私は思うのです。やはり系統組織というものは、同一の条件で見て行かれなければならぬ。それは全国段階や府県段階が背負つておる固定化債権というようなものに比すれば、単協の持つておる固定化債権というものは、額の上から見たら比較にならないでしよう。しかしやはり組合の規模の上から行けば、その困難性の上に立てば同じであります。ただ金額が大したことがないから、このたびは連合会にとどめたということでは、これは少し筋の立たない話ではないかと私は思う。さらにまた聞くところによると、連合会という名前をつくつておきながら、郡連合会というものには適用しないのだという、これもまたこの法案の矛盾の点であろうと思う。連合会という名前をつくつておれば、これは中央段階あるいは府県段階、郡段階にも連合会はやはりある。郡連合会というものはきわめて少い数ではありますけれども、しかしやはりそれは所属する農民の自由な意思によつて、ある一つの経済ブロツクを単位として、その方がいいという観点に立つてつくられておるのです。それを連合会と言いながら対象から除外しておる。これもなつちやおらぬ。私はどうも筋が立たぬと思うのですが、その点はどうですか。
  44. 保利茂

    保利国務大臣 郡連の場合も単協の場合と今回は同様に考えております。今郡連の持つておりまする固定債務は、二億八千万円ぐらいに見ておるようでございます。この方は現行の再建整備法でやれるだけやる。今回は県連以上のものを対象にしてお願いをしたい。なるほど筋をずつと立てればお話のようにもなりますけれども、根本は実際組合の経営担当をやる人が得られなければ、このぐらいの借金と言つてははなはだ何だろうと思いますけれども、なかなかいかぬのじやないか。郡連の関係につきましては、今回は単協の場合と同じように、現行再建整備法によつてやりたいと考えております。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 くどいようですけれども、それは大臣少し筋が立たぬとぼくは思うのです。再建整備法は昭和二十六年こうだつたかにできて、若干成果は上げておりますが、あれではどうもかゆいところに手が届かないというので、この新たな整備促進法というものができておるので、金額の多寡は別として、やはり平等にお取扱いになることが必要だと私は思う。特に全国段階の固定化債権から来る金利の重圧というものは、現在一番悩んでおる点であつて、この法律案が成立して実施になれば、連合会段階は非常に経営が楽になることは明らかでありますが、やはりその間接的な影響は市町村に及ぶのであるから、市町村なり郡段階は適用から除外するということは私はおもしろくないと思う。農林漁業組合再建整備法という前の法律は、連合会という字句も使わないで、やはり平等な立場に立つて立案実施されておるわけでありますから、これとうらはらの関係に立つこの整備促進法も、当然私は郡段階も市町村段階も入れてやるべきだと思う。特にその固定化債権の内容は、資料もいただいておりますが、検討してみなければならぬものも相当あるのです。必ずしもこれが経済変動によつてできたものだと、そう簡単に判断のつかないものも相当あるのです。これはよく検討してみればわかる。いわゆる国がめんどうを見て行くことにふさわしくない性質のものも往々あると私は思う。そうしますと、末端の金額が少いから再建整備法で行くのだというのでは、どうも——頭のいい保利さんですから慎重にお考えになりまして、特にこの点については重視して、郡連及び単協の場合にもこの法案では適用になりませんが、何らかこれに準ずる措置を私はとつてもらいたい。特に末端の経営に当つておるものは、非常に優良な組合とそうでない組合との間にはたいへんな懸隔がありまして、経営不振の市町村の単協というものは経営規模が小さくて、なかなか信連その他の金融も受けられませんし、といつて全国段階や県段階のように、すらすらと出資の増額もそう簡単には参りません。どうしてもこの苦しみ方というものは、私は末端の新組合は、これは固定化債権のみならずすべての点からいえると思うのですが非常に苦しい経営をやつておる組合は相当あるのです。それはあまり赤字を出した出したと言つて、表面に出せば組合員がついて来ないし、といつてある程度たなおろしで決算のときにつじつまを合せたりいろいろしてやつておるのです。その中には、実質的には経営が苦しくてもつじつまだけ合せて、一応総会を切り抜けるという戦術を実際はとつておるのです。ですからこれは固定化債権を主として対象としたものでありますが、単協の場合には少し性質が違うと思う。再建整備法だけでは私は片がつかないと思う。あまりくどい話を申し上げてもどうかと思いますので、質問は打切りますが。特ににれに準ずる何らかの措置を御検討願つて、末端単協の振興のためにもあたたがい手を差延べてもらいたい。私は特にこの点を強く要望しておきたと思います。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 私は特に農林大臣でなくともさしつかえありませんから、問題点になる四、五の点についてお伺いしたいと思います。  第一の点は、今度の整備促進法あるいは既往に実施されておるところの再建整備法、こういうような法律一つの庇護のもとにおいて、今後はたして全国における協同組合組織が、その本来の目的を果すにふさわしいような力をたくわえることが可能であるかどうかという見通しについて、まず伺いたいと思います。
  47. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 これは協同組合の建前から申しまして、国の保護助成というものが主体であるよりも、やはり農協内部におきまする経営なり、あるいはまた組合員全体の一つの農協をもり立てて行こうという気持なり、そういうものが主となつて行くべきものと考えております。しかしながらいろいろな経済界の状況の変転だとかいうような事情からそれだけではやつて行けない部門がございますので、政府といたしましてもある程度のこれに対する保護あるいは援助というものが必要かと思うわけであります。御指摘のように、再建整備法をやり、あるいはまたそれの不十分と思われまする点を促進法というような形で援助をいたして行くわけでありますが、これはこれだけのことで、現在の不振な組合あるいは連合会が十分にできるという筋のものではないのでありまして、この政府の援助にプラスというよりも、政府の援助がそういう組合全体といたしましての建直しのあらゆる施策をやつて参りまする一つの誘い水という形において、組合再建の意欲が十分に盛り上つて参りますならば、またこのたびの促進法をお願いしまする経緯におきましても、協同組合のそれぞれの責任者の方々が、ぜひこの際に再建の促進をやつて行きたいという強い意図が見られたわけでありますが、そういうような気持がほんとうに火の王のようになりまして、各方面の援助、もちろん協同組合内部におきまする自分自身といたしましての建直しの機運というものが大きくなつて参りますならば、これは将来ともに協同組合というものがはつきり立ち直つて行くというふうに私たちは期待をいたし、またそう信じておるわけでございます。     —————————————
  48. 井出一太郎

    井出委員長 ただいま川俣委員御要求の主計局関係の説明員がお見えになりましたので、この際土地改良法の一部を改正する法律案に対する川俣君の質疑を許します。川俣清音君。
  49. 川俣清音

    川俣委員 大蔵省土地改良法の改正について意見を尋ね、本案に対する態度を決定いたしたいと思うのでありますが、このたび改正せられました土地改良法の一部改正について、大蔵省はどんな見解をとつておられますか。
  50. 柏木雄介

    ○柏木説明員 大蔵省といたしましても、まつたく異論はございません。
  51. 川俣清音

    川俣委員 それでありますれば、土地改良事業国家がいろいろな形において補助、助成、融資等行つておりますが、その結果どの程度効果が上つておるという見解を持つておりまするか、大蔵省見解をお伺いいたします。
  52. 柏木雄介

    ○柏木説明員 年々相当多額の食糧増産経費を計上いたしまして、土地改良事業を実施いたしておりまするが、年々相当土地が造成され、土地生産が上り、その結果食糧の生産に非常な貢献をなしておるように思います。
  53. 川俣清音

    川俣委員 そういう見解を持つておられますれば、非常にけつこうなんですが、それではこの土地改良法という法律は、御存じのように、日本食糧増産のために、その基本でありまする土地改良を行いまして、すみやかなる増産を達成せしめようとする意図に基いて行おうとする法律でございます。ところがこの土地改良法に基きまして、湿田地帯を乾田に直す。あるいは寒冷地帯の低生産性のものを高位生産性に高めて行こうとする積寒法、あるいは海岸砂地のこれも比較的低生産性のものを増産をはかろうとする意図のもとにいろいろ出ておるのでありますが、この土地改良法によつてこれらの事業ができるわけです。土地改良法によつてできないという見解をとつておられますか、できるのではあるが、やらないというお考えでおりますか、その点をお尋ねいたしたいのであります。御承知の通り土地改良法によつてこれらのものができるように法律はできておるように思うのでありますが、一体なぜ湿田地帯単作法あるいは寒冷地帯振興法あるいは海岸砂地地帯振興法が出ると思われますか、この点どういうふうに見ておられますか。
  54. 柏木雄介

    ○柏木説明員 ただいまお話のありましたように、積雪寒冷地、あるいは海岸砂地等の土地改良事業を行おうとするのは、土地改良法で実施できるにもかかわらず、なぜ別の法律が出るかという御趣旨だと思いますが、実は各特別立法とも議員立法でございまして、政府として特にそういう法律を用意いたしておるわけではございません。おそらく特にこれら地帯の振興の必要が感ぜられるという意味合いにおきましてかかる立法ができておるのではないかと感じております。
  55. 川俣清音

    川俣委員 これは大蔵省の認識が少し足らないのでありまして、これらの十地改良法に基いて土地改良が行い得るわけ下あります。行い得るにかかわらず、なぜこういう特別立法が出て参るかというと、これは国会の意思を十分御研究願わなければならぬと思うのですが、土地改良法によつてできることではあるけれども、予算がこれに伴つておりませんために事業目的が達成できない、そこでこういう特別立法大蔵省のけつをたたかなければ予算化が困難だというので、予算化のために出て来る法律だとお考えにならなければならないと思うのですが、そういう御認識がないのですか。改良法が不十分だからこういう特別立法が出て来る。特殊な地域についてはこういう特別立法が出て来るのはやむを得ないというお考えか、この法律でできるのだけれども、予算化が十分でないために、やむを得ず大蔵省のけつをたたかなければならぬということで、こういう立法が出て来るというふうにお思いになりますか、一体どういうふうに見解をとつておられますか、この点をひとつ明確に御答弁願いたい。
  56. 柏木雄介

    ○柏木説明員 現行の土地改良法土地改良はもちろんできるわけでございます。積雪寒冷地あるいはその他の特殊地域につきましても、所要の予算は年々計上されておりますが、積雪寒冷地の法律が通るとか、あるいはその他の特別立法通ります際に、特に予算の説明書の上におきましては、少くも各特別地域にどれだけの金を支出するかということは、十分研究いたしてやつております。それで大蔵省といたしましては、こういう特別法がなくても十分やつて行けるという考えを持つております。あるいは御不満の点もあろうかと思いますが、さように考えております。
  57. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、この法律に基いて相当予算をやつているのだが、そのほかに特別な地帯があるから、それに割増しをして、こぶをつけた予算化をはかられる、こういうように理解してよろしいのですか。
  58. 柏木雄介

    ○柏木説明員 結果から見ますと、特別地域には少し予算がふえているのだろうと思います。
  59. 川俣清音

    川俣委員 私のお尋ねしているのは、それは款としての土地改良事業というものについて、その上にさらにこぶをつけているのかどうか、こういうことを聞いているので、さらに特殊立法でありますれば、それについてだんだんと増額になつて行くのか、やはり款の中でそれを操作するというようにあなたは理解しているのか。特別立法でありますれば、目であるからということで増額を考えられるのか、あるいは土地改良事業の中で操作しようと考えられるのか、この点をお尋ねいたしたい。
  60. 柏木雄介

    ○柏木説明員 土地改良事業の款の中で考えております。
  61. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、おそらく国会の意思はそのようなものではないと思う。土地改良法があるにかかわらず、特に立法をいたすということは、先ほどから申し上げましたように、これに附帯するところの事業費を別に盛るべきだということで、特別立法が出ていると私どもは理解をいたしているのですが、大蔵省はそういうふうな理解をお持ちにならないのでございましようか。
  62. 柏木雄介

    ○柏木説明員 予算の説明書の中におきまして、どの地帯にどれだけの予算を配分するかということは明記してございます。これはいわゆる憲法上の議決権は、これにはございませんが、行政府を相当程度制約するものだと考えます。ですから、十分議員の御希望に沿うているように考えております。
  63. 川俣清音

    川俣委員 私のお尋ねしているのは、これからまたこういう土地改良特別立法一つか二つ出ると思う。というのは、この土地改良法でできないわけではないけれども、それで十分な予算化を伴つてその事業が達成できないために、また特別立法一つか二つくらなければならないという情勢が生れて来ているわけです。そういう場合を想定いたしますれば、それは土地改良法の中でそういう操作をやろうとするのか、それは特別な地帯であるから、もつと増産のために別個に予算をつけようというお考えを持つておられるのか、どちらかということを聞いているのです。
  64. 柏木雄介

    ○柏木説明員 そういう特別立法ができました際に、諸般の財政状況、あるいは予算の状況等を考えまして、もし予算に余裕があれば増額を考慮してもいいと考えております。
  65. 川俣清音

    川俣委員 私自身の見解をもつてすれば、土地改良の方法にもいろいろあるようです。御承知の通り国営事業があり、県営事業があり、または組合的な土地改良区があり、あるいは農業協同組会が主体となつている土地改良区があり、あるいは今度の法律によつて市町村が単位となるところの改良区がある。そのほかに融資を受けて個々土地改良行つておる面もあります。これら総体を合せまして、現に米におきまして六千三百万石あるいは麦にいたしまして二千八百万石の生産を上げておるわけであります。特に二十町歩以下のものは融資を受けておる。これらの融資を受けるということは、農民の心理から申しまして、土地でありまするからこれらのものの回収率は確かにいいはずであります。なぜかと申しますと、自分の父祖伝来の土地でありまするから、これに対して、美田化しようというのが農民の心理なのです。従いましてこれによつてはかられた増産から来るところをもつてこれを償却いたしておるわけでありますが、こういうように増産が上るのは、これは単なる消費に投ぜられている金と違つて、まつたく翌年から生産に影響して来る、増産に影響して来る、この土地改良事業、これは国営事業あるいは県営事業あるいは土地改良区の事業と、大体総体的に見まして同等程度の面積の土地改良が年々行われておると見るべきでありますが、あなたはその点についてどういうお考えを持つておられますか。ほうつておきますれば土地改良が行われるというふうに見ておられますか、やはり国が援助をしなければ土地改良が行われない、こう考えておりますか。
  66. 柏木雄介

    ○柏木説明員 予算がなければまつたく土地改良炉行われないかということでありますれば、予算がなくても相当程度土地改良というものは行われて行くだろう、そういうふうに考えます。しかし土地の状況等によりまして、投資した資本の割合に収益が少いという場合、あるいは個々の農家から見ればあまりにも規模が大きくて、なかなか一緒になつて事業ができないというような場合、いろいろな場合におきましては、やはり政府として相当程度補助金を出して事業を遂行して行く必要があるのではないか。ですから問題は、予算があるかないかによつて食糧増産ができる、できないと、そう簡単には行かないのじやないか、そういうふうに考えます。
  67. 川俣清音

    川俣委員 私のお尋ねしたのはそこなのです。国が補助をしないでもなお農民増産のためにいろいろな土地改良事業行つておる。これだけの労力とみずからの資金の投資で土地改良を行うということは、土地改良によるところの成績を農民みずから認めておるから、個々の投資が行われるのだと思うのです。また自分労力が費されるのだと思うのです。  それからあなたが新潟県かどこかで土地改良は大した成績は上らないのだ、むしろ減産になるのだというお話をなさつたそうでありますが、そういうことがありますか。
  68. 柏木雄介

    ○柏木説明員 私が新潟に参りまして、いわゆる亀田郷の見学をさしていただきました。そのときに生産が上つていない場合には、そういう事業は不生産的だからやめたらどうか、そういうふうに言つたと伝えられております。実は現実に陳情をされた方の中に、はつきりそういうふうに言われた方がずいぶんありました。また私もその点念を押したのでありますが、そういうふうに繰返し言われた。しかしあとで農林省の人たちに伺つてみますと、必ずしもそうではない。実は農林省の方におきまして、もう二箇月くらい前でしようか、亀田郷につきまして徹底的な調査をやつたわけであります。その結果によつて一体あの地区における土地改良事業がどれだけの効果を持つたか結果が出ると思います。その結果によつて判断いたしたいと思います。
  69. 川俣清音

    川俣委員 柏木さんの見解土地改良事業についての見解ではなくて、たまたま行われた亀田郷にいたしましてもそれはあり得ることだと思います。これだつて見解は間違つておると思いますけれども、必ずしもないとは言えない。それは工事が不正に行われましただめに、増産に影響しなかつたということは確かにあり得ることです七それは巡査の中にどろぼうする者がいないとは限らぬのと同じで、大蔵省の中に讀職がないとは限らぬのと同じことで、その一つか二つの例をもつて、すぐ大蔵省の官吏がだめだということを、今あげるわけには行かぬのと同じように、土地改良事業一つくらい失敗したつて土地改良事業がだめだという認識を持たれたとすれば非常なあやまちじやないかと思うのですが、この点について伺いたいと思います。
  70. 柏木雄介

    ○柏木説明員 その点亀田郷の問題だけですべてを判断しようとは思いません。それは今お話がありましたように、数百あるいは数千の土地改良事業のうちの一つや二つくらいは全然効果のないものがある、それは十分考えられると思います。私はもちろん亀田郷の問題だけで全部を考えるという気は毛頭持つておりません。その点は全然御心配がないと思います。
  71. 川俣清音

    川俣委員 これは重大なことなんです。土地改良が失敗をしたというのは、工事自体が失敗したとか、あるいは計画が十分科学的に行われなかつたとか、あるいは二毛作を期待したのにもかかわらず、それに適合した品種を得られなかつた。あるいはその改良に伴うところの水利が十分でなかつた、こういうようなことによつての失敗であつて土地改良自体についての失敗ではない。おそらく計画であるとか、それに伴うところの品種の選び方、選定を誤つたとか、あるいは旧来通りの農法で、経験的な農法をやつたために失敗したということはあるのです。肥料でもそうです。硫安の価値あるいは過燐酸の価値というものは化学的にわかつておりましても、それを使用することを誤つて失敗した例はたくさんあります。ですから化学肥料が全部だめだということにはならないというのと同じでありまして、それはときどきそういうことは起るかもしれませんが、どうもあなたの見解は、一般に伝えられておるところによりますと、土地改良事業について再検討すべきだというような見解を持つておられて、しかもそういう意図に基いて予算が削減せられるというようなことになると、はなはだもつて不届きのことだと思う。これは許すべからざることだと思う。それを農林省がわざわざ了解を求めなければこういう計画が成立たないというようなことになると、農林省もけしからぬことだと思うのですが、そんな了解を求める金がありますならば土地改良事業に使うべきだと思いますが、あなたはどういう見解ですか。
  72. 柏木雄介

    ○柏木説明員 川俣先生の耳にどういう話が入つておりますか、私は存じませんが、何らかの誤解があるのではないかと思います。私としましては別に亀田郷の問題で今後の食糧増産経費全体をどうするかということは全然考えてはおりません。むしろ白紙の状態において、私今度四月にかわつたばかりで、食糧増産の問題は初めて担当いたしますので、これから十分研究して、食糧増産をもつと効果的にやつて行く方向に持つて行きたいと思つております。亀田郷の問題で全部を律するという考えは全然ございませんから、それは川俣先生の杞憂にすぎません。こういうふうに申し上げてさしつかえないと思います。
  73. 川俣清音

    川俣委員 私の杞憂でありますならば、土地改良事業に基いて増額してくださるならば私の杞憂は一掃いたします。増額しないで減額しますとなれば杞憂が実現するわけです。その通りだと思うのですが、その点について……。
  74. 柏木雄介

    ○柏木説明員 二十九年度の予算がふえるか減るか、私の一存できまる問題ではございませんけれども、ただ食糧増産経費につきましては、新聞紙上におきましても、その使用法につき若干の疑問があるのではないかということが一般に言われております。私は従来第三者としまして、食糧増産経費の使途につきまして若干意見を持つております。今後十分研究して食糧増産の効果を現わすように十分努力いたしたいと思います。
  75. 川俣清音

    川俣委員 今世間にいろいろ輿論があるようだというのですが、どんな輿論ですか、私はまだ聞いたことがないのです。議論ないし輿論があるようだとおつしやいましたが……。
  76. 柏木雄介

    ○柏木説明員 それは新聞の社説等におきまして、公共事業費あるいは食糧増産経費の使用についてもつと効率的にやれということはたびたび出るように私は記憶しております。それをさして言つておるのであります。
  77. 川俣清音

    川俣委員 効率的にやれという話は私ども聞いております。同じ投資をするならば、なるべく効果の上るようにということはわれわれも念願し、おそらく農林省もそれを念願しないとすれば農林省はけしからぬことだと思うのですが、効率的にやれということと、効率的にやるために予算を削らなければならないという理由はどこにあるのですか。削れば効率的になる。増額すれば効率的にならないという見解ですか。
  78. 柏木雄介

    ○柏木説明員 削ることだけを言つておるのではありません。ふえるか減るか、それは今後の予算の問題ですから、今ここでふえるという約束もできないし、また逆に私は削ろうという意思でやつておるわけではございません。これは予算全体の問題でございます。
  79. 川俣清音

    川俣委員 それでは柏木さんの土地改良に対する見解をもう一度明らかにしておいていただきたい。いろいろ研究され、あるいは世間でいろいろのことを聞いておるということでありますが、どういうふうにすればよろしいとお考えになつておるのか。
  80. 柏木雄介

    ○柏木説明員 まだ実はどういうふうにやつたらいいか研究いたしておりませんけれども、今後十分研究いたしたいと思つております。
  81. 川俣清音

    川俣委員 いろいろお考えになつておる点があるとさつき御答弁なつたのですから、未熟であろうともお述べになつたらどうですか。われわれもそれについて大いに検討いたしたいと思います。
  82. 柏木雄介

    ○柏木説明員 ここで私の書生論を御披露しても、あまり効果がないのではないかと思います。ですから十分研究ができた上で御相談をいたしたいと思います。
  83. 川俣清音

    川俣委員 これはやはり重大です。あなたが疑惑がなければ、私はあえて聞こうとしない。疑惑が中にあるので、勢いどうしても見解を聞かなければならないということを申し上げておるので、これは疑惑がなければ問題にいたしません。土地改良についての一つ見解を持つておられるというふうに——いい、悪いは別にして、そういうことが流布されておるのであります。農林省でも課長以下あなたの前に頭を下げて陳情したというようにも聞いておる。農林省が大蔵省に頭を下げて陳情するということはけしからぬことだと思うのですが、そのけしからぬことをあえてやつたようです。それを私はあえて追究しようとは思いませんが、それほど問題の人ですから見解をお聞きしたい。
  84. 柏木雄介

    ○柏木説明員 先ほど申し上げましたように、食糧増産、公共事業予算を担当して間もないのでありますから、これから大いに研究したいと思います。ただ新聞紙上に出ておる疑義もありますし……(「疑義とはどうことなのか」と呼ぶ者あり)それでは一つだけ申し上げますと、非常にたくさんの工事を始めて、しかも未完成の工事が多いという場合に、結局国家としまして寝てる資本が年々ふえて来る。つまり収益を伴わない資本が年々ふえて来る。一体そういう金の使い方がいいのかどうか、若干の疑問があるのではないか。その意味におきまして、金を使うときには、効果がいつ出る、いつどのように収益を生んで来るのかという全体計画をむしろ見る必要があるのではないかということを一つとして考えたわけであります。それをどういうふうに今後研究するか。それは時間の許す限りいたしたいと思います。
  85. 金子與重郎

    金子委員 ただいまのお話は非常に重要な問題であります。この土地改良事業予算の使い方については、どれだけの助成率を持つか、どれだけの規模のものを主たる対象にするかということに対しては、国会ではきめておりませんので、今日も問題になつたのでありますけれども、土地改良事業予算の使い方について、国会の意思としては、ただいまあなたが指摘されたような、国営なり県営というような年次計画によるものも、田畑を掘り起した場合でも、につちもさつちも行かずそのままになつてつて、資金は寝せておる。しかも増産の実はあがらぬ。しかもそれを一反歩当りの施設費に見ると、相当割高になつておる。こういう点は常に農林委員会が指摘するのであります。そこで農林委員会で、いつでも土地改良に対する問題が起りましたときには、その助成なりをいたします対象とする規模は、できるだけ小さい方が効果的だ。こういうふうな貧乏な国では、金を費したら端的にあくる年すぐ増産がはかられるようなところからやりたい、こういう要望があるわけであります。そういうときに、たとえば今では大体において五十町歩、特例の場合に二十町歩、こういうことで先ほど農地局長も説明しておりますが、それでは満足できない。もつと小さいものにほしいのですけれども、それは主として大蔵省監督上困るとかなんとかいうふうな問題で、規模の小さいところを助成対象にすることをなかなかやらぬだろうということを言つておるのでありますけれども、そういたしますと、あなたの今の一つの構想、感じとして持たれたことは、私ども同感とするところでございますが、それに比べれば、監督のしやすい大規模のものを中心にしてやる、小規模のものは監督が行き届かないという理由で、できるだけ規模を大きくするというのが大蔵省の意見だというのでありますが、そこのところは非常に矛盾があります。その点はどういうふうにお考えになりますか。
  86. 柏木雄介

    ○柏木説明員 実はお話の点、御意見十分に参考にいたしまして、今後研究いたしたいと思います。
  87. 金子與重郎

    金子委員 違う違う、そんなでたらめじやない。大規模なものが非能率な土地改良の形であるという見解を持たれたということを今おつしやつたでしよう。それは私どもも同感なんです。それなのにそれに矛盾した一つのことがある。たとえば今度助成対象にする土地改良事業は小規模なものほど効果があがる。できるだけ端的に効果をあげるには小規模のものが効果的だということは、農林委員会で常に主張されているところなのだ。その際に、その事業規模を小さくしてはいけないというのが大蔵省の強い意見だということを常に聞いておるのでありますが、そうすると今のあなたの御見解と矛盾が出て来るということなんです。
  88. 柏木雄介

    ○柏木説明員 大蔵省で単位面積を小さくすることに従来反対しておつたというお話でありますけれども、私どもといたしましては、今その問題にあまり知識がございませんから、十分研究いたしたいと思います。
  89. 平野三郎

    ○平野(三)委員 議事進行について。ただいま川俣委員の御質問に対する大蔵省主計官の御答弁ははなはだ不穏当である。私はこれは重大問題として取上ぐべき価値があると思うので、特に議事進行について発言をいたしたいと思います。  そもそも土地改良事業の熾烈な要望に対しましては、今主計官はこれを小規模土地改良に適用するについて反対したことはないとおつしやるけれども、小規模土地改良について二十町歩というお話が先ほど金子さんからありましたが、これについても今まで非常に経緯があるわけであつて大蔵省は三百町歩以下は認めないということであつたのが、ようやくにして五十町歩まで農林省の要望がいれられ、また積雪寒冷単作地帯については特に二十町歩まで認めるという経緯もあるのであります。日本土地改良事業は、食糧増産という国策の根本方針であつて、これに対していろいろな問題があるわけです。ところがいろいろな御発言を聞きますと、土地改良問題について私見があるとか、新聞記事等にいろいろの問題があるとかいうようなお話があつたのですが、ただいまのその御発言を聞いておつて、部分的なことをとらえて土地改良事業全体を否認するがごとき印象を得たのであります。そこで速記録を調べないとまだよくわかりませんから、後ほど速記録をよく調べて、次の機会において、委員会としてこの問題を根本的に取上げて、大蔵省土地改良事業に対する認識を根本的に是正してもらわなければ、この最大の使命であるところの食糧増産の前途に一大暗影を投ずるものと私は思いますが、本日は時間もありませんから、委員長において後ほどよく速記録をお調べになつて御善処あられんことをお願いするものであります。
  90. 川俣清音

    川俣委員 今平野さんから御提議がありましたから、私の質問はさらに主計局長なり大蔵大臣出席を求めて続行いたしたいと思います。     —————————————
  91. 井出一太郎

    井出委員長 土地改良法の一部を改正する法律案に関する質疑はこれを次回に譲り、再び農林漁業組合連合会整備促進法案を議題といたします。芳賀貢君。
  92. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほどの谷垣部長の御説明によつて、大体平面的に考えた場合においてはわかるのであります。だれしも了承する点は、組合自体の自己資本が非常に不足しておる。特に固定設備の間におけるアンバランスというものは重要な問題であると思う。さらに債権の固定化の問題であるとか、いろいろ問題はあると思います。一番基本的に考えた場合に、なぜ協同組合が不振であるか、普遍的に不振になつておる要素は、これは現在の経済機構といいますか、経済情勢の中における協同組合の運営というものは、適応性を欠いておる点があるのではないかというように考えられる。そういう点についての御所見はどうか、伺いたい。
  93. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 現在の経済界に対して適応性を協同組合が本来欠いておるかどうかという御質問のように承つたわけでありますが、これは現在の協同組合法のわく内におきまして、うまく経営の行つておりますものが、現実にかなりあるわけであります。不振組合のことを中心にずつと審議が続いておりますので、非常にうまく行かない問題を多く取上げておりますけれども、しかし全体の組合を見渡しますと、現在の経済状況のもとにおいてもうまく乗り切り、経営その他が上手に行つておる組合が、これまた相当あるわけであります。それならば、これらの問題がどういう点でうまく行かないのかという点でございますが、これはいろいろな点があろうかと思います。私は現在の組合法の規定しておりまするわく内におきましても、経営の主体がはつきりいたしまして、組合員が始終それに対して強い関心を持つて、系統組織という、ほかの一般の営業者と違つた組合自体の持つております特質、長所を十分に生かして行きますれば、現在の組合法の性格から見まして、十分にやつて行けるというように確信をしております。ただ問題になりまするのは、それならば経営陣営の優秀な者をどういう形で選び出すかというような点、あるいはまたそういう優秀な方がおられましても、現実に持つておりまするかなり大きな欠損をどうやつて行つたらいいか、こういう点は非常に大きな問題であろうかと思いまするけれども、これは組合法の本質的な問題とは少し違つておりまするので、私は現在の組合法のわく内におきましても十分にやつて行けるのだ、現在の組合法の内部におきまして、まだまだ改善すべきものがたくさんある、かように考えております。ただもちろんこれを外部的に、たとえば農産物の価格安定法というような法案対象にして考えました場合に、そういう外部的な条件が組合の経営の上にプラスになるかマイナスになるか、これは非常にプラスになることと思いますが、そういう外的条件が整備されまして、そうして組合の経営がますます堅実になつて行く、こういうことは私たちは当然に期待もいたしますし、またそういう方向にも持つて行きたいと考えております。
  94. 芳賀貢

    芳賀委員 経済的な原因の面を探求すると同時に、もう一つは有機的な面においてどういうような欠陥があるかということを、あわせて検討する必要があると思うのであります。これは先ほど大臣の御答弁の中にもありましたけれども、結局組織を形成する組織員自体の意識の問題、あるいは意欲の問題等が根本的にある程度高揚されるという方向に進んで行かなければ、抜本的な確立はできないというふうに考えておるわけであります。府県段階におけるあるいは県指連であるとか、中央における全指連のごとき、特に教育、宣伝、啓蒙等を任務とする協同組合の連合会の組織が非常に骨抜きになつて、他力依存でようやく命脈を保つておるという現況にあると思いますけれども、こういう点と関連して再建整備あるいは整備促進をやつて行くために、これらをどういうようにお考えになりますか。
  95. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 これは昨年の秋に、協同組合としまして初めて持ちました全国大会のときに決定いたしました決議でございますが、それには協同組合の刷新強化をいたしまする基本的な問題といたしまして、組合意識の高揚という問題、それから自由経済に対応する農協事業態勢の確立という問題、それから全系統組織の整備という問題、それから役職員の充実という問題、この四点の問題を協同組合の刷新強化をいたします重要な眼目というものにして決定をいたしております。これは農協に関係しておられまする各位が全部集まりまして決定されたことでありまして、私たちも全然同感に感じております。こういう問題から考えまして、それに即応して、あるいはこれを具体的な問題として敷衍いたしまして、個個の問題を一つ一つ片づけて行く必要があると思うのであります。その一つといたしましては、たとえば御審議を願つております協同組合の総合的な指導組織を確立する必要があるというような問題として出て参るものと思いますし、あるいはまたいろいろと御議論のありました種々の課税問題に対してどういう対策をとるかという問題にも出て参りましようし、あるいはまた肥料の購買事業に関して、現在持つております共同計算制のような問題を確立して、あるいは全販系統、販売組織の系統が新しく進もうといたしております無条件委託販売のような態勢を確立して行こう、そういうように各自出て来るわけだろうと思います。特にこういう経済面だけがこの協同組合の問題ではないのでありまして、むしろほかの組織と違います重要な点は、この全系統組織が一つの強い一種の同族的な結合によりまして結びついておるというところが非常に大切な点だろうと考えております。これは先ほどの総合組織を確立いたしまして、そうしてそれを中心として協同組織の意識を高揚して行く、あるいは現在ありまする協同組合学校というようなものの組織をもつと充実をいたしまして、中央における短期大学のような形に充実し、あるいは地方にありまする協同組合の講習所のごときものをもう少し整備して行くというような個々具体的な問題として進んで行くことと考えております。特にその中で協同組合の再建のために一刷新強化のためにいろいろな問題が具体的に出て参りますものは、私は御審議を願つております促進法の対象になつて来るそれぞれの組合連合会、こういうものがはつきりした形になろうと思います。これは審議会その他で具体的に一つ一つその問題を検討して行こうと思います。その際に今申しておりますような全系統組織の意欲の高揚という問題を基盤としてのいろいろな問題が必ず出て来ることと確信いたしております。その中から具体的な問題を取上げまして、それを将来なおかつ敷衍して行くといような形が出て来ることと考えております。
  96. 芳賀貢

    芳賀委員 時間がないので非常に寸足らずになりますけれども、協同組合の任務は、端的に言つて資本主義経済の中においては、零細な組織員の一つの資本の自己防衛をやつて、最大の抵抗を試みるというような、そういうような守勢的な立場に立つた努力を繰返すことにあると思うわけでありますけれども、そういう場合において、事業面においても、特に販売事業等において市場における優位性を全然持つておらぬ、こういうような力関係においては、いつまでたつても、もし連合会や単協がそれ自身の組織が健全化された場合においても、組織の運営面におけるバランスをとればいいという消極的な考えだけに堕して、結局本来の目的であるところの農民の最大の利益を守つてやるという任務を忘れるような場合が非常に懸念されるわけであります。そういう点に対しては、どこまでも協同組合の持つ自主性を育成する、助長するという建前において、この法律というものは運営されなければならぬと私は考えておるわけでありますけれども、部長の所見はどうでありますか。
  97. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 御指摘のように、特に販売事業が最近の状況から見まして、苦しくなつて来ることは御存じの通りであります。小さい規模の生産者が集まりまして、そうしてその販売先になりますものが、前と違つてかなりこまかい、財力のあまりゆたかでない形の販売というかつこうになつておりまして、いわゆる従来の売手市場が買手市場になつておる状況でありまして、特に販売事業においてその成果を高めて行くことは困難な状況であります。しかしながらこれは現在やろうといたしております販売事業における改善策、そういうものを主軸といたしまして、それぞれの産物に対しての特殊性を考えながらやつて行くということによつて、私は相当な力が発揮されまして、従いまして零細な農民の販売面における利益が確保されるようになることと考えております。これは戦前の産業組合運動の経過から見ましても、まだまだ現在の協同組合の販売事業が伸びて行く見込みが十分あるのでありまして、私は販売事業につきましても、内部態勢の刷新をいたしますれば、相当程度に伸びて行くというふうに考えております。
  98. 芳賀貢

    芳賀委員 本質的な問題はいずれ団体再編成の審議の機会もあるのでそれに譲りまして、具体的な問題として、今度の対象になる連合会は、府県以上の段階においてもこれを適用するというふうにうたつてありますが、全国段階において、たとえば全敗連の場合とか全指連等はこの対象となるような情勢であろかどうかという点。  それからもう一つは、不振の原因の中に農村工業を非常に積極的にやつたような組織が、そういうことが原因して非常に不振を招いたというような現象も非常に多いと思うのですが、それで今後農村工業を行う協同組合あり方等に対しての問題点があると思うわけであります。  もう一つは、この促進法が出る前に府県の連合会自身が再建の方途を考えて、たとえば決損金等の半分なら半分を単協に負担させる、しわ寄せさせるというような総会における措置を講じてしまつたような場合においては、この促進法が通れば当然それらの問題はこの法案の適用によつて処理すべき性質のものであると思うわけでありますが、それらの健全化を自主的にはかろうとした連合会、すでに単協の負担においてそれがなされるような現象に対しては、どういうような具体的な措置を講じられるか、その点についてお伺いしたいのであります。
  99. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 これはこのたびは県の段階以上の連合会を対象といしております。従いまして全指連等に対しましても、これが対象となることに相なつております。もちろんそれが具体的に援助の対象になるかどうかということは審議会の審議によることでありますが、対象としてはそういうふうに相なつております。  それから従来の経緯から見まして、農村工業を営んでおります連合会に赤字がかなり多いということは、これは事実でございます。これはおそらく終戦直後あるいはそれから引続きましての非常に物資不足の時分に、何でもつくれば必ず売れたという時代の濫立をいたしました経営、あるいは経営自体の中にも製品その他経営内容におきまして、今から考えますればルーズなものがあつたかと思います。それらのものが統制が終りまして、いろいろと製品が出まわつた場合におきましての経営の切りかえ方について若干齟齬があつたので、そういうものがかなり負債となつてつているような点があろうかと思います。それらの点はそれぞれの対策を講じまして、あるいは連合会の単位であればやりにくいけれども、単協等にこれを移管した場合に、それがうまく立ち直つておるようなものもございますし、あるいはその工場の数その他が多過ぎるというようなものはそれぞれ合併をし、あるいは閉鎖をさせるというような形におきまして整備が続いておる模様でございます。なお再建整備の対象になつていなかつた、つまり再建整備を始めました際には、成績がよくて不振組合でなかつたために対象にならなかつた組合が、その後状況がかわりまして不振を来した、こういう連合会が中にあろうかと思います。これらのものは再建整備法の対象になりましたその当時の連合会の状況を参酌いたしまして、それに大体そのような程度の不振状況でありますならば、このたびの促進法の対象といたしたい、かように考えておるわけでございます。
  100. 芳賀貢

    芳賀委員 検査等の資料を後刻また出していただければ非常に参考になると思いますのでお願いいたします。本日は大体この程度にしておきます。
  101. 井出一太郎

    井出委員長 以上をもつて質疑を打切り、討論を省略し採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。  これより農林漁業組合連合会整備促進法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  103. 井出一太郎

    井出委員長 起立総員。よつて本案は可決すべきものと決しました。  なお委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。     —————————————
  105. 井出一太郎

    井出委員長 この際お諮りいたします。委員佐々木盛雄君及び安藤覺君が委員辞任されました結果、小委員補欠をいたさなければなりませんが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。それでは福田喜東君を林業小委員に、また安藤覺君は従前の通り肥料、農業共済制度及び林業小委員指名いたします。  次会は明二十三日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十一分散会