○吉川(久)
委員 この
法案の成立を希望しておいでになるという確固たる御信念を持つておいでになるそうでございますから、それではもう一つ伺つておきたいと思いますが、この
農業協同組合法の一部
改正の先ほどの
提案理由を伺つておりますと、非常に
協同組合の
発達をしているところの地方の人々の要望と、それから私の聞いておりますところの今日までの中央
政府の希望しているところの方向との間に
相当の逕庭がありまして、そのために何とかつじつまを合せなければかつこうがつかないというような箇所が各所に散見するのであります。一つの場合を取上げてみますと、国に
中央会をつくり、また府県にも
中央会をつくる。しかも中央の施策が下部に統一的に合理的に能率的に滲透するためにと、こういうように言われておりますけれども、独立をしたところの府県の
中央会と中央の
中央会とこれは非常な矛盾ではなかろうかと私は思います。地方にはむしろ支部を置くべきである。ところがその支部では満足できないという地域の要望にこたえるために、こういう妥協的な形をと
つたのではないかと私にはうかがわれる。こういう矛盾した面、それからまた末端の
組合が
中央会に強制的に
加入させられるというような、はなはだ矛盾撞着したこういう法律の構成というものは、これは理想の農村の進歩
発展の方向にすなおに持つて行く行き方ではないのです。何か
制度のための
制度をつくる、
農民の利益を擁護する社会的、経済的地位の向上に資するというような、そういう配慮に出るものではなくて、何か一つの
制度のために
制度をつくり、
制度をいじくりまわすといつたような感じがしてならない。
農業委員会法の一部を
改正する
法律案の
提案理由の
説明を聞いても、これにも問題はずいぶんございますが、私は時間の
関係で遠慮したいから一点だけ申し上げておきますけれども、たとえて言えば、
農民の利益擁護の機関であるといいながら、国の助成団体であり、国の助成機関であつて、
農民の利益代表の機関たり得るか。こういう大きな矛盾を内包しているのです。こういうことは大臣はおそらく御検討にならないで、うのみでこの
委員会へ
提案なさ
つたのではないかと思うのでございます。今までの御
説明から、これはうのみになさ
つたのであろうと、私はかように推察をいたしておりますが、そうでございますかどうか。そうであるとするならば、こういう点を下僚に命じて、ひとつあらためて出直さなければ、ほんとうの法律の当初生れたところの
趣旨は滅却されるおそれがございますので、これはこの両
法案の基本的な問題でございますので、それに対する御所見を伺つておきたい。そして私の本日の質疑は
委員長からの御注意がございまして、一人で独占してはいけないということでございますから、これをもつて打切りたいと思います。