○吉川(久)
委員 そうあるべきであろうと思いますが、聞くところによると、農村工業家や経済家あたりでは、これは困るというのですが、また一部にはぜひともやらなければならないというような空気があるやに聞いておりますので、この点も明らかにしておきたいと思
つたのであります。
通産省にお尋ねいたしますが、先ほど私が二万石と言
つたのは、これは二十万ドルの原液を買いますと、ちようど二万石になるのだそうでございます。これを延ばしますと一億万本になるそうでございます。日本でただいま清涼飲料水が四億本出ております。それに対してアメリカから一億本輸入をするということになりますと、日本のこの既存のジユース産業と申しますか、果汁を
加工するところの工業に一大影響を及ぼすということを、私どもは見のがすわけには参りません。こういう点について十分お
考えにな
つておるのかどうか。最近の国際情勢下におけるところの日本の
立場が、ただいま次長のおつしや
つた通り外貨事情はまことによろしゆうございません。今後ますます悪くなるともよい段階ではございません。こういうときに日本の国内の産業に恐慌を及ぼすようなこういう問題をまじめに取上げること
自体が、私どもは非常に不可解に思うのでございますが、これは外貨事情だけではなくて、
もつと国内の産業に重大な影響のあるということをひとつお
考えを願いたいと思います。
それか
らいだいま東南アジアに八億万本出ておると言われております。これが入り始めると、東南アジアがすでに八億もびん詰として流れておるのでございますから、日本の国もたちまちコカコーラの洪水にな
つてしまうことが想像ができるのです。これを持ち込むことによ
つて日本の清涼飲料水がいろいろに研究をされて一そうしてこれがますます上級品に発達をするから、刺激を与えてよい効果をもたらすか
らいいのではないかという
考え方もあるようでごございすけれども、御案内の
通り、コカコーラの原料は南米から入
つて来る特産品でございます。
従つてバヤリースのように日本の原料をも
つてやれるものはけつこうでございます。これとても問題はございますけれども、コカコーラのように日本では全然まねのできないようなものを持ち込まれて
——なぜコカコーラが非常に蔓延するかというと、ふぐを食べると、あれには毒がある。内臓などを食べると命をとられるけれども、内臓でないところを食べると適度にしびれる。この刺激が人間の味覚に合いまして、ふぐを食べ始めたらもうやめられないということは、ここに
原因があるわけなんです。コカコーラがちようどそれと同じような内容を持
つておるものです。だからこれが入
つたらたちまち蔓延をしてしまう。そして外貨事情にかかわらずどんどん入り込んで来て、阿片の中毒患者が出るように、日本の国民はコカコーラで参
つてしまう時期が来ることを恐れる。だからこういう問題を真剣に御検討にな
つておいでになるかどうか、びんがなるほど東南アジアに輸出できると言いますけれども、ただいまびんは日本から出ているのではない。アメリカから
行つているのです。冷蔵庫もアメリカから
行つているのです。日本のものを無条件で入れてくれるというお約束は、東南アジアと日本との今の国際関係において、私は期待できないと思うのです。だから今、次長がびんの輸出ができるというようなことをおつしや
つたけれども、こういうことを軽率にお
考えにな
つては困るのです。それから外人に飲ませるから貿易外の収入が入るではないかということもお
考えのうちにあ
つたそうでございますけれども、コカコーラがなければほかのものを飲んでくれるから、日本の品物が売れるのです。このことの方がむしろ外貨収入のために私はいい
考え方ではないかと思うので、民族資本の擁護のためにも、あるいはまた日本のジユース産業、日本の
農家経済に及ぼす影響のきわめて大きいことをお
考えくださいますならば、これはぜひやめていただきたい。そうして日本の産業をもう少し改善、発達させるように御配慮をいただきたいと思いますが、それについての御所見を伺
つておきたいと思います。