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1953-06-30 第16回国会 衆議院 農林委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月三十日(火曜日)     午前十一時四十八分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君    理事 平野 三郎君 理事 金子與重郎君    理事 佐竹 新市君 理事 安藤  覺君       小枝 一雄君    松岡 俊三君       松山 義雄君    加藤 高藏君       吉川 久衛君    芳賀  貢君       古屋 貞雄君    川俣 清音君       日野 吉夫君    久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君  委員外出席者         議     員 平野 力三君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 六月二十九日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として川  俣清音君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十九日  農林漁業組合連合会整備促進法案内閣提出第  一三一号)  昭和二十八年の凍霜害に伴う営農資金融通に  関する特別措置法案平野力三君外四十五名提  出、衆法第一〇号) 同月三十日  農産物検査法の一部を改正する法律案金子與  重郎君外七名提出衆法第一六号) 同月二十六日  川内市地内農作物水害対策確立に関する請願(  冨吉榮二紹介)(第一七七〇号)  広島県東部の農業災害対策確立に関する請願(  高津正道紹介)(第一七七一号)  桑園災害対策確立に関する請願西村力弥君  紹介)(第一七七二号)  凍霜ひよう害対策確立に関する請願原茂君紹  介)(第一七七三号) 同月二十七日  桑園の凍霜害対策確立に関する請願只野直三  郎君紹介)(第一八三五号)  開拓道路花岡線改修工事施行請願永田良吉  君紹介)(第一八三六号)  肝属地区畜産試験場設置請願永田良吉君  紹介)(第一八三七号)  山梨県の農業災害対策確立に関する請願古屋  貞雄君外四名紹介)(第一八三八号) 同月二十九日  六ケ所村に開拓地診療所設置請願淡谷悠藏  君紹介)(第一九五九号)  愛媛県下の農業災害対策確立に関する請願(中  村時雄紹介)(第一九六六号)  広島県下の農業災害対策確立に関する請願(高  橋禎一紹介)(第一九六七号)  国有林野整備臨時措置法の一部改正に関する請  願(淡谷悠藏紹介)(第一九六八号)  農業政策に関する請願大石ヨシエ紹介)(  第一九七〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十七日  農業団体再編成に関する陳情書  (第四二八号)  畜産組合法に関する陳情書  (第四二九号)  豆類の価格安定に関する陳情書  (第四三〇号)  北海道農業改良開発に関する予算増額陳情  書  (第四三一号)  養鶏振興に関する陳情書  (第四九七号)  香川県下の台風第二号による麦被害対策に関す  る陳情書(第四九八  号)  熊本県下の農作物風水害対策に関する陳情書  (第四九九号)  農業災害補償制度改正に関する陳情書  (第五〇〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  林業に関する小委員会設置に関する件  昭和二十八年の凍霜害に伴う営農資金融通に  関する特別措置法案平野力三君外四十五名提  出、衆法第一〇号)  本年産麦価に関する件  風水害による農林被害に関する件     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  まず食糧に関する件について調査を進めます。この際、本年産麦価の問題につきまして、政府より先般来の経緯につき御説明をいたしたいとの申出があります。これを許します。保利農林大臣
  3. 保利茂

    保利国務大臣 本年産麦価格の問題につきましては、去る二十六日に閣議の決定をいたしまして、実施いたしたいと存じておりますが、この決定に至るまでの経緯について御説明を申し上げたいと存じます。  御承知のように麦類は昨年六月以降統制を廃止いたしまして、自由販売といたしたのでありますが、まだ米の統制を必要といたします現在におきましては、麦類主要食糧でありますから、一面麦の再生産確保をはかる意味におきまして、農家希望に応じて無制限買入れを行いますとともに、他面米価とのバランスのとれた安定した価格水準を実現して、消費者家計の安定をはかることといたしたいのであります。本年度も、管理制度につきましては、基本的には昨年度と同様の考え方に基きまして、数量及び価格の調整をいたすことといたし、この管理を円滑に行うために、価格所要の改訂をいたすことといたしたのであります。麦の価格につきましては、食糧管理法に規定せられておりますように、買入れ価格パリテイ価格基準とし、これに生産事情その他の経済事情をしんしやくいたし定めることとして、売渡し価格は、家計麦価範囲内におきまして対米比価によつて定めることとなつております。従いまして政府といたしましては、消費面負担力等を考慮いたし、前年通りの考えにより既定の算式通り決定をいたし、買入れ価格については、パリテイ価格基準として、これに統制廃止後の小麦大麦裸麦の三麦の需給条件の変化を織り込み、三麦間の価格比がバランスするように調整して決定をいたし、米価審議会に諮問いたしたのであります。これに対しまして、米価審議会では、買入価格については、米価における特別加算額相当加算措置を講じ、売渡し価格については、昨年度売渡し価格以下とする旨の答申をいたしたのであります。特別加算額につきましては、当初政府といたしましては、米麦価格決定基本的考え方は同じでありますけれども、米価の方は統制による最高販売価格であるのに対しまして、麦価の方は自由販売でありますから、おのずから米と異なり、農家希望に応じ、政府の買い入れる価格であるという事情にありますので、麦につきましては加算額をつけなかつたのでありますが、政府はこの点につきまして慎重検討いたしました結果、米価審議会答申趣旨を尊重いたしまして、本年度災害等特殊事情をも考慮いたしまして、加算額を付加することといたし、結局包装込み俵当り標準銘柄等級価格につきまして、小麦は二千十三円を二千五十二円、大麦は千六百四十七円を千七百十七円、裸麦は二千百七十九円を二千二百七十三円に修正し、決定いたした次第であります。  次に売渡し価格につきましては、昨年度より若干引上げまして、小麦につきましては現行価格をすえ置いて、俵当り二千百円とし、大麦は千七百四十二円、裸麦は二千二百九十四円にいたしたのであります。政府としましては、審議会答申をも検討いたしたのでございますが、この程度引上げは、家計実質的負担の増大をもたらすことはないとし、諮問案によることといたしたのでございます。  以上二十八年産麦価決定に至るまでの経緯の概要を申し上げました。
  4. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの御説明に対する質疑は、大臣の御都合があるようでありますから、次会にこれを行うことにいたします。     —————————————
  5. 井出一太郎

    井出委員長 次に、昨日本委員会に付託になりました平野力三君外四十五名提出昭和二十八年の凍霜害に伴う営農資金融通に関する特別措置法案議題といたし審査に入ります。  まず本案趣旨について提案者説明を求めます。平野力三君。
  6. 平野力三

    平野力三君 ただいま議題となりました昭和二十八年の凍霜害に伴う営農資金融通に関する特別措置法案に関し、提案理由を御説明いたします。  昭和二十八年四月及び五月の凍霜害による被害農家営農資金融通を円滑にするため、政府融資機関に対し損失補償利子を補給する必要があると思います。これがこの法律案提出いたしました理由であります。  左にその内容について申し上げますならば、まずこの法律において政府融資総額を百億といたした点であります。第二点は、償還の期限を五箇年間といたしておるのであります。第三点としまして、政府補給利子を五分とし、府県負担はなしということにいたしております。なお損失補償の額を八割としておるのでありまして、今回全国に発生いたしました実に六十有余年にまれに見るところのこの凍霜害に対しましては、少くとも営農資金融通に関してはこの程度法律をもつて臨むことが妥当であると思考する次第であります。  なお一言申し添えますことは、農業災害をいかにして救済するかということの、きわめて困難でありかつ重要であることは申すまでもありません。現在の農業共済保険制度等をもつていたしましては、とうてい農家災害を十分補償することができませんので、特に私どもはこの法律によつて、農村の災害を救済いたしたいと考える次第であります。  以上提案理由を申し上げました。何とぞ御審議の上すみやかに本法案の成立することを希望してやみません
  7. 井出一太郎

    井出委員長 本案に対する質疑は暫時留保いたします。     —————————————
  8. 井出一太郎

    井出委員長 引続きこれより風水害による農林被害に関する件につきまして調査を進めます。  まず先般の台風による被害及び今次の豪雨による被害状況につきまして、政府より説明を求めたいと思います。渡部官房長
  9. 渡部伍良

    渡部政府委員 まず被害状況について申し上げます。被害状況につきましては、実は四班にわけて中国、四国、九州、近畿に調査班を出したのでありますが、それが昨日一部帰つて来ました。九州班の一部が、ちようど向うを立つ前後からの今次の洪水のために、いまだに一人行方がわからぬ人がおるのでありまして、最後的な集計はまだできておりません。従いまして現在手持ちの資料は府県からの報告であります。そうして農林省の作業といたしましては、どういう項目でどういう対策を講ずるか、それをまた府県報告に基いて試算をしてみれば、どの程度金額がいるか、こういうことをやつたのであります。今次の災害で一番大きいのは、何といつても麦であります。これは府県報告によりますと、二百十億ばかりになつております。府県報告集計でありますが、府県報告によりますと、面積によつて出ておるもの、あるいは金額によつて出ておるもの、それらを精査しますと、たとえば麦の単価等でありますが、あるものは政府の買入れ価格でやり、あるものは一応の市場価格を想定して計算しておる等がありますので、それらを統一的に計算し直してみたのであります。そうて二百十億というのが出て来ました。これは先ごろ農林省で発表しました六月一日現在の本年産麦収穫矛想の発表と同時に発表しました被害状況百七十万石に比べますと、倍以上になります。今の二百十億円を四千五百円で換算しましても四百万石以上の数字になりますので、農林省被害状況はもちろん十三日現在で調べておりますので、非常に少い数字であるということは想像できますが、それにしましても相当の開きがありますので、先ほど申し上げましたように、現地調査班報告を聴取しまして、この数字を直したいと考えます。  その次は菜種でありまして、約二十五億の損害なつております。そのほか野菜、果樹、い草除虫菊たまねぎそのほかあらゆる作物報告が出ておるのであります。この報告につきましては、先般当委員会数字をお配りしましたが、それが、多少ずつふえておる、こういうふうにお考え願いたいと思います。その当時発表しましたのは、麦はたしか二百億になつておりましたが、それが二百十億程度にふえておる。そういう数字をもとにして試算をいたしました。その結果、農林省で一応予算に組んでみたのは十九億九千四百万円余りになります。そのうち農業施設災害関係が十四億三千九百万円余り残り農作物関係五億五千万円余り、こういうふうになつております。まず農林水産業施設災害の十四億三千九百万円の内訳でありますが、農地関係が九億八千四百万円、入植関係が三千万円、林野関係が二億八千三百万円、水産関係が一億四千万円余りで、合計十四億三千九百万円ということになつております。農作物関係で申し上げますと、まず第一点は、営農資金に対する利子補給及び損失補償関係であります。これは凍霜害の例によりまして、三割以上の被害の額を計算いたしまして、必要融資額を算定したのであります。そうしますと、約三十九億という数字が出ます。それに対して二箇年の融資と五分の利子補給をやるのでありますが、その五分のうち二分五厘を政府で持ち、残りの二分五厘は府県に持たすという考え方で、それの七月から二十九年三月、すなわち今会計年度分所要額を勘定しますと、約七千三百万円になります。これには凍霜害と同じように三割の損失補償をし、そのうち二分の一は国から補助するというやり方にしております。水産関係で約七百万円の利子補給を見ております。これは十勝沖の震災の融資と同じようにしたいと考えております。利子補給年五分、融資期間は五年以内、これは養殖施設あるいは漁船、漁具等の固定設備的なものでありますので、融資期間を長く考えました。損失補償は三割であります。  次は、麦の種子購入費でありますが、二億五百万円ばかり計上しております。これは一町歩あたり四升ないし五升の種をまきますので、それの三分の一を補助するという考え方であります。凍霜害のときと同じように三分の一国、三分の一府県、三分の一農家負担という考え方計算したのであります。  次は、稲苗輸送費補助金であります。これは六千八百万円余を計上いたしました。従来災害に対しましては、稲苗輸送費というものが計上されておりますので、その例によりまして、輸送トラック代の二分の一を補助する、これが五千三百四十五万円。そのほかにばれいしよの輸送費を千五百万円計上いたしておりますので、合計六千八百万円になるわけであります。ばれいしよの関係は、半分は地場の種、半分は北海道物という計算輸送代を計上いたしました。それの半額を持つということであります。  それから苗しろをまき直したのが相当ありますので、苗しろの再仕立の補助金を六千七百万円ばかり計上いたしました。これはまきかえの肥料代種子代の三分の一、種子消毒農薬代の二分の一を補助する。これは凍霜害の例によつて肥料代種子代は三分の一国、三分の一府県、三分の一自己負担種子消毒は二分の一となつておりますので、それと同じように計算したのであります。  次は、一番問題になりました菜種対策でありますが、これにはなかなか名案が浮びませんので、農林省としましては、菜種をまきつけてから本田に移植するまでの費用を計上いたしました。種子代肥料代の三分の一と薬剤の二分の一の補助として四千万円計上いたしました。  特用作物、すなわちちよ麻除虫菊い草等につきましては、肥料代の三分の一を補助することにいたしました。それはそれぞれの作物が痛めつけられまして、倒れたり、曲つたりしたのを、肥料をやつて回復させようというわけで、四百万円を計上してあります。  くだものにつきましては、樹勢回復肥料代補助として、肥料代の三分の一、農薬代補助として農薬代の二分の一を補助をする。それがための経費として三千二百万円余を計上しております。  蔬菜関係では約三千万円を計上しました。これは代作用種子代の三分の一と農薬代の二分の一を補助いたしたのであります。蔬菜関係たまねぎ関係が今計算中で、今申し上げるところには入つておりません。これは目下数字を整理中でありますので、追つて計上することにいたしたいと思います。  そのほか水害地家畜衛生対策費で五百万円あまりを計上しております。これは予防注射とか畜舎消毒健康検査等費用であります。  また今回では種の確保相当重要になりますので、府県庁等における種のあつせん費と、それからまた災害調査相当の労力がかかつておりますので、農作物報告事務所の旅費の増額等につきまして、約千八百万円ばかりの経費を計上しております。締めまして結局農作物関係畜産水産を含めまして五億五千万円余り施設関係で十四億三千九百万円余り、こういうふうになつておるのであります。概略申し上げました。
  10. 井出一太郎

    井出委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。足立篤郎君。
  11. 足立篤郎

    足立委員 私はただいま官房長が御説明になりました風水害対策につきまして、一点だけ伺つておきたいと思います。と申しますのは、麦の農業共済金概算払いを早急に行うということになつておりますが、私の承知しております範囲では、概算払いが行い得るのは、制度上ほとんど収穫皆無に近い、九割以上の被害でないと行えないと思うのでありますが、これに対しまして農林省はいかなる御用意をお持ちになつておるか、この点を伺つておきます。
  12. 渡部伍良

    渡部政府委員 概算払いには通説で二つばかり含まれていると思うのです。一つ町村共済組合農家に払う分、これは普通仮払いといいますか、九割以上という制限をつけないで、單位組合で適当な基準をきめてやつて行きたい、こういうふうに考えております。これは農林省としましても、五割から七割までは半額程度が適当ではないか、七割から九割まではもう少し、九割以上の被害になれば全額近い額を払つていいのじやないか、こういうふうな内面指導的なものはやつております。これは要するに單位組合払い過ぎにならないことを注意すればいいのじやないか。払い過ぎになりますと、結局その場合にいろいろな問題が起るだろう、その点だけを注意すればいい、こういうふうにいつております。そういたしますと、それに対する資金町村組合で足りない場合には連合会で借りる。連合会でも足りない場合には基金基金でも金が足りない場合には中金から流す、こういう手段をやつておりますので、その点は府県の方、あるいは共済連の方で指導を願うようにいたしております。  もう一つ概算払いは再保険金概算払いであります。この点は、お説のように九割以上の被害について再保険金概算払いをやるようにする。従いまして農家に対する共済金を前渡しする点につきましては、一つ単位共済組合の責任において過払いにならないようなことを注意していただけば、それに要する金につきましては御心配のないようにこちらからあつせんをするということを申し上げておきます。
  13. 足立篤郎

    足立委員 ただいま御説明の再保険概算払いにつきましては、今お話通り非常な制限がありますので、これはほとんど問題にならないと思うのであります。実際に今度の被害の実情を見ましても、収穫皆無というようなものは比較的少くて、むしろ五割とか七判というような中間的な被害が非常に多い。しかしこれが累積しまして、農家の経営を非常に脅かすというような事態が起つて来るのでありまして、農家が渇望しておりますのは、今お話のように、いわば運用でやります過払いというものが重点になると思うのでありますが、今まで私の承知しているところでは、これに対する処置が何らとられておらない。単位共済組合はもとより資金を持つておりません連合会もございません従つて現在制度上問題になりますのは農業共済基金でございますが、この基金たるや、すでに農林省は御承知通り金庫の中はからつぽであります。からつぽどころではなくて、十五億の政府出資に対しまして約一億の連合会出資自己資本は十六億しかない。それに加えて今回の凍霜害対策、あるいは今までの連合会の持ち越しております赤字等につきましても、実に農林中金から十八億前に借りておりまして、さらに三億四千万円借りて蚕繭の凍霜害対策に手を打つておる。現在基金金庫はからつぽでございます。農林中金からおまわしになると言つていらつしやいますが、農林中金は、現在営農資金として貸出す役割も果さなければなりませんし、こういつた面を総合的に考えますと、資金繰りがなかなかたいへんではないか。もう一つの問題は、今までの実績で見まして、共済基金農林中金から借りております金利は二銭四厘であります。しかも基金連合会に貸出しております特にこういつた災害に対する仮払い資金は一銭七厘で貸しておりますので、逆ざや七厘ということで、莫大な赤字を背負い込むというような結果になつております。せつかく政府がおつくりになつたこの共済基金の重大なる役割を考えますときに、かような資金手当ではとうていその役割を果すことはできないと私は確信いたしますので、この際政府関係機関御協議の上、思い切つた処置を講じていただきませんと、この概算払いというものは、うつかりしますと不渡手形になる危険がある。しかももはや一日もゆるがせにできない。大分遅れております緊急を要する事態なつておりますので、ぜひとも特別な御考慮をいただきたいと思いますが、これに対する具体的な御用意を伺いたいと思います。
  14. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいまの風水害対策といたしましての保険金の仮払いの問題でございますが、御説の通り基金金繰り状況は必ずしも十分ではございません。但し現在までの台風第二号までの対策に要するものといたしましては、基金が逆ざやになるというようなことはないのではないかというように考えております。それから基金の今後の融資の問題につきましては、このたびの二十五日以降の九州水害という事態水稲等にどういう影響を及ぼすか、これは判明をいたしませんけれども、おそらくこれに対処するものといたしましては、御説のような御心配が現実の問題となつて来ると思うのであります。従いましてそういう事態に対処いたしますために、基金に対する政府資金導入増加ということについて、ただいま具体的に検討中であります。  なおつけ加えて申し上げておきますが、台風第二号に至るまでの麦に対する保険金の仮払いということにつきましては、中金等資金基金を通して出しまして、仮払いがある程度円滑に行くように考えております。ある程度と申しますのは、先ほども官房長から申されましたように、損害額が必ずしもただちに明瞭というわけにも参りませんので、内輪に払う、かような考え方であります。そのための金繰りといたしましては、ただいまの状況でも切り抜け得られるのではないかと思つております。その後の問題としては、お説のような処置がとられる必要がある、かように存じております。
  15. 足立篤郎

    足立委員 ただいまの小倉局長お話は、私どうもはつきりわからないのです。仮払い内輪になるということは、もとよりそうであろうと思います。しかし今私の承知しておる範囲では、農業共済基金には資金は枯渇しておりまして、右から左に渡せる金はない。しかも今申し上げましたように、政府でこの要綱を発表されておりますので、農民はこの概算払いの厳格な内容につきましては知りませんから、大災害がありましたときには、今までたびたび各府県で繰返されておりましたような、仮払いがもらえるものと期待しておりましたにもかかわらず、基金資金がないためにこれが行えないという事態なつております。のみならず、今私が申し上げたように、農林中金基金との間の話合いで、基金が無理して農林中金自己資金を借りようとしますれば、二銭四厘という高い金利のものを借り、しかも農業共済基金の公法人的な色彩から申しまして、一銭七厘で貸し付けておるというような事態では、資金のないところへ持つて来て、ますます赤字を累積するという結果になります。これは重大な問題でございます。さりとて連合会の二十八億の赤字、あるいはその後累増して三十数億になつておると思いますが、こういうものを今一ぺんに解消してくれという無理は申し上げませんが、ここに政府要綱としていやしくも中外に発表しておるこの内容につきまして、実際は行えないのだという事態で、荏苒日を送ることは困るのであります。この点につきまして、でき得べくんば高い金利のものではなくて、政府の余裕金を貸し付けるとかいう特別な方法をこの際農業共済基金に講じていただいて、その金が低金利で各府県共済組合連合会に渡り、これが農家にただちに渡るような特別な措置を講じていただきませんと、先ほど申し上げている政府要綱に対する役割も果せない、かように考えますので、この点につきまして、もう一回はつきりした御答弁を願いたい。
  16. 渡部伍良

    渡部政府委員 第一点の資金繰りがどうかという問題でありますが、実は今のところ、先ほど経済局長が申しましたように、台風第二号までのところでは、営農資金とか保険払いを完了しましても、中金の手持金で足りるのであります。従いまして当面の問題としては、中金資金営農資金保険の仮払いを全部まかなつて行こう、こういう計画を立てております。しかし今度の風水害の幅と程度がわかりませんので、おそらくこの面については、相当政府資金中金の方に預託するなりなんなりする必要が出て来ると思います。従いまして、現実に町村から仮払いが遅れているという問題は、いろいろな原因があると思いますが、損害評価とか町村組合の事務の進捗程度相当関係があるのではないか。中金の方からは、いわゆる共済金の仮払いのつなぎ資金について制限を加えておるということは、私の方では承知いたしておりません。現にけさ中金理事九州に立ちましたが、そのときもはつきりそういうものには無制限に、と言つてはおかしいですが、迅速に貸し出すようにするということを繰返して言つておりますので、なお渡らないという事情については、よく下の方に徹底するように、さらに中金の方からも進めたいと思いますが、私の承知しておる事情はそういうことであります。
  17. 足立篤郎

    足立委員 くどいようですが、先ほど来申し上げたように、農林中金の金が二銭四厘です。これは自己資金であるという名目で高い金利をとつているらしいが、共済資金の貸出しているのは一銭七厘です。この一銭七厘というのはますます共済基金の運営を困難ならしめると思うが、これに対するお考えが何かありますか。
  18. 小倉武一

    小倉政府委員 お尋ねの点ごもつともでございます。ただ今川中金から資金を借ります場合にも、麦の例だけをとつてそれだけに限つてみますれば、比較的短期になるのであります。そのうちに政府の再保険金も出るということになりますから、そういたしますと、連合会から差額金の部分はただちに基金に返還になるというふうに期待ができまするので、比較的短期間で済むのではないかと思います。従つてこの一銭七厘と二銭四厘の逆ざやが、どういうふうに実質的に逆ざやになるかどうかという点につきましては、基金政府出資の十五億につきましては、政府は配当を予期いたしておりませんので、いわば無配当、無利子の金に相なりますけれども、その方のフアンドに有利子中金資金が導入されてプールされて一体何厘になるかということでございます。従いましてこの十五億に見合う金といたしましては、相当長期にしかも多額のものを借入れなければならぬということになりますと、同じように逆ざやになります。そこで先ほどちよつと申し上げましたように、現在府県の方から報告のございました麦の被害等を考慮いたしまして、仮払いにつきましての資金基金から融通するということを考えてみました場合には、現段階ではどうやら切り抜けられるのではないかということを、先ほど申し上げたのでありますが、なおこの仮払いの額、またさかのぼつて被害の額がどの程度かということが実は関連して参つて来ますので、必ずしも絶対安心というわけではございませんけれども、たとえ一時逆ざやのようなことが出ましても、次に増資その他の政府資金の供給、あるいはもつと安い利子の金の供給といつたようなことによりまして、回復するということもできると思いまするし、次の問題といたしまして、これはもちろん早急を要すると思いまするが、基金金繰り、また政府資金の供給、あるいは出資の増加ということについて、いずれの方策によつた方が最も適当であるかということを、具体的にただいま検討中であります。
  19. 足立篤郎

    足立委員 希望を申し上げておきます。いろいろ御尽力くださつていることはわかります。ただ私が心配しておりますのは、政府がこうした要綱を示されてからずいぶん日がたつております。全国の農民が期待しておるにかかわらず、いまだにはつきりした見通しがつかないという状態では、政府の信用にもかかわる問題でございます。この点はぜひとも大蔵当局あるいは関係方面と十分御折衝願つて、政治力ではつきりした御解決を至急お願いしたいと思います。本来大臣に伺うべき性質のものでございますが、この際官房長は責任を持たれて、ぜひとも大臣にお伝え願い、はつきりした対策を講じていただきたい。特に九州風水害等とからみ合せて考えますと、農業共済基金をこのままにしておいてはどうにもならないことは、官房長みずからおつしやつている通りです。この際抜本的な対策を講じていただかなければならないと考えますので、ぜひとも善処方をお願いいたします。
  20. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 足立同僚委員質疑に関連しまして伺いたい。ただいま官房長は、町村共済組合で立てかえできないときには県の連合会、それでもできないときには基金でと言いましたが、ただいま基金はどのくらいございますか。
  21. 渡部伍良

    渡部政府委員 基金の金は今全部使つております。従いまして、基金に下から上つて来れば、中金からすぐ入れて行く、こういう態勢にしております。
  22. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 私の承知しておりますところによると、なかなか上つて来ないので、基金制度を創設するときの趣旨がまつたく失われている。そのために基金の機能を十分どころではない、ほとんど発揮できない。基金の金は、すみやかにめんどうを見るためにこういう制度をつくつたのですが、それがほとんどその機能を発揮できないような状態にあると承知しておりますが、それではこの災害に全然役に立たないと思うのです。これに対してはあらためて私は小委員会において十分議を尽したいと思つておりますが、そうするとこの基金は、この災害には役に立たないと私は思うんだが、そう思つてさしつかえございませんかどうか、その辺を明らかにしていただきたい。
  23. 渡部伍良

    渡部政府委員 現在の基金の規模と災害の大きさのつり合いがとれていないということは、先ほど経済局長がお話いたしましたように、私どもも痛感しておるのです。これを拡張することは、今具体的に検討中なのであります。しかしこの基金制度を通じて今の中金の金を使うことによつて、当面の処置は切り抜けられる、こういうように考えております。
  24. 井出一太郎

  25. 金子與重郎

    ○金子委員 災害地のことで、主として今度の台風第二号の問題でありますが、今の説明によりますと、十九億九千万円ばかりの要求額が出ておるようであります。この中で正味の、いわゆる農林水産施設災害復旧費を除きますと六億ばかりになるわけですが、これはこの間五党の対策委員会決定いたしました要求額と比べますと非常に懸隔が多いのであります。私は前の凍霜害にも関係しておりした関係上、いろいろ五党の対策委員会の方から連絡等があるのでありまするが、五党の方のお話を聞きますと、施設問題を除いても概略二十八億ばかりになつておるようですが、一体どこからこんな開きが出るのか、これではこれから対策をとるのに非常に困るのですが、その内容説明願いたいと思います。
  26. 渡部伍良

    渡部政府委員 昨日でしたか、五党の案を見せていただきまして、その違いの点を私もびつくりしちやつたのですが、結局簡単に申し上げますが、補助率を、たとえば種子については全額とか、あるものについてはこちらで三分の一と見ておるのを三分の二にするとか、補助率が違う。それから補助の単価が相当つておる。そういう関係でぶうつとふくれております。それからもう一点は、融資補助率とお考え願つてよいのですが、利子補給額が違います。たとえば麦の種子代をこちらで二億と組んでおるのですが、約八億近くになつております。菜種の約四千万円がやはり七、八千万円、そういうところで……。
  27. 金子與重郎

    ○金子委員 こういう違いがありますと、今後の大蔵省その他との折衡に非常に支障があると思うのでありますが、今局長が御説明になりました十九億の作業をした数字というものは、大蔵関係とどの程度の折衡に入つておるのですか。
  28. 渡部伍良

    渡部政府委員 大蔵省へは先週の終りから説明を続けております。まだ結論は出ておりません
  29. 金子與重郎

    ○金子委員 これは実際にこの問題を解決するために重要な問題でありますが、国会が見た数字とあなた方事務当局の考えた数字に、若干の開きのあるのは当然でありますが、あまり開き過ぎますと、この問題を最後に実現する上に非常に支障があると思いますので、この問題は、なお国会の五党の対策委員会の方とより以上緊密な連絡をとつていただきたい、こういうことを希望するものであります。  それから西日本の今度のと二回にわたります台風との兼ね合いであります。この問題につきまして一番心配なのは、水稲種子の手配がつくかどうかということでありますが、これにつきましてどの程度まで政府は施策をとつておりますか、具体的にひとつ説明を願いたいと思います。
  30. 渡部伍良

    渡部政府委員 お話通りでありまして、今打つ手としては、施設の復旧のほかは、いかにしてできるだけ稲をよけい植えつけるかということであります。まず第一は苗の確保であります。これは土曜日からラジオで呼びけまして、苗の節約運動と苗の災害地に対する輸送方をやはり、県、出先機関にも通知をいたしております。ところがだんだんその後状況を見ますと、苗は、あまりにその災害地が広範囲にわたつてとても及びそうもない。そこで日曜日以来稲の品種についていつまで植えればどの程度収穫があるかということをずつと研究をしまして、ものによりますけれども、大体七月の二十日ごろまでにまきつければ、試験場の成積によると八割程度の収量がある。それはたとえば陸羽一三二号とかあるいは中生銀坊主であるとか、二、三種の種類があります。それをできるだけ集めようということで、今の計画ではそういう種子を約三万石、陸羽一三二号の方は青森、秋田、岩手、福島、中生銀坊主の方は北陸が主でありますが、そこへ電信を送ると同時に、昨夜係官を派しまして、できるだけ集めよう、これは集まり過ぎてもあとで食べられるのですから、とにかく玄米との交換とかあるいは超過供出の価格でできるだけ集める、こういう手配をしております。苗の集まりぐあいというものは、ちよつと今予側がつきません。しかし今のもみが三万石集まりますれば、大体九万町歩くらいの再まきができるという計画が立つております。大体府県知事、食糧事務所に頼んで、十日までに現地向けの発送ができるように指令を出しております。
  31. 井出一太郎

    井出委員長 芳賀貢君。
  32. 芳賀貢

    ○芳賀委員 二、三点お伺いいたしたいのであります。第一点は今度の西日本の風水害損害は、大体今官房長の御報告によつて、二百十億というように聞いたわけですが、これを前回の凍霜害被害に比べると、凍霜害被害の場合においては、政府の発表が大体九十一億であります。今度の対策費の内容を瞥見する場合において、そのほとんどが農林、水産施設災害復旧費に当つておるわけであります。先ほど金子委員も論及されましたけれども、農産の減収に対する対策経費というものは、大体五億五千万程度であります。凍霜害の場合の被害の九十一億に対して五億九千万円、それから今度の場合の二百十億の被害に対して五億五千万円程度ということになりますと、数字の上においても、何か非常に妥当性を欠いたような点があるというふうに考えられるわけでありますけれども、これらの点については、当然西日本の災害に対しては、桑であるとか、茶であるとか、そういうものがあまり含まされておらないのでそういう数字が出て来るのかもしれませんけれども、そういう点の食い違い、それに対して御所見をお伺いしたいと思います。
  33. 渡部伍良

    渡部政府委員 ごもつともな御質問でありますが、被害の額の比較は、最初にお断り申し上げておきましたように、凍霜害の場合も、府県数字農林省調査よりはずつと多く出ております。従いまして今度の被害三百億余りと申し上げましたのも、ただ府県数字でありまして、これがどういうふうになるかということは、もうしばらくお待ちを願いたい。従いまして対策費も、最初に申し上げましたように一応の試案でありまして、場合によると、こんな数字が出ないかもしれないし、あるいはもつとふえるのじやないか、こういうので、この数字もあまりにシリアスにお取り願いたくないのであります。ただ質的に違いますのは、この前のときにはちようど春先でありまして、桑であるとか、果樹であるとか、あるいは蔬菜等につきまして、今度よりも損害の額は少いけれども、いわゆる樹勢回復的な応急措置が講ぜられたのであります。今度はそれが少いのであります。もうすでに収穫が済んでしまつて、たとえば菜種のごときは、もう実になつて、相当部分は刈り取られているというので、質的に相当つておるのであります。それからまた被害額の内容を申し上げますと、今度のものは三分の二が麦でありまして、麦につきましては、先ほど来問題になつております農業災害補償法で保険金相当額行くのであります。これは損害額の見積りによつていろいろ違いますが、かりに今までの支払いの実績から行きますと、損害額の約三分の一が共済金で行つております。しかしこの二百十億の麦の被害の三分の一の共済金が行くということは、麦の二百十億の損害額がまだ確定しませんから、申し上げることができませんが、しかしこれがかりに二百億ならば七十億程度、百五十億なら五十億程度、百億なら三十億程度共済金が行くわけであります。その中には再保険金とか、あるいは掛金の国庫負担分等によつて、国の支出による金が相当含まれているわけです。そうしますと、今の計算でいつても、共済金の三十億ないし、最大に見ても七十億という数字が出るのですが、それらを合せますと、ある程度バランスがとれて来るのではないか、私の方ではこういう考えを持つております。
  34. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に融資の面でありますが、大体農林関係に三十九億と、水産関係に二億見込んであるようですが、凍霜害と違つて風水害の場合においては、個人的な営農の施設に対する被害相当あると思う。そういう個人的な施設の復旧というものは、おそらく災害復旧費の中においては、それほど見られておらぬと考えるわけです。そういう場合において農林関係施設水産関係施設の問題、それから融資の場合において、どういうわけで農業関係融資だけは二箇年という非常に短期間の償還年限をとつて、さらにまた損失補償の場合においても、利子補給の場合においても、水産関係融資と差をつけておるか。こういう点は何か論理的な根拠があると思うのでありますが、凍霜害の特別融資の場合においてもこれが問題点になつているわけでありますが、この基本的な考え方をこの際御説明願いたいと思うわけです。
  35. 渡部伍良

    渡部政府委員 農業関係施設災害につきましては、数字がほとんど出て来ていないのであります。これは農地関係は別として、納屋とか、堆肥舎等の問題とか、あるいは農機具、そういう問題、そこで一応私の方では農林漁業金融公庫に主務大臣指定の災害用という項目が三億ばかりリザーヴしているのです。まずそれを充当いたしまして、その後どの程度災害があるかということを見きわめて対策を立てて行きたいと考えております。
  36. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の聞いているのは、農業と水産関係に対して基本的に差をつける理由がどこにあるか。たとえば償還年限の問題は別として、損失補償とか利子補給の問題についての差です。
  37. 渡部伍良

    渡部政府委員 お答えが少し的はずれになつておりましたが、水産関係のものは、大体施設関係が主でありまして、やなとか、養殖施設とか、漁具、それから漁船の修理というようなものであります。固定設備的な金、こういう考え方であります。農業関係のものは、いわゆる肥料代とか、飼料代その他の営農資金、流動資金的なもの、こういうので差をつけたのであります。利子につきましては、水産関係のものは、先ほど申し上げましたように、十勝の例によつてやつたのでございますが、凍霜害関係では地方公共団体も負担相当持つたがよい、こういう意見が地方団体側からも相当ありましたので、国と県で半々に持つ、こういうやり方にしたのであります。水産関係についてもあるいはそちらの方がいいのではないかという気もしますけれども、水産については例がありますので、従来通り考え方によつておるのであります。
  38. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この二箇年の償還の可能性の問題ですが、現在の農家は、ほとんど順調にとれてそれでその年の経済がどうやら持続できるというような状態に置かれておるわけでありますが、それに対して三割とか七割というような減収が生じた場合において、借入れをするという場合に、二箇年の範囲内で償還するというようなことは至難であると思うのであります。そういう可能性のないような立場に立つて貸付を行うという方針をとられることは、こういうようなきびしいわくをきめて、なるたけ借りられないようにするというような、一つの意図的なものがあるのではないかというふうにもうかがわれるわけであります。これらの点については、やはり償還し得る限界を、できるだけ引延ばして立案されることが妥当でないかというふうに考えるわけでありますが、その点に対するお考えを聞かしてもらいたいと思います。
  39. 渡部伍良

    渡部政府委員 償還期間は長ければ長いほどいいのでありますが、ただ流動資金の性質上、一応の標準というものを二年に置いたのであります。普通の作ならは二回作で——これは二毛作の地帯ならばもつと早く返せるのですが、一毛作でも二回の作で取返しのできるような、大体その辺で標準的なものはいいのではないか、こういう考えであります。地方によつてはこれでは非常に苦しいところもあるかもしれませんが、府県等の事情を伺つて二年というふうにきめたのであります。
  40. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後に一点お伺いしますが、それは台風第二号のあとに、北九州においてはあのような甚大な被害に見舞われたわけでありますが、これらの地帯は、風水害被害地がまた災害に見舞われたという地域が相当あると思うのです。ところが昨日衆議院において、院議をもつてこれに対する特別委員会を設置するということになつたわけでありますが、そういうことになると、台風第二号の場合においてはこの対策によつてつておる。同一地域にできた災害に対して別途に取扱うということになると、この被害の判別というものはなかなかつかないようなことになるわけですが、そういう関連性の上に立つて、どういう処置をなさるか、伺いたいと思います。
  41. 渡部伍良

    渡部政府委員 第二台風被害地域と今度の被害の地域がダブる部分が相当あります。従いまして、そのダブる部分については、この計画はすつかり御破算でないか、こういう意見も出ておるのであります。また実際そういうことになるのだろうと思います。ただ、今の事務の進行状態としましては、西の方の被害の状態が、まだ全然といつてもいいほどつかめないのでありまして、従いまして本日から大野国務相以下、私どもの方からも経済局長を初めとして各局の係官を出しております。先ほどの苗とか極の問題、あるいは飯米の問題等、現地で処理できるものは処理する。同時に被害状況によつて、今までの対策にどういうふうな変更を加えるかということを、現地でさらによく調査してもらうようにしておりますので、おそらくこの六月の初めの風水害対策としてこれを進行する途中で、今の再度災害をこうむつた地帯の対策は、変更を加えなければどうしてもぐあいが悪い、こういうことになると思います。
  42. 日野吉夫

    ○日野委員 ただいまの説明水産関係融資ですが、水産関係には融資法として出ておりますのは、今ここにとられております十勝沖の津波の融資と、もう一つは、問題になつておりますオホーツク海の融資と、この二本あるのですが、常識から考えますと、いい例をとることがいいのではないか。もう一つは、近い例をとるのがほんとうではないか。こう考えられるのでありますが、昨年の十二月に出たオホーツク海のいい例を避けて、そして一昨年融資法をつくつた十勝沖の例をとつてここに融資対策を立てられたのは、何かそこに意図なり根拠があるのか。あるならば御説明願いたいと思います。
  43. 渡部伍良

    渡部政府委員 十勝沖とオホーツク海の例でありますが、十勝沖に比べてオホーツク海の方が被害程度がひどかつたのではないかと考えるのであります。従いましてその程度の認定の差で、私どもの方の認定が間違つておるという御非難もあると思いますが、私の方としましては十勝の方でいいじやないか、但し今度の水害の場合は、全然わかりませんが、たとえば有明海の養殖施設等は相当いかれておるのではないかと思いますので、またあらためて問題が出て来るのではないかと思います。
  44. 日野吉夫

    ○日野委員 大体こういう災害の問題等は、これは無過失損失の補償でありますから、できるなら予算の許す範囲で、われわれは全額国が負担するというふうな建前で、逐次社会情勢によつてよき例をつくつて行くのがわれわれの任務じやないかと思うのでありまして、特にいい例が近くあつたのを避けて、それ以前の古い悪い例によるというような方針は、対策の根本趣旨にもとるのであります。今後こういう対策を立てる場合におきましては、そういう態度で、罹災民からいかにも不親切であるかのごとき印象を受けないように、最もよき例を採用して、逐次いい条件をつくり上げて、完全な、一貫した災害対策を打立てる方向に、農林省あたりは方針をきめて行かなければならぬと思います。今後かかることのないように、そういう努力を払われるよう希望申し上げます。
  45. 川俣清音

    ○川俣委員 同僚足立委員と芳賀委員からの質問に対する答弁で、ちよつと十分でないので、補足的に御質問申したいと思います。五月、六月における風水害被害に対する農林省所要経費ですが、これが今度の水害と競合したり、あるいは加重されたりする結果、現在の水害状況がわかつていない際に、これは机上的なプランになつてしまうのではないか、もちろんこれを応急対策として臨時措置として出されるならば別でありますが、この註にありますように、統計調査部の調査の確定をまつて、さらに調整するというような考え方対策を練つておられるといたしますならば、それはほとんど机上の計画だと思うのであります。従いまして、加重されたり、あるいは競合されたりする分については、これを実施されない予定でありますか。それとも応急措置として何らかの処置をとられるつもりでありますか。この点を伺います。
  46. 渡部伍良

    渡部政府委員 端的に申しまして、たとえば福岡等の非常な程度のところは、この対策でなしに、別の対策になるのじやないかと私個人は考えております。これはなお研究しなければいかぬと思います。ただそのほかの水害を受けたところが二十数県あります。たとえば中国、四国の方ではこの対策で行こう、こういうわけであります。
  47. 川俣清音

    ○川俣委員 次に小さい問題ですけれどもお尋ねしておきたいのですが、風水害対策要綱の中に、被害農家に対して政府の保有麦の貸付を行うというのでありますが、これは売却貸付でありますか、それとも現物貸付でありますか。売却貸付になりますと、金利の問題が生じて参りましようし、あるいは現物貸付でありますと、その現物をどういうふうに回収するかという問題が起ると思いますが、この点について……。
  48. 渡部伍良

    渡部政府委員 これは府県に対しまして現物貸付、こういうふうなことを考えております。この返還は貸し付けた当時の価格相当する現物なり現金で償還していただく、こういうふうに考えております。つまり無利子融資というかつこうにもなりますし、現物の貸付というかつこうにもなるということです。但しその後府県等とも打合せて、結局一ぺん買つて、そして代金の延納という特殊の法律がありますから、それでやつたらいいのじやないか。全部県で一応買つて、そして支払いは一年後ということがいいのじやないか、こういう説も出ておりますが、私どもも先ほど申しました趣旨と合致しますから、それでもいい、こういうことであります。
  49. 川俣清音

    ○川俣委員 そうしますと、これは大体売却貸付ということになるわけですね。売却貸付になつて、利子を補給するとかあるいは無利子にするとかということになるのですか。
  50. 渡部伍良

    渡部政府委員 これは実際の形は売却貸付というか、あとの証文は現物借入れになるかもしれないし、あるいは購入で代金延納という形になりますか、その証文の書き方は、きのう実は出て来た説なんですが、それは延納の方がいいじやないかという説も出て来ております。どちらにしましても実態は現物を先に貸して一年後に返す。それには利子は全然かけない、こういうかつこうになつております。
  51. 川俣清音

    ○川俣委員 私の聞いているのはその点じやないのです。問題は今まで現物貸付というのはなかつたと思うのです。新しくその例を開かれる意味かということで、それを聞きただしているのですが、今までは大体売却貸付であるわけです。一応売り渡してその資金を延納するとか、あるいは無利子というのが今までのやり方であつた。ところが現物貸付ということになりますと、初めて例を開かれるわけですけれども、これは麦でありますから問題ありませんが、将来供米を当てにしました米等になりますと、また問題があらためて出て参りますので、その点をあらためてお尋ねします。
  52. 渡部伍良

    渡部政府委員 現物貸付をやれば新例を開くということであつたのであります。
  53. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますとこの貸付の金額政府の売却値段で貸し付けられるわけですか。現物貸付になると金額は出て参りませんけれども、もしも売却貸付だとすると、価格は今の売渡し価格ですか。いつの売渡し価格ですか。
  54. 渡部伍良

    渡部政府委員 政府売渡し価格であります。
  55. 川俣清音

    ○川俣委員 次にお尋ねしたいことは、共済の再保険による概算払いの総額と、いつごろ一体概算払いをなさる予定でありますか。また単位共済の全国の仮払いが大体どのくらいの予定でおられますか。さらに現在の共済基金政府から十五億出ているのですが、この運用が悪いために行き詰まつているのか、あるいは災害と見合わない基金を出しておつてまかなわせようとするために運営が悪いのか。この点をお伺いしたい。
  56. 小倉武一

    小倉政府委員 政府概算払いの時期が第一問でありますが、概算払いをいたすために該当する府県は、先ほどもお話が出ましたように九割以上の、ほとんど収穫皆無といつたようなものが第一の要件になつております。そういう事態は今回もあろうかと思いますけれども、むしろ比較的それは少いのではないか。従いまして概算払いの時期を早めたところで、大した救済にはならぬのじやないかというふうに私は思つておるわけです。従つて重要な点は、連合会保険金の仮払いを早くやるということにあるのではないかと思つております。そういう方向でもつて基金金繰り問題、それから連合会からの申請を待つているわけであります。時期につきましては、これはできるだけ早く私どもいたしたいと思つておりますが、末端の町村、それから連合会というように書類がだんだん上つて参るものでありますから、やはり相当の日数を要するのではないかと思います。ただいまその時期がいつごろになるかという予定は、実はつきかねておるのであります。  それから基金がこの問題に対処し得るかどうかという問題でありますが、ただいまお話通り政府が十五億、連合会側が十五億出資するということになつておりまして、三十億の資本金でございますが、連合会からの出資につきましては、まだ一億足らずかそこらでありますので、相当部分は他から借り入れて措置をするということに実はなるわけであります。現在のところ今度の風水害における麦の被害に対しましては、中金から融資をいたしまして概算仮払いができるようにする。そのうち被害が確定いたしますれば再保険金そのものを払い連合会保険金が払えるということになりますので、その融資の期間も二月から三月で進もうじやないかと思つておりますので、この風水害によります基金連合会からの融資ということについては、遺憾なき措置ができやしないかというふうに考えております。金額の点もございますが、これは先ほど官房長からお話がありましたように、今度の被害をどの程度に見るかということが第一、はつきりいたしておりませんので、またそれがはつきりいたしておりましても、保険の対象として保険金がすぐそこからでは、実は出て参らないという実情でございまして、先ほど推定がございましたように、大体三割、さようなものと見てどのくらいになるかという見当もおのずからつくかと思いますけれども、今のところごく大まかなところを無理に推定をすれば五、六十億程度保険金の額になるのじやないかと思つております。
  57. 井出一太郎

    井出委員長 本日の質疑はこの程度をもつて打切り、次会にこれを行うことにいたします。     —————————————
  58. 井出一太郎

    井出委員長 この際小委員会の設置につきましてお諮りいたします。先ほどの理事会において御了承を得たところでありますが、本委員会に林業に関する小委員会を設置し、林業に関する諸般の事項を調査することにいたしたいとのことでありました。つきましては、この小委員会を設置するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。  なお小委員の員数、小委員及び小委員長の選任に関しましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日は午後二時より理事会を開くことにいたします。  これをもつて散会いたします。     午後一時十一分散会