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1953-06-25 第16回国会 衆議院 農林委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十五日(木曜日)     午後二時十八分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 綱島 正興君 理事 平野 三郎君    理事 金子與重郎君 理事 足鹿  覺君    理事 佐竹 新市君 理事 安藤  覺吉       佐々木盛雄君    佐藤善一郎君       佐藤洋之助君    松岡 俊三君       松山 義雄君    加藤 高藏君       吉川 久衛君    芳賀  貢君       山本 幸一君    稲富 稜人君       川俣 清音君    久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         食糧庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 六月二十四日  農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関  する法律案内閣提出第一〇〇号) 同日  凍霜害対策費増額等の請願(増田甲子七君外一  名紹介)(第一四九七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  麦価に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより会議を開きます。  本年産麦価の問題に関連いたしまして、昨日に引続き質疑を行います。吉川久衛君。
  3. 吉川久衛

    吉川(久)委員 保利農林大臣麦価の問題についてお伺いをいたします。昨日の本委員会における質疑の状況によつて大臣十分事情を御賢察になつたことと思います。従いまして、麦価問題の解決は緊急を要しますので、本日は十分御検討の上、最後の御意思決定になつていることと思います。七の後検討なさいました結果の御報告をいただきたいと思います。     〔委員長退席佐竹委員長代理着席
  4. 保利茂

    保利国務大臣 昨日申し上げました通り、できるだけすみやかに決定をしなければならぬ事情に差迫つておることは仰せ通りでございます。しかし率直に申しまして、ただいまの段階で、こういうふうにきめようと思いますというところに至つておりません。しかし荏苒許しませんから、一両日中にはきめたい、こういうことでいたしております。
  5. 吉川久衛

    吉川(久)委員 今朝の新聞には、明日発表されるということでございます。新聞の方がいつも先に発表されて、権威ある政府の筋から、大臣から伺うことのできないのははなはだどうかと思いますので、この際今までにおきまりになつお腹組みだけでも、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  6. 保利茂

    保利国務大臣 十六日の米価審議会答申を尊重して参らなければならぬことも深く考慮いたしております。同時にまた本年度の収穫時における異常災害等特殊な事情考慮しなければならない、そういう点を考慮して決定をいたしたいということで、その線で検討を加えておるわけでございます。新聞にどういうふうに出ておりましたか存じませんけれども、正直に申しましてただいまそれ以上に進んでいないのであります。しかし進み得る最後段階までは腹を持つて来ているつもりでございますから、できるだけ早くとりきめたい。そしてあしたの閣議云々ということは、これは私は目標としましてあしたの閣議までにはきめたい、閣議ではきめていただきたい、こういうふうに考えておりますから、おそらくそういうことが新聞に出たのではないかと思います。
  7. 吉川久衛

    吉川(久)委員 新聞に出ておりますあす決定をするということと、大臣の今おつしやつた一両日ということとは——一両目ということはきようかあすに決定するということなんです。両三日というとあさつてまでかかるわけです。そこで明日に迫つていることを、今この委員会に発表できないということはないと思うのです。もう相当おなかの中でコンクリートされていると思うのでございますが、それがこの席で言えないとすれば、どういうような内容を持つたもので行こうというのか、その御方針を聞かしていただきたい。
  8. 保利茂

    保利国務大臣 数字的にはちよつと申し上げ得ない段階にございます。ただ米価決定をいたす点において、特に考慮をしなければならない点は、それは先ほど申しました通りでございます。それで検討をいたしておるわけでございます。両三日ということは常識的にはそれはもうあさつてまで含むであろうと思いますけれでも、私の希望としましては、明日中にはぜひきめていただきたい、こういうふうに考えております。
  9. 吉川久衛

    吉川(久)委員 一つつておきたいのですが、大臣米価審議会答申を尊重してきめたいとおつしやいまして。内田大臣米価審議会答申を尊重すると言われました。そして内田大臣の腹案なるものをもつて努力をされたのですが、それがたまたま自由党池田政調会長案と合わないものがありまして、遂に前農林大臣は御退陣になつた。そこで前の大臣米価審議会答申案を尊重すると言つて考えになつていられた線は、新聞ですでに発駅になつている。大臣もさきに引継ぎのときにお聞きになつた通りであります。その線をお守りになるのか、それとも大臣が御就任になるときに、私は自由党政調会長案を尊重したいとおつしやつたことと、ただいままでのお言葉との間に多少矛盾があるやに思いますので、政調会の方に重きを置かれるのか、前大臣のお考え方を踏襲なさいますのか、あるいは前大臣米価審議会答申を尊重するということよりはもつ前進をいたしまして——私の前進と申しますのは米価審議会答申そのままが、少くともそれに近い線を実現されようとなさいますのか、その辺のところをお聞かせを願いたい。
  10. 保利茂

    保利国務大臣 私の伺つておりますところでは、当初米価審議会に諮問せられました政府原案答申案考え方とは大分違つている。従つてどもとしましては、政府諮問原案考え方というものは、実際の事情から言いまして相当肯繁に当るものがあるじやないかと存じますけれども、しかし米価審議会答申もあることでございますから、その趣意はどこまで尊重しなければならない。それをどのような度合いに実際に考慮をして決定をいたすかというところでございますが、昨日も申し上げましたように、内田大臣のやめられる直前にそれじやどういう状態であつたか、内田大臣が最終的に——こういろいろ伝わつてはおりましようが、最終的にこれできめるという御意思に到達せられなかつたように私は承知をいたしております。従いまして内田大臣考えがコンクリートされておれば、それはそれで一つ議論になるかと思います。これはどこまでも私の責任において考慮決定をしなければならないようになつておりますから、そういう考え方で扱わしていただきたいと思います。
  11. 吉川久衛

    吉川(久)委員 なかなかどう大臣は慎重で、われわれにはどうもわからないのでありますが、そういうまわりくどいお話でなく、もう一両日のうちにはつきりすることなのでございますから、今あなたの腹の中には、大体こういう線で行くのだ、内田大臣の、池田政調会長が逃げまわつたあの案、それを踏襲なさいますのか、それともあくまでも政調会長案を御支持なさるのか、あるいはその間をとられるのか、そこらあたりのことは言えないことはないと思うのですが、どうぞ勇気を出してお答え願いたい。
  12. 保利茂

    保利国務大臣 重ねて申し上げますけれども、これはむろん私が主管の責任でございますから、私の責任においてと申し上げるわけでございますけれども、及ぶところはもとより政府全体でありますから、政府全体の意思決定せられなければ、私がこういたしたいということを申し上げてみましても、これは権威のあることではございません。ただ要しまするに、あしたの閣議では政府最終意思決定したい、それの準備を私は今夜中にはぜひ整えたい、こういう希望を率直に申し上げておるわけであります。そこで、それではどういうところでという点だろうと思いますけれども、その数は、先ほどの考慮いたしておりますという点をもつてとつ御了承をいただいて、この段階ではこれ以上は私は申し上げ得ないことを御了承いただきたいと思います。
  13. 吉川久衛

    吉川(久)委員 これ以上お尋ねしてもむだだろうと思うので、はなはだ残念でございますけれども、私は麦価についての私の質問はこれで打切つておきます。なお大臣に対する私の基本施策に対する質疑はあとに譲りまして、ほかに質問者があるようでございますからこれで終ります。
  14. 佐竹新市

  15. 山本幸一

    山本(幸)委員 大臣はあまり時間がなさそうですから、ちよつと大臣の行かれる前に先に一言お尋ねしたいと思います。同僚からいろいろ麦価問題について御質疑があつたのですが、あなたの答弁では、うなぎ、なまずでつかまえどころがないわけなんです。しかしいずれこれは一両日中に明らかになろうと思うのですけれども、私がこの際一つだけ伺いたいのは、米価審議会答申案なるものは、麦類統制撤廃行つた当時の政府考え方と大体一致しておると思うのです、ということは、私が言うまでもなく、完全ではございませんが、なるべく農民から引合う麦価でこれを買い上げてやりたい、さらにまた消費者面については、消費者家計を脅かさないということを原則にしてああいう措置をとられたのじやないかと、私ども承知しておるわけです。そこで、今度米価審議会が出しました答申案というものは、大体そういう線に沿うて出しておると私どもは認識しておるのです。そうだとするならば、その答申案が一応農林大臣あたり考え方一つの線にならなければならないと私は思うのですが、その点について承りたいと思うのです。
  16. 保利茂

    保利国務大臣 とにかく生産者からはなるべくできるだけ高く買い上げたい、消費者にはなるべく家計負担の及ばないようにしたい、そういう趣意はこの麦価決定にあたつて考慮して行かなければならぬということは、これはもうあたりまえでございます。
  17. 山本幸一

    山本(幸)委員 詳しいことはいずれお尋ねすることにいたしまして、私は実はこの機会に緊要な問題についてひとつお尋ねしたいのですが、今度の麦価決定のいかんによつては、非常に消費者家計に及ぼす影響が大きいと思うのです。そこで私はそれに関連して、最近のやみ米値上りについて、農林大臣がもしもおひまがなければ長官でもけつこうですが、できるなら農林大臣に御答弁を願いたいと思うのですが、この点で少し伺いたいと思うのです。  まず最初に、ここ十日か十二、三日のうちに急激にやみ米上つて来ておるということは新聞の報じておる通りです。そうして、消費者団体並びに知人団体相当悲痛な訴えを国会に対しても起しておるわけです。これは私は非常に重大な問題だと思うのです。特に食糧行政は、私が言うまでもなく、これは貧富の差をつけるべきではないと思いますが、やはり何といつても大多数を占める働く階級の食生活というものを中心に行うべきじやないかと考えておるわけです。こういうときにやみ米が非常に値上りを示して、昨日私ども調査によりますと、月島方面では一升二百五十円を突破しておるのです。渋谷方面でもすでに一升二百三十円を優に上まわつておるのです。この状態で参りますと、私は、もつと日のたつに従つてさらに騰貴して行くという現状だろうと思うのです。従つて家庭の主婦、消費者全体としては、その生活の面に及ぼす影響が非常に大きいのでありますから、今相当大きな世論が巻き起つておることは私が言うまでもないわけです。そこで、このやみ米が急激に、しかも短時日に極端な値上りを示したというその原因は、すでに農林省ではお調べだと思うのであります。昨日か一昨日かの予算委員会の結果を見てみますと、今調べ中でありますのでいずれ御報告をなさるという御答弁をなさつているようでありますが、すでにやみ米上つてから相当日にちがたつておりますから、具体的な原因は御調査なつたものと思つておるのでありますが、その原因をまず最初に伺いたいと思うのであります。
  18. 前谷重夫

    前谷政府委員 ただいまの御質問についてでありますが、お話のように六月上旬からやみ米上つておりますので、早われわれいろいろ調査をいたしておりまするが、これが主要な原因であるということをまだ具体的につかむまでに参つておらないのであります。いろいろの想像といたしましては、昨年の十月以来、一般消費者におきましても、家計の上昇につれまして相当米消費がふえているという事実もございまするし、また、御承知のように現在農繁期であるというようなこと、あるいはかつぎ屋のやみ米ルートがだんだん遠くへ行くというような事情もあるのではないかというふうには考えられますけれども、的確な調査に基いての、こういうことが原因であるということまでは、まだつかんでいないので、早いろいろ調査をいたしておる次第でございます。
  19. 山本幸一

    山本(幸)委員 今長官の御説明を承りますと、原因について調査がまだ的確でないという仰せでありますが、私はどうもそれは了解できないのです。もう十四、五日たつのです。十四、五日もたつて、これだけの厖大な政府機関を持つてつて、そうして各地食糧事務所をお持ちであつて、あるいは統計事務所をお持ちであつて、そういう大きな陣営を張つておられるのに、半月にもなんなんとする今日、いまだにその原因がわからないということは非常に不熱心ではないかと思うのです。だから私は、この際やはりわかる範囲だけは率直にここでお答えを願いたいと思うのであります。
  20. 前谷重夫

    前谷政府委員 やみ米騰貴原因につきましてはいろいろな事情がありまして、これが決定的な原因であるということはなかなかつかみにくいわけでございますが、もちろんわれわれはそのために各地食糧事務所に命じまして、いろいろ原因調査いたしております。しかし各県々々によつてそれぞれの事情が違いますし、また東京におきまする事情大阪におきまする事情もそれぞれ異なつておるのでありまするから、これが絶対的確な原因であるということを申し上げるまでには至つていないのであります。
  21. 山本幸一

    山本(幸)委員 それではひとつ農林大臣に伺いますが、今の長官の御答弁のようでありますので、農林大臣もよく御承知だと思うのでありますが、この原因について、今長官が一口言われたような消費増とか、農繁期事情とか、あるいはかつぎ屋の米のルートが遠くへ行つたというような、いろいろのことが想定される場合がかりあるとするならば、またあるでしようが、それは一つのきわめて現象的な問題だと思うのです。実は私ども大臣ほんとうに伺いたい点は、そういう現象を起した根本的な要素なんです。もつと具体的に言うと、今まで政府のとつて来られた行政措置なり、あるいは自由党政府にこれを要求してとつて参りました政策なり、こういう点が今日やみ米が非常に騰貴している原因になつておるかどうかという点につきまして、農林大臣検討されなかつたかどうかということを伺いたいと思うのです。
  22. 保利茂

    保利国務大臣 要しますのに、この最近のやみ価格騰貴は、全国的に見ますと、東京中心とする特殊な現象になつております。消費の増というようなこともございましようし、あるいは供給の減退もございましようが、それにしては少しふに落ちないということで、原因を取調べておるのです。私は、特殊地域現象をもつて、全般の議論に持つて行かれることは、必ずしも妥当ではないのじやないかと考えております。
  23. 山本幸一

    山本(幸)委員 今の答弁ちよつとおかしいですね。先ほどの長官の御答弁によると、東京はどう、大阪はどう、どこはどうという具体的な調べは至つておらない。それぞれところによつて現象も違おうし、あるいは原因も違おうから、まだ完全な的確な原因がつかめておらぬというような答弁であつたのが、大臣は、主として東京であつて特殊な関係であるから、といつて、早くいえば私の質問である政策上の点に大きな影響がありはせぬかという点をそらされたわけですが、私は、もし大臣がそういうふうに信じておられるのなら、大臣考え方は非常に不熱心な考え方だと思うのです。単に東京だけじやありません。現に、私どもの昨日の大阪方面調査によりますと百九十円、あるいは百九十五円、それから名古屋あたりに参りましても、百七十円、百八十円というところに来ておるのです。これは程度の差はございましようけれども東京だけの現象ではなくして、全国至るところの現象であることは明らかだと思うのです。そういうふうな調査すらもなさつていないとなると、これは非常に怠慢だと思うのです。その点大臣にもう一度見解を承りたいと思います。
  24. 保利茂

    保利国務大臣 それはそういう意味ではないのです。価格上り方東京の方が著しい、本来言えば、従来の例からいいますと、むしろ大阪方面が今ごろは東京よりも高い。それが逆になつて来ているから、ここに東京中心としての特殊な事情でもありはしないかということを、極力原因調査をしているところであります。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 この機会に、関連して大臣に御質問いたしますが、やみ価格が上るということは、やはりこれは社会不安の現われの一つだと思う。そのことは結局国の政治に対する不信、不安というものがその中に包蔵されているということは否定できないわけであります。その要因がどこにあるかということを、同僚議員山本君が追究されたのでありますが、これを一つの問題として取上げた場合、たとえば昨年からの麦の半統制の問題、あるいは米の供出終了後の特別集荷制度の問題、これらのものは、これを前提として、次には統制を撤廃するんだという一つの一貫した自由党政府の持つている考え方、それがどういうふうに国民大衆消費大衆に響いているかという関連性の上に立つて大臣はどういうふうな考えを持つているかということを聞きたいのであります。昨年の解散前の十五特別国会においても、半年足らずで農林大臣が三人かわつている。今度の場合も、すでにあなたで二人目ですから、五人ということになりますが、これはどういうところに原因があるかということも1大臣が最近非常に慎重に構えているという点から見ても、何かの要因があると思いますが、これは推察するのに、自由党の持つているところの一つ農業政策、それから農林省あるいは農林大臣というそれを所管した場合の責任の上に立つてほんとう日本農業政策を実施に移す場合において、何かそれに大きなギヤツプがあるというようなことも、一つの理由になるのではないかというふうに考えるわけであります。現実の日本農政の中の諸要素の上に立つて農政を行おうとする場合においての、自由党の持つている農業政策との食い違い、こういうような板ばさみにおいて、次々に農林大臣が短命でかわるというようなことも、一応うかがわれるわけでありますが、非常にこれは抽象的な質問になるかもしれませんけれども、この二つの関連の上に立つて考えがあれば聞かしていただきたい。
  26. 保利茂

    保利国務大臣 私は御承知通り就任早々でございまして、まだお話のような自己矛盾を実は感じておりません。今後どうなりますか、これはどこで感ずるようになるかわかりませんけれども、しかしこれは矛盾が生じましたときには、矛盾の生じたときに自分で解決して行きたいと思つております。なお最近の東京におけるやみ価格騰貴自由党食糧政策の過ちから来ておるのではないかという御指摘のようでございますけれども、これは私は先ほど来、長官も言いますように、この原因を究明してみた上でなければわからないことで、私としては今日までは、とにかく自由党食糧政策は決して失敗でなかつたと考えております。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一点伺いますが、そうしたら原因の除去に対して、原因をあくまで究明せられなければできないといわれるかもしれませんけれども、そういう場合においても予見ざれる問題は限りがあると思うわけであります。そういう場合において、どういうような具体的な方法でこの原因を除去せられるのか、どういうような対応策を施そうとするかという、あらかじめ用意せられた点について、大臣でなければあるいは食糧庁長官からでもお答えを願いたいのであります。これはまだ出まわり期までは大体三箇月の期間があるので、今こういうような現象が出たということは、将来に非常に大きな問題を発展さすようなおそれもあると考えるのであります。
  28. 前谷重夫

    前谷政府委員  お答え申し上げます。先ほども申し上げましたように、目下原因検討いたしておりますので、その原因によつて対策が異なるかと思いますが、われわれといたしましては、御承知のように米の配給の面につきましては、これを的確に配給いたしておるわけであります。ただ精麦の面につきまして、必要があれば十分精麦価格の高騰を押え、また間接的にはやみ価格の抑制に資したいというわけで、いつでも準備は整えておるわけでございます。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 その場合においてこういう問題に関連性があるかないかということです。二十八年度の輸入計画の中に、前年度よりも米の輸入量を減して、低廉な麦類をよけい入れるというようなことが示されておるのでありまして、そういうことに対する消費大衆の敏感な感じ方なんかも関連があるかということを、お伺いしたいのであります。
  30. 前谷重夫

    前谷政府委員 ただいまの御質問でございますが、実は米の輸入につきましても、昨年度におきましては百万トンの計画をいたしましたが、実績の輸入は九十一万トンでございます。本年も買付計画といたしましては、九十万トンの計画をいたしましたが、アライヴアルとして考えますと、昨年度と同様な米が入ると考えます。
  31. 山本幸一

    山本(幸)委員 何べんお尋ねしてもはつきりしないので、そろそろ結論に入りたいと思うのです。私は今同僚芳賀君の申されましたように、現象としては、部分的にいろいろ原因をとらえることができると思うのですが、根本的な原因というものは、結局今の吉田内閣がとつて参りました主食に対する政策、その点について、私どもは非常に大きな疑いを持つておるわけなんです。特に政府行政面においては、当面米については統制をやつておられる。麦については半統制をやつておられる。ところが政府を構成しておると称する自由党考え方は、依然として自由販売の方向に持つて行こうという考え方があるように私どもは承つておるわけです。そういうことだとか、あるいは昨年あやしげな供出後の自由販売という措置をとられたことが、やみ米値上りを非常に大きくあおつておると私ども考えておるわけです。そういう点について先ほど御答弁がございましたが、もう一歩進んで、その点についての御返事を承りたいと思うわけであります。
  32. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。昨年、二十六年産米供出の場合におきましては、二千五百万石の集荷を見ております。しかしその際におきまする生産は、御承知のように六千万石ちよつとでございます。本年現在までに集荷いたしておりまする量が二千七百八十万石ぐらいでございますが、これは生産量と比較いたしまして、特に本年政府集荷が、生産量の増加以上にまわつておるということではございません。
  33. 山本幸一

    山本(幸)委員 農林大臣とつお答えを願いたいと思います。農林大臣の今の心境は、米の統制撤廃を行われるような心境であるかどうか。簡単ですが、ちよつとお尋ねしたいと思います。
  34. 保利茂

    保利国務大臣 できるだけ早くそういう段階に到達したいとは思いますけれども、今日の食糧事情のもとにおきましては、統制を撤廃することは困難である、できないと私は考えております。
  35. 山本幸一

    山本(幸)委員 できるだけ早く自由販売にしたいというお説ですが、先般予算委員会における大蔵大臣答弁では、米の統制撤廃であるとか、あるいは二重価格制を設けることであるとか、そういう問題は時代の逆行を行くものであるという、明確な御答弁があつたのです。農林大臣はその点に対して、どういう考え方をお持ちであるか、承りたいと思います。
  36. 保利茂

    保利国務大臣 私は大蔵大臣のその説明を聞いておりませんが、二重価格が逆行だということですか。——これは考え方の相違になつて来ましようから、考え方としては、私は統制を撤廃して行くというのも正しい考え方だと思いますし、二重価格制をとられる主張も、私は主張としてはりつぱだと思つております。
  37. 山本幸一

    山本(幸)委員 さらにお尋ねしたいのですが、今米の需給状況はどんな状況であるか、ちよつと御説明願いたいと思います。
  38. 前谷重夫

    前谷政府委員 それでは、本会計年度におきまする需給の状況を、米について申し上げます。本年の四月一日現在におきまする持越しは、二百三十八万四千トンでございます。内地米につきましては、二十七年産米と二十八年産米を合せまして、四百二十三万七千トンを買い入れる予定であります。なお輸入は先ほど申し上げましたように、精米といたしまして九十万トン予定いたしております。従いまして総量といたしましては、供給におきまして七百五十七万五千トンが、本会計年度におきまする総量でございます。これに対しまして需要は、主食用といたしまして四百八十九万三千トンであります。そのほか酒用、みそ、しようゆ用等の家庭用、それからロス等を考えますと、需要は五百十八万九千トンでありまして、本年度と同様の持越しが可能になるかと思います。
  39. 山本幸一

    山本(幸)委員 本年度同様の持越しがあるということになりますと、やみ米の急騰に対する対策として、まず最初に伺いたいのは、消費者に対する先渡し、あるいは繰上げ配給、そういうものがどの程度できるかどうかということを、念のために伺つておきたいと思います。
  40. 前谷重夫

    前谷政府委員 現在の計画におきましては、昨年度に比較しまして、人口増等の需要を見込んでおるわけでございます。従いましてこの計画におきまして、特別の増加配給等を考えておるわけではございません。しかしこの計画は、本年四月から来年三月までの計画でございますし、また輸入集荷等も今後の問題でございます。その点は御了承願います。
  41. 山本幸一

    山本(幸)委員 しからば伺いますが、やみ米値上りについてどういう対策をお持ちになるか、その点の対策をひとつ伺いたいと思います。
  42. 前谷重夫

    前谷政府委員 先ほども申し上げましたように、このやみ米現象が一時的な問題であるか、長期的な問題であるか、そういう見通しをつけて、対策について十分検討いたしたいと思います。
  43. 山本幸一

    山本(幸)委員 私はどうも了解に苦しむのです。先ほどから原因の説明を聞きますと、それは調査中だとおつしやる。しからば調査もつと遅れて行けば、さらに不安な状態がかもし出されるわけです。従つて私は、原因調査はもちろん早急にやつてもらわなければならぬが、当面これをいかにして処置するか、どうしてこれを押えるかという手だけは、お考えだろうと思うのです。重要な問題ですから、もう少し率直に、腹を割つてお話願いたいと思うのです。
  44. 前谷重夫

    前谷政府委員 お話もつともでございますが、政府といたしましては、これに対する対策を立てますにつきましては、やはりこの現象が一時的なものであるか、あるいは長期的なものであるかということによりましても、対策についておのずから異なつて参ります。もちろんわれわれとしては、対策もいろいろ検討はいたしておりますが、原因をよく探究いたしまして、それに相応した対策を立てたい、かように考えております。
  45. 山本幸一

    山本(幸)委員 何度言つても同じですが、長官に申し上げてもだめだと思うのです。私の言うのは、結局もう一ぺん申し上げますと、今調査をなさつているということは事実でしよう。ところがかりに調査がさらに遅れて来る。そうすると、やみ米はさらに騰貴する。国民生活はさらに不安になる。だけれども調査がなければ原因を探究することができないから、それまでは手をつけることができないというような無責任なことが、政治の上においてやられるかどうかということです。そういうことは、断じて私は行われぬと思つておるのです。その点について、農林大臣にひとつ伺いたいと思います。
  46. 保利茂

    保利国務大臣 食糧全体の需給の逼迫からこういう現象が現われておるとすれば、私どもはこれは一大事だと思うのでございます。ここでまたお考え願いたいことは、主食全体としての需給関係は、先ほど申しまする通りの見通しに立つて、今日もその事情にあるわけでございます……。     〔佐竹委員長代理退席、委員長着席〕 ただ私どもが、長い間食生活の改善ということが叫ばれながらも、どうしても米食偏重の嗜好性からお互い抜け切れないということが、こういう現象を現わして来るという、大きな基盤としてはそういうものがあるだろうと思う。私も実は非常に心配になりますから聞いてみますけれども、こういうことを答弁として申し上げてははなはだ失礼でありますが、五人家族であつて東京に住んでおる方に、お宅あたりはやみ米はどういうふうに買つておられますかと聞いてみますと、自分のところはやみ米一つも買わない、というのは、子供たちがすつかりパン食になれてしまつて従つて米の方は配給だけで済ましておるという話で、そういう家庭もあるわけでございます。米もなければ麦もないパンもなければうどんもないという状態やみ価格が暴騰して来ておるということであれば、これはたいへんなことであろうと思いますけれども、全般の食糧事情といたしましては、少しも懸念すべき状態にはございません。ただいずれにいたしましても、米食偏重の——それがどうこう申し上げるのではございませんけれども、できるだけこういうふうな食糧——これも食糧事情でありましよう——事情に適応して、お互いが食生活を合理化して行くという心構えも、同時に一面からは必要であろうと私は考えます。
  47. 山本幸一

    山本(幸)委員 どうも大臣の説明を聞いておりますと、不可能を可能にするような説明なんです。要するに大臣は、どういう家庭をお調べなつたか知りませんが、パンあるいはうどんの粉食で、副食物を十分にとつてぜいたくのできるような家庭をお調べなつたのだろうと思います。私どもは、もちろん日本の食生活の改善についての考え方は、少しも大臣に劣つておりません。しかし現況の日本の国民の大多数の生活は、近代的な食生活には及び遠いのです。もちろんパンも食べたい、粉食もやりたいけれども、それをやるには、非常にたくさん副食物に金がかかるのですよ。従つて、現況の国民生活では、とうていそういうことでは家計を立てて行くことはできないのです。そこで初めてなるべく副食物の高くないものを要求するという必然性が出て来ると思うのですよ。従つて大臣は不可能な問題を可能だという前提のもとに、今の議論をなさつていると私は考えておるわけです。だから、ほんとうに働く勤労大衆はどんな生活をしておるかという実態を、あなたはお調べなつたらどうですか。あなたがお調べなつたところは、それはきわめて上流の家庭であると私は思うのです。ここに消費者団体並びに主婦の団体から、国会あてに陳情が来ておりますが、これを見ても明らかです。パンやうどん等の粉食はぜひやりたいけれども、残念ながら副食物が高くつき過ぎてやれないのだということを、深刻な訴えとして私どもの手元によこしておるわけなんです。従つて農林大臣考え方は、ブルジヨア的な階級のみの上に立つた考え方としか私には考えられない。もう一ぺんそれはどういうところを調べたか、はつきりしてもらいたい。
  48. 保利茂

    保利国務大臣 きつとそういうふうに言われるだろうと思つてあらかじめお断りしておいたのです。私は、たまたまお会いした人に話を聞いてみましたその一例を申し上げたにすぎないわけでありまして、調査とかなんとかいうものではございませんから、それはそういうふうにおとりいただきたいと思います。
  49. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して米の問題だけお尋ねいたしたいと思います。麦価の問題につきましては、あらためてお尋ねいたしたいと思います。  大臣、非常に慎重な御答弁でありましたけれども、私は、食生活の上から最近都会地において粉食が割合に盛んになつて来たことは、大臣とともに認めるのです。同時にまた麦の粒食の傾向が出て来たことも私は認めているのです。そういう方向にあることは事実でありますが、重大なことは、山本君と違つて、ぜいたくな者は粉食をやつて、比較的困窮しておる者は粉食をしていないのだというふうにも私は見ないのです。大臣の御答弁から見ますると、中以下の者はむしろ粉食をしておつてやみ米を食つておる者は、相当の生活ができる者が食つておるのじやないかというような感じで実は御答弁なつたのじやないかと、逆にそう思うのですが、そうでもないのですか。この点が一点です。  それから大臣お急ぎのようですから続いて二点ほど伺いますが、最近のやみ米は、上野だけでありますが、私ども調べたところによると、年々のことでありますから季節の影響を受けまして、ことに米作農家の田植え時期に当つておりますので、やみ米の流通の一番悪いときであることは認めなければならないが、そういうようなところから見て約六割ないし六割五分程度が東京に流れて来ておるように思われる。その流れて来ておる米が、今まででありますれば大体普遍的にまわつておつたのが、どこかに集中してそれが納められるような傾向が出て、これが問題になつて、いわゆるやみ米の値をさらに増高させるような騰貴行為がここに介在するのではないかという疑念もあります。同時にもう一つは、最近外食券の取締りが非常に寛大になつたために、高級料理店等に相当米が流れて行くというこの二つの筋から、やみ米の高騰が現われておるのであろうという感じで大臣答弁なすつたように私は思います。  そこで問題は次に移るのですが、こうしたやみ米が高くなつたということは、一面消費者に非常な迷惑を与えると同時に、今年の秋の供出に及ぼす影響は非常に大きいと私は思います。これは生産者価格消費者価格やみ米の値との開きがあまりない場合には、公然のルートに乗せた方が不安がないわけで、また大量に出す場合におきましては、公然のルートに乗せるという考え方が農民の間に生れて参りますが、こうしたやみ米が春になると高騰するのだということになりますと、農民の供出意欲に非常に大きな影響を及ぼすだろうと思います。昨年におきましても、割当が非常に困難であつたために、十五県ほどの知事がなかなか供米の割当に応じないで、最後に二県か三県はあくまでも応じないで、任意供出みたいな形で食糧当局が妥協されたやにも聞いております。今年もさらにこの供出が不安になるのではないかと思うのでありますが、そういう供出の面からいつても、この際やみ米に対する対策を十分に立てなければならないと私は思うのですが、これらの点に対する見解をお伺いいたします。
  50. 保利茂

    保利国務大臣 私は今たいへん示唆を受けましたが、いわゆる一時的な現象ではあるが、今お話のあつた一部の騰貴がそこに加わつて、そのためにそういう異常な状態を呈しておるので、それをとにかくできるだけ確実にすみやかに捕捉して、それによつて対策を講じなければならないのじやないかということで、今督励して調べてもらつておるわけでありますが、先ほど来申しておりますように、まだそれがつかめないでおるような状態でございます。しかしこのために出来秋の供出意欲が低下して来るということに影響するということになりますれば、これはたいへんだと思いますから、十分研究をさせていただきたいと思います。
  51. 川俣清音

    ○川俣委員 その問題はそれでけつこうです。
  52. 山本幸一

    山本(幸)委員 最後に一言だけお尋ねしたいと思いますが、婦人団体消費者団体から国会あてに、特に農林委員会あてに、私から委員長に渡してくれというので陳情が来ておりますが、これによると、これを読み上げてもいいのですが、読み上げるには時間がかかりますので、大臣はきわめて愁傷な顔をして答弁をなさつてお気の毒ですから、私はあまり時間をかけたくないと思います。ただここにありますのは、私どもが申し上げたように、要するに五人家族で少くともやみ米は一斗買わなければいけない。そこで一升が最近では七、八十円の値上りだとすれば、千数百円家計費を脅かしている。さらに重要な問題は、新聞ではこの原因について、自由党の独善政策の結果であると言つております。電信、電話、電気料金等、官業や公共企業関係の料金の値上げが町の話題となつて流れている。私は相当いいところをついていると思うのです。さらに保安隊の演習用とか、または四万台、三万台の自動車でにぎおう高級料理屋などで、まつたく無意義に消費されている米をきびしく取締つてもらいたい、こういうことも書いてある。これはなかなか大臣の胸にこたえるところだと思うのです。特に自由党大臣には一番胸にこたえることだと思うのです。そこで結論としましては、家庭の主婦の全体の要求としては、今米の配給が十五日であつて、そのうち十二日が内地米に見られ、三日分が外米に見られ、残りの十五日麦類等に依存をいたしているという現状であるけれども、ぜひこの際増量してもらいたい、少くとも三日分くらいは米の増量をしてもらいたい、こういう要求をいたしておるわけです。さらに増量が可能でなかつた場合には、一週間分なり十日分なりの前渡しをぜひしてもらいたい。そうすれば、一応やみ米をその当座買わなくとも済むのであります。その結果ある程度値下りをするのではないか、こういう点までついて来ておるわけです。これは私は非常に重要な問題だと思いますから、この際まじめな考え方で、そういうことがやられる用意があるかどうかということを、お伺いしたい。
  53. 保利茂

    保利国務大臣 お話のようなことを私も要請を受けております。従いまして先ほど来申しまするように、この事情原因を取急ぎ取調べまして、必要な措置をとることが妥当とすれば、とるにやぶさかではございません。
  54. 山本幸一

    山本(幸)委員 私はもう申しません。申しませんが、大臣並びに長官に申し上げておきますが、原因調査があまり遅れて——私はさつきからくどく言つておる。私どもの見地に立てば、原因調査の過程において打つべき手は打つべきである。こういう見地に立つて言つておるのです。もし調査が遅れて、さらに騰貴した場合の責任上の問題がありますから、その点私は、あなたの立場に立つて同情して申し上げているつもりなんです。そこで原因調査が遅れてさらに重大な問題が起きた場合については、農林大臣相当責任をお持ちにならなければならぬということだけを一言申し上げて、私はこの問題を打切ります。
  55. 川俣清音

    ○川俣委員 さつきからの問題につきまして、あらためて大臣に時間をお願いいたしまして質問を続けますけれども最後にちつと重大な御質問をいたしたいと思うのです。と申しますのは、今農林省から提案になつて水産委員会にかかつておりまする、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案が出ているわけであります。この法案を見ますると、おもに水産関係の特別関係の特別損失の補償に関する法律案のようであります。しかしながら農林省で出されます以上、耕地、原野、山林等に同様に影響を及ぼすことは明瞭であります。これは農林省のもとにない水産省という形で出ますならば一応もつともだと考えられるのですが、同じ農林省の中にありながら、水産関係だけを法文に盛りまして、「その他政令で定める行為」というように規定いたしておりますことは、法律の体裁からいつて農林省が出される法案としては十分でないように思うのです。時間がないから私は意見は申し上げませんが、この点につて大臣の御答弁をお伺いたい。
  56. 保利茂

    保利国務大臣 農業関係と水産業関係とに区別はない建前になつていると存じます。そういうことでお扱いいただいていいのじやないかと思います。
  57. 川俣清音

    ○川俣委員 ここに法案の体裁でも明らかになつておりますが、一条には前述の趣旨を規定しているのでありますが、補償すべき損失の原因となるアメリカ合衆国の陸軍、海軍または空軍の行為としては、「一防潜網その他の水中工作物の設置又は維持 二防風施設又は防砂施設の除去又は損壊  三その他政令で定める行為」となつておる。こういうように列挙するのでありますれば、やはり農地等も列挙しなければならぬじやないかと思うのです。「その他政令で定める」というのはよくわかりますが、水産部門だけ列挙しておいて、農地関係を列挙していないのは、法律の体裁上いかに考えられるか、こういう質問なんです。これによつて農地が救済できないとは思いませんけれども、法律の体裁からいつて、先ほどから申し上げておりますように、水産省という独立の行政庁があつて出されるならば、これも一つの方法だと思いますけれども、同じ所管にある農林省の水産庁が出す案としましては、農林省としての統一ある法律案でなければならないように考えられますので、この点をお尋ねいたします。
  58. 保利茂

    保利国務大臣 先ほど申しますように、農水産の区別を設けているわけではございませんから、なお農地局長からその説明をさせることにいたします。
  59. 平川守

    ○平川政府委員 ただいま問題になりました法律案は、従来の法律で救済できなかつた駐留軍の行為による損害の問題でありまして、たまたま当時東京湾の防潜網の問題、それから九州芦屋方面の飛行場の関係で防風林を切りましたために、農地が非常な損害を受けたという二つの大きなケースが、提案当時に非常に問題として出ておりましたので、これを一つの例にあげまして、そしてそのほかの個々の場合はその他の政令の方で定めようという趣旨で、当時問題になつておりました二つの例があがりました関係でそうなつておりまして、内容におきましては、農地も水産も全然その差別をしておらぬわけであります。たまたま水産委員会の方へ付託になつたようでありますが、これはまつたく対等の問題と考えております。
  60. 川俣清音

    ○川俣委員 それでは私大臣が来てから続けて質問いたします。これは局長の答弁では満足できません。とにかくこういう特例でありますから、今までに救済その他の法律によつて救済できるからということでは、法律の体裁上からいつて満足できない。これは特別立法でありますゆえに、やはり前との関連をこれに規定しておかなけれならないと思うのです。そういう点についてまた十分御質問いたしたいと思いますが、きようは大臣がおいでになりませんから、あらためて御質問申し上げます。
  61. 足鹿覺

    足鹿委員 今の問題はわれわれ午前中から、先般の本委員会の決議によつて、水産委員会との連合審査会を四時間有余にわたつてつておる。私も昼過ぎほとんど一時半ごろまで一時間半ばかり、農林委員の立場からこのアメリカ駐留軍の行為による損失補償の法案につきましては質疑を試みたつもりでおります。その質疑の結果相当明らかになつた点等もありまして、平川農地局長はその席にもおいでになつておつたはずであります。従つて水産委員会との連合審査会はきようで打切られるのではないかという感じも私どもはしたが、しかしきようの質疑の結果から見ますれば、非常に重大な点が取残されておる。従つてどもとしては、十九項目にわたつて政府の対策あるいは法案の運用等について質問いたしておりまして、いろいろこれらの点については、本委員会の意見もとりまとめて、もし連合審査会の継続ができないとするならば、農林委員会としての決定を水産委員会に申入れをいたしまして、水産委員会の一方的な判断のみで、水産委員会自体としても相当修正箇所もあるようであります。でありますからわれわれとしてもその態度をきめて進みたいと思いますので、委員長の方でよろしくおとりはからいを願いたいと思います。  それからひとつ大臣でなくてもけつこうですから、前谷さんにさつきのやみ米関連をしましてお尋ねしておきたい。それは東京やみ米が二百二十円前後にも暴騰をした。その原因調査中だという御答弁でありましたが、しからば生産地における価格はどのように変動しておるか。これは農林省としては、出先機関をお持ちになり、また政府自体としては生計費指数の調査なり、統計関係は整備しておるはずでありまして、それがおわかりにならないはずはないと思う。その原因を、産地の価格を圧迫するというような意味で調査検討しておいでになるのか。それとも産地は、私どもの見たところではそう暴騰しておらないと思う。ただ消費地において上つておると、われわれはそう見おる。従つて政府が、何らかの緊急な措置をおとりになつたといたしましても、産地の生産者の経済を圧迫するというような事態はないのではないか。東京都の赤羽駅のごときは、ほとんどやみ米の集散地として、早朝に行けばやみ市が駅のホームの中で公然と立つておるという話もわれわれは聞いておる。とするならば生産地がそのような暴騰率を示しておらないのに、消費地においてそういう暴騰に来しておるということは、おのずから原因はあると思う。これははつきりしておると思う。中間におけるいろいろ思惑や、政府の施策の欠陥にある。そういつたことがこういう事態を来しておる大体の原因といつても言い過ぎではないと思いますが、産地における価格の変動状況はどういうふうに把握しておいでになりますか、はつきりとした御答弁を承つておきたいと思います。
  62. 前谷重夫

    前谷政府委員 お話のように日報でもつて産地の状況を調べております。現在関東地方におきましては、栃木、茨城が昨年の十二月に比べまして、約四十円上つております。それでその他の府県は、足鹿先生御承知のように、時期でございますから、多少の値上りはいたしておりまするが、特に近県における生産地は値上り率が高いようであります。しかし御指摘のように東京のような値上り率ではございません。
  63. 足鹿覺

    足鹿委員 もう一つ本日の新聞によりますと、警視庁がやみ米に対する強い取締りに乗り出すというような記事も出ておりますが、政府としては、何かこれらに対する取締りの措置を警察当局に対して御委嘱になり、あるいは示唆をお与えになつた事実がありますか。それとも警察当局の自発的な取締り対策としてでありますか。私は、いたずらに取締りをいたしますると、かえつて、さなきだに食事情が窮迫しておるときに、逆にまた暴騰の原因をつくるとも一面危惧されるのでありまして、問題は先刻も同僚山本委員から御指摘のあつたように、緊急の措置を、前渡しでもいいし、あるいは需給事情が許すならば、数日分のものをここで緊急配給になつてもいい。そういう施策を伴わずに、ただ単にこれらの取締りを強行するということは、かえつて市内の価格の暴騰の原因にこそなれ、やみ米対策としては、私は適正ではないと感じますが、警視庁なり警察当局がそういう施策を行うならば、政府の対策と並行して進めないと、重大な事態になりはしないかと思いますが、食糧庁長官いかがでしよう。何か一ついい手を打つてもらうわけに参りませんか。
  64. 前谷重夫

    前谷政府委員 われわれといたしましては、足鹿委員の御指摘のように、いたずらに取締りをすることによつて、これの対策に当てるという考えはございません。従いまして警視庁、警察当局に対しまして、そういう申入れをいたしておりません。たまたま明日と明後日、ほかの問題で防犯課長会議があるようでございますから、その際われわれといたしましては、各地の情勢を十分聞いてみたいと考えております。  なお対策につきましては、われわれもいろいろ検討いたしておりますが、これは一つの心理的な問題といたしまして、十分に原因検討いたしませんで行いますと、逆な効果も現われるという意見も専門家の間にはあるようでございまして、そういう点も十分考慮して慎重に対処いたしたいと考えております。
  65. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に栃木県方面で昨秋に比べて一升当り四十円程度の値上りで、他の地区はそう大きな値上りはないという御調査のようであります。そうしますと私が今申し上げましたように、産地の農民が引上げを策したとは言い得ません。その点ははつきりしたと思う。従つて産地から出て消費者に入る流通過程において、いわゆるよからざるところの中間業者なり、その他それに類する業者の不徳行為によつて政府の施策なり食糧政策の欠陥の間に乗じて、こういう事態が出ていることがはつきりしている以上、原因調査してとか何とか、こういう事態のときには、一々統計をひねくりまわしたりいろいろしなくても、緊急施策というものは、大ざつぱに言つて市場の調整をはかつて行く、それによつてある程度の効果を収めることが問題であつて、要するにそんなに慎重に政府調査をされるということは、政府自体の今までとられた食糧政策に欠陥のあることに気がついた。これはたいへんなことになる、今ですらこういう事態だから、九月の端境期になるならば、おそらく二百円の釘づけ価格になるでしよう。そうして先刻御指摘がありましたように、本年の供出米価をめぐつて政府は非常な窮境に陥ることは火を見るよりも明らかだ、従つてこれに対して何らかの施策をここに打ち出したい、そういう点から慎重な調査をやつておられるやに私どもは推察せざるを得ない。明らかに食糧政策は行き詰まつておる、分岐点に立つておる。現在のこのやみ価格の高騰に対しては、そう何も原因調査なんということを言わなくたつて、早く下げればいい、その施策を打てばいい。農村が上げておらなければ、中間でそういう思惑買いも手伝つておることは明らかなのだから、これに対してはただちに緊急対策をお立てになつていいのじやないですか。それが調査々々で非常に慎重にやつておられるところには、何かひとつ政府食糧政策の問題に関一して、壁にぶつかつておる、先々が案じられる、そこでいろいろとお考えになつておられると私どもは思う、だからそれはそれでおやりになることはけつこうでありますから、十分おやりになるとして、今の状態に対してはただちに手を打たれてどうですか。すでに取締り当局が乗り出しておればますますやみ価格上つて行きます、これは消費者に対して親切な施策ではないと私は思う。並行してその緊急施策を早く講じてもらいたい、どうですか、私の言い過ぎでしようか。
  66. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。われわれといたしましても対策を立てるにつきましては、その対策の効果というものを十分考えなければなりません。そういう点につきましていろいろ政府は今も研究しておりますので、仰せになりましたような事態の起らないようにできるだけ善処したいと思います。
  67. 井出一太郎

    ○井出委員長 先ほど足鹿委員より提起せられました日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案につきまして、本日の午前中水産委員会との連合審査をいたしましたが、農林委員会としてなお幾多論議し、なおかつ修正を要すべき点もあろうやに思うのであります。つきましては本委員会の意見をまとめて、これに基いて水産委員会へ申入れをしたい、この足鹿委員の意見につきましては御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 井出一太郎

    ○井出委員長 異議なしと認め、さように決定をいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十六分散会