○辻(政)
委員 関連して。ただいまの堤
委員の質問に対しては私もしごく同感であります。昨年の三月
遺族に対していわゆるお燈明料といいますか弔慰金と公債が渡された、それが今日一年た
つてもまだ渡
つていないのであります。これは私はまことに心外でありまして、昨年の十月厚生大臣に強く要求をし促進をしていただきましたが、郷里へ帰
つて見るとまだ三割程度のものに渡
つていない。現に私の秘書は毎日郷里から訴えられ、それで秘書の仕事が手一ぱいに
なつている。そうしてみると役人がきわめて不親切だということになる。また
規定が煩雑であ
つていなかの人にはわからない。その一つの例を申しますと、戦死公報があ
つたにかかわらず、公報を裏づける資料証明がないと言うてやらない、こういうことなんです。公報というのは
政府が責任をも
つて死んだということを確認した書類であります。それがあればいいはずでありますが、さらにその公報を裏づける詳細な資料がないと渡されない、これでどうして
遺族が一体浮ばれるか。今日厚生省の倉庫には遺理帳というものがありまして、それにひつかかりまして、たとえば極端に言いますと、支那の河南省においては肺炎で死んだ者は取扱わない、あるいは河北省においてはマラリヤはないからマラリヤの病人にはやらないというとんでもないことまできめておられるのです。病因、病気の種類によりましてそういう
状態でありますから、この
恩給法を渇望して待
つておる二百万近くの人たちは、今までのやり方で行きますとおそらく三年た
つてももらえない人が出て来ると思う。これではせつかくの
政府の誠意をも
つてしても救われない。その点堤
委員の意見にま
つたく同感であります。いなかにおきましても、村長はどこのむすこはどこで死んだということがわか
つている、それが東京へ行きますと厚生省の方ではじくから、役人のわからない仕事がまだほんとうにたくさんあるというので、倉庫に山のように書類が積
つておる。そうじやなしに死因の不明なものとか、あるいは非常にやつかいな書類のものであ
つたならば県
知事にその責任を持たされて、市町村長の証明のあるものを
知事が責任を持
つてやるような
政治を考えないと、この
恩給法が出てもおそらく三年た
つてももらえない人がたくさんあると思います。いわゆる紛争処理
機関といいますか、苦情を聞いて万人が納得行くためにはその資料の書煩が焼けてなくても認めてやるだけの大きな心を持たなければならぬ。それでなければせつかくの法が死んでしまうと思う。はなはだ失礼ですけれども役人の仕事というものは末端に行きますと必ずしもそうじやない。私のところは、しかたがありませんから復員局へ飛んで行
つて毎日それをや
つている。そうしますと割合に早くや
つてくれて数十日間のうちに八割くらいのものは今日すでに解決を以ている。それをやらないといつまでた
つても解決しない。実情をよく来て見ていただきたい。あなたは実に熱心にや
つておられますけれども、末端に行きますと役人というものは必ずしもそうじやありません。堤
委員の質問に関連いたしまして私はこのことをつけ加えます。