○高瀬
委員 私は改進党を代表いたしましてこの
保安庁法の一部を改正する
法律案に対して賛意を表するものであります。
先ほど
自由党の
平井委員より申し述べられましたように、この法案を改正するに至
つた原因と動機を
考えてみますと、
日本とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定に基いて、これの運用のためにある一定の人員が必要であるというのがその根本的の提案の理由のようであります。なるほど先ほど島上君はフリゲート艦を軍艦だなどと言われましたが、私の了解するところではあれは沿岸防備艇ともつかないし、浚渫船に毛のはえたようなものでありまして、あれはとうてい軍艦などというべきしろものではないのであります。従
つて日本の沿岸を警備する程度のものであることは私ははつきり賛成いたします。しかもたびたびこの
委員会において木村保安
長官の言明をわれわれは聞きましたが、率直に申して今の
日本の
保安隊がいわゆる
日本本土の防衛及び
治安にだけ使用されるものであるということについては、私はそれほど
反対の意を持
つておりません。ただタンクを持ち、大砲を持ち、いろいろ持
つていることは非常にふしぎでありますが、とにかくあの程度のものではまず
国内の防衛、
治安の維持というものであることを私は率直に認めます。本日のワシントンからのニュースによりましても、ダレスの言明も
日本の
保安隊というものは
国内の
秩序を維持し、
国内の防衛をするもので、いわゆる間接侵略に対して辛うじて用意している程度のものであるということは認めておるのであります。われわれもこの点を率直に認めるのにやぶさかではありません。ただ
一つ改進党の立場を私ははつきり申し述べておきたいことは、将来の問題であります。ここにダレスの言を引用するもはなはだ僣越でありますが、これは私どもの最も主張したい点でありますから、一応速記録にとどめておきたいと私は思います。ダレスはその公聴会の一部分で、「
日本は太平洋の自由諸国の安全保障を強化し、同地域の
生活水準を引上げるために大いに寄与できる地位にある。」それからが大切なのであります。「
日本は直接または間接の侵略に対しみずから防御するため日米安全補障条約のもとでその経済力の及ぶ限りの
責任を一層果して行くものと期待される」こういう一項がございます。これは先般この
委員会において私が木村保安
長官に対してあの日米交換文書を引用して説明いたしましたように、わが国のMSAを受入れる根本的な
考え方と、アメリカ側が
日本にMSAの援助を与える根本的
考え方に昨常な相違があることをこのダレスの言明ははつきりと明らかにしておるのであります。率直に
日本の保参安隊は将来間接の侵略に対してのみならず、むしろ個別的、集団的防衛の強化ということをあの交換文書で言
つておりますが、そういうようなことを期待しておるのであります。直接、間接の侵略に対して
日本ははつきりとした防衛体制をつくるべしという
一つのアメリカ側の
考え方を今回ダレス
長官の言明においてはつきりと示したのでありまして、
木村長官がたびたびのこの国会における言明において言われたことは、われわれも国会議員として率直にこれを認めますけれども、こういうように
日本が特にこのMSAの援助についてアメリカに対して単なる経済援助を受けようと
思つているのに、向うは経済援助と並行してそれよりもむしろ直接侵略に対して防衛体制を整えるという
意味でMSAを与えるという
考え方をはつきりといろいろな形で言明して、むしろ私はわが国の指導者を向うの政府の指導者が指導している、こういうふうに了解するのであります。われわれ改進党といたしましても、いわゆる今の曖昧模糊たる
保安隊の形から直接、間接の侵略に対して防衛できるはつきりとした自衛車の創設を主張している立場におきまして、今後ぜひとも政府のこの自衛軍の問題に対する善処方を要望し、またそれについて将来はつきりした方策が政府に樹立されたならば、必ず本国会にその
方針を明らかにされ、国会の審議の上に立
つて堂々といわゆる個別的、集団的安全保障の域に
日本を置かれんことを私は
希望し、この問題はそれとは別個の問題であるがゆえに私は賛成を表するものであります。
なお先般来非常にこのMSAの問題について
関連質問が行われておりましたが、わが党は、予算総会におきましてもなお種々
意見を開陳しておりまする現段階におきまして、この法案とは別個総括的な
質問についてはさらに続行する権利を留保いたしまして賛成いたします。