運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-07-10 第16回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十日(木曜日)     午後二時五十七分開議  出席委員    委員長 稻村 順三君    理事 大村 清一君 理事 高橋  等君    理事 八木 一郎君 理事 鈴木 義男君    理事 松田竹千代君    江藤 夏雄君       津雲 國利君    永田 良吉君       長野 長廣君    平井 義一君       船田  中君    牧野 寛索君       高瀬  傳君    粟山  博君       島上善五郎君    中村 高一君       中  助松君    辻  政信君  出席国務大臣         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         保安庁次長   増原 恵吉君         保安庁長官官房         長       上村健太郎君         保安庁人事局長 加藤 陽三君  委員外出席者         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小関 紹夫君     ————————————— 七月十日  委員上林與市郎辞任につき、その補欠として  武藤運十郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員武藤運十郎辞任につき、その補欠として  上林與市郎君が議長指名委員に選任された。 同日  上林與市郎君が理事補欠当選した。     ————————————— 七月九日  軍人恩給復活に関する請願牧野寛索紹介)  (第三一八三号)  同(臼井莊一君紹介)(第三一八三号)  未復員者給与法による入院患者傷病恩給等支  給に関する請願中川源一郎紹介)(第三一  八五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  連合審査会開会に関する件  保安庁法の一部を改正する法律案内閣提出第  八一号)
  2. 稻村順三

    稻村委員長 これより開会いたします。  保安庁法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。質疑の通告があります。これを許します。松田竹千代君。
  3. 松田竹千代

    松田(竹)委員 木村保安庁長官一つ、二つだけこの機会にただしておきたいと思いますことは、私は、保安隊員を、横須賀でも、また私は富士におりますので冨士でもしばしば見かけるのですが、その他各地で保安隊の様子を伺い、保安隊員ともしばしば話をして、現在の保安隊員のりつぱであることを見て、やや意を強うしておるような次第であります。保安隊外敵に当るものでもなく、軍隊ではない。さればといつて警察予備隊から一歩進んで保安隊に改称されたが、やはり軍隊ではない、警察隊でもないという感じである。どつちつかずという感じがするのです。国内治安を維持し、そうして人命財産の保護に当るのだ。一旦暴動その他の革命的なことが起ればこれの鎮圧に当るのだ。が一たび軍隊ということでその性格がはつきりしてしまうとか、あるいは外敵にも当るのだということになると、おのずからそこに国を守るためにわき出て来る何ものかがあるのであるが、現在のところでは、最近の九州の大水害で、なるほどりつぱに一面の働きができたということも考えられて、感謝もされておるのでありますけれども、やはりそこに何ものか大きな足らないものがあるように思う。軍隊には軍隊精神というものかあつたのだけれども、保安隊精神というものはどういうものか。保安隊精神というものは、どこから来るのか。一体あるのかどうかということを一応聞いておきたい。
  4. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。保安隊精神りつぱにあると考えております。昔の軍隊は今申されました通り、ただ外敵と戦うことのみを主たる目的としておつたのでありますが、現在の保安隊は、国内の平和と秩序を維持するために行動するものであります。ここに大目的があるのであります。いわゆる保安隊は、この国の平和と秩序を守る。御承知通り一国の独立を維持して行く上において何が一番必要であるかと申しますと、まずもつて国内の平和と秩序を守るということが先決問題であります。  一たび平和と秩序が乱れましては、いかなる政治も機能を失い、文化の発展に浴することもできません。経済の興隆もまた望むことができません。まずもつて国内の平和と秩序を維持しなければならない。この大責任保安隊員が負つております。ここに大目的があろうと私は考えます。ただいま仰せられました外国と戦うことを目的とする軍隊ではありませんが、不幸にして集団暴徒外国から侵入して来ました場合には、もとより保安隊がこれに当ることは当然であろうと私は考えております。ここにおいてか保安隊員に、われわれこそはこの尊い任務を帯びておるものであるという自覚責任を持たせるごとによつてりつぱな保安隊精神が養えるものと、私はこう考えます。幸いにいたしまして今の保安隊員は、この大目的自覚いたしまして、大いに訓練をし、また精神的に修養しておるのであります。一例をあげますならば、御引合いになりました通り北九州災害におきましても、身を挺してやつておりまして、幾多の人命を救助するために必死的役割を果しております。これは何も戦いを目的とすることではありませんが、一朝国家の災害が起つた場合に、身を挺してやるというこの精神が、何よりも私は喜びにたえないのであります。この精神を私はどこまでも維持して行きまして、保安隊の育成に込むべきものであろうと、こう考えております。
  5. 松田竹千代

    松田(竹)委員 今の御説明によつて一応納得はできまするけれども、社会秩序を維持するという大きな役目を持つておる、これなくしては何もできぬではないか、その通りであります。けれども民主国民として法律あり、そうして警察隊がありしておる場合は、平素においても社会秩序は大体において守つて行かれるわけであります。ただこの保安隊の出動するというような際は非常な大暴動で、おそらく今日の保安隊がいよいよ出動するというようなときは、昨年のメーデー行動のごときは、まさにその機会であつたのではなかろうか。あるいはあれくらいの程度のものでは、なお出動する機会でないというふうに見られるのであるか。あれくらいのものでも、あれは相等の組織によるものであつて組織による大計画である。だから当然出動してもよろしいように思う。しかしそういうこともしばしば考えられないことである。平素はそれでは何をやつておるかというと、それは訓練もやり、日々の仕事もあるであろうけれども、なかなかその機会というものはしばしば来るものではないからして、この保安隊精神を常に涵養し養成して行くいろいろの手段があるだろうと思うのでありますが、そういう点はどういう方法によつておやりになつておるか。
  6. 木村篤太郎

    木村国務大臣 申すまでもなく保安隊は、今仰せになりました大擾乱、大暴動が起つたときに初めて出動する部隊であります。例示されました昨年のメーデー事件のようなものは、私は警察で処置すべきものであろうと考えております。保安隊は、もう警察ではどうしても処理できないような場合に初めて出動するもので、軽々しく出動すべきものではないと私は考えております。しかしいずれの場合におきましても、御承知通りただ内乱暴動ばかりではありませんで、天災地変があつた場合にも喜んで出動しなければならぬ。こういう面からもいろいろ考えまして、一朝事つたときには違算のないように普段から各種の訓練をやつておく必要があろうと思つて、そういう方面にせつかく考慮いたしておる次第であります。
  7. 松田竹千代

    松田(竹)委員 そこで私は、何分にも多数の人の団体行動でありますから志気の問題や、デイシプリンの問題が非常に大事であると思います。現在の保安隊警備隊はおそらく志気相当旺盛であろうけれども、これまたなかなかむずかしい問題です。これは昔のように厳格に、びんたをはつたり、あるいは非常にやかましい上官からの軍律によつてのきびしいやり方のみをもつて今日の保安隊を遇するわけには行かぬだろうと思うから、平素事なきときにこの旺盛なる志気を維持して行くということは非常に困難であると私は思うが、これに対して、どういう方法、どういう考えでその旺盛なる志気を維持して行こうとなさるのかお尋ねしたい。
  8. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。昔の軍隊におきますると、ややもすると、今仰せになりましたようなびんたとかその他のことがあつたわけでありますが、そういうことでは決して今後の青年は動きません。ほんとう自分らでもつてその大任を果すのだという自覚を起させなければいかぬ。喜んで自分から率先してやるという気持が一番大事でございます。これをやれと上から強制的にやつたのでは、一朝事あるときは役に立たぬと私は思う。そういう教育方針は一擲いたしまして、ほんとうにみずからの手によつてこの国内治安を維持するのだどいう自覚をさせることが最も大事であります。私は、その点に非常に考慮を払いまして、自分らは大事な任務に服するのだという気持を自発的に起させるために、あらゆる場面でこれを精神的に訓練して行きたいと思つております。
  9. 松田竹千代

    松田(竹)委員 真に保安隊員自覚に基くやり方でなければほんものは出て来ない、それによつてのみ真の意味の旺盛なる志気が出て来るのじやないか、ほんとうに国の難儀に身を挺して、自分責任感じて進んでやるということ、これが真の志気であるということに対しては私も了承できますが、それについては、やはり平素から隊員規律とかあるいは風紀とかいうような点に特別の留意があつてしかるべきであると思う、ところが、これまた厳格な規則や何かでもつてやかましく律して行くということになりますれば、これがまた一つ方法として、その規律を守らせ風紀を維持して行くということもできるのであるが、何がさて、その責任感によつておのれの職分に邁進させるようなやり方でやるということは、まあ考え方はりつぱでありまするけれども、実際にこれを行わしめるという段になりますと、この手段はなかなかむずかしい。たとえば今の隊員にいたしましても、これが背の軍隊であり摂するならば、規律を守らぬ者は一々びしびし責め立てたり罰したりするということもありますけれども、今日の保安隊では、むしろそういう点については、おのおの自分考えによつて、そうして隊員である以上隊員らしくちやんと規律を守つて行くということに持つて行こうとするのであるから、なかなか言うとを聞かない者がたくさんある。たとえば上官に対してはちやんと敬礼をするというようなことも、隊の内外を問わずちやんとやらなければならぬことになつておるが、これがなかなか守られていない。わけて、一たび外出でもしたような場合にはまるで敬礼などしない。これは何も強制するのではないがやらなければならぬことになつておるのだが、やらぬ者が自然に多くなつて来ている。強制するのではない、上からの圧力でびしびしとやかましくやるのではないから自然乱れて来る。帽子をあみだにかぶつて、そうしてまるで町のならず者のような風体で行く者もやはり出て来るというようなことになつて来るのであつて、おつしやるように、この大勢の隊員にみな自分責任自分本分自覚させて、そうしてその秩序を守つて行くということをやらせることはなかなかむずかしいのであります。実際には現にそういうふうに乱れておるのでありまして、長官は始終接しているわけではないからこれらの点を一々御存じありますまいが、そういう非難もたくさんあるのであります。昔は徴兵制度でほとんど国民皆兵の建前でありましたから、日本の全国民がみな関係が深かつたが、今は十一万何ぼでありますから、隊員行つている者の家庭などは関係があるからよく知つておりますけれども、一般社会一般国民にはまだ縁が深いというわけではありません。何らかの関係のある者はよく注意しているけれども、一般の者はこの実情というものに対してそう深い関心は持つていない。もつと深い関心を持つてもいいはずであるけれども、まだそこまでは日も浅いことであるから行つていない。だからこの点は、長官はやすやすとおつしやられるけれども非常にむずかしい点である。こういうことではたしていよいよの場合に身を挺してやれるかどうか。なるほど今度の九州の場合では大いにやつてけつこうだつたという感謝もされているけれども、隊員にはなるほどそういうことがあつたけれども、幹部には適当な指揮命令をする者がなかつたという非難も、実際に見て来た人々の話を聞くと、一部にあつたようであります。それに、隊員に今度非常に欠けておつたと思われることは、機動性に乏しかつたということ、これはまあ材料もなかつたということもありまするけれども、敏速に即座に出動して行くというようなことがなかつたというように私は伺つておりまするが、これなども、やはり平素訓練なり指揮なりあるいは規律なりをほんとうに自然に自発的に守ろうとして、みずからの本分自覚してやつて来ておるならばそこまで行かなければならぬ。幹部に適当な頭のいい者があり。そうしておのずから統率し得る立場の人かおるならば、そこへ来なければならぬはずです。出動するのが遅れた、その機動性も乏しかつた、道県もなかつた隊員はこういう非常の際は大いに尽さなければならぬという気持はあふれておつたけれども、それほどにまだ行かなかつたというようなことを伺つておるのでありまするが、これらの点について、長官は、今度の事態に対してもほんとうに満足であつたとお思いになつておるのでありますか、いかがですか。
  10. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。ただいまの隊員たちはみな応募した人たちであります。御承知通り、昔の軍隊徴兵制でありまして、いやな者でも軍隊ヘ入らなければならなかつたが、今のへたちはみずから喜んで志願した人たちであります。私は彼らと接触した場合において、ここにそのよさを実際に感じたのでありまして、われわれこそほんとう日本の国の平和と治安を維持するべき者であるという自覚をそこから見てとつたわけです。これは最近の保安隊のよさであろうと見なければならぬと私は思うのであります。ことに、昨年の十月十五日から発足いたしました以後に保安隊に入隊いたした者は、大体においてその考えで来たものと了承いたしております。そこで私は、この保安隊はどうしても国民から信頼を受け、国民から愛せられるものでなければならないと常に言つておるのでありますが、それにはどうしたらいいかというと、団体生活と切り離して一個の社会人としても尊敬を受けるだけに修養を積んでもらいたいというのです。隊員としてはむろん、一箇の社会人としても尊敬に値するだけの修養はぜひしてもらいたい。私は常に申しております、保安隊人間修業の道場なり、この道場で大いに修業をする。ここに何が養われるか、友愛精神団結心、これであります。互いに相親しみ、相寄り相助ける、上官部下ことごとく相携えて、日本の平和を守り抜くのだ、そして国民信頼を得る人間たれ、これであります。この方針をとつて私はやつて来ておるわけであります。  今北九州災害についてのいろいろの御批判がありましたが、私は非難は聞いておりません。率直に申して非難は聞いておりません。みんなよくやつたと聞いております。幹部についてのお話もありましたが、その幹部についてのお話は、私の耳にはまだ達しておりませんから、十分その点については取調べまして、悪いところがあれば改善いたしたいと考えております。機動性のことについてもお話がありましたが、私の聞く範囲では、実はその非難は聞いておりません。すぐ要請がありまして、時を移さず総監部はただちに出動命令を出しまして、応急の処置をいたしておるように聞いております。しかしながら細末の点につきましては、いろいろ欠陥もあつたろうと思います。御承知通り保安隊はまだ発足以来日浅いのでありまして、完全とは申すことができません。悪い点はどこまでもわれわれは改善して行かなければならない。どうぞ欠点がございますれば遠慮なく御批判を願いたい。私どもはそれを率直に受けまして、改善いたしたい、こう考えております。  なお隊規のことについて敬礼云々のことがありますが、私は昔の軍隊のようなあの形式一点張りではいかぬと考えております。心で互いに尊敬し合う、ただ敬礼だけでなくて、形式だけを重んじているのではなくて、精神的にも結ばれなくてはならない、これであります。それからたくさんの隊員がおりますから、あるいは服装、敬礼その他の点について遺憾な点がございましようが、そういつたことはどうぞこの際には大目に見ていただきたい。逐次改善して行つて御期待に沿いたい、こう考えております。
  11. 松田竹千代

    松田(竹)委員 ただいまの御答弁の半分は私は了承できます。友愛精神をもつてほんとうに信じ合つて上官部下が相愛してほんとうの力を出すように努めて行くのでなければだめだ、形式的なものではだめだ。けれども団体行動にはある一定の形式が必要なのです。ことに日本人は長い間権力の前に屈従して来ることになれ切つてつた国民でありますから、まことに保安庁長官のおつしやることは好ましいことでありますけれども、それはなかなか一朝一夕にできる事柄ではない。また現在の状況を見ますと、幹部やあるいは専任下士官などというものと一般隊員がその居を異にしておる。うちに帰つてしまう者が多い。だから平素隊におるとき、あるいは訓練をするとき、訓示を受けるとき、そういうときだけは一緒におるけれども、一たびそうしたことから離れた場合の人間としてのつき合い、生活という場合になると、みんな離れ離れになつてしまう。昔の軍隊の場合は居をともにした。上官部下に対して特別の目をかけて、いろいろのめんどうを見てやるというようなこともあつて、そこにまた特別のつながりというものができていた。ところが今は士官あるいは下士官隊員はみんな別々に暮しておる。そういうところにやはり離れて行くというような傾向が強いのじやないかと思う。ほんとう意味信頼感を持たしめるという機会が現在は薄い。そういう点は一面においては難点である。これはどうしてもこういう軍隊生活に類する一つの厳格な規律をあくまでも守つて行くということが、むろん自覚に基くその精神から来なければなりませんけれども、それが絶対に必要なことであると思う。そうでなければ物の役に立つようにならない。機動性を持つようにならない、団体行動が敏速にとれない、かように私は思うのです。私もこの大きな国帑を使う保安隊にしばしば特別の関心を持つて隊員人々にともに会つてよく話を聞いておるのであります。その人々気持、将来への考えというようなことを幾たびか私はただして来ておる。その結果考えられますことは、まあこれは極端な場合かもしれませんけれども、まず二年の満期になれば自由に帰れるのだ、将来長く自分が隊におつて努力しようという人は少い。長くおるかと言つたら、大体は意思表示を急にしないのが普通です。いつでもやめようと思えばやめられるし、また満期になればすぐ帰つて行けると思います。まあ今ほかに適当なところもなし、月給ももらえるからまずしばらくおろうかというような考えの者も相当におる。私の話した人々にはそういう考えの者が相当におるということでした。だからこういう点もそう保安庁長官のごとく甘きに過ぎる行き方では、私はほんとうのものはなかなかでつち上げられないと思います。私はこれらの点を申し上げて、私の質問をこれだけにとめておきます。
  12. 稻村順三

    稻村委員長 平井義一君から関連質問がしたい旨の申出があります。これを許します。平井義一君。
  13. 平井義一

    平井委員 ただいまの松田委員質問に関連いたしまして、一言長官質問いたしたいと思います。ただいま木村長官保安隊精神は非常に旺盛である、こうおつしやつたのであります。それは実は見方の相違であると思います。先般新町保安隊を視察に行きました折に、新町保安隊幕僚長が日曜日などは保安隊隊員は前の鐘紡の女工と手をつないで和気あいあいと遊んでおりますといかにも手柄顔をして言つたのであります。これも許されておりますから、私は決して反対はいたしませんけれども、保安隊のある場所あるいは警備隊が置かれてある場所の住民から、保安隊員まねをしろ、あるいは警備隊員まねをしろ、こういうふうに思われるようにならなければ本物でない、こう実は考えておるのであります。われわれが考えるのに非常に体格はよくない、精神がまだしつかりしておらないと実は思うのでありますが、先ほど長官がおつしやつておりました通り、昔は徴兵制度でありましたが、今は志願兵制度である。志願兵制度だからいい者が来るであろう、こう考えますけれども、実は百姓をするよりも保安隊行つた方がいいのじやないかというような考えで入られては実はたまらぬのであります。この点から先ほど長官がおつしやつておりましたように、個人修養をしなければならぬ。個人修養というものは今の若い者はしない。そこで精神的訓練をだれか教える者があるか、あるいは教える気があるか、また保安隊員誇りを持たせる、すなわち国の治安に当るのだという誇りを持たせる何かの考えがあるかどうか。先般北九州水害におきましては、かなり働いたことは私も感謝いたしております。私も二週間ばかり行つて参りましたが非常によく働いておりますが年寄りの中には、ああこれが昔の兵隊であつたならば、もう少し早く片づくであろう——兵隊の話を今するわけにば行きませんけれども、また昔の兵隊のような軍国主義教育を受けたものであつてはなりませんけれども、この民主主義のもとに気合いのかかつたすなわち魂の入つた保安隊員をつくるのには何か長官考えておられるか、木村長官は信念も強いし、人格もりつぱな人でありますから、木村長官のごとき隊員を養う用意があるかどうか、これをお尋ねをいたす次第でございます。
  14. 木村篤太郎

    木村国務大臣 仰せごもつともで、精神的支柱をどういうぐあいに持たせるか、これはなかなかむずかしい問題でありますが、しかしこの保安隊には相当りつば幹部も入つております。それからまた時々いろいろな人のお話も聞くようにいたして、一面において民主的に、一面においてりつぱな精神を養うように常に講じておるのであります。幸いなことに先般私は北海道に参りまして、旭川部隊をつぶさに視察いたしました。ここには隊員約五千名ばかりがおりますが、そのうち約一割ぐらいの人は、夜さらに進んで高等科教育を受けたい、御承知旭川の市長はわれわれの同僚、先輩でございました坂東幸太郎さんでありました。この人も非常に心配されまして、何とかして保安隊の宿舎の附近に夜学の高等学校の校舎をつくつてりつぱな先生を入れて、そうしてその希望を満たさせたいという話で、私にまことにうれしく感じました。おそらく近くそういう運びに行くのじやないかと考えております。かような次第でありまして、隊員自身も何とかして人間として一人前のりつぱな者になりたいという希望を持つておるようであります。これは全般的に広がつて行きますると、一面において非常な若い人の修養ができるのじやないか、こう考えております。御存知の通りまだ保安隊設置以来日なお浅いのでありますから、これは今後の問題といたしまして、皆様の御調なり御意見なりを聞きました上において十分に考慮いたしまして、りつぱな保安隊をつくりたいと存ずる次第であります。
  15. 平井義一

    平井委員 よくわかりました。今後増員する場合があるかどうかわかりませんが、試験をする場合には特にりつぱな隊員をとつていただきたい。りつぱな隊員ができますならば、社会党の諸君もあまり反対はされぬのじやなかろうか、こういうふうに考えまするので、どうかりつぱな保安隊をつくつていただくように希望いたします。
  16. 稻村順三

  17. 中村高一

    中村(高)委員 今度提出されております保安庁の予算について新聞などで見ますると、改進党は二百億削減をするという意見だそうであります。それに対して改進党と自由党との話合いの結果が新聞に出ておりまするのを見ると、自由党は九十億ないし百億を削減せられるというような折衝中だというのであります。だんだん削られて行くことは事実のようでありまするが、いくら削られても議会で削るのであればやむを得ない、それとも保安庁が提出した予算は、絶対これは不動のものであるという信念でおやりになつておるのだと存じまするが、手をもがれ足をもがれても長官はおさしつかえないのでありますか、それとも職を賭しても提出した予算をお守りになろうとするのか、お尋ねいたしたい。
  18. 木村篤太郎

    木村国務大臣 もちろんわれわれは提出いたしました原案を何とかして議会の御承認を得たいと考えております。しかし御承知通りあなたが常に仰せになるように、国会は最高機関でありますので、最高機関でおやりになることならば、われわれはそれに服従するよりいたし方ないのであります。しかし私はどこまでも原案の通過を望む次第であります。
  19. 中村高一

    中村(高)委員 どうも長官の決意がはなはだ鈍いようでありまして、これはおそらくあなたの方の吉備計画というものの根底がゆらいでおる証拠だと思います。もしも長官が五箇年計画の警備計画なり、あるいはどうしてもこれだけのものが必要だというならば、おそらく国会でも相当賛成をする人もありましよう。ところが長官自身が削られるならばやむを得ません、国会は温帯の意思だからというのでよろしいならば、いくらでもまた削る考えも出て参りますし、この辺のところはどうしても私は今後の長官の警備計画というものと関連を持つものでありますから、もう少しこの予算に対して信念的な考えを持つてもらわなければならぬと存じますが、もし修正をされまして、約百億とかりに改進党と自由党との妥協で話がついたとしますならば、どの予算をお削りになりますか。(「それは大蔵省だ」と呼ぶ者あり)これは大藏省じやない、保安庁の予算を聞いておるのですから、保安庁がわれわれに出しておりますこの要求の中にありますもののどういうところを削るのかお尋ねをいたしておきたいと思います。
  20. 木村篤太郎

    木村国務大臣 原案がどの程度に削られるかどうかということは、私聞き及んでおりません。これは一に各党の折衝にまつよりほかいたし方ないのであります。それで私が先ほども申し上げた通り、どこまでも当局者としては原案で進みたい。それをどう削るかということは、これは皆様御協議の上でやることでありますから、私はどの点を削つていいかということは申し上げられません。
  21. 中村高一

    中村(高)委員 長官の警備計画というものの決心を一応ただしておいたのでありまするが、どうもそれほど強い、どうしてもこれを守つて行かなければならぬというほどの決意があるようには見えぬのであります。  次は保安隊目的といいますか保安隊の使命といいますか、先日来たびたび大勢の者から聞いておりますから、大体は承知をいたしておるのでありますが、国内の警備を主とするものでありますことは長官の説明でわかるのでありますが、国内の警備を目的とし、万一治安が乱れるというような場合にはこれを発動するのだと思うのでありますが、もしそういう事態が起るとしますならば、日ごろ何か想定を持たれるのだと思うのであります。たとえば軍隊を持つ場合には、共産主義の国が侵略して来るから、これに対してどういう軍備をするという想定もありましようし、あるいは軍隊についてはどういう方面から侵入して来るというようなことを日ごろ想定をもつて訓練を六れるのだと思いまするが、国内治安目的としておりまする保安隊は、国内において万一治安を乱すようなものがあると考えて対策を立てておると存じまするが、どういうものを予想せられてこの治安を乱すものに対しての訓練の対象としておられますか、お答を願いたいと存じます。
  22. 木村篤太郎

    木村国務大臣 どこにどうあるという具体的の対象を持つてつておるのではありません。あらゆる場面を考えまして適宜そういうものに対処し得るように訓練しておるのであります。
  23. 中村高一

    中村(高)委員 あらゆる場面というのはまことにあいまいでありまするか、おそらく暴動が起るとしますれば、共産党の暴動であるとか、右翼の暴動であるとかいうものが考えられるのだと思うのでありまするが、そういうようなことについてもはつきりしたことは想定しておらないと言われるのでありますか。
  24. 木村篤太郎

    木村国務大臣 具体的にどこから暴動が起、どこに擾乱が起るというようなことを考えてやつておるわけではありません。あらゆる場面を総合判断して、訓練をやつておるのであります。
  25. 中村高一

    中村(高)委員 もし長官の言われるように国内治安を対象とするというようなことでありまするならば、警察との間は、どういうふうなことを日ごろ考え訓練されておるのか、たとえばさきに問題になりましたメーデーの騒擾のような場合に、あれは警察だというお言葉でありましたが、これがどの程度になれば出動をするのか、おそらくその時と場合によつて出動すると言われると思いまするが、保安隊日本警察との間においては、おそらくそういうことを想定しまするならば、いざという場合には共同作業ももちろんやるのでありましようし、いろいろの連絡もとらねばならぬ場合も考えられると思うのでありまするが、日ごろ警察との間におきましては、どんな連絡とどんな用意をやつておりますか。
  26. 木村篤太郎

    木村国務大臣 申すまでもなく保安隊が出動するときは、これは警察の力をもつてしてはとうてい対処し得ないような場合であります。今お話になりましたようなメーデー騒擾事件、これに保安隊を出していいのかどうか、こういう具体的なことになりますると、時の情勢の判断は各責任者がやるのであります。あらかじめこんな場合に出る、こういう場合には出ないということを計画しておるわけではありません。その時時の場合によつて情勢判断を責任者がやるわけであります。警察との間におきましても、そういう場合には種々連絡をとつてつておるのであります。日ごろにおきましても情報を互いに持ち寄るとか、あるいは訓練はこういうぐあいにしたらいいというようなことで連絡をとつておるわけであります。
  27. 中村高一

    中村(高)委員 警察との連絡というようなものを具体的にどういうふうにとつておるのか、連絡をしておるという程度しかわかりませんけれども、実際においては保安隊目的がそういうものであるとしますならば、今までは名称までも警察の予備隊という名前がついておりましたから、これは警察との間も非常な密接なものであるということは、名前からいたしましてもよくわかるのであります。今は保安隊と、うよな名前にかわつておるのでありまするが、今までは予備隊であつたからおそらく警察で必要な場合にはその予備として出動するというこうが容易に考えられるのでありますか、具体的には日ごろたとえば幹部との間にいろいろ情報の交換をするとか、万一の場合を想定をして、出動の場合にはどういう連絡をするとか、そういうような具体的なことについても連絡をおとりになつておるのでありますか。
  28. 木村篤太郎

    木村国務大臣 警察保安隊幹部の間には、時々会合いたしまして、いろいろなことを協議いたしております。
  29. 中村高一

    中村(高)委員 保安隊の中には、国内治安の状況というようなものを常に研究して対処しておるのだろうと思うのであります。さもなければ実際において国内の完全な治安を保つというようなことはできぬのでありますから、思想方面というようなものを調査するとか、担当するとかいうような係があるのでしようか。
  30. 木村篤太郎

    木村国務大臣 思想の面を調査する係は設けておりません。これは公安調査庁でやつております。
  31. 中村高一

    中村(高)委員 そうしますと公安調査庁の方で調査をしたものが保安庁の方に来るのでありますか。そうするとそういう国内の動きというようなものに対しては、全然公安調査庁にまかせておいて、保安庁としては何もそういうことに対する調査、研究というようなものは、自身ではおやりになつておらぬのでありましようか。
  32. 木村篤太郎

    木村国務大臣 今思想の調査をやつておるかというお尋ねであつたのでありますが、思想の調査は保安庁はやつておりません。公安調査庁であります。国内情勢、治安情勢は公安調査庁とも連絡をとり、また保安庁の方でもやつております。
  33. 中村高一

    中村(高)委員 保安隊に関しましてさらに具体的な問題を二、三お尋ねいたしておきたいのであります。今度の予算など見ますというと、飛行機を保安隊警備隊も町方とも用意をしておるようでありますが、この飛行機は浜松にあるというこの前長官の説明でありました。また浜松にあるものは、おもちやみたいな飛行機だという説明でありました。発動機も何も手で動かすのだという……(笑声)きわめて簡単なもののようなことを言われました。  また今度飛行機を陸の方で五十機、海の方で五十機つくられるそうでありますが、この飛行機はどういう性能のものでございましようか。
  34. 木村篤太郎

    木村国務大臣 この飛行機は主として通信、連絡、観測用であります。ぜひ私は飛行機はほしいと思つております。今度の北九州の水書のときにも、なぜ飛行機を寄越してくれないかという非常な要望がありました。もう少し早くわれわれヘリコプターなり飛行機なり持つておれば、救緕ももつと迅速に行つただろうと思います。これは通信あるい連絡、この方面に活用いたしたいと考えておるのであります。
  35. 中村高一

    中村(高)委員 普段は通信にもお使いになるでありましようし、水害などのときに使つてくれればまことにけつこうですが、全然戦闘には使えない飛行機ですか、通信ばかりですか。
  36. 木村篤太郎

    木村国務大臣 はなはだ失礼ですが、中村委員はもう少し飛行機のことを御研究願いたい。かような飛行機は戦闘には決して役立つものではありません。戦闘に役立つ飛行機と今申し上げた飛行機とは、その性能あるいは規格全然異にいたしておるものであります。
  37. 中村高一

    中村(高)委員 そうすると、全然戦闘に使う飛行機ではないというお話でありますが、今後保安隊並びに警備塚においては、こういうような通信専門の飛行機以外の飛行機をつくるという考えはありませんか。
  38. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいまはつきりそのことはお約束できません。国会においてこの自衛力漸増をお認めになつて、そういうものを必要なりとすれば、そのときはまたつくることになるでありましようが、ただいまの段階におきましては、要求しておる通りのものをほしい、こう考えております。
  39. 中村高一

    中村(高)委員 そうすると今後の推移によつては、そういう戦闘の能力を持つ飛行機もつくる場合がある、そういうふうに解釈してよろしいですか。
  40. 木村篤太郎

    木村国務大臣 そういうことは考えられます。しかしすべてそれは国会での御審議を願つて、国会の御承認を得てからのことであります。
  41. 中村高一

    中村(高)委員 その飛行機は、日本で製造をさせるのか、あるいは米国から今までのように借りるなりあるいは買つて来るのか。船舶にいたしましても、あるいは飛行機などにいたしましても、順次保安隊が増強をされて参りまするならば、保安隊の使用する武器というようなものは相当性能の古いものも持たれておるのでありますからして、一々これがアメリカからばかり借りて来るとか、買つて来るとかいうような場合ばかりを望むわけにはおそらく行かぬのだろうと思いますが、兵器は日本国内でつくるような考えがありますか。
  42. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私みずからの考え方では、なるたけ日本でつくつたものを使用いたしたいと考えております。しかしながら、あるいは時期とか価格とかその他いろんな点がありまするから、これをどうするかということは、今後よく研究してからきめたい、こう考えております。
  43. 中村高一

    中村(高)委員 今のは木村試案だと思うのでありますが、昔軍がありましたときには、至るところに造兵廠のようなものがありまして、これが日本の兵器をつくつてつたのでありますが、まだ現在でも海軍や陸軍の造兵廠の残りなどが、そのままの形かどうかは別といたしまして、払下げなどいたしておるのでありますが、この造兵廠であるとか、あるいは兵器廠というようなものが将来全然考えられないとは思いませんけれども、そういうものに対してはどういうお考えでありましようか。
  44. 木村篤太郎

    木村国務大臣 政府といたしましては、将来造兵廠を持つなどということは別に考えておりません。いわゆる前の造兵廠あたりは民間に貸下げの建前をとつております。
  45. 中村高一

    中村(高)委員 船舶の建造費というものもあるようでありますが、警備隊の使用いたしておりまする通常の船舶は、もちろん日本の造船所でできると思うのでありますが、アメリカから借りて表られたようなあの種のものが、日本の造船所でもむろんできると思うのでありますけれども、これはどこへ注文するのでありますか。
  46. 木村篤太郎

    木村国務大臣 往文先はまだ決定いたしておりません。
  47. 中村高一

    中村(高)委員 今度の予算の中に債務の負担行為によるあらかじめの承認を求めるという金額が百億もありますが、これはどういう負担の契約をしようという予想で百億をお出しになつておりますか、その内容を承りたいと思うのであります。
  48. 木村篤太郎

    木村国務大臣 船舶と施設であります。大体大きなものは船舶です。
  49. 中村高一

    中村(高)委員 そうしますと、具体的にまだどういうものかというようなものが決定をしておらぬのに、これだけの金額をあらかじめ承認を求めておるようにも見えるのでありますが、普通の予備費やなんかとは性格的に違うと思うのでありまするが、それは一つの計画に基いたものでなければ、こういう予算の提出はないはずであります。もつと具体的にいいますと、船舶なら船舶をどのくらい、どういう船舶を予想しておられるのでありますか、施設はどういうものを予想しておられるのでありますか、これをお尋ねをいたしておきます。
  50. 増原恵吉

    ○増原政府委員 たとえば船舶について申し上げますと、千六百トン型のものが二隻、千トン型のものが一備船として三隻、これが主要なものでありまするが、千六百トン型一艘約二十四億、千トン型で約十六億であつたと思いまするが、そうしたような予算額のものであります。これを予算外国庫負担契約をお願いしておりまするのは、契約としましては、全体を造船会社に契約をしなければなりません。但し金の支払いをいたしますのは、契約の際に幾割、進水の際に幾割、全部終つた場合に幾割というように金の払い時期がありますので、二十八年度に全部払う必要がないというので、船舶につきましては約半額が二十九年度にまわりまして、国庫負担債務契約をお願いをする。施設関係もやはり前渡しをする分は幾割、でき上りました際に残額が幾割というようなことになりまして、これも二十八年度中に竣工をしないものが大体二割五分見当というふうに見まして、これを二十九年度の方にまわしまして、国庫負担行為にするというふうなことで、約百億を二十九年度に延ばしておるということであります。
  51. 中村高一

    中村(高)委員 そうしますと、千六百トンの船が二つ、一千トンの船が三つ完成をしますと、また当然乗組員の増員というようなものが出て来るのだろうと思うのでありますが、これに対しては乗組員をどのくらい増員せなければ、このでき上つた船は動かないのでありますが、増員の数と予算関係についてお尋ねいたします。
  52. 増原恵吉

    ○増原政府委員 船舶関係でこのたびお願いしておりますものができ上りますと、その際やはり増員をお願いしなければならないと思います。大体二十九年度の後半からということになると思いますが、大体の見当は約一千三百名程度でございます。
  53. 中村高一

    中村(高)委員 そうするとその千三百名の増員は来年度に増員されて来る予定ですか。
  54. 増原恵吉

    ○増原政府委員 来年度にお願いをするようになる予定であります。
  55. 中村高一

    中村(高)委員 そうすると来年度は海上警備隊としてはそれだけの増員でありますから、おそらく要員なども同時にふえて来ると思いますが、来年度の警備隊の増員の予定と、それから陸の保安隊の方の増員の予定はどのくらいになりますか。
  56. 増原恵吉

    ○増原政府委員 この予算にお願いしておる船舶の建造を認めていただけば、次に千三百名程度は警備隊の方において増員をお願いしなければなりませんが、爾余のものにつきましては、まだ考えがまとまつていない段階でございます。保安隊の方もそうであります。
  57. 中村高一

    中村(高)委員 もう一度お尋ねしておきますが、保安隊兵隊……。(「兵隊ではないぞ」と呼ぶ者あり)兵隊の階級にある人々の給与は、平均しますと年にどれだけもらつておりますか。一体幾らの給与ベースで給与を受けておるのであるか。それから今までは二箇年たつて退職する場合に六万円もらうと聞いておりましたが、これはその後どうなつておるのか。この点についてお伺いいたします。
  58. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 保安官、警備官の給与のことでありますが、これは前回予算委員会でも申し上げましたが、一般職の公務員の給与のベースにならいまして、それを基準といたしまして給与のベースをきめております。保安官、警備官につきましては各階級ごとにその俸給をきめておるのであります。たとえて申しますと一等保安正、一等警備正というものは一般職の公務員の給で申しますと十二級に相当するものとして格付いたし、十三級の一号を一等保安正、一等警備正の初号の計算にとつて、いろいろな要件をかげんいたしまして俸給額を決定しております。ただいまの二十八年度の予算におきましては保安官一人あたり平均給与八千九百五十円というふうになつております。  それから退職給与につきましてお尋ねでございますが、当初昭和二十五年に募集いたしましたときには、六万円の特別退職手当を支給するということで募集したのでありまするが、昨年の募集の際からいたしまして、一般職の国家公務員の退職手当の例にならいましてこれをきめることにいたしました。ただしかしこれは二年という特定の期限付のものでありますので、その点を考慮いたしまして、俸給日額の百日分を、二箇年の期間を経て退職します者に支給することにいたしております。大体申しまして、二年たつてやめますときには普通の者は保査長になりますが、保査長の初号は一給二百十円でありますから、一級二百十円で計算いたしますと三万一千円というふうになります。
  59. 中村高一

    中村(高)委員 質問を終ります。
  60. 稻村順三

    稻村委員長 鈴木義男君から関連質問をしたい旨の申出があります。これを許します。鈴木義男君。
  61. 鈴木義男

    ○鈴木(義)委員 私は関連しておるとともに緊急な問題について質問申し上げます。きようの夕刊によりますと、どの新聞もが扱つておりますが、アメリカのダレス国務長官日本の二十八年度の予算に言及して、日本は日米相互安全保障条約においてその経済力の許す範囲でみずからを直接侵略から守る機関を漸増することが期待されておる、その兵力は——全然兵力という言葉を使つておりますが、防衛的性質のもので、日本国土の安全を守るためにのみ使用されるようにされておる、日本防衛力の当面の目標は十個帥団である、日本政府の二十八年度の予算案はこれを考慮してつくられている、さらに日本が共産主義の支配下に陥ればたいへんなことである、当地において考えておるよりもずつと代償が高いものにつくであろう、日本の憲法は軍備を禁止しておるから保安隊という形をもつてつておる、こういうことを上院歳出委員会においてマグナソン議員の質問に答えて証言をしておるということが報道されておるのであります。政府はこのことについてどこまで御存じであるか、ひとつはつきり承りたいのであります。
  62. 木村篤太郎

    木村国務大臣 こういうUP通信の入つたことは存じております。しかしダレス氏がはたしてかような言をはいたかどうかという事実については何も関知しておりません。
  63. 鈴木義男

    ○鈴木(義)委員 多分そんなふうにお答えになるだろうと思つておりましたが……。一体アメリカでは保安隊を兵力と見、日本ではあくまで戦力でないというふうに日本政府は解釈をするわけであります。政府及び与党のほかにそう解釈する人はないと思いますが、今後もあくまで警察力である、軍隊ではない、戦力ではないというお考えでありますか。
  64. 木村篤太郎

    木村国務大臣 前々から申し上げた通り、ただいまの保安隊は憲法第九条第二項の戦力に該当しないという考えであります。
  65. 鈴木義男

    ○鈴木(義)委員 いやしくもアメリカの国務長官ともあるものが、日本政府は二十八年度予算に十個師団を装備するという予定を十分織り込んでいると言つている。もつとほかの箇所を読んでもよろしいのでありますか、今後も増強をするように援助するということを証言しておるのであります。それならばダレス国務長官は無責任なことを言うはずがない。日本政府との間に何らかの連絡があるものと考えなければならぬのはあたりまえであります。また連絡がある以上は保安隊の最高長官たる木村国務大臣がそれを知らないということはあまりにも無責任なことで、信ずることができないのであります。いま一度伺いたい。
  66. 木村篤太郎

    木村国務大臣 私はさようなことは知つておりません。また外務省にもおそらくあらかじめかようなことを言うということは連絡はなかつたろうと思います。私は無責任じやないと思います。何ら関知しておりません。
  67. 鈴木義男

    ○鈴木(義)委員 木村長官はかなり白を黒と言い、さぎをからすと言うことは相当つらいということを閣議の席上でも言われたということが伝えられておりますから、これ以上質問申し上げてもお答えを得られないと思いますので、総理大臣、外務大は、その他の責任者を当委員会に出席を求めまして、質問を継続することを留保して打切つておきます。
  68. 島上善五郎

    ○島上委員 きようは五段見出しで大きく出ておりまするが、実はアメリカが日本に十個師団要求することは私どもとつくに知つておる、そこで知らぬ存ぜぬと言つてとぼけておればいたしかたないので、そのことを私は今あらためて聞こうとしませんか、MSAの援助にからんで今後交渉が進展をいたしましても、アメリカの要請である十個師団ということに対しては、少くとも本年度においては断じて増強しないというそれほど強い信念であるかどうかということをはつきりとお答え願いたい。
  69. 木村篤太郎

    木村国務大臣 われわれが提出いたしました二十八年度の予算をごらんくだされば明白であります。ああいう金額でもつて十個師団なんか増員するなんということは思いもよらぬことであります。どうぞ十分にあの原案の要求書を御検討願いたい。十個師団というのはどのくらいの費用がいるかということをお調べ願えばきわめて明白であります。
  70. 島上善五郎

    ○島上委員 現在の予算は大分削られておの表するし、自由、改進の話合いによつてさらに削られますから、その予算ではそうでしよう。しかしMSAの援助を受けるということになれば、どういう形であるか知りませんが、装備を強化するとか、兵力量を増員するとかいう問題も起りましようし、さらに私ども伝え聞くところによれば、政府はことしの秋の補正予算は当初考えておらなかつたのが、最近に至つて方針をかえて補正予算をこの次の臨時国会に出さなければなるまいというふうにかわつて来たということを聞いておる。ですからテメリカのMSAの軍事援助ないしは補正予算等に関連して、保安隊を十個師、十五万程度にふやすということを断じて考えていないなら、いないということをこの際はつきり明言していただきたい。
  71. 木村篤太郎

    木村国務大臣 二十八年度において十個師団に増設するなんということは私は考えておりません。
  72. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私が質問したいことはみな他の方がなさつたから申し上げませんが、私は今度北九州水害見舞にみずから行つて保安隊の方が非常な働きをせられたことを心から感謝いたしておる一員でありますが、但しその際に多少不安に感じた点がありますので、ただ一言このことについて長官の御意見を承りたいと思います。私が感じた点は、至るところ罹災民は保安隊に来ていただいて非常に心から感謝しておりましたが、ただ今度の事件では二千億の巨額に上る災害をこうむつておるのであります。人も一千五百名以上死んでおる。負傷した人を加えると三千名の多きに及んでおる。ああいう状態から見て、九州地方の災害であるからまず九州にある四管区の保安隊が出動すればそれで事足れりと即断しているかもしれませんけれども——これは私どもみたいなしろうとのたいへん失礼な申上げ方かもしれぬけれども、おそらく内乱にしてもあんなに二千億円の損害とか、人が千何百人も死ぬなんということは大変な事件である。われわれがしろうとから見たところでは、あれは九州管内の保安隊のみではない、場合によつては中央からも相当出動していただきたいと思つたのですが、お話を聞いてみると中央からも出動していただいたそうでたいへんけつこうでございます。しかしそれでも私どもは国民の立場において、保安隊は戦争の道具じやない、真に国民のああいう危急な場合にわれわれを助けていただく救いの神であるという信頼感が今浮んでおる。こういう際には中央の方で思い切つてもう少しよけいお出しになつて救済された方がいかがなものか、こう思つたのであります。その証拠には、今長官もおつしやいましたが、飛行機は偵察とか連絡くらいである。私はこういうことを思つておるのでありまして、これは乱暴かもしれませんが、保安隊の本部には、保安隊長官の他のいろいろな方かいざという場合にはただちに現地に出動して実情を偵察するだけの航空機の常備の必要がある。この点から東京附近の羽田もしくは立川附近に輸送機の一機や二機はあつてもしかるべきものだと思う。今回現地においてはアメリカの飛行機なんかが飛んでおる、それからヘリコプターも飛んでおるのを私は見受けましたが、実際上から言えば保安隊の装備の上において、中央にいま少し——さつきの松田さんの質問にもあつた通り、機動的な性質を帯びた用意が必要ではないかということを考えましたが、これは私のよけいな老婆心でしようか。念のためにお尋ねいたします。
  73. 木村篤太郎

    木村国務大臣 まことに御適切な御意見でありますが、われわれの及ばないところをまことによく尽しておるものと思います。しかし施設部隊が松戸からも豊川からも行つております。金沢からも衛生部隊行つております。海上警備隊の方も船を相当出動させた。それで今度われわれはかようなものを十分整備いたしまして、災害のあるときにはそれらが出動して、遺憾なくその使命が達成できるようにいたしたいと考えております。
  74. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私が考えまするに、あの地方でも警察官や警固隊員が盛んに出動しておる。むろん保安隊も鉄砲を持たずに丸腰で活動しておつたからあれはたいへん嬉しかつた。内乱があつた場合に鉄砲を持つてつてもらうのもありがたいけれども、日本はああいう水害とか、火災とか、地震とか、あらゆる天災の多いところなんですから、保安隊は平生鉄砲ばかり持たずに、たまには消防ポンプも持つたり——今度はシヤベルを持つて行つて手持ちぶさただつたという批評もあつた。だからこういう平生の水害とか、火災とか、地震とかいう際において、人命救助、いわゆる国内治安、生命財産の保護という立場において、もつと適切な——鉄砲ばかりを持たず、ああいう方面に用意も必要じやないかと思いますが、この点はどうお考えになりますか。
  75. 木村篤太郎

    木村国務大臣 まことにその通りであります。実は北海道における山火事のときにも四百五十名ばかり出動したはずであります。そのときもやはり火災の際に使うべき機具がまつたく不足しておりました。今後これらの点について十分考慮いたしまして、万違算のないようにいたしたいと思います。
  76. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私の質問はこれで打切ります。
  77. 稻村順三

    稻村委員長 他に質疑はございませんか。——御質疑がなければこれにて質疑を終了いたします。  次に本案を討論に付します。討論の通告があります。これを許します。島上善五郎君。
  78. 島上善五郎

    ○島上委員 私は日本社会党を代表して、ただいま上程せられておりまする保安庁法の一部改正案に対して反対をいたします。  なぜに反対するか、簡単にその理由を申しますが、国内治安を維持するためであるということが保安庁法にもはつきりと書かれておりまするし、今までの質問の際に終始そのように答弁されておりまするが、しかし保安隊の実態は、からすをさぎと言うのに御苦学なさつておるように、すでに軍隊、ごまかしの再軍備といつてよろしい状態に進んでおる。少くとももう卵ではない。ひなになつておる。そのひなも小さい生れたてのひなではなくて、中びな程度になつて、これが鶏になるのは明瞭なんだ。岡内治安維持のためには、戦車や高射砲や飛行機やバズーカ砲というものは、少くとも日本国内治安を守るためには今日必要としない。富士山麓の演習を見ましても、明らかに乍と軍との対抗演習である。師団対抗演習である。日本には、かりに国内で多少擾乱があることを予想されるとしましても、戦車や飛行機やあるいは今の保安隊か持つていると同じような装備を持つたものが反比を起すなどとはとうてい考えられない。すでに保安隊は、国内治安維持という保安庁法の第四条ですかに規定している性格を逸脱しておるということが言えると思います。西日本水害の際に出動して感謝されているということは事実でありましようし、私どももけつこうだと思いますが、しかしこれまた一昨日来の質問で明らかになりましたように、そういう水害とか震災に出動することと重視して、そのための訓練やそのための施設、装備というようなものは現在ないということも明らかであります。今回の増員はフリゲート艦及び上陸支援艇の乗組員の増員でありますが、これも今取消しましたけれども、海軍という言葉を使つた事実でもわかりますように、これも海軍の卵から海軍のひなにかえる、こういう状態であつて日本海岸の方向を目ざしておると私はこう考える。MSAの援助を受けますれば、これがさらに質量ともに強化される。アメリカ上院におけるダレスの証言は、私は今は考えていないということでございますが、だんだん先ヘ行けば、あのときは考えてなかつたが、今は今、情勢がかわつたと言うに違いない。ちやんと先が見えている。かくして保安隊は、国内治安維持の域から脱して、米ソの対立の中にあつて、アメリカ側に立つて世界の対立を激化せしめ、第三次戦争を誘発するという危険な方向を目ざしておる。そうして不幸第三次戦争もしくは朝鮮動乱のような事態になりますれば、その際は自由諸国という体裁のいい言葉でもつて、実はアメリカの人的資源に使われる危険性が多分に予想されるのであります。さらにこのためには国家財政に大きな負担を負わせ、国民生活を圧迫することになることも、これは必至であります。現にもうすでに年々一千億に近い大きな負担が国家財政にかけられておる。そのために国民生活が大きく圧迫されていることは明瞭であります。われわれはもとより国内治安をわれわれ日本人の責任において守らなければならぬということは当然認めるのでありまするが、しかしそのためには何よりも大事なことは、国内で社会不安が大きくならないように国民生活を安定せしめるということに、まずもつて大きく力を注ぐべきであり、さらにその上には、国民が親しんで協力できるような民主的な警察力があれは、事が足りるのであつて、今日のような保安隊は必要がない。特にフリゲート艦、アメリカでは軍艦と言つておるものを日本へ持つて来て、アメリカの旗と日本の旗ととりかえたとたんにこれが船になる。これはまさにさぎをからすと言うたぐいですが、そういうふうにして国民をごまかして、着々と再軍備の実績を築き上げて行こうとする意図を持つておりまするがゆえに、私どもはこの法律の一部改正に対して断じて賛成することはできません。反対であります。以上簡単ではございますが、日本社会党を代表して反対いたします。
  79. 稻村順三

  80. 平井義一

    平井委員 私は自由党を代表いたしまして、本法案に賛成討論をいたすものであります。  御承知のごとく本法案は、すでに前国会で承認を得た日本国とアメリカ合衆国との間の戦船貸借協定に基きまして借り入れたところの船舶に対する乗組員、これに充てる要員並びに警備隊、学校その他の施設に充てる必要の人員であつて任務遂行の円滑をはかるためのものであります。せつかく借りた船舶が乗組員がなくて遊んでおるというような状態であつてはならない。一日も早く任務を遂行しなければならない。またこの増員は、MSAと関連するところの保安隊警備隊の増強計画とはまつたく無関係のものでありますので、自由党といたしましては賛成をいたす次第でございます。
  81. 稻村順三

    稻村委員長 鈴木義男君。
  82. 鈴木義男

    ○鈴木(義)委員 私は日本社会党を代表して反対意見を表明いたします。  本来これはわれわれが反対をした保安隊の一部の増強でありまして、全体として反対をしておるのでありまするから、その部分に対して、人員の増加かわずかであるからというので賛成をいたすわけには行かないのであります。この十一万九千九百四十七人が十二万三千百五十二人になる、わずかでありまするけれども、十二万という数は確かに十個師団に相当をするのであります。ダレス長官は間違つたことを言つていると申す人もありますけれども、アメリカから見ればりつぱに十個師団をつくつておると見ることがあたりまえであります。その他の点においては島上委員の御討論を引用いたしまするが、私どもは、国内治安を守るための警察力の充実の必要は感じておるわけであります。ゆえに警察力を増強するというふうな、その規模、その機構によりましては賛成するにやぶさかでないのでありますが、憲法から見て、断じて保安隊あるいはこれに類似する戦力と見るべきものを持つことはできないはずであります。憲法をあのままにしておいて、そうしてあえて戦力に当るものを持つということは、憲法を無視するもはなはだしきものであります。憲法を守る立場からも断じて賛成するわけに行かぬのであります。その点は改進党あるいは鳩山自由党の方がよほど正直ではつきりしておると思います。アメリカのある一言論機関が、日本は妊娠六箇月の軍隊を持つておる。だんだんつくつて、そうして厳粛なる既成事実を認めて行く、こういう方針であるといつている。これは吉田内閣のやり口でありますけれども、まことにもつてのほかであるとわれわれは考えております。これは広く国論に問うて決すべき国策の大問題である、いい加減にごまかしのうちに進行さすべきものでないと思うのであります。その見地からも遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。融和に述べればいくら述べても切りがない、わが党の立場はすでに天下に公表してありますから、その前提に立つてこの法案に反対であるということをもつて私の意見を終ります。
  83. 稻村順三

    稻村委員長 高瀬傳君。
  84. 高瀬傳

    ○高瀬委員 私は改進党を代表いたしましてこの保安庁法の一部を改正する法律案に対して賛意を表するものであります。  先ほど自由党平井委員より申し述べられましたように、この法案を改正するに至つた原因と動機を考えてみますと、日本とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定に基いて、これの運用のためにある一定の人員が必要であるというのがその根本的の提案の理由のようであります。なるほど先ほど島上君はフリゲート艦を軍艦だなどと言われましたが、私の了解するところではあれは沿岸防備艇ともつかないし、浚渫船に毛のはえたようなものでありまして、あれはとうてい軍艦などというべきしろものではないのであります。従つて日本の沿岸を警備する程度のものであることは私ははつきり賛成いたします。しかもたびたびこの委員会において木村保安長官の言明をわれわれは聞きましたが、率直に申して今の日本保安隊がいわゆる日本本土の防衛及び治安にだけ使用されるものであるということについては、私はそれほど反対の意を持つておりません。ただタンクを持ち、大砲を持ち、いろいろ持つていることは非常にふしぎでありますが、とにかくあの程度のものではまず国内の防衛、治安の維持というものであることを私は率直に認めます。本日のワシントンからのニュースによりましても、ダレスの言明も日本保安隊というものは国内秩序を維持し、国内の防衛をするもので、いわゆる間接侵略に対して辛うじて用意している程度のものであるということは認めておるのであります。われわれもこの点を率直に認めるのにやぶさかではありません。ただ一つ改進党の立場を私ははつきり申し述べておきたいことは、将来の問題であります。ここにダレスの言を引用するもはなはだ僣越でありますが、これは私どもの最も主張したい点でありますから、一応速記録にとどめておきたいと私は思います。ダレスはその公聴会の一部分で、「日本は太平洋の自由諸国の安全保障を強化し、同地域の生活水準を引上げるために大いに寄与できる地位にある。」それからが大切なのであります。「日本は直接または間接の侵略に対しみずから防御するため日米安全補障条約のもとでその経済力の及ぶ限りの責任を一層果して行くものと期待される」こういう一項がございます。これは先般この委員会において私が木村保安長官に対してあの日米交換文書を引用して説明いたしましたように、わが国のMSAを受入れる根本的な考え方と、アメリカ側が日本にMSAの援助を与える根本的考え方に昨常な相違があることをこのダレスの言明ははつきりと明らかにしておるのであります。率直に日本の保参安隊は将来間接の侵略に対してのみならず、むしろ個別的、集団的防衛の強化ということをあの交換文書で言つておりますが、そういうようなことを期待しておるのであります。直接、間接の侵略に対して日本ははつきりとした防衛体制をつくるべしという一つのアメリカ側の考え方を今回ダレス長官の言明においてはつきりと示したのでありまして、木村長官がたびたびのこの国会における言明において言われたことは、われわれも国会議員として率直にこれを認めますけれども、こういうように日本が特にこのMSAの援助についてアメリカに対して単なる経済援助を受けようと思つているのに、向うは経済援助と並行してそれよりもむしろ直接侵略に対して防衛体制を整えるという意味でMSAを与えるという考え方をはつきりといろいろな形で言明して、むしろ私はわが国の指導者を向うの政府の指導者が指導している、こういうふうに了解するのであります。われわれ改進党といたしましても、いわゆる今の曖昧模糊たる保安隊の形から直接、間接の侵略に対して防衛できるはつきりとした自衛車の創設を主張している立場におきまして、今後ぜひとも政府のこの自衛軍の問題に対する善処方を要望し、またそれについて将来はつきりした方策が政府に樹立されたならば、必ず本国会にその方針を明らかにされ、国会の審議の上に立つて堂々といわゆる個別的、集団的安全保障の域に日本を置かれんことを私は希望し、この問題はそれとは別個の問題であるがゆえに私は賛成を表するものであります。  なお先般来非常にこのMSAの問題について関連質問が行われておりましたが、わが党は、予算総会におきましてもなお種々意見を開陳しておりまする現段階におきまして、この法案とは別個総括的な質問についてはさらに続行する権利を留保いたしまして賛成いたします。
  85. 稻村順三

    稻村委員長 これにて討論は終了いたしました。  採決いたします。保安庁法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  86. 稻村順三

    稻村委員長 起立多数、よつて本案は可決いたしました。  なお本案についての委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願います。     —————————————
  87. 稻村順三

    稻村委員長 この際お諮りいたします。恩給法の一部を改正する法律案につきまして厚生委員会及び海外同胞引揚及び遺家族保護に関する調査特別委員会より連合審査会開会申入れがありますので、両委員会と内閣委員会との連合審査会を開くことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 稻村順三

    稻村委員長 御異議なければさよう決定いたします。なお開会日につきましては各委員長協議の上決定いたします。     —————————————
  89. 稻村順三

    稻村委員長 次にお諮りいたします。理事上林与市郎君が委員辞任されましたが、再び委員に選任されましたので、理事指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 稻村順三

    稻村委員長 御異議なければ上林与市郎君を理事指名いたします。  これにて本日の委員会は終了いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。    午後四時三十八今散会