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齋藤委員 もう一時になりましたから、
最後の
質問をいたしますが、私といたしましては、通産
大臣がおられれば非常にけつこうでございますが、私の
考えておりますことは、今日の
日本の
状態を見ますと、一切の外国市場を喪失しつつある
状態にあるのであります。これは
日本の品物が外国の品物よりも高い、高いから売れないのだと
一般にいわれておりますけれ
ども、私はもう一つ、質が劣
つているのだというふうに
考えております。結局内地においてはいろいろな補助政策ないしはその他の手心によ
つてやれる部面もたくさんございますけれ
ども、一たび
日本の商品が外国市場に参りますれば、決して内地におけるような
状態を持続するわけには参らぬ。結局は質のいいもので安いものでなければ売れない。こういう意味から申しますと、ただの石炭を持
つて来ても、
日本の商品では売れないものがたくさんできる。値段が安くても売れないものがたくさんできる。結局質の問題であります。私は英国の電波に関するところのいろいろな話もこの間承つたのでありますが、英国においては政府の援助のもとに、ある会社のごときはアフリカのまん中に行
つて放送局を建てて、そうしてその
放送局によ
つて電波を発射して、その
受信は全部英国の
ラジオをも
つてやらせる。そこで英国の国情を、その土着の人々によくのみ込ませて、そこに英国の商品を売り込んで行く、またアメリカは、今沖縄にBCバンドをも
つて、中共及びソ連に向
つて放送する千キロの
放送局を建設している。まさに今日は電波によるところの国際競争であります。われわれも
日本の前問途を
考えますときに、どうしても電波というものの活用をも
つて、
日本のあらゆる画を切り開いて行かなければならないということを
考えるのでありますが、こういうときに、私は電波行政というものに対して、非常に多くの望みと重点を感ずるのであります。今通産省の局長の
お話をいろいろ承りましたが、こういう見地から
考えますと、実に
日本の電波というものに対するところの
考え方は低いと私は思う。弱い力しか打われていないというふうに感ずるのであります。何らブラウン管に対する規格もきま
つておらぬでしようし、はたして国際市場においてこの電波
機器か競争し得るだけの質を持
つているかということに対しても、あらゆる面に灯して、おそらく私は厳密な検討が加えられていないと思うのであります。と同時に一国の前途を電波の上に託して、あらゆる面の開拓をするというような立場から、大きな
研究所も私は設けられておらぬと思います。
日本が、これならば電波によ
つて世界の市場に対して先駆
たるところの任務を尽し得るというような立場から、電波国策というものはないと私は思う。これが行政面は郵政省にあり、政策面は通産省に置かれているので、おそらくいかなる
お答えを願
つても、これには非常に統一の欠けたところがあるのではないかと私は思う。結局吉田内閣が電波というものに対して、低級な
考えしか柱
つておらぬ、そういうふうに私は思うのであります。ほんとうに電波というものの姿を解剖して、電波によるところの
日本の将来の
状態を切り開くということに
なつたならば、一体こんなじだらくな、貧弱な
状態に放置せらるべきものではないと私は
考えております。
こういう意味におきまして、もちろん私も今後機会を得て、政府に対していろいろ
質問いたしたいと思うのでありますが、今日そういうことを申し上げてもらちもあかないことと思うか円やめますけれ
ども、どうかひとつ通産省におかれましては、今日機構の改善せられざる限りいろいろ御不自由もございましようけれ
ども、
日本の電波というものが国際間においてどれだけ貴重なものであるか、あるいは国内においてもこれの重要性がますます進展して行くものであるということをお
考えくださいまして、もつと徹底した施策を行われまして、今局長のおつしやるように、ほんとうに縦から見ても横から見ても、五年先には
テレビジヨンというものは三万円になるのだ、五万円になるのだという確信をつかみ得るような
状態にまで、ひとつ
研究の歩を進めていたたきたいと思います。そうでないと、NHKがいくらさかとんぼうに
なつても、私は
日本の
テレビジヨンというものは発展しないと思う。発展しないということになると、そこに大きな損失が来るだけの話であります。私の関知している限りにおきましては、通産省はいわゆる地質調査の
機関というものを持
つており、あらゆる
研究機関を持
つている。しかし将来電波
機器の革命をもたらすところのゲルマニウムあるいはシリコン、そういうものに対するところの資源の開発も何ら計画的にや
つておらない。またこれに対して重点的に施策を行うというような
研究もや
つておらない。一体どこにゲルマニウムというものがあるか、気の早い人は、粗雑なゲルマニウムをつく
つてアメリカに輸
出している。しかるにゲルマニウムというものに対しては、まだ国家はほとんど無関心である。ゲルマニウムというものは一体どういうふうにしてとれるものか、そういうことすら、また資源の実在する箇所すら調べていない。そういうことでも
つて、口を開けば
ラジオは安くなるのだ、
テレビジヨンは安くなるのだ、五年たてば安くなるのだと言われても、根本を解決しなければ何もならぬ。結局
テレビジヨンというものは、ゲルマニウムあるいはシリコンを用いるトランジスターで革命が行われるということは、世界の科学の水準においてこれは決定づけられている。そう
なつたならば、
日本は安いいい
ラジオを、安いいい
テレビジヨンをつくるのには、このトランジスターの完成ということに対して全力を傾注して、アメリカより先まわりしてこれを完成するということによ
つて、初めて
日本は電波において勝利を獲得することになる。そういう根本の問題に対しては、私はほとんどこれという見るべき施策も行われておらないという点に対しまして、非常に残念に思うのであります。どうか、今まさに電波
機器の革命がもたらされんとしておりますが、その革命は
日本において完成する品物が、あらゆる世界の電波
機器よりも優秀なものが安くつくられる、従
つてその電波
機器が海外にどんどん出て行く、その
日本の電波
機器が出て行くことによ
つて、初めて
日本の実情というものが世界各国に了知せしめられ、ごこに初めて
日本の商品が売れて行くという体系を整えられんことを切にお願いいたしまして、私の
質問を打切りたいと思います。