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1953-08-07 第16回国会 衆議院 電気通信委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月七日(金曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 原   茂君    理事 松前 重義君       菊池 義郎君    庄司 一郎君       齋藤 憲三君    柴田 義男君       甲斐 政治君    松井 政吉君       三輪 壽壯君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         通商産業事務官         (重工業局長) 葦沢 大義君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 愼一君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         理事)     岡部 重信君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会中審査申出の件  委員派遣に関する件  参考人招致に関する件  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四五号)  日本放送協会昭和二十六年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書   陳情書  一 姫路放送局存置に関する陳情書    (第九    五号)  二 諏訪中継放送局設置に関する陳情書    (第一二〇号)  三 大阪におけるテレビジヨン放送開始に関す    る陳情書    (第一九八号)  四 同    (第    一九九号)  五 諏訪中継放送局設置に関する陳情書外二十    一件    (第三七九号)  六 徳島、高松放送局に第二放送増設等陳情    書    (第三八〇号)  七 諏訪中継放送局設置に関する陳情書    (第四七一    号)  八 電話料金引揚反対に関する陳情書    (    第四七二号)  九 都市を中心とする通信網整備拡充陳情    書(第五〇六    号) 一〇 電信電話料金値上げに関する陳情書    (第六一二号) 一一 同(    第六一三号) 一二 電話料金引揚反対に関する陳情書    (第六九    四号) 一三 同    (第七一九号) 一四 滋賀県に県単位放送局設置に関する陳情書    (    第七八三号) 一五 大阪中心とする電話網早期復興対策に    関する陳情書    (第八一二号) 一六 電話料金引上げ反対に関する陳情書    (第八六六号) 一七 電信電話料金値上げ反対に関する陳情書    (第八六七号) 一八 電話料金引上げ反対に関する陳情書    (第八六七    号) 一九 電信電話料金値上げ反対に関する陳情書    (第九五〇    号) 二〇 同(第    九五一号) 二一 同(第一〇    二三号) 二二 同(第    一〇二四号) 二三 私設電話装置等に関する陳情書    (第一〇二五号) 二四 電信電話料金値上げ反対に関する陳情書    (第    一〇六三号) 二五 同    (第一〇九九号) 二六 同(第    一一四九号) 二七 同    (第一一四九号) 二八 電話料金値上げ反対に関する陳情書    (第一一五一号) 二九 電話料金引上げ反対に関する陳情書    (第    一二二〇号) 三〇 電信電話料金値上げ反対に関する陳情書    (第一二二一号) 三一 同(第    一二五四号) 三二 電話料金引上げ反対に関する陳情書    (第一二    五五号) 三三 私設電話設置等に関する陳情書    (第一二五    六号) 三四 電信電話料金値上げ反対に関する陳情書    (    第一二七八号) 三五 同(第一二    七九号) 三六 電話事業に対する予算及び資金調達面の取    扱いに関する陳情書    (第一二八〇号) 三七 電話料金引上げ反対に関する陳情書    (第一三〇七    号)     ―――――――――――――
  2. 成田知巳

    成田委員長 これより開会いたします。  日本放送協会昭和二十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書を議題とし、質疑を続けます。本日も引続き参考人として日本放送協会理事岡部重信君が出席されております。質疑通告順にこれを許します。甲斐政治君。
  3. 甲斐政治

    甲斐委員 受信料について少しお尋ねをしたいと思うのです。受信料についてはいろいろの問題があるのでございますが、その根本的な問題はとにかくといたしまして、現行法のもとにおける受信料徴収状態その他について伺いたいと思うのであります。放送法の三十二条による受信料徴収免除はどの程度なつておるかということを伺たいと思います。  それから第二には、三十二条所定受信機を持つておる者にして受信料を納めていない者、これの概数をお示し願いたいと思います。  第三には、受信料徴収料ですか手数料ですか、徴収に関する経費、直接たる間接たるとを問わず、合計並びにその内訳、これを伺いたいと思います。まずそれだけお答えを願いたいと思います。
  4. 岡部重信

    岡部参考人 ただいまお尋ねの第一点の免除基準でございますが、ただいまお話通り放送法三十二条の二項によつて郵政大臣認可を受けて免除いたしておる次第でございますが、それにつきましては、第一に児童福祉施設、第二に青少年矯正教育施設、第三に社会救済事業、第四に身体障害者更生援護施設、第五に刑務所少年刑務所など、それから公的医療機関――公的医療機関と申しますのは御案内と思いますが、医療法におきますところの公的医療機関でございます。それから学校、公民館、博物館、その次には社団法人日本放送協会の解散の際の会員であつた者設備、それから貧困市町村長の証明する盲人の設備、並びにテレビジヨンにつきましてはさらに貧困者として福祉事務所長の証明する聾者の設置するテレビジヨン放送受信設備。それからこの八月から天災その他の非常災害があつた場合におきまして、受信料免除すべき者の範囲及び受信料免除の期間につき郵政大臣認可を受け、その基準に適合する者、要するに天災その他非常災害があつた場合の免除認可をこの八月に受けた次第でございます。  次に免除数でございますが、二十七年三月末におきまする免除は、総計におきまして十一万三千七百ほどの計数になつております。  次に料金徴収に要しますところの総経費でございますが、二十六年度におきましては、集金経費といたしまして五億七千四百三十二万円ほどこれに充てております。その集金方法別を申しますと、協会におきまして直接やつておりますところの集金方法と、他の機関に委託してやつておるところの集金方法と大体二通りと、きわめてわずかな数が郵便集金によつて徴収いたしておる、さような状況でございます。
  5. 甲斐政治

    甲斐委員 ただいまの集金に要する経費を、直接と間接との内訳を承つておきたいと思います。
  6. 岡部重信

    岡部参考人 この集金につきましては、御承知通り手数料人件費、それからいろいろの物品費雑品費その他それに要する諸経費がございまして、そのほかさらに人件費に伴いますと申しますか、厚生保健費というようなものがございますが、それらを一括しました経費がただいま申し上げた経費でございますが、間接と申しますか厚生保険関係の費用というものをかりに間接と申し上げますと、二千五百万円ほどの経費がこれに関連して支出されている次第でございます。
  7. 甲斐政治

    甲斐委員 三十二条の所定受信機は備えつけている、しかし放送協会の方でこれがわからないで、未徴収なつているものが大分あるかと思いますが、どれくらいのお見込みでしようか。それを伺いたいことと、それから計上されております未収金もどの地帯が最も多いのか。そういう地方別のことがおわかりになれば示していただきたいと思います。
  8. 岡部重信

    岡部参考人 ただいまお尋ねの第一点の、いわゆる無契約なつていると見込まれる数がどのくらいかというお話と存じますが、これはなかなかどのくらいかという確定数字をつかむことは困難でございまして、その確定になりますれば契約していただくということになりますので、困難でございます。直接のお答えになるかどうかと思いますが、この契約を取次ぎます取次者比率を見ますと、二十六年度におきましては総体の比率の五五%ちよつとが、職員がこれを取次いでいるような次第でございまして、そのおもなものは結局すでにお聞きになつている方が多い実情なのであります。  それから収納成績についてのお尋ねでございますが、二十六年度末におきましての収納の率は九八・九二%という成績でありまして、さらにそれを二十七年度末、すなわち二十八年の三月末におきましては九九・六%とまで収納率を上げることができた次第でございます。  それから地域的にどういう地点が悪いかというようなお尋ねかと思いますが、大体地域的の区別において申し上げますと、たしか東北地方あたり比較的遅れた入り方をしているというような現状でございます。
  9. 甲斐政治

    甲斐委員 番組内容について概略を承りたいと思いますが、ローカル放送に対してどの程度番組費が組まれているか、あるいはそれ以外の方はどのくらいであるか。
  10. 岡部重信

    岡部参考人 放送番組につきましては、総額が十一億六千二百万でございまして、ローカル放送についてどのくらいかということにつきまして、ただいま二十六年度につきましてはちよつと計算しませんと正確なことは申し上げられませんが、御参考までに申し上げますと、二十八年度におきましては四億八千七百万ほどローカル放送支出を予定しているような現状でございます。
  11. 甲斐政治

    甲斐委員 番組費のうちで、教養とかあるいは娯楽だとか各項にわたつて内容というものはすぐおわかりになりますか。おわかりにならなければあとでひとつ出していただきたいと思います。
  12. 岡部重信

    岡部参考人 甲斐さんのおつしやる通り、今ただちに娯楽とか教養とかにわけることは、なかなか経理的に困難でございまして、多少日にちがかかるとは存じますが、御参考までにまた後刻申し上げたいと思います。
  13. 甲斐政治

    甲斐委員 それから人件費を拝見しますと、大体三〇%ということになつているようでございますが、実は一般放送においては平均一八%程度でございます。この人件費がかようにいわゆる民間放送とはなはだしい懸隔があるということは、どこに起因しているのか。原因はどこにあるか、その点について御説明願いたい。
  14. 岡部重信

    岡部参考人 ただいま御指摘通り人件費事業収入総計費の三割二分ほどになつておりますが、これは御承知通り放送協会におきましては集金という特殊なこともございますし、それから技術研究関係にも意を用いまして、また文化研究につきましても、放送法の定むるところによりまして意を用いている次第でございまして、何と申しまするか、そういう余分な事業の――同じ事業内容ですと、比較比較がしやすいのでございますが、他の産業比較しましても、特殊のものでございますので、比較がなかなかとりにくい次第なのでございます。それで大体目安といたしまして、事業収入総額にもよりますが、従来給与につきましては、大体ただいま申し上げたようなパーセンテージなつておるのでございまして、なおこれらにつきましては、できるだけ合理的人員の配置とか、あるいは機器自動化というようなことに鋭意研究を進め、また実施もいたしまして、それらの点について合理的な運用をいたしたいというので、ただいま進んでおるような次第なのでございます。
  15. 甲斐政治

    甲斐委員 テレビをおやりになるということになりまして、テレビの方とラジオ受信料収入との明確な区別がつけられておることだとは思います。が、一般ラジオ聴取者は、われわれの聴取料によつてテレビの方の経費がまかなわれておるのだというような疑惑を強く持つておるようです。放送協会としても、この点は明瞭にせられなければならぬ点だと思いますが、これも間接に伺うところで、事実であるかどうかわかりませんけれども、昨年末に地方局に対して経費節約を要請せられた。今回テレビの方の経費がはなはた莫大に上るので、各局とも大いに節約すべしという通牒を送られたというようなことも言つておるようでありまして、この点について念を押してお尋ねいたしますが、こうした混同は行われでおらないかどうか、明確なお答えを願います。
  16. 岡部重信

    岡部参考人 ただいま御指摘の点につきましては、当委員会におきましても、その経理をどうするかということについて、いろいろお尋ねもあるのでお答えを申し上げたのですが、経営は一本でございますが、ラジオテレビとの経理区分を明瞭ならしめるという趣旨におきまして、放送法施行規則が改正されまして、これによつて予算科目経理科目を改正いたしまして、収入支出の方面につきまして、ラジオテレビジヨン区分を設けました。それから予算総則におきまして、相互の流用を禁止する条項を記載いたしております。なお勘定科目につきましては、資産、負債の必要科目につきまして財産区分を明らかにして、これを明示する。なお損益計算におきましては、利益、損失に区分を設けました。かようにいたしまして、ラジオテレビジヨン経理区分を明らかにして、かれこれ流用するということをいたさない。予算科目経営科目に対して二十八年度予算を御承認願つた次第であります。  なお経費節約という通牒お話がございましたが、実は経費節約につきましては、われわれとしましては申すまでもなく絶えずこれに意を用いなければならぬことは当然なのでございまして、今年度におきましても、今御承知のような水害の問題もございますし、値上りの問題もありますし、それをどうカバーするかということについて、節約ということも当然考慮に入れてやらなければならぬ問題でありまして、ひとりテレビジヨンのために節約をいたすとか、さようなことによつてラジオ聴取者に御迷惑をかけるというようなことは、極力避けなければならぬという趣旨のもとにいたしておる次第でございますので、何とぞ御了承をお願いしたい、かように存じ上げる次第でございます。
  17. 甲斐政治

    甲斐委員 ただいまの御説明で、テレビをやるので金がかかるから節約をするようにという通牒はお出しにならないということは明瞭に――少くともテレビに関してはないということは明瞭になつたわけでありますが、このテレビジヨン関係機械、器具あるいは設備でございますね、こういう点で混同されておる事実はないかということと、それからへの問題でありますが、人をテレビの方に流用することをもつて現実的に混乱が起つてはいないかどうか、この二点についてお答えを願いたいと思います。
  18. 岡部重信

    岡部参考人 テレビジヨン関係機械についてのお尋ねでございますが、御承知通り長らく実験研究をいたしておりまして、当時はむろん研究所におきまして研究して、これを実用化の段階に認可をいただき、さらに本放送に移行したわけでございますが、それらにつきまして、実験研究時代に使用いたしました機器で、なお本放送にもこれを利用できると申しますような分につきましては、むろんただいまでも使用している次第でございます。  それから人件費につきましても、むろんそのラジオ放送経験というものがテレビジヨンにまわるということは当然でございます。しかしただいまお話通りラジオ聴取料からテレビジヨンの方にまわすということになりますと、それはわれわれとしてはとらざるところでありますので、さような区分の不明確のないように、極力それらにつきまして善処いたしているような次第でございます。
  19. 甲斐政治

    甲斐委員 最後にこれは少し問題がこまかくなりますので、どうかと思うのですけれども、実は経営委員会は報酬は出さないことになつておりますが、実費はお出しなつておる。その委員にお出しになる実費以外に、経営委員会を開催されるについての諸般の経費があることだと思います。全体からいうと、きわめて小さい率になりますけれども、今回の放送法一部改正の中心問題であつた郵政大臣監督命令の事項に、この経営委員会のあり方が最も関係が深いのであります。そういう意味において、ただいまの経営委員会に関する経費、あるいは実費というものを、ただいまでなくてよろしゆうございますが、あとでお示しを願いたいと思います。  それからすでにこの決算は大体承認せられることになり、他の質問もございませんので、私もこのあたりで打切りますが、最後希望いたしたいことは、すでに先日の委員会において柴田委員からも質問があり、希望がありましたように、勧銀の四億円に対する三銭一厘の利息、かようなことは、このことだけに限りましても、きわめて当を得ていないやり方ではないか、そうしてこういうことが放送協会全般に及ぼしてルーズな経営がなされておるのではないかというような感じを与えるわけでありますが、国民放送協会として、十分今後においてかような点を自戒していただきたいと希望いたします。また人件費の問題、テレビの問題、その他各般の問題について、特にこの際NHKの今日までの長い業績、長い功績、また今後においても、わが国の放送文化の上において占められるきわめて大きい役割を考えますときに、一層かような点について希望を強く申し上げたいと思います。
  20. 齋藤憲三

    齋藤委員 関連して……、決算承認に対しましては異議がありませんが、ただいまの御質問に関連のある問題について伺いたいのであります。受信料契約によりまして、受信機を持つておるものは強制的に受信料を支払うごとになつておるのでありますが、私の承知いたしておりまする範囲内でも、ずいぶん聞えない受信機を持つていて、受信料を払つておるものがたくさんあるのであります。ところが山間僻地に参りますると、受信機修理し得るところの店まで持つて行つて修理をしてもらつて、また持ち帰つて来るということになりますと、非常にめんどうくさいので、つい聞えない受信機を持つていながら、毎月受信料を払わなければならないというのが、山間僻地に参りますとずいぶんあるのであります。これは非常に困つた問題であるけれども、実際問題としてはいかんともしがたい。それで私の考えといたしましては、集金をする者が多少ラジオ修理というものに対して経験を持つ者を集金人に指定してまわらせる。そうして聞えない受信機に対しましては、ただちに調べて簡単にそこで直るものは直して聞えるようにして受信料をとる、しかしどうしても大手術をしなければならないものは、その故障の箇所を指定して、これを修理屋へ持ち至らしめて直させるというふうにいたしましたならば、この放送法の大眼目でございまする広く受信をせしめるということに合致するのではないか、さように考えるのでありますが、これはいろいろ修理を禁止したりいろいろな条項があるようでございますが、これに対して、当局並びに放送局ではいかようにお考えなつておりますか、御説明を願いたいと思います。
  21. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のように、山間僻地等におきましては、故障なつ受信機をかかえられてお困りの方も実際にはあると思います。そういう点に対して放送協会が、いわゆる受信機修理についても一般聴取者の声に沿つてサービスができるようにということで、一方御指摘のようにラジオ業者の圧迫にならないように、放送協会修理その他のサービスをやる、あるいは郵政大臣認可を得て指定された場所たけでやるということに法律なつております。今申し上げたように、従来山間僻地等ラジオ業者のいない所、めるいラジオ業者がおりましても、聴取者の要望にこたえて十分修理ができないと思われるような所につきまして、実際に放送協会が年に一度ないし数回そういう所をまわつてサービスをいたしております。しかし御指摘のように、あるいは集金をやる協会職員が、もしもお話のようにそういうようなサービスのできるような体制にして、そういうこともするということは、確かに一つの考え方ではないかと思いますが、また一方先ほど申し上げましたように、なかなか修理業者との関係がむずかしい問題がございますので、その辺等も十分研究してみなければならぬのではないかと思つておりま
  22. 岡部重信

    岡部参考人 ただいま長谷局長から御答弁がございましたが、現状におきましては協会で直接集金をいたします区域は、大体におきまして業者との関係どもございまして、受信機修理をしない場所に該当するものでございまして、確かにお話通り集金の者が故障を直すことができますならば、受信者の便宜は非常に大なるものでございまして、いろいろの観点から、私どもとしても十分考究して見たい、かように考えております。  それから前回の委員会でございましたか、私ちよつと間違つて申し上げたと思いますから、この際御訂正申し上げたいと思います。先ほど甲斐さんから資金の利用につきましていろいろ御懇篤な御注意がございまして、私どもといたしましてもごもつともな御意見で、十分御趣旨に沿うようにいたしたいと思いますが、前述の利子の点につきまして、二十六年度の半ばといいますか、二十六年十月から日歩三銭一厘となりました。その前には三銭二厘でございましたが、今年の二月から三銭となつております。放送債券と比べますと、期限の問題とかいろいろの問題がございますが、それほどの開きもないというような現状でございます。一応御訂正申し上げておきます。
  23. 齋藤憲三

    齋藤委員 もう一点伺いたいのですが、日本放送協会目的は、「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」というのでございますが、この受信機は何を標準としてこういう目的を達せんがためにやるのでありますか。たとえて申しますならば、高周波一段をやるのですかあるいはスーパーでやるのでありますか。大体の目途は体どこに置いておられますか。
  24. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。これはただいまお話にありましたように、日本国中あまねく聞えるというような抽象的な形になつておりますが、確かに受信機程度によつて非常に違います。従来は日本におきましては、できるだけ安価な受信機放送が聞えるようにということで、御案内のように並四球のようないわゆる国民型受信機とでも申しましようか、そういうものを頭に置いて放送というものも考えられて来ておつたのでありますけれども、しかし並四球では結局数多くの放送を良好な状態で聞くことはできませんので、以前より優秀な受信機に変更されつつあります。一方受信機の製造の上におきましても、だんだん優秀な低廉な受信機が大量生産によつてでき上つて来ておりますので、だんだん全般的な割合も優秀な方に移つておりますが、大体ただいまの現状からいいますと、過半数のものが並四級ではないかと思います。それから残りの半数くらいが大体高周波一段付、それからパーセンテージからいいますと非常に少うございますが、スーパー、こういうような数だろうと思います。大体基準から申しますならば、高周波一段付を一応基準として行くのが妥当だろうということで、関係者の間では大体そういう申合せと申しましようか、了解のもとに進められております。なお並四級のようなものは、大部分は都会地であります。地方においては大体高周波一段、スーパーが依然多いわけであります。今、並四級がパーセンテージが非常に多いと申しましたのは、都会地にそういうものが全部集まつておるからでございます。
  25. 甲斐政治

    甲斐委員 これは大臣お尋ねしたいのですが、受信料一定性能受信機を備えつければ、当然受信契約をしたものと見なされるようになつておりますが、これは法律論といたしまして、そこに若干無理があるのではないか。契約自由の原則に反し、場合によれば憲法にも違反して参りますが、この点についてのお考えを承つておきます。
  26. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は、私も一般の観念からすれば、まさに御指摘のように、若干の無理があると思います。ただこういう特殊のものでありますために、そういうようにどこかで規律をいたしませんと押える場所がないものでありますから、こういうように、急いで法律にそのように御規定を願つて認めるということになつておるので、御承知のように三十二条に、契約しなければならないというようにしてあるわけであります。これはこういう放送聴取とういものの性質から来る特殊のものであるというように、私は了解をしておるわけであります。
  27. 甲斐政治

    甲斐委員 この問題は、お説のように、特殊なものであるからというので、一応はこうなつておりますが、ほかにもう少しこれを法的にも妥当な規律の方法が考慮されてしかるべきではないか、かように考えますが、一応これはこれといたしまして、事実放送協会放送が聞えない、それからまた聞いていない、ときにはそういうのがありますが、そういう際も契約したものと見なして、聴取料を納めなければならぬ。この事実的な矛盾、不合理、これはどういうぐあいに処理せられるのか、お伺いしたい。
  28. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは聞く意思があつて聞えないというのは、そういう場合に当然契約しなければならないというように強制をしておりますので、そういう障害があるものは、どこに障害があるかを検討いたしまして、その面を直して、意思のあるものには十分お聞き願えるようにするという方向で、この三十二条の規定から、無理を何とかカバーをして行こう、こういうように考えております。ただ設置をしておられて、自分の御都合でお聞きになつたりお聞きにならなかつたりというのは、これは現実の問題として聞かれたか、聞かれなかつたかという判別のけじめがつけられないので、法的な措置といたしましては、その聞いておらない場合にはどうするというようにはできないというので、こういうことになつておると考えておるわけであります。
  29. 甲斐政治

    甲斐委員 そういう場合、あるいは事実聞いておつても、聞いていないとか聞えないとかいつて聴取料を払わないこうした場合に、いかなる措置をとられるか。
  30. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 その点は、別にこの法律自体には制裁の規定は載つておらぬのでありまして、一般の民法の原則に従つて、債務を履行しないという形で争えば争うということになると思います。実際問題としては、まだ争いはしておらぬようであります。
  31. 甲斐政治

    甲斐委員 第一と第二放送、第二の囲えないところも同じく均の受信料立と払わなければならない、両方聞えるところも同様だ。この点については矛盾がないと考えられますか、どういうぐあいに考えられますか。
  32. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。この点は先ほども申し上げましたように、受信機との関連等がございますので、確かに第一放送の方が聞きよくて、第二放送が聞きづらいという状態の所はあるかと思いますけれども、技術的に見ましても、第一放送は聞えるが第二放送は聞えないのだと、一律にはきめられない場合もございます。また御案内のように、普通の受信機におきましては、第一放送を聞いておるときには、第二放送は聞えないわけであります。常に第一と第二、同時に聞いておるということはないわけでありまして、聴取料から言いましても、たとえば日本以外にも、多重放送をやつておる場合にも、料金に差をつけておるというようなところは、ございません。協会も、第一放送と同様に、第二歓送も全国あまねく聞えるように、逐次計画を進めております。現在におきましては、御案内のようにほとんどその大差がない状態にまで来ておるので、私どもといたしましては、第一だけが聞きやすく、第二が聞きづらい所小ありましても、料金に差をつけるというようなことではなく、現状のようば形で行くのが妥当ではないかと考えておるわけでございます。
  33. 松井政吉

    ○松井(政)委員 ただいま料金の問題をめぐつて、いろいろ意見が交換されておりますが、問題は放送法なり、電波法ももちろんそうだと思いますが、根本的に考えなければならない段階に来たということは、全部の人が認めるところだと思います。その場合において、日本では放送は御承知のように、俗にいう民間放送と公共放送と、二本建でやつておるわけです。民間放送の場合は、受信料という形の料金ではなくて、主として広告収入的な形で、経営を保つておるわけであります。公共放送といわれるNHKの場合は、ただいまいろいろ疑義があると指摘されておる受信料による収入が、主として収入になる。そこで、それならば今度は大臣にお伺いしたいのですが、公共放送は、今のところ民間放送と違つて、広告収入等を得ることはできないが、たとえば受信料に疑義があつて受信料を現在の形ではとることができない、しかし公共放送としての使命は達成しなければならない。その場合には、今のNHKの経営形態から見て、どのような経営状態が生れるのでございましようか。考え方でよろしうございますから、お伺いしておきたいと思います。
  34. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは現在までのところは、今の法規制のあり方でもつて、大した支障なく運営しておりますから、これでいいのじやないかと思うのでありますが、もし御指摘のように、聴取料の問題について非常に疑義が出て来て聴取料がうまく入つて来ない。従つてNHKの経営がうまく行かないというようになれば、これは何らかの措置をしなければならないと思います。その場合に、たとえば聴取料も少し強制的に、一種の税みたいな形にしてとるなら、そのときにどういう理論的な裏づけをするかを考えなければならないと思いますが、そうでなければ別に、経営に必要なものを国から補助して行くとか、どちらかの面で別途に経営が立つようにして行かなければならない。しかし広告料などを受けつけさせないという今のNHKの行き士は、やはりどこまでもこれを押して行かなければならない、こういう考えでおります。
  35. 松井政吉

    ○松井(政)委員 もう一点。たとえば今大臣お答えになりましたように、やはりそういう方法しかないと私は思います。たとえば受信料の問題について、放送法並びにNHK及び民間放送を通じて根本的に法的措置を考え直さなければならぬとすれば、経営形態とそれから受信料とを抜きにした法的措置というものはないのです。そこでぶつかつて参りますので第一の質問をしたのでありますが、ただいまの御答弁によりますと、その場合は具体的には考えておらないけれども、大体税みたいな形にして受信料の性格をかえて採算をとる、さもなくばやはりコーポレーシヨンでありますから、国とかあるいはそういう形にした経営考える、こういうお話であります。その場合に今の放送協会は御承知のように公社ではありますけれども、国鉄や電電公社と違つて、国有財産を主として経営をやつているのではない。従つて財産関係は国有であるが、経営だけをコーポレーシヨンにまかしたという形では、ちよつとないのです。その場合に国の一般会計あるいは預金部資金の貸出しだけでは経営がとれませんから、損益計算に関する、つまりまかない得る収入だけはやはり貸出しでないものがなければ経営ができないわけです。そこで結局国ということになれば、一般会計から出すか、さもなければ補助金――これも一般会計ですが、そういう形で扱うより方法はないか。そういうことができ得るか、こういうことについて――これはあくまでも仮定の議論ですから、考え方でけつこうですが、お聞かせ願いたい。
  36. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは考え方といたしましては、私は国からそれを持ち出してやつて行くというような形のものは、おそらくできにくいのじやないかという感じが強くするのであります。やはり聴取者から何らかの形で、何らかの名目でとるという方向に持つて行かなくちやならぬのではないかと思います。
  37. 成田知巳

    成田委員長 ほかに御質疑はございませんか。――御質疑はないようでございますので、本件に関する質疑はこれにて終局いたしました。  これより本件について討論に入ります。討論の通告がございません。これを省略してただちに採決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認めます。  日本放送協会昭和二十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。本件については異議はないものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  39. 成田知巳

    成田委員長 起立総員。よつて本件については異議ないものと決しました。  お諮りいたします。本件に関する委員会報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。     ―――――――――――――
  41. 成田知巳

    成田委員長 次に閉会中審査申出の件についてお諮りいたします。本会期中、本委員会におきましては、国政調査事件について種々検討を加えて参りましたが、いまだ問題は山積いたしております。閉会中もなおこれらの問題について調査検討の必要ありと考えられますが、委員会が閉会中審査をいたしますには、国会法第四十七条第二項に基き、審査事件が特に議院の議決により付託されねばなりません。  本委員会といたしましては、  一、電気通信事業経営に関する件  二、有線電気通信の焼津に関する件  三、電波及び放送の規律に関する件 について、閉会中審査の申出をすることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認め、さように決します。     ―――――――――――――
  43. 成田知巳

    成田委員長 さらに委員派遣に関してお諮りいたします。閉会中審査事件が院議をもつて付託され、これに伴う実地調査をいたす必要を認められました場合におきましては、再び委員会を開会いたす煩を避け、委員長において適宜委員派遣の申請をいたすことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認め、さようとりはからうことに決します。     ―――――――――――――
  45. 成田知巳

    成田委員長 次に放送法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。  本案については、参考人として日本放送協会理事岡部重信君より意見を聞くことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 成田知巳

    成田委員長 御異議ないものと認め、さように決します。齋藤憲三君。
  47. 齋藤憲三

    齋藤委員 大臣もたいへんお忙しいようでありますし、再延長がなければ本日で議会も終了いたすのでありますから、この際常識的な面について大臣お尋ねをいたしまして、その次にはひとつ通産省からもわざわざ局長がお見えになつておるようでありますから、少しく技術的な面で御質問申し上げたいと思うのであります。  今回提案せられました放送法の一部改正法律案につきまして、私は前回大臣に御質問を申し上げて了承いたしました点と了承をいたさない点があつたのでございますが、これはまずそのままにしておきまして、最後に残されました「第四十九条の次に次の三条を加える。」という点に対しまして、御質問を申し上げたいと思うのであります。その前提といたしまして大臣にひとつお伺いいたしたいのは、主権在民の民主政治の形態におきましての根幹は、申し上げるまでもなく国家最高の機関たる国会においては、立法の精神をあくまでも樹立して行かなければならない、そうしてその立法の精神が行政面に対してほんとうに完全に遂行せられておるかどうかということを、責任をもつて国民に明白ならしめるところに、この国会の責任があると私はかように考えておるのであります。すなわち法治国における国民生活は、一つとして法律に準拠せぬものはなく、従つて悪法のもとには生活が乱れ、善良適正なる法律の施行によつてのみ、初めて民生安定の基礎がつちかわれると思うのでありますが、この点に関しまして、ひとつ大臣の御所見を伺つておきたいと考えます。
  48. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は私も齋藤委員のお考えとまつたく同感であります。ただこの国会と行政府との間の関係でありますが、行政府はもちろん法律に従つて行政を運営して行く責任に任じておるわけでありますけれども、その場合に行政府が自分の行動を律します基準といたしますものは、結局成文法をもちろん第一といたしまして、その成文法のうちでは憲法の規定が最も重いものと考えられるのでありますが、しかし法律によつて万般の事柄が全部規律されておるわけではありませんし、またそういうことはおそらくできにくいことでありますので、すでにある法律並びにその法律の精神をくんで、いわゆる条理とでも申しますか、そういうものを絶えず頭に置きながら、従つて国会の意思を尊重し、それを頭に置きながら、行政府の行動というものが規律されて行く、こういうように私は了解いたしております。
  49. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいまの御答弁に対しまして、私も御同感の意を表するものでありますが、この点にかんがみますと、郵政大臣は国会議員である、そうして郵政省の所管にかかわる行政全般に対する責任を帯びておられる地位にあられるのでありますが、ただいま大臣の仰せになりました点に関しましては、私も同感なのであります。従つてわれわれといたしましては、この電波法及び放送法というものが制定せられました立法の精神がどこにあるか、その立法の精神に今回の改正法律案がはたしてマツチしているかマツチしていないかということを大いに検討して、もしこれは立法の精神に背馳する点があるということがわかりましたならば、われわれはどうしてもこれに対して同意を表するわけに行かないという結論に到達いたすのであります。そういう見地から、私は大臣お尋ねをいたしたいと思うのでありますけれども、第七国会において電波法と放送法並びに電波監理委員会設置法案が提出せられて、いろいろな審議が行われたのであります。これを私はあとう限りの時間をもつて、速記録その他によつて調べてみたのでありますが、そうしますと、こういう建前から立法の精神があるのであります。すなわち第一は、電波は国民のものである、国民希望によつてこれをあとう限り開放し、自由な立場においてこれが完全なる利用をはかり、公共の福祉はもちろん教育、産業政治、文化の各面に新日本の育成を力強くはからんとするのである。それから第二には、そのために電波の人類社会に及ぼす影響を国家の内外について勘案し、特に電波法においては、あらゆる予想し得べき事態をも法令の中に包含し、これによつてその影響を善導して参るということの建前、第三にはあくまでも民主主義の本義を確立しつつ、すなわち憲法第二十一条に規定せられてある言論の自由を確立し、これを侵さざる範囲においてその目的を強力に完遂せんとする、大体こういうように要約されると思うのでありますが、この見地から審議の過程を見ますると、その当時当該委員があらゆる角度からこの法案の全きを期するために審議を重ねておるその情熱に対しましては、私も読みながら頭を垂れざるを得なかつたのであります。この点郵政大臣は、過去の経緯にお照しになりまして、十分この電波法及び放送法というものの全きを期するために、万遺漏なきを期したのだという点は、大臣もお認めになつておることと思いますが、いかがなものでありましようか。
  50. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 基本の考え方が御指摘のようなものであつたということ、そうしてまたその考え方というものは、基本的には私はどこまでも支持し、擁護して行かなければならないということは、まつたく同感なのであります。しかしだんだんとまた時につれてものの考え方もかわつて参りますし、ことにこれらの法律ができましたとき、ことに放送法ができました当初におきましては、戦争が終つて間もないときで、日本が占領治下にあつたというような状態で、今日の状態から考えると、やはりもう少し考え直してしかるべき点があるのじやないか、こういうように考えられる点もないわけではないと思います。そこでもちろん法律にそういうように規定してあるのでありまして、これを法律がどうあつてもこういうふうにわれわれは考え方がかわつたのだから、こういうふうに運営するということでは、法の精神、立法府の見解というものをないがしろにするものでありますけれども考え方がかわつて参りましたものは、その考え方の線に沿つて、新しい改正法律案というものを出して、そうしてまた国会の御審議をお願いし、われわれの考え方がどうしてこういうような改正法律案なつたのかということを申し上げて、御賛成が得られるならば、そのようにして行くことがまた政府としての正しい行き方じやないか、こういうように考えて今回の改正法律案出して、御審議を願つたのであります。しかし私はその場合にも根本のものの考え方、ただいま齋藤委員の御指摘なつたものの考え方というものと背馳するようなものの考え方というものは、いれられるものではないと思いますし、今度われわれが御審議をお願いしております改正案にも、そういう考え方というものはないはずであります。あるいは不用意に字句の用い方が正しくなかつたというような意味において、若干そういう御懸念があります分は、御修正願つて非常にけつこうでありますし、またそのように御修正願つて完璧なものにしてひとつ御通過を願いたい、こういうように考えておるわけであります。
  51. 齋藤憲三

    齋藤委員 私は字句の問題で論議を重ねるということは避けたいと思つておるのであります。ただ大臣にお伺いいたしたいことは、この電波法と放送法を読んでみますると、私が常日ごろ考えておりまするように、当時の政府当局におかれましても、電波はほんとうに大切にしなければならないものである、将来日本の繁栄に対しましては、電波というものは大きな根本的な影響を持つておるものであるという見地に立ちまして、この電波法は実に細大漏らさず、周密な法案として制定されておるのであります。その冒頭に、電波周波数の点に関しましての十キロサイクルから三百万メガサイクルというほとんど光に近い周波数までの範囲内において、この電波法というものは制定されておる。しかもこの外郭に大きな水も漏らさないような法律をしいて、その中の一部分に放送法というものがある。従つてこの放送法は電波を声にかえるというだけの点に対しての法律である、私はさように通読いたしたのであります。そうして考えてみますと、電波法が外郭にあり、その中に放送法がある。当時の電波監理委員会の副委員長でありましたところの網島さんのいろいろな提案理由、または政府当局の提案の理由、ないしはこの法案を通すときの委員長報告を読んでみましても、この電波法というものが大きな規制を持つて、その中に放送法があるのだ、だからこれは不可分のものであるということを何べんも繰返して言うておられるのであります。従つてこの電波というものの規制を認めますと、もうすでに放送法というものは極限されておる、その極限されておる上に、今度は改正法律案を見ますと「協会は、郵政大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。」「郵政大臣は、公共の福祉を増進するために特に必要があると認めるときは、協会に対し監督上必要な命令をすることができる。」こういうふうな漠然とした認定に基くところの監督命令を発するところの余地が一体どこにあるのか、私は何べんも繰り返して見ましたが、もしあるとするならば、この放送法にありますところの番組編集のときに公安を害すると認めるときとか、あるいはその他の条項がございますが、そういうところに対する規制というもの以外にないじやないかというように考えられますが、この点に対し大臣はどうお考えになりますか。
  52. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は、私は齋藤委員に今までしばしばお答えしましたように、若干考え方が違うのでありまして、れれわれがどういう点を規制したい、監督命令出したいという幾つかの例といたしましては、先般資料としてお手元に拠出したものがありますが、それらとはまた別に、私はやはり公社というものの本来のあり方というものを監督大臣というものが見て行きます場合に、法律の面でなかなか想像もつかないようないろいろな監督しなければならない事態というものが出て来るものだ、だからこういう点とこういう点を監督する、またこういう点とこういう点を監督しないというような形では、なかなか規制というものがうまく行かないので、どちらかに基本を置いて、そうして監督できないという面を列挙して来るか、監督しないという原則にしておいて、監督してしかるべき面を列挙して来るか、どちらかにする以外に法規制というものの仕方はあり得ないと私は思つておる。私が一番心配しておりますのは、今度の国会で問題を起している国鉄の問題でありますが、ああいう問題が今も運輸大臣と国鉄公社との間の監督権のあり方として、非常に問題になつて取上げておる。本日も閣議におきまして運輸大臣が、どうも今の国鉄のあり方自体、公社法に非常に欠陥があるということを、体験を通して感じたということを言うておられる。ところがわれわれの方の郵政大臣放送協会のあり方を、運輸大臣と国鉄のあり方の線まで今度は実は直したいと考えたのでありまして、私はこの程度の規制の仕方というものは、放送協会というものとそれを監督する立場にある郵政大臣というものとの間の相互関係を規制する方法としては、ごくあたりまえのものだ、何もそれが特殊なものでないというように了解しております。そうして先ほどから御指摘放送協会が言論機関であるという面から来るところの、これは絶対に監督をしてはならぬという面、すなわちその監督してならぬ面を事こまかに列挙して、そしてこれに対してだけ監督権を及ばないようにするという行き方でこれは十分目的を達するし、その方があり方として正しいのじやないかというのが私の考え方であります。
  53. 齋藤憲三

    齋藤委員 私はここへ提出せられました放送法の一部改正法律案を基本として御質問申し上げておるのであります。大臣がいかなる修正案をお考えなつておるかは存じませんが、それは別問題として、ただ改正法律案に現われました基本観念に対して御質問申し上げておるのであります。先ほども申し上げました通りに、電波はとにかく一度発信せられました限りにおいては、これはある意味においては全世界に波及いたします。しかもその速度は、申すまでもなく一秒間に地球を七まわり半するという速度をもつてやるでのあります。ただ放送に関しましては、この電波が声にかわるということ、つまり電波が声にかわるということは文章であり、言論であります。もしこの声にかわる文章、言論に監督命令権が多少なりとも及ぶような規制があつたとしならば、われわれが金科玉条と心得る、いわゆる民主政治の根幹と考えております悪法に相反するの結果が生れて来るのであります。すなわち、この憲法の条章の規定します最初の文章を読んでみましても、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との」云云ということが書いてある。われわれの審議過程において、この憲法抵触のおそれがあるものにもしここでもつて賛成を表したなんということになつたならば、これ一つでもつて国会の権威は地に落ちてしまう。だから私はこの改正法律案に盛られたる大本観念、当局が何ゆえに言論機関に対して漠然たる監督命令権を持つか、こういう点に対してお伺いしたいと思つておるのであります。
  54. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは繰返して申し上げますけれども、決して漠然たる監督権を持つておるのでなくて、政府と公社というようなあり方のものに対しては、監督の立場にある郵政大臣一般的な監督権を持つということはちつとも無理がないことなんだ、しかし放送協会の古論機関であるという特殊性は十分考えておかなくちやならぬので、その面で懸念のあるようなものがあるならば、十分その措置をすればいいので、私どもが今度出しております修正案におきましても、私どもはそういう懸念は万ないという確信を持つて出しておるのでありますが、考え方が十分でなくて、なおそういう意味において法律の中に規制しておいた方がいいとお考えになるがあるならば、その面からの修正のお考えならば、私どもは決してそれに対して反対という考え方は持つておらぬのであります。ただ一般的監督権を持つということが、言論機関の自由を束縛するという意味において、一般的な監督権をも御否認になるという考え方には、私どもとしてはどうしても同調するわけには参りません、こういうふうに今申し上げたわけであります。
  55. 齋藤憲三

    齋藤委員 まだ大分大臣と私の考えは食い違いがあるようで、これはいくらこの法律案を問題としてやつても納まりがつかないかもしれませんが、ただ一点承つておきたいことは、放送法の第三条に「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」という条項もあります。それから第四十四条の二項に「協会は、公衆の要望を知るため、定期的に、科学的な世論調査を行い、且つ、その結果を公表しなければならない。」それから第二項に「協会は、放送番組の編集に当つては、左の各号の定めるところによらなければならない。一、公安を害しないこと。二、政治的に公平であること。三、報道は事実をまげないですること。四、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」ことに最後に読みました問題に対しましても、これを犯したときの罰則もついておらない。何ゆえに罰則を設けないのかといろいろ論争をかわされた速記録によつて調べてみますと、かくのごときことを規定することさえ、憲法二十一条に抵触するおそれがあるじやないか、憲法の二十一条の条章は、私が申し上げるまでもなく、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」とあります。しかもこの憲法は、あくまでも他の法あるいは一切のものに優先するということを規定しておるのであります。従つてほんとうに言論というものが憲法の二十一条によつて保障せられるならば、言調そのものに対してあらゆる規制をするということすら、憲法上の疑義をさしはさまなければならぬ。しかしこういうようなものをどうしてつくつたのかということをいろいろ調べてみますと、これは公共企業体であつて放送というものは電波によつて行うのである、その及ぼす影響が大きいのであるから、これは決して憲法二十一条に背反するということじやない、こうあつてほしいという希望的な条項として盛り上げられたというようなことがわかるのであります。従つてこの法律範囲内において行政庁が適当と認められたところの監督をする、命令をする、大臣は決して言論の自由を抑圧する考えはないのだと仰せられましても、これはかつての治安維持法あるいは国土防衛法ないしは戦時刑事特別法に盛られまとたと同様に、伝家の宝刀で、さしておくだけなんだ、決して抜かないのだと言つたいろいろな過去の事実に照し合せて見ましても、かくのごとき法律に漫然と認定権に基くところの監督ないし命令権を持つておりますれば、人格高潔なるところの現大臣はいいかもしらない。しかししからざるところの大臣が来たときは、この伝家の宝刀を抜いてやたらめつたに切られるのです。こういう憲法に抵触するところの疑義があり あるいは言論を規制し得るところのおそれのあるような改正法律案を、今日の民主政治確立の希望をつなぎつつある時代において出すというその考えそれ自体が、私は時代逆行であり、官僚独善の弊風を助成せんとする誤つた考え方じやないかと思う。私もこの質問をいたしますためにずいぶん調べ、いろいろ考えてみたのでありますが、どうしてもこれは承知することは相ならぬという結論に到達いたしたのでありますが、これに対して念のために大臣の御所見を伺つておきたい。
  56. 菊池義郎

    ○菊池委員 関連して……。ただいま齋藤君のおつしやることはごもつともでございますが、私はこういうように考えておるのであります。法の原則として、特別法は一般法に先んじて適用することができるというわけでありまして、一般法を規制するために特別な法律をつくつて、そうして優先せしむるということはしよつちゆうあることで、これは決して電波法に限つたことではないと私は考えておるのであります。それで私といたしましては、こういう点に何らふしぎはないと考えております。
  57. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 言論の自由ということを考えます場合に、私どもはよく気をつけて考えなければならぬと思うのですが、憲法に保障しております言論の自由というものは、お互いの者が平等なチヤンスにおいて意見を十分発表できる場合のことを考えておると思うのでありまして、こういうような放送、ことに日本放送協会の持つております放送というようなものには、非常に強い発表力、従つて影響力があるのでありますけれども、これによつて自分の意見と違う意見を出され、もしくは自分の名誉毀損をされた場合に、相手方にはそれと同じだけの力を持つた言論発表力は与えられておらぬのであります。だからして、私は言論の自由、言論の自由と言いながらも、やはりこの放送協会の持つておる言論の自由というものには、やはり何かそういう観点からした――これは決して私は憲法の言論自由の原則にもとるものではないと思うのでありますが、そういう考え方、つまり放送協会の持つておる非常な強い発表力というものを頭に置いた、そうしてそういうものによつて受ける国民の影響を頭に置いた何らかの規制が当然あつてしかるべきだ、そうしなければ国民に平等の言論の自由というものが保障されたことにならない、その気持があるからして、私は四十四条のような条項が出て来たのであつて、この条項を読んでみればまさにその通りであると私も思う。そういう意味において、あの放送協会のあり方というものが、言論機関であり、従つて言論の自由は尊重されなければならないと考えられつつも、そこに放送協会の性格から来る何らかの規制というものがあるのが、むしろ憲法の精神に合致しておる、こういうように私は考えております。
  58. 齋藤憲三

    齋藤委員 憲法論はその程度にとどめまして、今放送法は特別法で云々ということがございましたが、当時の速記録を読んでみますと、「電波法と放送法とにつきましては、放送が電気通信の中におきましても、最も社会的あるいはまた文化的に特典がある事実にかんがみまして特に放送法といたしまして放送事業のあり方、すなわち日本放送協会及び一般放送局のあり方、及び放送番組内容のあり方につきまして、その大綱を規定いたしました。これに対しまして電波法は、放送を含む電波一般の有効かつ能率的な利用を確保するという面を、直接の規律の対象といたしまして、無線局はもちろん、個々の放送局も無線局の一つとして免許、設備の条件、運用の監督等につきまして、すべて電波法の適用を受けるということにいたした次第でございます。」こういうことになつておるのであります。それでありますから、これはあくまでも電波法の範癖に入るところの放送法であります。放送法に違反をいたしますると電波法の規定を受ける。これはどえらい罰則になつておる。ちよつとでも誤ると役員が罷免せられ、そうして放送の免許が取消されるという仕組みになつておる。従つてこれをよく読みますと、その放送が間違つておるか間違つておらぬかということだけが規定をされておりまして、あとは全部電波法にひつかかることになつておる。放送法は単独にあるのではない。放送法の規制というものは非常に極限されたものであります。そうして押し詰めて行くと、結局言論の自由というものに対してどれだけの監督行政的な命令を持つかということになると思う。この前、郵政大臣は御就任後まだ日が浅く、激職に携わつておられるので、電波法及び放送法を十分に御研究になる時間がないから、御研究なつていただきたいということを申し上げたのですが、その後の御動静を承りますと、とても電波法や放送法を読んでおられるひまはないと私は推察を申し上げておるのでありますが、どうかなるべく早い機会に、電波法及び放送法目的が、今日の進展しておるところの電波界に即応しておるかいないかについて根本的な御認識を得られまして、徹底した改正法律案出していただきたい、さように念願してやまないものなのであります。  さらに郵政大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますが、この電波法や放送法を読みますと、私は、経営委員会というものは国民の委任信託によつて放送事業の全部を責任を持つてつて行く機関であると受取れるのでありますが、これに対して大臣はどういうふうにお考えでありますか。
  59. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは国民の委任信託とまで言えるかどうか。もしそういう形であれば、何らかの形で公選制をとらなければならないと思うのでありますが、これは政府が一応任命するという形になつております。しかし公選の場合ほどでなくても、御指摘のような気持が多分に含まれて経営委員会というものがあるということは申し上げられると思います。
  60. 齋藤憲三

    齋藤委員 この経営委員会についての法制定当時の解釈は、公共企業体になつたところの日本放送協会が国家機関の直接的な一部となつて、その自主一性あるいは独立性を失うことになりはせぬか、こういうような質問のあつたのでありますが、先ほどの御議論にもありましたように、国会が同意を与えたところの日本放送協会経営委員会、その監督機関である電波監理委員会委員は、この国民の選んだ国会によつて承認を与えられて任命されるのでありますから、まさに公人的性格を持つているのであります。しかるに、なおこの上事業計画、収支予算書などについて、内閣を経て国会の承認を必要とすることは、二重三重の監督を受ける結果となつているわけでありますから、ここに漫然たる行政土の監督あるいは命令権を郵政大臣が持つ前に、経営委員会がこの委任信託によつてはたしてりつばに放送事業を遂行しているかどうかという検討を加えて、それが完璧を期してなおかつ足りないときには、やむを得ずこういう改正法律案を出す必要があると思うのでありますが、その経営委員会の実態を見ますと、いまだほとんど放送事業に対して万全を期し得るような状態に立ち至つていないという見方がされるのであります。この点に対して大臣はいかような御所見をお持ちになつておるか。
  61. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 私はその点は必ずしもそう思つておりません。経営委員会経営委員会として十分任務を果していただいておると考えておるわけであります。しかし経営委員会経営委員会の立場において、また権限において、職務においてする範囲はおのずからきまつておるのであります。最終的には国会に対しては政府が責任を負うておるのでありますから、責任を負うておるものが、その責任を完全に果させるために、自分が監督しておる機関に対して当然監督権を持つという形にある方が、むしろ正しいと考えております。
  62. 齋藤憲三

    齋藤委員 これは、この論議の過程において、政府の監督権ということも非常に気にされて論議がかわされておるのであります。その一例は、さらに三十七条へ参りますと、そこには実に多元多岐にわたる監督機関が並立しているのであります。第一に協会より提出された収支予算事業計画、資金計画その他のものは、一応これが電波監理委員会に提出され、さらにこれが内閣にまわされ、最後に国会において承認を受けることになつております。次に四十一条に参りますと、そこには「協会の会計については、会計検査院が検査する。」という規定があるのであります。このように協会経営委員会が存在し、さらに電波監理委員会、国会及び会計検査院というように多元的監督を受ける、これで真に民主的に円満な運営がされるのであろうかどうかしいう点も、強く論議をされておるのです。とうとうこの論議の結論は、そういういろいろな監督は設けておるけれども、それはもうそんな監督をするのではないのだというふうに逃げておるのであります。従つてさらに屋上屋を架するがごとき郵政大臣が一定の認定において監督する、命令するということは、どう考えても不必要なるのみならず、憲法二十一条の言論の自由に対して拘束するという意図しか私は考えられないわけです。もしそうでなかつたとするならば、これは一度この法出を御撤回になつて、真に監督し命令を発しなければならぬ的確なものを羅列いたされて、その改正法律案を御提出になるなら、これはまた了とする。かしながらこの改正法律案にあるがごとき――治安維持法の発動によれば、国体の変革を企図するもの、この結社は全部取締るというその認定、監督会令権によつて、あらゆる結社が縛られたことも、賢明な大臣はよく御承知のはずでありますが、それに類似したがごとき監督命令権を持つた改正法律出は、われわれは憲法を守るという立場において絶対に反対をしなければならない、かように私は考えておるのであります。もしこの改正法律案通りますると、この監督命令権には大きな罰則がついておる。十万円以下の罰金に処せられる。もし一たび罰金刑に処せられますると、役員は全部やめなければならぬし、放送局は免許の剥奪が行われる。私はあえてNHKに肩を持つ困縁も何もないのであります。ただ営所から考えて、まさに電波が世界的に進展をし、国内がすべて電波によつていろいろな教育あるいは産業その他に対して影響を受けるときに、かくのごとき言論の自由というものが憲法に如是されておるならば、これは国内においてはフリーに言論の自由を確保してやる、しかし国際的には、これは国家の立場から、国外放送というものに対しましては、新たなる見地に立つて日本の立場を守るために大吉なるところの計画をお持ちになる、こういうふうにおやりになりませんと、国外に対するところの放送は、国家的立場を守るためにあらゆる規制を加えて行かなければならぬ。その規制が国内に及びますると、これは国内言論の自由圧迫ということになる。こういうような時代の進運に伴うところの放送法というものは、根本的に私はかえて行く必要がある、さように思つております。どうか私の念願といたしますところの――今回ここに提案せられましたような不徹底な、またいろいろな疑義をさしはさむところの改正法律案でなくて、なるべく早い機会において徹底したところの時代即応の改正法律案をお出じ願いたい。  最後に私は大臣にお願いしておきらいことは、私は質問の冒頭に申し上げました通り、電波以上に今日本国家が尊重すべきものはない。これはアメリカが物を持つているとか、あるいは日本が物を持つていないというようなことではなくして、電波はすなわち現代科学の最高を行くところのブレーンである。その民族のブレーンが、いかに近代科学を消化し得るかというところに、日本の国威を海外に伸張し得るところの素地が私はあると思う。本日の朝日新聞にも、「日本の生きる途」という一つの投書があつたのでありますが、これは科学尊重の緊急性を説いたところの論文でありました。私もこれに対しましては非常に同感を表するのであります。しかもその一点は、世界のすみぞれまで及ぶところの電波というものに、いかに日本民族のブレーンを乗せるかということによつて、私は国威の伸張、産業の開発に大きな寄与をすることができると思います。私は郵政大臣の要職にあられるところの大臣、その大臣が激職にあられることは十分承知いたしますが、どうか議会休会中にあくまでもこの電波法、放送法というものを検討されまして、とことんまで将来の電波というものが、日本に対してどれだけ重要性を持つておるものであるかという御認識をはつきり腹の中に入れて、そうして改正法律案をお出しなつたならば――私は信じます。かくのごとき改正法律案は御提出にならないだろうということを私は信ずる。どうかその意味におきまして、これで大臣に対する質問はやめますが、今回の一部改正法律案に対しましては、絶対に賛成を申し上げるわけに参らぬ、絶対に反対の立場に立つものであります。これだけを申し上げて、大臣に対する質問をやめます。
  63. 成田知巳

    成田委員長 郵政大臣はお忙しいようでございますが、大臣に対する御質問はございませんか。――ないようですから、私からひとつお聞きしたいのですが、今の齋藤委員質問に関連いたしまして、憲法の言論の自由に対する大臣の解釈なんですが、大臣の御答弁によりますと、憲法で保障した言論の自由というものは、各人が平等の立場にあつた場合の言論の自由であつて、NHKのように強大な影響力を持つているものについては、当然ある程度の言論の自由についての制約があるということは予想されるものだ、そういう御説明があつたのですが、この放送法の改正案が出ましたときに、一番問題になつた点は、やはり言論の自由を侵すものじやないかという点が、各委員から質疑された。それに対して政府側は決して言論の自由については考えていないのだ。監督官庁が一般法人に対する一般的な監督命令考えているのだという御答弁があつたと思います。その答弁ときようの郵政大臣の答弁は、少し齟齬しているような気がいたします。憲法の言論の自由というものは、一般的な平等の立場にあるものの言論の自由を保障している。NHKの場合は、こういう強力なものに対しては、ある程度の制約が予想される、こういう御説明になりますと、相当問題があると思いますが、私の聞き違いだとすれば幸いだと思います。
  64. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 その点はおそらく誤解を生じたのだろうと思います。私もしやべりながら、言葉が十分でないと誤解を生ずるかなと思つて実は表現をしておつたのであります。私が申し上げたのは、憲法があのように言論の自由、言論の自由といつて非常に強く表現をしておりますのは、今委員長の御指摘なつたように私も考えておるのであり、こういうぐあいに一方的に非常に強い影響力を持つておるものは、これの言論をいわゆる形式的に文字通り百パーセント許してしまうということは、一般人の言論の自由というものをかえつてゆがめる結果になる、これは争うことができないと思います。従つてこの四十四条の規定をごらんくださいましても、制度的には政治的に公平でなくちやならぬ。意見が対立している問題は、できるだけ多くの観点から問題を明らかにする。たとえば自分がある特殊な考え方を持つていても、その考え方を出してはいかぬぞという考え方が出て来る。ですからして私の考えております憲法の言論の自由に対する若干のそういう規制の考え方も、それを行政府がそういう考え方でものを判断していいとはもちろん思つておりません。しかし憲法の言論の自由というものが本来そういうものなんだから、放送協会のような場合には、こういう四十四条というものの考え方が、明らかに憲法の条章と何も矛盾することなしにこの放送法の中に出て来る性質のものだ、そういうふうに私は実は考えて表現したかつたのであります。
  65. 成田知巳

    成田委員長 では大臣よろしゆうございますか。――それでは通産省からやりますか。
  66. 齋藤憲三

    齋藤委員 通産省葦沢局長がお見えになつておりますから、一言伺つておきたい。NHKからのお話を承りますと、テレビジヨンは今非常に多くの損失を負担しながらやつている。数字は違うかもしれませんが、一時間放送すると十一万円かかる。それが五時間やると五十五万円になる。ところが聴取料というのですか、見る料というのですか、それは一月に二百円だ。今二千台か二千五百台しかない。そうすると非常に多くの失費を負担して行かなければならぬ。それが何か勧業銀行からの長期借入れでもやつている。将来の見通しはと伺いますと、テレビジヨンが安くなつたらペイするときがあるかもしれない。ところがそのテレビジヨンの製作というものは全部通産省の管轄である、こういうことになつて、郵政省の管轄行政から分離されている。こうなりますと、まず通産省で何とかひとつテレビジヨンの安い製作面に対するいろいろな研究その他奨励をやつて、その上でNHKがテレビジヨンをやる。それに生命が支配されて行く、かようなふうに感じられるのでありますが、このテレビジヨンの製造というものは、どういう過程にあるのですか、それを一つ承りたい。
  67. 葦沢大義

    葦沢政府委員 現在のテレビジヨン受信機の製造、これはすでに製造を準備いたしておりますものを入れますと、われわれの調査では約八十社になつております。ところがこれを製作いたしましてからまだ目が浅い関係もありますし、またテレビジヨン受信機には御承知のようにいろいろな特許がありまして、RCAの特許とか、GEの特許とか、イギリスのEMIの特許とか、こういう特許料だけでも、通算いたしますと四・八%というものを払わなければならぬという状況になつておりまして、御指摘のようにまだ受信機の価格というものは、相当高価なものになつております。しかしながら最近ようやく一インチ当り約一万円、従つて十七インチのものですと十七万円前後になつて参つておるわけでありまして、その製造価格も一にこれが普及度によりまして、普及されて需要度が多くなつて、生産されたものが売れれば売れるほど、大量生産方式も出て参りまして、安くなるものだと私は思つております。現在の状況におきましては、普及がうまく行きましたならば、五箇年後には約五、六万円程度になるのではないかという考え方をいたしておるわけでございます。
  68. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいまのお話では一インチ一万円、そうしますると大体七インチで七万円、十七インチで十七万円、こういうものでは非常に普及度が鈍い。それからテレビジヨンをつけましたその家庭の状態を聞きますと、その保守費が大体月に三千円かかる。たとえて申しますと、ブラウン管が一年しか寿命がないし、真空管もそれに類似しておる。電力量も非常に食う。そうしますと、たといこれが今局長のお話のように、五年後に六万円になりましても、その保守費が三万円ないし三万五千円も一年にかかつたのでは、これではたしてどのくらいの普及力があるか。そういう保守費の低減ということに対しても、技術的に何らか研究が行われておるかどうかという点をひとつ伺いたい。
  69. 葦沢大義

    葦沢政府委員 テレビジヨン受信機の維持費と申しますか、御指摘の保守費と申しますか、そういうものが非常に多額になることは、アメリカにおける受信機のその状況も、向うに行かれた人に調査をお願いして調べてもらつたのでありますが、アメリカにおきましても修理費は非常に上つておりまして、むしろアメリカにおいては、そのもの自身よりも修理費の方が一年の間に高くなる場合があるというケースもあると聞いておりますし、非常に多額につきますので、おそらく日本においても御指摘のように相当な費用を要するかと思いますが、これは一に技術の進歩、受信機の性能の向上、恒久性というものによるのだと思うのでございまして、通産省におきましても、受信機の向上につきまして、工業化補助金あるいは応用化学補助金という補助金の部面がありますので、昭和二十五年以来、テレビジヨン関係につきまして補助金を交付いたしまして、これが改善にお力添えをして参つております。今年度のものを合せますと、おそらく通計十一億円くらいになりはせぬかと思つております。これではまだとうていそういう目的を完全に果すわけにも参らぬと思うのでありまして、今後もこういつた面について力を入れて行きたいというふうに存ずるのであります。また一方受信機の普及に即応いたしまして、販売、修理機構と申しますか、サービス機構と申しますか、そういうものが漸次発達して参りまして、メーカーの手元まで返さなければ直らないということでなくて、先ほどラジオについてお話があつたのでありますが、手軽に直せるものは手軽に直すという機構の発展と申しますか、発達もわれわれとしては期待いたしておるわけでありまして、一、二すでにそういう構想において機構ができておるのでありますが、今後ともそういつた面に対してもできる限りのお力添えをいたしたいというふうに存じておるわけでございます。
  70. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいまいろいろお話を承つて非常に不安に存ずるのでありますが、このテレビジヨンに関するメーカーが八十社もあり、最近欧米を視察した専門家の話を聞きましても、日本がアメリカのまねをしてテレビジヨンをやつたならば必ず失敗するであろう、それはテレビジヨンそのものが日本の経済状態から比較して非常に高いのみならず保守費が非常にかかる、それであるからあくまでもこのテレビジヨンが理想的に完成されて、一台が三万円ないし四万円、しかも月賦販売で、保守費もほとんどかからない、ブラウン管にしても真空管にしても、三年ないし五年の寿命が保証されるという立場に立たなければ、日本テレビジヨンというものは発達しないのじやないか。その証拠には、英国でも、ドイツでも、イタリアでも、この見地からテレビというものに対してあまり積極的な考えを持つておらない、むしろラジオの方向に対して大きな関心を持つておるのだ、こういうような話を聞いたのでありますが、私たちも日本の経済状態考えてみまして、一インチ一万円、保守費が年に三万何千円もかかるというような状態でありますならば、――今局長からお話のありましたように、ほんとうに五年たつたならばこれが四万円ないし五万円になるという的確なるお見通しを持つたならば別でありますが、そうでないと非常に不安定にテレビの発達を見詰めて行かなければならない。これに対して勧業銀行が長期の貸付をする、しかもその利率は日歩三銭一厘だということですが、そういうような金を使つてNHKがさかとんぼになつつて、決してテレビジヨンのスAーズな発展はできないのじやないか、そういうように私は考えるのであります。何か十一億という奨励金ですか補助金ですか、あるようですが、そういうものはどういう面に対して出してあるのか、どういう技術面における改良及び発明に対してそれを出しておられるのか、それがおわかりになつておつたらひとつ御説明願いたいと思います。
  71. 葦沢大義

    葦沢政府委員 内容につきましては調べ次第御説明申し上げますが、やはり問題の焦点は、どのくらい普及するか、それは安いものが出れば普及するのだ、こういうことで水かけ論のような議論になるかもしれませんが、この普及度につきましては、私ども一応英国の例をとりまして、NHKで現在予想されております普及度と、それからもう一つは、御承知のようにテレビジヨン放送というものを現在NHKだけでやつておりますが、これがさらに二つ、三つというように放送の方がふえて参りますと、やはりそれに応じまして普及ということもまた影響されると思うのでありまして、いろいろな面からこの普及度というものは、将来の見込みということになつて、なかなかむずかしいのでありますが、われわれの予想いたしておりまするものから参りまするならば、英国の五、六年の普及度というものは非常にすばらしい勢いで普及をいたしております。むろんわれわれは英国そのもののような普及で行くようには考えておりませんが、しかしながら今年度末が大体四万二千台くらいになると一応予想いたしておるのであります。これが五、六年後には百万台くらいまで持つて行こうというような見方をいたしておりまして、そういつた普及台数をもとといたしまして、一応そのくらいの程度になりまするならば、五、六万円のところまで行けるといつたふうな考え方をいたしておりますので、御了承を願いたいと思うのであります。工業化試験補助金と応用研究補助金でありまするが、内容は、二十五年度は大容量真空設備による金属の真空溶解あるいは小型受信管の量産化、二十六年度におきましては真空管用アルミクラツド鉄の製造、MT管の量産化、二十七年度においてはコンポジシヨン・レジスターの量産化、ポリエチレンの製造、真空管用合成雲母の製造というものにつきまして、交付金を出しておるわけであります。先ほど私ちよつと申し違えましたが、十一億と申しましたのは誤りでありまして、一億八千万円でございます。訂正いたしておきます。
  72. 齋藤憲三

    齋藤委員 通産省所管におけるテレビジヨンないしはラジオ研究機関というものはどこにありますか。
  73. 葦沢大義

    葦沢政府委員 工業技術院に機械試験所がありまして、そこで一応研究するという建前になつております。
  74. 齋藤憲三

    齋藤委員 予算はどのくらいありますか。
  75. 葦沢大義

    葦沢政府委員 今ちよつと予算内容を持つてつておりませんので、別途御説明申し上げることにいたしたいと思います。
  76. 齋藤憲三

    齋藤委員 大分時間が経過しましたから、そろそろ先を急ぎますが、NHK及び電波監理局では、そのラジオないしはテレビジヨンの製作、研究面というものを通産省に所管せられておつて、それで将来監督行政の立場にあつて、これが円満急速なる発達ができるというふうにお考えなつておられますかどうか、ひとつ御所見を伺いたい。
  77. 長谷愼一

    長谷政府委員 現在通産省と郵政省の方とは十分な御連絡をいただいております。またわれわれが将来のテレビジヨンの普及の問題等考慮いたします場合も、十分御連絡の上で、受信機の製造数量、あるいはそれの価格等と普及の見込み等との関連等も、十分に連絡をとりましていたしております。私は現在の所管の形でこういう問題が取扱われて一向さしつかえない、こういうふうに考えております。
  78. 岡部重信

    岡部参考人 一昨日でしたかもちよつと申し上げたことと思いますが、今長谷局長の言われたように、私の方といたしましては、通産省並びに郵政省と常時密接な連絡をとつておりますので、ただいまのところ通産省でやつておるのが困るとかなんとかいう事態はございません。それから受像機が安くなればふえるのだというふうにおとりになつたかと思いますが、まさにそれはその通りでございます。受像機の値段が量産につれてだんだん下つて来るであろうという通産省なり郵政省なりのお見込みもいろいろ勘案いたしまして、私どもの方は今後何年間にどのくらいの受像者がふえるだろうというような算定で基礎を置いた次第でありますので、その点もあわせて御了承願つておきたいと思います。
  79. 齋藤憲三

    齋藤委員 どうもお互いにさしさわりがあるからか、逃避的な御答弁を伺つたように私は感ずるのでありますが、私の、ごときしろうとから考えましても、電波の進展というものは元来これは瞬間を争うものであつて、ただいまも通産省の局長が申された通りに、あらゆる面でその特許に抵触する大きな問題がある。これは日本全体といたしましても、年々外国に支払うところの特許料は一千百万ドルと私は記憶いたしております。四十億というものはこれは特許料として、日本の金が外国に行つておるのであります。それが電波そのものの所管は郵政省であり、テレビジヨンをこしらえて研究して行くものは通産省だ。その間に密接なるところの連絡があるなどと仰せられますけれども、私の関知いたした点におきましては、技術の面から行きますとそういう連絡がなかなかうまくとれるはずがない。かくのごときいわゆる進展性を持つところのものに対しましては、その手足のごとく、ブレーンの命ずるままに動いて行くのでなければ、十分なる研究、偉大なる発見というものはできないと思います。ここに私は第一に、電波業界の進展をはばむ行政上のネツクがあると思います。これは大臣でありませんから、御答弁を願うわけではありません。しかし局長にいろいろ御質問を申し上げてみても、結局電波というものをどれだけ重要に取扱つておるかということを常に頭の中に入れておられるならば――もう少し内容を御説明願うというと、それは暴露することになるのでありますが、そういうことは意地悪くなりますから私はやりません。それは郵政省がほんとうに考えておるがごとく、電波を重点に通産省が考えておられるならば、これはもう局長の頭の中には、今日の電波の情勢、どういうところに重点を置いて研究をしているか、その最も重要なポイントはどの程度にまで科学的に進歩しているかということの御説明を私は願えると思つております。まず局長に伺つておきたいことは、局長は量産にすれば五、六万円になるということを言われるのですが、どういうふうな方法をもつて量産に持つて行けば、今の高いものが安く、五、六万円に引下げられるのか。
  80. 葦沢大義

    葦沢政府委員 どうもたいへんいろいろ御高見を承つてありがたく感謝いたすのでありますが、まず第一に研究機関について、お互いに何か遠慮し合つてものを言えないのじやないかというお話でありまするが、研究につきましては、先ほど申し上げましたのは民間会社における研究事項に対する補助金でありまして、通産省自体としてやつております研究というものは別個になつておりまするので、その点をまず御了知願いたいのであります。研究機関につきましては、これはいろいろな面から従来もわれわれの先輩が非常に研究、調査されまして、研究機関の統合と申しますか、これがひとりこういう受信機のみでなく、いろいろなものの研究につきましてはいろいろな角度から問題がありまして、どういうところで研究をしたらいいか、あるいはこれを一本にまとめたらいいか、あるいはお互いにおのおの違つた角度から研究したらいいかというような問題を取上げられて、われわれの先輩が現在の研究機関というものをそれぞれ配置されてありますので、私はこれが必ず一本の研究機関でやらなければだめだというふうには考えておらないわけであります。  それから量産化につきまして、どうしたら量産化ができるかというお話でございますが、齋藤さんはおそらく事業の御経営をなさつていらつしやるので、その点は最もよく御存じだろうと思いますが、何と申しましても、量産化にはやはり生産設備機械化ということが必要であると思います。と同時に、この機械化されましたものが流れ作業で生産されて行くという形態に参ることが、量産化の二つの要訣だろうと思います。機械化におきましても、これはやはりいろいろな困難と申しますか、機械化と申しましても簡単に行きません。これが国産でできない機械は輸入するという必要性も起きて参りますとともに、それが資金について相当の額がやはり必要となつて参りますので、先ほど私申しました十一億というものは、開銀資金その他の資金をもちまして、これが機械設備の改善ということに投じておる金でありますが、そういうもののあつせんによりまして、量産化というものの一つの起点かできるのじやないかというように考えておるわけであります。
  81. 齋藤憲三

    齋藤委員 私は局長の言われるように、今事業経営をやつておる者ではありません。経営体というものに対しましては、何も私は関係を持つておらぬのでありますが、私の申し上げるのはそういう点ではないのであります。アメリカのごとき量産をやつておるところですら、今日においてなおかつ高いのです。そうして保守料はたくさんかかるのです。これを経済の最も貧弱な日小に対して、五万円くらいの値段でもりて引ける、しかも保守料がかからないというような質的な問題に対しましては、いかにこれは量産化をはかつても私はむだだろうと思う、限界がある、そこに重点的にどこを改良すれば、五年たつたならば五万円くらいに引下る、また保守料もかからないという大きな緊急のテーマあるいは改善のポイント、そういうものをつかまえて、これに対して重点的に施策を行つて行つたならば、あるいはそういうことが成功するかもしれない、しかし現在の段階においていかに流れ作業をやつたつて、莫大なところの費用を持つて来たつて、先ほど局長がお話になりましたように八十社もある。要するにラジオにあらず、テレビジヨンにあらず、これはパーツを集合して一つの通信機、映像機をつくるにすぎないのであります。これは量産といつたつてたかが知れていると思う。ただ今日の通産省において、五年たつたら五万円くらいに安くなるだろうという立案をせられますところのそのねらいです。そういうものが一体技術的にできるかどうか、そう確たるところの信念がなければ、片方で放送をやつている者は永久に赤字を背負つて行かなければならない。またもう一つの観点から申しますと、郵政省管轄下にあるところの電電公社、これはマイクロウエーブを使つて今度は遠距離の電話をやるのであります。将来はどうしてもこのマイクロウエーブに乗せてテレビの発達を策して行かなければならぬ。そうすると所管省がわかれておりまするから、こういうことに対しては何らの連絡というものはとれていません。要するに電波というものを主体とするところのものは、行政面においても事業面においても、一貫せられたるところの統制というものがなければ、将来に対するところの大きな進展というものは望まれないと私は考えている。今日のように通産省の一部にわずかにラジオとかテレビジヨンの製作面が置かれ、研究面が置かれ、郵政省の方では一生懸命になつてこの進展を策しておる。この間においては連絡がうまく保たれておるというけれども、これは別のからだであります。一心同体というわけに行かない。そういう点から私は非常に危惧の念を抱くのでありますが、局長にあらためてお伺いをいたします。一体何らか技術面において、五年もたつたら五万円くらいに引下がるという目途でもお持ちであるか。
  82. 葦沢大義

    葦沢政府委員 受信機は、御承知のように製作上今一番のネツクは、私はやはりブラウン管だろうと思います。ブラウン管が構成要素の中で大部分を占めておるものでありますが、これは日本のガラス工業の進展というものと相まつて行かなければなりませんで、七、八インチのものは相当数できて参つておりますが、十七インチくらいになりますと、ほとんどその数は数えるくらいであろうと思うのであります。と申しますのは、やはり手でふいてつくるというような状態でありますので、これを機械化いたしまして、現在電球が機械で一分間に何十できるというような式に参ることが――むろんアメリカはそういう状態なので、そこまで行きましても、また御指摘のような経費がよけいかかるというような点があろうかと思いますが、まずブラウン管、真空管及びその他の部品というように大別しますと、この三つのものにわかれるかと思うのでありますが、こういうようなものが先ほど申し上げましたような普及度と研究の成果、また生産の合理化というものと相まちまして、これはそういう目標を一応立てまして努力して行く、そういう目標のために、いろいろな施設を推進して行きたいという意味でございます。
  83. 齋藤憲三

    齋藤委員 ブラウン管の問題でありますが、ブラウン管は大体一万五千円ないし一万六千円、今日のテレビジヨンの工場原価というものは、私は大体七万円と聞いておる。そうしますと、まだブラウン管はそのうちの四分の一くらいのパーツを占めておるわけですから、これは重要に違いありません。しかしその他においてもなかなか四万円くらいのいろいろな部品が必要なのでありますが、局長にお伺いしたいのは、日本の文化を高め、あるいはその他の関係からテレビ学校教育とか、いろいろな問題が今出ておりますが、これはどうしても日本として急速に発展させなければならないという過程にあるならば、今までのように八十社もあるような小さなものがちくちくやつてみても、悪いものを高くつくる以外に一つもない。これに対して通産省は高所から十分な金をかけて、これを指導するというような立場に立つて研究機関なり、あるいはラジオテレビジヨンの製作面に対して、一切業界を指導するというような熱意を持つた大きな計画というものをお立てになるつもりでありますか。あるいは現在持つておられるのでありますか、それをひとつ伺いたい。
  84. 葦沢大義

    葦沢政府委員 現在八十社ばかりありますが、これは特許契約の問題で、具体的には外資委員会にかかると思います。八十社ほどのうち現在約五十社は、RCAとの特許契約をいたしております。しかしながらこれを外資委員会で全面的に認めて行くかどうかということは、やはり今後の問題でありますが、このうちすでに数社は外資委員会でも認められたのでありますが、そういつた面からいたずらに生産者が過剰になりまして、そこから来る弊害というようなものはでき得る限りチエツクいたしたいという考え方をいたしております。と同時に、選ばれた優秀なる会社がお互いにその技を競い、創意くふうを集中いたしまして、生産事業の発展におもむくようにということを、われわれとしては念願いたしているわけであります。
  85. 齋藤憲三

    齋藤委員 もう一時になりましたから、最後質問をいたしますが、私といたしましては、通産大臣がおられれば非常にけつこうでございますが、私の考えておりますことは、今日の日本状態を見ますと、一切の外国市場を喪失しつつある状態にあるのであります。これは日本の品物が外国の品物よりも高い、高いから売れないのだと一般にいわれておりますけれども、私はもう一つ、質が劣つているのだというふうに考えております。結局内地においてはいろいろな補助政策ないしはその他の手心によつてやれる部面もたくさんございますけれども、一たび日本の商品が外国市場に参りますれば、決して内地におけるような状態を持続するわけには参らぬ。結局は質のいいもので安いものでなければ売れない。こういう意味から申しますと、ただの石炭を持つて来ても、日本の商品では売れないものがたくさんできる。値段が安くても売れないものがたくさんできる。結局質の問題であります。私は英国の電波に関するところのいろいろな話もこの間承つたのでありますが、英国においては政府の援助のもとに、ある会社のごときはアフリカのまん中に行つて放送局を建てて、そうしてその放送局によつて電波を発射して、その受信は全部英国のラジオをもつてやらせる。そこで英国の国情を、その土着の人々によくのみ込ませて、そこに英国の商品を売り込んで行く、またアメリカは、今沖縄にBCバンドをもつて、中共及びソ連に向つて放送する千キロの放送局を建設している。まさに今日は電波によるところの国際競争であります。われわれも日本の前問途を考えますときに、どうしても電波というものの活用をもつて日本のあらゆる画を切り開いて行かなければならないということを考えるのでありますが、こういうときに、私は電波行政というものに対して、非常に多くの望みと重点を感ずるのであります。今通産省の局長のお話をいろいろ承りましたが、こういう見地から考えますと、実に日本の電波というものに対するところの考え方は低いと私は思う。弱い力しか打われていないというふうに感ずるのであります。何らブラウン管に対する規格もきまつておらぬでしようし、はたして国際市場においてこの電波機器か競争し得るだけの質を持つているかということに対しても、あらゆる面に灯して、おそらく私は厳密な検討が加えられていないと思うのであります。と同時に一国の前途を電波の上に託して、あらゆる面の開拓をするというような立場から、大きな研究所も私は設けられておらぬと思います。日本が、これならば電波によつて世界の市場に対して先駆たるところの任務を尽し得るというような立場から、電波国策というものはないと私は思う。これが行政面は郵政省にあり、政策面は通産省に置かれているので、おそらくいかなるお答えを願つても、これには非常に統一の欠けたところがあるのではないかと私は思う。結局吉田内閣が電波というものに対して、低級な考えしか柱つておらぬ、そういうふうに私は思うのであります。ほんとうに電波というものの姿を解剖して、電波によるところの日本の将来の状態を切り開くということになつたならば、一体こんなじだらくな、貧弱な状態に放置せらるべきものではないと私は考えております。  こういう意味におきまして、もちろん私も今後機会を得て、政府に対していろいろ質問いたしたいと思うのでありますが、今日そういうことを申し上げてもらちもあかないことと思うか円やめますけれども、どうかひとつ通産省におかれましては、今日機構の改善せられざる限りいろいろ御不自由もございましようけれども日本の電波というものが国際間においてどれだけ貴重なものであるか、あるいは国内においてもこれの重要性がますます進展して行くものであるということをお考えくださいまして、もつと徹底した施策を行われまして、今局長のおつしやるように、ほんとうに縦から見ても横から見ても、五年先にはテレビジヨンというものは三万円になるのだ、五万円になるのだという確信をつかみ得るような状態にまで、ひとつ研究の歩を進めていたたきたいと思います。そうでないと、NHKがいくらさかとんぼうになつても、私は日本テレビジヨンというものは発展しないと思う。発展しないということになると、そこに大きな損失が来るだけの話であります。私の関知している限りにおきましては、通産省はいわゆる地質調査の機関というものを持つており、あらゆる研究機関を持つている。しかし将来電波機器の革命をもたらすところのゲルマニウムあるいはシリコン、そういうものに対するところの資源の開発も何ら計画的にやつておらない。またこれに対して重点的に施策を行うというような研究もやつておらない。一体どこにゲルマニウムというものがあるか、気の早い人は、粗雑なゲルマニウムをつくつてアメリカに輸出している。しかるにゲルマニウムというものに対しては、まだ国家はほとんど無関心である。ゲルマニウムというものは一体どういうふうにしてとれるものか、そういうことすら、また資源の実在する箇所すら調べていない。そういうことでもつて、口を開けばラジオは安くなるのだ、テレビジヨンは安くなるのだ、五年たてば安くなるのだと言われても、根本を解決しなければ何もならぬ。結局テレビジヨンというものは、ゲルマニウムあるいはシリコンを用いるトランジスターで革命が行われるということは、世界の科学の水準においてこれは決定づけられている。そうなつたならば、日本は安いいいラジオを、安いいいテレビジヨンをつくるのには、このトランジスターの完成ということに対して全力を傾注して、アメリカより先まわりしてこれを完成するということによつて、初めて日本は電波において勝利を獲得することになる。そういう根本の問題に対しては、私はほとんどこれという見るべき施策も行われておらないという点に対しまして、非常に残念に思うのであります。どうか、今まさに電波機器の革命がもたらされんとしておりますが、その革命は日本において完成する品物が、あらゆる世界の電波機器よりも優秀なものが安くつくられる、従つてその電波機器が海外にどんどん出て行く、その日本の電波機器が出て行くことによつて、初めて日本の実情というものが世界各国に了知せしめられ、ごこに初めて日本の商品が売れて行くという体系を整えられんことを切にお願いいたしまして、私の質問を打切りたいと思います。
  86. 成田知巳

    成田委員長 ほかに御質疑はございませんか。――ないようでありますから、次に陳情書について審査に入ります。     ―――――――――――――
  87. 成田知巳

    成田委員長 陳情書日程中、第八、第一〇ないし第一三、第一六ないし第三五及び第三七の各陳情書については、すでに法律案の議決により、これらの問題に対する本委員会の意思は決定されておりますので、これを審査の対象から除外し、残余の各陳情書趣旨はこれを了承することといたしまして、委員会の審査の上に実質的に反映させて参りたいと存じます。
  88. 松井政吉

    ○松井(政)委員 陳情書に関することについて一点だけお聞きしたいのですが、本日いただきました陳情書の資料の姫路放送局存置の問題と、それから諏訪の中継放送局設置の問題、それから徳島、高松放送局に第二放送増設、この三つの問題についてその後の経過と現在どのようになつているかという、この一点だけでよろしゆうございますが、お答えできる範囲でけつこうですが、お答え願いたい。
  89. 長谷愼一

    長谷政府委員 お答え申し上げます。姫路の放送局につきましては協会から去る五月の末に申請書が出ておりますが、それはまだ私どもとして不十分のように思われますので、もつと検討された計画を出していただいて、その計画が協会としての計画全般の上から妥当なものであり、しかも法令に定める諸条件に合致しておりますならば、免許を与えてもしかるべきではないかと思つておりますが、まだはつきりした内容が出て来ておりませんのでそのままになつております。  それから諏訪中継所につきましては、諏訪に置くかあるいは岡谷に置くかということで、いろいろ検討されておるように伺つております。これもまだどちらに置こうかということで、協会の申請が出て来ておりませんのでそのままになつております。いずれこれは結論を得られて、協会からどちらに置こうということで出て来るのではなかろうかと思います。  それから徳島、高松につきましては何ら申請等はまだ受けていないと思つておりますし、また先般いろいろ検討の上で決定を見ました放送用の周波数の割当の表の上では、第二放送大阪のが十分に聞ける地域でありますので、その割当表の中では一応予定されていないところでございます。
  90. 成田知巳

    成田委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時十三分散会