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長谷政府委員 補足的に御
説明申し上げます。ただいま
大臣から
お話がありましたように、また私から
先ほど申し上げましたように、私どもといたしましてはこの監督及び監督上必要な命令は、当然
放送法の
範囲内である。また
放送法に明文があ
つて、
放送協会当局にその
権限と
責任とを明らかに与えてある問題につきましては、
大臣から命令の形では出せないものというふうに
考えておるのでございますが、御参考までに二、三の例をも
つて申し上げてみたいと思います。
まず第一に監督命令としてわれわれが具体的に
考えられますことは、
放送法の各条項に定められてあります事項に
違反した場合に、これを矯正するための命令であります。
またもう
一つの面は、
放送協会はあまねく
日本国中に受信できるようにしなければならないという大きな責務が与えられておりますので、あまねく
日本国中に
放送が聞えるようにしなければならないという責務を施行する上において不適当な場合には、やはり
政府から勧告なり、場合によ
つては命令というものも出さなくてはならない場合が
考えられます。
またもう
一つは、外国電波によりまして、
日本の
放送の聴取が極度に妨害を受けたような場合には、またこれに対する対策というものも
考えなければならないのでありますが、
日本放送協会はただいま申しましたように、
全国的な
放送、しかも公共企業体として
全国にあまねく
放送を受信させる責務を持
つておるのでありますから、外国電波に対する対策ということも、何をおいても
放送協会は
考えなければならない。これはもちろん
政府がともともに
考える問題でありますけれども、実際に
放送をや
つておる実施
機関である
放送協会に、その対策を考究せしめるということは、当然起
つて来るのではないかと思います。後ほど条文的にも申し上げてみたいと思いますが、特にあとに申し上げましたいわゆる難聴、聞えない
地域の救済及び外国電波に対する対策というものは、時によりますと相当の金を要することになるのであります。従いましてこれを最初から
政府がこうやるべしというような命令の形で、いわゆる積極的な命令で行くことは、
先ほどから
大臣の
お話にありましたように非常に疑問がありますので、われわれといたしましては、救済の方策を考究すべしというような
程度の命令と申しましようか、研究、調査の命令、あるいはそれに対する対策を樹立する命令等を要求いたしまして、それによ
つて妥当と認める場合には、
政府はまた必要な処置も講じ、
放送協会にも可能な
範囲内において必要な処置を講じさせるというような、二段構えで行くのが当然ではなかろうかと思
つております。
なお私どもがここで特に申し上げてみたいことは、
放送法の第三条の
規定に定めております
放送番組編集の自由についてであります。このような明文のありますことは、憲法において言論の自由を確保されている
建前から
考えましても、当然これを侵すような命令は出せないものと
考えております。また一説によりますと、この
改正の
法律案によりますと、
郵政大臣は
労働関係法令上明らかに罷業権を認められておるのに、この罷業権を否認するような命令を出せるのではないかというふうな解釈もされておる向きもあるようでありますけれども、当然そういうことはできないものと実は
考えておるのであります。
先ほど申し上げましたことをもう一度要約させていただきますと、電波法の
規定に
違反」するような場合において、これを矯正するための命令、たとえば第九条にうた
つております禁止
規定等に
違反した場合、あるいは第三十九条に
協会の支出の
制限規定がございますが、これに
違反して支出等をや
つた場合に適正な補正を求める。あるいはまた四十四条で、
放送協会は科学的な世論調査を絶えず行いまして、
国民の要望に沿
つた番組をつく
つて行かなければならぬということにな
つておるわけでありますが、そういう
規定による
義務を怠
つた場合の命令であります。それからまた四十六条に広告
放送等の禁止
規定がございますが、これらに対する
違反が行われた場合の矯正命令というようなことが
考えられますが、もう
一つは
先ほど申し上げましたように、難聴区域あるいは外国電波に対する対策の考究についての命令、そういう点のことを
考えておりますが、いずれにいたしましても、経済的負担を伴うような命令は、直接的には出せないというふうに
考えております。また
先ほど申しましたように、番組の編成の自由を侵すような命令は、当然出せないものと
考えておるのであります。