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1953-07-13 第16回国会 衆議院 電気通信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十三日(月曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君   理事 橋本登美三郎君 理事 小泉 純也君    理事 原   茂君 理事 松前 重義君    理事 中村 梅吉君       菊池 義郎君    玉置 信一君       齋藤 憲三君    廣瀬 正雄君       柴田 義男君    松井 政吉君       三輪 壽壯君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  金光  昭君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  木村 三男君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 七月十一日  電話事業開放に関する請願椎熊三郎紹介)  (第三三六四号)  夜間及び早朝の電話通話料割引制度復活請願  (田口長治郎紹介)(第三六〇七号)  口永良部島に超短波無線電話架設請願(岩川  與助紹介)(第三六〇八号) の審査を本委員会に付託された。 同月十日  滋賀県に県単位放送局設置に関する陳情書  (第七八三  号)  大阪を中心とする電話網早期復興対策に関す  る陳情書(第八  一二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公衆電気通信法案内閣提出第九一号)  有線電気通信法案内閣提出第九二号)  有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(  内閣提出第九三号)     ―――――――――――――
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまから開会いたします。  公衆電気通信法案有線電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案一括議題として、質疑を続けます。質疑は通告順によつてこれを許します。松前君。
  3. 松前重義

    松前委員 国際電信電話株式会社株式分布状況一覧表資料として頂戴したのでありますが、この株式分布状況については、概念的にはこれに出ておりますが、もう少し詳しくこの内容を伺えないものでしようか、大蔵当局にお伺いしたい。
  4. 木村三男

    木村説明員 郵政省の方から資料が出ておりますが、なお詳しいことということでありますが、その中で市中銀行地方銀行、ほとんどこれは銀行協会加盟銀行でありますので、省略させていただきます。生命保険の方も損害保険の方も、損保、生保の加盟会員でございます。関連産業以下について申し上げますと、関連産業といたしまして二十四社となつておりますが、日本電気、沖電気、富士電機、日立、東芝、日本無線、住友古河、藤倉、昭和、私の方の分類ではそういうふうになつております。貿易商社の方では、東西交易、第一物産、伊藤忠住友商事、大倉商事、不二商事、東京貿易、第一通商、室町物産日本綿花東洋綿花、丸紅、岩井、安宅、兼松、高島屋飯田、そういうものが貿易商社の部類に入つております。範囲のわけ方について、これと少し違つた調べに私の方はなつております。それから関連産業に入れても入るし、一般産業の方に入れても入るというようなわけ方の食い違いはあると思いますが、その他一般産業といたしまして、石炭関係三井三菱住友古河金属鉱山として日本鉱業住友金属鉱山三井金属鉱業、それから製鉄会社で八幡、富士、川崎、神戸製鉱住友金属工業、肥料では東洋高圧住友化学三菱化成、昭和電工、紙の方では十条製紙、王子製紙、セメント、ガラスの方では日本セメント、小野田セメント磐城セメント、旭硝子、紡績は東洋紡、大日本紡、鐘紡、呉羽、日清、化繊の方では帝人、旭化成、東洋レーヨン、毛織の方では日本毛織、ガスの方では東京瓦斯、大阪瓦斯、倉庫では三井三菱住友運輸関係では日本通運、電力の方では九つの電力会社報道関係日本放送協会、時事、共同、朝日、毎日、読売、日本経済産業経済、こういうようにこまかくわかれておりますが、これは別途資料にして差上げた方がいいのではないかと思います。資料においてごらん願います。
  5. 松前重義

    松前委員 大体わかりましたが、大蔵省保有株というのが二百八十二万六千六百十三株ありますが、これは将来どういうふうになさるつもりでありますか。
  6. 木村三男

    木村説明員 株の処分につきましては、関係法令もございますので、それに従つてつて行くわけであります。ほかに著しいさしさわりがないという問題でありますれば、一般競争入札によつて処分するのが一つの原則になつております。この国際電信電話株式会社の株につきましては、ほかの例と違いまして、新しく発足した関係もあるし、政府関係からわかれた事業であるというような関係もありまして、一般並処分ではやれないという見解から、第一回分につきましては、一般競争入札には出さずに安定株主層を確保するという見地から、一部は今申しましたような金融機関関連産業の方に当てまして、証券会社を通じて委託処分を行います。残余の分につきましては、当該会社役職員従業員随意契約処分するという方式考えます。今後残されております株につきましては、ただいまのところの見通しでは、大体打つべき手は打つてありますので、今後は市場状況とにらみ合せて、適当な機会に一般競争入札処分したいと考えております。
  7. 松前重義

    松前委員 この前の払下げに対しては、大体額面通りの値段でお払い下げになつたのですか。
  8. 木村三男

    木村説明員 第一回分の処分につきましては、額面価格をもつて処分価格といたしました。
  9. 松前重義

    松前委員 今後の分は…。
  10. 木村三男

    木村説明員 一般競争入札でありますから、需要供給の落ち合つたところが処分価格になるわけでありますが、処分勘定といたしましては、処分時の時価というものを評定いたしまして、予定価格を作成いたしまして、その予定価格を下まわる処分では売れない。予定価格と同様あるいはそれ以上の線で、需給の調節を得て処分するという形になります。
  11. 松前重義

    松前委員 国際電気の営業状況は、大体昨年度などの収入に比べて、相当上まわつておるようであります。そのような見地から、この株は多少額面より高く売れるというようなお見込みはお持ちになつておられませんか。
  12. 木村三男

    木村説明員 国際電信電話株式につきましては、四月から会社が発足いたしまして、まだあまり時も経過しておりませんので、市場においてどういう態度で受入れられるか、にわかに判定ができないのでありますが、大体今後の収益見通しなどにつきましては、公社から電電会社の方に現物出資いたします場合に、現物評価をしたわけでありますが、その評価は御承知の通り資産そのものに対する現在価値及び過去の例などをとりまして、将来を見通しいたしましたところの収益性見地からこれを調整いたしまして、出資評価額が出ておりまして、それが三十二億七千八百万という数字、これは評価審議会の方で何回も審議を重ねた結果出ましたのがこの金額で、これがすなわち株の方に評価されておるという状況であります。すなわちこの評価がことしの一月半ばころにされたものでありまして、その当時から見通しました会社営業ぶりはどうなるかというような要素は、すでに現物出資の額の評価に織り込んであります。結局それが株となつておりますから(その見込み資産そのものにも含みというものはない。収益性の方も、評価当時においてそういう観点を加味してあるのでありますから、ここしばらくの間、市場が特別に異常に活発になるとか、あるいは著しく下向きになるとか、そういう関係がない限りは大体額面内外のところで納まるのが私ども常識とした見解と言えます。
  13. 松前重義

    松前委員 ここに今まで処分された株は三百七十七万、あとの残りは二百八十二万、大体こういうことになつておりますが、このような割合は何か根拠があつて、早く処分されたものと今保有されているものとの間に、ある関係を持たしてあるのでありますか、伺いたい。
  14. 木村三男

    木村説明員 この会社は、政府からだんだんにわかれて行つたものでありますけれども政府の方も株を持たない、株主地位に立たない。それから公社の方も株主地位に立たないというような仕組みになつております。従つて安定株主層相当持たなければならぬ。その割合はどのくらいかと申しますと、これは会社によつていろいろ違うのであります。非常に数多く分布されております場合には、これは三割かそこらあれば済むのじやないか。それから大体固まる傾向のあるようなものにつきましては、三割ではまずいから、四割、五割という線までほしいのだというようなことが、安定株式としての常識のように聞いております。そこで少くともこの場合には、半分以上の安定株主層が必要ではないか、従業員役員、それを含めましての話でありますが、そういうものも追加しまして、半分以上というのが必要ではないかというようなことは私ども考えておりましたし、たまたま会社の方から、会社経営関係専門家の方の意見を徴しますと、どうしても六割ぐらいがこういつた形態会社安定株主層として必要ではないかというような関係もございまして、三十三億でありますが、そのうち六割としますと十九億八千万、大体この辺を目安にしてやつたらどうかというような考え方、つまり会社法関係権威者といわれる人たち意見もそうなりますし、それから私ども考えております場合の従業員処分の限度も大体五割となつておりますので、その辺を目安にした次第であります。
  15. 松前重義

    松前委員 大体のところわかりましたが、この株は今後売り出されるものと合せて、ある特定な場所に集中される、すなわち過半数を占めて強力なる発言をなし得るようなおそれがあるのを、われわれは非常に議しなくちやならぬと思うのであります。そういう立場から見まして、この株の配分はそのような傾向があるかないか、そうしてまた大蔵省としてはどのような見解を持つのであるか、伺いたい。
  16. 木村三男

    木村説明員 安定株主層のつくり方と申しますか、望むべき形態といたしましては、会社によつていろいろあると思うのであります。この国際電電は非常に公共性の高い会社でありますので、ただ二、三のものに多く持たせる、形の上では安定株主のようでありますが、実際はそうではないような弊害が多いと考えておりますので、安定した株主層配分はしますけれども、それはやはり力の均衡と申しますかチエツク・アンド・バランスの定則によつて、一箇所に固まらないような配分の仕方でもつて安定株主層ができて行くというようなことをねらいました結果、今のように金融機関にしましても、一ほとんど全部に行きわたつておる。それから関連産業においても、互いに競争関係にあるようなものがやはり同じような割合株主になつておる。しかし終局のねらいとしては、その会社そのものに深い関係を持つ会社そのものが、もり立てて行かなければならないというようなところにおちつくような形をとつたわけであります。それからその後の問題といたしまして、今のところ一般競争入札考えておりますが、これは国民の各層に行きわたるような規模をもちまして、なるべく民主化の線に沿うように分布するような処分方法をとりたいと考えておりまして、東京だけで入札をやるということになりますと、勢いその方面に株が集まつてしまうというようなことになりますので、今後の問題といたしましては、やはり大阪なり仙台なり、あるいは九州なりの方でも同じような方式処分をやるということによつて、全国の各方面に株の分布が行われるような方式をとりたいと考えております。
  17. 成田知巳

    成田委員長 愛知政務次官が来ておられるのですが、御質疑ございませんか。
  18. 松前重義

    松前委員 私はけつこうです。
  19. 柴田義男

    柴田委員 去る十日の委員会におきましても、この国際電話株式の問題で大分伺つたのでございまするけれども、その際木村説明員からの御説明を承つておりました場合に、従業員に対しましてあまりにも持分が少い。処分をなされました三百七十七万三千余株の一割にもなつていない、こういうことを私から伺いました場合に、その当時の御説明では、従業員に対しましてはできるだけ多く持たせなければならないので、持てるだけ持たせよう、こういうお考えだと承つたのでありまするが、その後従業員の諸君に直接会つて伺いましたところによると、そうした株を開放するということを知らない従業員相当あつだのであります。実際従業員に対しまして、この株式公開なさる場合に、ほんとうに従業員が全部わかるような方法を講ぜられたか、この点を承りたいと思います。
  20. 木村三男

    木村説明員 従業員処分形式は、当該会社の方で内部従業員役員がどのくらい持つであろうかというような申込みをしまして、それを合計いたしまして大蔵省の方に、従業員処分でやつてもらいたいということを申し出るのでございます。従いまして大蔵省自体において、会社の方に参りまして、従業員の方に募集するとかなんとかいうことは従来やつておりませんし、この場合もやらなかつたつでございます。そこで会社の方では、下話としまして、従業員処分としてやりたいからどうだろうか、そこで私の方としましては、従業員処分大いにけつこうなことでありますから、ひとつその資料をまとめまして、こちらに申し込んでもらいたい。会社の方では内部の公告を出したということで、私どもの方にもその写しをもらつております。でありますから、私ども気持会社の方によく通じておるわけであります。そこででき上りました結果が、資料にも差上げました通り九千九百万円、国の財産でありますから現金でなければいけない、つまり金をそろえて会社を通じて大蔵省の方に払い込まれなければ、株が手に入らぬということになりますので、その当時のいきさつから申しますと、初めはもつと多いようなことを言つたのでありますが、金が集まらぬというようなことで、おちついた数字が九千九百万、こういうふうないきさつでございます。
  21. 柴田義男

    柴田委員 そうしますと、この国際電信電話法によつて株式処分をなさる権限は大蔵省にあつて、そうして今度は新しくできた国際電話会社自体がその責任において従業員に対しましては公開をするのだから、持てるだけ持て、こういう方法をとつたのでございましようかどうかを伺いたいと思います。
  22. 木村三男

    木村説明員 大蔵省に対しまする場合は、従業員役員会社これは一体なんであります。つまり従業員処分をしてもらいたいという申出をすると、会社といたしましては役員従業員の全部のものをまとめて、右総代として大蔵省の方に交渉にお見えになるのでありますから、会社の方で必要な額をいただきまして、それだけの株を用意しまして、契約を結ぶという仕組みになつておりますので、処分方法をまかせたというのでなくて、大蔵省の持つておる株の処分方式一つ従業員処分ということになりまして、従業員処分というのは、会社の方で希望をとりまとめて、一括して大蔵省の方と契約を結ぶ、その募集の仕方、金の集め方につきましては、会社内部問題でありますから、こちらとしては、気持としては決して切る意思はないのでありますから、できるだけ精一ぱい持つてもらいたいという意向を伝えたのであります。
  23. 柴田義男

    柴田委員 大蔵省のその御意図はわかるのです。わかりまするが、会社が実際具体的にこれを従業員公開する場合に、上層部だけ、たとえば組合と申しましても、幹部にだけ徹底せしめまして、下々の一々の従業員の人々に対しまして、不徹底のきらいがあるように私ども調査によつてはなつておるのです。そういうようなことは、国際電信電話会社設立の当初はございませんでしたろうか。大蔵省でそういう点の御監督はできなかつたのでございましようか。
  24. 木村三男

    木村説明員 この点につきましては、当初法律がこういうふうになつて処分の形は大蔵省管財局の方に来るということは、法律が出てから私ども初めて知つたようなわけなのであります。私どもの方としては、政府有価証券につきましては、管理、処分責任を有する部局でありまするので、その方につきましては全力を尽して経験を生かしてやるわけなのでありますが、でき上ります国際電信電話会社について指導するとか監督するとかいうようなことは、経験もございませんし、お門違いともなりますので、株の処分という点につきましては、会社の方と連絡をとりまして、間違いのないようにという方針で進んで参つた次第であります。
  25. 柴田義男

    柴田委員 もう一点伺いますが、この前原委員からもお伺いしておつたようでございますが市中銀行十四行に百三十六万株を持つてもらう、地方銀行五十九行に対しまして五十万七千株を持たしている、この数字はわかりますが、市中銀行十四のうち一番大きく持つた銀行がどこで、最低銀行はどこか、二つぐらいでけつこうでございます。それから地方銀行五十九のうち、一番大きく持たしたのはどこの銀行で、最低はどこの銀行か、その大きいのと小さいのとをまず比較してみたいと思います。
  26. 木村三男

    木村説明員 市中銀行は大体五千万円平均になつております。興業銀行だけが一千万円よけいになりまして六千万円であります。地方銀行は、市中銀行のように一律には参りませんでしたが、北海道拓殖銀行が三千万円であります。小さいのとしましては、これはどこにあるか記憶ないのでありますが、泉州銀行百万円、池田銀行百万円、その他は千万、二千万、その辺が大体平均になつておるようであります。
  27. 柴田義男

    柴田委員 そうしますと興業銀行が六千万円、その他は市中銀行が五千万平均ぐらい、こういうことでございますが、これはやはり申込み等をお受けになつたのでございましようか、大蔵省当局から慫慂なすつて、こういうような金額を持たしたのでございましようか、その点を承りたい。
  28. 木村三男

    木村説明員 金融機関にはそれぞれ協会がございまして、国際電信電話会社の方でも、将来のことを考えますと銀行方面にお世話になることが多いという関係で、会社の方からも、会社会社立場といたしてまして、そういう集まりにおきまして事業内容説明いたしまして、そうしてできるだけ持つていただけないかというような話を別途いたしております。私どもの方では、この処分方式がきまりましてから、一行々々は呼びませんでしたが、各協会担当者に集まつていただきました。そうして金額内容について幾らということは強制できるものでもないし、それだけ持たなければ困るということでもないのでありまして、またいろいろ銀行里、ほかの例もあるし、他銀行との関連もありまして、その点についてはいろいろ先例たり慣習なりがあると思いますので、こちらからは別に慫慂なり懇請はいたしませんでしたが、大体こういう形でこういう方面対象として、このくらいの金額のものが処分される予定になる、そこで希望をとりまとめてもらいたいということを言いまして、出て来ました数字を集計いたしまして、それをもつて処分の総額といたした次第であります。
  29. 柴田義男

    柴田委員 もう一点伺いますが、日本銀行普通銀行に対しまして指定いたしました銘柄がございますが、こういうものに、たとえば再担保になれる種類の有価証券がある、こういうことをわれわれは聞いておりますが、この国際電信電話会社株式は、そういう指定銘柄でございましようか、その点を承りたい。
  30. 木村三男

    木村説明員 ただいまのところ国際電信電話株式というものは上場されておりません。上場になります時期はと申しますと、第二次分の十四億何ぼというのが一般競争入札の形で市場に出て参りまして、それが市場の方の取引対象になる。それからのことでありますので、ただいまのところ取引所関係には、この株式上場されておりません。
  31. 柴田義男

    柴田委員 上場株にはなつていなくとも、たとえば日銀地方銀行あるいは市中銀行から担保にとれるというわく内にあるのかどうかということを承りたい。
  32. 木村三男

    木村説明員 正確なことは聞いておりませんが、そういうものに指定したとかあるいは指定されたというようなことを、日銀当局なり会社から聞いておりませんので、今のところそういうものはないと推定するのが適当かと思います。
  33. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 愛知政府委員にお伺いします。前会説明員の方と質疑応答したのですが、この特殊法人法律なよつて設定された独占会社ですが、こういう会社は、他の目的もありますけれども会社自体として安定性があるかどうか。つまりこれは経営上からですが、安定性があるかどうかという点をお聞きしておきたいと思います。
  34. 愛知揆一

    愛知政府委員 安定性はあると思います。
  35. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 安定性があるという前提でお聞きするのですが、この国際電信電話株式会社法附則によれば、もちろん安定価格云々ということは書いてありませんが、附則二十一には、「政府は、有価証券市場状況を考慮し、なるべくすみやかに、前項の規定により譲り受けた株式処分しなければならない。」となつております。この場合における「有価証券市場状況を考慮し、」というのは、必ずしも公開をもつて売り渡すという意味ではなく、有価証券市場需給状況を見て、前記のように割当方式をもつて株式を譲渡するという方法も含まれいると思うのですが、この場合において、いわゆる公社に支払うべき金額が十分であるようにということからして、この評価審議会におきましても、審議会の基底となるべき評価基準を「適正な収益率と認められる率により還元して得られる価格基準とし、その財産時価を参しやくしなければならない。」という条項を特に加えておるのであります。というのは、独占会社であり、かつまた電信電話公社としては、従来とも収益の上つてつた事業であるから、必ずしも経営者が悪くして移したのではなく、他の目的から、この際民営会社に移すべしという見地から、これが民営に移されたのである。そういうことからして、財産評価にあたつては適正な収益率時価を参酌しなければならない、こういうことをあらためて明記しておるのであります。それを受けて二十に、「公社は、会社の成立後遅滞なく、」云々とあり、二十一に、政府は、有価証券市場状況を考慮して、これをすみやかにやらなくちやいかぬとなつておりますが、こういうことは、少くとも、いわゆる払込み価格形式価格によらずして、できるだけ有利な条件でこれを公開しようということにわれわれは解釈しているのです。しかるに今愛知政府委員が言われるように、この会社は、経営的に見ても、この基礎を見ても、健全なる会社であるというような前提に立つならば、この会社というものがいわゆるプレミアム付公開をする、当然に相当プレミアム付のことができのたではなかろうか、それが安定株主が必要であるという設立委員会考え、——どちらの考えか知りませんが、そういうことからして、六割という厖大な数字安定株主に割当てられたということについては、どうもわれわれは法律審議の上において、決定した条項から考えると、必ずしも妥当な方法でなかつたように思うのです。かつまたこういう特殊会社に対して、六割以上の安定株主が必要かどうか、こういう点についてお伺いいたしたい。
  36. 愛知揆一

    愛知政府委員 今の橋本さんのお話は、ごもつともの点が多々あると私は思うのであります。ただこの株の引受を考えました当時においては、先ほど来るる御説明申し上げておりますように、公益事業であり独占事業であるということは、また裏から言えば類似の形態の業態がないということでもございますし、それから資産内容含みを見るか見ないかということ、これはまあ含みは見られないという状態ではなかつた分と思います。それから収益の還元の方からもいろいろ考えなければなりませんが、その当時においてはこの評価ということが非常にむずかしい仕事であつたと思うのであります。いろいろ専門の方々の御意見も徴しまして、事柄の内容も十分検討してこういう措置をとつたということは、大事をとつたものの考え方としては、一応やむを得ない措置ではなかつたかと思うのであります。これはもちろんいろいろの議論もあり得ると思いますが、政府とし、あるいは大蔵省といたしましては、大事をとつて間違いがないやり方をやろうとすれば、こういう方法による以外には方法がなかつたのではなかろうか。同時に現実の事態として、先ほど来お話がございましたが、たとえば現在のところ起債市場状況その他から見ましても、やはり銀行等に実際問題としては相当つてもらわなければならないという状態でもあつたかと思うのでありまして、いろいろ考えあわせまして、御意見にはごもつともな点が多いと思うのでありますが、措置としてはやむを得なかつたのではなかろうかと考えるわけでございます。
  37. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 それでは二十一項の「なるべくすみやかに」、という言葉は、どういうふうに御解釈になりますか。国際電信電話会社としては、その株の大半を処分して何十億の金を入れなければならぬような情勢にあつたとは思わないのでありますが、ただこのすみやかなるということについては、当時のわれわれの解釈は、できるだけ株主権を政府が行使しない、あるいは早く民間に渡したい、こういう建前上、政府株主権を行使するような事態を置くことが民営会社の指針に反するので、そこで「すみやか」にという字が入つておると私は思うのです。しかしすみやかにといつても、証券市場を撹乱する結果になるような意味でこれを処分することはいけない。そういう意味から、その上に「市場状況を考慮し、」ということが入つているのだろうと思う。何でもかんでもすみやかにやれという意味でなく、やはり公社をして株主を有利に処分せしめる。政府としてもいつでも株主権を行使することができないし、はなはだ迷惑でもあるし、民間企業を阻害することにもなるから処分せよ、こういうふうに「すみやかに」を解釈しておるのですが、それにしても前段の株式市場を考慮してという点で、できるだけ有利に処分すべきではなかつたろうか。事実現在二十億円の金が処分されておるのですが、その事業資金というものがどういうぐあいに今日までに処分されておつたか、使つておられるか、あるいはそれらの金の大部分を預金しておられるのか、あるいは実際の施設の改善の方に振り向けられて、その大部分の金を使つておられるのか、その点もあわせてお聞きしたい。
  38. 愛知揆一

    愛知政府委員 この法律の二十一項の「有価証券市場状況を考慮し、なるべくすみやかに、」という規定は、まつたくただいま御指摘の通り私も考えておる次第でございます。なお後段の点については木村説明員から答弁いたさせます。
  39. 木村三男

    木村説明員 金が入りましたのは、一般の分が五月十三日、従業員処分の方はそれよりも遅れまして二十七日かと思います。その入れ方につきましては、処分代金が十八億八千六百万余りであります。そこで入れ方につきましていろいろ意見がわかれまして、ただいま決済中でありますが、近く交付できるものと思います。問題としましては、この処分につきまして政府予算の方で手数料として千四百万ばかり負担していただくわけであります。それを差引くべきだろうかどうだろうか。あまり大きな問題ではないのですが、筋の問題としてそういうことがありまして、私ども当局の考えといたしましては、そういうものは政府の当然の仕事としてやるのだから差引くべきでない、売れた額十八億八千六百万余りをそのまま入れるべきだということに意見がこのほどまとまりまして、あとはただ入れる手続だけになります。
  40. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 入れる手続というのは、公社の方に支払うという意味でございますか。
  41. 木村三男

    木村説明員 さようでございます。
  42. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうしますと国際電信電話会社の運転資金というものは、借入金によつてつておりますか。株式処分の全額を公社の方に支払いますから、そうしますと日々収入はあるのがありましようが、当初においては間に合わなかつただろうと思うのですけれども、一時借入金等によつて運転資金をまかなうということになるのですか。
  43. 金光昭

    ○金光政府委員 会社の運転資金につきましては、ただいま橋本委員のお話のような会社の日々の収入から得ます手持ち資金及びそれぞれの不足——会社設立当時に不足いたしましたそれらの点につきましては、市中銀行からの借入金をもつてまかなつております。
  44. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体了承いたしましたが、今後の残つておる株式処分については、この前の御説明では一般公開によつて処分するというお話でありましたが、もし会社従業員もしくは旧国際電気通信株式会社及び国際電電会社従業員から、株式の追加割当をしてもらいたいという申し入れがあつた場合には、その分については考慮する余地があるかどうか。
  45. 木村三男

    木村説明員 この問題につきましては、郵政大臣の方からもこの前お答えいたしました通り、そういう事態につきましては考慮いたしたいと考えております。
  46. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そのほかのものにつきましては、原則として公開によつて処分するという御方針でありますか。
  47. 木村三男

    木村説明員 一般民間の銀行会社その他、これにつきましてはほぼ十分ということでありますので、特別に考えたことはありません。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 この前にお伺いしましたときに、配分された株式が、今のところは内諾によりまして公開されないようにしてある、手放されないようにしてある、今は配分された先に保管されておる、こういう説明を聞いたのですが、全体的にそうなつていますかどうか。
  49. 木村三男

    木村説明員 大きくわけまして銀行方面、いわゆる第三者的な方面と、役職員従業員、それから旧国際株主、大体この三つぐらいに大わけいたしまして銀行会社方面につきましては正式な約定書はとりかわすことはできませんが、紳士的な了解事項といたしまして、少くとも二年間ぐらいは出さはいということになつております。旧国際の方につきましてもやはり同じようなことが——これは代表としては国際電電会社なのでありますが、その方でだめを押しておるというようなことにもなつております。それから従業員処分の分につきましては、会社の方で申込みを受けました際に、この株は二年間持つのだというような意味を含めまして、それだけのものをとりまとめたということになつております。ほかに出るか出ないかという問題でありまするが、少くともこのはめ込み先といいますか、やつた先というのは全部わかつておりまして、リストに載つておるわけであります。市場をうろついているようなものがありますれば、どこから出たかということがすぐわかるのであります。特に銀行方面などになりますと、やはり信用の問題もあります。そういつたことでなかなか放せないということにもなります。従業員分その他につきましては、これはやはり長く会社の安定をはかるという意味から、すぐ売り払つてしまうようなことはなかろうと考えられますので、法律的なあるいは行政処分的な拘束の仕方はないのでありますけれども配分先の具体的な事情からいたしまして、懸念するに足らないというふうに考えております。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 法的には譲渡禁止のごときはできないわけ手から、逆に言いますと、まだ完全に譲渡あるいは売買が完了していないというふうな解釈もできますかどうか。
  51. 木村三男

    木村説明員 大蔵省といたしましては、政府の株を契約によつて所有権を移しておりますので、でき上りましたものは名義書きかえをいたしまして、当該会社株主になつておるわけで上りますから、大蔵省の手を離れて本来の株主の手に名義が移つて、株も移つたということでありますので、これに関する限り処分は終つておるわけであります。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 これは特に愛知さんにお伺いいたしたいのです。前にもちつと敷衍したのですが、結果的に見ますと、当時これを配付するときに、すでに関連産業などの株価の状況などから判断いたしましても、説明によりますと約一割から二割方低目に、——低いものと比較しましても安目にこれを配付しておりましたが、今日では私ども考えでは、この株価は出せば相当高いものになることは予期できます。結果するところ、当然ふやすべき公社の貴重な財源というものが、政府の認定のあやまち、処置のあやまちによつて、不当に低過ぎる値段でこれが処分されたというふうに今解釈するわけであります。もちろん法的には完全な措置が講ぜられておりますから、政府責任はないということになりましようけれども、今からでも内約をして手放さないというようなことが契約できる相手でしたら、もう一度おつかけていわゆる再評価をして、半年ぐらいさかのぼる、いま少しぐらいさかのぼつても中正妥当な市価の算定によつて、これに出資を要求する、もう少し、何割でもこの株価に対する支払いを要求するというような処置をやるようにしたらと考えるわけです。ことに公社の財源難にあるとき、非常に貴重な公社財産を、そのような過程でもし不当に低過ぎたとお考えでしたら、そのような措置も講ずべきだと考えられるのですが、そういう措置がとられますかどうか、またそういうお考えがあるかどうか。
  53. 愛知揆一

    愛知政府委員 先ほどもちよつと申し上げましたように、これが不当に低かつたかどうかということについては、実は私はさように考えないのでありまして、またもし不当に非常に低かつたとした場合に、今内諾の状況のようであるから、おつかけて、さかのぼつて何らかの措置をして、公社の方の財源に幾らかでもさいたらどうかというお話がございましたが、かりに不当に安かつたということが一般的に考えられるといたしましても、現在までとりました措置の経過にかんがみまして、政府としてこの話をむし返しにするということは、私はちよつとむずかしいのではなかろうか、こういうふうに考えます。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、せつかく政府と内約のできるような状態で、この株の頒布ができた間柄を考えましたときに、私ども考えでは、どうしても今これを市場に出しますと相当な株価になることを考えますので、政府がこれに」割か二割頭金をつけて一度買いもとして、第二回の株の頒布のときに、同時にもう少し現在の株価に合したもので頒布する方法をおとりになるお考えはないかどうかということを承りたい。
  55. 愛知揆一

    愛知政府委員 実はこれは法律論にばかりなるかもしれませんけれども法律的には、先ほど説明がありましたように売買が完了し、かつ何らの約束ということが法律上は全然ございませんので、今すぐこれを買いもどし、さらにプレミアムをつけて売りもどすということは、やはり私はできない、政府としてはできないのではないかと考えます。
  56. 成田知巳

    成田委員長 よろしゆうございますか。
  57. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 国際関係じやないのですが、せつかく愛知さんおいでですから運用部資金のことでちよつと……。電信電話公社の値上げの問題は一部資金との関連がありますので、この点でお伺いいたしたいのですが、資料によりますと、本年度の資金運用部資金の計画は一大体において翌年度への繰越しが百二十六億円、こういうふうになつております。昭和二十七年度の場合は二十八年度に繰越された額が百九十九億円、約二百億円ですが、二十八年度においては資金需要が多いと見えまして、結局来年度に繰越しが百二十六億円というふうになつております。この百二十六億円の繰越金は政府としては最小限度の繰越金であつて、なお運用部資金が出せる余地があるかどうか、これがまず第一、なお今回の予算では四十億円の財政資金がなくなつておりますけれども、これについての事情は当時説明がありましたが、来年度においてはなお公社及び郵政省の方においては、相当額の財政資金を考慮に入れておる、大体六十億円ぐらいを考慮に入れておるようですが、これは本年度四十億円、来年度六十億円という計画が、本年度の四十億円がなくなりましたので、来年度の六十億円というものとの関連ですが、ことしはやむを得ざる事情で財政資金が出せなかつたが、来年度においては六十億円という財政資金が考えられるかどうか、こういうことについての御意見を承りたい。
  58. 愛知揆一

    愛知政府委員 資金運用部の問題でございますが、これは率直に申し上げるのでありますが、私の感じから申し上げますると、まず昭和二十八年度の前回の不成立予算を組みました場合には、運用し得る金が千六百七十億円というふうに勘定しております。ところがあいにくこの四月以来資金運用部の原資の伸び方が非常に悪いのでありまして、四月の郵便貯金の増加額なども思わしくはございませんでしたような関係もございまして、その後五、六月には少し回復いたしておりますが、この千六百七十億を千五百八十億というふうに改訂しなければならないような状況であつたわけであります。一方たとえば地方財政の問題でございますが、地方債につきましては、不成立予算の当初見込みましたものよりは相当多額に、どこかでこれはお世話しなければならないというような状態に追い込まれております。資金運用部というものは、これも率直に申し上げるのでありますが、従来は財政政策の手の及ばないところを相当カバーする、非常にある意味では便利な組織であつたのでございますが、これからの見通しといたしましては、原資の状況から言い、また一方これに対する期待が各方面で大きいという状況から申しまして、来年度以降はなかなか資金運用部の操作がめんどうかつ困難になると私は見通しておるのであります。そういう関係からいたしまして一来年度への繰越しの問題でございますが、これは普通一般の金融機関のデータ等を持ち出しますまでもなく、大体千五、六百億の原資を運用するという機関でありますれば、どうしても私はその一割程度のものが来年度に繰越しされることが、これはもう最小限度の要請ではないかと思うのです。すでに百二十六億の繰越しということは、その最小限の要請を少しすでに足を出しておると申し上げなければならないような状態であります。なおもう一つ加えておきたいと思いまするのは、御承知のように過去において保有しておりました公債百八十一億円を売却する、こういうことまでやつておるのでございまして、この過去に保有した国債を売却して、そうして繰越しを減らして、これでようやく運用の計画が立つというような状況になつておるというのが、偽らざる現状でございます。  それからさらにその次に電電公社との直接の関係の問題でございますが、この点につきましてはすでに十分御検討を願つておることと思いますが、念のために私の考え方を申し上げさせていただきますれば、当初不成立予算のときには値上げの増収一〇%で、一年間で八十一億円、これを基礎に考えておりました。その際の計画としては、電電公社の赤字が五十九億、建設に充当し得る金が二十二億というような、御承知のごとく不成立予算の考え方でございました。私どもから申しますれば、当初は大体不成立予算のときの考え方をそのまま続けて参りたいと実は思つておりました。ところが電電公社におかれても、その間非常に慎重かつ詳細な研究を積まれまして、現在御審議を願つておりまする案によれば、八月以降の二五%増収、値上げで増収が百三十五億、赤字の充当は五十九億でありますが、建設の充当は七十六億、さらにこれを平年化して来年度以降で考えますれば、百五十六億程度は建設に充当し得る金が出て来るということになり、またこれからの五箇年計画というものの基礎がこれによつて確立される。そうしていわゆる外部負債と申しますか、外部からの借入金もやはり相当に二十九年度は期待しなければなりませんけれども、ともかくことしのところは預金部にたよらないでも、これで行けば済むというので、ざつくばらんに申しますと、私どもとしては電話料金の値上げの戦前からの趨勢その他とも考え合せまして、こういう考え方で電電公社がいわゆる自主的な長期計画を立てるならば、非常にこれはありがたいことであるということで、先ほど申しましたような資金運用部の状況でもございまするので、私どもとしては賛成したような次第なのであります。来年度の外部からの借入金をする場合に、資金運用部がどれだけのお手伝いができるかということでございますが、この点は私は電電公社の方の御計画ともにらみ合せまして、できるならばある程度のお手伝いはいたしたいと思うのであります。と申しますのは、先ほど申しましたような資金運用部の状況ではございますけれども、今度二十八年度の予算がまとまれば、ともかく実際の問題としてこの年度の後半にかけては、相当散布超過の状態になりますから、自然郵便貯金なり簡易保険なりの方でも、これらの努力によつては今見通されるよりは原資の蓄積がよい見込みになつて来るのではなかろうか、またそういうように努力をしなければならない。それから他方におきましては、地方財政などの関係については、いわゆる中央、地方を通ずる税制の根本的改革ということも考えられておりますので、地方債の問題などについても新しい構想があるいは出て来るかもしれない。そういうことを考え合せますると、総合的にいつて、来年度はもう絶対に資金運用部は電電公社には出さないというようなことを申し上げるような段階ではないので、これから大いに私はそういう点を研究して参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  59. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 不成立予算の一割値上げで、二十億円の収益勘定になるということはわれわれも承知したのでありますが、同時に予算案は五箇年計画というものをもちろん考えておつたようでありますけれども、その五箇年計画は外資導入というものを一部入れて、そうして公債並びに財政資金等を合せて、一割の値上げでもつて五箇年計画をやろう、こういうような計画の内容のようでありますが、その外資導入を一部資金勘定に入れての五箇年計画というものについては、大蔵省は特に御相談にあずかつたのか、あるいはまたそれについて大蔵省としては見通しはどうあつたのでございましようか。
  60. 愛知揆一

    愛知政府委員 電電公社のものとは特に密接な連繋をとつておりまするので、外資導入のお話ももちろん伺つており、また必要に応じて御相談にも乗こておるわけでございます。ただこれは今郵政大臣も公社総裁もおいででありますから、その方からお願いした方がよろしいかと思いますが、外資の導入はけつこうなことであり、またやりたいことでありますが、これは水力電気の問題や火力発電の問題について、その方の状況も見ておりますが、きまるにいたしましてもなかなか時日がかかるのが実情でございまするので、その後われわれの情勢判断といたしましては、必ずしも外資にたよらないでも、自立計画でとにかく十年たてば相当改善されるというこの熱意のある電電公社の現在の案というものをできるだけ尊重してもり立てて行きたい、大体こういうふうに考えておるわけでございます。
  61. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 外資導入の考え方について当初相談をされて、それが当時においてはある程度可能性があつたということから、一応一割の値上げと政府の財政資金、外資導入、一般公債のわく、こう合せて五箇年計画をやつて行こう、こういうような考えであつたが、その後の情勢の変化によつて、外資導入は困難である、かつまた公社の方において建設資金勘定を料金収入の一部をもつて充てる、こういうような考えがあつたから、それに同調して今回の五箇年計画ができたというふうにお話を承つて了承いたします。そこで当時の状況の変化でありますからしてやむを得ませんが、ただ今お聞きしますと、この前の五箇年計画、外資導入を含めた五箇年計画というものは、大蔵省においては一応、そういうことについて確たる検討はしなかつたかもしれませんが、とにかく不確定なる財源を基礎にしてこの五箇年計画を考えられて、そこで一割程度の値上げをしてもよいという考え方にはずさんな点がある、こういうふうに解釈ができるのですが、どうですか。
  62. 愛知揆一

    愛知政府委員 必ずしもずさんとも思わないのでありますが、やはりこの不成立予算を編成いたしました当時からと多少考え方を違えましたことは、この案によつて御承知の通り事実でございますので、その点はどうも何とも申し上げようはないわけであります。
  63. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そこで私は、今愛知政府委員の方では、来年度の財政資金についてはできるだけの考慮をいたしましよう、こういうことでありますから、それを全面的に信用すればよろしいのですが、今申したように外資導入の点について、当時大蔵省見込みはあろう、この程度ぐらいは二十八年度の財政資金に組んでもよかろう、こういうお考えのもとにこの五箇年計画ができた、こういたしますと、今度の五箇年計画は、政府の原案によれば、平均して三分の一を、五箇年の期間をもつて考えれば一料金収入から建設勘定にまわされるのが大体三分の一になろうと思います。そういう厖大な料金収入を建設勘定にまわして、ぜひとも五箇年計画を実行しよう、こういう建前で今国会にかけられておるのですが、しかもなお将来において料金収入による勘定及び公債のわくは大体確実と見てよろしいと思う。要は財政資金ですが、財政資金が外資導入と同じように、来年においても間に合わない、こういうことでこれがペケになるようなことがあれば、五箇年計画の重要な面が削られる、こういうことをわれわれは心配する。せつかく値上げを行つても、なおかつ五箇年計画ができなかつた。しかもその一部は財政資金が将来——大体五箇年計画によりますと七、八十億のようでありますが、その程度の財政資金すらも間に合わない。こういう結果からして、加入者に相当の犠牲を払わして、そうして建設五箇年計画を実行しよう、こういうやさきでありますからして、政府においてこの財政資金の将来の確保ということについては、外資導入のような甘い、たよりないような状態でははなはだ困る、こう考えますので、さらにあらためて大蔵省の御意見を伺いたい。
  64. 愛知揆一

    愛知政府委員 問題をわけまして、二十八年度の予算の編成は、御承知のように非常に困難な状態に今立ち至つておるわけでございまして、それと資金運用部資金の現状があまりにも急迫しおりまするので、たまたま公社から出て参りました建設的な御意見によつて、私ども立場も救われるところがあるので、これに喜んでわれわれは同調したという趣旨で申し上げたのであります。同時にこれは当面だけの問題でなく、やはり電電公社というようなところでは、十年なりあるいは第一期の五年計画を目ざして、なるべく具体的にやり得る自信のある案を立てるということが私は必要だと思います。そういう点から申しまして、二五%の値上げができれば、たとえば先ほど申しましたように、建設勘定に充当できるものが二十九年度では百五十六億というふうに出て来る、従つて財政資金の方でお引受けするものも比較的には少くなる。少くなるがゆえに、財政当局としてはそれの完遂を何とかしてお手伝いをしたい、こういう心境でありますので、われわれとしては当面の問題だけでなく、私ども気持とすればこの十年計画のうちの、少くとも最初の五箇年計画については、何とかしてこれを全体に御協力したい、こういう気持でいるわけです。
  65. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大蔵当局の非常な御協力に対しては、関係者としても大いに喜ばしい次第であります。なおこの機会にお聞きしたいのですが大体今度の五箇年計画案によりましてみますと、五箇年間における及び過去の借金ですが、それは合せまして、収益と借金の利子の支払いの関係は、大体五分になるようです。公社の場合収入の五分が借金の利子としては支払われる、一般会社の場合は、これは会社によつて違いましようが、大体において一般会社の場合は三分程度が、収益に対するところの利子の支払のようであります。そうしますと公社の場合は約二分が普通の会社よりも収入に対してよけい利子が支払われている。これは資本金というものを持たないのであるから、ある程度はやむを得ない現象であろうかと思いますが、そこで巷間伝えられるように、値上率というものを非常に低くいたしますれば、当然これは借金によつてカバーしなければならぬということになりますから、収益に対する利子の支払いの率というものはもつとふえて来るということになります。五分が七分になるか一割になるか知りませんが、相当金額にならざるを得ない、そういうような結果から見て、いわゆる公社事業運営の面から見て借金が多くなる、これは預金部資金にしても同様ですが、借金ですからもちろん交付公債及び預金部資金を含めての借金が多くなるということが、収益に比べてその利払い額が多くなるということになれば、不健全なる事業状態になる、こういうことは常識であろうと思います。そこで一般会社は大体三分前後である、ところが公社は五年後における利子の支払いが五分を越える、こういう状況でありますが、その程度であればこれはやむを得ない状態だろうと思うのですが、大体大蔵省公社の借金というものを、収益率に対する利子の支払いの割合は、どのくらいが健全なる公共企業体の経営状況といえるかどうか、もしそういうことについての検討をした資料がありますればお教え願いたい。
  66. 愛知揆一

    愛知政府委員 今公社、公共企業体の収益と外部負債の利子の比率のお話がありましたが、これは今ちよつとここに適当な資料を持つておりませんので、どの点が妥当であるかということが現状において言い得るかどうか、的確な資料がつくれるかどうかも、ちよつと私は自信がないのでありますが、さつそく取調べましてお答えいたすことにしたいと思います。
  67. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 あとで資料を頂戴してけつこうであります。そこで私は勘で申し上げておるのですが、大体公社としては五分くらいはやむを得ないのではないか。それ以上を越えていわゆる収入の一割を利子に占められるような状態になれば、非常に不健全な状態になりはしないか。そこには預金部資金の借入並びに公債のわくがある。そうすると料金の値上げによつてある程度はまかなわなければならぬ、こういう原則論的な考えを私は持つておる。しかしながら値上げのみによつて建設資金は得られませんから、そこで公債とか財政資金を頂戴するのですが、その中で公債というものはそんなに安くはできませんが、財政資金の場貧は、他の投資の場合において六分五運でなくて、もつと低い率があるようであります。低く貸しておる例もある。あるいは政府が幾分補償して貸しておる場合がありますが、政府としては政府関係機関であり、経営事業でありますから、現在の六分五厘を将来において下げて貸してやるというお考えはありませんか。
  68. 愛知揆一

    愛知政府委員 これはもう金利一般の問題とも関連いたしますので、私どもといたしましてはできるだけ金利は下げたいという基本的な気持は持つておるのでありますが、最近の機会に具体的な電電に対する貸付金について、これが下げられるかどうかということについては、率直に申しまして今のところ自信がございません。
  69. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 もう一つ関連して申し上げますが、過去において電気通信事業から政府相当な繰入金を受けております。今日の金額に直せば何十億に上るでしよう。しかしながら復興資金のためには相当金額を預金部から借りております。将来はともかくとして、かつての電信電話の復興のための預金部資金のようなものは、公社の財政資本金の中に繰入れてもよいのではないか、そうすることによつて元金の利子の支払いというものは相当できるわけでありますから、公社経営状態は非常に楽になりますが、前の預金部資金等を将来資本勘定に繰入れるお考えがあるかどうか。
  70. 愛知揆一

    愛知政府委員 これも確かに検討に旭する御意見だと思いますので、とくこ考慮をすることにいたします。
  71. 成田知巳

    成田委員長 大蔵当局に対して何かほかに御質問はありませんか。——ないようですから、私一、二点お尋ねさせていただきたいのですが、ただいまの橋本委員のご質問に対しまして、四十億の資金運用部資金を二十八年度削つたというのは、資金運用部資金の原資の関係が非常に悪いということと、公社側から積極的に自前でやりたい、こういう要望もあつたので二十八年度は削つた。しかし二十九年度については公社側の五箇年計画によりましても、六十億の資金運用部資金を計算に入れておるわけですが、これに対しては極力協力したい、こういうお話でございましたが、もちろんこれは極力御協力願つて、六十億を確保しなければ、事実上五箇年計画というものは実行不可能になると思うので、やつていただけると思つておるのですが、このことは二十八年度に四十億の資金運用部資金か融資できないにもかかわらず、二十九年度になれば六十億ができるということ、二十八年度と二十九年度にそれほど大きな情勢の変化があるとは思えないのです。逆から申しましたならば、二十九年度に六十億の資金運用部資金をまわすことができるとすれば、二十八年度においても何らか手当をすればできるのではないか、こういう感じも持つわけです。そこで資金運用部資金の原資の状況が非常に悪いというお話の中に、百八十一億の手持ち公債の売却をやつておる、こういうお話でありましたが、現在資金運用部資金で、二十八年度の平均でよろしゆうございますが、手持ち公債は大体どのくらいございましようか。
  72. 愛知揆一

    愛知政府委員 資金運用部資金の手持ち公債は大体四百億くらいございますが、今申しました百八十一億以外の公債は、実は新憲法、新財政法ができてからあとの保有の公債でございまして、これがはたして処分でき昇るやいなやということについては法律上にも疑義があるようにも思いまするし、まず今のところでは平穏に、論議を起さずに処分され得る国債の現在高は、百八十一億の金額なのでございます。  それから前段のお尋ねでございますが、それはまことにごもつともで、二十八年度に資金運用部ができないものを、どうして二十九年度にできるか、こういうお尋ねでございますが、先ほども申したように、実は資金運用部で御協力をまつ先に申し上げなければならぬのが、私は現状におきましては地方債の問題だと思うのであります。しかしこの地方の財政の問題につきましては、税制の改正とか、あるいは地方が負担する事業配分の問題であるとか、根本的に考えなければならぬことも相当多いので、そういうところとあわせて考慮いたしますれば、二十九年度には新しい考え得る情勢が出て来るかもしれないし、また大蔵省立場だけで申しますれば、も少し他にもゆとりができれば、投融資ができるようなゆとりをつくりたいと考えておりますので、そこをもあわせて何とかしてこの六十億くらいは考えたいと申し上げたわけであります。万一資金運用部の現在の形で御協力することができなかつた場合においては、私どもとしてはこれにかわる他の方法考えなければなるまいと思つております。
  73. 成田知巳

    成田委員長 今の御答弁で大体了承したのですが、他にかわる方法と言いますが、具体的に申しますとどういうものがございますでしようか。
  74. 愛知揆一

    愛知政府委員 たとえば公社債の発行の問題なども、今すでに七十五億は考えられておるわけでありますが、これの発行額の増加並びにその消化に対して容易になるような方法考えるということなどは、一つの対案として万一の場合には考え得ることかと思います。しかし何といつても一番容易な方法は、資金運用部であることは申し上げるまでもないことであると思います。
  75. 成田知巳

    成田委員長 資金運用市の手持ち国債平均約四百億というお話でございましたが、これが新憲法発布後のもので、これを処分することが法律上疑義があるから、疑義のない百八十一億を全部処分したのだ、こう言われたのですが、具体的にはどういう法律関係があるのでしようか。
  76. 愛知揆一

    愛知政府委員 百八十一億の公債は、終戦当時までに発行された公債を、終戦当時から引続き現在まで保有しているものの総額であります。それから財政法によりますと、赤字公債の発行と申すと、あるいは行き過ぎかもしれませんが、要するに政府が保有しているものを日本銀行に売却するということが、法律の上にはつきりとその趣旨が出ておるというのではありませんが、立法の趣旨として、終戦後に出した公債等については、これを日本銀行に売却するというような方法をとるということについて疑義のあるような書き方であるので、その点については法律関係や、当時の立法の趣旨等についても、いろいろ私どもとしても検討しておるのでありまして、条文にはつきり表面から触れる書き方はもちろんしてございません。
  77. 成田知巳

    成田委員長 といたしますと、二十九年度で六十億の資金運用部資金でまかなうということは、預託金の増加その他のいい条件が出て来たならば別でございますが、手持ち国債の売却でこれをまかなうということは現在のところは不可能だ、こう解釈してよろしゆうございますか。
  78. 愛知揆一

    愛知政府委員 論議を起さないようにというと語弊がありますが、平常の一番安全な政府としてのやり方からいえば、売り得る公債は全部この二十八年度計画で売り尽してしまつた。あとのものに手をつけることは法律上も相当疑義があつて、結局そういうことになつた場合には、国会の御審議によつて判定をしていただくよりほかないと思いますが、今政府が大事をとつております態度からすれば、二十九年度に入つてからも問題は同様であつて、他の公債を処分するということに疑義があると思います。それで御指摘のように郵便貯金、簡易保険等の成績を上げること、それから運用計画上、御承知のように資金運用部に対しては、各方面から要請があつてきまつてつてその全部に義理を立てなければならぬようなかつこうに今なつておるのでありますが、これを相当抜本的に考え直すことを考えて、運用先をある程度変更するということになれば、電電公社の六十億くらいは考えられないことはない、こういうふうな気持でおるわけであります。
  79. 成田知巳

    成田委員長 最後に一点だけお尋ねしたいのですが、二十九年度においては、単に資金運用部資金の融資だけじやなしに、他の方法も考慮したい、その一つとして公募社債の消化の面も考えてみたい、こういうお話でございましたが、その点に関連しまして、公社法の六十四条に、「政府は、公社に対し長期若しくは一時の資金の貸付をし、又は電信電話債券の引受をすることができる。」となつておりますが、この「政府は、公社に対し、長期若しくは一時の資金の貸付をし、」の資金の貸付は、特別会計だけでなしに、一般会計からの資金貸付も含んでおるものかどうか承りたい。
  80. 愛知揆一

    愛知政府委員 この条文の解釈でご」ざいますがこれは法律としては一般会計を否定していないと思うのであります。ただ実際問題としては、前例もまつたくないのではないかと思いまするし、さらに現在の政府見解としては、いわゆる政府が投資、融資を財政資金でやりまして、回収ができる筋合いのものはできるだけ特別会計にした方がいいという見解で、今回も産業投資特別会計法案の御審議を願つておるわけでありますが、そういう条理解釈並びに政府当局の希望としては、これはやはり特別会計か、あるいは他の形態と、原則として解釈していただきたい、こういうふうにえ考ますが、しかし法律論としては、私は一般会計を否定するものでないと思います。
  81. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 関連して……。来年度において六十億円の財政投資が困難な場合は、ほかのことを考えたいという一つの例として先ほど申されましたが、その場合こういうことはどうでしようか。百六十億の建設金を公募されると仮定しますと、預金部資金に予定しております六十億を公募公債でまかなわなければならぬという場合においては、その六十億の利子補給を政府が行う、こういうような方法考えられないでしようか。
  82. 愛知揆一

    愛知政府委員 これはやはり理論としては考えられると思うのであります。ただそのときまでの施策として責任ある御答弁を申し上げることはできないと思いますが、考え得る対象であると思います。
  83. 成田知巳

    成田委員長 ほかに御質問はございませんか。  それでは次会は追つて公報をもつて通知することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十九分散会