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愛知政府委員 資金運用部の問題でございますが、これは率直に申し上げるのでありますが、私の感じから申し上げますると、まず
昭和二十八年度の前回の不成立予算を組みました場合には、運用し得る金が千六百七十億円というふうに勘定しております。ところがあいにくこの四月以来資金運用部の原資の伸び方が非常に悪いのでありまして、四月の郵便貯金の増加額な
ども思わしくはございませんでしたような
関係もございまして、その後五、六月には少し回復いたしておりますが、この千六百七十億を千五百八十億というふうに改訂しなければならないような
状況であつたわけであります。一方たとえば地方財政の問題でございますが、地方債につきましては、不成立予算の当初
見込みましたものよりは
相当多額に、どこかでこれはお世話しなければならないというような状態に追い込まれております。資金運用部というものは、これも率直に申し上げるのでありますが、従来は財政政策の手の及ばないところを
相当カバーする、非常にある意味では便利な組織であ
つたのでございますが、これからの
見通しといたしましては、原資の
状況から言い、また一方これに対する期待が各
方面で大きいという
状況から申しまして、来年度以降はなかなか資金運用部の操作がめんどうかつ困難になると私は
見通しておるのであります。そういう
関係からいたしまして一来年度への繰越しの問題でございますが、これは普通一般の
金融機関のデータ等を持ち出しますまでもなく、大体千五、六百億の原資を運用するという機関でありますれば、どうしても私はその一割程度のものが来年度に繰越しされることが、これはもう最小限度の要請ではないかと思うのです。すでに百二十六億の繰越しということは、その最小限の要請を少しすでに足を出しておると申し上げなければならないような状態であります。なおもう
一つ加えておきたいと思いまするのは、御承知のように過去において保有しておりました公債百八十一億円を売却する、こういうことまでや
つておるのでございまして、この過去に保有した国債を売却して、そうして繰越しを減らして、これでようやく運用の計画が立つというような
状況にな
つておるというのが、偽らざる現状でございます。
それからさらにその次に電電
公社との直接の
関係の問題でございますが、この点につきましてはすでに十分御検討を願
つておることと思いますが、念のために私の
考え方を申し上げさせていただきますれば、当初不成立予算のときには値上げの増収一〇%で、一年間で八十一億円、これを基礎に
考えておりました。その際の計画としては、電電
公社の赤字が五十九億、建設に充当し得る金が二十二億というような、御承知のごとく不成立予算の
考え方でございました。私
どもから申しますれば、当初は大体不成立予算のときの
考え方をそのまま続けて参りたいと実は思
つておりました。ところが電電
公社におかれても、その間非常に慎重かつ詳細な研究を積まれまして、現在御
審議を願
つておりまする案によれば、八月以降の二五%増収、値上げで増収が百三十五億、赤字の充当は五十九億でありますが、建設の充当は七十六億、さらにこれを平年化して来年度以降で
考えますれば、百五十六億程度は建設に充当し得る金が出て来るということになり、またこれからの五箇年計画というものの基礎がこれによ
つて確立される。そうしていわゆる外部負債と申しますか、外部からの借入金もやはり
相当に二十九年度は期待しなければなりませんけれ
ども、ともかくことしのところは預金部にたよらないでも、これで行けば済むというので、ざつくばらんに申しますと、私
どもとしては電話料金の値上げの戦前からの趨勢その他とも
考え合せまして、こういう
考え方で電電
公社がいわゆる自主的な長期計画を立てるならば、非常にこれはありがたいことであるということで、先ほど申しましたような資金運用部の
状況でもございまするので、私
どもとしては賛成したような次第なのであります。来年度の外部からの借入金をする場合に、資金運用部がどれだけのお手伝いができるかということでございますが、この点は私は電電
公社の方の御計画ともにらみ合せまして、できるならばある程度のお手伝いはいたしたいと思うのであります。と申しますのは、先ほど申しましたような資金運用部の
状況ではございますけれ
ども、今度二十八年度の予算がまとまれば、ともかく実際の問題としてこの年度の後半にかけては、
相当散布超過の状態になりますから、自然郵便貯金なり簡易保険なりの方でも、これらの努力によ
つては今見通されるよりは原資の蓄積がよい
見込みにな
つて来るのではなかろうか、またそういうように努力をしなければならない。それから他方におきましては、地方財政などの
関係については、いわゆる中央、地方を通ずる税制の根本的改革ということも
考えられておりますので、地方債の問題などについても新しい構想があるいは出て来るかもしれない。そういうことを
考え合せますると、総合的にい
つて、来年度はもう絶対に資金運用部は電電
公社には出さないというようなことを申し上げるような段階ではないので、これから大いに私はそういう点を研究して参りたい、こういうふうに
考えておるわけであります。