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1953-07-03 第16回国会 衆議院 電気通信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三日(金曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 原   茂君   理事 中村 梅吉君      庄司 一郎君     齋藤 憲三君      柴田 義男君     甲斐 政治君      松井 政吉君     三輪 壽壯君      風見  章君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         郵政政務次官  飯塚 定輔君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  金光  昭君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  庄司 新治君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  木村 三男君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 七月二日  歌垣郵便局電報電話事務開始の請願(松原喜  之次君外一名紹介)(第二二九九号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公衆電気通信法案内閣提出第九一号)  有線電気通信法案内閣提出第九二号)  有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(  内閣提出第九三号)     ―――――――――――――
  2. 成田知巳

    成田委員長 ではただいまより開会いたします。  公衆電気通信法案右線電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案一括議題とし、質疑を続けます。柴田委員に申し上げますが、きのう柴田委員が御質問なさいました国際電信電話株式会社株式の問題につきまして、本日は大蔵省国有財産第一課長木村さんがお見えになつておりますので、まずその点について御質疑をいただいたらと思います。
  3. 柴田義男

    柴田委員 昨日の委員会におきまして、大蔵当局の御出席がございませんので御答弁を承り得ないでおりましたが、私ども国際電信電話会社設立になりました当初、大蔵省株式市中銀行あるいは地方銀行信託会社生命保険会社等々に十八億八千六百六十九万三千五百円を交付しまして、現金化しておるようでございまするが、この十八億何がしの金を集めますのに、払込額の五十円で株式をこれらの諸会社に持たしたということは、どうしても納得ができないのであります。世上伝えられるところによりますと、国際電信電話経営状況は、予算状況で拝見いたしましても相当利益を見ることは明らかだ、こういう場合に一般市場では、おそらくこの株式は三倍ないし四倍の価値があるであろうということが伝えられておるのであります。こういう見通しのあるものを、大蔵省当局は何ゆえに払込み価格をもつて、これらの特定銀行会社等に売りつけたのであるか、この根拠を承りたいと存ずるものであります。
  4. 木村三男

    木村説明員 国際電信電話の株の処分についての大蔵省立場を申し上げますと、関係しているものをざつと読みますと、出資したものは公社である。公社現物出資をして株を公社が受取る。ところがその株は大蔵省の方に引渡す。大蔵省においてその棟を処分してかわり金公社に入れる。こういう仕組みになつておりますので、いわば大蔵省の態度としましては、形式上立場公社にかわつて善良な管理者注意をもつて関係法令に定められた株の処分の例によつてやれば、責任は一応ないわけであります。ところがこの電電会社設立の経緯なり、あるいはその公益的な性質から見ますと、ただ株をもらつて売つて金を入れればいいというだけでは済まされないものがあるのであります。つまりこの会社は非常に特殊な会社でありますけれども政府株主にならない。公社の方も株主にならない。つまり政府関係においては株主としての地位を持たないで、民間において株を持つというような会社はなるわけでありますけれども会社設立に際しましてわれわれといたしましては、今申しましたような沿革なりあるいは性格なりから考えまして、スタートに際しまして企業を安定した基礎に置かなければならないということを、ぜひ株の処分にあたつて考えなければならない。つまりこれだけの株につきまして、設立当初においてはただ今のような規定によりまして、大蔵省が株を処分し得る状態において扱つておるというのでありますから、会社としては四月一日からスタートする、それにつきまして株の処分につきましては、今のような関係から経営基礎を安定するような処分方法をとることが望ましい。これはただそう思うだけでなくて、そういう株式処分方法予算、決算、会計令なり、あるいは大蔵省証券取扱いの内規によつてほかにも認められておりますところの一般の例なのであります。それにのつとりまして安定株主を得るような方向において相当部分をまず売らなければならない。それにはどういうものをもつて安定株主とするか、こういう問題が第二段に起るわけであります。そうしますと、これは株と申しまししも公益的の事業でありますから、配当ども安定しておりますし、事業も大体普通上り下りの波のあるような会社とは違うというので、いわゆる財産株としても金融機関方面におきましてもこういうものを持つておりますことが望ましいし、またそれもにわかに離さぬというような裏づけがありますれば、金融機関方面ども安定株主として望ましい方面である。金融機関関係だけでなくして、損害保険関係等も一種の金融機関でありますけれども事業関係においても関連が出て来る。またいろいろの機関もございますが、金融方面考える。それだけではまだ安定株主としての層を網羅したことにならない。関連産業においても応分の株を持つていただく。それから貿易商社とか、その他国際電信電話会社役員従業員、これは会社とその運命をともにするものでありますから、そういう方面の方にも持つていただく。そういういわゆる安定株主を得る。あるいは従業員諸君というものをこれにかみ合せまして、大体総株数の六割見当を目安にしまして、今のような方式でまず最初に処分をして基礎をつくるということが望ましいということを考えましたので、第一回の処分といたしまして以上申しましたような趣旨で金融機関方面関連産業方面会社そのもの役員従業員その他関係者に、従業員処分方法をもつて株を処分したのであります。大蔵省考え方としての方針は以上の通りであります。
  5. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいまの柴田委員質問関連してでありますが、あの条文の解釈でございますが、いわゆる国際電信電話株式会社法附則二十一に「政府は、有価証券市場状況を考慮し、なるべくすみやかに、前項の規定により譲り受けた株式処分しなければならない。」という規定があるのであります。ところで国際電信電話会社をつくる場合においては、その資本の計上の仕方はできるだけ有利に、のれん――のれんという言葉は使つておりませんが、そういうものも勘案して、できるだけ有利に評価しなくちやならぬという附則があるわけであります。これはもちろん法律的にはこの条項関連はありませんが、要するに日本電信電話公社の持つておる財産評価し、かつまたこれを処分する場合においては、できるだけ日本電信電話公社に対して有利な条件で行わなければならない、こういう意味合いだと思つております。従つてこの附則の二十一の証券市場状況を考慮し、なるべくすみやかにこれを処分するという条項も、いわゆる公社財産評価する場合には、できるだけ有利に公社立場考え評価しなければならぬというものと関連性があるとわれわれは解釈いたします。従つて大蔵省安定株主考えるということについても、一応の理論はあるけれども、今当委員会委員質問がありましたように、当時は相当国際電信電話会社株券が有利に評価うわさされておつた先ほど来申したように、大阪方面では五百円の株が二千円くらいにうわさされておつた。これは単なるうわさですが、とにかく法律的に私は質問するのですが、この二つの条項から考えて、大蔵省株券処分に対しましても忠実にこれを処分すると同時に、公社財産に対して有利な条件によるように処分する義務を持つておると考えるが、安定株主を得ると同時に有利な条件でこれを処分すべきものと考えるのであるが、その点についてまず第一にお聞きしたい。
  6. 木村三男

    木村説明員 処分価格の問題でありますが、ただいま御指摘通り安定株主層を得るという方式をとるにしましても、価格の点は財政法規定がございまして、適正な対価なくしては処分できない。適正価格主義という原則もありますし、またただいま御指摘になりましたように、公社側財産が株に化体されてありますから、これを有利にしなければならないとおつしやることは一々ごもつともであります。従つて処分価格につきましては、市場価格を見なければならないのでありますが、現在のところ証券市場に出ておりませんので、いろいろうわさもされておるようでありますが、はたしてそれが適正なものであるかどうか、そこで幾らで評価するか、処分価格をきめるかということにつきましては、額面だから額面というわけではないのでありまして、それにはいろいろデータを考えまして、五百円が適当だろうというような資料を持ち合せております。大体こういう事業でありまして、まだ業績が出ておらない。従つてどのくらいが適当であるかということは、類似の形態の企業株価の足取りを見まして、それの収益還元的な数字を出すと、どのくらいのところが出るかというようなことが、実際的には有力な資料になるのであります。そこでこれと同じ会社があるかというとないのでありますが、比較的これと比べてもかけ離れてないようなものとして考えますと、東京電力、これは一割五分配当をしております。それから東京瓦斯、こういつたようなものを例にとりまして、一月から四月までの平均利回りというものを見ます。そうしてこの会社評価のときも、予想損益計算で見まして、八分ないし一割見当配当かあるものと予想いたしまして、これを還元いたしますと、八分の場合が四箇月平均で行きますと三百七十円くらい、それから一割配当の場合を考えますと、四百六十二円くらいになるのであります。それから興銀の方の調べでありますが、事業債の公募で利回り九%で還元いたしますと、八%配当と見て四百五十円、一割配当と見て五百五十円というような数字もございます。市場の相場というものは、結局出して見なければわからないのでありますが、しかしいろいろ探りを入れますと、五百円越すような例も出ないことはないのでありますが、低いような例もある。結局評価の方は一月十六日でありますか、現場に対して評価審議会において適正に行われた評価が、つまり株の方に化体されておる。私どもの方は、まだ始めておらないけれども、今のように推移するということにいたしますと、六体五百円をあまり出もしないであろうし、あまり下まわらないであろうというのが、いろいろデーターから見た数字であります。なお私どもの方で第一処分するにつきまして、関係方面に約二十億ほど処分したいと考えておりましたが、結局実績を見ますと、二億ばかり下まわりまして、予想に達しないというような状況もございます。反対の場合も私どもはありはしないかと思つてつたのですが、五百円パーでもつて二十億というような予想をもつて呼びかけまして出たところが、十八億なんぼというようなところであります。
  7. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 それで安定株主という考え方が少し違うのですが、この国際電信電話会社というものは、いわゆる特殊法人として、ある意味においては政府の保護のもとにできておる会社である。しかも競争会社はない。その収入においても、国際協定によつてきめられた収入である。そういう意味において会社そのものが非常に安定性を持つておるということは、あなたのおつしやる通り、であるからこういう安定性を持つた会社に対して、なおこの上に六割を占めるような安定株主か必要であるかどうか、われわれは非常に疑問に思うのです。これがそうした競争があり、あるいはどうしても日本の場合においてこれを育成しなければならない、しかも外国との競争がある云云というようなことであつて、どうしても将来の払込み等において危機があるということが考慮されるならば、過半数に及ぶような安定株主を求める必要があるかもしれませんが、そういう危険はない。会社自体が非常に安定性を持つておる。収入においても安定しておる。従つてその株を持つておるということ自体が、その株主は安定になるのであつて、特にそうした一部のいわゆる金融資本家等にそういうものを持たせる理由はない。かえつて国際的な、しかも民営といつて国家的資本がわかれてやるのであるから、日本国民に持たせるのが妥当ではないかと考える。  もう一つお聞きしたいのは、これも安定株主の問題に関連しておりますが、当初国際電信電話会社としては、大蔵省考えた二十億円の現金資金を必要としておつたかどうか。われわれの聞くところによれば、せいぜい十億くらいの現金があれば、当分の間は運営にさしつかえないというように考えられた。もちろんある程度現金を持つことは必要ですが、その現金も私たちが承知しておるところでは、二十億も必要はないと思うのですが、大蔵省が二十億をすみやかに現金化をしなければならなかつた事情についてお聞きしたい。
  8. 木村三男

    木村説明員 株の処分の時期につきましては、先ほども御指摘がありましたように、すみやかに、しかも市場状況を見ながら処分して、得た金は公社の方に入れて行くということでありますので、金繰りの方が先に来て、金が十億いるからとにかく売らなければならない、まだいらないから売らないでもいいのだというような、逆の解釈は私どもはとつておりませんので、市場状況と、それから処分についての影響などを考えまして、適当な時期に適当な数量だけ売つて、早く公社の方に金を入れるというのが、私ども株処分に当る者の考えでありまして、当時の事情として二十億金がいるとかという話は聞いておりませんでしたが、大体この程度ならやり得る、それから裁量の方におきましても、一足飛びに四百万株全部はできないけれども、この程度でやつたならば、市場状況かり見てもよかろうし、発足当時やるにしてもこのくらいのものが適当じやないかというような見解でやつたのであります。
  9. 柴田義男

    柴田委員 先ほど木村説明員から御説明されましたけれども安定株主という見方であります。この中には市中銀行もございまするけれども、一面貿易商社、あるいは一般産業もございまするが、貿易商社状態をわれわれ見ますると、今日まで破産しておるものもたくさんありまするし、しかもこれは経済的な変遷に伴つて非常に変化のはげしいものの一つでございまして、安定株主を選んだ、こういう御答弁では納得が行かない。少くも経済情勢をながめておりまする場合に、ここに大蔵省が株を与えた市中銀行信託会社等のほかに、こういう貿易商社のような一般産業がある。こういうことを考えました場合には、安定株主ということは絶対当らないと思う。  それからもう一つは、安定した基礎の上に立てるためにこういう特定銀行商社を選んだということは当らないし、同時にまた国有財産管理の上に立つても、経済界見通しを立てなければならぬ。そういう場合に、なぜ特定業者だけを選び、しかも五十円の払込み価格でこれを交付したのか。しかもその五十円の払込み価格に対する根拠といたしまして、あるいは東京電力、あるいは東京瓦斯等の例を並べてありますけれども国際電話という一つ会社ができます場合には、これは相当大きな利潤を生む会社であるということはたれしも知つてつたのであります。少くも経済人といたしましては、十分この見通しがあつたはずであります。それにもかかわらず大蔵省がそういう見通しを全然無視いたしまして、五十円で特定業者にだけ与えたということは、どうしてもわれわれ納得ができないから、もう少し具体的に、安定株主というものをどういう見方で見たのであるか。それからもう一つは、善良なる国有財産管理者としての立場から、これをもつと具体的に御説明願いたいと思います。
  10. 木村三男

    木村説明員 なぜ安定株主として銀行関連産業貿易商社等を選んだかという御質問に対してお答えいたします。金融機関が採算的に株を持つというような場合には、比較的株があちらこちらへ行つたり、思惑の対象になることが少いということは、類似の富士、八幡の例につきましても――これは大蔵省でしたのでないのでありまして、民間の例なんでありますが、会社の方からそういつたしつかりした銀行信託銀行証券会社等にお願いをしまして、この株について安定株主となつてもらいたいというような話をして、大分その方面にも持つてもらつたようなこともあるのであります。この場合も、何しろ株が四百万株、これを一般競争入札でぱつと出すというようなことになると、処分についても私どもは自信が持てない。それからどの方面に行くかわからない。そういうことを考えますと、やはり金融機関などにつきまして、安定株主一つ考えるのは決して無理な解釈ではなかろう。それから関連産業電信電話会社もいろいろ仕事関係お得意さんがございます。通信機とかその他いろいろ取引先となつてもらうような会社がかなりあるのでございます。そういうものはやはり会社をもり立てて行こうというような気分になつていただける人と考えられますので、こういうものもやはり安定層と見て的がはずれておらぬ、こういうふうに考えております。それから貿易商社にしましても、これもやはりあぶなつかしいのが中には相当あるようでございますが、しつかりしたものでほんとう会社のためにつき合つていただける、特に海外の通信などは大いにお得意さんになるものですから、そういう縁故者に将来なり得るものを、ねこもしやくしもではいけないのでありますが、そういうことについてバツクしてもらえるような会社があれば、それはやはり安定株主に入れてもいいのではないか、こういうふうに考えまして、その辺仕事をやつて行くのは会社でありますから、会社方面の意向も十分に尊重いたしまして、いわゆる善良なる管理者の一員としての注意配意がやはりそこまで及んでもいいのではないかと考えまして、イニシアチーヴを私どもがとつて貿易商社拾つたわけではないのでありますが、そういつた意見も尊重いたしまして、筋から考えてもあまりおかしくないということで選んだわけであります。それから評価の点につきましては、これはやはり店頭気配とかいろいろなうわさはございますけれども、今のような状態先ほどのような処分をします場合には、どう考えても額面とはなはだしくかけ離れて、二倍、三倍などということは常識考えられないのでありまして、やはりこの価格につきましては、適正価格考え評価行つたのであります。これによつて関係会社なり銀行なりをもうけさせるようなことがあるかないかは、額面でもつて受取りまして、これは私どもはひもはつけておりませんが、会社の方から少くとも二年くらいは安定株主として持つていてもらいたいというような紳士的な話も進んでおるようなことでございますので、これを転売してまたもうけるとかなんとかいうようなことは、まず考えられないというふうに考えております。
  11. 柴田義男

    柴田委員 安定株主の問題に関しましては、これをもつて最後にいたしまするが、私ども考えるに、この国際会社が千八百九十二名の株主を持つている。この方々に対しましては十六万一千株余より交付しておりません。千三百四十一名の国際電電会社従業員に対しましても、十九万八千百二十株を交付しておる。そういたしますると、十八億から計算いたしまして、国際会社株主従業員に交付いたしました分が、一割にもならぬのであります。国際会社に対しましては八千万余、それから従業員に対しましては九千九百万円余でございます。こういう非常な矛盾をわれわれは感ずるのであります。この安定株主という見方は、その見方によつていろいろ異なるでありましようけれども、しかし実際、総体から行きまして一割にもならないものを、国際会社株主千八百名以上の方方に、あるいは従業員の千三百四十名に交付しておる。少くもほんとうに安定を考えるならば、やはり国際会社株主中心考え、あるいは従業員中心考えるべきである。これが最も正しい考え方であるとわれわれは思うのであります。それを特定銀行保険会社、こういうものだけに多く交付したということは、必ずや何かそこにわれわれは想像しなければならないし、国民大衆にも非常に悪い印象を与えるのではないかと考えるのであります。  第二点は、今度は配当率だけで株価評価するということは根本的にこれは間違いだ、これは経済常識といたしまして間違いだと思う。たとえば日本銀行配当があんな低い配当であるにもかかわらず、二十倍もの価格をしていることは皆様も御承知でありましよう。あるいはその他中央の富士銀行であつても、あるいは一流の銀行株価というものは、御承知のように百円そこそこであります。だけれども配当が一割二分あるいは一割と押えております。配当大蔵省は押えておる。金融機関株式というものはたくさんの含み資産があるから、ああいう価値を持つておるのであります。電電公社現物出資いたしまして、国際電話会社に対しましては、三十二億八千万ではございまするけれども、その現物というものが百億の価値があつたものか、百二十億の価値のあつたものであるかということをわれわれは考えなければならない。それによつて株価というものは評価されるものであります。こういう見通し大蔵省は持つておらなかつたかどうか、もう一度伺います。
  12. 木村三男

    木村説明員 従業員処分――旧国際電信関係を含めまして、そこに割当てられた株数が一割にも満たないというような御指摘でございますが、私ども考え方としては従業員処分――会社役員従業員及び旧国際会社関係の万々にまず第一に持てるだけ持つていただく。そしてその残り、つまり目標を二十億と置きましたが、その満たない分は金融機関その他の方でカバーしてもらうというようなやり方をとつて来たのであります。ところが一株五百円でございまして、資力、人数の関係から見まして、三割、四割というふうにちよつと手が届かない。会社の方としましては、一人何株というような制限ではなくて、申込みをとりまして、その額につきましては、大蔵省の方から直接会社を通じて従業員処分行つたのであります。一人平均百四十七株くらいに当つております。これ以上になりますと、やはり持つ方の側から申しましても、相当金がいるのじやないかと考えたのでありまして、私どもは決して制限したわけではございません。  それから現物評価につきましては、私どもは直接関係したわけではないのでありますけれども、その道の権威のある方が慎重にやられまして、むしろ希望的な観測よりももつとかたいような評価が出たといつて落胆しておるような向きもあるように聞いておりますので、非常に厳正に行われておるというふうに考えておるのであります。株の評価につきまして、配当率だけでやるのはおかしいではないかという御指摘でございますが、もちろんそれだけではやはり十分な証拠にはならないのでありまして、そこにはやはり現物評価のときに採用いたしました標準、予想利回りとか、評価証書というものも十分に検討いたしてありますし、また今申し上げましたような市場に上場されておりますような株式、つまり目の子算ではなくて、実際土俵に出て動いておる株というものを見て、はなはだしく前提が違わなければ、大体こんなふうに株価というものは動くのだ。原価計算的なことがなかなかむずかしいのでありますけれども評価その他の基礎になつた資料から推して行けばこうなる。実際市場に出て取引される場合には、こんな動きを示す。両面から集めまして、大体妥当な線を考えたと思いますので、採用し得る資料はおおらかに採用したつもりであります。
  13. 柴田義男

    柴田委員 もう一点伺いますが、そういたしますと電電公社現物を出資いたしましたその現物というものが、どれだけの価値のあるものであるかということは、全然考慮の中になかつたのでございましようか。たとえばあらゆる既設の会社株式評価をなされ、あるいは配当状況から勘案いたしました評価をなしておられるようでございまするが、会社株価というものは、少くもその持つておる資産によつてここに生れて来る。配当だけではないということは、もう御承知のはずであります。そういたしますると、電電公社が三十二億八千万と見積つて出資いたしました場合の、その現物そのものの評価というものは、全然考慮の中に入れなかつたのでございましようか。その一点をお伺いいたします。
  14. 木村三男

    木村説明員 評価審議会の方で九回にわたつて厳正な審議を重ねまして、一月十六日に評価がきまつたわけなのであります。それからその当時の現物評価というものは、私ども考えとしましては、それを尊重しなければならない。それからその現物が動き出して、企業の中でどういうふうに動き出して、どういう影響を持つかということは、あとの問題なんでございますけれども評価時と処分時の間にはわずか二箇月余りしかない。会社の方は四月から発足、評価要素においてはほとんど動きがない。日もあまりつておらぬし、会社そのものも、現実に四月一日から動き出したということでありますので、これをくつがえして、あれは間違つていたんだというような評価は、私どもの方としてできなかつた事情にあります。
  15. 柴田義男

    柴田委員 もう一つ伺いますが、そういう評価を見なかつたというのは、われわれは非常な納得のできなかつた一点でございます。もう一つは、国際電話会社民間経営せしむると、こういう方針がきまつたとき、ただちにもう民間国際電話会社をつくるのだという、その一つだけでもいかに――これほど大きな利益のある会社を、政府がなぜ電電公社から切り離すのだ、こういう疑惑の目を実は当時すでに持つた、そういう状態からいつても、少くもこの株式を交付する場合には、もつと明朗な方法で交付すべきであつたし、それから株価評価にあたりましても、少くもオープンでやらなければならないものである。最初もともとは国民の財産であります。国民の財産を今度は民間会社にわけてやる場合には、もつとこれを明朗な方法をもつてやるべきであるとわれわれは考えるのであります。それをもつて私はその点を打切ります。
  16. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 関連質問ですが、先ほどの私の安定株主は必ずしもこの会社の株の場合においては必要ないという見解なんだが、これに対する御返事がないので、それをまずお聞きしたいのと、それから財産評価ではなくて、この株価評価についてはいろいろの議論もあるようですけれども、当初これをオープン・マーケットに出して処分する方法をなぜとらなかつたか。一応株価評価証券市場に聞くという意味で、一応いわゆる市場に出して、これの評価を求める、こういうような方法がなぜとれなかつたか。第三には、今後の問題ですが、今後残りの株の処分に対しては、従来通りに定められた安定株主に対して割当をする方針か、それとも証券市場に公に出してそれを処分する方針か。第四は、先ほどのあなたの説明によると、旧国際株主は八千万円程度ですが、その程度以上しか希望しなかつたからその残りをわけたとおつしやるけれども、私の聞いたところでは違う、この点についても明らかにしていただきたい。
  17. 木村三男

    木村説明員 第一点、かかる会社安定株主の必要があるかどうか、必要でないではないかという御質問であります。これも最終的に、厳密な意味において安定株主というものがいらぬかいるかということになりますと、見解はいろいろござい事。そこでその方面の経験者としまして松本博士その他にもいろいろ伺いますと、今の商法の規定なり、いろいろな関係から見まして、安定株主というものはどうしても必要だという意味の判定といいますか、そういう御意見も承つていますし、今まで私どもが取扱いました場合でもそういう意味のことをやつた例もありますので、この会社に限りそういうものは全然必要ないのだとつつぱねるのもどうかと考えましたので、決して独断ということではなく、今のような方針をとつたわけであります。  それからオープン・マーケツトになぜ出さなかつたか。これは市場状況などからいいますと、何しろ量が非常にたくさんであること、それから二、三月ごろから取引市場が大分軌道からはずれるような様相もあつた従つてこういうものを変な出し方をすると、思惑のえさになりやすいということも考えられますので、方法としましては、まず市場状況などから見て、やはり最初の分につきましては今のような方法をとり、二度目、残つた分につきましては競争入札で行くというふうな、二段構えの方法をとる方が望ましいのではないかという結論に達したわけであります。そこで今後の分をどうするかという御質問とも関連するわけでありますが、今後の分につきましては、これはオープン・マーケットの自由競争入札の方法で参りたいと思います。私どもの方の株の処分につきましてのもう一つの指導理念と申しますか、方針としましては、株式は広く民主化しなければならないというような規定もございますので、その方の関係と、安定株主を得るというような観点とを調和いたしますと、今のように、一部は引受の方法によつてある方面に入れ、残余の分につきましては国民の手に広く渡るような方法処分するというのが、両者を妥協した公平な線ではないかと考えておりますので、今後の分につきましては一般競争入札処分したいと考えております。  なおもう一つつけ加えますと、株につきまして国民の関心が非常に高まつていることは喜ばしいことなのでありますけれども、国の事業からわかれて国際電信電話会社というものができた、それでその株についてできるだけ関心をもつてつていただくことは非常に望ましいのでありますけれども、まだ第一期の業績も判明しないときに、これは有望なものであるといつて、スタートまぎわにおいて大量出すということが、はたして国民に親切であるかどうかというようなことを考えておりますので、一般処分の方はもう少し時期を見、もう少し事業の動き方を見て、国民の納得できるような段階においてやつた方が、政策としてはよりいいのではないかと考えたわけであります。  最後に、旧国際の株主に対する処分でありますが、私どもの取扱いといたしましては、従業員処分という方式に入れまして、電電会社の方で従業員なり役員なり、あるいはそういつた縁故者の分をまとめて、大蔵省の方にこれだけのものをもらいたいという請求を出しまして、それに基いて私ども会社と取引を結ぶわけなのであります。内部の関係につきましては、元の国際の株主がどういうふうに分布されているかわからず、一々私どもの方で交渉するということも事実問題としてできませんので、従業員処分方式にのつとつて会社の方におまかせするというか、内容をきめて、こちらに数量を持つて来ていただきたい、それにつきましては、問題が起らないように、公平に行くような、変なところでカットしたりなんかしないように十分お願いしますということで、出て参りますものを私どもは集計いたしまして、従業員処分にすることにしたのであります。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 柴田委員質問に補足して二、三お伺いします。  最初に地方銀行と書いてあるだけですが、どんな銀行か。もう一つ共済組合があります。それから国際電信電話会社の旧株主とありますが、この三者の内訳がわかりましたら先にお知らせ願いたいと思います。
  19. 木村三男

    木村説明員 最初に地方銀行の内訳でありますが、地方銀行は五十九行ございます。地方銀行協会のメンバーの銀行が大部分入つているということであります。それから共済組合関係は、郵政省共済組合、それから日本電信電話公社の共済組合の二つでありまして、非現業組合であります。それから一つ落しましたが、旧国際電気通信株式会社株主の人数は、引受けました人数が千八百九十二名ございます。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 安定性を持たせるためにこれを選んだという御説明があつたわけですが、大体先ほどの御説明と今の御説明を聞いておりますと、大体一般の業界を網羅しているといつても過言ではないわけであります。市場にオープンで出したと何らかわらないような選択がなされておる。しかも全企業にわたらずに、特定ものにわけられたという解釈が一応成り立つわけであります。木村さんの御説明を当初から伺つておりますと、何かわくにはめられて、しかたなしにしやべつているような感じを受けるわけです。当時からの事情を御存じないのかどうか知りませんが、非常にその点不満足なわけであります。その点を先に申して、引続いて第二点をお伺いしたいのですが、先ほど従業員には無制限にこれを引受けさせるとおつしやつたわけですが、あとの御説明では公社に申出をさせる、こういう説明がなされました。従つて公社従業員に対して、無制限にこの株を持たせるような手配をしたかどうかの御説明がなかつたわけですが、この点をお伺いします。
  21. 木村三男

    木村説明員 日本全国のあらゆる事業のあらゆる法人をというと、これは無限にあるわけなんでありますが、いわゆる縁故のあるようなものを拾いますと、こんなところだというのでありまして、まあ全体から見ますと、そんなに広い範囲ではない、結局取引関係なり将来関係を持つて行くような方面として、法人の数にいたしまして、関連産業が二十二会社、貿易会社が十六社、合せて三十八でございます。それから従業員処分につきまして、契約の結び方は大蔵省会社なんであります。それから内部関係につきましては、会社の方から内部周知徹底させまして、いつまでに申し出てもらいたい――金の方もやはり大蔵省の有価証券処分でありますから、即金でなければならない、あとまわしということはできない。そこで会社の方としましても、買う方の従業員としましても、金をどうするかという問題を考えなければならない。それは公社から会社に参ります際に、退職金などが出ております。その辺を胸算用に入れまして、買い得る限度一ぱいにという考えであります。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 これを市場に公開した場合でも、もちろん縁故のある、あるいは関連産業のそういう系統が持つということは常識ですから、こんな選び方なら一般に出しても同じであります。  そこで次にお伺いしたいのは、先ほどの御説明で、大体二年間ぐらいの間はこの安定性を保持してもらいたいということを口頭で申し入れて、これらの会社団体に持たせたから、転売などのおそれはないと考えるという答弁があつたわけですが、転売しようとすればできるものなんでしようか、あるいは転売することが禁止されているものなんでしようか。
  23. 木村三男

    木村説明員 非常にデリケートな問題でありまして、商法の建前から行きますと、譲渡禁止ということは商法違反である、結局こういうことは、もとになる電電会社の方におきまして、今後株主として接触を持つ方面に、いわば紳士的な内約と申しますか、そういう点において縛るというか、安定したものにしてもらいたいということで話をつける以外にないのでありまして、私どもが契約をいたします場合に、正面の文章にそういうことは書けないし、書けば法律違反になる。気持としてはそんなものであるということは、各割当を受けたものについて同様であろうと考えております。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一度その点はつきりお伺いしたいのですが、そうすると公社あるいは大蔵省当局の間に、転売しないという内約ができたと解釈してよろしいのですか。
  25. 木村三男

    木村説明員 会社の方で従業員に募集させます場合に、二年間は持つているという条件で申し込む者は申し込め1私どもの方の文書には書いてないのでありますが、会社の方ではそういう措置をとつております。それから共済組合の方などにつきましては、大体常識上から考えましても、そう転売するような憂いはないと見ていいと思います。問題は関連産業金融機関関係であります。これは会社銀行あるいは関連産業方面におきまして話ができれば、それで実際上は動くわけなんでありますが、私どもは正面には出られない、そこは会社の方で法律上契約書とりかわしという意味ではないのでありますけれども、そういう了解といいますか、話合いはできておるように聞いております。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 まさにデリケートなんで、答弁も苦しそうなんですが、正式にそういうことをすれば違反になるわけでありますから、もちろんできないと思いますが、裏を返しますと、やはり転売されるおそれがあることになります。断じてないとは木村さんも保証できないだろうと思います。もし転売の意思があつて、あるいはそれが実行されたときには、やはり額面の五百円で売買がされるとお思いになりますか、あるいは常識考えてこの会社の株がどのくらいの額で動くものとお考えになりますか、それが第一点であります。  それから第二点は、これが動いた場合、転売がないという保証はないわけですから、ここに転売されますと、もしそれが二倍あるいは何割かの増額された金額で動きますと、当然公社が享受すべき利益というものが、誤てるあるいは不当なる大蔵省解釈によつて三十二億に縮減されていたという結果にもなるわけですが、この点転売される場合の金額の予想をお立てになつていただくことと、この二つであります。
  27. 木村三男

    木村説明員 実はこれは立てようがないのでありまして、そういう計算は私どもしておりません。ただ御了承願いたいと思いますのは、一つの取引単位として百株なり千株なりが動くというような場合と、それから市場に出てないから稀少価値といいますか、何か珍しいから十か二十かほしいから、これくらいの値段は出してもいいのだというような場合とは、例がおのずから違うわけなんであります。結果相当の株が市場に上場されぬことには、やはりいろいろな強気、弱気がありまして、どこで動くかということは、具体的な取引によつてきまるのではないかと考えております。たくさん持つて会社を支配しようというような場合には、相当高値を呼ぶというようなことも実例ではしばしば見られますので、私どもとしてはちよつと予想がつきかねると考えております。いずれにしましても近くおつかけて残り十何億の分を市場に出したいと思いますので、そのときまでに浮動株があちらこちらから漏れることのないように、これは法律上なり何なりではできないのでありますけれども、そういう売つた先はわかつておりますから、十分に目をつけて行きたいと思います。正当な価格というものは、やはり正常な場所において正当な数量でもつて動かないと、これが最も適正なものだということは断言できないと思います。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほど柴田委員から、株価の決定にあたつてはその持つ正味財産というものが問題になると言われましたが、ここに配つてあります収支もくろみを見ましても、とにかく六億八千七百万という利益を見込んでおるのであります。しかもこの会社は、四月一日から発足して、まだ二月しかたつていないような間にです。もし今、あなたには想像できないとおつしやるのですが、転売あるいは動くときの株価というものが相当大きく動いた場合に、電電公社が当然受くべき利益というものを、何かの今までの経緯によつて、とにかく受けられなかつた、損をさしたということにお考えになるかどうか、その点だけお伺いしておきたいと思います。
  29. 木村三男

    木村説明員 立場々々がございますが、公社側から見ますと、現物出資した、それが株でもつてつて来る、これを自分で処分すれば、まあ自分でやつたことだから、これはいいわけなんでありますが、大蔵省でやつたことによつて損害を受けたかどうか、この認定の問題になつて来るのでありますが、売つてしまつてから価格が上り下りする場合と、高いものを安く売つたという場合は、また違うのでありまして、売つてから、株価は常に一定のものでありませんから、事情によつてつたり下つたりします。処分後のものは、上り下りがあつても、結局株というものは元来そういうもので、電電会社の方に現物出資で株をもらつた、長く持つていれば上るかもしれぬというときには、まあ普通の会社でしたら長く持つているかもしれない。あるいはそれが予想がはずれて下つてしまうことがある。いろいろな事情がからむのでありますけれども、株の動きによつて、あとで売つてみたら処分価格よりも上つていたから、公社に損害が出た、あるいは下つていたから公社にもうけさせたというようなことは、現物出資の株の処分という特殊事情からいいますと、まあどちらにでも解釈がつくのではないかと思います。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 これはあなたと立場が違うわけです。われわれの前提は、高いものを安く売り過ぎたということを前提にさつきから話しているわけです。従つて四月一日から発足して、まだ二月くらいしかたつていないので、この事業経営というものは世間にはよくわかつておりません。私どもから見ても、当然価値のあるものを低く売り過ぎたということを指摘しておるわけです。その証拠に、これを市場に出したら思い切つて増額される、何倍かになるということを、私は私の経験から断言できると思うのです。私ども立場からいうと、ほんとうに高い価値があるものを、とにかく低く売り過ぎた。従つてこれは内約によつて転売はされないだろうと御想像になつていますが、もしこれがされているか、あるいはこれがされた場合に、われわれの想像では増額されて、あるいは二倍なり何割か高値で動いたときには、電電公社は当然私ども立場からいうと、大蔵省の何かの認定が間違つたために、手段が間違つたために、損害を与えたと解釈するのですが、その点私と同じような考えになるかどうかをもう一度お伺いしたい。
  31. 木村三男

    木村説明員 結局大蔵省公社関係でありますが、人格は別でありますから、やり方がまずい、民事上の訴訟を引例するわけではないのでありますが、不当に損害を与えたという判定がつけば、これはやはり損害を埋めなければならないことになるだろう。これは筋なのでありますけれども、その判定いうものはなかなかつけにくい状態に私どもは今のところおるのであります。  それからもう一つ、なるべく公社の方に資金の量をよけい差上げたいということは、やはり大蔵省全体としても、予算にからむ問題ですから、安く売つて公社の方に少く金が行つて、あと予算でカバーするというのでは、財政が保たない。やはり大蔵省考え方にも、事情の許す高値によつて売るということは、これはかわらない方針なのであります。一方において予算を持つて行き、一方においては有価証券を持つて行く大蔵省立場としては、やはり電電公社の方に迷惑をかけない資金の量をたくさん入れるということは考えておるのでありまして、具体的な一つの例としましても、公社から委託されたような事業でありますけれども処分の手数料、諸経費というものは、一般会計の歳出でもつてカバーいたしまして、売れただけのネットの金額を公社の方に差上げるということにいたしております。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 大蔵省の認定の考え方もやり方も、木村さんに関係のない、もつと上の方で違つた角度からやつて来たのだろうと私は解釈いたします。ただ今の御発言で、ようやく私のお聞きしたいことがわかつたわけなんですが、もし後日これが何かの、公社その他の立証によつて、損を与えたというふうになつたときには、大蔵省がこれを埋める義務があるということだけ確認していただいて、これで終りたいと思います。
  33. 木村三男

    木村説明員 説明員としてそれだけの義務を負つていいかどうかわからないのでありますけれども、筋道とし、て、私ども事務当局といたしますと、人のものを預かつて、とんでもない値段で売つて損害をかければ、埋めるのがあたりまえでありまして、それは裁判に訴えてどうというわけでなくて、やはり予算という制度もありますし、それは補填するような財源措置もできまするし、事態がはつきりいたしまして、これだということになれば、そこにおのずから道は通ずるだろうと思います。
  34. 成田知巳

    成田委員長 今の問題に関連して私からお尋ねしたいのですが、今筋からいつて、もし不当に安く売つたとすれば、財政上の措置でこれを補填するということも考えられる、これは民事上の問題だろうと思いますが、この場合刑事上の問題が出て来るかどうか、これは木村さんに言うのではないのですけれども、筋からいたしまして、刑事上の問題が発生するかしないか、もし受託者が善良な管理者注意をもつて委託義務を実行しないなら、その受託者が自己または他人の利益、もちろん今の御説明で、大蔵省が自分の利益をはかるという、あるいははかつたかもわかりませんが、他人の利益をはかるために、不当に安く売つたとすれば、いわゆる背任罪というものが構成されるのではないかと思いますが、これも筋としてひとつつておきたいと思います。
  35. 木村三男

    木村説明員 実は会社法の附則を読みましていただきまして、一体大蔵省はどういうふうな法的な立場に立つのかということを、私どもいろいろ研究いたしまして、思い余つて法制局にも相談いたしましたが、それぞれの見解が一致しないのであります。ただ大蔵省公社から株を譲り受けたのだから、大蔵大臣の権限において処分する、そうして結果は公社の方に入れると書いてあるから入れるのだというふうな読み方もできますし、そうではないのだ、公社のやるべきことを大蔵省が事務管理的に代行するのだ、いわば代理人のような立場においてやるのだというような解釈も成り立つのであります。そこでその方も結局私どもなり法制局の意見がまだ一致していないのであります。今の背任罪ということになりますと、国が背任罪というのはちよつと何でございますが、背任的な行為と考えますと、結局事務管理関係の法律の解釈はどうなるかという、そこにまだ研究の余地がありますものですから、そこの基礎的な関係を今研究中でありますので、はつきりと私から明言できないのであります。
  36. 成田知巳

    成田委員長 もう一度お尋ねしますが、最初の木村さんの御説明では、受任者として善良な管理者注意をもつてこれを処分するのだ、こういう御説明があつた。今の御説明によりますと、そういう解釈もあるし、また一面大蔵省に入つた株式大蔵省処分する、こういう法制局の解釈もあつて、いずれかまだ明確に筋が立つてない。こういうわけでありますが、今言われた二つの解釈、それについてまだ明確な立場になつていない、こういうふうに了承してよろしゆうございますか。
  37. 木村三男

    木村説明員 善良な管理者注意をもつて、委託されたものとして株式処分等の事務を行うのが一番実情に合うのじやないか。気持の問題であり、方針のきめ方として、その方が一番われわれのとるべき態度ではないかと考えたのであります。ただ後日高いものを安く売つた公社に迷惑をかけたというような法律問題になりますと、気分問題と違いますので、その辺はやはり国の法制の方を担当する機関もございますし、立法の主管省もございますので、内部においてやはりその点の解釈の統一をはからなければならぬ。それをまつまではやまり私どもとしては、善良な管理者注意をもつて遺憾のないようにして行きたいという気持で進めております。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 ついでにお伺いいたしたいと思いますが、第二回にもう一度お出しになる考えでありますか。それはいつごろ、どのくらいの量お出しになるのか。時期と量とを決定される基準をお伺いしたい。
  39. 木村三男

    木村説明員 第二回目の分につきましては市場が許せば、やはり法律にも書いてあります通り、何回にもこま切れにしないで、すみやかに全部処分を済ませた方がいいのではないか。そうすれば公社の方にも早く金が入るという目的に合するわけであります。ただ時期につきましては、市場の動きその他から見て、何月ということは今のところまだ方針は決定いたしておりません。しかし今後の見通しや何か、市場関係もどう動くか、保証もできませんが、やはり市場状況から見て適当な時期にすみやかに処分するということで、処分の時期を研究中でありました、何月にということでございません。方法は今のところやはり全国的に国民に持つてもらわなければならない。従来のやり方ではいけないものがあるのではないか。東京だけで競争入札をしますと、株式の分布先が固まりはしないか、たとえば大阪とか、九州とか、仙台とか、そういう方面におきましても同時に競争入札の方法でできる方法はないか、分散するという意味において、株式の民主化の線に沿いましてそういう方法もあわせ研究しております。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほど安定性を持たせるという点から、この国際会社従業員に無制限に前回は持たせたそうでありますが、第二回も無制限にもう一ぺん持たせる御意思があるかどうか。
  41. 木村三男

    木村説明員 状況いかんでございますが、大体今までの例ですと、希望しない者に申し込む方法もございませんが、大体従業員処分というものは一回やつただけで、あとほかの国民のことも考えなければなりませんから、一般競争入札方法をとつております。これもしつかりした原則ではないのでありますけれども、また従業員処分方法をどうしてもとらなければならぬというような事態が起れば、またそのときの問題でありますが、目下のところは一般競争入札で、国民に広く持つてもらうという方法で残額を処分したいと考えておりまして、追加あるいは二次というような話はまだ会社方面から聞いておりません。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 第一回のときには従業員にもこの価値がわからなかつたかもしれませんが、今私どもが認定しておるように、相当価値あるものが安く出されたことはすでに持つた者は知つておるので、第二回のときは第一回のときよりおそらく多数の申込みがあると思いますが、これはぜひ安定性を持たせるという意味からも、ただ小さな九千九百万円ばかり出しただけで安定性ということは言えませんので、従業員に前と同じように無制限に持たせるくらいのことはやらなければならぬと考えますが、これは木村さんでなく、郵政大臣ひとつこのくらいのことに対する協力をぜひお願いいたしたいと思います。御意見をひとつ伺いたい。
  43. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 よく事情を検討いたしまして、なるべく御希望に応じます。
  44. 成田知巳

    成田委員長 木村さんに伺つておきたいのでありますが、この国際電信電話株式会社の株の売出し価格をきめる際には、お説によりますと東京電力東京瓦斯の一月から四月の平均利回り、これを参考にされたというのですが、そのときの東京瓦斯あるいは東京電力は幾らの配当をやつてつて、幾らの株価を示しておりましたか。払込みに対して株価は幾らであつたか、おわかりになつたら伺いたい。
  45. 木村三男

    木村説明員 まず東京電力でありますが、額面は五百円であります。配当一割五分、平均株価は一月が八百十一円六十九銭、二月が六百七十一円八銭、三月が六百十七円十八銭、四月が五百三十九円八十七銭、それから東京瓦斯の方は額面が五十円であります。配当が一割五分、一月が七十六円四銭、二月が八十三円五十六銭、三月が七十一円四銭、四月が六十九円四十五銭、いずれも額面を超過しております。それを先ほど申し上げましたように、一割及び八%で還元しますと、数字の上では国際電電の場合、額面を下まわつておるというような数字になつてしまいますので、まさか下まわる価格でも売れないし、いろいろ現物出資して間もないことであるから、額面あたりがよいのではないか、それからわれわれが処分する前に会社の方から端数株を出しておりますが、これも五百円で出しおります。いろいろの関係で、先ほど申し上げましたように、これも一つの参考として見たという意味に御了解を願いたいと思います。
  46. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 せつかく郵政大臣がお見えになつておりますから、大臣にお尋ねいたしたいと思います。私は初めてごの委員会委員になつたのでありますけれども、ただいま御提案になつております法案、特に電信電話料金の値上げにつきまして、第十五国会における審議の模様を速記録を今勉強いたしておるのでありますが、速記録によりますと、前大臣の御意向と現大臣の御意向とは、まつたく符節を合せるように合つておるのであります。しかしその中にちよつと奇異に感じられますことは、前大臣はなるべく料金の値上げを低位に押えて、いろいろ預金部からあるいは公社債の発行によつて公共性を上げて行きたい。公共性を失わないようにしておいて、産業の発達のために五箇年計画をやつて行きたい。こういう意味で度数制度の料金を上げないで、主として基本料金の値上げによつて五箇年計画をやつて行きたい、こういうような御説明をなさつておるのでありますが、今回の資金計画を拝見いたしますと、政府資金の四十億は全然削られて、公募債券は七十五億に減つておるのです。私たちはもちろんこの電話の拡充五箇年計画に、しいて反対するものではない。でき得るならばこれを急速に実現していただきたいと思うのでございますが、ここにも大臣がお述べになつておられますように「私といたしましてはわが国の他の公共的施設や基幹産業の施設に比し、非常に立ち遅れている電話施設を急速に拡充整備して、その利便を広く国民に提供し、もつて文化の向上、産業の発達に資することが必要であることを痛感いたしておる」と言われておるのでありますが、ほんとうに郵政大臣として、この電話五箇年拡充計画が日本産業の進展の上において大きな役割をするということでございましたならば、従来のごとき資金計画を、なぜ二割五分の度数料金の引上げにのみおたよりになつておるのか。従来の資金計画のごとく、政府の資金をお使いになつて拡充計画をおやりになる方が、より妥当な方法ではないか。今日どうしてこういうような変革を来したのか、それを承つておきたいと思います。
  47. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 多少は前大臣と、ものの考え方が違うという点は、御指摘のようにあるかもしれないのでありますが、少くとも私といたしましては、就任以来いろいろ日本の電信電話の状態考えて見、これをどうしてもこのままでは置けないということを考えましたときに、さてその資金をどこから仰ぐかということをいろいろ検討いたしまして、最終的な結論としては外部資金を一部分、それから自己資金を一部分、こういうように持つて行く方が一番正しいだろう。そういうような結論を出しましたのは、公社というものを一つ企業体というように考えてみまして、五箇年計画では御承知のように約二千六百億という金を調達したいと考えておるのでありますが、その二千六百億のうち非常に大きな部分が、外部資金の借入れという形でまかなわれたときに、五箇年後に設備がいよいよでき上つたというときの公社の経理状態考えると、非常に負債が大きくなつて、そのときには負債の利払いだけでも相当また料率を上げて行かなくちやならない、こういう形になる。公社の経理の状態も非常にまずくなる。そこでそのときに非常に大きな負債利子及び元本を払うために大きく値上げをするよりも、現在若干を値上げして、長い間平均に加入者に負担をして行つていただく方が一番いいのじやないか。ことにこの電信電話の設備の改良、拡充というものは、それがそのまま現在の加入者にもみんな利益になつてつて来るのだから、そういう意味において利益も得るのだから、料金も多少よけい負担していただく、こういう方がいいのじやないか。そこでそういうこととあわせて、やはり今日の国のいろいろな財政計画、資金計画というものににらみ合せ、ことに最近預金部資金が枯渇をしておるという状態をにらみ合せると、やはりそういう方面からのものの考え方としてもこの方がいいのじやないか、そういうような結論に到達いたしまして、これを二割五分値上げする、こういうことにいたしたわけであります。それで二割五分ということになりますと、一割のときに考えておりました構想ではなかなか行かないのでありまして、結局度数料に手をつけなければならない。それで度数料をどこにするかということをいろいろ考えましたときに、やはり一回でも利用するというような場合には少くとも十円くらいの――十円という金の今日持つておる経済価値というものを考えるというと、電話を二回かけて、こちらから言いたいことを言つて、向うから聞きたい返事を聞いて、十円くらいの負担というのは、あたりまえじやないかというような考え方も取入れまして、やはり度数料を十円ということにした方がいいではないか、こういうふうに考えたわけであります。
  48. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 ただいまの郵政大臣のお考えから参りますと、電話を持つてつてろくすつぽ使わなくて死蔵しておる、そういうものの基本料金はもつとうんと上げてもいいというようなお考えのようにもなるのでありますが、その点は一体どうなのでありますか。
  49. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 この点はまことに不覚なんでありますけれども、法案を一応委員会に御提出したしましたあとで、いろいろな方面の意見を聞いてみますと、なるほど多少そういう個々の人たちの間の負担の関係については、考え直す余地があるのじやないか、今の政府考えております料金の引上げの歩合から見ますと、加入はしておられるか、あまり利用されておらないという方々の方が、割に引上げの率が少いのでございますが、もう少しその辺の調整はしてもいいのではないかなという感じは持つておるのでございますが、これは皆さん方の御意向も伺つた上で考える必要があるならば考えたい、こういうように私考えておるわけでございます。
  50. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 電話拡充はあくまでも現在の日本においては、生産助長の線を考えて行かなければならぬと思うのでありますが、こういう意味合いからいたしますと、生産にほとんど何らの関係のない電話がたくさんある。またこの電話拡充五箇年計画の中に盛り込まれるものもたくさんあるわけであります。既設電話の中でたとえて申しますれば、生産に何らの関係のない商売をしているのに、二つも三つも持つている者がある。こういうものに対しては死蔵している電話と同様に、何らか生産面に整理としてまわすというような考えがあるのかどうか。
  51. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは過去においてはそういうことをいたしました例もあることを承知しておるのでありますが、今日のような、そう特に非常事態というほどのことも考えられない状態におきましては、そういうものを死蔵しておるから、それを取上げて必要な方へまわすというほどには、とてもものの考え方が行けないのじやないか。しかし今後これを新しく許すものはどうするかというような場合におきましては、それはおのずから必要度に応じて順位をつけて、なるべく必要な方に早くまわすというような措置をしなければならないと思つております。しかしやはりそういうように必要ないものをたくさんに持つておるというものを、いくらか間接的に整理をするという意味におきましても、そういうものもかなり負担がかかるというようになれば、自然とそれは整理されるようにもなる。そういう間接的な若干の考慮は施さなくちやならぬという考え方を持つております。
  52. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 もう一点、これは電電公社の方にも関連することでございますから、ひとつお答えを願いたいのでありますが、十五国会の提案理由を読みますと、「なお建設改良工事につきましては、ただいま申し上げました四百六十一億余円をもちまして、加入者開通十四万加入、市外電話回線は東京、大阪間の準即時用の回線を含めまして十八万キロ、分局開始九局、方式変更十八局を主要工程とする拡張改良工事を計画」、こう前大臣は言つておられる。今回でもそれと同じ計画のようでありますが、これに対する工事能力は一体どういうふうになつておりますか。
  53. 靱勉

    ○靱説明員 これは前予算におきましても、四百六十一億という全体の建設、改良のわくをきめました。その際におきまする工事能力は私ども十分手配できるという条件のもとにきめたような次第でございます。
  54. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 これは意地悪く御質問するわけではありませんが、十五国会において総裁はこう言つておられる。二十七年度に比較し、百四十億の増をもつてやるのであるから、従つてこれに対する実行力を検討してみなければいけない。生産能力はあるけれども、工事能力は公社では持つておらぬのだ、だからいろいろただいま毒をしなければならぬ。従つてこれを実行するには一月中に計画をし、二月中に工事設計を完了し、三月中に予算化し、四月一日からこれを実行しなければこの計画は実行できないのだ、こういう説明をしておられるのです。もうすでに七月になつておるのですが、これはその説明がもし真なりとすれば、生産能力はあるけれども、工事能力が不足だということになる。もし工事能力が不足であるならば、その工事能力に比例した予算だけ今年盛ればいいということになるのでありますが、その点ひとつお伺いしたい。
  55. 靱勉

    ○靱説明員 この間総裁からも御説明申し上げておりますが、年々計画当時の線によりまして、翌年度に工事を繰越すということが在来非常に多かつた、この一部分はどうしてもやむを得ない。たとえば二十八年度のごとく、暫定予算の決定が遅れるという場合には、どうしても年度内に完成するわけには参りません。そこで繰越し工事というものは在来非常に出ておつたわけでありますが、私ども二十八年度の建設工事の実施につきましては、かなり前から計画を立てまして、それの設計も急速にやる。昨年度に比べまして本年度はかなり早く命令を出しております。そこで本予算は成立いたしてないのでございますけれども、すでに数回国会におきましてそれぞれ暫定予算の成立しておるその幅におきましては、工事命令もどんどん出ておりますし、また年間の工事計画といたしましては準備はできるだけ早くする。在来工事が非常に遅れるという原因は何かと申しますと、主として設計の能力にあつた。あるいは設計の遅延という点にあつた。ただいま御指摘のように、もちろん直営工事だけで在来もやつておりません。従いまして先ほどお答えしました建設工事能力と申しますのは、私どもは手配できる範囲におきます工事能力ということでありまして、直営及びその他を含めた意味合いでお答え申し上げたのであります。私どもといたしましては、昭和二十九年度の計画、設計をできるだけ早くして、工事が毎月平均化して行くようにする。あるいは北海道等の地域におきましては、できるだけ夏季の間に繰上げて工事ができるように開始するという考えで、二十八年度の工事能力につきましては、私ども非常な決心を持つて現在準備をし、着手いたしておるような次第であります。
  56. 成田知巳

    成田委員長 松井君。
  57. 松井政吉

    ○松井(政)委員 ちようど大臣がおいでですから、大臣に伺いたい点だけを先に伺います。ただいま同僚委員からも関連した質問があつたようでありますが、第十五国会に公衆電気通信法が提出されまして、その当時審議をいたしました内容と今度の内容とは、料金値上げの変動によつて予算に著しく大きな変化がございます。この変化は情勢の変化であるのか、情勢の変化はないが、考え方が相違をしたのか、この点についてまずお伺いいたしたい。
  58. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 どういうことになりますか、考え方が情勢の変化ということであれば、あのときからして二割五分値上げしたいという考え方であつたのが、一割におちついたのであり、今度は二割五分の元の線までもどつて行つたのである、こういうように御了承願えれば、情勢の変化はなかつた。しかしその資金を調達する面になると、一割のときと二割のときとおのずから資金がかわつて来るのであります。それから一般財政資金の状態もかわつて来ておりますので、多少かわつて来た。だからその面から行けば情勢に変化があつたとお考えになればいいのではないか。その資金はどこから調達するかという考え方は、先ほど齋藤委員から前大臣の御意見を速記録によつて初めて私も承知したのでありますが、私の感じとは多少かわつておる。そういういろいろな複雑な要素が加わつてかわつて来たと存じます。
  59. 松井政吉

    ○松井(政)委員 いろいろ複雑要素が加わつてかわつて来たとおつしやいますが、それだけでは審議ができないのです。そこで大臣にお伺いすると、情勢の変化もあるし、考え方もかわつているのだ、こういうのですが、それならば情勢の変化というのは、一体経済情勢の変化であるのか、経済情勢の変化ということになれば、国の経済情勢が変化をすれば国民経済の変化がないわけはない。にもかかわらず加入者としての国民大衆には多くの負担をかける情勢の変化が、一体経済上どこから生れて来たか、これをまず第一に伺いたい。  それから考え方がかわつたというのは、一体国の立場においてかわつたのか、公社企業性を把握して、公社自体経営形態における経営上の考え方かかわつて来て、それを大臣が認めたという形なのか、この二つの点を明らかにしていただきたい。
  60. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 お答えいたします。情勢がかわつて来たと特に私が申し上げるのは、結局資金を預金部資金もしては公募債券から持つて来るか、内部でこれをまかなうかというところに、非常に大きな考え方の前とあとの違いかあるのでありまして、この点におきましては不成立予算ができた当時と、今度の予算を審議いたしますときと非常にかわつておりまして、たとえば私が所管をいたしております地方財政の面などを考えてみましても、あちらにも非常に政府資金を必要とする面がよけいに出て来ている。しかしそれをまかなうわけにはなかなか行かないような預金部資金の状態である。従つて今度値上げによりましてこちらから浮いたもののうち、十五億があちらにまわつておるという事情の出ておるのもそのためであります。またその後一般金融市場状態がかわりましたし、それから値上げが時期的に遅れたということも原因いたしまして、公募公債の百億というものが年度内に消化が困難ではないかという見通しが出て来たことの結果、この公募債券の分も切下げざるを得ないだろうというようにかわつたのであります。結局そういうような事情が、加入者に対して負担させるということに相なつたのであります。しかしながらその点は、公募債券及び政府資金でまかなうにいたしましても、加入者の料金でまかなうにいたしましても、これは時期的に現在負担をするか、将来負担をするかというだけのことであつて、結局公社の電信電話設備の拡充、改良に必要な資金、及びそれにつぎ込みますれば当然負担しなければならない金利負担というものは、加入者が負担をされる以外には方法がない。それを国が負担をして行くという形は絶対にあり得ないのでありますから、その意味においては加入者負担というものは、時期的に今から少しずつ値上げをして負担をさせて行くか、将来できたときにうんと値上げをして負担をさせて行くかのどちらかなんです。それで今度負担されたものは、将来設備が拡充されて非常にうまく経営ができるというようになれば、むしろその時期に値下げをするということさえも可能であるし、今の公社経営というものは、国とは完全に経理の関係では独立いたしまして、余れば公社に全部保留できるというようになつておるのでありますから、その点は私は大きな問題点ではないのではないかというように考えておるわけであります。  それから考え方がかわつたのは、公社立場からかわつたのか、国の立場からかわつたのかということでありますが、公社考え方は、先ほども申しましたように、前国会のときからやはりかわつてはおらないので、なるべく値上げでもつてまかないたいということであつたようであります。それに対して国の立場は、あの当時は国鉄の料金の値上げやなんかといろいろ関連して考えて、ことに物価政策やなんかの面とも総合勘案いたしまして、公社考え方のようにそう大幅には上げられないということで、一応一割におちついておつたのが、その点今度国の立場としては、さつき申し上げました資金事情やなんかとからみ合せてかわつて来た、こういうことであります。
  61. 松井政吉

    ○松井(政)委員 これは特にお伺いしなければならないと思つたのは、経済上の変化もただいまの説明で一応なされたようであります。しかし預金部資金が非常に地方等に必要となつて公社にまわす分が少くなつたの一つの情勢の変化だとおつしやるようでありますが、それならば、この前の国会と今の国会と比べて、今国会になるまでの間の時期に、預金部資金を地方によけい使わなければならないような地方の経済状態の変化が一体どこにあつたかということを、一点お伺いしなければならぬ。それによつて政府から預金部資金を公社に出そうとするものが削られて、加入者の負担が増額して来た、こういうことの説明のようでありまするが、加入者の負担について、あとから負担するか、先に負担するかという考え方は、これは考え方の相違だと言われればそれまででありますが、われわれから見れば非常に考え方が違う。というのはわれわれは現在、戦後の電気通信企業が、経営上から見ても建設上から見ても、すべて完全無欠に復興されているとは考えないのです。従つて復興されたという考えの上に立てば、今料金をうんと値上げをして、経済上の変化が来たら下げればいいじやないか、あるいは五箇年計画が完成したら下げればいいじやないか、あとから負担するのも先に負担するのも同じだという考えが出て来る。しかしわれわれは復興建設、あるいは経営上から見ても、公社そのものは未完成だと考えますから、未完成である限り、公共性を持つ企業体に対しては、建設関係においても、経営上の問題においても、やはり国の力が加わつて、加入者だけに負担をかけないで、国の力が加わつて復興されたときに、初めて加入者の負担のみで正常なる経営が行い得る、こういう考え方の方が妥当であります。従つてわれわれは今の電気通信企業そのものが完全無欠な状態になつているとは考えない。大臣のお考え方からすれば、現在完全無欠になつているから、先に負担するのもあとで負担するのも同じだ、とりあえず今必要な建設資金あるいは改良資金は、先に加入者に負担させてもあとは楽になるのだということですが、この点は私と非常に考え方が違う。だからこの点に対する考え方を明らかにしてほしい。  それから第三点は、公社考え方はかわらないが、政府はかわつたというように端的にいえば受取れる。公社の方はかわる道理がない。公社を預かつている当局は、やはり四百六十何億かの建設勘定をもつて工事をやらなければ、要するに電信電話の復興も建設もサービスもできないという考え方の上に立つのですから、やはりいずれかのところから資金を持つて来なければならぬ。従つてその資金計画について政府考え方が違つて変動が起れば別でありますが、公社自体としては、やはり公社の使命を果すためには考え方がかわる道理はない。政府がかわつたということ以外にはない。政府がかわつたという考え方ならば、前大臣のときにかわらないで、今度塚田さんが郵政大臣になつてから考え方がかわつた、こういうことに解釈をきたなくとれば、私がこの前質問をしまして、依然として予算委員長塚田さんとしての考え方を踏襲なさるか、郵政大臣本来の姿にかえつて電気通信事業を盛り立てるか、そのいずれかと言つたところが、立場がかわれば考え方がかわりますから、郵政大臣としてやるということをあなたが言つたことが、速記録に明瞭に残つている。そうすれば、政府考え方がかわつたというのは、大臣がかわつたからかわつたとも受取られるが、そのかわり方というものは、公社立場から考えても、利用者の立場から考えても、けしからぬかわり方だと思うが、この点について明らかにしてほしい。
  62. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 なぜ地方に金がいるようになつたかということでありますが、これは若干は不成立予算を組みます場合の地方財政計画というものの見方に誤りがあつた面もありましようし、その後今度の災害でありますとかいう面もあつて、かなり地方も起債のわくを必要としたいという状態に今なつておる。これは現実の状態そのままを申し上げるわけでございます。ただしかしここでお断り申し上げておかなければならぬのは、あちらで必要になつたから、それでこつちが振りかえられたというようにお考えつたのでは困るのであつて、こちらはこちらだけで考えて、こういう考え方として持つて行く方が妥当だろう。その結果は、料金を引上げて国の資金が――国の資金といいましても、結局問題になりますのは主としてこれは預金部資金でありますが、預金部資金をはずせる状態になつたので、それがたまたま向うに必要が出ているのでまわつた、こういうふうにぜひ御了解願いたい。  それから将来うんと利益が上るようになつたら、値下げをすればいいじやないかというのは、私は値下げをすることを実現するという考え方で申し上げておるのではなくて、おそらく実際の将来の見通しとしまして、今後だんだんとゆとりができれば、ますます設備の改良、拡充ということになると思うのでありまして、現にこれは今公社考えており、政府がそれでよろしかろうと支持しております考え方は、五箇年の拡充計画でありますが、これを十箇年に延ばし、さらにますますもつと拡充、改良しなければならないと思うので、実際には値下げをするという形は出て来ないと思うのですが、考え方としてはそういうことも考えられるのではないか。どのみち考えましても、電信電話というものの設備がよくなるということは、主として現在の加入者とこれから入られる人の利益なんでありまして、従つてこれのために必要なものは、その人たちに背負つていただくということの方がむしろ正しい。そうかといつて、今まで大分遅れて来たものを一気にそうしようというときに、それを全部加入者に負担させるということはやはりできないと思うので、いずれも非常に困難な公募債券のわくの中から、七十五億はこれに向けなければならぬだろう、こういう考え方は持つておりますし、現に先ほど来非常に問題になつておりました国際電信電話株式の譲渡代金を、全部これにまたつぎ込むというような措置もいたしておるような状態なので、全然国がめんどうを見ないという考え方ではないのであります。国もめんどうを見て行く、加入者も応分の負担をして行く、しかもその応分の負担も、でき上つた先に一気に負担するということでなしに、今から負担をして行く。今から負担をするという理論的なものの考え方は、拡充されるに従つて、今の人たちが逐次やはり利益をよけい受けられるようになつて行かれるのだから、それでいいのじやないか、こういうように実はものを考えておるわけであります。そうしてそういうものの考え方は、予算委員長式のものの考え方だという御意見であるようでありますが、私といたしましては、私がそういうように考えるようになりましたのは、少くとも私が郵政大臣を拝命いたしたからそういう考え方になつたのである、こういうように自分としては考えておるわけであります。
  63. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それでは次にお伺いをしますが、ただいまの御説明を聞いておると、要するに民間会社であつて公共事業をやつておるものの見方立場で御答弁なさつているように聞える。御承知のように、これは公社でございます。民間株式会社ではございません。従つて公社というものの性質と、公社というものの経営形態から考えると、いわゆる加入者だけが負担すればよろしい、あるいは国も多少負担する、こう言われますが、日本にはいろいろの公社があります。専売公社もあれば、国有鉄道も公社です。それからかわつた公社としては放送協会もある。それから電電公社もある。しかし公社そのものの経営形態というものは、やはり公共性を失つてはならぬということなんです。同時にやはり民間のいいところを、国有国営と違つて取入れなければならない。という場所は、能率を上げなければならないということと、資金繰りがゆたかになるということ、この資金繰りがゆたかになるというのは、民間会社でなくて公社であるから、建設等の費用は国の助けも受けられる、さらに社債等の公募もできる、あるいは利用者に対する負担もできる。これは民間会社ならば、そう簡単に国はめんどうを見ることができない。国有国営ならば、社債とかでなくて、建設その他はやはり国が中心に見なければならない。そのまん中を行つて、あらゆる場面から資金の獲得ができるというのが、公社の性質だと私は思う。それと能率を上げるということ、しかし公社である限り、国民全体を利用の対象とすべき独占企業であることは間違いない。従つて独占企業である限り、要するに公社というものの性格である公共性というものは守らなければならぬ。こういう立場から考えれば、公共性を持つものであつて民間企業であるものの考え方と、今の公社というものの立場に立つた考え方と、大臣の考え方は、ちよつと混同しているような気がいたしますが、混同していないとすれば、たとえば民間会社において公共的な仕事をやつている交通事業、あるいは電力関係のものと、現在の電電公社経営形態、それに対する国の考え方立場というものは、どのように区別をして行くべきかという点をひとつ明らかにしていただきたい。
  64. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは一般的に公社のものの考え方につきましては、松井委員と私も同じ考え方であつて、おそらく違つていないと思います。ただ幾つか現在あります公社の中でも、やはり少しずつにおいが違うのじやないか、この点は電信電話が公社になりましたときに、電信電話の公社のあり方が、今までの日本の持つておる他の公社のあり方とよほど違いまして、かなり独立採算制の民間企業に近い色彩が出て来たのに対して、この間も私申し上げましたかもわかりませんが、従来の公社のあり方をくずすからというので、かなり強く反対したことを記憶しておる。しかし実際に今度自分が担当してみるようになつて、なるほど皆さん方がこういう考え方で電信電話公社の場合に強く主張されたのには、理由があつたのだと今感じておるわけであります。他の公社、ことに国鉄や何かの公社と――専売は非常に別の目的を持つておりますから別ですが、国鉄なんかの公社と違いますのは、やはり利用者が非常に大衆全般にわたるか、そうでないかというところに私はあると思うのであります。もちろん国民全体の利用するというものではありますけれども、国鉄などに対する国民の利用の仕方と、電信電話に対する利用、ことに電話の利用の仕方――電話は一応加入しておる者でなければ、百パーセントに利用できない、こういうふうな状態考えてみますと、やはりそこに違つたものが出て来ていいのじやないか、そういう考え方、そこでそういう考え方からすると、私は電信電話公社の場合は比較的に、公社ではありながら、民間企業に近い形のものであるべきであるというように考えておることは間違いないのであります。その考え方から出て参りますのが、私の先ほど申し上げましたこの公社の資金は、やはり相当加入者が負担をされる、もちろん国も全然めんどう見ないという考え方ではありません。そこで国がやはりめんどう見ておりますことは、これは公社に移管をいたしますとき、あれだけ大きな財産を無償で公社に渡しておるのであります。そうして公社自体には、民間会社とは違いまして、税金負担なども何もかかつておりません。少くとも相当程度の、また公社としての特質から、国としていろいろなめんどうは、電信電話の公社の場合は見ておるわけであります。その程度の行き方で行く方が、電信電話の公社の場合としては、一番正しい行き方である、こういうふうに考えているわけでございます。
  65. 松井政吉

    ○松井(政)委員 そういうものの考え方から割出したのが、今回の値上げでありますか。
  66. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その通りでございます。
  67. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それでは次に大臣にお伺いしますが、今度の値上げについて、利用者の方ではどのようにこの値上げについて輿論を起しておるか、輿論化している声はどのような声になつておるか、これを御存じでございますか。
  68. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは値上げに対するいろいろな反対論を検討いたしておるわけでありますが、一つはやはり全体として、漠然とした感じで、値上げというものに対する反対があるのであります。これは安い方が高いよりいいのでありますから、何でも値上げするということになれば、反対されるということ、もう一つは、国の経済政策の一環として、国が低物価政策をとつておるにかかわらず、電信電話を上げるということは適当でないのじやないかというのが一つあると思います。もう一つ、痛烈な叫びとして出て参つておりますところの反対論は、今度の値上げによりまして非常に大きな負担増加になる人たちにこの声があると思うのでりあます。  私は国策の立場からしての反対論は、今度の値上げが、国の持つておりますそういうものにどのくらい、どういうぐあいに響くかということを考えておりますが、正確な計数的な整理はできないのでありますが、そう大きな影響はないのじやないか。考え方としては反対があつても、その考え方を取入れて、今度の値上げを一割程度にとめておかなければならないほど重要なものじやないのじやないかというような考え方をいたしておるのであります。それから個々の負担が非常に急激にふえるという人たちの反対の立場というものは、考える必要があると考えております。しかしこれも先ほど申し上げましたように、その利用によつて利益を受けられるという観点からすると、御負担願つでもいいのじやないかという考えでありますが、しかしそうはかりに考えましても、急激に、去年は一億の電話料の負担だつたのが、ことしは二億というようにかりになるとすると、これはたいへんだ、そういうふうに急激にふえる人たちの立場については、急激な経済変動を個々の企業に与えないという意味において、これは何がしか考えなければならぬのじやないかということを考えております。その点につきましては、この料率の内部のところで若干考える余地があるのじやないかと考えておるということは、先ほど来申し上げた通りでありまして、これは皆さん方の御意向も伺つて考え直す点があれば考え直したい、こういうふうに考えております。
  69. 松井政吉

    ○松井(政)委員 そうしますともう一点、この値上げの問題についてこれは重要なことですからお伺いいたしたい。これは前国会は一割で、利用者の方から何も言つて来ない。陳情書一つ来ない。今度の場合はものすごい。ほとんど輿論というような形で、大臣のところへも毎日押しかけているのじやないかと思われますが、そういうような形が出ておるのです。これは利用者だけではなくして、情勢の変化という形で表現をされましたけれども、利用者の側には経済上の情勢の変化はないのに、前国会に出された案よりもものすごい負担が加重されて、とにかく電話を持つておることも不可能な業者が、業種別にあるというところに問題があるのです。そういうことの認識までして原案をあなたの方ではつくられたのであるか。この原案策定のときの考え方と、今たびたび皆さん方の御意見で……とほのめかしておりますが、その現在の考え方との相違は、一体情勢の認識の誤りであつたと思うが、そうではなかつたのであるかどうか。認識の誤りであつたか、そうでなかつたか、この点をひとつ聞かしていただきたい。
  70. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 どういうことになりますか、何か今度の値上げでもつて、電話を持つて商売できないというような人たちができておるというような御意見でありますが、私はそういうような状態はないのじやないか。ただ非常に特殊の業態におきましては、急激な負担のふえ方があるから、それは何らか措置をしたならば、それで何とかやつて行けるのじやないか、こういうふうに考えておるのでありますが、そのほかに何か特に考えなければならぬという点はございますでしようか。
  71. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それでは次に質問しようと思うのから入りましよう。そうすればはつきりしますから……。あなたは先ほど同僚議員への説明のときに、今度の値上げの内容については多少の不均衡はあるようだ。それは皆様方の御意見で……、こう言う。ただいまは、皆様方の意見を考えながら、内容については多少やはり検討しなければならぬとおつしやつておる。それならば、大げさに言えば国会の意思といいますか、そういうところで本法律案の値上げの内容についての修正が行われてもいいという、ものの考え方をお持ちであるかどうか、これを先にお伺いします。そうすればただいまの質問は次にいたしますから……。
  72. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはもちろん今のところ、料金の表を法律の中に織り込んで出しました場合におきましては、政府としては一応ものの考え方として、こういう考え方でいいじやないかというように考えて出したことは間違いないのでありますが、しかしその後いろいろな各方面の御意向を伺つてみると、やはりこれは考え直さなければならない点があるかもしれないという感じを持つておりますので、それが修正という形になつて出て参りますならば、当然皆さん方の御意見が修正案としてまとまつて出て来るものをお伺いした上で、これは考えてみよう、こういうように思つておるわけでございます。
  73. 松井政吉

    ○松井(政)委員 これを提出をされたときには、これは今の情勢から見て、政府考え方から見て、公社がやはり経営自身の上に立つて、この内容を持つ値上げが妥当として提出されたものと思います。そのときの考え方と、多少考慮しなければならないという考え方の変化は、一体どこにあるかということを聞いておるのです。
  74. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは先ほどから申し上げましたように、非常に多数利用なさるものが急激に負担を増加されるということは、なるほど耐えがたかろう。ことに今日のように経済状態が非常に不況と申しますか、あまりいい景気でないというときには、そういう意味においてこれはそういう人たちの立場は若干考えなくちやならぬじやないか、こういうように思います。
  75. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それでは法案策定のときには急激に加入者の負担が増加するということは計算しないでつくつたということの解釈でよろしゆうございますか。
  76. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 先ほど申し上げましたように、あのときにはむしろ利用される価値というものを考えたのです。非常に問題になりますのは、結局度数料五円が十円で、これは二割五分の値上げと申しましても、この面では一〇〇%の値上げです。しかし利用される方の利用価値からすれば、この辺はあたりまえじやないかというように考えたのでありますが、その後いろいろな反対意見も伺つてみて、今申し上げますようにこの点は考え直さなくちやならぬというように考えておるのであります。
  77. 松井政吉

    ○松井(政)委員 いい意味にかわることはいつ、でもかわつていただきたいので、われわれは歓迎するところであります。そこでもう一つかわり方について問題にするのですが、かりに国会の意思というとまた大げさになりますけれども、とにかく出された法律案の修正等の自由は立法府の立場であります。修正されたものについて行政を執行するのがあなた方の立場でありまして、どういう修正をするかということはわれわれの自由であります。それについては大臣にお伺いする方が無理でありますからお伺いしませんが、かりに修正をされたとして、公社の建設勘定、設備改良勘定等の変動なくして経営をやろうとすれば、値上率に対する修正が行われれば、いずれかのところから、行われた差額に対する補給をしなければならぬことになります。その場合に政府は、一般会計なりあるいは預金部資金から、公社に対して建設資金の援助をするところまで考え方がおかわりになつておるかどうか、これをお伺いします。
  78. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その点はそのようにまでは考え方がかわつておらないのでありまして、多少これを利用者の立場考えるならば、それはどこか別な面で御負担を願うくふうがあるのじやないか。そして総体の収入を確保したい。つまり二割五分程度の増収を何とかして確保したい、そういうような考え方になつておるわけであります。
  79. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それでは立法技術の点でお伺いしますが、公衆電気通信法の別表だけで、かくのごとき加入者負担をきめることが、法律として正しいと思われるかどうか、それをお伺いいたします。
  80. 成田知巳

    成田委員長 松井委員政府委員が答えるそうですが、よろしゆうございますか。
  81. 松井政吉

    ○松井(政)委員 いや、大臣から……。(塚田国務大臣「政府委員から聞いて下さい。」と呼ぶ)いかぬです。少くともこの提出の責任者は大臣です。責任者が答えないのはいかぬですよ。この中に三つの要素が盛られているのです。
  82. 成田知巳

    成田委員長 塚田郵政大臣に申し上げます。松井委員の御発言、ごもつともであります。一応まず大臣から御答弁を願います。
  83. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 どうもただいま政府委員から説明を聞いておりますのと、松井委員の御質問と、私の頭の中でつながらないのですが、どういうことをお尋ねになつておるのですか、もう一度……。
  84. 松井政吉

    ○松井(政)委員 あなたはこれを提出した責任者であるかないか、それを先にお伺いします。
  85. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはもう間違いなく私が責任者であります。
  86. 松井政吉

    ○松井(政)委員 責任者であるならば、要するにこれだけの加入者に負担をさせる料金等の問題を、公衆電気通信法なる名前の法律案の一番最後の附則別表できめることが、立法技術として正しいと思われて出されたのであるかどうかを聞いておる。
  87. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 この法律は、結局電信電話に関係しこのいろいろな問題を全部取り込んでおるという考え方でやつておりますので、料金も、当然電信電話が国民に対してサービスをする場合、その一環になつておるものですから、これはこの中に入れてさしつかえないというふうに考えております。
  88. 松井政吉

    ○松井(政)委員 前回私がこの法律案の内容について質問をしたときに、大臣は、なるほど公社法に基いて公社の運営を規定する公衆電気通信法の前段の部分、国際電電会社に対する必要欠くべからざる運営上の規定のこの前段、さらに民法上から行けば、所有権、専有権、保存権の財産権に及ぼすPBXの問題、それとさらに逃げ賃に別表として料金表をつけてこの法律を通そうとする、こういう立法政策はぐあいが悪いじやないか、考える余地はないかと言つたときに、大臣は、ごもつともだから十分考慮しようと答弁した。答弁したあとで、橋本君にえらい怒られている様子を私は見たのであります。橋本君はそんな答弁をなぜするのだといつて、えらい怒つていたように記憶する。これは直接聞いたのではないからわかりません。大臣は、前には少くとも研究しようということになつていたが、研究した結果やはりこういう形で行く方が、法律として正しいと認めたのであるかどうか。これはずいぶん不合理な法律です。かりに私の方から説明させれば、加入者に負担させるのは、ただいまの別表にきめられている料金だけでございません。もろもろの負担をさせるのです。新しく加入者になつたがゆえにもろもろの負担がかかるわけです。債券あるいは工事費、そういうものを加入者にのみ負担させるために、単行法として立法化しておくことが、将来改正したりあるいは修正の必要を感じたときに当局としてよいではないかと説明したときに、大体認めておる。それをまたこういう形で出されておる。何べん言つてもこれが正しいとお考えになるのかどうか。前のときには妥当だから研究しますと大臣は答えたのです。一体大臣のただいまの心境というものはいかなるものかお伺いしたい。
  89. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 前回お尋ねのときには、一応検討してみますと申し上げたことはまさに御指摘通りでありまして、その後詳細な検討をしてみましたら、これでさしつかえないのじやないか、こういうように考えて、結局この提出の方式におちついたわけであります。なお橋本委員からいろいろのあれがあつたという御指摘がありますが、さようなことは絶対にございませんで、私が十分検討いたした結果そういう判断におちついた、このように御了解願いたいと存じます。
  90. 松井政吉

    ○松井(政)委員 橋本委員の話は速記録にございませんから証拠がございません。これはないと言われればそれまでの話です。それからただいま検討をした結果といいますが、大臣はずいぶん国会には古い方であります。しかもあなたは経済政策については有名な方であります。従つて法律技術についてもわれわれより先輩のはずです。こういう三つの異なる、全然水と油のようなものをまとめた法律が正しいと思われますかどうか、もう一ぺん念のために聞いておきたい。ぼくらもこれから大臣の年数国会へ出て仕事をしようと思つておりますから、先輩からよく意見を聞いておかなければならないと思いますので……。
  91. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはまあ私は、松井委員のようなお考えも確かに考え方としてはあると思います。しかし絶対にそういう考え方でなければならないというほどの問題ではないと考えておりますので、考え方によつてはこういうような形でものを解決してもいいのではないか、そういうふうに考えておるわけであります。
  92. 松井政吉

    ○松井(政)委員 委員長にお伺いしますが、きようは何時までおやりになるのですか。
  93. 成田知巳

    成田委員長 お願いしたいのですが、きよう文化放送を見学に行くことになつておりますので、でき得れば質問は後日にひとつ延ばしていただきたいと思います。
  94. 松井政吉

    ○松井(政)委員 それでは私は大臣への質問を打切るよりしかたがないのですが、予算総則に対する見解を次の機会に大臣にお伺いしたいと思います。これはあらかじめ申し上げおきます。それでは私も通知をいただいておりますから、お伺いしたいと思いますので、私の質問はきようはこれでやめます。次会に譲ります。
  95. 成田知巳

    成田委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後四時七分散会