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1953-07-01 第16回国会 衆議院 電気通信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月一日(水曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君    理事 岩川 與助君 理事 塩原時三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 小泉 純也君    理事 原   茂君       菊池 義郎君    庄司 一郎君       玉置 信一君    齋藤 憲三君       上林與市郎君    松井 政吉君       三輪 壽壯君  委員外出席者         参  考  人         (全国電気通信         労働組合中央副         執行委員長)  石川 辰正君         参  考  人         (公益事業学会         事務局長明大講         師)      北  久一君         参  考  人         (東京商工会議         所商業部副部会         長)      樋口 裕人君         参  考  人         (東京私設電話         連合会理事)  三島 一郎君         参  考  人         (電話工事協会         副会長)    横山誠太郎君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 本日の会議に付した事件  公衆電気通信法案内閣提出第九一号)  有線電気通信法案内閣提出第九二号)  有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案(  内閣提出第九三号)     —————————————
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまから開会いたします。  前会に引続き公衆電気通信法案有線電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案の三法案について、参考人方々より御意見伺います。  参考人方々に一言申し上げます。本日は御多用中にもかかわらず御出席くださいまして、厚く御礼申し上げます。申すまでもありませんが、ただいま本委員会で審査いたしております電気通信関係法案は、公衆電気通信業務に関する基本法でありまして、また有線電気通信の規律、監督規定であります。ことに今回は電信電話料金値上げ案及びPBX工事施工形態問題等を含んでおります。本委員会はこれら一般的関心を有しております重要法案について慎重に審査いたしておりますが、この際国民の世論を反映せしめんがために、皆様方の御出席を煩わした次第であります。参考人各位におかれましては、あらゆる角度から忌憚のない御意見を御発表くださるようお願いいたします。御発言はお一人二十分程度といたしまして、御発言の順序はかつてながら委員長におまかせ願いたいと存じます。なお御意見の発表の後、委員から質疑があると思いますから、お答えもお願いしたいと思います。それではまず北久一君にお願いいたします。
  3. 北久一

    北参考人 私は明治大学の商学部と東京都立大学の人文学部の経済の学生に公益事業の講義を担当いたしておるものであります。本日ここに呼び出されましたのは、おそらく公益事業専門科目を担当している者に対してこの法案意見を聞きたい、さような趣旨と考えまして、できるだけ純理的な立場から、なおまた法案の具体的な問題点につきまして私の意見を申し上げたいと思う次第であります。この公衆電気通信法案なるものを拝見いたしまして、まず第一に私の目にとまつた箇所は、第五章料金でございます。第五章料金、(料金決定)と相なつております。これは四十五ページ、六十八条でございますが、この規定によりますと、要するに電信電話料金というものを、一つ別表を設けまして、そこに料金種別を示し、そしてそれに対しましての料金額というものを持定してお山わけであります。この法律議会において審議され、可決されますと、この料金制度適用を見ることになるのでありますが、そこに何ら料金決定原則というものが法律の上に示されていないのであります。これは公益事業料金運賃をきめます法律として幾分不備な点ではなかろうか、かように存する次第であります。なおこの別表検討にただちに移つて行きたいと思うのでありますが、それに先だちまして、公益事業料金運賃決定原則につきまして、ごく簡単に圧縮して申し上げ、それからこの別表検討に移りたいと存ずる次第であります。  独占公益事業におきまする価格形成、値段のきめ方と申しますものは、申すまでもなく一般競争的産業市場価格決定ということとまつたく趣を異にしている面がございますので、これは申し上げるまでもなく、公益事業独占企業として組織されることが社会的に容認されております。これはその事業に固有な財産の性質から生じて来ますところの自然的独占の結果、さようなことになつておるのでありまして、現在の経済社会制度的基礎というものは競争の上に立つておるわけでありますが、あえて独占禁止法適用除外を認めまして、そこに独占形成ということが社会的に認容される。従いましてこの独占企業体価格決定プライシングというものは、もし一般競争的企業の場所におけると同じ原理に従いまして決定されるということになります、これは申し上げるまでもなく、独占価格水準にまで価格が上つて行くという危険性多分にございますので、この独占価格の実現を否定する一つ料金原則というものを立てまして、そこでこの企業体プライシングを外部的な力を加えて縛るということが必要になつて来るわけであります。これすなわち適正料金原則と申しまして、需要者側から見まして、その公益事業の提供いたしますサービスが十分それに値するものであるか、それからそのサービスの提供に要しますところのコスト原価費用というものが十分それを補償することを得るものであるかという一点において、適正料金というものは決定を見る。すなわちこの公益事業料金決定は、レート・メーキングと申しまして、人為的は価格作成過程でございます。従いまして法律の上はこの価格作成手続、方法についてある程度原則を示すということは、当然あつてしかるべきものではないかと思うのでございますが、この公衆電気通信法案によりますと、さようなことは何らなされていない。それでこれは料金額別表主義という一つ方式になつておる。しかしながらかくのごとき料金額別表主義というようなやり方は、電話事業電信事業政府事業から切り離されまして、政府会社として一つ企業体として編成された今日におきましては、これは需要者国民公衆に対しましてまことに不親切なやり方であると思うのであります。もちろん議会決定を見るわけでございますから、少くともその線に沿うては妥当な、手落ちはないわけでございますけれども、しかしながら料金決定という機能は、これはあえて申しますならば、立法的な行為ではないのでありまして、行政的な行為なのであります。従いまして、たとい議会においてこの料金水準決定に相なるということにいたしましても、そこに料金決定原則というものを一応明示するということが、進歩した公益事業法建前ではなかろうかと存ずる次第であります。御参考までに申し上げますならば、電気料金ガス料金の方では、この原則法律の上にうたつております。  そこで次に別表検討に移つて行きたいと思うのでございますが、私的株式会社国家独占政府会社の場合において、若干その料金決定原則の上において差異が認められると思うのであります。まず第一に国家独占政府会社におきましては、原始的投資がございまして、その基礎の上に企業組織されまして、公共福祉というものとの間に調和をとつて行くという建前になつております。そうして国家財政との連関を生ずるというところに、私的株式会社によりますところの公益事業組織との差異があると認められるのでございまして、先ほど申しましたレート・メーキング原則は、普通の私的株式会社に対しましての料金原則といたしましては、減価償却、税金を含めました広義の営業費、オペレーテイング、コスト、それから事業財産公正価値に対しましての公正報酬フエアリターン、この総原価を補償するところの総収益基礎にして料金決定する、これが原則になつております。すなわち総事業財産公正価値に対しましての公正報酬ということが、公益事業料金運賃決定基礎一つの重要な部分になるわけでありますが、原始的投資を国に求めてその上に組織されております政府会社、特に国家独占電信電話公社のごときものにおきましては、ただちにもつてこの原則をそのまま機械的にアプライすることはできないということが多分に認められるのであります。しかしながらとにかく一つ原則的な事項として、さようなプロセスはこの電信電話公社の場合におきましても何ら例外をなすものではないと思うのでありますが、しかしながら今度の料金変更の理由となつております五箇年間の建設計画というものとにらみ合せて、今申し上げました料金原則というものとのつながりを示し、そうして問題点を指摘して私の意見を述べたい、かく思うわけでございます。  今度の附表を見ますと、従来の電信電話料金に対しまして二割五分の値上率を示しております。公社当局からいろいろ出されております資料によつて拝見しますと、その中の相当部分をもつて五年間の収支差額建設繰入れに向ける、すなわち七百億の収支差額を生ぜしめ、それを建設に繰入れる、かくのごとく相つておるわけであります。この点につきましてはいろいろ新聞紙上に出ておりますが、一般競争的企業におきましての価案原則ということから申しますと、これは市場価案として決定いたすものでありますので、やろうと思つても、かくのごとき不都合なことはできないのでございますが、公益事業は、国家機構独占企業、あるいは国家企業でなくても、地域独占になつておりますので、料金収益をもつてある程度建設資金をまかなうということは、これを一般競争的企業の場合の原則に照し合せまして全般的に否定するということは、必ずしも妥当とはいえない面があるのでごいざます。たとえばアメリカ私的公共事業会社におきましての内部金融がどういう動きをたどつておるかということを照し合せてみますと、アメリカ公益事業に属します諸産業、なかんずく電気事業でございますが、証券金融から内部金融に移りつつある形勢が認められるのであります。そしてこれが社会公共福祉にもマッチするというところから、レバラトリー・ボデイ、公益事業委員会方式にもそれが若干取入れられておる。これはアメリカ経済成熟期に入りまして、企業が十分に成長して力を持つて来た。そこから価値の余剰を生み出して来まして、それで自己資金をまかなつて行くということが出て来ておるわけでございます。これは高度に発達したアメリカ資本主義の成熟した姿なのでありましようが、それがどういうことになつておるかと申しますと、一九三〇年代以降におきまして、証券金融から内部金融公共事業会社資金繰りが移つて来ている。多くの公共事業会社におきましては、利益金から新規建設をまかなつておるのであります。たとえば一九四一年にメトロポリタン・エジソン会社は、純益の六〇%以上のものを留保いたしまして、普通株の配当をしていない。それから一九三四年から四二年までの八年間に、アメリカの全電気事業が調達いたしました三十二億ドルのうち八二%は、引当金と未処分金、すなわち当座金からなつておりまして、一八%が増資または社債の発行によつてまかなわれておる。従いましてアメリカ私的公共事業会社におきましては、建設資金相当のパーセンテージは、その事業自体が生み出す力に相当の要素を求めておるわけであります。  さてわが国の公社の場合でございますが、はたしてアメリカの強大なる私的株式会社のたどつておる過程が、そのままアプライされるかどうかということになりますと疑問でございますが、しかしながら一般競争的企業財務原理を、そのまま公社建設その他営業の実際にただちに機械的にアプライすることはできないものであるということは、このアメリカ実情によつて示されると思うのです。なお今私の申し上げましたアメリカの事情は、つい先ごろダイヤモンド社から出ましたアメリカメリーランド大学教授クレメンズ公益事業経営論という本の百九十一ページに詳細に出ております。  しかしながら日本電信電話国家機構独占政府会社財務実情を見ます場合に、こういう点は十分に注意を要するところでありまして、そこに若干のものを自己資金をもつてまかなうという過程はとられてさしつかえない。これはひいては国家公衆福祉に関連することでもございますので、一般競争的企業原理をアプライいたしまして、これをむげに非難攻撃すべきものではないと私は考えます。しかしながら、そこに非常に大きな限界線があることはもちろんであります。野放図にさようなことをやられましては、これは大きな間違いでございまして、きわめて限界づけられておる。そうしてこの日本電話事業自体は、相当力を持つておると私は見ておる。アメリカ電気会社先ほど申しましたコンソリデーテツト・エジソン会社に比肩し得るところの経済力を持つておると思う。この公社の力に電話事業の打開を求めるということは、私は国家公衆福祉の点から見まして、必ずしも否定できない。  そこでその限界点が問題になるわけでございますが、この二割五分の引上げのうち、どの程度までが妥当性が認められる部分であるかということになりますと、衆議院から資料を送つて来てからまだ間もないことでございますから、そこまではとうてい分析が及ばないのでございますが、ざつと申し上げますと、電信電話公社財産フェアヴアリユーに対しまして、フェアリターンを与えるということが一つ限界のめどでございます。そうしてこの電信電話公社財産価値がどれだけあるか、この評価はなかなか困難であると思うのでございますが、しかし創立以来営々としてやつて来られました電信電話公社財産の値打というものは、おそらく相当なものであろうと考える次第であります。  なぜさように断するかと申しますに、電話料金は現在の物価水準の半分のところにあります。それで大体経営が行つておる。電気もしかり、国鉄もしかりであります。しかるに石炭なり、鉄鋼なり、セメントなりは、戦後のインフレーシヨンに調子を合せまして、売買はどんどんスライドして行きまして、もうすでに三百倍ないし四百倍の高い物価水準のところに行つておる。しかるに公益事業運賃料金だけは、低いものは百倍、高いものは二百倍、平均して百五十倍、すなわち一般物価水準の半分のところに現在釘づけになつておる。経済復興のノルマルの経済均衡への自己運動とも見らるべき料金改訂運動が、電気においても、ガスにおいても、水道においてもすでに起つておる。その場合に対しまして、今ごろになつて料金値上げとは何事であるかと押えるわけでございますが、なぜかくのごとき現象が公益事業限つてつておるか。過去に建設をされ財産が存在しておるからであります。その財産の上に、悪い言葉で申しまれすば、財産を食いつぶして低料金、低運賃に耐えておると私は見るわけであります。従いまして電信電話公社の具塩的な場合にこれをアプライしてみますと、現在一般物価水準の半分のところでどうにかこうにか営業が立つておるということは、これは相当財産価値がその裏づけとしてある。そうしてこの財産価値を正当に評価いたしまして、その上にフェアリターンをつけるということになれば、これを徹底的にやりますれば、現在の一般物価水準の三百倍ないし三百五十倍というところに行つてしまう。しかしながら一挙にさようなことはもちろん許さるべきことではないのであります。しかしながら一応の自己資本調達力限界線は、公正価値のマージンにおいて決定されておる。そこまでは一つのマージとして認められると考える次第でございます。しかしながらとにかく料金原則というものは、何らこの法律の上に示されておらず、そして私の今申し上げましたことも、きわめて抽象的な論拠からさように申しておるだけでございますので、私としましては、永久にこの料金附表をアプライされて行つたのでは困るという結論が出るわけであります。それでこの二割五分の料金引上げされたものに相当収支差益を生じ、それを建設費に繰入れるということをうたつております以上、とにかくこれは永久料金表ではございません。それで建設計画五箇年間に限つてこの料金表を認める。いろいろこのこまかい建設検討とか、それから資金調達の可能力検討ということは、とうてい時間がございませんからさようなことはやめまして、とにかくもうこれよりほかに財源を求めるところがないというところに来ておるものらしい。しからばこの時間を切りまして昭和三十二年度の末までと切つて、この料金表を認める。それから昭和三十二年末に料金改訂を行うということを但書としてぜひひとつうたつていただきたい、かく考える次第でございます。  それからもう一つ申し上げておかなければならぬことは、この公社会計に対しましての監査機構でございます。かくのごとく大きな資金独占企業たる公社に付与することになりますと、これが資本的支出にまわされないで、営業的費用、損益の計算にこれが流用されるということに相なりますると、これは世を欺くことになるわけであります。厳正なる会計手続によりまして、これは常に資本勘定において処理されなくちやいけない。会計的に見ますと、さような監査機構というものを、外部から公社に向つて加えるということがどうしても必要なのでありまして、公社経営者方々を決して信用していないわけではないのでございますが、しかしながらこの公的な機関と申しまするのは、さような対人的な信用だけではだめなんでございまして、どうしてもこの公社会計に対しましての一つ監査機構を設けておく。そうして常時その資金の使途を監視するという行政的処置をひとつ講じてもらいたい。  それから先ほども申しました料金決定原則を法文の上に明示しておく。すなわち私の意見といたしましては、過渡的措置として五箇年計画建設期間の終了する昭和三十二年度末までの料金として、五箇年の期限付で容認さるべきものである。三十二年度末に改訂する。第二は会計監査機構を樹立する。第三に料金決定原則法律に盛ること、この三点を条件といたしまして、私はこの料金改訂またやむなしという意見を申し上げまして、御参考に供したいと思う次第でございます。
  4. 成田知巳

    成田委員長 北参考人はお急ぎのようでございますから、北君に御質疑あればこれを許します。松井政吉君。
  5. 松井政吉

    松井(政)委員 ちよつと北さんにお伺いをしたいのですが、お急ぎのようでございますから、きわめて要点だけをお伺いをいたします。  北さんは五箇年間を限つてこの料金やむなしという結論のようであります。ところが問題になる点は、公社組織とそれから独占企業料金原則については、われわれ非常に同意をする点がございますが、五箇年間を切つて料金値上げをするということになりますと、ちよつとお伺いをしたい気持になります。というのは、今度の料金値上げの中でわれわれ一番重要だと考えるのは、加入者負担をさしたもので、設備改良並びに建設をまかなおうとしておるということであります。そうしてこれは御承知のように、前年度において要するに政府から百三十五億円を建設資金として借入れをいたしております。今度は、本年度の予算の中では、前国会には四十億円、政府から出資がなされておつた今国会にはゼロになつております。ゼロになつておりますが、いわゆる従来から借り入れた金に対する利子並びに返還はしなければならない。その分まで料金にはね返つて来る。従つて五年間を切つて加入者負担をさしたもので建設をしようという御意見一つの理論としてはあろうといますが、われわれはやはり日本経済力と、会社経済力、公益的な独占企業であるという点から考えれば、五年間の間の建設加入者負担もしてもらうが、少くとも政府責任において建設しなければならない。国家責任において建設しなければならない。そうなつて来れば、加入者のみに負担をさして建設改良をしないで、政府が当然一定期間だけ長期低利による建設資金を出すべきだと考える、こういう考え方を持つものでありますが、この考え方についていかようなる御解釈をなさいますか、お伺いしたいと思います。
  6. 北久一

    北参考人 資金計画を拝見いたしますと、加入者受益引受債券というものを持たす、設備負担金をさせるということにいたしておる。これは建設された将来の加入者からとるのでございますけれども、二百四十億と百八十億、合せて四百億ほどのものを将来の加入者からとるわけであります。現在の加入者から取上げるものは、この収支差額建設繰入れ七百億というものをとる。すなわち七百対四百というかつこうになつております。それからこの公債政府借入金は四百五十億を予定しておられる。これは少いという感じは私も同様に持ちます。この政府借入れ公債でございますが、市中におきましても電信電話公社がこういう社債を発行される。そしてこの割込みをやられるということは、現在の日本資本市場の実力におきましてなかなか無理である。現在電気事業会社は九社でもつて年に百二十億を発行しておる。これがぎりぎりでございます。それでこの約三倍のものが現在の資本市場能力であると推定されるのでございますが、すなわち三百六十億から四百億まで。そこで年々百億以上のものがそこへ出かけて行つて新たに資金の獲得をするということは、なかなか無理である。従いましてこの政府借入金というところに一つの突破口があるわけでございますが、これが出ればこれに越したことはございません。これが出れば、政府財政投資によりまして電話事業建設を行う、まかなうということが出れば、これに越したことはございません。しかしながら電源開発株式会社に対しまして、政府資金を出すという場合と、また意味を若干異にいたしますのは、電話というものは公益事業でございますが、これはおもに事業用電話需要というものが中心をなしておる。従いまして国民全般需要者を普遍的に網羅するという点におきましては、やや限定される一面がございますので、国家財政資金をもつて全的にこれをまかなうべきものであるということは、私は言えないと思うのでございます。従いましてその相当部分政府負担すべきである。それから公社経営努力によりまして、長期資本市場において調達するというのを努力をいたされることはもちろんでございますが、なおこの将来の加入者負担、すなわち設備負担加入者受益引受債券というものと、それから現在の加入者負担されるもの——これはりくつとして合わない点もございますが、アメリカやイギリスの公益事業教科書日本に出ておりませんので困るのでありますが、外国の大学公益事業教科書におきましては、電話事業特殊性といたしまして、電話というものは、この加入者が参加することによつてその電話ヴアリユーがふえるものであるということをどの本もうたつております。すなわち特殊性があるのであります。普通のガスや、電気や、水道におきましては、需要者に転嫁される。すでに入つておる加入者にとつては何ら関係はないのでありますが、電話は、ミユーチアル、コミユニケーシヨン、相互通話でございますので、加入者がふえなければ電話加入がふえないということでありますので、新しい需要者が追加されるということは、電話ヴアリユーがそれだけ増すことであるということを、どの教科書もうたつておる。従いまして現在の加入者が将来の建設費を若干負担されるということは、電話例用価値の面だけから見ますと、それほど矛盾は認められない。しかしできるだけ最小限度にとどむべきものであることは言うまでもないと存じます。
  7. 松井政吉

    松井(政)委員 もう一点だけお尋ねしおきますが、今五年間を切つてただいまのようなべらぼうな値上げをして、五年間たつたら、今度はサービス本位に料金を安くするというような裏づけのような御意見をお伺いしたのでありまするが、逆にこういうことはございませんでしようか。かりに日本国家財政投資を、あらゆる公益事業にいたすだけのことができないという経済力であれば、国民経済力もまた厖大なる値上げに負担ができないということは、並行的なものだと思うのです。そこで問題が起つて参りますのは、要するにこの五箇年計画を達成するためには、政府投資は五箇年の最初の年においては百億出すが、六年目には政府投資はゼロになつてしまう。そこではたして正常なる平均化された加入者料金負担で、公社経営も、それから以後も、設備改良も、建設もできる、それまでは国の力で見なければならぬ。国の力で見る場合は、ただいま公社に一番痛い点は、容赦千万なく、国の貸出しをした金に対する返還を迫られる。それならば借りない方がよろしい。それならば加入者のみに負担させた方が、公社経済がよろしいというところに一番大きな難点がある。これを解決しなければならないのであつて、やはり国自体が独占企業であり、公益性を持つものの建設設備改良と、それから国民負担させるものの度合いを経済力で判断すれば、北参考人の御意見と逆説のように、最初政府はこれだけ出す。しかし五年間にそれだけの建設をやれ、六年目からは政府の費出しはなくなる。従つてその時期になれば料金も適正化されたもので経営設備が可能になる、こういう建設計画というものはないわけはないと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  8. 北久一

    北参考人 先ほど申し上げましたように、独占公益事業経営一つの特性といたしまして、需要に対してサービス即応原則と申しますか、需要者が申し込んで来たときに、それにすぐ応じなければならぬという原則がございます。この原則が将来のある一定の期間にまで延長されて、そこに建設予定計画というものがその企業体に対して要請されるわけでございます。従いましてどうしても企業体というものはある一定の建設をする、これを需要の自然増加と公益事業では申しておるのであります。人口が増加いたします。産業組織が高度化いたします。一般国民生活文化の程度が何と申しましても向上して行く、そういうところから起つて参ります需要の自然増加に対処して行くということが、独占公益企業におきましては責任づけられる。これが非常に悪いところでありまして、これが普通の競争的産業におきましては、建設関係においては五箇年建設予定計画という形をとりませんで、採算よろしと見れば建設に着手する。採算悪しと見れば建設に着手しないということに相なるわけでございますが、そういう点におきまして公益事業建設計画というものは、特殊性が認められる。そうして資金計画というものは先ほどから申し上げますように、本来は社会に蓄積された資本からくみとるべきものであるということは、原則として疑いないことでございます。しかしながらアメリカの例を引きまして申し上げたのでありますが、日本のパブリツク・コーポレーシヨンにおきましては、国家財政との連関というものがある。それから国による原始的投資の上に歴史的に組織されて来たのであります。それから国家独善であり、公共福祉というものと直接関係をしている。いろいろこの点においてアメリカの強大なる私的株式会社組織とは異なるのでありますが、やはり日本公社の姿というものの行くべきところは、アメリカ私的株式会社が持つているような力の上に立つて、そうして停滞を打破して行く。何と申しましても、事業の生命は停滞してはだめであります。常に打破して行く、この企業努力がありましてこそ、国の経済に活気がもたらされますので、とにかく常にある程度資金をまかなう。そうしてその建設を進める。しかしながら独占事業公社におきましては、これはまた即責任でもあるわけであります。これに対して国が財政投資をするということは、可能なる限度にまですべきものであるということは、原則として何ら否定さるべきものではないのであります。その可能なる限度いかん、それからまた公社の自力による資金調達、民間の長期資金の供給力いかん、ある場合には加入者建設資金負担、それからまた料金の形における若干の負担というような、全体のものが一つのバランスをとつて進む。そうして無理のない形でもつて電話建設が活発に進められることを希望するものでございます。
  9. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 簡単に伺いますが、非常に有力な御意見を拝聴いたしまして参考なつたのでありますが、要するに電信電話公共企業体である電信電話公社は、その建設資金の一部に—全部というのではありませんが、一部を料金収入から建設資金にまわすことは、必ずしも不当ではないというように解釈してよろしゆうございますか。  それから第二は、電信電話公社は、現在企業能力というか、力のある公共企業体として、政府財政投資も第一義的に考えなくともよいだけに成長している企業体であるというようなお話だつたと思いますが、そのように承知してよろしゆうございますか。  それから第三は、いわゆる料金決定原則につきましては、電気ガス事業等とは大分事情がかわりまして、必ずしも料金決定原則というものを、たとえばお話のように減価償却資本、あるいは投下資本、あるいは営業費等を含めて考慮しても、原則が出にくいように考えられるのですが、この点の御意見を拝聴したい。
  10. 北久一

    北参考人 第一の料金収益の一部をもつて、その収益を保有いたします内部資金から建設をまかなうのは、ある限界以内において妥当なことであるかどうかという御意見でありますが、これは先ほどから私の申し上げたように、あえて否定さるべきことではないのであります。ある部分的にさようなことが行われることは承認されることであろうと私は思う。それから公社の実力でございますが、私はこれは相当な実力のあるものである、こう見ております。しかしながら政府の財政に何ら依存しないで行けるかというに、これはやはり敗戦の結果非常な被害を受けておる、そうして復興過程を現在なおかつたどりつつあるという条件も含みまして、力は持つておりますけれども、しかしながらまだ手放しで、国家財政から切り離して公社を歩かすということは時機尚早だと思います。それから料金原則でございますが、これは確かに言われますように私的株式会社の場合の料金原則、それから公社——ガヴアメント・コーポレーシヨン、国鉄のような政府会社の場合、それから水道、交通のような地方公営事業の場合になりますと、この料金決定手続においては確かに若干異にするものが認められるのでありますが、原則においては何ら変化なし、従いまして一八九八年アメリカの大審院が決定して、今世界の公益事業料金プリンシプルになつておりますけれども、スミス対エイムズ事件の判決としてきまつたあれが、現在好むと好まざるとにかかわらず、世界を通じましての公益事業の賃金決定原則として認めざるを得なくなつておつたのであります。すなわち原価償却、税金を含めた収益という部面と、事業財産公正価値に対する公正報酬——フェアリターン、この二つを合算したものを補償する料金原則というものは、公社であろうと公営企業であろうと何らかわりはない、私はさように思つておる次第であります。
  11. 原茂

    ○原(茂)委員 ただいまのにちよつと敷衍して伺いたいと思うのですが、電気ガスには料金原則があるわけでありますが、鉄道運賃の値上げに対して何か原則があるかどうか、お調べでしたらお伺いしたいことが第一点。それから両方合算いたしまして、公社の性格というものは大要御存じのようでございますが、公社企業経営というものを中心に考えましたときに、その責任はより多く政府が持つべきものか、あるいはこの公社企業を利用いたしております一般大衆がその責任を多く持つべきか、この度合いに対しましての御意見をひとつお伺いしたいと思います。  第二点といたしましては、今の料金値上げ原則をもし公社に設けるといたしますと、どういうところに重点を置いてお考えになるべきか、概略でけつこうですから御説明願いたい。
  12. 北久一

    北参考人 国鉄の運賃はやはりこれと同じであります。国会において決定されるという建前になつておるのであります。やはり何ら原則的な事項を科学的に取入れるということをなされていない。それでそのときどきに法案を作成して国会へ提出するという手続がとられておるように思うのであります。  それから公社経営というものに対して政府経営責任というか、めんどうをみるということになると思いますが、政府がより多くめんどうをみるべきものか、一般大衆がより多くのめんどうをみるか、私はこれはやはり政府がよほど力を入れてみるべきものであると思います。政府会社でございますから……。パブリツク・コーポレーシヨン、これを直釈いたしますれば公社というオーガニゼーシヨンは、これはアメリカ、イギリスのパブリツク・コーポレーシヨン、ガヴアメント・コーポレーシヨンに範をとつたものであります。従来政府がやつておりました事業を、一つの収支適合をはかる企業体組織したわけであります。従いましてその性格は政府会社でありまして、本来政府がやつておつたものを一つの別の組織に切り離して、そうして会社形態として運営せしむるということなんでありまして、そのめんどうをみる責任はどちらから申しますと、政府にありと私は断じたいのであります。  第三の料金原則でございますが、これは法律の上にうたうというときには、私的株式会社料金原則とは若干趣を異にするところはございますが、私が申し上げますことは、料金決定の具体的なところまで持つて行くというようなことはごうもないのでありまして、原則だけ法案の上にうたう必要あれば、別に規則を制定いたしまして、そうして決定の基準を定めるということになされたらいかがかと思うのであります。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一点簡単に御意見伺いたいと思います。御説の通りですと、次のような疑問が起きるのです。企業経営の運営上の責任が、公社の場合はおもに政府にある。こういう御意見ですが、およそ企業経営されます根本になるのは、やはり利潤の追求にあるわけであります。利潤を追求しようとするには、どうしてもその追求にアプライするだけの施設をまず必ずしなければなりません。従つて企業経営責任がおもに政府にあるとすれば、公社の維持運営されるための利益を補償しようとする施設は、当然政府の側でまず第一歩としてこれを補償すべき性格のものではないかというような感じがするのですが、この点御意見を承りたいと思います。
  14. 北久一

    北参考人 今の議員さんの御意見責任ということは私は申しておらぬのでありまして、めんどうをみるという言葉も非科学的な言葉でありますが、一般国民公衆がめんどうをみる、政府がめんどうをみる、どちらがよけいそのめんどうをみなければならぬかという、そのめんどうをみるという言葉で申し上げた。責任ということになりますと、これはやはり公社自体でございます。経営責任電信電話公社という一つの独立したそこに責任組織があるわけでございまして、この会社自体が責任をとらなければならぬ、そういうことになります。めんどうをみる、すなわち国家財政によつて相当程度建設をみて行かなければならぬという意味なのでございます。
  15. 成田知巳

    成田委員長 ほかに御質疑ございませんか。——では私から一つお尋ねしておきたいと思いますが、私の聞き違いかもわかりませんが、ただいま北参考人の御意見の中に、アメリカの私企業と比較されまして、電電公社自己資金経営して行くだけの経営基礎が固まつておる。企業内容が充実して来ておる、こういう御説明があつたように思うのですが、それと今度の二割五分の料金値上げの問題でございますが、世論ごうごうたる反対があるにもかかわらず、二割五分の大幅値上げをやらなければならぬということは、実は企業自己資金と申しますか、企業内容は充実してない、こういう一つの証拠になるのじやないか。現に昭和九年から公社発足まで、聞くところによりますと、一般会計なり、臨時軍事費予算に十二億三千万円、現在の貨幣価値に換算しますと、三十億の金が電信電話事業から吸い上げられておる。そのために十分の償却もやつていないいうことは、企業内容が非常に薄弱だということになり、その結果積立金もない。そのために世論の反対にもかかわらず、二割五分というような大幅な値上げをやらなければならぬ、こういうことにも拝察されるのですが、いかがでしようか。
  16. 北久一

    北参考人 ただいまの御説まことにごもつともでございまして、私の申し上げ方が非常に悪かつたと思うのでありますが、アメリカ私的株式会社の資本の調達がどういうぐあいに現在行われておるか、どういう傾向にあるかということを御参考までに申し上げたのであります。先ほど申し上げましたように、一九三〇年以降におきまして、経済の停滞と産業の成熟ということがアメリカにおいて非常に問題になつたのでございますが、期せずして電気事業会社等の巨大なる独占事業が、資本を内部の金融にまつという方向転換を一九三〇年に始めておるわけであります。私はこの点アメリカ企業経済のマテユリテイということと、一つの表裏をなしておると思つておりましたところ、先ほど申しましたクレメンズの木には、公共事業会社経済の成熟と、公共事業会社のさような資金計画の転換ということは、関連があるということをうたつております。そして私はただちにこのことをもつて、あえて日本の現実の公社を律するということをやるわけではないのでございます。もちろんただいま委員長の御指摘になりましたように、日本の電信電話事業というのは、戦前におきまして政府に対しまして大きな額の資本を繰入れ、それから戦争の開始と同町に巨大な軍事費を負担し、そのために著しく償却不足を呈しておるわけでございます。すなわち企業経営内容は弱体でございます。しかしながらその経営内容の弱体ということとマテユリテイということとは、概念上ちよつと私は用法を別にして申し上げておるのでございまして、日本資本主義機構の発達というものと、電信電話事業という一つ独占事業体の成長というものとの関連から見まして、国家機構独占の電信電話事業というものは、経営上さようなウイーク・ポイントを持つておるにいたしましても、これは決して資本主義初期の状態の低度な企業状況のものではない。企業組織としては、社会経済の上に相当な力を持つて来ておるものである。しかしながら経営上のウイーク・ポイントは一応認められるのであります。その間の概念を区別いたしまして私は申し上げたつもりなのでございますけれども、しかしこの言葉が不十分でおわかりにくかつたろうと思いますが、時間がございませんので、ここらで打切らせていただきたいと思います。
  17. 成田知巳

    成田委員長 次は樋口裕人君。
  18. 樋口裕人

    ○樋口参考人 私は東京商工会議所の商業部副部会長をやつております樋口でございます。今日電気通信委員会にお呼び出しをいただきまして、発言の機会を与えられましたことを感謝いたします。まず初めにはなはだ申しにくいことですが、申し上げたいと思いますことは、実は私、時間がなく非常に急いでおりますにもかかわらず、開会が少し避れたということは遺憾でありまして、ひとつ今後は大いに時間励行をやつていただきたいと存じます。こういうことを申してはおかしいのですが、東京商工会議所の会合あたりにいたしましても、昨今はみな忙しいからだでありまするので、時間は励行いたすようにいたしております。私は今日十一時までの時間を持つておりますから、その間東京商工会議所におきまして各方面から受けました陳情、それから会議所の意見並びに私の意見を加えて参考として申し上げたいと思います。今回の三法案につきましては、すでに輿論としては新聞等にもかなり出ておりまして、私の申し上げるところはきわめて常識的なことに相なりますが、問題は増設改良、これにからみましての料金の高額引上げ、この二点に限られておるかと存じます。すでに商工会議所には各方面からの陳情が出ております。たとえて申しますと、証券取引所関係、中央区会議長を初めとして、中央区内における商業者を中心とする団体の陳情、東京織物同業組合関係全員の陳情、あるいは商品取引所関係の陳情、また電話の民主化連合会からの陳情等、多数の陳情を受けておりまするが、まず増設、改良の問題につきましては、一電話に対する使用度数の統計から見ましても、いかに増設が要望されているかということは、これはもうすでにはつきりいたしております。特にその加入者の比率を見ました場合に、商業者とサービス業者を一様に商業者とみなした場合には、加入者の五〇%が商業者であるという面から見まして、商業者の立場における増設の要望は非常に熾烈なものがあるわけであります。経済復興の立場から見まして、従来とられておりまする政府の施策は、生産の増強、貿易の振興等の施策はかなり考えられておるのでありますが、国内の流通経済を促進させるという面についての考慮がどの程度払われておるかということになりますと、われわれといたしましてははなはだ遺憾に存じている次第であります。この電話増設、改良問題は、国内の流通経済復興という立場から考えましても、ぜひこれは急速にその促進をはかつていただくように希望する次第であります。中央区からの陳情を見ますと、中央区だけにおきまして、全都下の三五%の電話負担をいたしているようなことになつております。今回の値上げがいかに中央区々内における業者に大きなシヨツクを与えているかということは、これによりましても明らかなわけであります。  増設、改良を行う場合に、私ども疑問に思うことは、五箇年計画によりますと、現在の加入者の支払いました料金によりまして七百億というものを増設に使用する。それに引きかえまして、政府資金というような点から考えますと、政府資金をかの流産予算におきましては四十億を予定しておりながら、今回の予算におきましてはそれを削減しておる。こういう結果になつておることをはなはだ遺憾に思いまして、皆さんの力によりまして、どうか政府投資をさらにふやすことによつて増設、改良をはかつていただきたい、かように考えております。その点につきましては、すでに商工会議所から昨年も意見書を出しておきましたことは、議員諸君はすでに御承知だろうと存じます。増設、改良国民の非常な要望であり、経済復興のための施設であり、特に今中央区の例で申し上げたようなぐあいに、流通経済担当者に対する重大問題である。東京都の中央区の統計で見ますと、ほとんどが中小企業者の場合を取上げてあるようであります。中小企業者の救済ということは、申すまですなく焦眉の非常に重大問題でありまして、各政党ともこれについては非常に力をお添えくださるという公約もいただいておるようなわけであります。中小企業者の場合には、負担が加重いたしました場合に、これを転稼するの道がないということを、非常にわれわれは中小企業方々から訴えられている、こういうことを一応申し上げます。その点大企業と中小企業とは、同一の料金値上げによる負担の苦痛の程度が違う、こういうことを強く訴えられていることも申し添えておきます。  しからば改良、増設をいかにしてやつていただくかということを考えました場合に、現在の料金値上げの二五%という計画から判断いたしまして、一言意見を申し上げますが、平均二五%という数字が出ておりましても、これを個々のケースにとりました場合には、非常な相違がありまして、その点はなはだきつかいに存じておるわけであります。中央区の約百の事業主からの調査をとりまして、その統計によりますと、現在の料金よりも六一%の増額という数字が出るようなかつこうになつております。それから証券業者の陳情を見ますと、現在よりも八〇%の値上げの結果を見る、こういう数字を提示されております。かようなわけでありまして、平均二五%ということがうなづけないという一般商工業者が疑惑を抱いておる点を、電電公社といたしましても再検討を願う必要があるのではないかと考えております。特にこのたばの料金の引上げ方法によつて痛感いたしますことは、近郊電話が非常に割高になつておるということが考えられます。東京のごとく衛星都市を近在はたくさん持つておりますところといたしましては、非常に料金の過重負担に相なるという結果が看取されるわけでありまして、この点でも今回の料金値上げの方法につきましては、検討を要するという意見を持つておるわけでございます。  なお増設、改良の問題にからみまして、全国電話民主化連盟の意見によりますと、現在の私設電話、これを民営にある程度切りかえるという方法をとつて、そうして独占企業の弊害を批判する行き方にすべきではないか、すでに戦前におきましては、PBXの四〇%は民間によつてこれが行われていたにかかわらず、公社において現在私有する設備までも買い上げるという方法にして独占強化の形をとることは、民主化の趣旨に反する、こういう趣旨から猛烈な反対運動を起されまして、商工会議所でもその陳情を受けておるようなわけであります。  なお料金改訂に先だちまして、私ども特に公社の方に希望いたしますところは、公社がその経営をどれだけ合理化してあるか、能率の増進どれだけはかつてあるか、あるいは経費の節約をどの程度まで合理化してあるか、あるいはサービスの親切丁寧さをどこまで徹底的に実行されたか、この点を明らかにせられまして、国民が納得する経営ぶりを発揮されることによつて料金の引上げを行うという方法をとられることが賢明であると私は思います。その点公社の現在の運営ぶりにさらに再検討を加えられまして、——現在の電話料金の低率であることは使用者一同はよく了承するところだと思いますが、しかしその前に希望いたしたいことは、今申し上げますように現在の独占形態であり、しかも公共的性質を持つ公社の運営が、国民の前に十分納得されるものになつているということを証明することが、まず先決問題ではないかと私は考えるわけであります。  なお増設、改良の五箇年計画につきましても、今申し上げました運営の合理化先決問題とし、その上に計画を樹立された数字をもつて割出した料金改訂を行われているかどうかという点につきましては、使用者一同まだ相当の疑念を持つておるようなわけであります。御承知の通り物価も一応安定の線に入つて参りまして、横ばいの状況になつておるというような点、また現在の使用者の使用による収益約七百億の資金をもつて将来の建設に充てられるという点は、この料金改訂の前に使用者としては、その公社の運営ぶりについてさらにメスを入れたいという感情があるだろうと思います。それが釈然としないところで値上げをするということは、はなはだ不得策な行き方じやないかと私は考えるようなわけであります。どうか国会におきましても政府資金による公社への出資、なお現在の六分五厘という高率なる利子をさらに低下すること、一般金利も低下するという傾向にある際でありますし、公社負担を軽くし、資金計画に余裕を持たせるという方面の努力を、特に議員の皆さんに私お願い申し上げる次第であります。  商工会議所といたしまして、各方面からの意見なり陳情なりを総合し、私の意見をとりまぜて、以上のごとく申し上げた次第であります。
  19. 成田知巳

    成田委員長 ただいま樋口さんからもお話がありましたように、樋口さんは非常にお忙しいようでございますから、樋口参考人に御質問がございましたら……。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 お忙しいところを申訳ありませんが、簡単にお伺いしたいと思います。要約するところ樋口参考人の代表された御意見というものは、施設が改善され、サービスが向上されれば、料金の値上げはやむを得ない、かようにお考えになる建前でしようか、この点をはつきりしていただきたい。  それから御存じかと思いますが、今問題になつております法案というものは、この料金の値上げと、PBXの自営問題と、二つのおもな問題が含まれて一つ法案として審議されておるわけです。従つて料金値上げにどうしても反対されたいというお立場と、PBXの自営をどんどん拡張して行きたい、こういうお考えとは、この法案を中心にいたしますと相反する立場になる。両方とも同時にこれを審議し、通過しなければいけない法案として一本化されて出されておりますので、商工会議所のお立場からは、一体料金値上げに反対なさることに重点を置くのか、あるいはPBXの自営の拡張に重点を置いてお考えになるのか、どちらかにおきめ願わないと、この法案中心に考えたときの態度としてまずいと思いますが、この二点をお伺いいたします。
  21. 樋口裕人

    ○樋口参考人 簡単にお答えいたします。商工会議所というところは、御承知のように各方面の意見が出るところでございまして、その意見が必ずしも同一の方向に行かないことを裁量しなければならない立場になつて、御質問のように非常に矛盾したことが起るのですが、まず料金の引上げの問題を申しますと、料金の引上げは、増設を急ぐという意見の方がむしろ強いとわれわれは判断しております。しかしながら現在の案のごとく、高率な、しかも一応表面上の値上げは二五%であるが、実際に計算してみると、六割一分にも二分にもなるというような高率の値上げに対しては、何としても賛成しかねる。しかし絶対にどんな場合でも上げるべきでないかということにつきましては、私個人の意見といたしましては、かくのごとき高率の引上げは、現在の中小企業振興政策、あるいは流通経済の円滑化をはかるという建前から申しまして、暴挙である。これは別に数字の根底を持ちませんが、平均の一〇%か一五%範囲の引上げはやむを得ないのじやないか。さらに足らないところは、政府が低利による資金を供給するという方法、あるいは新規加入者相当負担をふやすという方法によつてやるべきであつて、現在の加入者負担において七百億からの巨額を負担して増設するための値上げは、これは反対である、こういう意見であります。  なおPBXの問題は、これは経済復興と並行して考えなければならない問題でございまして、どうも私これについてはあまり専門的知識がないのでございますけれども、御指摘のようにある程度矛盾する点ができるのですが、しかし現在施設とか、あるいは器具とかいうものが相当豊富になりまして、有能な経験者があり、またその営業者がありますのに、これを利用しないでおくということは、これはいわゆる民主化の建前から行きましても、そういう業者の立場を考慮しなければならぬことでありますし、一つにはまたことごとく独占の形態をとらせるよりも、そういう面にやはり民間の競争を取入れて行くということの方が、策としても賢明ではないかという立場から、その業者の声を一応伝達するわけです。その程度であります。
  22. 玉置信一

    ○玉置委員 時間がありませんから、樋口参考人にごく簡単にお伺いいたします。  政府借入れ資金の四十億が削られている。料金値上げによる需要者負担を軽くするために、政府資金をもつとふやすことに努力したらどうかという御意見ごもつともだと思いますが、政府資金を借りる場合においても、それが増設、改良に向けられるということになりますと、やはり償却のことも考えなければなりませんし、いずれは需要者負担に帰して来るのではないか、そういう点に対してどういうお考えを持つているかということが一点。次は、公社経営合理化、運営の合理化ということをお述べになりましたが、しからば現段階において公社をどういうふうにすれば合理化されるか、この二点だけを簡単にお答え願います。
  23. 樋口裕人

    ○樋口参考人 借入金は償還をしなければなりませんし、利子も支払わなければならないという建前から行きまして、借入金によることは必ずしも公社負担を軽くしない、その点をどういうぐあいに考えるかという御質問ですが、まず第一に現在の六分五厘という金利は少し高いですね。金利を安くするという面から考えることと、それから公社の運営を合理化する、能率化するということによつて負担の過重を埋め合せて行く。かりに何がしかの赤字が出るといたしましても、私の意見としては、補助金を与えてでも流通経済復興のために力を入れていただきたい、かようなぐあいに考えております。  それから合理化、組織化について具体的な案があるかというお話ですが、これは何しろ厖大な組織のことでございますし、バランス・シートを見ているわけでもありませんし、具体的には何ら申し上げることはありませんが、しかしとにかくサービスが悪いとかいうような非難はかなりある。それから一例といたしましては、公衆電話料金なんか正確に行つているかどうかというようなこと、あるいは度数制につきましても、どうもきわめて不正確であるというような非難も一部から私は耳にいたしております。また人員の能率化というような点も、これは幾らか非難めいたことになりますが、官吏の高給者を入れているというような非難も民間ではあるというような点もありまして、徹底的に組織化、合理化、能率化をはかつた上で、値上げをするという態度を鮮明にすることが必要である、私はこういう意見を持つているのであります。合理化余地がまだ多少ありはないかと考えております。それによる経費の負担の軽減によるということで、料金の引上げ方も調節して行く余地があるのではないか。かりにどんなに合理化が徹底しても、なおかつ赤字を解消し切れないという場合には、私らは他の経済分野における国家の補助というような面から行きまして、流通面における補助政策も考慮されていいのじやないかぐらいに考えております。
  24. 玉置信一

    ○玉置委員 補助政策もとよりけつこうなお話ですが、御承知のように各公債の運営の実情から見ますと、これはちよつと期待はできないと思うのであります。それはしばらく別といたしまして、時間がありませんから簡単にお聞きしたいのですが、ただいまの合理化についての御意見ですがバランス・シートを見なければというお話でありましたが、それよりもつとつつ込んだ基本的な問題として、公社経営に対して何か御意見があるのじやないかと思います。ただいまお話になつ程度の合理化では、運営面において経済化した経営ができるとも思われないのですが、もつとつつ込んだ合理化、かくあるべしという御意見をお持ちですか、お尋ねいたします。
  25. 樋口裕人

    ○樋口参考人 持ち合せておりません。
  26. 成田知巳

    成田委員長 ほかに質疑はございませんか。——それでは私から一つ簡単にお専ねいたします。今の樋口さんの御意見として、設備の拡張は急いでやらなければならぬ。しかしそれをまかなう資金として、料金の今回のような大幅引上げには反対である、こう言われまして、流産予算に盛られました四十億の資金運用部資金の問題に触れられたのですが、この問題は委員会でも相当問題になつておりますが、政府だとか電電公社当局の説明によりますと、資金運用部資金も枯渇しておつて、これにたよることは困難だ、こういう答弁です。これが事実かどうかはさらに委員会で今後究明されると思いますが、一歩譲つて資金運用部資金にたよることができないとした場合に考えられることは、一般会計からの繰入れだと思います。それでは一般会計で余裕があるかどうかという問題ですが、たとえば再軍備関係費用です。防衛支出金、保安隊費、この両方入れましても千三百億を越えておるわけです。それを全部削つてしまえと言えば反対の方は相当あると思うのです。しかしその四十億の金額に見合うものは、千三百億の防衛支出金関係費用に対してたつた三%です。全部削れと言えば反対されるでしようが、三%くらい節約して四十億を捻出する、そしてこの大幅値上げにブレーキをかける、こういうことについて樋口さんはどういうお考えを持つておられますか。
  27. 樋口裕人

    ○樋口参考人 ただいまの御意見のように、三%くらいなら削ることができそうなものだという考えを持つております。とにかく現在電話が非常に不便なために生じている経済上の弊害が除去されることによつて経営上の収益の増加というものは著しいものがあると思います。
  28. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ただいまの委員長の質問は、ちよつと誘導尋問のきらいがあります。慎んでもらいたいと思います。今それに対してそれくらいの余裕があるだろうというお話ですが、樋口さんにお伺いしますが、商工会議所は日経連には関係しておりませんか。
  29. 樋口裕人

    ○樋口参考人 関係しておりません。別の団体であります。
  30. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 別の団体でございますが、その主要な人たちは日経連の中に入つておられるでしよう。
  31. 樋口裕人

    ○樋口参考人 友好団体ですから入つております。
  32. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 そうしますと、今の問題に関連して伺いますが、日経連の防衛五箇年計画では、現在の保安隊の千百五十億程度のものでは足らない。将来五箇年計画として陸軍三十万、海軍三十万トン、飛行機二千五百機を必要としておるというのが日経連の提案でありましよう。あなたは日経連に直接関係はありますまいが、商工会議所の主要メンバーは日経連のメンバーである。従つてあなたの今のお話は、あえて追究するわけではありませんが、防衛問題とこれとは関係のない問題である。かつまたそれを三%程度は削除してもよろしいということを、あなたは個人として仰せられるのか、商工会議所の代表としておいでになつたのでありますから、その見解で仰せられるのか、伺いたい。
  33. 樋口裕人

    ○樋口参考人 個人の見解です。
  34. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 個人の見解であれば別問題ですが、商工会議所に対して、商工会議所の意見をまとめて来てもらいたい、こういうわけで委員会から御案内がしてあるわけです。都合上商工会議所の会頭がおいでになれないので、あなたが代表しておいでになつたと思うのですが、きようは個人の資格でおいでになつたのか、商工会議所の代表の資格でおいでになつたのか、それを伺いたい。
  35. 樋口裕人

    ○樋口参考人 冒頭に申し上げました通り、商工会議所の意見ないし商工会議所に陳情されました意見、並びに私個人の意見を交えて申し上げますからと申し上げた通りであります。
  36. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ただいまの委員長からの質問については、その部分だけは個人の意見という意味でありますか。
  37. 樋口裕人

    ○樋口参考人 ただいま申した通り釈明いたします。
  38. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 その問題はそのくらいにして、私ちようど面会人がありまして樋口さんの御意見を聞く機会がなかつたので、はなはだ申訳がないのでありますが、その後の質疑応答に関連して樋口さんの御意見をお聞きしたいのですが、できるだけ政府資金を充当して電話の拡充をやつて行きたいというのが、委員会のみならず各方面の大体の希望するところであります。実際問題として政府当局も、なかなか資金運用部資金にも十分な余裕がない。それから電信電話事業はかなり基礎も確実になつてつて来ておるし、現在電話の架設せられておる数は百五十万個であります。もちろん利用者の数はそれ以上に達しておりますけれども、所有機者はそれよりも少いのでありますが、とにかく百五十万個であります。そういう状態であるから、かりに資金運用部資金なり一般会計の繰入れなりを必要とするものがあれば、この際、電信電話公社はだんだんと内容を充実しておる今日であるから、従つて料金の収入によつてある程度建設資金をまかなうことが必要ではないか、こういうことが今回の法案の理由であります。そこでお話を聞いておりまして、営業費等に非常に大きな影響を与えることはごもつともであろうと思うのでありますが、昨日の銀行協会連合会長、千代田銀行頭取の千金良さんの御意見によりますと、貸付金は平均二銭五厘、銀行は二銭五厘の利益を得るわけでありますが、その二銭五厘のうち通信費の占める割合は六毛七糸といつておる。そうして千金良さんの方の今回の値上げによる影響を考えると——これは少し計算が違つておることを私は指摘をいたしましたが、それにしても、向うさんの計算だけで考えても、約一厘一毛程度になる。これは倍に計算したのですが、千金良さんのところで詳しく計算してみますと、必ずしも倍にはなつておらぬようでありますけれども、大体倍に計算して、二銭五厘のうちで、一厘一毛通信費が営業費の中にそれだけ食い込むというこうでありました。かつまたきのう区会議員の粕谷さんという人が一般の生活圏を代表して出られましたからお聞きしたのですが、現在のいわゆる加入者の一人平均の月収を見ると——これはもちろん下もありますし、上もありますから、平均いたしますと五万六千七百円になります。加入者の月収五万六千七百円平均の人が受けるのですが、そういうような中産階級以上に電話は引かれている、こういう点から考えて、営業者のような人たちにとつては、なかなか影響するところは甚大でありますが、まず総体として二割五分程度のものが営業費の中に吸収せられる。公社経営の合理化を行わなくちやなりませんが、一般営業者の方においてもある程度経営合理化を行うことによつて、総額二割五分程度の値上げというものが営業費への吸収が可能かどうか、こういう点をお聞きいたします。
  39. 樋口裕人

    ○樋口参考人 営業者と一様に申しますけれども、非常に種類が違うものであります。電話を使用する営業者は、先ほど申し上げたように大体五〇%は商業者であります。その商業者の中で一番はげしく使うのは何といつても取引所関係であります。その次が問屋関係、こういつた面が多いのです。金融業者、百貨店というようなところになりますと、賞美費に占める通信費の率はきわめて低いのです。ところが五〇%の商業者の中の九〇%の営業者は、もちろん中小企業であるというのですが、かりに九〇%の中小企業者の場合には、通信費が営業費に占める比率はかなり高いのです。中小企業者の陳情によると、中小企業者の場合は大企業者と違つて、あるいは生産者と違つて、これを原価に加えて転嫁させる方法がない。これは全部中小企業者の支出になつておる、こういう説明を受けております。ですから今の御質問に対しては、中小企業者に対する負担がむしろ比例的に加重される、こういう面に引上げ問題に対する大きな輿論の反駁を受けておるわけであります。
  40. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 商工会議所の調査によりますと、中小企業者の電話使用者が、五〇%の商業者の中の九〇%ということでありますが、中小企業者の平均の電信電話使用料及び市内電話——これは一〇〇%値上げになるわけでありますが、これの一箇月もしくは一日の使用度数料、こういうものの御調査があれば伺いたい。
  41. 樋口裕人

    ○樋口参考人 中央区の業者から出ているのは、今度の率の引上げによる増額のパーセントだけしか出ていないので、営業費に対する何パーセントというのは出ておりません。実は会議所といたしましてもそこまでの統計はとつていないのです。御必要とならば会議所で、統計をとるようにいたします。
  42. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 それは大体見積りとしても、相当中小企業者への影響甚大であろうことはよくわかります。なおきようは樋口さんは主として中小企業の代表の意味でお出かけのようでありますが、そうでなくちよつと大きな大局的な点についてお聞きしたいのですが、現在の料金収入をもつてやりますと、昭和三十年度においては大体十一億七千四百万円の赤字になるわけであります。もちろん資本利子を支払い、減価償却を見積り営業費を出し、もちろん電話の増設増加を見越して、昭和三十年度には約一千億円の収入となつて営業費が七百三十億円、資本利子が百億円減価償却が二百二十億円、こういう計算でいたしますと、昭和三十年度には十一億七千四百円の赤字になるわけであります。なおこれをこのまま続けて行きますと、五年後の昭和三十五年度には五十二億六千七百万円という赤字になる、こういう点に関して、結局先ほどの北さんの考え方からいいましても、減価償却あるいは利子その他営業費を含めて、妥当な料金を行うべきである、こういう見解といたしますと、必ずしも現在の料金は妥当でないという結論が出るのですがこういうような将来の赤字克服について、企業合理化をやることはもちろん当然ですが、こういう将来の見通しからいつて、非常に不健全な現在の料金であり、経営状態である。収入から見ても不健全な状態である、こういうようにわれわれは考えるのですが、これに対してどうお考えになりますか。
  43. 樋口裕人

    ○樋口参考人 この公社の見積書によりますとそういうことになります。ですからこの見積書について改善の余地なしという結論を前提にすれば、確かに現在の料金は低過ぎるということになります。その前提の再検討を必要とするのじやないかと思うのであります。
  44. 成田知巳

    成田委員長 ほかに質疑はございませんか。——どうもありがとうございました。  次に三島一郎君にお願いいたします。
  45. 三島一郎

    ○三島参考人 私は東京私設電話連合会の理事であります。本席に公衆電気通信法案並びに電話料金の値上げ問題に関しまして参考人として参るように話があつたのでありますが、まことに時間がありませんので、あまりよく検討しておりません。しかし私が考えます点を一、二申したいと思います。  公衆電気通信法案の第五十一条に、構内電話設備による交換取扱者の資格が決定されております。同法案の雑則の第百五条に、工事担任者も同じだというような規定があるのでありますが、第百五条の第八項に、工事担任者の認定は五十二条、五十三条に準ずるというようになつております。もともと電話交換取扱者と工事担任者とは、切つても切れない縁があるのでありますが、どうして片方を本文に載せ、工事担任者を雑則に載せたか、私は理解に苦しんでおります。この点、特別にお考えおきを願いたいと思います。  それから電話料金の値上げでございますが、東京から隣接都市に現在電話をかけましても、何時間たつてもつながらない場合が多いのであります。でありますから、汽車や電車に乗つて行つた方がずつと早いような結果を生んでいるところさえあるのであります。電話がほしくて、加入をどこの電話局へ申し込んでも、すなおに聞いてくれるような局は一つもありません。大都市近県のでさえもかような状態でありまして、線路状態が悪い、不可能地域であるとか、業種が悪いとかいう理由のもとに、電話がほしいといつても一本もいただけないのであります。最近大都市間を既時、準既時区域としまして、通話を開始しておりますが、それでも通話が遠くて役に立たない場合も多々あるのであります。しかし、電話事業は金がかかる事業であるということは争えないことなんでありまして、莫大な金を終始つぎ込んでおきませんと現状の維持もできず、維持ができなければかからない電話になつてしまうのであります。東京の電話局の大半は震災前あるいは後にできたものでありまして、戦争の空白時代を通りまして、機械も寿命を超過して酷使しておりますし、終戦後、機械の修理をしたとか、あるいは取かえたと聞いておるのでありますが、機械類は使えば使うほど消耗が高くなりますし、それをつなぐ線も年数を経ればもろくなつて使えなくなるという実情にあるのであります。そういうものをまたとりかえますると、経費が金額に見積りまして、日本全国で二百三十六億円いるように公社ではいつております。でありますから、現在の電話事業は飽和状態に達しておりまして、需要を満たすことはできないのであります。また大都市間の通信速度をよほど上昇させるためには、電話拡張五箇年計画を立てまして、さらにまた五箇年計画を続行するとのことでありますが、まことにわれわれ使用する者といたしましては、けつこうで当を得たものと思われるのであります。でありまするが、この継罪事業も、事業経営している間は継続しなければならず、一日でもゆるがせにすれば、結局元の木阿弥になつてしまうのであります。ところが今度公社では、政府資金も思うように利用ができない、また外部資金も思うようにできないから、自己の経営でもつて電話収入の二割五分引上げをすることによつて、拡張計画を遂行して行こうとしておられますが、値上率二割五分といいますと、品ではまことに簡単なのでありますが、実際にあたつてわれわれ大口加入者の度数を見ますと、一日九十五回市内通話を使いますと、九一%の値上げになるのであります。八回使いまして三五%、十三回で五三%の値上げになつて来るのであります。でありますから、ただいま市内通話を三十万円払つておりますと、約五十九万円ばかり払わなければならないのであります。こういう値上率になつておるにもかかわらず、一般の発表は二割五分というように発表しておることは、ちよつと了解に苦しむのであります。電信電話の業務を政府から分離しまして公社に移したのは、低廉な料金でいいサービスをするためでありまして、サービスも少しも改善されておりませんのに、料金を最低二五%から倍額まで値上げしなければ事業がやつて行けないというならば、いつそのこと政府にまた返上するか、あるいはまた民間に開放して、民間で競争させた方が、よほどいい結果が得られるのではないかと考えられます。鉄道にしましても、電気にしましても、その拡張建設資金は別途資金を仰いでまかなつております。使用料を流用して、まかなつておるという話を聞いたことはありません。電話架設にいたしましても、ただいまの負担金は三万円でありまして、そのはか公債負担を六万円とつております。ここに二重の負担が生じておるのであります。この金額で拡張ができないのならば、電話需要者、どうしても電話がほしいという人に、自動局一万回線をつくるには、機械線路とかあるいは電池など消耗するものでありますから、これだけはほしい人に負担してもらう。ただ固定資産になる建築、土地、家屋というものは、当然公社政府資金を利用するなり、あるいは外部資金によつてまかなつて行く。それがまかなえなかつたならば、いつそのこと民間にお願いしまして、建物あるいは土地を借りてやつたらいいのではないか、そういう手もあるのではないかと考えられるのであります。現在の諸物価は、この一年間は大体横ばい状態でありまするが、最近一部主食が変動いたしましたので、幾分あるものにつきましては値上りしております。現在の電話料金も、一昨年上つたばかりでありますが、幾分かの値上げはしかたはないのではないかと考えられます。でありますから、私どもは九割とか倍額の値上げには、間接費がかさみまして、非常に苦しいところも出て来るのではないかと考えられます。そういうふうな状態でありまするから、料金は低廉であつて、よいサービスをするためには、まず公社の合理化を必要といたすのじやないかと思います。ただいま公社の状態を見ますると、管理部門がとても多いように見受けられます。そういう状態でありまするから、私どもといたしましては、どうしても一割ないし二割の全般から考えました電話料金の値上げは賛成いたします。しかし九割とか倍額の値上げには賛成できないのであります。
  46. 成田知巳

    成田委員長 次に横山誠太郎君にお願いいたします。
  47. 横山誠太郎

    ○横山参考人 私は電話工事協会の副会長の横山誠太郎でございます。かつて逓信省に奉職いたしまして、後にやめまして爾来民間で電話設備事業に精励いたしまして二十四年になつております。  今般政府御提出の電話の三法案に対しまして、原案に賛成いたすものでございます。但し料金値上げにつきましては、しごくごもつともな点もございまするけれども、幾分条件を伴いましての上でございます。この法案はこれまでに三回衆議院に上程されております。まことに新時代に即したるところの、かつ国民は喜ぶところの法律案を織り込んだものでございます。私ども電話設備の業者といたしまして、また電話事業にいささかなりとも識見と抱負を持つておる者といたしまして、まことに明るい案であつて、これが通過しますことは、国家国民を益するところのものが多大なるものと信ずるのでございます。料金値上げにつきまして、高いという個々のいろいろ議論もございますでしようけれども、これをある程度専門的の目で見た場合におききまして、電話の架設ということは、緊急かつ重要なものでございまして、これを政府の交付金なり、また一般的の公債交付という手段がむずかしいという現在におきまするならば、自己の収入によつて改善、建設もはからなければならぬということもうなづけるのでございます。しかしながら今日公社に移りましてこの方、料金値上げをする前提と申しまするか、先ほどある程度の条件が伴うと申し上げましたことは、公社になりまして、その前に電通省でございましたが、終戦後から電話の法令なり、運営なりというものが、実に民意を無視したるところの一方的の経営に終始して来ております。これを今般の公衆通信法第百五条、百六条におきまして、金が足りませんので、民間の資力——物も金であります。その資力において負担して、なおかつ足りない、このもとに立つていると思いまするので、それは先ほどの料金の値上げの点を了承するのでございまするが、明治四十年ごろからございました加入者の所有するところのPBX装置までを局で買取つたり、局で自営したりして、なおかつ金が足りないというならば、私は断固許せないと思うのであります。  従いましてこれからPBXの場合について申し上げたいのでございますが、昭和十八年に全国に三百有余ありましたところの民間の電話事業者は、大体当時の逓信省からの出身が多いのでございましたが、そういう人たちが、その当時私設電話経営ししかも公社の支持のもとに一体となつて経営して来たのでございます。従いましてその当時において逓信省は、本来の任務たるところの本電話機並びに市外線を建設するのを本分としていた。そうして民間のビルの中にある私設交換機とか、末端のものは、公社と機械も同一でございますし、その規格も同じでございますし、法規もございますので、その法規のもとにしごく円満に運営をし、しかもそれに伴いますところの多額の附加使用料というものを、当時の逓信省へ加入者が月々納めたのでございます。従ましてそうした費用が、当時の逓信省の莫大な収入になつていた。その莫大な収入はその当時の逓信省としましても、今日の公社と違いますので、国庫の収入になつて来たのでございます。電話機の数は昭和十八年戦争が苛烈になりますと、松前さんが逓信院の総裁でございましたが、自主的統合という美名のもとに統合されたのでございます。そのときの話を覚えておりますが、戦争が苛烈となつて、安易な勝利はできない。一切の物資なり、人員なりは、この大東亜戦争のために捧げなければならぬ。従つてつての自由主義時代の電話増設はできぬ。だからこの際合同してくれ、こういう話であつたのでございます。今は自由主義時代でございます。従いましてそうした電話機の数が、民間でやつていました電話機と合せまして百四十四万五千ほどございました。その中で実に三分の一の四、五十万個というものは、民間で取付、保守をして来たのでございます。それがわずか五人か六人くらいの従業員の小さな会社が、全国で三百か四百ございましたでしようか、従業員は全部で二千人はおらなかつたでございましよう。それがどうでしよう。そうした人たちが四、五十万の電話機を取付、保守して来た。今日公社の内部の機構の厖大も必要でございましよう。労働基準法もできて人員の増加もあるでありましよう。それにしても民間でやつた功績は大きいと思います。従いまして低く上げてサービスをよくして、少い人員でやり、その浮いた人員はどうするかというと、防衛なり軍需なり、国家の要請によるところの人員に向けて来たのでございます。少い人員でやるということは、国家経済になることでございます。そうしたことをやつて参つたのであります。それを、終戦後になりまして——戦争中設備会社へ入つは方もございますし、また民間に残つた方もございまするが、そうした技術者を捨てて顧みないで、局の直営に移して、しかも電通省は、何々学園というものをつくつて、従事者を養成した。われわれがその技術に携わることができないのに、そういう技術者を養成したのであります。野に遺賢なからしめるという言葉がございます。技術者には国境はございません。その国境のない技術者を捨てて顧みないで、自転車のパンクを直させたり、その辺のどぶ掃除をさせたりするように追い込んで、そうして直営一本でやつて来たということ、これは国家の政治家としてよほど考えていただかなければならぬ。国家経済から行きましても、人道の問題から行きましても、これは考えていただかねばならぬことであります。これは事実でございます。従いまして、その当時はGHQの圧力ももちろんございましたし、またいろいろと国営という当時の政府の御方針もあつたでしようけれども、とにかく民意を無視したところの一方的な制度をやつて来た。それを今日PBXの開放に対して反対されておるということは、その当時の状態から来ておるのであります。そうしたものを、私はこのままではならぬと思います。そうしてその順序をふみまして国会の権威に訴え、隠忍自重運動をすること六、七年になつております。この運動に対しましてある人は、こうした運動をするのはけしからぬと申しましたけれども、これは国民に許されたところの権利であり、また義務でございます。あの戦争が敗戦になつたあとになりまして、あの戦争に賛成された方で、おれはあぶないと思つた、ああいうことをやるのはあぶないと思つたと言う方が多いのでございます。殷鑑遠からず。私どもはこの直営がこのまま続けられ——また今回もこれに反対される方がございますが、これに反対するということは、おのおの主観的な見方もございますでしようけれども、国家のためになるし、かつ必要なものである、こういうふうに思いまして運動を続けているのでございます。  しからばPBXの開放とはどういうことであるかと申しますと、今日資金、資材がないというが、これは先ほどどなたか申されました通り、民間の力をもつてやるということもかんじんでございます。国内の電話設備では、古くは皆様も御承知の通り特設電話というのもございました。その特設電話をいなかに五十なり六十なりつけますとき、資材なり、機械なり、電柱なり、一切持つて、そうしてでき上つたものは政府に寄附して参つたのでございます。それから大正の末ごろ千五百円くらい、年々電話負担料金を払い、電話機の数がふえて来たのであります。今度公社から出されました表によると、当時の千五百円という金が時価に換算されて、括弧をつけて三百万円と出ております。そうしたものをもつて今日の電話網が大体できたと申せましよう。しかるに今日資金のないときに、一方電話負担金をとつております。また値上げという問題も起きております。この場合に、そうしたかつての私設電話を買い上げる方面へ金を使うとか、あるいは直営にするために金がないということは、これまでの電話のなり来つたことを忘れた人たちがなさることでございます。  PBXの開放と申し上げますのは、今言うようなわけからでありまして、これが開放されますとこういうことになる。出す金は民間でやる場合も公社でおやりになる場合も同じでございます。大体同じ、むしろ民間の方が安いかもしれません。私設電話が民間に開放されれば、一、利用者が設備を所有することができるから、民間の資金が投入されて、需要は一段と増加する。二、私設電話が増加すれば、公社料金収入も増加して、通信事業の財政は健全化する。三、通信メーカーは、私設電話を直接利用者に販売できるから、生産の平均化をはかり、コストの引下げが可能である。こう申しております。各メーカーの労組の方々も、私がここへ立つと申しましたら、社会党の先生方にも、われわれ労組の立場は社会党の下にあるから、ぜひ先生方賛成してくれと言つてくれと、しばしば電話がかかつて来ております。そういうようなわけでありまして、この開放はきわめて合理的なものでございます。  それから今度は反対のことについて申し上げます。この反対に対して、前議会の本会議で可決する終りに行きまして、罵詈讒謗をきわめた言を、今回は議員になつておりませんが、述べた方がおります。ああした事実はございませんが、あれほど中小企業者がその持つて生れた仕事に帰ることに反対するのは、どうしても解せないのであります。学問的な反対の方は、PBXを民間に開放するとばらばらになるということを言つております。過去昭和二十四年、二十五年までは、設備会社がやつておりました。明治四十年から始めて、私設電話というものは民間でやつておつたのですが、ばらばらになつたということがございますか。回線を局の方でやり、家屋の中へ入つたところへ転換機をとりつけ、それからこつちを交換台に入れて、そうしてそのわかれて卓上電話へ行つたものを、一括して責任を持つてやる。しかもそのやる仕事は、局のきめた規格がございます。またそれに従事した者は、少くも認可を受け、また電話技術に経験のある人でございます。そういう人が局へ申請をして、事前に届出をして、こここれの設備をしたからというて検査に来てもらつて、それを開通する。それからその保守におきましては、月に二回まわるという規則がございました。そうしてそれをまわつて円滑に運営して来た。中には加入者からぼるとか、不当な利得をするとか言つておる人がありますが、そういう者はただちに没落して行つてしまうのであります。そうしてまじめにやつて来たのであります。そうして来まして、さつき申しました通り、電通省は本来の任務の仕事をやつて来た。だから当時において電話の需要は多かつたけれども、非難が今日ほどなかつたということは皆さんおわかりのことと思います。わずかの人間で五十万個のものをやつて来た。この通信を君たちに開放すればばらばらになる。私どもがそこの建物の中から、こつちを民間でやればばらばらになるとしました場合に修理のときに困ると申されますけれども、しからば公社の方に試験係、回線係、市内係、局内係というものがあるかないかということを考えてもらいたい。それで私設交換機なら私設交換機の民間の担当者は、厳重な通告のもとに届けてあるのですから、そつちへ通告すればただちに直しに来たのであります。そういうことでございますので、ばらばらになるということはもつてのほかのうそでございます。しごく円満、円滑に命令に服従し、そうしてもうやわらかく、頭を下げ、お客から喜ばれ、局の人からわが弟分であるとまで喜ばれるようにやつて来たのであります。これに反対する人はどうか今日限りやめていただきたいと思う。  そうしまして、去る第四次の法案——今度は何次になりますか、今議会でございますから初めてでございましようが、第四次法案のときに、私どもがその前から運動しておりました、その結果を見てみますと、今度は少しは民主的に開放されるかと思つた。民主的と申しますと、電話機をつくつているメーカーも入れなければならぬ。工事業者も入れなければならぬ。需要者も入れなければならぬ。こういう三つのものを入れないで一方的に立法されたものは、非民主的な法案である。民主的ということは各人が主張し、相談し合つてやるということである。しかるに民主的でなかつた。どういう法案であつたかというと、私が参議院の公聴会において申し上げました通り、殺人的の法案ができた。それは、君たち民間でやつていいところは、公社でやりたくないところである。——不適当だというのですから、やりたくないということでございましよう。危険な箇所、それは具体的にどこかといいますと、溶鉱炉の上、硫酸のかめの上、伝染病院の中、これ以外には許可しない。これならば民間でやつてもいいというのでやつて来た。私たちの運動は 政党政派は問いません。だから私どもはどの政党にも属しておりません。ただわれわれの労をくみとつてくれて、君たちの言うことはもつともだという人を神様のように思つております。ここに労組の方がおるかどうかしりませんけれども、団結の力で参議院議員までもお出しになれる。われわれはたよるところがない。議会で悪口を言われても隠忍自重して、じゆんじゆんとそれに相こたえができない。一つ一つ順序をふんでお願いして来ておる。そうしたお願いが踏みにじられるということになれば、これはたいへんな問題でございます。それが、そうした危険なところなら君たちに許してもいいという法案だつたのには、私どもはびつくりした。それは正義人道に反する。いやしくも正義人道を何よりもとうとぶ人であるところの国会議員の方がこれを通すわけはない。これは改めてもらわなければならぬというので、私が全国の組織を代表して行きましたところが、なるほどということで公社自身も改めてくださつた。これはまことに自由国家としての日本のために喜ぶべきことであります。暴帝ネロがつくつた法案ならああしたことは出るかもしれないけれども、しやしくも今日の民主国会にいてそうしたものが出るということはたいへんなことだ。昔から危険なところは民間の人は通り抜けてしまつて、工兵隊が爆破しました。ところが今日そうした危険なものを民間にさせる。そうすれば民間の者は死に絶えてしまうのではないかということを私は心配した。それが幸いにして直つて、二本建の線になつた。昔はPBXは全部民間だつた。私どもは公社でやるということに対しては反対いたしません。けつこうだ。相並んで日本の通信業界を発展しましようという気持を持つております。それが、改められたのに対しまして、君たちは何か暗い運動をやつたろう。あいまい模糊たるものがある。かような不正の中に起つた運動であると思うなどとある方が言つておるが、もつてのほかであると思う。私はもしおひまがいただけたならばとくとお話して御了解を願いたいと思う。こういうとうといところの、みんなから尊重されるところの国会議員なんて、正義人道でなければ出られるものではございません。いいかげんな人は出られないところでございます。それを訴えようと思つておりますが、今回はこれが政府原案として出ておりますので、私どもはこれの通過を実は切望しておるのであります。  さて電話のあり方というものは、かようなわけで公社は基本的なものをやつて、さしつかえないものは民間に許す、両々相まつて行くということを今後堅持していただきたいと思います。今日公社の方は猛烈な反対をされておつたということを聞きまするけれども、電話公社のものであるとは申せないと思います。二十六年の七月に出ました電通省の厚い本の中に、電話国民のものであり、国民のためのものであり、電通省は国民の寄託を受けて運営しているにすぎないと書いてあります。この通りの気持を今後も公社はますます固めなければなりません。そうした気持でやつていただきます場合に、こうしたものに反対される従業員の方があるとしましたならば、これは国家電話ではなく、公社電話でもなくして、従業員の方の電話であるというふうに私たちは思えて来る。これはかつての軍閥が政府の命に服さず、首脳部の命にも服さず、青年将校というものがあつて遂に日本を敗戦に導いた。そうしたことを考えますときに、これは私の臆測と思うのでございますが、そうしたことなく、虚心坦懐にやつていただきたいと思うのでございます。  それからこの値上げの問題に参りまして、先ほど申し上げました通りのものをもつてなお費用が足りないというならば、電話は生活、文化、産業に絶対必要なものでございまするので、経理上のことは私よく存じませんが、そうした面に使うならばよろしい、そうしてでき得る限り民主的なものを取入れた法案のもとにやつていただく。ただしいて冗費と申しまするならば、今各地に、当時の逓信省と分離されまして、電話局は電話、電信と分離はされておりますが、さらに公社の中において電信と電話と分離して独立の建物を持つておる。これは地域的に必要だと思いますが、ことさらに分離した建物を持ち、そうした分離した建物を持ててば、それに対していろいろの経費がかかります。それが料金値上げをしなければならぬということに追い込んで来られますと、これは電信局がどんどん分離して同じところに並び建つということは、電話の使用者として料金値上げは考えなければならぬ。そうしたものは真にやらないようにして、今三等郵便局なり、特定局なりで受託の電信業務を扱つておられる。しばらくはこういう料金問題で難渋をきわめるときでございますので、そうした制度はやはり続けて行つて、今のところは経費の節約をはかる面が必要ではないか、こういうふうに考えております。公社方々も夏の暑い日、冬の寒い日に、故障の場合実によく最近は直していただく、そうして料金を使つて故障を少くしてやつて行こうという点はよくわかるのでございますので、この点は感謝しながらも、いたずらに機構の厖大をはかつたり、あるいは今度料金が値上りということになりますと、金が余つて来た場合に、待遇改善、待遇の向上ということは絶対必要でございますが、王子製紙のストなどもございますし、値上げして余つた金があるからというので、それを労組の方が要求なさるということは、これは国民を敵とするものである。必要限度において、それ以下で生活している町のわれわれ以下たくさんございますので、その点はひとつお考え願つて、そういうことは絶対にございませんでしようが、そうした非難を、憂えを世間から受けられないようにお願いしたいと思います。先ほど述べました通り、独占の弊害というもはの、これは恐るべきものである。独占をしてどんどん値上げして行つた日には、しかもそれが必要でないものならかまいません。ダイヤモンドなどなら幾ら値上げしたつてかまわぬ。国民生活に関係がないのでございますので……。しかし米が値上げ、あるいは電話がどんどん値上りするということは困ることです。ですから建設にまわす金ならばごもつともでございまするが、いろいろな冗費という点はひとつ省いていただくような趣旨をもつての値上げは、私はこれに賛成いたすのでございます。  大分民間の方のこれまでの経過を見てみますと、民間の方をたいへん皆さんが目のかたきにされておる。先ほどから述べました通り、民間の方は真に公社の弟分であるし、この法案が通りました後においては、ほんとうに一体となるような関係でございまするので、この点は決して競争とか圧迫とか、そういうことがないように運営をお願いしたいと思うのでございます。民間のサービスというものは、真に命がけでございます。不景気で首をつつたということはございますけれども、官吏の方が官業が不景気になつたといつて、首をつつたということは聞いたことはございません。それは値上げということはできるし、生活が安定されているということで……。加入者に対してPBXが開放されまして、真のサービスということは、これはやはり命がけでお得意を大事にする。しかも公益のもとにお得意を大事にするという点にあるのでありますから、その点も民間の業者をどうかひとつよく導いていただきたいと思うのでございます。よくある政党の方が、私たちはただ技術に生きるだけでございますが、われわれ町の業者をして大資本家の手先だ、大資本家だなんて速記録にとどまつておりますけれども、決してそういうものではございません。電話屋で昔から成金になつたというのはございません。もうただ技術に生きて技術に死んで行く、それだけでございます。それから民間で設備いたしますると、よく機械を変なのを使うとか何とかいう者がございますけれども、今日は昔と違いまして、機械の良品を使うということは、これはもうだれでも国民は心から認識して来ております。従いまして、その機械も、電通省でお使いになりますところの機械も、それから民間で設備しますところの機械も、ひとしく同一メーカの製品でございます。また技術も大体同一でございます。  それから今度は幸いにして先生方皆さんのお骨折りによりまして、この法案が通りました後におきまして、今度はそれに携わるところの電話担当者なり、従事者なりという資格問題が出て参りますが、これは実情に即したようなもので認定していただかなければなりません。かつて一ぺん試験を受け、その資格を持つておる者が、その後における法律の一時的のストップ、一時的の改廃のために、一時消滅したけれども、またその法律が復活したという場合には、これは引続いてやつていただくことは大体常識らしいのでございます。従いましてそうした者も入れていただいて、なおその後における下請業者が、大体同じような条件のものに認可を受けて来ております。これも認めていただきたい。そしてその資格認定には、これは今後郵政省の方が当られるのでございますが、認定審査会というようなものをつくつていただきまして、そうしてそれには公社の方、郵政省の方並びに民間のPBXの関係者を委員にしていただいて、指弾を受けないように、民主的に選考を進めていただきたいと思うのでございます。公社におられる方は、資格がなくてもPBXの仕事に従事できる。若い方ができる。われわれがかつて資格をもらい、そしてそれが認められるということになれば、法の前にはみな平等でございます。しかり、その法の前にはみな平等なのに、片方では何も知らない者が従事できる。われわれがそれに携わることができないというなら、それは不公平、それか続くというなら、国民は乱を思わなければならぬということに立ち至りまするので、この点は開放と同時は、こういつた資格というものは必要でございまするので、この点もよく実情に即したところの生きた認定のもとにやつていただきたいと思うのでございます。こうすることによりまして、私どもはいい機械を使う、そして一方公社に対する附加使用料の料金をふやす。一方加入者に対してはPBXをふやす、ほかの経費は少くて済む、こういうことになりまして、公社と私どもは車の両輪のごとく、弟分という立場に立ちまして、そして集積しますところのものは、通信設備、通信企業を健全化し、そしてふやし、かつ喜ばれ、ここに初めて通信の発展の王道は立てられると存ずるのでございます。これをもつて私の公述を終ります。
  48. 成田知巳

    成田委員長 次は石川辰正君の公述を求めます。
  49. 石川辰正

    ○石川参考人 私は全国電気通信労働組合中央執行委員長の石川辰正でございます。三法案について意見を述べたいと思いますが、時間の関係もございますので、私どもの最も関心を持つておりまする公衆電気通信法第百五条の構内交換設備、いわゆるPBXの問題と料金問題にしぼつて申し述べたいと存じます。  まずPBXの問題でございますが、百五条によりまして自営ができるようになつておる。すでに第十三国会、第十五国会におきましても大いに問題となりまして、慎重審議をされまして、法案は両国会において成立をしなかつたわけでありますが、このような専門的な問題につきまして、国会におきまして慎重審議されましたことについて、深甚の敬意を表しますると同時に、三たび私どもは電信電話事業に直接携わり、電信電話事業を愛する者といたしまして、さらにいかにサービスを提供するかという——私ども経営者でございませんが、労働組合の立場といたしまして、特に純技術的な立場から反対をいたしたいと思うのであります。純技術的な立場から反対するということは、ただ単にPBXが民間にとられるという、官僚的ななわ張り根性、こういう点でなくて、またイデオロギー的にどうこう、イデオロギー的に反対というような問題でなくて、電話は神経系統といわれますように、電気ガス、鉄道と一見似ているようですが、機械の設置、保守、運営を統一して行わなければ、神経全体が統一して働かない。従つてサービスも悪くなる。どうしたならばほんとうのサービス加入者各位に提供できるかという点を、私ども経営者でございませんが、電話事業を愛する者として、技術的な見地から申し上げたいと思うわけでございます。従いましてかような立場で申しおるわけで、いろいろな点につきまして労働組合が、これを圧力をもつて何か押えておるというような点につきましては、私どもそういうことは全然なくて、そういうような私どもの技術を愛する、電話を愛するという立場から申し述べるものであるということを、重ねそれ申しておきたいと存じます。  ただいまのお話にもごさいましたように、PBXは戦前三百あまりの大体において小企業形態の工事業者の方々が、工事並びに保守に当つておられます。昭和十八年の十二月に、先ほどのお話にもありましたように、私はその当時のいきさつというものはもちろん知りませんが、全国の業者を統合いたしまして、日本電話設備会社が創立され、資材、計画等の一元化をはかつて、逓信省の監督のもとにPBXの工事運営を行つて来たわけですが、その内容といたしまして、資金の面あるいは設計技術の面について、完全に一元化ができておつたかどうかというと、そうでなかつたようでございます。昭和二十三年の三月にGHQの覚書によつて、この設備会社を逓信省へ接収することが指示されまして、二十五年の五月に当時の電通省に移管され、電話事業の一元化の見地から直営となり、昨年八月一日電電公社が発足いたしましたが、爾来その方針で今日に至つておるわけでございます。  GHQの指示というものは、当時の占領政策の一つであつた独占企業の禁止という線よりも、この際には、アメリカ電信電話関係の専門家——これは民間人でございますがこの民間の専門家の方がGHQのCCSにおられましたが、日本のPBXの状況を把握されまして、日本では機械、器器の標準化、統一性がとれていない。従つてサービスも悪い。電話事業は局内の機械、線路、PBX、中継線、端末電話機、こうしたものが一体として取扱われなければならぬという技術的な理由が大きな理由であつたというふうに考えております。若干抽象的でわかりにくいと思いますが一例をあげますれば、当時構内交換機の型がまつたく多種多様でございまして、全国で一台しかない、ないしは数台しないかという型もあつたのであります。端末電話機にいたしましても——普通の受話機でございますが、規格品十七種、規格外百五種、また交換機の部分品は、継電器だけでも千百七十一品種というように規格の統一という点がばらばらであつたということが当時の事情であつたと思います。第二のGHQの理由といたしましては、民営の場合は工事重点で、保守が完全に行われていない。従つて故障にかかる率も多い。第三番目には、個個の業者に民営として行わしめれば、先ほどから申しますように標準の維持ができない。さらに電通省なり電電公社なりの監督範囲が広くなり、監督費が高くなる。これではかえつてやぶへぶであるという、技術的、経営的な面からの理由が大きな理由で、こういう措置がとられたと承知いたしております。私どもは、アメリカ人の行いましたことが、何でもいいとか、何でも悪いとかいうようなことではなく、また占領措置であつたから、何でも行き過ぎであつたから元へもどした方がいいとか、もどさぬ方がいいとか、こういう議論はやめまして、現在行われております、さらにまた世界各国の例を見まして、電話事業の本質からこの問題を検討して行かなければならぬと存ずるわけでございます。そこでいま少し詳しく公社で一元的に運営をしなければならぬという点を技術的に申しますならば、公社で一元的に運営いたしますれば、交換機の規格も統一され、またよく検査を経た機械を用いますし、工事は一元化されました標準工事法があるので、それに従つてよく訓練を受けました公社の技術者が工事をいたすわけでございます。設備会社から受入れた従業員の諸君も千数百名おるのですが、年々電話技術が進歩して行く。従つて職場訓練といいますか、そのときの技術に応じて訓練をする。あるいは学園に入れて一箇月訓練する。すでにPBX関係の従業員の訓練を経たものは約半数ぐらいおりますが、そういうふうに年々進歩して来る技術に応じた訓練を受けた従業員が当らなければいけない。そうした訓練を受けた技術者がこの工事に当られて、しもか工事をするときから、将来長い間の保守、交換のことも考えてやりますので、電話加入者に対するサービスの点から、この一元化すべしという私の主張の方がまさつておるものと信ずるわけでございます。電話は電燈と異なりまして、ちよつと引込線を引いて来れば、それで電燈がつくというような簡単なものでなくて、交換機、線路、末端の電話機、全部が全部一体となつて良好でなければ通話がうまくできませんので、どうしても一元化の必要があるというふうに考えます。一つ加入者の構内交換機の調子が悪いと、その加入者が困るだけではなくして、その加入者電話をかけて話をする相手方の加入者もえらい迷惑をいたす結果、通話全体が困難をして来るという技術的な面から見ても、一元化で工事、保守に当らなければならぬというふうに考えます。これが証明といたしまして、故障の率というものは、直営の場合におきましては、いわゆる自営の三分の一程度で済んでいるという点からも、この点は明瞭であると存じます。これに対しましていろいろな御意見もあると存じます。すなわち加入者が申し込んでもなかなか開通しなかつた、公社は予算のわくがあるから、自分の資金でどんどんPBXをつけたらいいじやないかという論もありますが、しかしこれは今までPBXのうまく行かなかつた理由は、PBXそのものの工事が遅れたのでなくて、むしろおもな原因は、かんじんの基本設備でありまする電話局そのものの不足、あるいは電話局の交換機、線路、中継線、こういうものの不足にあつたのではないかと存じますが、現に電設会社から受入れた当時においては、直営が全国で千三百九十件ございましたが、二十七年三月には四千四百四十六件、二十八年の三月には、まだ正確にわかつておりませんが、五千件を突破するのではないか。大体当時受入れたものと直営と半々くらいになつて来るというように、公社自身の直営によりましても全国の件数がふえて来ておる。また電設会社から受継ぎました老朽機械が非常に多い。これらの取替——これは公社自身の経費で行うわけですが、こうしたものにも鋭意当らねばならなかつたという点も、大きな理由であつたと存います。もちろん逓信省なり電通省当時の官僚的な手続ということもいなめないと思いますが、公社となりまして、手続の簡素化、資材の配備、またサービス・カーを設備いたしまして、迅速に工事、保守のできるようになれば、逐次要望に沿い得ると思います。従つて先ほど申しましたように、電燈線のように、ちよつと引込線を引けばいい、ラジオの受信機セツトを買つて参りまして一電燈のソケットにつつこめばすぐラジオが聞えるというような簡単なものではないのでありますから、かりに民営になつて自営されまして、なるほど商店なり旅館なりのPBXだけはできても、かんじんの電話局の設備、線がないために、PBXはできたがちよつとつながらないという現象が起きるのではないか。加入者の方は早く何とかしたいというので、PBXは急いでつけられてもかんじんの通話ができないという現象が起きて、かえつて加入者の方に迷惑を及ぼすのではないか。これこそ非民主的なやり方ではないかというふうに考えるわけであります。  それよりも建設資金は、後ほど料金問題においても触れたいと思いますが、一定のわくがどうしても年々生じます。しかしこの資金を一定の計画のもとに、これだけは電話局の基本設備に、これだけPBXにといつたぐあいに、計画的に行つた方がいいのではないかというふうに考えるわけでございます。公社は予算のわくが少いから、そういうPBXは民間の資金でやつて公社の方は基本設備だけやればいいじやないかという説もございますが、先ほど申し上げましたように、技術の統一を欠くという問題と、経費的に見ましても、二十七年度におきましては総額約四百億円くらいの建設資金のうち、PBXにつきましては十二億七千万円、約三%程度であります。この十二億七千万円も、甲増三万三千個、乙増四万四千個二十八年度でふえておるわけでございますが、こうした十二億は大した金でございますが、総体の建設資金から見れば、何パーセントという程度にすぎない。従つてこの建設資金を一定の計画のもとに、先ほど申しましたようにやつた方が、電話事業の発展のために私はよいものと信ずるわけでございます。  あるいはまた公社と民間と競争した方がいいじやないか、独善的で官僚的である、こういう御批判、御意見もあるかと思いますが、物品製造や商業面においては競争ということもございます。もちろん私ども独占欲を喜ぶものではございませんが、こうした商業面における競争というものはよいのでございますが、電話のような一定の標準を必要とし、技術の統一をしなければならぬという問題においては、たといいろいろな技術水準を設けましても、あるいはまた標準の規則をつくりましても、設計基準とか、公定の基準等ができる程度でございまして——もちろん私は民間の方を信用しないというわけではございませんが、従来の経験からいたしましても、さらにまた世界各国の例を見ましても、やはり統一した電話の機械、線路、運営というものは行われないというふうな大きな心配を持つものでございます。しかもまた公社が一元化して行いますならば、将来公社の従業員自身が修繕に行き、また保守に行かなければならぬ、また公社自身が交換に関係するという点で、同じ経営体で工事をする場合とそうでない場合とでは、人情といたしまして、おのずから大きな差異が生じて来るのではないかと存じます。現に電話設備会社から電通省に、従つて電電公社に引継ぎました従業員諸君は、技術者だけで千六百名おるわけですが、この受入れにつきましても、いろいろと不利な労働条件等があつて問題になりました。公社に参りましてから、PBXを真剣に考え、電話事業を真剣に考えて、まじめな技術者として一致して反対しておることを申し添えておきたいと存じます。  あるいはまた加入者設備費を負担するが、所有権がない、譲渡なり売買ができない、こういう御意見もございますが、これは今度出ました施行法の三十条で、社債の引受ということができるようになつておりますので、この点は相当緩和されて来るのではないか。しかもまたかりに所有権がありましても、将来これが古くなつたり、こわれたりした場合には、自分の負担でやらなければならぬのが、これが公社の一元化であれば公社の方でやつていただけるわけで、そういう利便を考えましたならば、この論も当らないのではないかと考えます。  さらにまた自営を許すということになりますと、先ほど申しましたように、勢い公社なりが監督をしなければならない。昭和二十四年当時において、もしこれを民営にやらした場合には、五億円くらいの監督費がかかるということがいわれておりました。これは二十四年当時でございますので、今日でありますと、その約倍額くらいになると思いますが、そういう監督費を使うくらいならば、これをPBXの建設の方の経費にまわせば——これは昨年の二十七年度が十二億でございますから、それに値するくらいの監督費がいるならば、倍できまるわけでございますので、そういう方へまわすべきではないか。しかも私ども公社になりまして、逐次いわゆる前だれがけのサービスをするという気持になつて参りました。まだ不十分でございまして、国民各位には申訳ないのでありますが、昨年の参考人の方でもほめていただいた方もありまして恐縮いたしましたが、いたずらに監督権を持つということは私ども望んでおりません。せつかくこうした気持でサービスするのに、監督権を与えますと、やはり日本人の習性といたしまして、そこに監督権を振りまわす、あるいはまた私どもあまり名誉なことでございませんが、いわゆる電通省の汚職事件というものがあつて国民各位に迷惑をかけましたが、こういうことが再び起らないとも限らない。こういうような点からいたしまして、この監督の問題については、経費面、経営面から損であるということを申したいと存じます。  従つて私どもはこのような計画的に基本設備、PBXをふやして行く、こういう態度でございますが、私どもも電気関係の労働組合、電線関係の労働組合の諸君と日常連絡をとつておりますが、こういうように計画的にだんだん電話事業を発展さして行く、従いましてメーカーの方もそれによつてだんだん発展して行く、こういう日本経済の発展の仕方の方が正しいという点で、各労組の諸君からもこの点は賛意を得ている点を申し添えておきます。いろいろ申し述べましたように、世界各国を見ましても、官営あるいは民営で電話事業を行つておりますが、PBXを二元的に経営している国は、その例がないのでございます。しかもまた電電公社が昨年八月一日から発足したわけでありますが、この公社の発足の意義というものは、電信電話事業公共性を保ちつつ、かつ企業的、能率的に経営することが眼目であります。PBXを一元的に経営されるようになりましたのも昭和二十五年の五月からで、今日までわずか三年でございます。公社になつてからはまだ一年にもなつておりません。従つてせつかく企業的、能率的経営を行おうと努力して来ております公社なり、われわれ従業員の熱意をくんでいただきまして、私どもはこのPBX民営問題、自営の問題に、先ほどから申しております趣旨から、極力反対をいたすものであります。少くともいましばらくPBXを一元的に経営させていただいて、なお公社でできないというような十分な御批判があつた際には、また別途考慮していただいてもいいのじやないかという点までも考えていることを申し述べまして、この点の意見といたしたいと存じます。  次に、電信電話料金改訂の問題でありますが、これは本質的に政策の問題であり、政府の通信政策の問題であるというふうに考えます。今日特に電話が引けない、かからないという非難、輿論があるのは周知の事実でありますが、私どもも労働組合といたしまして三年前から、建設的な電信電話再建運動を展開いたしております。昭和十六年に百六万個の電話加入者がありましたが、戦災等のために昭和二十年には約半分以下になつて、爾来逐次復興いたしまして、現在では百五十五万個となり、昭和十六年に比較いたしまして約一五〇%と増加して参りました。しかもなお電話に対する需要、電話を引きたいという方々が八十六万、潜在需要を合せますれば、二百万程度あるのではないかと存じます。このように電話が引けない引けないという非難を、現場で働いております電話局の窓口の諸君や交換手の諸君が集中的に受けておりまして、私どもこれは何とかしなければならぬというふうに考えているわけでございますが、何と申しましても、われわれには経営権もございませんし、経営管理の面で交渉する権利もないわけで、はなはだ遺憾でございますが、問題は建設資金の点にあるのではないかというふうに信じます。今回の料金値上げにより、増収額は二十八年度において百三十四億ですが、これが老朽施設の特別償却、再評価による償即費増額、保守強化の経費、これらはともかくといたしまして、建設改良工事繰入れ七十六億がありますが、問題はこの建設資金の点にあると存じます。御承知のように電話拡張のための建設資金は、二十八年度の不成立予算では預金部運用資金により四十億の値入れがあつたのに、これが今回ではゼロになつておる。電信電話債券の発行は、百四十八億が約半分の七十五億に減らされております。従いまして公社経営者といたしましては、ただいま申しましたように、電話は何とかしなければならぬ、電信電話復興五箇年計画も立てられております。これは毎年七百億ないし八百億くらいの建設資金を必要といたしますが、こうした計画も画餅に帰してしまう、不成立予算でさえも、編成された内部資金、外部資金合して四百六十億の建設資金でも、五箇年計画はその半分ちよつとしかできないのに、さらにその上縮小されましては、一般の要望にこたえられないとして、公社経営者とされましては、やむにやまれぬところから二五%の料金値上げということになつたのではないかというふうに理解をいたすわけでございます。電話の施設の改良電話の拡張、こういう熱意については私ども労働組合といたしましてもまつたく同感でございます。また社債の借入金あるいは運用部資金の利子、これらのものを返済しなければならぬ、償還金を必要とする現在の経済態勢からいたしまして、これらのものが必要となつて来るという点も了解できるのでございますが、建設資金そのものを料金値上げでまかなうという今回のやり方に対しましては、きわめて安易な道ではなかつたか、かような意味におきまして反対をいたすものであります。  しかしながら私はその前提といたしまして、政府に一貫した電信電話政策、もつとしぼつて参りまして、電話の復興に対する熱意があるかどうかという点を疑うものでございます。少くとも理解のない政府の態度につきましては、はなはだ遺憾に存じます。建設資金の面にしましても、昭和二十六年度に運用部資金から百六十億、昭和二十七年度に同じく百三十五億出ましたが、これでも当時の事情では焼け石に水の程度でありましたが、さらにこれが先ほど申し上げましたようなぐあいになつて来ております。私が申すまでもなく従来国会におきましても、また参考人の各位におかれましても、政府資金による建設資金の増額が要望されております。国会におきましても決議されて参つております。最近では第十五国会におきまして、電話設備負担臨時措置法の成立の際、参議院の附帯決議といたしまして、その点が決議をされておりますが、これが少しも政府によつて実行されていないというのが実情でございます。従いましてはなはだ言い過ぎであり、僭越かもしれませんが、運用部資金から何億建設資金へ持つて来る。従来のような抽象的な決議でなくて、具体的にこれを持つて来る、その上で料金をどうすべきかというように、委員各位にお願いいたしたいというように存ずる次第であります。しかも御承知の通り、昭和九年から十九年までの間、一般会計ないし臨時軍事費に対しまして、合計十二億三千万円、現在の額で参りますれば、二千五百億円から三千億円というものを繰入れて参りましたが、これらの通信事業というものが、一般会計なり戦争遂行のための犠牲になつて来ておる、こういう過去のいきさつもございます。もちろんこの益金繰入れの点につきましては、第十三国会におきまして、国会の多大なるお骨折りを得まして、益金繰入れはなくなりましたが、今日の電話の復興を見ますれば、政府としてはこういういきさつもありますので、もう少し積極的な態度があつてしかるべきかというふうに考えます。  さらにもう少し詳しく申し上げますと、電信電話事業に完全なる独立採算制と申しますか、プール計算的な面が強要されておりますが、ここにも問題かあると思います。たとえば電報におきましては、昭和二十六年度において九十六億の赤字が生じております。しかし電報につきましては、その性質上、世界各国赤字であるのが通例でありまして、特に日本の場合は、どんな山間僻地へでも電報が打てないところはないという、きわめて公共性を発揮しておるわけであります。また郵政省の特定郵便局、大体主として地方の町村でございますが、この特定郵便局で取扱う電報、電話は、郵政省と電電公社との間の協定によりまして、特定局で得ました電信電話の収入そのものは公社に入つて来る。取扱費はある一定の標準によつて公社から郵政省へ支出するということになつておりますが、昭和二十六年度の決算においても、電信三十億、これは先ほど申しました電信全体の五十六億の中に入るわけであります。電信二十億、電話十五億の赤字を、公社の方がよけい支払つておるということになります。しかしこれは公共性のある電信や、いなかの電話といえども、赤字があろうと当然やらなければならぬと考えております。こういう事業の本質から当然扱うべきでありますが、そのほかこれは額は大したことはありませんが、船舶通信に対する海岸局の通信、こういう公共性から来る赤字については、かはり一般会計なりから補填することが必要ではなかろうか、これらの補填がないために、他の料金からこちらへまわすということになつて来るという事情もあります。また今回九州地方に大水害が起りましたが、電信電話係の被害は、今まで判明しただけでも大体二十五億円突破するというふうに聞いております。従来でもそうでございますが、こうした災害に対してはいずれ予備費等で復旧貝が出ると思いますが、これは結局公社自体が自前でやるということになります。道路その他の被害のように、もちろん電話電話は道路とは比較になりませんから、国家の災害復旧費で復旧するとか、補助があるということは相当問題があると思いますので、強くは申しませんが、こうした点がいわゆる電信電話全体の料金負担がかかつて来る、こういうこともあるという点を申したいのであります。  こうした通信政策をとつていただいて、その上で科学的な原価計算をとつた料金とか、あるいは先ほど申し上げておる一定の料金原則従つて料金の立て方、独立採算制ということになつて参りますれば、反対する面も少くなり、あるいはなくなるのではないかと思います。  最後に、最近電信電話事業に特徴的に現われて参りましたことは、まず本年四月一日から国際電信電話株式会社が発足いたしましたが、私どもは第十三国会公社法、国際電信電話株式会社法が審議されました際に、電信電話は国際、国内と切り離せるものではない、一元的に運営すべきであると、技術的、経営的な面から真摯な運動を続けましたが、遺憾ながら吉田内閣の資本主義的な政策からいたしまして、会社は発足いたしました。国際電信電話事業で年間十数億ないし二十億の利益があつたことは、当時の審議の過程から明瞭であつたと思いますが、このようにもうかる面が株式会社の民営に移されて、これによつて一部資本家の方方は利益となつておりますが、このしわ寄せがまた今度の予算案なり、料金改訂へ来ておる。資本主義政策の矛盾というものが、現われて来る。こういう公共性に対する資本主義的な政策の矛盾がここに皮肉にも現われているということを強調したいと存じます。その他請負工事を大幅にやらせるとか、電信電話事業一つ一つを切り落して民営に持つて行くという傾向がありますが、その結果一貫した通信事業がくずれて、料金一般へしわ寄せがされて来るということになつて来ておる点も申し上げたいと存じます。  以上はなはだ雑駁でございましたが、電話をできるだけ増加し、現在のように電話の所有が一部に片寄り、せいぜい中産階級のわずかな人しか使用できないという現状から、次第にこれを大衆化しようとする点は了解できるのでございますが、建設資金そのものが即利用者負担になつて来るという点に問題があり、その点で反対をいたすものでございます。同時に建設資金の面、いろいろな面について一貫した通信政策と、積極的な政府の態度があつてしかるべきではないかという点を重ねて申し上げまして、私の意見といたしたいと存じます。
  50. 成田知巳

    成田委員長 参考人王氏に対しまして、質疑があればこれを許します。——質疑はないようでございますから、この程度にとどめます。  この際参考人方々委員一同を代表いたしまして、一言お礼を申し上げます。本日は御多忙中のところ、長時間にわたりまして、多年の御経験に基いた貴重な御意見を開陳していただきまして、法案審査の上に非常な参考なつたことを心から御礼申し上げます。  次会は公報をもつて御通知いたすことにして、本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十分散会