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秋草説明員 ただいま
総裁から
事業概要並びに
料金値上げの
趣旨について
説明がありましたが、私、
経理局長としまして、その補足をさせていただきたいと思います。
二十八
年度は、
公社発足してから完全なる第一
年度でありまして、前回の二十度に比べますと、いろいろな点におきまして、根本的な
改革が行われております。すなわち
経理面におきましては、
公社法が全面的に適用されますので、従来の長い間の
財務、
会計の
制度から離れまして、
公社法のみの適用を受けることにな
つたのであります。詳しく申しますと、私
どもの念頭の問題でありました
官庁会計からの脱却ができたとい
つていいのでありまして、
財政法、
会計法あるいは
国有財産法、そうしたものの
制約から脱却しまして、
公社法によ
つて一切の
財務、
会計が規制されるということにな
つたのであります。この点はわずかの経験でございますが、非常なる効果がありまして、私
ども会計に従事する
職員の一人としまして、非常に喜んでおる次第でございます。
さて、そうした根本的な
改革が行われました
あとに、本
年度の
予算ができるわけでありますが、今度の
予算につきましては、
公社法にございます通ら、今までと違いまして、
公社の
企業活動につきましては、主として
内部統制にまかせる。従来の
歳入歳出予算、
款項目節によ
つておるところの大蔵省の
統制というものが、非常に大幅になくなりまして、内部的な
統制、内部的な自主的な
責任にまかせていただくということになりまして、大幅なものとしては、お
手元に差上げてあります
予算総則というものに、概括的な
拘束規定を設けまして、これに基いて細部的な
活動は
総裁に一任していただくというのが、法律の建前にな
つておるのであります。その点につきまして、私
どもは内部的には非常なる
責任を感ずるのでありまして、またこれに伴う諸般の内部的な
手続、
制度も整備しなければならないということにな
つたのであります。その点は、たとえて申しますと、
予算の
性格が非常にかわりましたので、
決算制度を徹底的に確立する必要がある。この点は数箇年前から着手しておりますので、やや満足すべき
手続ができるようにな
つたのでありまして、いわゆる
民間におきますところの
企業会計制度というものが確立できたと申し得ると思います。それから
会計監査につきましても、
内部監査の強化という点は当然私
ども自主的に考えなければならぬ問題とな
つておるわけであります。それから
予算につきましても、従来の
財政法的な
予算と違いますので、内部的な
予算統制を常時やる必要が生じて参りました。ことに
通信局にこうした
統制を大幅にまかせるということになりましたので、そうした
予算統制の仕方も考え、またこれを監督する方途も本社で行わなければならない、こういう迫も当然考えなければ、
公社法のできました
目的に沿わないのでありまして、非常なる
責任を感じておる次第であります。こうした考え方から初めて
予算総則をつく
つたのでありますが、それにつきまして
概略御
説明申し上げたいと存じます。
予算総則はお
手元に抜萃を差上げてございますが、まず十七条、十八条と申しますのは、いわゆる昔
財政法で
予算外国庫債務負担行為といつたものでございます。これの
内容は
財政法にうたわれた
性格と同じでありまして、要するに
予算にない
支出を前
年度に、たとえば二十九
年度に支払うべきものを二十八
年度中に契約なりそうした
債務の行為を行うことの許される範囲であります。それが十七条、十八条に掲げてございます。十七条にございますのは、建物を建てる場合、物をたくさん買う場合にも、
年度末に来
年度のものを用意するという必要から、そうしたお許しを得ておるわけでございます。十八条は風水害その他緊急なる場合にやむを得す
予算外に物を買つたり、その他の役務の契約をするというような必要から出た
一つの
規定でございます。
それから十九条におきましては、今まではいわゆる
財政法におきまして、
官庁予算として
款項目の
拘束というものは非常に厳正で、これの
流用というものはなかなかきびしか
つたのでございますが、こうしたことによ
つて企業活動というものはかえ
つて阻害されるという結果が生じておりましたので、
公社法の改正の大きな
目的はここにあ
つたのでございます。そこで今回
公社法にのつとりまして、この点は
役職員給与あるいは
交際費、それから
建設改良費の中の一部、あるいは
予備費、こうしたもの以外は自由である。しかしこの四つのものにつきましても、
郵政大臣の
監督機関の
承認を得て、これまた絶対
流用ができないものでもない。そうした場合には
監督官庁の
承認を必要とするということに、きわめて大幅な
弾力が与えられたのであります。
それから二十条は繰越しの問題でありますが、
財政法、
会計法時代の
官庁会計では、
予算の繰越しというものはきわめて厳正でございました。
特別会計法になりましてこの点は逐次
改善されたのでございますが、いまだ不満足でありましたのが、
公社になりましてこの点は非常に自由に
なつた。ここに
役職員給与、
交際費以外のものは、繰越しは自由であるということに相
なつた次第であります。
二十一条につきましては、これは
資金についての
拘束を
国会が付与しておる
規定でございますが、
資金について一時
借入金というのがございます。これは
民間で申しますところのいわゆる
運転資金のようなものでありまして、
事業経営の中途において金が足りない、
資本計画等においては一応目途はあるが一時、穴が明くというときに金を借りて来るという
最高の
限度が、百二十億ということにな
つております。百二十億円は借りてもなせば、むろんまた百二十億円が
限度になるわけでありまして、これは短期の借入れでございます。その次は、いわゆる
公募社債に対する
限度でありまして、これは七十五億を本
年度は御審議を得ることにな
つておるのでありますが、
一般の銀行、
証券業者の
引受によりまして発行されるところの
公募債の
限度が七十五億であります。そのほかもう
一つは
加入者の
引受、それから
専用線の
引受、
受益者負担、こうしたものの
限度額を八十五億としてございます。これについて、一言御
説明を加えますと、この八十五億につきましては、
収入支出の
予算におきましては四十八億を計上しておるのでございますが、八十五億との
差額はいわゆる
弾力条項でございます。従いましてその
差額の三十七億というものは私
どもの
企業努力によ
つて、
加入者の
増設、あるいは地元の
債券引受が可能なれば、それだけの募集は許されるという意味でございます。それからその次に
あとの方に、
電信電話債券の
発行差額について特別な例外が認められておりますが、債券を募集します際に額面発行ができないで、たとえば九十九万円というような発行をするという場合に、多少
資金調達に穴が明くわけでございますが、その分は
資金の調達使用額まで発行を許されるという意味でございます。
二十二条の方は、一応
収入支出予算において私
どもの
企業活動の大幅の規制は受けておるのでありますが、
事業の量が非常に多くなりまして、それに伴
つて収入も多くな
つて来る。そうした場合には
事業の
活動に応じて、
郵政大臣の
承認があれば、その
増加する
収入の一部を
事業活動の
支出に使
つてもよろしいという
規定であります。これがいわゆる
支出額に対する
弾力条項と申してもよいかと思います。
それから二十三条は、
公社法におきますところの
財務会計制度について
一つの規制的なポイントとして
給与額というものが残されておるのでありますが、この
給与総額をここでうた
つておるのであります。私
ども従業員の
給与総額を、役
職員の業務手当その他あらゆる俸給、手当というものを一本にしまして、三百三十五億何がしという
総額を
規定しておるのであります。
原則として、
給与総額というものを逸脱することはできないのであります。ただ特別な例外としまして災害があつた場合とか、あるいは不時の業務事態が発生しまして、当然
支出しなければならないところの義務的な
給与基準を守らなければならぬという場合に、この
給与総額をオーバーするということが、
郵政大臣の
承認を得てできることにな
つております。それから二十三条の後半の方に
一つ特別な
能率向上対策のための
給与が認められておるのであります。これも電気通信省時代の後半期におきまして試みられた
制度でありますが、これを
予算総則に明らかにうたうことにいたしまして、私
どもの
事業活動の
能率の
向上によ
つて収入が
予定より
増加して来た、あるいは
従業員の努力によ
つて経費が非常に
節減することができたという場合には、その
増収額なり
節減額なりの一部を、
郵政大臣は大蔵大臣と協議の上、
従業員に還元するという
規定でございます。いわゆる特別な
給与と申すものでございます。
二十四条は臨時の
給与と申すものでありまして、経済事情の変動とか、予測することのできない事態が突発しまして、どうしても臨時の
給与を支給しなければならない、これはいわば
給与の
予備費とい
つてもよろしいかと思いますが、二億ほどございます。
二十五条は当然な
規定でありまして、私
どもの勘定は
損益勘定、
建設勘定、資本勘定、それから貯蔵品割掛勘定、工作勘定、この五つの勘定にな
つておるのでありますけれ
ども、この貯蔵品割掛勘定、工作勘定と申しますのは、
民間企業で申します中間勘定であります。貯蔵品割掛勘定と申しますのは、物品を調達するための一切の
経費であります。調達に要する
経費はむろんのこと、輸送、倉庫保管、整理、梱包、そうしたものに要する一切の
経費を一応貯蔵品割掛勘定から出しておるのであります。こうしたものは結局は
損益勘定なり
建設勘定に転嫁されて通り抜けて行くのであります。工作勘定は、全国に私
どもの工場がございまして、修繕をや
つております。その修繕の工作をこの工作勘定で一応しぼるわけでありまして、その工作工場におきますところの工作
活動をここの勘定に一応掲げまして、結局これは
事業の保全なり
建設のために使われるのであ
つて、すべてそこに流れて行くのであります。
従つて中間勘定であります。そうしたものでありますがゆえに、ここに掲げております勘定の数字は、むろん必要に応じて多少超過してもさしつかえないのでありまして、これは
事業の
会計原則から当然のことでございます。
最後に二十六条に書いてあることは、私
どもは物を買うことは現在
予算上の
拘束は別に受けないのであります。
資金計画として認められている範囲において、最も合理的な物の買い方をすることは必要なのであります。幾ら幾ら買えということも必要でなければ、幾ら以上買
つてはいけないということも企業から考えればおかしいのでありまして、品物を最も有効に回転させるということに尽きるのであります。しかしながら現在の段階では
年度末にな
つて百五十億以上の貯蔵にな
つてはならぬという、ここに
最高の
限度をしかれておるわけであります。やむを得ざる事態が起きても、ここまでしか保有はいけないという
規定がございます。そのほかに、一番最初の十七条に申しましたいわゆる來
年度の
予算のために物を買
つておく金額というものも、それぞれ物品につきましては五十億、本
年度の二月、三月ごろに来
年度のために用意することのできる金額は五十億、それから建物その他の
建設を契約しておくということも三十億は許されるだろうというのが、
予算書の数字としては表われております。
以上をもちまして総員の概要の
説明を終りたいと思いますが、なお
手元に差上げましたところの数字について御質問がございますればお答え申したいと思いますが、今回の大きな問題としますると、先ほど
総裁が
説明申し上げましたように、
料金改訂が大きく
収入面に反映いたしまして、そのために
建設勘定の
資金計画に大きく今までとはかわつた
性格が現われて来ております。
料金問題につきまして、なぜその必要があるかというようなことは、詳細
総裁から御
説明申し上げましたので、私からは省略さしていただきます。ただここで特に
減価償却の問題について二言だけ申し上げておきますと、従来私
どもの前身、電気通信省あるいは逓信省におきまして、八十年の電気通信
事業の固定資産の維持が行われていなかつた。怠
つて来た。と申しますのは、
減価償却制度というものを採用いたしましたのは
昭和二十四年の電気通信省にな
つてからでありまして、その以前におきましては、こうした
民間におきます資本の実態を維持するという
会計学的な
制度は採用されておらなか
つたのであります。最も原始的な取替補充という
制度で行われて来たのでありますが、その
制度も絶無ではないのでございますが、きわめてわずかの取替補充であつたわけであります。今日まで資本維持をしなかつた欠点が来ておると申して過言でないのでありまして、そのために一挙にこれを取返すということは、非常なる一時的
経費負担になるわけでございして、特に特別償却のごときものは、大体二百三十五、六億のものを急いで今すぐにでもしなければいけないものがあるのでありますが、これを一挙にやるということは非常に大きな
料金負担になるというので、大体十年でこれを早く片づけようという考えが
一つあります。それからも・
一つは、資産を再評価いたしまして償却する、償却費を換算するということは当然でございますが、これも一応前庭までは、
昭和十四年の六月現在の、いわゆる
民間で申します再評価法の基準にのつと
つてや
つて参
つたのでございますが、その後の物価変動もかなりはげしくありましたので、大蔵省と協議の上、一応二十六年三月現在までの変動にあらためて基準を置きまして、ここに最も合理的な再評価を一応考え、それにのつとつたノルマルな
減価償却費を計上したということがあるのであります。そうしたものを
合計しまして、年間百九十一億ほどの
減価償却が見込まれたのでありますが、この程度でも実は長い間の資本維持を怠
つて来たことを取返すことは十分ではないのであります。大体大きな問題について御
説明を終りたいと思いますが、何か御質問があつたらお答えをいたしたいと思います。