○
春日委員 なお
一つ、二つ補足させていただきたいと思うのでありますが、その大要はただいま
山手さんから御
説明いたした通りでありますが、なお今
河野銀行局長の御見解と対照いたしまして、
提案者としての意見を述べさせていただきたいと思うのであります。
ただいま
福田委員の御質問の中には現在
消費生活協同組合や
事業協同組合、その他の
組合が行
つておる
保険行為、これを
保険類似行為として考えておられる向きもあるように思うのであります。しかしながら
保険類似行為ということになりますと、これは
保険業法に違反をしての行為ということに相なるわけでございまして、これは当然
大蔵省の取締りの
対象となるべきものであろうと思うのであります。しかしながらこの
消費生活協同組合の諸君が行
つておるその
保険行為は、そこにうた
つております通り、これは明確に
火災を救済する救済行為ということに考えておりまして、それらの諸君がたとえば
中小企業者であります場合に、その住居とかあるいは商品、これがやはり
一つの生活の手段である、生活手段を
火災から防ぐために即
共済の措置を講じて行く、こういうことはやはり
消費生活協同組合の
組合法の目的とするところの一要綱を果しておる、こういうふうに考えて、必ずしも
保険業法において指摘しておるところのいわゆる不特定多数の人々を
対象とする
保険事業の類似行為というふうには彼らは考えていないと思うのであります。さらにまた
事業協同組合の諸君が、ここに述べております通り七十条第一項第三号に
関係する「
組合員の
福利厚生に関する施設」、ここの中にはやはり
組合員がそういう
火災が起きた場合、その
組合員同士の醵金を蓄積することによ
つてその災害を補填する、このことはやはり
保険業法が指定するところの不特定多数の諸君の加入を求めて、そして一般的には
火災保険事業としてこれを行うものでない、こういう主張の上に立
つておるわけであります。しかしながらこれは
社会的には必ずしもその意見が受入れられてはおりません。
消費生活協同組合の
共済保険にいたしましても、
事業協同組合の
福利厚生的な
保険事業にいたしましても、これは多分に
保険業法に言う
保険行為とはなはだしく酷似いたしておりますので、
従つてこの問題に対して明確なる終止符を打つ必要がある、明確にこれを解明する必要があろうではないか、こういうような
行政当局の
考え方もあろうし、また当事者たちの不安もありますので、この機会に彼らがみずから進んでそういう
立法を行
つてもらいたい、
法律に準拠してこういう仕事をして行
つてお互いの生活の安定をはかりたい、さらに
事業の
経営の確保の道を講じて行きたい、これがこの
立法提案の理由の骨子に相なるものであります。
そこで現在行われておるところの営利
保険を一体
提案者はどう思うかというお考えでありますが、これは申し上げるまでもなく、現在のこの
保険の国内におきまする歴史がすでに六十何年をけみしました今日、その普及率が十七、八パーセントにしか達してない、すなわち八十何パーセントの諸君が未
保険者の状態に、危険な野ざらしの状態に放置されている。この原因は一体どこにあろうか、問題はここでございます。そのことは
保険料率がはなはだしく高い、
従つてこれに加入することが困難である、こういうことになろうと思うのでございます。現在の諸外国におきまする一般的な
傾向をあわせて
調べてみますと、アメリカにおいては二〇〇%、イギリス等におきましてもその普及率ははなはだしく高いものでありまして、日本のような十七、八パーセントの低率というのは、やはり
火災保険会社が行
つておるところのあの
料率算定法の、独禁法を排除してまで行われておるところのあの
料率がはなはだしく高いので、大衆がこれに
保険を付することができないという問題がここにあろうと思うのであります。従いまして
組合員の諸君は安い
保険料でも
つてそれにひ
とつ加盟して、万一
火災が起きた場合にはお互いの蓄積によ
つてそれを補填しようということにあるのでございますから、こういう十七、八パーセンという普及率の現実からいろいろ付度いたしましても、やはり営利
会社によ
つて取残されておる分野を何人かによ
つてそれを果さしめる、そういう任務を負うものはこの
協同組合であ
つてさしつかえないではないか、こういうふうに考えられて来るわけであります。
なおただいま
銀行局長が中金に対して再
保険の義務を負わせるということは、これはその
損失を国家が補填するという
立場において国家
保険のきらいがある。このことは一般営利
会社が純コマーシヤル・スケールによ
つて商売を行
つているのに、一方国家
保険的性格をも
つてこれに対立するということであ
つて、既存の
会社の
利益をはなはだしく損ぜしめる結果になりはしないか、こういう御懸念あるやに拝聴いたしたのであります。私
どもこれを政策として
立法化するにあたりまして、やはり
中小企業対策としてこの問題をあわせて考えているのでございます。現在
中小企業が
金融梗塞で悩んでおります。さらに有効需要の減退から来るところの
経営困難に陥
つていることは先般来の
審議によ
つてお互いにこの点を明確に痛感しているのでありますが、従いましてあらゆる政策を通じてこの
中小企業者の
経営の困難性を救済しなければならない。従いまして多少国家
保険的性格を帯びることがあつたとしても、この
中小企業の
経営の困難を救済するところの対策として私
どもは怯懦であ
つてはならぬ、かくのごとく考えている。たとえば国家
保険は木造船に
保険が付せられ、あるいは農業災害に
保険が付せられ、水産、森林その他いろいろ国家
保険は他にもあるのでありまして、今日
中小企業の危機に臨んで
中小企業だけにそういうようなにおいを持たせ、これを排除すべきだという理論は私は成り立たないのではないかと考えるわけであります。
さらに本
保険の
立法者である私
どもの
考え方の中には
料率を安くすることと、そこでプールされたところのそのお金を、
保険料の蓄積を、これは
中小企業のための資金としてこれを流したいという
考え方があるわけでございます。
山手さんが今御指摘されましたように、
保険会社は大衆から集めた金を大
企業に偏重して流している、さらにこの問題はひとしく
地域的にこのことが論じられなければなりません。たとえば大
企業の存在しまする
東京あるいは大阪、この地帯に
全国から集まつた
保険料がやはり重点的に流されるわけであります。従いましてこの
法律の中には
地域的と
業種別の二つの
考え方がありますが、
北海道で集められたところの
保険料は
北海道の
中小企業の福祉のために使われてはどうであろうか、島根県で集まつた金はその地帯へ、こういうぐあいに
中小企業が出した金は
中小企業へ、同時にその地帯から集まつた金はその地帯に流して行
つて、その
地方における
中小企業者あるいはそれぞれの生活者の協力によ
つてお互いの福利、公正な福利を受けて行こう、こういう希望がその中に込められているわけであります。どうかそういう意味合いにおきまして、本
法案につきましては、なお
通産委員会等において中崎さんの
研究を中心といたしまして、幾多の欠陥があるということはすでに指摘された通りでございまして、そのことも
立法技術を持たない
議員といたしましては、当局からいろいろな指摘を受けてさらにこれを改めることに何ら躊躇するものではないのでございます。
さらに先般来
通産委員会の
理事諸氏の中におかれまして、さらに完璧を期するための
検討が進められているやに伺
つているわけでございます。そういうわけで私
どもは原案を固執するものではございませんが、しかしこれは必ずしも粗雑な原案というのではないのでありまして、中金によ
つて国家
保険をせしめるという点につきましても、これは中金が
中小企業に対する融資機関であるという点においてクローズされているわけであります。御
趣旨の発展に伴いまして、
提案者の中におきましても必要な点は十分修正をいたしまして完璧なものに仕上げてこれを国民にお贈りしたい、こう考えておりますからどうぞよろしくひ
とつお願い申し上げます。