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1953-08-04 第16回国会 衆議院 通商産業委員会大蔵委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月四日(火曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    通商産業委員会    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 福田  一君    理事 長谷川四郎君 理事 永井勝次郎君    理事 伊藤卯四郎君       小川 平二君    土倉 宗明君       笹本 一雄君    山手 滿男君       齋木 重一君    井上 良二君       中崎  敏君   大蔵委員会    委員長 千葉 三郎君    理事 内藤 友明君 理事 佐藤觀次郎君    理事 春日 一幸君       大上  司君    大平 正芳君       黒金 泰美君    藤枝 泉介君       福田 繁芳君    神戸  眞君       小川 豊明君    平岡忠次郎君       福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局保険課         長)      狩谷 亨一君         通商産業委員会         専門員     谷崎  明君         通商産業委員会         専門員     越田 清七君         大蔵委員会専門         員       椎木 文也君         大蔵委員会専門         員       黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案  (山手滿男君外十一名提出衆法第一七号)     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより通商産業委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。  通商産業委員長であります私が委員長の職務を行います。  本日は、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず提出者より提案理由説明を求めます。山手滿男君     —————————————
  3. 山手滿男

    山手委員 本法案はすでに通産委員会で屡次にわたつて審議をしておりますが、大蔵委員皆さん方にはまだ正式に御説明申し上げておりませんので、さしあたつて提案理由説明をいたします。  終戦後七年有半をけみしまして、待望の独立を迎えましたが、政治上の独立を確立いたしますためには、経済自立裏づけが必要であることは、贅言を要しません。  このためには、わが国経済の基盤を形成するところの中小商工業に対して、その育成振興を強力に具現いたさなければならないこともまた多言を要しないところであります。  しかるに、わが国中小企業は、資本力が脆弱であるのみならず、経営、技術の面においても不合理な点が多く、かかる欠陥が循環的に資本力の脆弱さを倍加いたしておるのが実情でございます。  従つて、国内外の経済情勢の変動の影響を最も敏感に受けやすい立場に置かれながら、財政、金融税制等中小企業を囲繞する外的な諸条件合理化に努力しなければならないと同時に、中小企業者自身もまた相互扶助精神に基く協同組合組織し、団結の力によつて企業経営内容健全合理化をはかるための自立的、積極的な努力をもいたさなければなりません。  この組織化協同化に関する基本法として生誕いたしました昭和二十四年法律第百八十一号中小企業等協同組合法は、いわば中小企業基本法典とも申すべきものでありまして、公布以来三年有半本法に基く中小企業者組織化は着々として進捗いたし、その間、法の不備を補い、短を改めて、今日に至つたのであります。  しかるに組合員相互自家保険に関しては、戦後の損害保険業者の独占的かつ高率保険料強化の重圧より免れんとする中小企業者自己防衛的手段として、爾来各地保険組合運動、特に火災共済運動が、消費生活協同組合法に準拠し、あるいはまた中小企業等協同組合またはこの連合会附帯事業として営まれ、または営まれんとする形勢が生じて参つたのであります。  このことは本法制定当時、関係者の間で、本法第七十条第一項第三号の事業協同組合事業中「組合員福利厚生に関する施設」の解釈につき、組合員相互保険に関する事業を包含するやいなやについて相当の論議があつたのでありまして、中小企業者の意図する相互協同精神画龍点睛を欠いたうらみを持つたまま今日に至つたのであります。この際、現行法規のあいまいな表現を一働し、中小企業等協同組合法中にあらためて火災保険組合及び火災保険中央会に関する条項を追加改正せんとするのが、本法律案提出趣旨であります。  次にその大要を申し上げます。  第一に、保険組合は、地域組合及び業種組合の二種であります。これは保険そのものの性質から考え、危険の単位地域を現在の行政区域にまで拡大し、リスクの分散をはからんとするのがねらいであり、業種組合は、業種ごと全国地域として、それぞれ一個とするものであります。  第二に、組合員の資格に関しては、農林畜水産業者を除く中小企業者及びその従業員対象とし、員外利用を認めない方針といたしたのであります。  第三は、中小企業者範囲の限定でありますが、これは、中小企業等協同組合法に規定する中小企業者範囲と同一といたした点であります。  第四は、保険の種類でありまして、これは人の生命または身体に関する事故による損害を除き、火災によつてこうむる損害を補填するための相互保険事業保険組合が営むものであります。  第五は、保険組合は、出資組合である点でありまして、その出資総額限度を百万円以上と規定しており、一組合員保険契約保険金額最高限三百万円と制限しておることであります。  第六の点は、商工組合中央金庫法の一部を改正し、商工組合中央金庫をして、火災保険組合保険に対する再保険を引受けせしめることとし、再保険引受けによる損失は、国がこれを補償することといたした点であります。  第七の点は、保険組合に対する監督は、通商産業大臣の所管とし、その保険事業については、保険業法適用除外といたしたことであります。  以上が改正案の主要な点であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 大西禎夫

    大西委員長 以上をもつて提出者提案理由説明は終了いたしました。これより質疑に入ります。質疑の通告がありまするから、これを許します。福田赳夫君。
  5. 福田赳夫

    福田(赳)委員 本法律案政府行政の中でも、特に技術的にも困難である保険問題に関しまして立案ざれたものでありまするが、立案者の御苦労につきましては、多大の敬意を表しておるのであります。この法案が立案されました社会的背景と申しまするか、これを刺激したものが二つ私はあると思う。その一つは、いわゆる類似保険という現象が、最近相当手広く行われて参りまして、一つの動かすべからざる社会的存在となつて来たという問題であります。それからもう一つの問題は、これは現在の保険会社というものが相当もうかる。さようなもうかる事業でありますれば、これは中小企業者が集団をなして、これと同種の事業を営むということ、また場合によりましては、それよりもさらに低率なる保険料をもちまして、この火災の災害を予防し得るんじやないかというようなところにあるように思うのであります。  まずこの提案者に、私もあまりよく知らないのでお伺いしてみたいのでもりますが、この類似保険につきましては、提案者はどういう生態をとつておるか、相当検討されたのじやないかと思うのであります。私どもこれが相当範囲に伸びつつあるということは聞いておるのでありますが、一体現在どういう状況になつておるものであろうか、またこの類似保険というものの動き方いかんによりまして、この組合保険制度が将来どういうふうに動くか、どういうふうに立ち行くかというようなことに非常に参考になるんじやないか、こういうようなことから、類似保険に関する現状をお調べなつただろうかどうか。なられましたならば、その概況についてひとつお話願いたいと思います。
  6. 山手滿男

    山手委員 ただいま福田委員からお話がありましたように、最近各地類似保険と申しますか、消費生活協同組合法等に準拠いたしまして、いろいろな実質的には火災保険業務をやつている組合各地にたくさんできております。最も大きくしつかりしているものは、北海道のそれであるとか、あるいは愛知県のやつているもの、あるいは今日岐阜県、三重県、福岡等で計画をされて、どんどん地域的に類似保険をやろうという動きができております。たとえて言えば、東京都には生活協同組合都民共済会というものがございます。もう一つ東京都には生れておるのでありますが、こういうものは、なかなかしつかりしておりまして、どんどん業績が上つて行きつつあると私どもは思つております。またこういう地域組合とは別に、全国的にお酒屋さんの組合とか、タバコ屋さんの組合特定郵便局長さんの組合、あるいはふろ屋組合、そういうふうなものが全国的な規模において自分たち業種のものだけが集まつて、こういう類似保険をやつている。しかも相当成果を上げている、こういうことが言えると思います。
  7. 福田赳夫

    福田(赳)委員 何かさようなものにつきまして、ここにどういう内容になつており、これか大衆の損害を補償する結果として間違いない制度になつているかどうか、さようなことについて御検討の結果がありましようか。
  8. 山手滿男

    山手委員 ここに私は資料として持つて来ておりますのは、北海道共済商工協同組合設立趣意書やいろいろな解説の問答集というようなものもございます。それから東京都民共済会共済事業規約もございます。愛知県の事業規約や定款、そのほかたくさんございます。今申し上げました全国的な組織でやつておる業種組合には、代表的なものは特定郵便局長消費生活協同組合、それから塩の関係、砂糖の関係全国食糧事業協同組合連合会のやつておるもの、タバコ組合のやつておるもの、非常にたくさんございます。このこまかい数字がもし御入用でしたら、非常にこまかい数字でございますので、後ほどプリントにして差上げてもよろしゆうございますが、一応……。
  9. 福田赳夫

    福田(赳)委員 大体私は、こういうことを見て行きたいのです。そういう類似保険におきまして、保険料収入というものに対しまして、大体その保険金というものをどのくらい払つておるか。これが一つ保険事業としてこれを見て行く場合のバロメーターなんです。これは一体どういうふうになつておるか。最近新しく発生して来たそういうものは、どういう状況であるかということをよく頭に入れておきたい、さような趣旨なのであります。
  10. 山手滿男

    山手委員 今の全国的な業種組合について言いますと、タバコ生活協同組合では、一口給付金十万円でありまして、一口掛金が三百五十円というふうになつているものであります。全国的には組合員が六万余りもある。それから特定郵便局長の方は、一品の給付額が五万円で、百二十円の掛金、それから塩の方の関係は十万円で三百円、それからお酒屋さんの方は、やはり十万円で三百円、食糧事業関係の方は五万円で二百円、そういうふうにいろいろこれはこまかい計算で、純保険料幾ら附加保険料幾らという考え方でなしに、大体の計算でいろいろやつておられるようでありますが、春日さんがおられますから、愛知県の実情を具体的に御説明を願います。
  11. 春日一幸

    春日委員 ただいま業種組合について、山手さんから御説明がありましたが、私は地域組合のあり方について、その生態について概要をお話申し上げたいと思うのでありますが、愛知県におきましては、先般、ちようど一年ばかり前でありますが、消費生活協同組合の形において、共済保険を行う組合ができております。そこで、それはもとより三百万円の資本金で出発をいたしておりますので、当初火災が起きました場合の支払いの能力がございません。従つて保険者利益を擁護いたしますためと、同時にその保険勧誘裏づけとなるものが必要となるわけでありますから、そこで愛知県の地方自治団体予算外義務負担によりまして、三千万円を限度としてその組合火災による損失を払うことができない場合においては、県がこれをかわつて代払いを行う、こういう条例を設定いたしまして、その消費生活協同組合による共済保険、これに裏づけをいたしておるわけでございます。爾来まだ一箇年しかけみしておりませんが、この間において五十万円、それから六十万円程度火災が二回ほどございましたが、この運動は非常に順調に進んでおりまして、現在のところ月にかれこれ百万円程度保険料収入されるような状況にございます。しかもそのことは、月とともにその成績が上昇の傾向をたどつておるわけでございます。これはもとより愛知県下一円を対象とするものでございまして、従つて現在のところはなお創業早々でありますから、十二分の成果を収めるに至つておりませんが、今ここ二、三年をいたしますならば、相当大きな成果が上るのではないかと考えられております。  なおお尋ねになつておりますその組合保険料率と、それから現在の保険会社料率との比較でありますが、これには大体科学的な資料というものもいろいろ参酌はいたしておりますが、当時における保険料の大体半額というところを腰だめといたしましてスタートをいたしました。これはやはり火災が起きたときに、みずからそれを補填し得るだけの保険料が蓄積される必要がありますので、不当に安いということは、お互いにその組合を防衛する立場においてこれを避けまして、それかといつて、それが高いものでありますならば、新しく共済制度によつて保険を行う意味を喪失するわけであります。従いましてその当時、と申しますと、現在の下げられた保険料、これが二割ばかり下つておりますので、二割高かつたころの半額、こういうことでございます。現在におきましては、なお三割何がし安い状況において保険料が徴収されておる、こういう形でございます。  なお一言附加いたしますが、愛知県におきましては、大体ここ三年間の統計によりますと、愛知県から保険会社へ納まるところの保険料が、年間を通算いたしまして、十二億ないし十五億に上つております。しかし火災によつて愛知県下に保険会社から払われるところの保険金が大体一億四、五千万円、こういうふうなデータが上つております。従いまして事務費その他いろいろなものをそとへ加えたといたしましても、愛知県だけから考えましても、年間十億円にわたるところのその保険料というものが、あの地方から保険会社十八社の嚢中に入つておる、こういうような推算が成立つわけでございます。従いまして地域によりまして、火災がしばしばあるところと、火災の率の非常に少いところとによりまして、おのずから保険料率の算定には、それぞれ差異を付するの必要があるのでございましようが、愛知県の場合におきましては、火災保険会社が定めているところの保険料率よりも、半額の保険料率で十分やつて行け、なお本日までさした大きな火災もございませんので、百四、五十万円の支出をしたにとどまつております。一方月に百万円程度保険料が現在入りつつある、こういう状況にあるわけでございます。
  12. 福田赳夫

    福田(赳)委員 愛知県の状況は大体わかつたのでありますが、その他のところで、ただいま春日さんのお話のような保険料金収入と、その会社保険金支払い額はどうなつておるか、こういう状況をお調べになつたのはありましようか。
  13. 山手滿男

    山手委員 東京都の都民共済は、大体一千円について四円ぐらいとなつております。北海道の場合は、少し違つておるのでありますが、北海道の場合は、いわゆる保険料としてとつておるということでなしに、割りもどしをするという条件でかけさしておりますので、少しかつこうがかわつておりますが、そういうことについていろいろこまかい資料がございますから、後ほどプリントにさせます。
  14. 福田赳夫

    福田(赳)委員 私が伺つておるのほ、今のような料率自体もありますが、今春日さんに伺つたのはそういうことではないのです。経営内容に入りまして、大体保険料収入が、今できておる類似保険においては、どのくらいあつて、それに対して保険金支払いがその同じ期間にどのくらいあつたか、こういうような質問の趣旨でありましたが、資料でお出し願つてもけつこうであります。  それからこれは銀行局長に伺つておきたいのでありますが、さような類似保険というものが、どんどんできて来ておる、これは現在の保険業法あるいは中小企業協同組合法、こういうような見地から見て、個々的には一体どういう地位を占めておるものであろうか、保険業法によつて保険というものは他の保険会社以外は営むことができないことになつておるのじやないか。それから中小企業等協同組合法の構成におきましては、厚生福利範囲を出ることはできないのじやないか、こういうふうになつておると思います。一体どういうふうな考えをもつて、この問題に対処しておるか、これを伺いたい。
  15. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答えいたします。今お話のありましたいわゆる類似保険といいますのは、いろいろな形態がある。お話のように生活協同組合法に基く生活協同組合あるいは中小企業等協同組合法に基く保険あるいは農業協同組合、それから水崖協同組合、これはいろいろ実はあるわけでありますが、これらの規定は各法律でいろいろまちまちになつております。大体普通に書いてありますのは、共済事業は営めるというのが普通の形態であります。共済事業というものの限界がただ法律解釈からはなかなかむずかしいのでありますが、現在行われておりますような程度まで行きますと、これは共済という範囲を私どもは逸脱しておるのじやないか、従つてこれはやはり保険という観念からこの問題を考えて参らなければならぬのじやないか、かように考えております。従いまして現在の法制におきましては、そこの限界が実は非常にあいまいでありますので、私どもといたしましてはこの組合による保険事業というものの社会的必要性も十分にわかりますので、これらの点について法律上はつきりする措置は必要であろう、かように考えております。いろいろ専門家の意向を聞いてみましたが、今行われておるようないわゆる組合による共済事業は大体保険と考えるべきであろうというのが通説のように私どもは聞いております。
  16. 福田赳夫

    福田(赳)委員 保険だというようなお話でありまするけれども、そうすると保険業法と非常に大きな問題が出て来ることになると思うのであります。これは何かそういうものについて検査なり何かしたことがあるかどうか。検査したことがありますれば、その検査の結果どういう状況になつておるか、内容をひとつお話を願いたい。
  17. 河野通一

    河野(通)政府委員 今申し上げましたように、なかなかこの限界がはつきりいたしませんこともありまして、現在まで保険業法に基く検査は行つておりません。従いまして内容につきましては、私どもといたしまして、大体検査でなくて、間接的な資料としていろいろな調査はいたしておりますけれども、現実に内容等について検査をいたしたことはありませんので、責任のあるお答えが実はできないわけであります。
  18. 福田赳夫

    福田(赳)委員 どうも大蔵省金融行政をやつているやり方を見ますと、社会的なある必要な事情背景というものをもつていろいろ新しい金融制度というものが生れて来る。たとえば最近においては相互金融というものも出て来る、あるいは匿名組合による投資方式というものも出て来る、そういうものを黙つて、何か臭いものにはふたをしろというような態度をとつておるような傾向が非常に多いのじやないかと思う。この類似保険についても今何らの調査もしておらぬというようなところを見ると、同じような考え方をとつておられるようにも私は思うのでありますが、これは社会動きに応じていろいろなものができて来る。それには弾力性のある対処方針をとつて行かなければならぬかと思うのであります。こういう保険というようなものがどんどんできて来る、これを放任しておくということになれば、その議論を進めて行けば、何も保険業法というようなものはいらない。銀行局長保険業を監督する必要なんてなくなる。社会的な必要に基くいろいろなかような現象に対しましては、ひとつ弾力性のある考え方を持つて、常にそれにいかに対処して行くかということを考えて行くべきであると思います。  それで伺つておきたいのでありますが、この類似保険、これに関連いたし、またこれと相当深い関係を持つて今回議員からこういう法律案提案されたのでありますが、大蔵省といたしまして同じような仕組みのことを考えたことがあるかどうか、あるいは違つたことでもいいが、この類似保険に対してどういうふうに対処すべきかということについて真剣に考えたことがあるかどうか、これについてひとつつておきたい。
  19. 河野通一

    河野(通)政府委員 お話のようにこのいわゆる組合保険につきましては、私ども数年来非常に深く掘り下げて検討を続けて参つております。解散前の国会当時におきましても、実は私ども内部で一案を持つてつたのであります。それが解散等事情がございまして提案まで至りませんで、実は今回まで来ておるのであります。私どもといたしましても、今お話のように、これらの問題を放置いたしておくというつもりは毛頭ございません。ただ問題が非常に大きな、根本的な問題でもありますので、実は慎重に検討を続けて参つたのであります。これからだんだん広く行われるようになりますと、被保険者なり契約者なりの利益を保護するという観点から、保険事業としての立場から相当いろいろな法的規制と申しますか、根拠を見つけることが必要であろうという考え方で、これらの問題を研究いたして参りました。ただ私ども研究をいたして参りましたのは、単に中小企業等協同組合事業の一環としての組合保険だけでなく、たとえば生活協同組合によつて行われておりまする保険事業、あるいは農業協同組合によつて行われております保険事業、これらのいわゆる組合保険全体にわたる総合的な立法が必要であろうという観点から、すべてを網羅したようないわゆる組合保険全体にわたる立法を私どもは実は考えて参つたのであります。提案までに至りませんのでありましたがへ考え方といたしましては、私どもはこういつた組合保険自体に対する一つ法的根拠を与えることが必要であろうという考え方研究は続けて参つております。ただ今御提案されておりますこの法案のような内容につきましては、私どもいろいろ検討さしていただいたのでありますが、量本的な点において私ども考えて参りましたところと相当考え方が違つておりますので、この法案自体について私こもの意見をもし率直に申し上げるならば、賛成いたしかねる点が多々ある。私どもそういう立場でこれらの問題については立法化すべく、従来から検討を続けておりましたが、今後もこの検討をさらに続けて参りたい、かように考えております。
  20. 福田赳夫

    福田(赳)委員 前々からこの問題は研究されておるようでありますが、どうも終戦後はテンポが早いのです。どんどんとこういうものは進行します。それにつきまして行政当局も、慎重ばがりじや対処し切れない場合が多々あろうと思うのです。それで今研究されておるというのでありますが、その頭の中にある構想、特に今議員から提出去れておる法律案と違う点を主にして、その構想がありますればここでひとつごひろう願いたい。
  21. 河野通一

    河野(通)政府委員 私どもの持つております構想の一番大きな相違点と由しますか、これは先ほど申し上げましたように、中小企業等協同組合だけを対象にしない、いわゆる組合保険全体を一括して考えて参りたいというのが一番基本的な差異であります。これは法律の形式でありますから、中小企業等にわける組合保険をまず立法化して、それに続いて他の生活協同組合でありますとかあるいは農業協同組合等に及ぼすということも考えられると思いますが、私どもといたしましては、組合保険全体について立法化したらどうかというのが基本的な考え方であります。それから構想といたしましては、やはりこれはあくまで民営保険である。しかし、いわゆる民間の保険会社として手の届かない点がありますから、こういう組合保険というものは、やはり認めて参らなければならぬ。認めて参るかわりに、これは民営の保険の原則に立つて、これらについていろいろ技術的な保険行政立場保険事業監督の立場から、被保険者なり契約者利益保護の立場から、いろいろ規定して行かなければならぬと考えております。  そこで今御提案になつておりますこの法案について、私ども考え方の違う点を申し上げてみますと、まず第一には、今御提案になつております法案におきましては、商工中金がたしかこの組合保険の再保険をするようになつていると伺つているのでありますが、この点は私どもとしては、商工中金という性格からいつても、保険事業の再保険という性質からいつても、非常に適当でないと思います。それから第二には、商工中金が再保険をいたしましたものを、国家が損失を補償するという制度でありますが、これは民営保険という立場を貫く限りにおいては、この点も私どもは適当でないと考えております。それから第三点には、この保険事業について所管庁が通産大臣ということになつているようでありますが、これはやはり保険事業立場から、私どもとしてはやはり大蔵大臣がこれに対して所管をして行くということが、必要であろうと考えております。次はやや技術的な点にわたりますが、保険の引受けの最高限度が三百万円ということになつてつて、しかも出資が百万円という程度になつているのでありますが、これはやはり保険者としての保険責任を果す立場からいいまして、この点は非常にバランスがとれていないというふうに私どもは考えております。そのほか保険事業としての技術的な点について、非常にこまかい点が多いようでありますけれども、多々改めなければ、なかなか保険事業としての立場から動きにくいというふうな点が、約二十項目ばかりあるのであります。必要がございましたら、その点も御説明申し上げたいと思いますけれども、非常に、技術的な点でありますので省略しておきます。
  22. 福田赳夫

    福田(赳)委員 以上で大体この類似保険に関する政府の見解はわかつたのでありますが、この法案が出て来た理由というのは、この類似保険を法制化するというふうな一つ立場があると思います。と同時に、これは私は現在の保険業法に基く保険業というものに対する、一つの批判というものが提案者の頭の中にあるのではないか、こういうふうに思うのであります。そこで提案者に伺つてみたいのでありますが、今の保険業法による保険事業を一体どういう観察をされているか、率直にひとつお答え願いたいのであります。
  23. 山手滿男

    山手委員 お説の通り、私どもは現在の火災保険事業というものについては、いろいろな批判をいたしておりますし、必ずしも万全なものでないと私どもは考えているわけであります。ことに中小企業者立場から見ますと、さつきちよつと触れましたように、中小企業者が非常に大きな保険料を払つている。わずか二十足らずの保険会社が、その保険料を全部吸上げておりまして、実際にはほとんど保険料中小企業者に還流さすというふうな措置はとられておらないで、大企業本位にいろいろな形で——間接的には中小企業に流れているかもわかりませんが、中小企業とは縁の遠い話で、直接的には流用されていない。しかも御承知のように、終戦後いろいろな保険立法がなされ、また独禁法が排除犬れまして、保険会社と一連の関係のある人たちが集まつて料率をきめ、独占的にこの高率の保険料を被保険者に押しつけて参つている、こういう形であります。しかも今日保険業法あるいは保険の募集に関する取締法、料率の算定法、そういうふうなものをいろいろでつち上げて、ちよつと保険というものには普通一般の人は縁が遠いようなかつこうにでつち上げておりますし、非常に厳格な取締りが行われているように表面では見えておりますが、私ども一歩これに立ち入つて見ますと、いろいろな矛盾があつて、今大蔵省の方からお話がありましたけれども、私は矛盾が起きるのは当然であろうと思います。非常に高率な保険を押しつけながら、しかも保険を奪い合うという形であります。たとえて言えば、この金詰まりの現在、大きな企業体に、厖大な資産を擁する保険会社が、片一方では運転資金か何か知りませんが、資金を提供することをえさにして保険を勧誘して行く。これなどは明らかに法の違反であろうと思いますが、公然と行われている。あるいはまた中小企業と大企業との差異一つつてみましても、中小企業者というのはばらばらであります。大きな事業体は自分たち会社関係者でやつている代理店を持つております。その代理店には一〇%か一五%くらいの代理店手数料というものが払われている。そして何億あるいは何十億というふうな保険をかけている大企業者には、頭から代理店手数料という形で一割なり一割五分くらいの保険料は大企業には割引かれている。ところが中小企業者は、そういうような恩恵には、サービスには一向浴しておらない。中小企業者保険料と大企業保険料は、頭からそこで一割以上の上下がある。のみならず、御承知のように大企業の場合でございますと、保険をかけるにいたしましても比較的有利に交渉が行われている。あるいは保険金支払いのときでも非常に強く当つている。しかし中小企業者でしたら、もう一方的にこうなつているのですよというように押しつけられてしまつたら、それなりというのが、この保険支払いの実態のようであります。自分たちがかける保険金は、一向に中小企業者には還流して来ない。今大蔵省お話では、商工中金を再保険に一役買わすということは、非常に無理だという反対意見がありましたが、私どもは、全国中小企業者が莫大な保険金をかけているそれを、商工中金を中心にしてこの組合保険を育成するならば、掛金が商工中金に集まつて来る。商工中金の短期の、少くとも運営資金というものは商工中金に集中されて、中小企業者がかけた保険金中小企業者に還つて来る、こういうシステムで行つたら非常に合理的であると思います。ところが保険会社は今まで中小企業の商工中金のために何かやつたか、ちつともやつていない。商工債券なんかを買つたことがあるか。厖大な資金を持ちながら、一ぺんも買つたことがない。買えと言つていろいろ議論もしたのでありますが、買おうともしない。そういう状態であつて中小企業者の憤激を買うのは当然であります。片一方では独占的に保険料を押しつけて、料率算定のいろいろな規則があつて、手の届かないような、非常にむずかしい理論でやつているのだというふうなことをおつしやつておられますが、これも人がつくつたものでありますから、何もそう私は保険会社ができるだけであつて、ほかのところができないとは私どもちつとも考えておらないのでありますが、独占的に高率の保険料を押しつけて行つて何ら顧みない。坐食をしているという形であつて、当然こういう組合保険運動というふうなものが起きて来る原因となつていると私どもは考えている次第であります。
  24. 春日一幸

    春日委員 なお一つ、二つ補足させていただきたいと思うのでありますが、その大要はただいま山手さんから御説明いたした通りでありますが、なお今河野銀行局長の御見解と対照いたしまして、提案者としての意見を述べさせていただきたいと思うのであります。  ただいま福田委員の御質問の中には現在消費生活協同組合事業協同組合、その他の組合が行つておる保険行為、これを保険類似行為として考えておられる向きもあるように思うのであります。しかしながら保険類似行為ということになりますと、これは保険業法に違反をしての行為ということに相なるわけでございまして、これは当然大蔵省の取締りの対象となるべきものであろうと思うのであります。しかしながらこの消費生活協同組合の諸君が行つておるその保険行為は、そこにうたつております通り、これは明確に火災を救済する救済行為ということに考えておりまして、それらの諸君がたとえば中小企業者であります場合に、その住居とかあるいは商品、これがやはり一つの生活の手段である、生活手段を火災から防ぐために即共済の措置を講じて行く、こういうことはやはり消費生活協同組合組合法の目的とするところの一要綱を果しておる、こういうふうに考えて、必ずしも保険業法において指摘しておるところのいわゆる不特定多数の人々を対象とする保険事業の類似行為というふうには彼らは考えていないと思うのであります。さらにまた事業協同組合の諸君が、ここに述べております通り七十条第一項第三号に関係する「組合員福利厚生に関する施設」、ここの中にはやはり組合員がそういう火災が起きた場合、その組合員同士の醵金を蓄積することによつてその災害を補填する、このことはやはり保険業法が指定するところの不特定多数の諸君の加入を求めて、そして一般的には火災保険事業としてこれを行うものでない、こういう主張の上に立つておるわけであります。しかしながらこれは社会的には必ずしもその意見が受入れられてはおりません。消費生活協同組合共済保険にいたしましても、事業協同組合福利厚生的な保険事業にいたしましても、これは多分に保険業法に言う保険行為とはなはだしく酷似いたしておりますので、従つてこの問題に対して明確なる終止符を打つ必要がある、明確にこれを解明する必要があろうではないか、こういうような行政当局考え方もあろうし、また当事者たちの不安もありますので、この機会に彼らがみずから進んでそういう立法を行つてもらいたい、法律に準拠してこういう仕事をして行つてお互いの生活の安定をはかりたい、さらに事業経営の確保の道を講じて行きたい、これがこの立法提案の理由の骨子に相なるものであります。  そこで現在行われておるところの営利保険を一体提案者はどう思うかというお考えでありますが、これは申し上げるまでもなく、現在のこの保険の国内におきまする歴史がすでに六十何年をけみしました今日、その普及率が十七、八パーセントにしか達してない、すなわち八十何パーセントの諸君が未保険者の状態に、危険な野ざらしの状態に放置されている。この原因は一体どこにあろうか、問題はここでございます。そのことは保険料率がはなはだしく高い、従つてこれに加入することが困難である、こういうことになろうと思うのでございます。現在の諸外国におきまする一般的な傾向をあわせて調べてみますと、アメリカにおいては二〇〇%、イギリス等におきましてもその普及率ははなはだしく高いものでありまして、日本のような十七、八パーセントの低率というのは、やはり火災保険会社が行つておるところのあの料率算定法の、独禁法を排除してまで行われておるところのあの料率がはなはだしく高いので、大衆がこれに保険を付することができないという問題がここにあろうと思うのであります。従いまして組合員の諸君は安い保険料でもつてそれにひとつ加盟して、万一火災が起きた場合にはお互いの蓄積によつてそれを補填しようということにあるのでございますから、こういう十七、八パーセンという普及率の現実からいろいろ付度いたしましても、やはり営利会社によつて取残されておる分野を何人かによつてそれを果さしめる、そういう任務を負うものはこの協同組合であつてさしつかえないではないか、こういうふうに考えられて来るわけであります。  なおただいま銀行局長が中金に対して再保険の義務を負わせるということは、これはその損失を国家が補填するという立場において国家保険のきらいがある。このことは一般営利会社が純コマーシヤル・スケールによつて商売を行つているのに、一方国家保険的性格をもつてこれに対立するということであつて、既存の会社利益をはなはだしく損ぜしめる結果になりはしないか、こういう御懸念あるやに拝聴いたしたのであります。私どもこれを政策として立法化するにあたりまして、やはり中小企業対策としてこの問題をあわせて考えているのでございます。現在中小企業金融梗塞で悩んでおります。さらに有効需要の減退から来るところの経営困難に陥つていることは先般来の審議によつてお互いにこの点を明確に痛感しているのでありますが、従いましてあらゆる政策を通じてこの中小企業者経営の困難性を救済しなければならない。従いまして多少国家保険的性格を帯びることがあつたとしても、この中小企業経営の困難を救済するところの対策として私どもは怯懦であつてはならぬ、かくのごとく考えている。たとえば国家保険は木造船に保険が付せられ、あるいは農業災害に保険が付せられ、水産、森林その他いろいろ国家保険は他にもあるのでありまして、今日中小企業の危機に臨んで中小企業だけにそういうようなにおいを持たせ、これを排除すべきだという理論は私は成り立たないのではないかと考えるわけであります。  さらに本保険立法者である私ども考え方の中には料率を安くすることと、そこでプールされたところのそのお金を、保険料の蓄積を、これは中小企業のための資金としてこれを流したいという考え方があるわけでございます。山手さんが今御指摘されましたように、保険会社は大衆から集めた金を大企業に偏重して流している、さらにこの問題はひとしく地域的にこのことが論じられなければなりません。たとえば大企業の存在しまする東京あるいは大阪、この地帯に全国から集まつた保険料がやはり重点的に流されるわけであります。従いましてこの法律の中には地域的と業種別の二つの考え方がありますが、北海道で集められたところの保険料北海道中小企業の福祉のために使われてはどうであろうか、島根県で集まつた金はその地帯へ、こういうぐあいに中小企業が出した金は中小企業へ、同時にその地帯から集まつた金はその地帯に流して行つて、その地方における中小企業者あるいはそれぞれの生活者の協力によつてお互いの福利、公正な福利を受けて行こう、こういう希望がその中に込められているわけであります。どうかそういう意味合いにおきまして、本法案につきましては、なお通産委員会等において中崎さんの研究を中心といたしまして、幾多の欠陥があるということはすでに指摘された通りでございまして、そのことも立法技術を持たない議員といたしましては、当局からいろいろな指摘を受けてさらにこれを改めることに何ら躊躇するものではないのでございます。  さらに先般来通産委員会理事諸氏の中におかれまして、さらに完璧を期するための検討が進められているやに伺つているわけでございます。そういうわけで私どもは原案を固執するものではございませんが、しかしこれは必ずしも粗雑な原案というのではないのでありまして、中金によつて国家保険をせしめるという点につきましても、これは中金が中小企業に対する融資機関であるという点においてクローズされているわけであります。御趣旨の発展に伴いまして、提案者の中におきましても必要な点は十分修正をいたしまして完璧なものに仕上げてこれを国民にお贈りしたい、こう考えておりますからどうぞよろしくひとつお願い申し上げます。
  25. 福田赳夫

    福田(赳)委員 ただいま御高見とくと拝聴いたしたわけでありまして、いろいろ営利保険に対して感想もお持仏のようでありまするが、その中で一番大きな問題はやはり保険料率が高いじやないか、もう少し安く行ける仕組みというのが可能なところじやないかというふうに考えるのであります。  これは大蔵当局に伺つてみたいのですが、ただいま提案者の方から伺いますると、また現にやつておられる春日さんの方の地区の組合におきましては、保険料金が半分でやつて行けるというようなお話でありますが、あなた方が専門的に見られて、かような提案のような御趣旨でやられた場合に、さようなところでやつて行けるのかどうか、これはどういうふうにお考えになつておられるか、これを伺いたい。
  26. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答え申し上州ます前に、まず現在の民営の保険会社保険料が高いというお話ですが、この点は私もまつたく同感に存じておるわけであります。できるだけ下げるように努力はいたして参つておりますし、現に相当つてつております。何しろ終戦後、敗戦の結果ですべての金融機関も保険会社も再建整備というようなことですつからかんになつてしまつた。それから、当時は御案内のように消防施設も非常にうまく行つていない、家屋はすべてバラツク式のものであつたということで、非常に危険も多かつた関係によりまして、保険料は遺憾ながら高かつた。これは福田さんもよく御承知のように、金融機関の金利が高いという点と一応似た点があつた。だんだんおちついて参りますに応じまして、保険料をできるだけ下げるように努力いたして参りました。私が聞いておるところでは、今山手さんからお話がありました東京共済組合でありますか、これの保険料が、たしか最初四円だつたと思いますが、今度下げました保険会社料率によりますと、東京の三等地、ちよつと場末の盛り場でありますが、これらの保険料が大体四円五十銭ということに現在なつておるようであります。まだ今までに比べて若干高いのでありますが、大体近くまで来ているのではないか、かように私どもは承知しております。  さて、これらの保険立法化されて、一つ計算に基いてはじいた場合に、どの程度保険料にできるかという点でございます。私どもは、やはり民間の保険会社における募集の費用、これは御承知のように、非常に高いわけであります。これが今お話のように、代理店の手数料として、相当悪用されておるという非難もありますので、この点は、私どもも別途いろいろ検討を加えたいと思いますが、この募集の費用だけは、少くとも組合によつてやられる場合には、私はもしその費用がかからなければ、それだけは下つてもいいのじやないか。純保険料につきましては、やはりこれは危険率から科学的に判定いたして参りますと、かえつて危険が分散できない、特に地域組合におきましては、危険が分散できないという点で、むしろ危険率を反映した純保険料からいいますと、かえつて危険率は多くなる面もあるのじやないか、従いましてこの点は、組合保険でやつたからといつて、純保険料分は必ずしも下らない。問題は附加保険料のうちの特に募集費が組合保険においてはかからないとすれば——これは私は必ずしもかからぬとは思いませんけれども、かりに場かからぬとすれば、募集費の点だけは私は下つて来るのではないかと思います。しかしそれにいたしましても、私もまだ正確に科学的に計算しておりませんから、何とも申し上げられませんが、今の火災保険会社保険料の半額というわけには参らないのではないか、相当程度下るかと思いますけれども、そんなわけには行かぬのじやないかというふうに私は考えるのであります。この点ははつきりした自信のある御答弁は申し上げる段階に達しておりません。
  27. 福田赳夫

    福田(赳)委員 どうもしかし、非常な大資本を持つて、しかも六十年の歴史を持つてつている保険事業がこれから始まるという、また中小企業を主体にしてやろうという保険会社料率よりも高いというようなことは、私どもはちよつと想像できないのでございます。それはあるいは半分に減らし得るという方に無理があるかとも思うのでありますが、これはどうも了解できない。これは保険課長でもいいのですが、普通火災について損益を調べたことがあるかどうか、これをちよつと伺いたい。
  28. 狩谷亨一

    ○狩谷説明員 保険会社の損益につきましては、毎年事業報告書をとりまして、それに基いて調査いたしております。
  29. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そういたしますと、損金といいますか、支出の大体の傾向を承りたいのですが、今局長が募集費が高いと言われた。募集費というのは、わかつておれば金額もほしいのですが、支出総額の中で何割ぐらいになつているか、ちよつと伺つてみたい。また保険金は一体何割で幾らぐらいになるか、これをひとつ伺いたい。
  30. 狩谷亨一

    ○狩谷説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。損害保険会社の全体の勘定の中から、ただいま御質問のありました普通火災保険事業だけについて抜き出して申し上げます。普通火災保険保険料収入が、二十七年度において四百十一億になつておりますが、これは元受と再保険と両方入つておりますし、解約等も落しておりますので、解約等を考慮いたしますと、正味の収入保険料としては二百四十九億程度であります。そのうち保険金として支払われておりますものが約五十億、全体の二〇%に当るわけでございます。事業費の総額は百三十一億になつておりまして、これは正味収入保険料に対しまして五二%になつております。合計いたしまして七二%になりますが、その残余のうち責任準備金の積増しが行われておりますものが四十七億でございます。  次に事業場費の内訳でございますが、事業費のうち代理店手数料、これは直接募集に伴つて要する費用でございますが、それが約三十四億になつております。それを除いた残りは保険会社の社費になつておりますが、その社費の中におきましても、募集に伴つて要している費用もあろうかと存じますが、その割合が幾らであるというような統計はとつておりませんので、その点についてはわかりかねるわけであります。
  31. 福田赳夫

    福田(赳)委員 伺いますと、保険金は正味収入の二〇%ぐらいになる、こういうことで、あとの八〇%が、おそらく事業費とか責任準備金とか、そういうふうになるわけなんでしようが、一体保険料は五倍もよけいにとらなければならぬものであるかというところに、私どもは疑いを持つのです。そういう点から伺つてみたいのですが、事業費が百三十億もかかる、それで代理店に三十四億円、その他が保険会社の社費だというふうに承つたのであります。社費というものが非常に多い。これは一体どういうものであるか。
  32. 狩谷亨一

    ○狩谷説明員 社費の中を大きくわけますれば、人件費と物件費にわかれると思います。大体社費の中の三分の二見当が人件費になり、残りが物件費になるというのが、大づかみな見当だと考えております。  なお、先ほど御説明いたしましたのは、少し落ちた点がございますので、補足いたしたいと思います。最近の状況といたしましては、保険が毎年契約高が増加いたしております。これは保険金額の増加となつて現われておりますし、また従つて収入保険料の増加という形で現われておる。しかしながら一方でもつて保険料率については毎年引下げを行つておるような状況でございます。その面から申しますれば、保険金額の伸びほどには、保険料率は総額としては必ずしも伸びていないというのが、実情でございますが、ともかく前年度の二十七年度につきましても、二十六年度の収入保険料に対比いたしますと、約一割五分ばかりの増加を示しておるのが実情でございます。そうしますと、保険料収入保険金支払いとの間には、時期的なずれがございます。その時期的なずれと申しますのは、保険契約は一年間の契約でございますから、前年度に契約ができましたものが、当年度において事故が発生した場合に、保険金支払いの義務が発生するというような関係がございますので、さような観点から申しますと、契約が伸び、保険料の増収外あるという時期におきましては、保険料収入保険金支払いとの間に多少のギヤツプが出て参ります。そこでその料率を私どもが認可いたします際に検討いたしますのは、さような意味でもつて、契約年度別に修正した資料を見て検討いたします。さような数字で申し上げますと、先ほど御説明いたしました約二〇%という保険金支払いは、現行ベースでもつて過去三年ないし四年を平均いたしますと、おおむね三〇%見当の損害率になると考えております。従いまして、それを基準にして料率の認可をいたしております。
  33. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それに関連してでありますが、保険会社が他の産業とまつたく均衡を破つて、人件費が高い、こういうことが言われておる。これも保険料に非常に大きな影響を及ぼしておるのではないかと思うのであります。これは一体どういう状況になつておるか。あなた方保険会社の人件費、平均給与、そういうものはどういうふうに調べておられるか。これをひとつ伺いたい。
  34. 狩谷亨一

    ○狩谷説明員 保険会社の給与の水準につきましては、これは損害保険会社だけにつきまして、二十社あるうち、大小さまざまの事故がある関係で、一律に大体この見当の水準というものはございませんが、一応中流程度会社を基準にしてお答えいたしますれば、定例給与でおおむね税込み一万六、七千円というのが、大体の見当であろうかと考えております。そのほかに事業成績のいかんによりまして、臨時給与を出しておりますが、臨時給与を込めて計算いたしますと、大体月に直して平均二万八千円見当ではないかと思います。
  35. 福田赳夫

    福田(赳)委員 いろいろ伺つて参りますと、保険料率という問題が、これはまだ相当引下げる余地があるのじやないか。ほかの産業に比べて、今の給料なんか、これは平均の話で、あるいはべらぼうに高いものもあろうと思います。そういう点から考慮いたしますと、どうも反省というか、考えるべき点が相当あるのじやないかと思います。また代理店の手数料の問題、これなんかも不合理な問題が多々あると私は思うのであります。これも何とか考えて行かなければならぬ問題だろうと思います。さように考えますと、どうも保険料率というものは、大会社においても大きく低減の方向に動かなければならぬ。これは国の経済全体から考えましても、今コストが高い高いと害われるそのコストにも、大きく響く問題でありますので、なお大蔵行政といたしましては、この方向に重点的にやつてもらいたいということを要望しておきます。この保険料率でありますが、一体これは現在の状況は、今四円五十銭と申されましたが、これは戦前と比べるとどういうことになるか、またこれを諸外国の料率に比べるとどういう状況になるか、これがわかつておつたら、伺いたい。
  36. 狩谷亨一

    ○狩谷説明員 保険料率の引下げにつきましては、私ども保険事業の性格にかんがみましても、当然必要なことであると考えて、慎重にやつております。真剣にその問題を取上げております。ただいま御質問のありました戦前との比較という問題になりますと、先般六月一日に住宅物件の料率の引下げを実施いたしました結果、昭和十三、四年当時の料率に比しますと、おおむね全般的には低くなつておるように考えております。また昭和十六年当時の料率は、これは当時家庭防火群ができたり、水槽の設備ができたりしまして、相当消火施設が充実した時期と考えられますが、その当時は料率がかなり低く、昭和十六年に大幅な引下げを行いましたので、その昭和十六年の料率とほぼ匹敵するような段階に来ておるように思います。一例を東京都について申し上げますと、東京都の三等四級、これは東京都の山手及び郊外の主要住宅地帯はほとんど入ります。東京都の住宅物件の中の約四五%見当は、この三等四級の料率になると思いますが、これが先ほどから御説明申し上げたように、現在四円五十銭になつております。これを昭和十三、四、五年当時の料率を申しますと、当時は六円五十銭でございました。また昭和十六年の料率を申しますと、四円でございます。従いまして十五年以前の料率に比べますれば、現在の方がはるかに低くなつているし、また昭和十六年当時の料率に比べては若干高いというのが現状でございます。  次に諸外国との問題でございます。諸外国につきましては、実は建物の構造その他も相違しておりますので、ただちに比較し得るものがないのではないかと考えております。従つて木造の家屋の密集しているというような状況も英米等では見られないのじやないかと思いますので、これとの比較検討は十分にいたしておりませんが、話に聞くところによりますと、木造家屋でございますと——、ニユーヨークあたりにそういうのがあるかどうか存じませんが、ありました場合には、料率というのは日本の料率全国平均で申しまして六円弱という料率でございますが、それと大差ないような話を聞いております。
  37. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 関連して保険課長に一点お伺いします。ただいまの支払い保険金が五十億で、これは純粋の収入の二百四十九億に対して二〇%とおつしやつた。ところが純粋ならざる四百十一億と二百四十九億との間はとても差があり過ぎる。この点をもつと明快に御説明いただきたい。もし四百十一億を基準にすれば一%に当り、非常に大切な問題である。これほど違うことはないと思いますので、この点明確にお答弁願います。
  38. 狩谷亨一

    ○狩谷説明員 先ほどの説明が少し抜けてしまいましたが、先ほど申しましたのは、元受保険と再保険の引受けと合計しまして四百十一億ということを申し上げたわけでございます。それから二百四十九億に至ります過程の説明をしませんでしたので、この点を申し上げてみたいと思います。ただいま一例として、もし私が会社であるといたしまして、直接契約者からとる保険を元受保険と私どもの間では言つております。それから私どものところでもつて保険とつたといたしまして、それを他の人に保険を出すのを再保険と言つておりますが、逆に私どもが元受をとつて来る場合もあるし、再保険として他の会社とつたものを引受ける場合もあります。その元受をとつたものを再保険と合計しますと、四百十一億になる、それが昨年度の普通火災についての総収入保険料でございます。そのうちから正味収入保険料を出しますためには、まず出した方の再保険料を引いて参らなければならぬ。すなわち純粋に保険会社の保有しているものは幾らかと申しますと、四百十一億というのは、保険会社相互間に再保険を入れた関係だけが入つておりますが、同時に出した関係自体をとつて見ませんと、四百十一億というのは全体の本来の保険を引受けた数字にはならないわけであります。そこで再保険として出したものを引きますと、その額が百三十二億になつております。さらに解約の関係を調整しないとこの数字は出て来ないと考えます。解約の関係と申しますのは、年度の中途でもつて保険契約が解約されて、たとえば今まで長期の保険だつたものを短期の保険に切りかえるという場合でありますと、その切りかえに伴いまして解約返戻金を返したものを引きませんと、正味の保険責任を引受けた額にならないわけであります。そこで解約関係の勘定を控除いたしますが、この解約返戻金が五十三億ございます。それから同時に再保険関係でも解約の問題もございまして、それが約二十三億ございます。従いまして四百十一億から百三十二億を引きまして、さらにまた五十三億引きまして、それに二十三億をプラスしますと大体先ほど申し上げた二百四十九億程度数字が出るかと存じます。
  39. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 再保険の金額の百三十二億をまず引く、それから解約による返戻金五十三億、それから再保険の解約二十三億引くといたしますと、大体それで二百十三億あるのではないか。まるで今度は少くなるのではないかと思いますが、その点はどうですか。
  40. 狩谷亨一

    ○狩谷説明員 最後に申しました二十三億は足していただく方でございます。ちよつと説明がごだごだしましたが、四百十一億に二十三億足しまして、それから……。
  41. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 それで了承いたしました。
  42. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それから責任準備金が非常に大きいようなお話でありますが、これは未経過保険に対するものか、あるいは何か特別な積立金に対するものかを伺います。
  43. 狩谷亨一

    ○狩谷説明員 責任準備金の積立てについては、大別すると二つにわかれておりまして、第一は未経過保険に該当する分の積立金でございます。第二は異常危険準備金に該当する分の積立金であります。それで先ほど申しました四十七億の責任準備金につきましても、その中に未経過保険料に該当するものと異常危険準備金等に該当するものとにわけられるわけであります。
  44. 福田赳夫

    福田(赳)委員 今大体におきまして損益の状況がかわつたのであります。提案者に伺いたいが、今伺つたその一つ一つについて大体今度の提案によるものを運営して行く場合には、どういうふうにこれを逓減して行くかという問題があるだろうと思います。そうでないと保険料が半分ではとても間に合わないので、これをひとつ伺います。
  45. 山手滿男

    山手委員 その点は考えております。今政府委員の方からいろいろお話がありましたように、いわゆる純保険金というのは非常に少い。私どもは純保険金と称するものは十五、六パーセントくらいだろうというふうに見ておりますが、ただいま政府の方では二〇%というふうな御説明がありました。それだけ非常に少いのでありまして、そのほか社費あるいはその代理店手数料もいろいろ含まれておりますが、組合保険をやりますと、組合の会議のあとにでも少しずつ話して行くとかあるいはたまたま会議のあとで皆で入ろうということで誘い合して入るということで、募集費になるものが会社によつて違うと思いますが、私は大体十五、六パーセントくらいはかかつておるだろう、それから代理店手数料も一〇%から十二、三パーセントくらいはかかつておるだろう。そのほかいろいろ交際費だとか何とか厖大なものが使われておるようでありまして、この純保険金がいくら多く見ても二〇%くらいのものでありますから、私どもはそういう募集の手数料とか代理店手数料とか、本社費とか、ああいうふうにでかでかと建物を建てている経費などというものは、ほとんどこれは組合保険においてはなくすることができる。いろいろそういうものを計算をして参りますと、純保険金が私どもは十六、七パーセントくらいのものだと思つておりますので、リスクを分散するための、組合にリザーヴする分も含めて大体今の保険料の四割程度あれば十分だろう。初めは少し基礎が弱いのでありますから、高めにやりましても、せいぜい今の保険会社保険料の半額までで処理をして行く、こういう目途でこの組合保険を考えておるわけであります。この法案に反対をされる大蔵省や何かの方では、よくそんなことを言うけれども、そうじやないのであつて、国家補償という規定をあとに残しておるから、それで不当に引下げる、こういうようなことをよく反駁の理由にされる。これは国営保険に通ずるものではないか、それでは営利会社保険とこの組合保険とはとうてい太刀打ちできない。こういうふうな議論をされるのでありますが、あの国家補償という規定は、われわれはそういうふうに考えて書いたわけではないのでありまして、函館の大火災とか関東の大震災というふうな時を想定いたしまして、ああいう重大な事態によつて、不自然な事態によつて起きた損害を国家がめんどう見てやる、こういうふうに私ども解釈をいたしております。いろいろ御疑念もあるようでありまするから、修正案にその点をもつとはつきりさしていただけばいいと思つておりまするが、そういうことであつて、何ら国家補償があるから、ないからということでなしに、保険料というものは、今のような事務的に割出した数字からしましても、大体半分以下に下げられる、こういうふうに私どもは考えております。
  46. 春日一幸

    春日委員 ちよつと関連して。福田さんの御質問の点に触れるものであろうと考えるので、あわせて申し上げたいと思いますが、保険会社が例の再建整備法によつて一切の資産をたな上げされてから、本日までに、この保険料によつてどの程度の資産を蓄積したか、これが大きな問題であろうと私は思うのであります。申し上げますと、現在たしか十六社か十八社ありますが、その資本金の累計が二十四億円であります。ところがその二十四億円の十八社の動産不動産の資産が大体五十四億場円。それから責任準備金、これの積み立てられておりますものが本日まで三百六十億円、その他社内積立金が三十億円。こういうぐあいで、二十四億円の資本金でスタートしたこの十八の保険事業から得たところの大体利潤の累積と思われるものが、現金にして四百億円、不動産にして五十何億。これがわずか六、七年の間の事業によつて得たものであるのでございまして、これはすべて被保険者の負担にかかるものであるのでございます。従いましてこういう大きな利潤がわずかな期間によつて累積されたことをいろいろ解剖分析してみまするならば、そのようなとはうもない高率でもつて保険料を集めなくても、たとえばこんな大きな累積を行わなくても、お互いが火災で燃えたときにそれを補填してもらうというような、こういう保険事業は、ただいま山手さんがお話のように、半額以下でも十分できるのじやないか。しかも相互扶助とかお互いの福利施設としてこの事業を考えますとき、こういう厖大な蓄積や冨の集積を行う必要はないのでございますから、当然安い料金でその目的を果すことができる。こういうぐあいに私どもは確信をいたしておりまするし、しかもいろいろの経理の結果はそのことを明確に証明しておると思うのであります。
  47. 福田赳夫

    福田(赳)委員 私も、保険事業というものが、安い料金でしかも安全に被保険者利益を擁護できるということであれば、これに越したことはないと思います。ところが今提案者お話を伺いますのに対比いたしまして、現在の保険会社状況を伺つてみると非常な開きがある。これはどちらかに私は、間違いと言つては語弊がありますが、話の食い違うところがあるのじやないか、こういうふうに思うのです。大企業でありますから営利保険が非常な低率に効率よくやつて行けるはずのものだと思う。中小企業協同組合によるものよりも倍も高くなければできない、これはどうしても了解できない。ただいま提案者の方からのお話に対比いたしまして、こういう点が無理なんに、あるいはこれは営利保険の方がこうすべきものだというような、これをげとつ対照してやつて行くこと、これは非常に重大な問題であろうと思う。ここにおられる銀行局長保険課長もやられてその道の大家なんだから、何かお話もあろうかと思うのですが、感想はどうですか。対照いたしましてわれわれの納得が行くようにお話が願いたい。
  48. 河野通一

    河野(通)政府委員 一般論として申し上げますと、先ほど申し上げましたように民間の保険会社保険料率は、特に火災保険につきましては高いと思います。従つてこれはできるだけ下げるように努力をいたします。現在の保険料計算いたします場合のロス・レーシヨンの大体の想定は四五%、それは異状危険を大体五%と見て、その程度を大体ロス・レ—シヨンとして計算しております。これは先ほど申し上げましたように、諸外国と比べまして建物の構造等が違いますので、なかなかぴつたり比較はとれませんが、アメリカあたりの保険会社火災保険のロス・レーシヨンが大体四十七、八パーセントのように私どもは聞いておるのであります。その程度であれば大体普通の保険料の構成だろうと考えております。問題はやはり今御指摘のありましたように、非常に事業費が高い。これは保険料の中で、保険料を構成いたしております事業比率というものと、実際の事業比率というものは実は違つております。事業費が高いということが保険料を下げるのに非常に大きな障害に実はなつておると思う。この点は保険会社に限らず、一般の金融機関にしても同じでありますが、できるだけ事業費を節減することによつてコストを下げる、そういうことによつて保険料をできるだけ下げるように今後とも努力いたしたいと考えておるのであります。ただ、今春日さんちよつとお見えになりませんが、お話がありました、非常に不動産を持つてもうけておるというお話でありますが、これは福田さんおわかり願えると思いますが、別に利益でもつて建物を建てておるわけではない、ただ建物があまりぜいたく過ぎるとか、そういつた面につきましては私ども十分注意はいたして参らなければならないと思いますけれども、それがすべて利益によつて構成されておるというふうに考えるべきではない。積立金も先ほど来申し上げておるような責任準備金、特に未経過分に対する責任準備金というものが相当多額に上つておるのでありまして、これは普通の事業会社における積立金、つまり利益の留保といつた意味の積立金とは性質を異にしておるという点も御了解いただきたいと思います。
  49. 福田赳夫

    福田(赳)委員 もう一つ、中小の保険組合ができる場合に考えられる点は、リベートの問題です。先ほど山手さんでしたか、春日さんでしたか、リベートの話がありましたが、これを大企業にやつて、そして小企業からは普通料率でとるということになりますと、これは中小企業に非常に不利益なことは提案者のおつしやる通りであります。リベートは一体現状はどうか、検査した結果どういうふうになつておるか、これは重要な点でありますから……。
  50. 河野通一

    河野(通)政府委員 リベートの点はお話のように大企業の間に行われております。検査の結果この事実がわかつて来たものもありまして、これは指摘いたしまして、わかり次第これらについては改善するように努めております。そういうようなことによつて自主的に保険料が下げられるならば、これはお話のように、一般的な保険料の引下げという方に充てるべきであつて、特殊の関係の取引先だけについてサービス的な自主的な保険料を出すことは適当でない、この点は今後とも厳重に監視を怠らぬようにいたして参ります。
  51. 福田赳夫

    福田(赳)委員 次に法案内容について重要な点を承つてみたいと思うのでありますが、この法案を見ますと、この火災保険組合地域組合業種組合というふうになつておりまするが、私は業種組合は現在も相当ありますものを是認するので問題はないと思うのでありますが、この地域組合であります。この法案を見ますると、「都道府県の区域とする」というふうになつておりまして、これじや保険といたしまして区域が少し狭過ぎるのじやないか、こういうふうな感じがするのであります。これは何か要綱を見ましても、提案の中心をなす一つの問題のようでありますが、これで一体大きな保険がカバーできるのかどうか、多大の疑問を持つのであります。いかがお考えで都道府県に限定したのか、これを伺つてみたいと思います。
  52. 山手滿男

    山手委員 ただいまのお説のようなこともいろいろ考えてみたわけでありますが、一応現在の行政区域とうらはらになつたような区域で、火災保険組合はつくらした方が合理的なのではあるまいか。と申しますのはいろいろ被保険者の方ににらみがきくといいますか、事情がよくわかつて、相互的にあまりとつぴようしもないことができないような措置をしておいた方がいいであろうということで——もつとも東京都のようなところになりますと、これはまた非常に大きくなるし、島根県とか鳥取県とか宮崎県とかいうところになるとあまり小さくなり過ぎるだろう。大きいところはもう一つ認めて二つか三つくらいつくらしたらどうだというような議論もあつたのでありますが、一応地域組合としては行政区域をその範囲にさした方が、いろいろな監督そのほかの点からも合理的であろうというふうなことで、こういうふうにいたした次第であります。
  53. 福田赳夫

    福田(赳)委員 私はそうすると保険事業の基礎をかえつて弱体化するような感じがしますので、ちよつと申し上げたのであります。  第二の点として組合員の資格ということが書いてあります。この組合員の資格は員外利用を認めない方針であるというように考えておりますが、この法案を見ますると、第七条の五項の規定では、従業員が入つている、さらにどこですか、あとの方の規定を見ますると、組合員が死亡した場合には包括承継が行われる。その際におきましては、組合員外の者が保険対象となる、保険関係の権利を承継するというふうになつておりますが、組合員外利用ということを認めない方針であるという建前をとつたおもな理由をお知らせ願いたい。
  54. 山手滿男

    山手委員 これはそういう御疑念が起きることは一応ごもつともだと思いますが、中小企業におきましては、御承知のように、家内工業的に小さな工場を持つております。それについて銀行なり商工中金なりから融資を受けております。その融資はその会社だけの信用では融資が受けられない。従つてその社長といいますか、経営者といいますか、そういう個人財産を全部担保にして融資を受けるというのが中小企業の実態でありまして、大企業とは根本的に違うところであります。従つてこの火災保険の場合を考えますると、単にその会社の名義になつておるものだけに保険をつけて保全をするということでは必ずしも妥当でないのであつて、この従業員というのは、この場合その経営者個人あるいは奥さんなりの名前になつておるのもある、あるいは妹の名前になつておるのもある。そういう担保に提供するようなものをこの保険対象とさせなければ意味がないのではないか、中小企業の本質からいたしましても、そういうことの方が実質的である、実際的であるという考え方で、この従業員というようなものをここに入れたわけでございます。
  55. 大西禎夫

    大西委員長 大分時間も経過いたしましたので、午前の会議はこの程度にいたし、午後一時半まで休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕