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中村(辰)
政府委員 ただいまの御
質問は非常に重要な問題でございまして、
通産省といたしまして総合的に
生産の諸
政策を行うということは
もとより必要なことでございまするので、
硫安工業のみならず、電源あるいは
石炭その他のものにつきましても、
考え方が自由主義的であるかどうかというような問題は別にいたしまして、
生産増強という点については非常に積極的に取進めておる
状況でございます。西独の
硫安価格と
日本の
生産価格と
競争力の問題でございまするが、これにつきましては、ただいま御
質問のような、いわゆる
日本が一歩進む場合には、西独また一歩進む、こういうような御
意見でございますが、それはおそらくその
通りでございましよう。しかし、私たちがこの問題を
考えまする際に、
もとより
石炭価格の大きな
格差ということが
西欧並になるかどうかということを根本的に
考えることは、あるいは技術的に不可能かとも存ずるのであります。従いまして、私たちとしましては、問題の取上げ方をできるだけ総合的に考慮するという
建前をと
つておるのでございます。先ほど申しますように、なるほど
西欧、
東南ア、特に
日本のか
つての
市場でございます台湾あるいは韓国に対しても相当進出して参
つておるのでありますが、これらの
価格が
ドイツにおきます
国内価格との
関係について、それがどのような
関係にあるかということは、先ほど申しましたように、
ドイツそのものの
生産費が判明いたしておりませんので、これに対する推論は差控えますが、
ドイツの
国内価格を大体四十五ドルから五十ドル
程度の間に
考え、
日本におきます
国内の
安定帯価格の中値あるいはその前後をとりますと、大体六十四、五ドルという見当でございます。もちろん船運賃が
輸出市場の争覇戦に非常な
影響を持つことは当然でございまして、一昨年の秋におきます船運賃の高騰が、著しく
日本の
硫安に益したことはこれは異例かと
考えます。しかしその後におきます船運賃の異常な暴落もございましたが、これもおそらくは異例と
考えるのであります。
現状におきまして
考えますると、大体台湾あるいは韓国、これら周辺を
市場として
考えますと、船運賃は大体五、六ドルの差があるように
考えるのであります。これらの差を考慮いたしまして、この
ドイツの
国内価格と
日本の
国内価格との
合理化によります
さや寄せをどの
程度にいたすかということでありますが、
硫安工業に対します
財政投資の
合理化目標で、
肥料対策委員会に出ました二百三億という数字がございますが、これに詳しい検討を加えまして、資金効率の比較的高いものをとりまして、おおむね百六十億
程度の
財政投資を必要とし、まずこれでしかるべきものであると
考えます。
合理化設備工事が百六十億
程度でございます。もちろん開銀融資をこのうち幾らするかということは、会社それ自体の企業の
内容、あるいは
計画しております
合理化設備の
内容等から一律には判定いたすことはできませんが、大体五〇%
程度の開銀融資をいたす予定にいたしております。これらの設備を完成化しまするには、先ほど申しましたように、大体五箇年のうち三箇年でほぼ設備
投資ができるのでございます。これらの結果どの
程度に下るかと
考えますと、大体五ドルないし六ドルくらいの
価格の
引下げが可能と
考えたのでございます。先ほど
石炭に対しまする
縦坑開発
計画のことを申し上げましたが、これもたしか五箇年の先には二割の
コスト引下げを目標としております。
電源開発によります
操業度の向上は、一面電力料金の引上げを必要とするというようなことが起るかもしれませんので、これらの事情を十分検討いたさねばならぬかと思いまするが、とにかく現在五割そこそこ、あるいは渇水期には非常に不利な
状況にございます
電解法によります
硫安製造
——そのような
電源開発が順調に進みまして、電力の
供給が今日よりも改善されまして、
電解法による
操業度が著しく向上することを想定いたしますと、これらの利益を彼此勘案いたしますれば、西独との
競争ということについても
競争力を培養し得ると私は確信いたしているのでございます。もちろんそのときに至りますれば、さらに一 段と西独の新しい技術も進歩するかもしれません。しかし今日技術の進歩につきましては、順次国際水準化の傾向をとるというのが現実でございます。たとえばこの五箇年
合理化計画におきますコツパス法の採用のごときも、これは西独におけるごく最近の、昨年の発明の実施というものを取入れつつある
状況でございまして、あるいは
石炭の割高からこれを重油に切りかえて
石炭の割高を是正するというような設備方式も取入れてはどうかというぐあいに
考えております。こういつた
合理化の国際技術水準化という点につきましてはせつかく努力して参りたいと思います。