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川上委員 私は小会派として、
本案に反対の意見を述べたいと思います。
この
法律案は一口に言いますと、
兵器の
生産を調整するというのでありますけれ
ども、これは実質的に
法律でこれを認めて、そうしてこれを助成し、奨励する、こういう
法律なんであります。これが根本問題なんです。
日本で
兵器をつくるということがこれが根本問題なんですが、一体
兵器をつくるということはこれはどういうことかというと、これも一口で言うてみるならば、
兵器をつく
つてアメリカに提供するのです。そうして
アメリカはこの
兵器を使うて他国の内政に
干渉したり、他国に侵略したりすることに使うわけです。これはもう今までの事実が明らかにわか
つておる、それで吉田内閣というのは、さきには御
承知のように、朝鮮の戦争のために、
日本を戦略基地にすることを
承知しておる、それからたくさんの
武器をつく
つてアメリカの軍隊に提供したのです。この
武器を使うて、
アメリカの軍隊は中国人や朝鮮人を何百万人というほど殺した。これらは世界周知の事実です。これが
武器生産の第一の形なんです。これは新しい
法律をつく
つて、こういうことをもつと大々的にやるというようなことはしてはいかぬのです。こういうことをしますと、必ず
アメリカのアジアを
処置する
兵器廠に
日本がなることは明らかだ、私はこれをここでは詳しくは申しま
せんが、本
会議で一詳しく反対理由を申したいと思うのですが、こういう
法案をつくるということは、結局にわいて
日本の
産業を軍事的に再編成するねらいになる。このことはきようの
通産大臣の
答弁でももう出ておる。第二番目にこれは憲法違反であるということがさきに他の議員の方から発育がありましたが、その
通りです。一口言うておきますが、憲法の第九条の戦力というものは、これは今
政府が言いおるようなものじやない。あの戦力というものは、客観的に判断しまして、戦争に転用し得るような物的人的資源を戦力というのであ
つて、正面を切
つた兵器が、第九条の規定に抵触せぬなどというのは、これはもうとんでもないこと、私はこんなことを言う人は吉田内閣以外にはおそらく世界に例があるまいと思うのです。どうも吉田内閣は、こういう
法律をよく喜んでつくるし、
アメリカの言うことになると恥も知らぬし、外聞も知らぬし、もう
まつたく道理なんかも一向平気で踏みにじ
つておる、だから
保安隊をちやんとつく
つておいて、これは軍隊です。
アメリカのさしずの軍隊ですが、これを軍隊ではないと言
つている。驚くことには、最近は原子爆弾でもこれはちつとも戦力じやないという。これはとんでもないことを言うておると思う。私はたくさん言いま
せんけれ
ども、これほど国民を愚弄し、これほど国民を侮辱する
政府というものは、私は前代未聞だと思う。
兵器生産というものの奨励をするような
法律をつくる精神はここから来ておる。もう一口言うておきますが、記録に
はつきりとどめておいてもらいたい。こういう人々が国民の上にほんまにのさばり返
つておるものだから、
日本中えらいことにな
つておるのです。国土が荒廃し、民族の屈辱は、
日本開闢以来これほど民族的屈辱を受けたことはありま
せん。これは一句が私は吉田内閣の責任にあると思う。九州の災害にしても、全国にわたるところの国民生活の破綻にしても、この責任は絶対
政府にあ
つて、ほかにあるとは言わすことはできないと思う。
第二に、本
法案は国民の要求にこれは反しております。国民はこんなことを要求しておりま
せん。国民は
軍事基地の撤去を要求しておる。国民は軍需
生産、軍需輸送をやめることを要求しておる。これ国民の要求です。だから一口言うておくが、あの内灘、石川県の僻村のあの内灘の小さな村の漁民の反対闘争は、今
日本国中の国民を奮い立たせておる、これは一体どういうことなんだ。あるいは日鋼赤羽の
労働者が軍需の
生産反対の闘争をや
つておる。北陸鉄道の
労働者が軍需輸送をとめておる闘争が全国民の支持を受けておるのです。これが国民の要求なんです。ところが今
武器製造業者はどんなことを言うておるか、関西の
業者は内灘の接収問題について、なぜ
政府は早くあれを接収せぬのか、鉄砲をすぐぶつ放したらいいではないかということを強引に
政府に申し入れて来ているという事実がある、これが
兵器生産というものの本性なんだ。私は吉田内閣がほんとうに国民の声に耳を傾ける気があるなら、こういう
法律じやない、
武器の
製造を禁止する
武器製造禁止法、
武器の輸送を一切禁止する
武器輸送禁止法を出されたらよいと思う。
それから第三番目に、これは再軍備の裏づけ法であ
つて、MSAの受入れ態勢法だ。さきの反対
討論をなされた同僚議員の意見もここでありましたが、その
通りです。一体MSAというものは、これは一生懸命
政府は哀願しておられるようでありますけれ
ども、そんななまやさしいものじやありま
せん。私はMSAの問題について、そうたくさん詳しく言おうとは思いま
せんが、一口だけ言うておきたい。ここに世界労働週報というものがある。これにこう書いてある。昨年四月に
アメリカの商工
会議所の機関誌が明らかにしたように、「
アメリカ政府はスパイや破壊活動分子の専門家を養成して来た、そうして、このための
資金は一億ドル修正条項の名で呼ばれるMSAの規定によ
つて、
アメリカの
政府から公然と支出しておる」のであると書いてある。これがMSAの性格です。私はなまやさしいものじやないと思う。このMSAが
日本に来た時分に一体どういうことになるかということは、これはきようはここでは述べま
せん。ただこれだけは言うておきたい。石橋さんは本
会議で、木村長官のあの悪名の高い防衛五箇年
計画——あんなものは実際はないのです。
政府はあんなものを持
つてはおらぬと言われた。私はほんとうかもしれぬと思う。ありはせぬのかもしらぬ。というわけは、ああいうものは木村長官なんかがこしらえるまでもなしに、ちやんと
アメリカがしてくれると思う。これがほんとうのことだと思う。これをただ忠実に実行するだけが吉田内閣の
仕事だと思う。自衛だとか、防衛だとかということは言われておりますけれ
ども、防衛なんかも非常に
日本としては
考えなければならぬ。か
つてアメリカは
自分の国の海岸から太平洋を隔てて台湾に手を出し、朝鮮の戦争を始めた。これを防衛だと言うておるのです。これは一事が万事であ
つてこの筆法、この作法が
アメリカの防衛だ。これが吉田さんの防衛であ
つてMSAの
援助を受けるということは、一事が万事で、これは
アメリカが
日本に三十五万の土民軍をつくるという下心であ
つて、これを海外に出兵させるという、こういうひもつきであるということは、私は言わぬでも明らかだと思う。この裏づけがこの法だと思う。
兵器の
生産がこれだと思う。こういう
法律によ
つてどんどんと
兵器の
生産、
武器の
生産を公認し、これを
規制するという名目によ
つて助長するというようなことをすると、必ず
日本の
産業は、そうして
日本の
労働者ほ
アメリカの軍事支配に縛りつけられるということは明らかだ。この糸口なんです。私はこういう立場から、この伝案は絶対につく
つてはいかぬのでありて、こういう
法案を
考えるかわりに、ほんとうに吉田内閣が防衛をお
考えになるなら、現在
日本は
アメリカによ
つて侵略されておりますから、これに対して戦うてもらいたい。第二にはほんとうに防衛を
考えるのならば、国民は
アメリカの侵略に抵抗しておりますから、この抵抗権を完全に認めて、これを決して弾圧するようなことはしてはならぬ。この
法律なんかはひつ込めて、ストライキ禁止法なんかもひつ込めて、そうしてMSA、こういう
援助はちやんとお断りをして、サンフランシスコ条約もやめてもらいましようということを国会に諮
つてもらいたい。
以上で私のこの
法案に対する反対
討論を終ります。