○笹本
委員 私は
武器製造法案について大臣に質疑を行いたいと思います。時間の
関係上、一問一答ですと時間が非常にかかると思いまするから、ずつと私が質問を続けますから、あとでまとめて順次に大臣から答弁をいただきたいと思います。
まず第一番に伺いたいのは本法を立案いたしました時を承りたいと思います。それから説明資料を拝見いたしますると、昨年の十月十四日のポツ勅廃止後は
武器の
生産は自由放任にな
つておる。でありますから、先般の
東京都下における花火
工場において大きな事故を起した。あるいはピストルの密売であります。とか、共産党の
武器、白製ピストルによる強盗とか、あるいは自殺。まだそういうことがなか
つたからよか
つたですけれ
ども、もし
製造が自由にな
つて、朝鮮とか、台湾、あるいは北鮮あたりに多量のものが密貿易で出されて、これが向うに使われたりするようなことがあ
つたならば、これこそ
日本の国際的信用を落すものであります。この点においても、この
法案のごときはポツ勅の廃止前に立案して、先国会の劈頭に出して制定すべきものだと私は思うのであります。今保安隊の弾薬の
製造、保管——
製造するのは自由であ
つても、保管は違反ではありませんか。また警察官が持
つておりますピストルの
たまを昭和金属あたりに発注しておる。
製造するのはいいが、保管して置くことはすでに違反にな
つておる。
政府がこういう違法違反のことをして国民に遵法精神を慫慂するということは許せないことであります。この
意味において、これは
政府の怠慢といわざるを得ないのであります。治安確保の上から見ますと、
政府に重大なる
責任があると私は思うのですが、この点大臣はどう思
つておるか。
次に伺いたいのは、特需とはどういう性格のものであるかということであります。私の
承知いたしております範囲におきますれば、特需とは、米国において
日本の
経済育成援助の
意味をも
つて日本の
製造者に発注するものだ、こう思
つております。しかし
現実はそれとはま
つたく反対の結果を見ている現状であります。これは今岡野大臣に
責任を追究してもどうかと思いますけれ
ども、こういうふうにな
つて来たことは、先般輸出振興にからんで私が申し上げましたごとく、
終戦後におきまして、
戦争のありましたアジアはもちろんのこと、欧州においても物の少くな
つたことは、実際問題といたしまして、特に繊維にしましても、肥料にしても、自動車にしても、セメントにしても、石炭にしてもあらゆるものがなくな
つて来た。そのときに古池に水か入るごとく、平和にな
つて生産したものは何でも売れた。売れるからいいとい
つて、特に繊維のごときは、南方
方面への輸出量はたいへんなものでありました。その当時から計画的の
生産指導、量、質の問題、合理化の問題ということを考えない結果、国内の
工場には非常な
生産設備をしてしま
つた。そして工員をたくさん包擁してしま
つた。そこへ不況が来た。そのために特需というものが出て、その特需も、さいぜん
参考人が来ていろいろ話を聞きましたが、
アメリカ軍がじかにメーカーから見積りをと
つて、最も安いものにさせる。現在御
承知ような
経済状態でありますから、手形のやりくり、あるいは工賃の払い、そういうような
関係でみすみす採算に合わないものでもそれに飛びつかなければならないというような現状にな
つたことは、繰返して過去のことを
言つてもしかたがありませんが、要するに計画的な政策がなか
つたからこの結果にな
つたのではないかと私は思うのであります。
〔
委員長退席、中村
委員長代理着席〕
そこで、しからば米国が
日本経済育成援助のために特需を出してくれるという原則がきま
つて発注をしてもらうのであ
つたならば、当時の外務大臣あるいは通産大臣、は
たまた総理においても、その
責任をまかしてもら
つて、その
工場の性格あるいは
技術その他配分あるいは見積りの
程度も、これならばぺイする、これならば出血しないということを定めて、そうして
政府がまとめてと
つたならば、かくのごとき混乱は来なか
つたと思う。その点におきまして、
政府は今日あるを知らずして放任してお
つたということも、これひとえに
政府の
責任ではないか。これは今後MSAを受ける上におきましても非常に重大な問題だと思うのです。先般も山口
委員からの質問がありましたが、
東京螺子と日平
産業のごとき、三十何セントで受けるものを片方は二十何セントで引受けておる。そうして非常な出血であ
つた。これは新聞にも出ておりました。こういうことは、やはり
業者同士においてせり合
つて高くとれるものをみすみす安くしおる。日平と
東京螺子の問題は、
工場の
設備、
技術その他において多少の開きはできても、かくのごとき開きを及ぼしたということも、国内の不況と相ま
つて起る問題でありますから、私は
委員長にお話して、日平及び
東京螺子の当時の
責任者にこの
委員会に御
出席を願
つて、当時のいきさつを詳細に承り、そうしてこれを
日本のメーカーに流して、かくのごとく相争うとお互いに損するということを警告したいと思
つてお
つたのでありますが、審議の期間も迫
つておりますので、それは省略いたしますが、監督の任にある通産省においては、
業界の人に、通産
委員においても各種のことを案じておるということを伝達していただきたいと思うのであります。MSAの援助を受ける方針で米国と交渉を行
つておるようでありまするが、交渉過程において各
委員会の質問においても、それは交渉中でどういうものができるかまだ言明できないと、どこの
委員会でも答弁しておるのでありますが、おなかに宿
つたことは事実である。生れて来る子が男か女かはわからぬにしても、これを受けるという方針ですから死産はしないだろう。その心構えを各
委員会で一生懸命質問するのでありますが、——MSA援助を受けるということは、さいぜん話しますごとく、従来は、駐留軍が
日本の
経済育成のために国防省の予算によ
つて好意的に
日本にドル獲得の機会を与えるために
注文をしてお
つたのでありまするけれ
ども、今度は非常に事情が異な
つて来て、この
注文、すなわちMSAの援助を受諾するとともに、米国の対日援助ではあるが、
日本はこの援助を受けることに伴
つて義務を負わなければならないと思うのであります。従来の一方的な米国の調達とは違
つて、受注になるべきでありますので、
政府は、この発注、受注に際して自主的な受発注機関を設置して、計画的
武器生産を行う態勢をつくらなきやならぬと思うのであります。話が飛躍しますが、今肥料の過剰のものを輸出するのに、輸出
会社を特例でつくろうとしておりますが、このMSAの援助を受ける場合に、
一つの受注
会社というものをつく
つて、そこでコストなりをや
つて行くような考えがあるかどうか、これを聞きたいのであります。それからもう
一つはMSAを受けましても、やはり特需というものは継続するものであるか、その点も承
つておきたいのであります。
武器等製造法案を見て参りますと、許可の条項が幾つもあります。その中には
設備とかあるいは
経済状態だとか、あるいは
技術であるとか、いろいろなことがありますが
武器、
兵器の
生産に対しましては、法人体にしても、個人にしても、
生産する人がもし百の
注文を受けまして、百二十つく
つてこれをやみに流すようなことがあ
つたならば、それこそ治安確保の上にも重大な問題なのでございますから、この許可に対しては最も慎重に、そしてまたときそれこの
委員会で発言がありましたが、
アメリカから特需を受ける、MSAを受ける
関係におきまして、その
アメリカの絶大な力によ
つて押しつけられるのではないか。は
たまた他の内閣の力とか、あるいは政党の力によ
つて許可に対する考え方をかえるようなことがあ
つたならば、ほかの品物と違
つてこれは非常に重大な問題であると思います。もちろんそういうことには万全の留意をして、遺憾なきようにするという御答弁をされるかもしれませんけれ
ども、これこそはほんとうに真剣に考えてもらわなければならぬと私は思うのであります。また
武器の
生産を計画的にやる——この
法案によりますると、向うから発注がありましても、発注があ
つたのに対しては、そのコストとか、期日とか、あるいは
生産高というものを届出させる、それによ
つてそれが今の
日本の
経済のあり方からい
つて、極度に安過ぎるということになると、出血になり事故が起きるので、それに対して審査をして、いけないときは不許可にするという点は私は最も当を得たものと思
つております。この点において、
参考人からもあるいは
委員からも午前中に申されましたが、
生産を拡充いたしまして、遊休
設備を活用するとかいいますが、その中の一部分の
機械が足りないものは輸入する、あるいはそれをつく
つてもらう、その場合において、その
設備ができれば、その
入札権ができて来るというような
関係で競争が熾烈にな
つて来る、その結果それだけの
注文がなか
つたということになると、また
経済の
破綻にな
つて来るのではないか、特に留意したいのは、先般の大臣の答弁の中にもありましたが、MSAとか特需とかを
業界が過大に見込んで、苦しいながらも
設備をして行く——まだMSAの方は具体的の談合に入
つておらないので、これははかり知れないとおつしやるかもしれませんけれ
ども、これを過大に見積り、あるいは
設備をした上において、世界の戦局の情勢上
アメリカの軍需品の
生産増強をや
つておるものが、今度品物によ
つて日本を援助するということにな
つたときには、よほど留意しておかなければ、
日本経済はま
つたく破滅するほどまで行かなくとも、及ぼすところが重大である、かるがゆえに、現物で支給されるということも考慮に入れる必要が非常にあるのではないかと思うのであります。また
委員会で一番
皆さんの聞いておられることは、許可の権力を役所で持つことは非常に危険であるということでありますが、許可ということになれば、結局審査というものは役所でしなければならぬ、前にも大臣野人の時分からも御
承知でありましようが、通産省にと
つてみましても、切符制度のあ
つた時分には、いろいろなスキヤンダル、いろいろな問題が起きて、前途ある有力なるところの官僚で、
業者に操縦されて惜しくも失職した人もあるのであります。先般同僚
委員の質問に対して、局長は、通産省の官僚は頭の切りかえは十分できおる、われわれはま
つたく国民の公僕であるということを断言しておられましたが、特にこういう権力を把握した上においては、官僚独善の弊に流れやすいのであります。この点においては十分なる注意を願わなければならぬと思
つておる。またさいぜんも話しましたが、今の特需のあり方が自由競争だ、たたきにたたかれてとられておる。ところがこの
法案の内容を見てみますと、その点は規制されるように見られておる。私は軍需
産業、つまり
武器製造あるいは輸出、あるいは特需、MSAを受けるにおいては統制するということは当然のことと思
つておりますが、受けたあとの
下請関係であります。先般も某社で、親請の方ではそろばんに合
つたが、
下請の方でての納期に納められなか
つた、キヤンセルが多か
つたという点でありますか、親
会社の
下請に対しても、親
会社か受けたとき届出をするごとく、この
下請に対してもその利潤の
関係を勘案して、この
法案に出ておりますところり届出によ
つて出血のないように育成して行くといいますが、中小
企業の育成のために
下請業者に対してもこれと同じ気持を持
つて実施していただきたい、こう思うのであります。また一方においては
委員会においていろいろと審議されるにおいて、
責任回避のために、あるいは学識経験者とか
業界の人とかを集めて審議会のようなものをつく
つて、その
人たちに
責任を負わせて、役所には
責任はないというようなことで審議会をつくるような考えがある。こういうことになりますと、また
業者はその審議会に対して陳情しなければならぬということになりましたならば、時を争う発注、受注の
関係において、これは机上では非常に正しい運行になるようには見えますが、実際上の問題においては非常に手間取り、いい結果は来ないものと思う。かるがゆえにこの
法案を実施するとしたならば、全
責任を持つという考えで行
つたならばどうか、まずその点について大臣の御答弁を拝聴したいと思います。