○
小川(平)
委員 しかし現実にもうか
つてしかたがないというような
事態が出て参りました場合に、放置させないといいましても、
法律にその
規定がない以上は、これを国に納付するというようなことはできないのじやないかと
考えられます。まだ今の御
答弁必ずしも納得できないのでありますが、一応これは承
つておくとしまして、もう
一つ、この
法律案を一読してだれでもただちに感ずるであろうという点は、この八十二条の四に
規定をしておる引受け限度三百万円というのはバランスを失しておるのじやないか、高きに失するのじやないかという点であります。これではたして健全な経営ができるだろうかということが一応疑問に思われる。単純な算術をや
つてみましても、どうもこれじやあぶないのじやないかという危惧の念を禁じ得ないわけであります。そこでかりに件数一万件の引受けがあ
つて、平均一件二十万円といたします。
料率を千円に対して五円ということにいたしますと、一千万円の
保険料になります。手数料とかその他の経費があるわけでしようから、これをまあ二五%と見る、未収
保険料もありましようから、これを一五%と
計算をいたします。そうすると、残りは六百万円ということになるわけであります。この六百万円を
基礎にして三百万円の危険を引受ける。もし
火災が起
つて来ますと、わずか二日分しか填補できない。これで
組合はつぶれてしまう。こういう非常に単純な
計算をしますと、こういう結果が出て来るわけです。こういう点をいかが
考えておられるか。あるいはまた
数字の問題にな
つて恐縮でございますが、冒頭に申し上げた
通りこの点は非常に大事なことであろうと思う。私も
保険のことについてはまつたくのしろうとで、わからないのですけれ
ども、これはしろうとなりに一応のそろばんをはじいてみなければならない問題だと思うのです。恐縮ですがお聞き取りを願いたい。
消防庁の調査によりますと、昭和二十一年から二十六年に至る六箇年の間に、五十戸以上焼失した
火災が何回あつたかと申しますと、百五十六回、一年に平均して二十六回という
数字が出ております。焼失した戸数が三万八千九百九十六戸、こういうことにな
つております。そこで以上の回数で、つまり焼けた回数で焼失した戸数を割
つてみますと、その
数字が平均焼失戸数ということになるわけですが、これは二百五十戸という
数字が出て来るのであります。そこで
火災保険会社のいわゆる普通物件
契約の
普及率、つまりこれはこの件数を世帯の数で割つた
数字ということになるわけですが、これはさつきも
お話が出ました
全国で二%くらいのもので、人口十万以上の都会では約三%ということにな
つておるようでありますが、そこでかりに地域別の
保険組合について以上申し上げた
数字を
基礎にして
計算をいたしてみますと、平均
保険金額五十万円として、平均焼失戸数はさつき申し上げた
通り二百五十戸です。
契約の
普及率はこれを三〇%といたします。三つの
数字をかけ合せますと、三千七百五十万円という
数字が出て来る。そこで今度は収入の方はどうなるかと申しますと、
契約件数がかりに一万五千件とします。件数一万五千というのは
組合としては中以上の、比較的大きな
組合になるだろうと思いますが、
料率五円として
計算しますと、やはり三千七百五十万円という
数字が出て来るのであ
つて、収入と支出が完全に一致する、こういうことにな
つて来るわけであります。ここで例に引いた
組合は、今申し上げた
通り相当大きな
組合であろうと
考えるわけですが、ただいまの例で判明いたしますように、大火が一ぺん起ればただちに壊滅をしてしまうという結果が出て来るじやないか、再
保険を考慮に入れるとしても、これは迅速確実な
保険金の給付ということが困難じやないだろうか。こういう点から
考えまして、どうしてもこの引受け最高限度三百万円というものは、
基礎の弱い
組合の行う
保険事業にとりましてはいささか高きに失するじやないか、こういうことが
考えられるわけであります。この点をどういうふうにお
考えでありましようか。