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1953-07-22 第16回国会 衆議院 通商産業委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十二日(水曜日)     午後三時二十九分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 福田  一君    理事 長谷川四郎君 理事 永井勝次郎君    理事 伊藤卯四郎君 理事 首藤 新八君       小川 平二君    田中 龍夫君       坪川 信三君    笹本 一雄君       山手 滿男君    加藤 清二君       齋木 重一君    下川儀太郎君       中崎  敏君    山口シヅエ君       始関 伊平君    川上 貫一君  出席国務大臣         通商産業大臣  岡野 清豪君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (通商局長)  牛場 信彦君         通商産業事務官         (重工業局長) 葦澤 大義君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君         通商産業事務官         (石炭局長)  佐久  洋君         中小企業庁長官 岡田 秀男君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局企業第         一課長)    出雲井正雄君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 七月二十二日  委員下川儀太郎君辞任につき、その補欠として  山崎始男君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十一日  特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部  改正に関する請願(福田赳夫君紹介)(第四八  三六号) の審査を本委員会に付託された。 同日  火薬類販売営業者定員制復活に関する陳情書  (第一〇六〇号)  中小炭鉱危機打開対策の樹立に関する陳情書  (第一〇六一号)  山口下中小企業者に対する災害復旧資金融資  増額に関する陳情書(  第一〇六二号)  鉱害復旧事業工事促進に関する陳情書  (第一〇九七号)  道南地方電力充実等に関する陳情書  (第一一四八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  木材防腐特別措置法案首藤新八君外四十名提  出、衆法第三五号)  中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案  (伊藤卯四郎君外六十三名提出衆法第三〇  号)  商工会議所法案小平久雄君外三十二名提出、  衆法第三二号)  武器等製造法案内閣提出第四四号)  石炭に関する小委員長より中間報告聴取  水害による石炭鉱業被害復旧対策に関し水害  地緊急対策特別委員会に申し入れの件     ―――――――――――――
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  まず本日の日程に入りまする前に、石炭に関する小委員長より、炭鉱復旧対策に関し中間報告をいたしたい旨の申出がありまするので、この際これを許します。
  3. 永井勝次郎

    永井委員 この議事に入る前に、議事進行に関して発言したいと思います。会期も相当に迫つておると思いますし、この委員会審議に上つておる議案も相当あると思うのであります。武器等製造法案については、関係業者の入札あるいは受注についての実態調査が絶対必要な条件であると考えます。それから中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案は、大分前に提案説明があつたままに、放任されておるのでありますが、この会期中にすみやかにこれを議題に供さなければならないと考えます。商工会議所法法案等は、昨日提案説明して、本日これを議決しようというような実情になつておる。ずつと前にかかつたものはそのまま放任されておる。こういうような扱いでは片手落ちではないかと思うので、委員長のこれらに対する取扱いの態度をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  4. 大西禎夫

    大西委員長 お答え申し上げます。なるべく片手落ちのないように順次進めて行つておるのでありますが、御承知のように皆様方共同提案といいますか、そういうものは上るものから上げて行きたいということで、何もあとから出たのを先にやりたいというのではなくて、上りやすいものから先にやらしていただいておるということで、その点は御趣旨の線に沿つて順次やつて参りたいと考えております。
  5. 永井勝次郎

    永井委員 今の中小企業改正法案、これは非常に簡単な条文ですから、反対反対でいいのだし、賛成賛成でいいので、一応態度をきめるべき時期だろうと思う。片方も協力して審議を進めますが、やはりそういうふうにやることも片手落ちにならないように御考慮願いたい。
  6. 大西禎夫

    大西委員長 かしこまりました。やるつもりでおるのでありますが、御承知のようにこれが出て来ておるものですから…。
  7. 川上貫一

    川上委員 関連して……。議事進行の問題ですが、ここではつきりしてもらいたいのは、日米友好通商条約が他の委員会にかかつてつて、ここでは共同審査申込みをしてあるということなんですが、それを共同審査をしないで済ましてくれぬかという、おそらく非公式だろうと思うのですが、委員長に話があつたということを承つておるのですが、これはどうも困る。そこでこれは正式なものじやないでしようから、それでけつこうなんですが、通産委員会としてはこれは重大な問題で、実際はこの問題は通産にかかつてもいいくらいな内容のものだと思う。だから、これは共同審査を強硬に主張して実現するようにしていただきたい。もし理事会などに諮つて十分打合せをしなければならぬのなら、理事会にお諮りくださつてそうして相手の委員会へ申し込んで、この機会をとるようにぜひお願いしたいと思います。
  8. 大西禎夫

    大西委員長 かしこまりました。理事会皆さんとよく御協議をしまして、向うへ私一人でいけなければ、理事の方も一緒に行つていただいて向うと折衝する、こういうつもりにいたしておりますから、御了承願いたいと思います。  では石炭に関する小委員長下川儀太郎君。
  9. 下川儀太郎

    下川委員 石炭小委員会国政調査に関する第二回中間報告を申し上げます。  すでに御承知のごとく、去る八日本委員会におきまして西日本水害に関連する石炭小委員会中間報告を申しましたが、本問題は一刻を争う焦眉の急でありますので、その具体的措置について強く当局要望いたしたことは、皆さんの御承知のことと存じます。  すなわち石炭水害対策並びに関連産業への緊急対策として、一が資金対策、二が復金債特別措置、三が生活資金対策、四が免税措置、五が輸送対策、六が坑木対策、七が鉱害復旧対策、八が電力対策、九が復旧資材対策の九項目と、水害に関連する中部、関西の中小企業救済並びに水害を悪用する企業者労基法違反に対する監督についての二項目を加えて、本委員会の名において政府当局に強くその具体化要望し、当日岡野通産大臣においても、本問題に対しましては緊急措置を講ずるということを確約されております。しかるにその後一向本委員会要望遅々として進んでおらないということを、被害地の人々が強く訴えておりますので、われわれ石炭小委委員といたしましても、もしこれが事実であるとするならば、政府の不誠意と怠慢はあまりにも本委員会を無視するものであるという考え方から、昨二十一日再び第二回の水害に関する石炭小委員会を開きまして、先般の業界の代表者並びに労務者代表六名を参考人として招きまして、これらの救済対策がいかに施行されておるか、その実情並びに今後に対する具体的要望等に関する忌憚ない意見を聴取いたしました。  これら参考人供述内容につきましては、それぞれ別途配付いたしました公述要旨なる印刷物をごらんくださればよくわかりますが、結論的に申しますると、災害勃発後すでに二十数日を経過した今日、いまだに何ら具体的措置が講じられておらないということでございます。もちろん部分的には、たとえば電力追加割当輸送力回復等の面では相当見るべきものがありますけれども、遺憾ながらこれを要するに、今日までいまだに何ら具体的な施設が講じられていないということを、こもこも立つてつておるのであります。特に遺憾に存じますことは、先般の第一回の報告におきまして、まずつなぎ融資の問題をわれわれは強く政府当局要望しておりました。ところがびた一文もその影響を受けておらないということを、六名の参考人がほとんど口を同じくして言つておるのであります。なおこれに関して従来低物価政策による炭価の統制あるいは緊急増産のため復金債による炭鉱住宅大量建設等々、石炭鉱業に対する国策影響もありまして、炭鉱、特に中小炭鉱はすでに銀行貸付限界点まで融通を受けており、担保余力とてもなく、従つて他産業等においては当然恩恵に浴すべき預託融資も、炭鉱に関する限りにおいてはいたずらに銀行窓口に停頓し、当事者を潤すに至らないという現状であります。かくて同一地域における他産業の者が融資を受けて着々として復興に立ち上りつつある中に、ひとり炭鉱だけが——かつては終戦直後の経済再建に際し、まつ先国策に協力し、またその後の電力危機あるいは炭労スト等においても利潤を無視して全面的に政府を支援した炭鉱業者が、今次空前の水害のため破綻に直面しておりながら、その救済をよそに冷酷なる差別待遇に甘んずるのほかなき状態に陥らんとしておるということは、社会問題としても当然取上げてしかるべきだと彼らが絶叫いたしておるということでごごいます。従いましてこれが対策としては、炭鉱向け融資であることを明示すると同時に、これが受入れを可能ならしめるため、損失補償法制化が必要であり、すみやかにこれが具体化をはかるべきであるということに全員意見の一致を見たのであります。救済に関する今日までの実績が今申し述べましたことく、ほとんど一歩も前進しておらない、今後に対する参考人諸氏要望もまたおおむね前回と同機であり、これの繰返しにすぎません。従つてこれが対策もまた前回中間報告における応急対策中にほとんど余すところなく網羅しております。しかしなお二、三追加されるものもあります。そのおもなるものを列挙してみますと、  一、資金運用部に積み立てておる厚生年金を今次罹災労務者立上り資金に流用せしめられたい。   二、労務者住宅を、河海の水面以下の低地に建設するがごときことのないようにせしめられたい。  三、再起不能の炭鉱に対しては財政措置による復興の道を講ぜられたい。  四、罹災労務者に対する法的補償のほか、さらに国家補償についても考慮せられたい。  五、復旧救援資金の使途並びに返済については厳重な監視を要するものがあり、これがため臨時立法の必要がある。  六、各炭鉱労使両方代表による水害対策特別委員会を設けて、水害復旧従業等員の救護に関する諸般の事項協議、立案並びに実施に当らせるようにせられたい。  第七、炭鉱復旧、これについては排水その他のため電力の異常なる需用増加が必然的に伴うのであります。しかるに九州電力自身もまた今次水害のため出力が著しく低下して飾る。一方本州方面よりの融通西日本送電幹線の容量におのずから限度があります関係上、結局炭鉱復旧促進のためにはまず九州電力出力回復をはかられたい。  第八、今次水害をこうむつた特別鉱害関係、家屋の復旧に充当するため、約五億円を一般会計から特別鉱害復旧特別会計に編入せられたい。  第九、水害がたまたま鉱害地帯において発生せるゆえをもつて、たとえば河川改修工事その他鉱害以外の原因によるものをも鉱害に基因せしめるがごときことのないよう原因調査の慎重を期せられたい。  以上が大体の要望事項でございます。私の第二回中間報告をこれをもつて終りといたしまするが、要するに前回報告いたしました十一項目応急対策と今次追加分とを合せて、すみやかに具体化するとともに、特にその眼目とも申すべきことは、つなぎ融資の問題であります。これがもし一日もおそかつた場合には、各炭鉱業者並びに中小炭鉱あるいは傘下の労務者生活、ひいては国内不安、社会不安をかもし出すような現状になつて参ると思います。従いまして日本経済立場からもあるいはまた社会不安を一掃する立場からも、至急通産委員会を通しまして、こうしたいわゆる遅々とした対策状態をより以上に督促してもらいたい。そうして一刻も早く西日本石炭並びにそれに関連する方面の多くの人心の不安を一掃していただきたい。これを本石炭小委員会は一致して要望したのであります。  以上私の第二回の中間報告を終りますが、以上の私の報告をより効果的に、委員長の名において政府並びに水害対策本部の方に反映していただきたい。かように考えるものであります。  以上をもつて私の報告を終りといたしたいと思います。
  10. 大西禎夫

    大西委員長 以上をもつて委員会報告は終了いたしました。ただいまの報告に基きまして水害地緊急対策委員会並びに政府に申入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければさようとりはからいます。なお案文の作成につきましては委員長に御一任願いたいと思います。
  12. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 大臣がお見えになりましたから、二、三点お伺いしようと思います。いろいろ大臣に激励、お尋ねしなければならぬことがありましたけれども、昨日からの状態を見ますと、通産大臣かなり努力をされたような点が見られますので、この点は大臣の労を多として感謝しております。つきましてお尋ねしたいのは、この炭鉱水害のために五億と十億のつなぎ融資をするということが正式に炭鉱代表に答えられておるようでございます。さらにまた新聞にもそれが発表されておるようでありますが、これは事実であるかどうか。事実とすれば、その五億と十億というものはどういう性質の金であるか。そういう点をひとつお聞かせ願いたい。
  13. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これはまだはつきりした、正式に閣議で決定したというわけではございませんけれども、しかし必ずこの通りつて行きたいということで、関係閣僚とは了解済みでございます。そこでまず最初に申し上げますが、開銀といたしましては今まで普通に五億中小企業金融公庫に引継ぐべく貸出しとしてあることは、これはすでに御承知通りでございます。そのほかに今回開銀から五億五千万円出すことにいたしまして、それは山口県の方に五千万円、九州の方に五億という割合に相なつております。それから預託金でございますが、これは十五億を総額出すことにいたしておりますが、そのうち四億は商工中金に貸しますし、一般銀行をして五億出します。相互銀行を経て四億出します。信用組合に対し二億、合せて十五億。この方はいわゆる短期融資でやることにしております。そのほかまた国民金融公庫に対して五億、住宅公庫に対して四億、こういうようなことにいたしております。なお商工中金とよく話合いしまして、このほかにこの金額ははつきりと私ただいま責任をもつて申せませんけれども、十億ほど余裕金災害向けに用意をしてくれ、こういうふうにしておりまして、多分これは通ることと思います。なお手形の随時延長なども十分にやつております。ただいまのところ、そういうところまで行つておることを御了承願いたいと思います。
  14. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 時間が十分間ということでありますから、要点だけお尋ねをいたします。そういたしますと、大体今つなぎ資金として出そうと御答弁になりましたものは、大臣考えとしては大体いつごろまでに閣議決定をしてそれぞれの金融機関に委託することができるか、その見通しをひとつ伺いたいのであります。というのは非常にこの金は急いでおる金でありますから、そういう点からその見通しの点を伺いたい。
  15. 大西禎夫

    大西委員長 ちよつと速記を止めて。     〔速記中止
  16. 大西禎夫

    大西委員長 速記を始めてください。
  17. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 それではこれは後刻のことにいたします。そこで貸出しの最高額というか。あるいは貸出しの条件というか、こういうこまかい問題についての点などは通産大臣のもとで省議というか、関係省議というか、そういう点で大体おきめになつておるかどうか、そういう点を伺いたい。
  18. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは関係閣僚に申し伝えまして、それから限度の点につきましてはこれは預託金の方のあとの十五億、すなわち短期資金の方でございます。これはその銀行々々の考え方によつてできることにいたしております。
  19. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 国家補償の点が貸出しの上に一番問題になるんじやないかと思うのです。たとえば金だけ銀行に預託されましても、利子の問題あるいは損失の場合に対する国家補償の形態が明らかにならないと、銀行は金を預かつて窓口から貸し出すことができないのではないか、こういう点が水害後一月になろうとしておる今日も問題になつておるようでございます。大臣銀行屋専門家だから、われわれ以上に詳しいと思うのですが、委託銀行利子というか、手数料というか、あるいは国家損失補償というか、そういうような条件がある程度備わらなければ銀行は貸し出さないと思うのです。そういうような点はどのようになるかをひとつお伺いしたい。
  20. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。信用保険保険料率はただいままで三分でございましたが、これを国が一分、それから地方公共団体が一分負担しまして、業者は一分だけの信用保険料を払えばいいということにしたいと思いまして実はやつておるのでございますけれども、まだ自治庁と大蔵省との間の話合いがよくつきませんで保留になつておりますが、信用保険によりましてこれを補償するということが一つ考えられる道でございます。それは着々やつております。  それから利子補給でございますが、中小企業につきましては一千万円限度で、これはいろいろございましようけれども、炭鉱あたりでございますと、これは限度を自由にするという方向に向わなければならぬと思いまして、ただいま利子補給の方の手続きをしつつあります。ただそれを二分にしようか四分にしようかということで、関係事務当局の間で話の結末がまだついておりません。  なお損失補償のことにつきましても研究中でございます。しかしわれわれといたしまては、そういうことはあと善後策で行くべきものでございますが、できるならば事前そういうことができた方が借りやすいとも思いますけれども、まず金を出す方に忙しうございまして、金を手配いたしまして、そういうふうに、関係事務当局の方でいろいろ研究しなければならぬことは急いではやらせておりますけれども、まだそれが確定案になつておらぬことを遺憾といたします。
  21. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 十五億というのは緊急処置としてのつなぎ資金というお考えであるか、この中には長期にわたる復興的なものが含まれておらないで、きわめて緊急のつなぎ資金であるから短期である、こういうお考で出されるのか、それから短期といえばどのくらいのことをお考えになつておるか、大臣考えというか、あるいは省議ででもそういうことを話し合つておるならひとつ伺つておきたい。  それから先ほどからお伺いをしております貸出しの諸条件国家補償の具体的な条件、こういうものが一応そろわなければ、実質的に、緊急な金として貸出しても金が生きて行かないわけであります。そういう条件は大体いつごろまでにそろえて委託銀行に示すことができる見通しであるか、大臣考えを伺いたい。
  22. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。預託金の方の十五億なるものは、これはごく短期つなぎ資金でございまして、ただいま私の考えておりますと申しますか、大体了解のつきましたことは、とりあえず十月末まで、こういうことにしております。しかしこれは実情によりましてどうなることだか、その辺は業者銀行との間の関係になります。  それから諸条件は、これは御承知通りに非常に困つておられる、また急いでもらわなければならぬという意味におきまして、できるだけ特別のとりはからいをしてもらうということにしております。  特にもう一つ申し上げたいことは、先ほど申し上げました開銀の方でございますが、普通の貸出しの五億円の方は、これは利息が一割でございますが、あと出しました五億五千万円というのは、六分五厘に金利をまけて提供しております。それもお含みを願いたいと思います。
  23. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 約束の時間が来ておりますから、まだ十分納得できない点をもつとつつ込んで質問しなければならぬのでございますが、時間の関係できようはそれはできないように思います。従つてこの際、最後に大臣に聞いておきたいことは、せつかく苦心をされて、大臣努力をされて十五億のつなぎ融資緊急処置をされたわけでありますから、これが早く銀行から炭鉱の方につなぎ資金として貸し出せるようにしてもらわなければならぬ。ついては、先ほどから私が申し上げておる、つまり委託金融機関に対する条件でございます。たとえば利子の問題、損失補償問題等そういうものが具体的にならなければ貸し出せませんから、これをひとつ至急にそろえてもらわなければならぬと思うのであります。そこでこれに伴いまして、どの炭鉱に幾ら貸すというような場合に、やはりこれを査定する機関がなければなりますまい。たとえば通産省の出先機関というか、あるいは金融機関というか、あるいは業者団体というか、こういうようなものからそれぞれ代表者が出されて、炭鉱なり金額なり査定をする機関が当然つくらるべきものと思うが、そういうものをおつくりになる考えがあるかどうか伺つておきたいと思います。  それから、先ほどから申し上げておきましたように、諸条件を一刻も早くそろえて、窓口から貸し出せるようにしてもらわなければならぬ。伺つていると、それはきようはまだ具体的に答弁のできないような点もあるようでありますから、ここで無理に聞こうとは思いませんが、できるだけひとつ具体的にされて、炭鉱代表も六、七十人来ておるようでありますから、これらの諸君を一日でも早く帰すようにしてもらわなければならぬと思います。東京におつたところで災害炭鉱復旧はできないのですから、一日も早く帰して災害復旧に当らすことが政府としての責任上とられなければならぬ処置だと思います。そういう点から、この諸君に理解さして、一刻も早く帰す、帰れば窓口からすぐ借りられる、こういう点を至急そろえてやつていただくようこの際強く私は要望いたしておきます。  それから期間の問題についてどのようにお考えになつておられるか。そういう点を一つだけお伺いいたしたいと思います。
  24. 岡野清豪

    岡野国務大臣 後段の点につきましては今研究をいたしつつありますから、できるだけ御趣旨を尊重いたしまして至急にやりたいと思います。  それから前段の分でございますが。これは各銀行あたりによく行政指導をいたしまして、御趣旨は私たちも同じなのでございますから、できるだけやらしておるはずでございますし、また今後もやらせて行きたいと考えております。     —————————————
  25. 大西禎夫

    大西委員長 次に木材防腐特措置法案議題といたし、提出者より提出理由説明を求めます。首藤新八君。     —————————————
  26. 首藤新八

    首藤委員 ただいま議題となりましん木材防腐特別措置法案提案理由を似説明申し上げます。  まずわが国の木材需給に関する現状を見まするに、昨昭和二十七年度においては、需要量の合計約一億石に対して、一方供給量は、森林法による伐採許容量六千七百七十万石、輸入によるもの二百二十万石、その他森林法制限外の高樹齢木材採によるもの等を合せても、なお総供給量は約九千三百万石にすぎません。従つて昨年度における供給不足量は、約七百万石、すなわち総需要量の一割に近い数に上るのであります。しかもこの供給不足の傾向は、治林、治水の面だけから考えましても、逐年激化の一途をたどるべき必然の趨勢にあることは申すまでもありません。  かような木材需給の不均衡を調整するため、政府におきましては、先年来木材需給対策要綱を策定いたしまして、未開発資源の開発による供給量の増加をはかること、潤葉樹をパルプ材として活用すること、木材の防腐加工を奨励することなど一連の施策による消費の節約と需給の調整に努力いたしておるのであります。なかんずく木材の防腐措置については、昨二十七年度において約百六十万石の実績を上げておるのであります。しかしながら行政措置だけではおのずから限界があります。これ以上さらに多くを期待することはとうてい不可能であります。よつて政府はさきの第十五国会において、これに対する法的措置を講ぜんとして、木材防腐特別措置法案を立案いたしたのであります。しかしながらその内容をしさいに検討いたしますると、むしろ議員立法といたす方が妥当であると考えられまするため、今回私どもが提案者として本国会に提案いたすことと相なつた次第であります。  次に本法案の内容でありますが、鉄道及び軌道の枕木その他特定の用途に供する木材は、省令の定める方法によつて防腐措置を施さなければならないというのがその骨子であります。しかしながら種々適用困難な場合も予想せられまするため、これらに対する除外規定を設けております。また需要者の中には、所要資金の調達が困難な向きもあるかと考えられまするため、かような向きに対しては政府において融資のあつせんをいたすことに相なつております。  次に本法実施の効果について申上げまするが、本法案適用の対象となるものは現在において、約百万石に上るのでありますが、これらの木材は防腐措置のためその耐久力が約三倍に増強せられるものと考えるのであります。  以上本法律案提案理由並びにその内容等の概要を申上げました。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛同くださらんことを切望する次第であります。  以上でありますが、この際特にお願い申したいと考えますのは、会期切迫の今日かような法案を提案いたしまして御審議を煩わしますことは非常に恐縮でございますが、御承知のごとく前国会以来一日も早くこれを提案いたしたい、かように考えておつたにもかかわらず、いろいろの都合で今日まで延びた次第であります。しかし法案の内容がきわめて簡単でありますのと、この提案が共産党を除く各党共同提案にもなつておりますので、何とか特別のおはからいによりまして、簡単な質疑応答で御審議いただければまことにけつこうだと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  27. 大西禎夫

    大西委員長 以上をもつて提案理由説明は終了いたしました。     —————————————
  28. 大西禎夫

    大西委員長 次に中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案衆法第三〇号を議題といたし、提出者より提案理由説明を求めます。中崎敏君。     —————————————
  29. 中崎敏

    ○中崎委員 ただいま、議題と相なりました中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  本改正案の眼目は、一言にして申し上げれば、信用協同組合の員外預金に関する点であります。  そもそもこの問題は、中小企業等協同組合法発足当時、同法の第七十六条第二項の規定に存していたのでありますが、その後信用金庫法の成立により、同条の規定が削除せられ、今日に至つたのであります。  しかるにこの条項の削除に対しては、全国中小商工業者の各種団体において当時より猛烈な反対があり、その後機会あるごとにこの点の復活が熱心に唱道せられて参つた次第であります。  元来協同組合は、組合員相互の扶助を目的とするものであるが、今日の中小商工業者の経済的逼迫の情勢にかんがみ、組合の財政的基礎を強固にし、ますますその対外信用度を高め、もつて、社会福祉に貢献しなければならない使命を有するのであります。  ことに特定地域内における地域的人的結合を利用し、広く資金を外界に求め、相互扶助の精神を、ますます高揚しなければならないのであります。一方この員外預金の排除は、その反面おびただしいやみ金融資本を続出し、その結果弱体商工業は日に日に虫ばまれて行く状況であり、これは社会問題としても看過しがたい重要な事実であります。  善意の大衆の預金を保護し、あわせて協同組合の信用度を高めるためにも、この員外預金の規定は従前にもどし、もつて全国中小商工業の渇望にこたえるべきものと確信いたすものであります。  以上が本改正案の提案趣旨並びに理由であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
  30. 大西禎夫

    大西委員長 以上をもつて提案理由説明は終了いたしました。     —————————————
  31. 大西禎夫

    大西委員長 次に商工会議所法案議題といたします。  御質疑はありませんか。——別に御質疑がなければ、これより討論に入りますが、討論はこれを省略いたし、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければ、討論はこれを省略いたし、ただちに採決に入ります。  本案に御賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立)
  33. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  この際山手君より発言を求められておりますから、これを許します。山手滿男君。
  34. 山手滿男

    ○山手委員 ただいま議決されました商工会議所法案に附帯をいたしまして、附帯決議を本委員会でいたしたいと思います。  お手元に配付いたしました附帯決議案文をまず朗読いたします。   政府は、貿易及び中小企業の振興、技術の普及、商工業に関する調査等につき商工会議所を一層活用すると共に特に中小企業金融に関し、商工会議所の行う信用調査を活用する途を講ずること。 以上であります。  本法案が正式に成立をいたしますと、商工会議所は今までとは違いまして、順次機能を活発に発揮することができるようになつて参ることと期待できるのであります。それにつきましても、商工会議所の同産業におきまする重要な地位にかんがみ荒して、政府は、ただいま決議案の中で朗読をいたしましたように、中小企業の振興、技術の普及、商工業に関する諸調査等につきましても、もう少し積極的に商工会議所を活用し、かつそうすることによつて商工会議所をも育成強化をして行く、こういうふうに努力をされたいと思う次第でありまして、この決議を提出したわけでございます。  何とぞ皆さん方の御賛同をいただきたいと思う次第であります。
  35. 大西禎夫

    大西委員長 ただいまの山手君提案にかかる附帯決議を付することに賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立〕
  36. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつてただいまの附帯決議を付するに決しました。
  37. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいまの附帯決議がなされましたが、政府といたしましては、この委員会において議決されました御趣旨を尊重いたしまして、その具体的方策等については、十分検討をして善処いたすつもりでおります。
  38. 大西禎夫

    大西委員長 この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました議案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 大西禎夫

    大西委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。     —————————————
  40. 大西禎夫

    大西委員長 次に、武器等製造法案議題といたし、昨日に引続き質疑を続行いたします。永井勝次郎君。
  41. 永井勝次郎

    永井委員 この武器等製造法案は、企業の許可制によつて、あるいは契約内容の届出制によつて出血受注を押えて行こう、こういう目的、効果をねらつておると考えるのでありますが、この企業の許可制と契約内容の届出制によつて、実際の出血受注を押えて行くことができるかどうか、現在の契約の内容において、具体的にどういう点が出血の原因になつておるのか、そうして、この原因が除かれたならば、出血は阻止できるのであるか、こういう実態と、これに対処する方策を承りたいと思います。
  42. 葦澤大義

    葦澤政府委員 許可制度によりまして、いたずらにわずかな一定のきまつた発注に対しまして殺到いたすことをまず排除する、契約の内容を事前に届出をされることによりまして、特にその販売価格というものが事前にわかるのでございますから、それを検討いたしまして、それが不当なものでありますならば、一応戒告をするという措置になつておるわけでありますが、戒告に応じても応じなくても、そこに罰則の適用がないという点において徹底性を欠くのじやないかという点もあろうかと思いますが、現在の段階におきまして、戒告をせられるということは、やはり社会的に経済的に、それだけ非常な大きな制裁を受けるわけでありますので、その目的はこれによつて達成されるというふうに私どもは見ておるわけであります。
  43. 永井勝次郎

    永井委員 契約の内容にわたる問題は、MSAの契約の結び方のいかんによつてかわつて来ると思いますが、この点はMSAとは全然関係なくやつて行けるのかどうか、これをお伺いいたします。
  44. 葦澤大義

    葦澤政府委員 MSAがどういうふうに締結されますか、これは今後の問題でありますが、かりにMSAが締結になるといたしますれば、それまでの間はむろんこの法案によつて従つて行くわけでありまして、またMSAがかりに締結になりましても、この法案によつて実施して行かれるものだと私どもは考えております。
  45. 永井勝次郎

    永井委員 MSAによる域外発注ということになれ、従来のJPAの発注とは違つた形ができて来るのではないか、こう思いますが、MSAを受諾した場合においてもやはり発注の窓口はJPAの一つでありますかどうか。
  46. 葦澤大義

    葦澤政府委員 MSAを受諾した場合に、発注形態がどうなるかということはまだ実際に締結をいたされていませんので、実は実際のところわかりませんが、おそらくそう異なつた形態ではあるまいというふうには思いますが、ただわれわれの期待いたしておりますところでは、かりにMSAというものを基本的に受諾いたしますれば、その発注形態なりあるいは今後発注しようというものについて細目の話が持ち上つて来るだろうというふうに思われるのでありますが、その際に、少くも現在の発注、受注よりは改善された、すなわち双方の協議がある程度行われて円滑な運営ができるような形態をわれわれとしては希望いたしておるわけでございます。
  47. 永井勝次郎

    永井委員 希望することはどういうことでも希望できるのでありますが、実際に動いて来る事実はいろいろかわつて来るだろうと思うのですが、JPA一本の窓口であるかどうか、あるいはMSA援助による各国の兵器生産のいろいろな実情等一例がありましたならばお示しを願いたいと思います。
  48. 葦澤大義

    葦澤政府委員 まだ具体的な内容についでは何ら向うとの審議がないわけでありますから、確定的にどうなるかということは申し上げられないわけであります。     〔委員長退席、福田委員長代理着席〕 JPAの機構そのままで参りますか、あるいは大使館の方から参りますか、そういうこともやはり今後のことに属するというふうに考えられるわけでありまして、事態の進展をまつてみないと明確なことは申し上げられないような状況でございます。
  49. 永井勝次郎

    永井委員 従来の日本に対する特需は変態でありまして、MSAではなかつたと思うのであります。MSAからの発注ということになれば、JPAは発注の窓口ではなくなるのではないかと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  50. 葦澤大義

    葦澤政府委員 MSAが妥結した場合にJPAが当りますか、あるいはMSAという新しい機構になりますから、従いまして発注機構も別途新機構によるか、これはまだ細目の協定に至つておらないことでありまするので、こちらとしてはどうとも申し上げかねる状況でございます。
  51. 永井勝次郎

    永井委員 昨日のお答えにおきましては、MSAの問題は今進行過程であるから、この法案の内容においてはMSAということは全然考慮に入れてない、MSAが正式に受諾されましたならばその実壇応じてまたいろいろかわつて来るであろう、こういう答弁であつたのでありますが、そういたしますと、MSA受諾によりましては、その内容いかんによつてはこの法案の改訂と上いう問題も起り得ると思うのでありますが、それに対する見通しはいかがでありましようか。
  52. 葦澤大義

    葦澤政府委員 MSAの締結の態様はむろん今わからないのでありまするけれども、本法の目的といたしておりまする武器の生産の許可制並びに契約の事前届出制というものにつきましては、いずれにいたしましてもそう多数の者から発注されるということは想像されないわけでありまして、具体的にJPAでやるかあるいは大使館が当るのか、これはわかりませんけれども、やはり従来通り発注者はきわめて限られたものが発注して来ることは想像されまするので、現在の予想といたしましては、かりにMSAの協定が締結されましても、本法案の改正をどうということはないのじやないかというふうに考えております。しかしこれは基本的にMSAの内容その他相当大きな問題でありますから、締結いかんによつてはかわるかもしれませんが、現在の段階においては今申し上げたような事由から、本法案を加える余地はないのじやないかというふうに考えておるわけでございます。
  53. 永井勝次郎

    永井委員 局長は、日本が完全独立国家でありて、日本の意思によつて対等のいろいろな交渉や契約が可能であるというような錯覚に陥つているのではないかと思いますが、MSA受諾いかんによりましては、国内法がどのようにきめようと、それはこういうふうにしてやるのだ、この向うの要求と本法できめてあるいろいろな条項とが抵触する場合においては、当然こちらは後退せざるを得なくなるだろうとわれわれは思うのであります。国内法に対してはいかにも完全独立国家で、日本の主張で何でも向うと交渉できるよに錯覚しておるのじやないかと思いますが、その点は錯覚に陥つていないかどうか、ひとつ頭の状態を……。(笑声、「頭を割つて見せろすいかすいか」と呼ぶ者あり)
  54. 葦澤大義

    葦澤政府委員 御指摘の点、まことにどうも言葉をお返しするようで恐縮でございますが、私は錯覚には陥つていないというふうに信じておるわけでございます。
  55. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、この契約において従来アメリカの国内法が日本にいろいろ適用されていたわけでありますが、契約におけるところのアメリカの国内法の適用ということは、これは排除することができるかどうか、これをお伺いいたします。
  56. 葦澤大義

    葦澤政府委員 アメリカの国内法がただちにMSA協定によつて適用するようになるかならないか。これは協定締結の状況によるわけであります。現在においても向うの国内法を適用する場合に行政協定等の規定において来るわけでございますから、直接向うの国内法が適用になるということはないはずでございます。協定締結のときに行わるべき問題でありますので、その協定締結の際に私はアメリカの国内法の事由によつて本法案に改訂を加えるというようなことはまず起らないのではないかというふうに考えておるのでありまして、実際そのときの協定の状況によらなければわからないのであります。私は現在のところは起らないのではないかというふうに考えておるものであります。
  57. 永井勝次郎

    永井委員 MSA受諾後における契約というものは現在エツクスでありますから、これはわからない。しかし従来の受注関係においてはアメリカの国内法が適用され、そのためにこちらの契約、取引上の普通の通念と、アメリカ国内法の通念こういうものの食い違いから、相当な行き違いが起つたことは事実であろうと思うのでありますが、どのような契約とりきめがどのように行われて来たのか。アメリカの国内法がどのように適用されたのか、全然適用されなかつたのか、この点を伺いたい。
  58. 葦澤大義

    葦澤政府委員 従来指名入札制度によつておりますが、指名入札制度はアメリカ国内法に指名入札制度等を規定いたしておりますので、それに基きまして指名入札制度を行つておるわけであります。従いましてアメリカの国内法が実際に適用になつておるわけでございまして、御指摘のようにそのために日本側との間にいろいろなトラブルが起つた例もございます。そういうものにつきましてわれわれは日本の法律あるいは法慣習というものと相反するような点から起る問題につきましては、向う側にも再考慮してもらいまして、そういう点から起ります摩擦の排除ということに努めて参つたような状況でございます。
  59. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、行政協定その他の基本法から来る適用の問題もありましようが、この法律と、もしMSA受諾による内容とが抵触する場合には、この法律はMSAに対してどのような効力を持つか。本法の地位についてお尋ねいたします。
  60. 葦澤大義

    葦澤政府委員 現在の行政協定の締結されました条文の効力というものが国内法もそれに従つておるというような状況でございまするので、MSA協定がかりに締結されますれば、それに基いて本法案の改訂を要するという場合には、それに従つて改訂をする必要があろうかと存じます。しかしながら私は現在のところではそういうことが起らないのじやないかというふうに考えておるわけであります。
  61. 永井勝次郎

    永井委員 直接発注と間接発注とがあると思うのであります。従来は間接発注はほとんどなくて直接発注であると思うのでありますが、MSAを受諾すれば間接発注も日本の政府を通して契約するということが相当量期待できるのでありますか。あるいはそういうことは期待できないで、従来のようにJPAが直接契約するという形が予見できるのでありますか。
  62. 葦澤大義

    葦澤政府委員 仰せのような問題が確かに起るわけでありまして、間接発注の例が、欧州諸国に二、三それに準じたような形態で行われておるようでありますが、しかし私どもはそういう協定の締結された後を予見するのはどうかと思いますが、そういつた形態はできずに、会議制か、あるいは協議をいたして行われるという形態に行くのじやないか、こういう考え方をいたしておりまして、間接発注というような形態は起らないのじやないか。これは予想でございまして恐縮なのでありますが、そういうふうに考えるのであります。
  63. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、向うとこちらの政府あるいは業者委員会をつくつて、その委員会が受注を受けて、そしてこちらでだれが契約するかというようなことをきめる、こういうような構想になるのでございましようか。ただいまの話は協議してということなんで、向うとこちらの業者との間に何かそういう機関でも設けておやりになる、こういうお考えがあるのか。
  64. 葦澤大義

    葦澤政府委員 協議ということになりますと、やはり向う側と日本政府側が発注の基本条項なり基準条項につきまして協議をいたしまして、むろん具体的の契約は発注者と受注者が契約をいたすということになろうかと思うのでありまして、かりに協議ということが起りましても、最初から受注者みずからが協議に入つてどうこうという事態は起らぬのじやないかというふうに考えるわけであります。
  65. 永井勝次郎

    永井委員 たとえば現在向うの軍の修繕その他を引受けたとかいうようなものは、MSAと関係がないのかどうか。これは現地軍の直接の関係において別途に行われるのか。そういうものが全部、MSAを受諾するということになればその中に包括されるのか。その点をお聞きいたします。
  66. 葦澤大義

    葦澤政府委員 これも協定の際にどうとりきめるかという問題にかかろうと思うのでありまするが、おそらく軍がみずから修理いたすにつきましては、MSAの協定と別個に、現在の形態を持続して行くのじやないかというふうに予想いたしておるわけであります。
  67. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、現在のところでは、従来の入札のやり方の不備、あるいはその契約を実施する実際の内容について積極的に是正するという方向は、ただいまの局長のお話では全然打出されていないのではないか。消極的にこちらの方の競争をできるだけ少くする、業者の許可をする、それだけで、向うからの価格に対して、これでは日本の現在の状態においては引受けられない、あるいはこの業態においては日本の慣習がこうなつておるから、こういう状態における契約にしてもらいたい、あるいはこの限度ならば漸次こういうようにしてやつて行けるというような、円滑なそして健全な企業の発展に対するいろいろな積極的な働きかけというものは、向うに対してこの法律をもつてしてはできないのではないか。そういう点の是正は積極的にどういう形によつておやりになるお考えでありますか。
  68. 葦澤大義

    葦澤政府委員 向うとの協定の締結に対しまして、現在の発注状況より改善した発注状況にしますために、本法案が役立つか立たぬかという御質問でございますが、こちらが許可態勢になつておりますし、従いまして契約の事前届出制をとりますれば、これを根拠にいたしまして、向う側と協議いたします場合に、これが一つのてこになることは私は言い得ると思うわけであります。しかしながら法案によりましてそういう話合いをさせるということは一つの根拠ではありまするけれども、この法案の規定からただちに向うとの協議に際してどうこうと言うことはできませんので、たとえば適正なる価格であるかどうか、あるいは発注の時期、納期等が適正なものであるかどうかということについて、大体の目標をどこら辺に置いて行かれるのかどうかということは、協議に際しましてこの法案とは別に協議をする可能性というものがあろうというふうに存じておるわけであります。
  69. 永井勝次郎

    永井委員 たとえば法的に申しますならば、価格改訂条項あるいは再商議法といつた国内法の適用をもつて向うは臨んで来る。こういう場合、これらの国内法を排除する積極的な方法は、具体的にはどういうようにして行くか。
  70. 葦澤大義

    葦澤政府委員 たとえばそういうアメリカ国内法をただちにこちらに適用するかしないかということは協定の際にむろん問題になるわけでありまして、アメリカの国内法をただちに発注に対して適用するという協定を結べば、今のお説のようになるわけでありますけれども、その協定の際にアメリカの国内法をただちに日本には施行いたしませんで、お互いにひとつ協議の上で合意的に調整して行く手続をとろうじやないかということで、協定の精神が成り立ちますならば、その協定の条文によりまして、そういう精神に基いて行われるということになろうかと考えるわけでございます。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕
  71. 永井勝次郎

    永井委員 たとえば従来といえども、必ずしも正常な形における契約だけが行われて来たものではないとわれわれは仄聞しておるのであります。たとえば飲まさなければいろいろ仕事が取運ばない、あるいはJPAに勤務していた者がその職をやめて、民間に下つて事務室を持つて、そして入札の内容に介在して頭をはねるようなことをやる、あるいはその局にある者がコミツシヨンをとらなければ事が運ばない、こういうようないろいろな正常でない形における運営がなされて来た、仕事がやられて来た、こういう事柄に対しては、これは日本の法律をもつてして向うの官吏の不正を是正するということは非常に困難でありますが、これらの問題はどのようにして阻止し——日本の政府がそういうことに介入することは向うの不利益になることでありますから、当該の役人たちは決して快く思わないでありましようし、日本の政府の介入を許さぬということにもなるでありましよう。そういうような問題はどのような形において阻止して行こうとお考えになつておるか。従来ともに局長はそういう事例を耳にしているかどうか。もしその事実を聞いているとするならば、今後この出血受注を阻止する上に立つてどのような方策をお持ちになつておるか、これをひとつ具体的に伺いたい。
  72. 葦澤大義

    葦澤政府委員 御説のようなことを聞かないでもないのでありまするが、はたしてその真相がどうであるかということを究明する段階には私ども至つておらないのであります。何にいたしましても、そういうような事態の発生ということは、われわれの側にすれば望ましくない、好ましくない事態でありまするので、もしそういうようなことが起るとすれば、これは改善する要があるというふうに考えておるわけでありまして、それには、かりにMSAが受諾になるということになりますれば、そこで一つの考え方がかわる時期でありまするので、そのかわる際にそういうことが起らないように、向うとの話合せを十分にいたしたいというふうに考えておるわけであります。
  73. 永井勝次郎

    永井委員 局長はそういう問題を正弐に表面に取出して、日本の政府代表として、ほんとうに向うの役人と、従来耳にしたわれわれの好ましからざる事例について正々堂々と闘う決意があるのかどうか、重ねて伺いたい。
  74. 葦澤大義

    葦澤政府委員 協定の締結について私自身が参加するのかしないのか全然見当はつきませんが、かりにだれがそういう条項につきまして向う側と折衝する立場になりましても、御説の点につきましては、十分に向う側と話をして、そういう事態の起らないように努めたいというふうに存じておるわけであります。
  75. 永井勝次郎

    永井委員 従来はそれぞれのポストにある者が、そのポストにおいて何かを期待させるような発言をする。人のいい日本人は、その発言に大きな期待をかけてやる。将来に対するプラス・アルフアーとして大きな期待を持つ。そこにいろいろな問題が従来は起つて来た、こう思うのでありますが、そういうような発言や一つの手練手管があつたことをずいぶんわれわれは聞いておるのでありますが、局長はそういうことを承知しておるかどうか。もしそれらの事実があるとすれば、それらに対してどういうように対処するか。
  76. 葦澤大義

    葦澤政府委員 手練手管の内容は私も詳細はよく承知いたしておりませんが、うわさで聞くこともなきにしもあらずであります。しかしそういつた問題につきましては、これはひとりアメリカ人との間だけの問題ではなく、対人間の問題といたしまして、交渉ある場合にだれとの間にも起る問題でありますが、私はやはりそこはお互いによく誠意を打明けて行く、人間と人間との交渉で行くのだというところに基本のラインがありますので、現在JPAが発注いたしておりまして起りますいろいろな問題、これはやはり向う側の担当者がみずからの点数を上げるために、とにかく値切つて、安いものをとりさえすれば点数が上るという考え方の者も中にはあるわけでもありましようが、また一面、向うの中にもやはりそういうことは実際に発注する目的に合致するものでない、やはり適正な値段において品質のよいものを納期にかちつと納入してもらうという態度を発注者として持すべきであるという考え方を持つておる者もあるのでありまして、これは実際に、ほんとうに誠意をもつて話合つた結果にまつということが私は基本であろうというふうに存じておるわけであります。
  77. 永井勝次郎

    永井委員 大臣がお見えになつて大臣に対する質問者が控えておるようでありますから、私も大臣その他に質問したいこともありますが、これでやめますが、局長は、交渉は人と人との接触である、こういう非常に道義的なお話でありましたが、少くとも経済的な取引は、人と人との交渉であるというような漠然とした形では解決できません。そういうところに問題のポイントがあるのではなくて、やはり武器発注なり製造なりを日本の主体性においてこれをやめるのか、アメリカの主体性によつて、日本がこれに従属してやるのか、こういう力関係、そういう問題であると思うのであります。生活、風俗習慣の違つている国民に対して、人と人との接触によつてその習慣までも改善するなどという大それた考え方をしていては問題にならぬのであつて、日本に来たならば日本の習慣あるいは規則に従つてやらなければいけないのだという、こういう気持を起さして、それに従わせる、こちらの方の主体性を確立した運営をするのでなければ問題の解決はできない。力関係で行くならばこちらの方が敗けるにきまつておるのであります。問題の所在を間違つてはならないと考えるのでありますが、なおこれらの問題については今後十分にお話合いをして——要は、私は本法に対しては反対でありますけれども、しかし現実としてやるならば、改められた形においてやるべきではないか、かように考えまして、この点一線を引くところは厳固として一線を引いて、民族的な立場国家的な立場、これを明確にして、卑屈にならない形においてよく考えてこれをやつて行かなければならない、かように考えるのであります。従つて問題の所在はどこにあるか、これを究明することが先決の要件である、かように考えるわけであります。
  78. 大西禎夫

    大西委員長 大臣が見えましたので、川上君の質疑を許します。質疑は二十分程度でお願い申し上げます。川上貫一君。
  79. 川上貫一

    川上委員 大臣が二十分よりおれないというのですが、私の質問は二十分では済まないと思いますので、あとは留保することにして、とりあえず二十分を目当てにして質問をします。時間を節約したいですから、大臣答弁もなるべく簡略にお願いしたいと思います。  第一の問題は、兵器生産——武器製造と言いますけれども、これは兵器生産をするので、結局これは特需生産をやるのだ、アメリカの武器をつくるのだ、この武器はアメリカの兵隊が持つし、国連軍、韓国軍、台湾、インドシナ、バオダイ、これに行つておるし、はんの一部は保安隊に行つていると思うが、今後MSAの援助を受ければ相当の形でアメリカに行くかもしれない。これを一番問題にしておるのはフイリピンや濠州、二ユージーランドだと思う。これは再軍備の主体になる。こういう形でアジア諸国の人々と仲よくやつて行けるかどうか、これが一つ。  第二には、これは世界の動きに反しておる。世界は平和的な方向に向つておる。アジアの動きにも反しておる。  第三には国民の意思に反しておる。国民が今一番強く要求しておるのは、軍事基地の撤廃、それから軍需生産の反対なんだ。実際軍需輸送を拒否しておる。その時分に武器をつくることを公認して奨励する法律をつくる。これは国際的にも国内的にも非常に逆じやないのか、こういうことをやりますと、いよいよ日本はアメリカの戦争下請の国にされるだけで、国際的な孤立、アジアの孤立、またこういうやり方をすると、国民からの孤立になる。この点簡単でけつこうですから、通産大臣としてはどうお考えになるかということを御答弁願いたい。
  80. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。第一点のアジアの諸国と仲よくやれるかということでありますが、これは見解の相違でありまして、簡単に申し上げますれば、仲悪くならないと考えます。それから世界の傾向に反する、平和に反し、それから国民の総意に反しておるというお話でありますが、ただいま平和を保つためには、やはりある程度の勢力の均衡が必要でございますから、これは私はそうは考えません。それからこの法案によりまして武器製造を奨励するということでありますが、私は昨日もお答え申し上げましたが、むしろほつておいたならば、企業を自由にさせるという意味におきまして幾らでも出て来る。それを自制して行こうというのでありますから、奨励ではなくてこれを規律して行くということでありますから、どうも考えが根本的に私の立場と一致していないように感じます。
  81. 川上貫一

    川上委員 この問題では議論いたしません。大臣考えとわれわれは同じにはなりませんが、これは奨励である。占領中には禁止であつた。単独講和を結んで野放しにしたのを、今度法律をもつてこれを公認しようという。だからこれは奨励です。これは助長することなんだ。一体政策はどうかわつたのかということを聞きたいのですけれども、時間がありませんから、これは聞きません。これは明らかに奨励なんだ。武器製造を公認するのだということは認めなければならぬ。  そこで第二点にこういうことを聞いてみたい。この武器製造をやりますと——これは兵器なんですが、発注して来るところは、さきにも局長が答弁されたように必ずきまつておる。そうすると、調達の方式、全部の計画、規格というものは、政府や国民の意思できまるのではなくて、今日では在日兵端本部の意思だ。MSAの援助を受ければこの機構はどうなるかわからぬが、要するにJPAの意思なんだ。価格の決定にしても、価格の改訂でも、あるいは規格検査、補償などが全部向うざんによつて行われてしまう。もう一つ言うと、経営と労務干渉が行われる。この点はあとで詳しく説明します。こういうことになつて、この兵器の生産、武器の生産というものを法律で認めてどんどんやるという政治をとつて来ますと、日本の産業の構造上兵器生産は重要なものになつてしまいます。こういうものをアメリカのさしずを受けてやることになる。私はここに問題があると思う。こういうものをつくる、つくらぬというところに問題がありますけれども、このつくり方が政府の意思でも国会の意思でもきまらぬのだ。向うさんの意思できまつてしまう。こういう生産のやり方をやつて行くということは、私はほかの例をたくさんあげてもよろしいが、時間がないからあげない。しかし兵器生産、特需工場、これが日本の産業、企業の型を一つつくつて来ると思うが、これが向うに押えられてしまう。この点はどうお考えになりますか。
  82. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。第一点はこれは奨励しておるのだとか、もしくは武器生産を公認するのだとかいうことを仰せになりますが、私自身はただいま現に武器生産は公認されていると認めております。ただその公認されている武器生産については、公共の福祉とか安全性から見まして、火薬工場が爆発して無事の多数が死傷するというような危険があつてはならぬから、それに対して監督をして行く。それからまた日本の経済上から行きましても、臨時的の注文を受けたために、先の見通しもなしにどんどん設備を拡張するとかなんとかいうことになりますと、いらぬ金を使わなければならぬ。しかもその会社が将来注文が減つたときには倒れなければならぬ。そういうことをされてはならぬというので、われわれといたしましてはこの法案を出しておるわけであります。  それから米のさしずによつて物をつくるということになる、こう仰せになりますが、商品というものは買手が好むものをつくるのがほんとうでございますから、結局問題といたしましては、向うで買いたいものをつくるということになる。これをさしずというならば、これはまた言葉のあやでございましようが、しかし商売の要諦と申しますものは、自分ひとりよがりで、これがいいと思うものをつくつてつてくれと言つても、他人は買うものではない。他人の買うもの、買手の好むもの——買手のさしずとは申しませんけれども、買手の意欲をよく検討するということが商売の要諦でございますから、その点は経済上の観念から申しましても異論はないと思います。
  83. 川上貫一

    川上委員 それは違うのです。私の言うのは、何のなにがしが来て直接にさしずするかどうかは問題じやない。たとえば一つのものを注文して、たくさんの製品の中で一つでも間違つたものがあればキヤンセルする。ちよつと期日でも切れれば契約を破棄するという形で来ておる。これが兵器生産の実態なんだ。労働強化はもちろんですが、ストライキもできぬ。ストライキをする時分にはどうするか。工場主も労働組合の者も向うに行つて相談しなければできぬじやないか。ストライキをすれば契約を破棄されるという例もある。現に日本自動車の渕野辺工場では、ストライキをしたというので全部キヤンセルされてつぶれてしまつたではないか。これでもアメリカが干渉せぬというのですか、明らかに干渉じやないか。明らかなさしずじやないか。この形がどんどん行われるのです。これが軍需生産の実態なんだ。私がさしずというのは、何月の何日に来てどうせいというさしずをするということだけを言うておるのじやない。しかし実際はさしずしておる。黙つてストライキができますか、できはしない。これをさしずと思いませんか、通産大臣。もう一つつけて言うが、ストの場合には司令官に報告しなければならぬ。司令官が呼びつけるのです。相模原にYEDというのがある。これは横浜のエンジニア・デポーである。JPAと横浜のYEDが全部さしずしている。軍需工場が兵器生産をしようと思つたら、一々これのさしずを受けなければできつこありはしません。これでもさしずを受けないと通産大臣はお思いになりますか。
  84. 岡野清豪

    岡野国務大臣 そういう事態がさしずであつたかどうかということは、よく取調べまして、後刻御返答いたします。
  85. 川上貫一

    川上委員 そういう答弁しかできぬはずだ。軍需工場には監督官が来ておるのを知つておりますか。必要ならば名前まで言いましようか。この監督官はどこから来ておるか。生産を監督しております。労働者に対しては職制を通じて自由に首切つておる。これが事実であります。これは通産大臣承知ありましようか。
  86. 葦澤大義

    葦澤政府委員 今の御指摘のような事例は、こちらの民間工場でなくて、向うの軍管理工場において起つておる事例だと私どもは思つておりますが、向う側が自分から工場を経営管理いたしておりますものは、日本側がそれに対して言う限度というものはおのずからあるわけでありまして、みずから管理権に基いてやつております。その根拠はむろん行政協定の条文に依頼していると私どもは考えておるわけであります。
  87. 川上貫一

    川上委員 その軍管理工場というのが見本なんです。これと同じ型のものが形をかえて兵器製造工場に来ておるから、一つのストライキをしても、向うに申入れをしなければやられてしまう、これが事実です。実体をつかまえなければならない、形式をつかんだのではいけない、実体をつかんで、通産行政なりいろいろなことを考えなければいけない。それではストライキをしたときに、なぜそこの兵站本部に行つて相談をしなければならぬのか、事実やつておる、またなぜストライキをしたらつぶされたりするのか、これはどういうことになるか。
  88. 葦澤大義

    葦澤政府委員 私どもの承知しておりますのでは、そういう事例は日本側の工場にはないわけでありまして、向う側の管理しておる工場であると思われます。しからば実体が似たものがあるのではないかという御指摘のようでありますが、実体のそういうものがどういうふうにありますか、私ども承知をいたしておりませんのでそういう形式と実体をわけて、もし具体的に実体的にそういうものがあれば、ひとつお示しを願いたいと思います。
  89. 川上貫一

    川上委員 日本自動車渕野辺工場は向うの管理工場ですか。
  90. 葦澤大義

    葦澤政府委員 御指摘の工場は、われわれはおそらく向うの管理工場だというふうに思つております。と申しますのは、御指摘の工場は、日本における武器製造工場について、われわれの従来の問題の対象にならなかつたと考えております。
  91. 川上貫一

    川上委員 管理工場にキヤンセルが出ますか。
  92. 葦澤大義

    葦澤政府委員 キヤンセルと申しますのはどういう意味ですか、製品をつくりまして納めますという契約をいたしました契約者に対して、軍管理工場におきましては、製品を納入します場合の契約の破棄という問題はないと考えます。しかしながらマン・アワー制度をとつておりまして、一人幾らというようなことを向う側が一応雇い入れます場合に制度としてとつております。そういうもののキヤンセルということは、向う側が日本側と交渉してやることでありますから、あり得ると私どもは脅えております。
  93. 川上貫一

    川上委員 そうじやないのです。日本自動車渕野辺工場は、製品の契約を破棄せられてつぶれたのです。これは管理工場なんかじやありません。こういう例は——ここでは時間が二十分しかないというから、私は一々言わないけれども、もし通産大臣が知らなかつたらよほどどうかしている。兵器製造工場というのは、少し不良品ができても全部やられておる、一日期限が切れてもひどい罰金をとられる、このためにストライキができない、やつたらやられる、一体これでもさしずを受けぬということが言えるかどうか、これは干渉を受けるどころじやない、明らかに向うの監督下に日本の兵器生産というものは入つておる、これを認めておる。これは兵器生産だけじやない、日本の政治が大体向うの監督の中に入つてしまつておる。私は時間がないので、これ以上ここで言いませんけれども、これだから、この武器製造法というようなものを出してみたり、MSAを受けるということばつかり言つて血道をあげたりしておる。九州の災害なんか何もやつてない。保安隊をもうどんどん軍隊にしておる、どういう言い方をしようかというところまで来ておる。政治全体が向う考え方の中に入つてしまつておるのに、兵器生産工場だけに向う考え方が入らぬというわけはない、全部入る、こういうことをやりますから、とんでもないことが起る。去る六月の九日以来、政府は米軍との労務契約についての話を進めておる。これは向うの直接の工場、直接の労働者を雇い入れるというのでありますが、これが見本になり、この方式が軍需工場に拡大される。この労務契約の第四次の米国の案をごらんなさい、どういうことが書いてあるか、この労務契約の主文には首切り、人員整理等は米軍の一方的意向できめると書いてある。付属協定書の中に保安条項というものがあるが、その中にはどう書いてあるか、破壊団体員及びその家族、友人、同調者は、日本政府責任で米軍に登録しなければならぬというような条項がある。また保安要員はストライキに参加してはならぬ、その誓約をしなければ使わぬというような条項もある。さらに付属協定の中の賃金条項は、職階制が四百段階にもなつておる、こういうのがある。これは兵器生産には今すぐ関係せぬとおつしやるに違いない、ところがそこが違う、こういう形こそがアメリカの日本に対する政策なんです、この形が日本に職階制をつくらせたもとです、兵器の生産というものはアメリカに武器を提供して朝鮮で何百万人を殺させた、あれなんです、アジアの侵略をアメリカがしよう、それの武器の生産をしようというのがこの法律でしよう。そうするとこういう法律をつくつてどんどんと武器の生産をやらせる形になつてごらんなさい、武器の製造工場というものにはアメリカの作法が入つて来ることを明らかです、これを一体どう思いますか、おそらく当局はそんなことはありませんというような答弁をするでしようけれども、私は深刻に考えなければいかぬと思う。こういう形を通じて日本の産業をアメリカに売つてしまう、こういう形をつくつたら第一中国貿易なんかできないじやないですか、兵器をこしらえてアメリカに提供して、それを民族解放運動の弾圧に使うのだ、そんなことと同じことなんだからそういうことをすると日本の兵器の生産というものを保護すると言つておるが、保護どころではない、全部が全部アメリカに食われてしまうじやないか、こういうことについてどうお考えになるか。口先ではいかんと思う、ここだけでうまく言い切る問題ではない、日本の民族の利益を代表する通産大臣として、ほんとうの考え方を言う必要があると思う。私はこういう政治をやつて行けば、日本の労働条件というものまでアメリカの支配を受けなければならぬことに引きずり込まれることは明らだとこう思う。これに対してお考えがあれば聞いておきたい。私は繰返して言いますが、ここで言い抜けるような答弁を聞くなら聞きたくない、ほんとうにどう思います。何とも思いませんか、将来危険だとはお考えになりませんか、これを聞きたいのです。
  94. 葦澤大義

    葦澤政府委員 本法案によつてどしどし武器をつくつて向うに渡すのだという御説でありますが、本法案はむしろ現在自由につくつて自由に売れる制度に対しまして、それに規制を加えようというわけでございますので、本法案は御説のものとはむしろ反対な法案です。
  95. 川上貫一

    川上委員 そうではない、通産大臣のお答えを聞きたい、私はそんなことを聞いておるのとは違う。
  96. 岡野清豪

    岡野国務大臣 この法案が通りますと、日本の産業を米国に売つてしまうのじやないかという御意見でありますが、私は簡単に申しましてそういうことはないと存じます。  それからもう一つストライキのことをお話になりましたが、しかしこれは特別調達庁の担当大臣をしておりますときからの経験でございますが、いわゆる駐留軍に勤めておりますところの労働者諸君は、かつて広島においても、それから横浜近在でございましたか、ストライキをやりかけ、同時にそのストライキをわれわれが調停しましてやまつたことがあります。しかし二、三日はやつたことがあります。そういうことがありますので、普通のコマーシヤル・ベースによつて仕事をしておる日本人というものは向うの言いなりになつて、独裁的軍管理で日本の産業が押えられてしまうということは決して当らぬと思います。
  97. 川上貫一

    川上委員 そうすれば通産大臣は、今日の兵器工場で労働者が罷業権を要求したり、資本家がその労働者の要求に対して適当な交渉をしたりする場合、一々在日兵站本部へ打合せなければ何にもできぬようになつておるということを御承知ですか、御承知でありませんか、これだけを聞いておきます。
  98. 岡野清豪

    岡野国務大臣 軍管理工場と、普通の兵器生産をやつておりますところの会社とは違います。
  99. 川上貫一

    川上委員 普通の兵器の注文を受けておる工場で一々相談をせなければならぬようになつておるのを御承知か。なつておらぬと思つておいでになるか。
  100. 葦澤大義

    葦澤政府委員 そういう事態は私ども承知いたしておりません。
  101. 大西禎夫

    大西委員長 川上君に申し上げますが、大体時間が参りましたから……。
  102. 川上貫一

    川上委員 大体これで…。これは通産関係の人はそれさえも知らぬと言う。こんなことじやほんとうに危険ですぞ。労働組合の組合員なり資本家に聞いてごらんなさい。どんなに苦労をしておるか。通産省はこれを知らぬと言う。そんなことで兵器のこんな法律をつくろうとしておる。まことにあぶないことである。私は知らぬのじやないと思う。知つておるけれども、知つているとは言えぬからそう言うのだと思う。もしほんとうにお知りにならぬのなら、この兵器注文の特需工場へ行つてお調べになつたらいい。これが人民の利益です。民族の利益です。そんなこともしないでおいて、平気でこんな法律を出して、アメリカにさしずを受けても知らぬ顔で、平気でやつておる。そんなことをやられては日本の民族はたまりません。日本の国民はたまりません。私はこのことを言うておいて、通産大臣は時間がないというから、まだ相当質問せなければならぬ問題が残つておる、しかも重大な問題が残つておりますから、これは留保しておいて、あとて賠償かとれた時分に質問いたしたい。きようはこれで打切ります。
  103. 大西禎夫

    大西委員長 本日はこの程度にいたし、次会は明日午前十時より開会いたします。   本日はこれにて散会いたします。     午後五時十二分散会      ————◇—————