○岡野国務大臣 大
企業が支払いを遅延をしておるということは私は事実認めております。そのために二、三箇月前、あるいはもう少し前でございましたか、大
企業に対して下請工場なんかによく金を払うようにというようなことを
通産省として、は唱道しまして同時にみずからその範を垂れるべく
政府の支払いを大
企業にいたす場合には下請工場というものに金が渡
つたか、渡らぬかということをちやんと見きわめるようないろいろな手を尽しまして払うようにしております。それから
銀行があまり金を貸さぬのじやないかというようなお話でございますが、これは
中小企業のみならず、大
企業に対しましてもただいまの日本の
金融機関といたしましては十分なる
金融をいたしかねておる次第でございます。これはすでに川下さんも御承知の
通りでございましようが、戦前におきまするところの水準から申しますと、ただいまの市中
銀行の預金の割合は戦前の四〇%、四割にしか達していないのであります。平和の時代において一〇〇%で、ときどき
金融が逼迫するというふうな時代があ
つたものでございますから、戦後におきましては復興とか何とかとにかく
資金の需要はほんとうにたくさんございます。一面
資金の需要が非常に多いときに、その
資金源というものの市中
銀行の
資金というものは戦前の四〇%にもな
つていない。こういうことでございますので、市中における
金融というものは非常な逼迫をして、十分なるお手当を各業者にしておれないのが実情でございます。
それから第二に選別
融資のことでございますが、これは御承知の
通りそういうような
金融情勢、
資金情勢でございますから、どうしても日本の
産業というものに金を出します場合には、最も重要なる基幹
産業から出して行きまして、そうして経済の建直しをしますのに必要な金にな
つて行きたい、こう
考えまして選別
融資はされておるわけです。これは私は所管が違いますけれ
ども、大蔵省の御所管と思いますけれ
ども、私はそう
考えております。
それから特需経済ばかりに金を出すというようなお話でございますが、私はそうは
考えておりません。特需の、ことに狭義の特需なんかは、二十五年の朝鮮事変が起きまして以来、この七月までに七千二百万ドルの注文を受けておるにすぎないのでございます。この七千二百万ドルだけのことでございますと、全日本の鉱工業生産の指数から参りますと、どのくらいに当るかと申しますと、三億ドルが五%こ当
つたわけでございますから、その割合でおはじきくださいますれば、一%か二%くらいになるかと私は思います。そういうふうなことでございますから、
銀行の
融資が特需経済ばかりに出て行くということは当らぬと私は思います。
それから第四点といたしまして、
中小企業金融公庫に対して百二十億くらいの
資金で、一体
中小企業が必要とする金がまかなえるかどうかというと、私は率直に申し上げまして、百二十億では足りぬと思います。けれ
ども、ただいままでいろいろの
銀行を通じて預託してや
つておりましたものを先ほど
中小企業庁長官が申しましたように、ひ
もつきにして、直接
通産省の
関係で
中小企業に、それこそ選別して金を出して行きたい、こういうことでありますが、一歩前進して、貸出しの
方法が市中
銀行のデイスクレシヨンによらずに、
中小企業金融公庫が
中小企業に行き渡るようにという新しい制度をつく
つたわけであります。しかしながらこれは初めてできますものでありますから、そうたくさんありましても、これをすぐ今年度に使い切れるような機構ができるかどうかも疑問であります。まず百二十億くらいの
資金をもちまして出発いたしまして、だんだんなれて来ますに
従つて資金源は増さなければならぬと思
つております。しかしこの
中小企業金融公庫ができましたから
といつて、預託金その他の形におきまして
資金を流しますから、ただいままで市中
銀行で、また商工中金とかなんとかいう方面で従来や
つておりましたような
金融の
措置を閉鎖してしまうわけではございません。この百二十億円というものは、性質は
中小企業専門にや
つて行こういう
一つの性格と同時に、ひ
もつきでこれをや
つて行くという意味におきまして今回は非常にいい制度ができた、この制度はだんだんと発展させて行くべきものである、そうして百二十億では十分ではない、今後は増して行かなければならぬ、こういう
考えを持
つております。