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1953-06-25 第16回国会 衆議院 通商産業委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十五日(木曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 福田  一君    理事 村上  勇君 理事 長谷川四郎君    理事 永井勝次郎君 理事 伊藤卯四郎君    理事 首藤 新八君       小川 平二君    田中 龍夫君       土倉 宗明君    坪川 信三君       馬場 元治君    中村 幸八君       笹本 一雄君    柳原 三郎君       山手 滿男君    加藤 清二君       下川儀太郎君    中崎  敏君       始関 伊平君  出席国務大臣         通商産業大臣  岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (土地調整委員         会事務局長)  豊島  陞君         文化財保護委員         会事務局長   森田  孝君         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (大臣官房長) 石原 武夫君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         通商産業事務官         (重工業局長) 葦澤 大義君         通商産業事務官         (繊維局長)  徳永 久次君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君  委員外出席者         厚生事務官         (大臣官房国立         公園部管理課         長)      甲賀 春一君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (軽工業局無機         化学課長)   井上  猛君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 六月二十四日  四国の電源開発促進に関する請願(中村時雄君  紹介)(第一四九八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  鉱業法の一部を改正する法律案内閣提出第二  〇号)  通商産業政策基本方針に関する件     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず通商産業政策基本方針に関し質疑の通告がありますから、順次これを許します。柳原三郎君。
  3. 柳原三郎

    柳原委員 私は岡野通産大臣に、主といたしまして朝鮮動乱特需関連性並びアジア太平洋諸国MSA援助日本産業との関連性につきまして、時たまたま武器製造法案も出ておりますので、二、三質問を行います。  わが国国際収支財政経済というものが、日本の敗戦以後対日援助資金と、朝鮮動乱勃発以後におきましては特需という臨時的な不安定な収入のもとに、ようやくつじつまを合せ、ささえられて来たのは残念ながら事実でございます。せんだつての十六日の本会議におきまして岡野大臣は、朝鮮動乱解決もようやく近づいたようでございます、もしかりに解決いたしましたならばという、朝鮮動乱解決想像仮定のもとに世界経済情勢日本産業政策について議論を展開せられました。もう朝鮮動乱ということは想像段階でもなく、仮定段階でもないきびしい現実の問題として、今後日本産業政策について考えて行かなければなりません。演説の中にも、朝鮮動乱解決によつて特需というものが減少するだろうが、減少しても復興特需というものがあるからと、比較的甘い考え方のもとに政策を進められているように私は心配いたしております。そこでこの朝鮮動乱が勃発してからこの方、きようはちようど三年目の記念日でございますが、一体どれほどの特需日本発注されたのか七詳しいことは今お手元に数字があるかないか知りませんが、大よその数字でよろしいからまず年度別に御報告が願いたいのであります。
  4. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。先般本会議で私が意見を申し述べましたのは、朝鮮休戦というものがどうも近づいて来た、これは大分前からのお話でございますけれども、捕虜の問題が片づいたということを契機にしまして休戦協定ができるだろうという見すかしがますます強くなつたわけでございます。しかし私の考えといたしましては、朝鮮休戦協定ができましても、そのあとに控えているところのいわゆる政治会議というものは、休戦というものにもまして相当困難な政治会議であろうと思いますので、私の見解といたしまして、まず前線における鉄砲の撃合いがやむだけにとどまり、なお満を持して両方とも軍備をおろそかにしないということが続くのではないかと考えている次第であります。そういたしますと、今すぐ朝鮮特需というものが激減してしまうとかあるいはなくなつてしまうということはなかろうと考えます。またアメリカの方でも、三月に自分見解を出しましたように、二年くらいは同じようなものが続くだろうということを自分で言つているわけでありまして、われわれもそう考えている次第であります。それから特需が出ましてから今日までに、幾らぐらいな特需が出たかということにつきましては、実は詳しい数字を的確に申し上げられませんので、政府委員から御答弁申し上げます。
  5. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいまのお尋ねの特需の今までの数字について申し述べます。こまかく年度別がわかつておりませんので、この点は後ほどお答えさせていただきたいと思いますが、本年の四月までに約二年十箇月間の総計につきましては、物資関係が七億五百万ドル余、それからサービス関係が三億四千七百万ドル、合計いたしまして十億五千二百万ドル余となつております。ただこの中に円ベースと申しますか、日本防衛分担金によりますものを財源といたします特需が含まれておりますので、それが一億二千二百万ドルドル計算をいたしましてございますので、それを差引きました純粋の外貨ということになります特需は九億二千九百万ドルということに相なります。なお二十七年度につきましては数字がございますので申し上げますが、二十七年度におきます物資関係は二億四千九百万ドルサービス関係が一億五千万ドル、合計いたしまして三億九千九百万ドル余でございますが、そのうち円ベースのものが一億二百万ドルつております。従いましてドル外貨収入になりますのは約三億ドル弱ということに相なるわけでございます。
  6. 柳原三郎

    柳原委員 アメリカ軍の発表で新聞で読んだのでありますが、朝鮮動乱解決しても二年間は特需発注をするだろう、こういうことを読んだのでございます。また一方におきまして私はある有力な筋から今年六月をもつて米軍特需発注は中止するのだということを聞いておりますが、その辺について大臣の御見解を承りたいと思います。
  7. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。新聞でお読みになつた二年くらいは特需が続くだろうということは、外務大臣から伺いましてそういうような見解が発表されたということはこれは確かでございます。それからその次の点につきましては私は何も今存じておりません。
  8. 柳原三郎

    柳原委員 朝鮮動乱解決契機といたしまして、特需が去年、一昨年よりも二十八年度においてふえるということはもう考えなれないのであります。これは天下の常識でありましよう。そこで朝鮮特需がだんだん減るだろう、朝鮮動乱解決もようやく緒についたというときにあたりまして、たまたま日本建鉄特需会社が手形の不渡りを発表いたしました。こういうたとえば日本建鉄などいろいろ研究してみますと、経理の乱脈な会社について、金融関係が手を引いたり、あるい一は金融の引締めをやつたりすることは、これは一応いたし方ないといたしましても、この特需見通しについて、金融界におきましていたずらに警戒とか引締めをいたしますと、関連産業には重大な関係を持つておるので、非常にこれに心配をいたしておりますが、大臣といたしましては、特需会社金融経理等につきまして、何らかの方法とか措置とかいうものを考えておられますか、承りたいと思います。
  9. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。二、三の会社、ことに特需を受けておるところの会社不渡りを出したいうことは、われわれ国民経済といたしまして非常に遺憾に存ずる次第であります。ただ私はこの問題をよくまだ内容を調べておりませんので、的確なる御答弁を申し上げるということはできないのでございますが、ある一、二の会社の様子を聞いてみますと、正常な金融機関から金融を受けているのではなくて、やみ金融によつて会社の経営をしておつた。それからやみ金融をしておるということを、取引銀行に対してはこれを内緒にしておかないとぐあいが悪いというようなこともありまして、金融業者がその内情をはつきりと把握していなかつたというところにも、いろいろ事情があるようであります。ただ問題は、特需が減るだろうという見込みのもとに、金融業者がこれに対して手を締める、また金の貸し方をきゆうくつにして行く、こういうような傾向は、ただいまのところ実は見えておらぬのでありまして、日本の財界では、まだ相当に、私よりもつと楽観いたしまして、特需が続いて行くだろうというようなことがありますから、朝鮮休戦におびえて金融界が引締めをした、こういうようなことはないように私感じます。しかし何にいたせ、二、三の大きな有名な会社不渡りを出して、そうして非常に困つておるように聞いておりますので、これは今いろいろその内情を調べさせておりますが、今後私どもといたしましては、そういうことのないように、何らか画策をしなければならない、またいろいろな手を打たなければならぬと考えておりますけれども、ただいまのところは統制経済がはずれてしまつておりまして、十分私企業に対して政府が監督するとか、内情を調べるとかいう手がございませんので、十分道義的の責任を持つて政府がその内情を精査し、同時にそういうことが二度と起らないようにするいろいろ間接的な方法を講じたい、こう考えております。
  10. 柳原三郎

    柳原委員 特需産業というものが、外貨収入という面に大きな働きをしておるが、輸出産業というものも、外貨獲得のためには大いに振興しなければならない。そこで特需産業に対して、輸出産業に準ずるところの取扱いをやつて行こうと思われるか。もしそういう気持があるとするならば、今何か具体的な特需会社に対する政策考えておられますか。
  11. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。今までにおきますところの特需というものは、非常に臨時的なものでございまして、また向うの注文が非常に急いだものでありまして、個々別々にみな事業会社がそれを引受けておるのでありますが、私どもといたしましては、この臨時的収入というものでなく、正常貿易によつて貿易をやつて行つて特需がなくてもやつて行けるようにして行きたいというのが、まず第一の念願でございます。しかし特需がありますれば、それは余分としてまたそれだけ国際収支のバランスに影響するところが多いのでございますから、今後朝鮮休戦、すなわち東洋に全面的の平和ができるというような見通しがつきまして、しかもある種の特需があるということになりますれば、やはりお説の通りに、輸出産業と同様なものでございますから、これに対しては相当考えを新たにして、新しい方策を考えて行かなければならぬと思いますが、ただいまのところは、そういう輸出産業に非常に重点を置いているいる画策をしておりますがごとく、特需に対する画策、考慮はまだ緒についておらぬ次第であります。
  12. 柳原三郎

    柳原委員 大臣演説の中に、先ほど言いましたように、特需がある程度減少しても、朝鮮復興特需というものに相当の期待が持てるから、国際収支についてそんなに心配しておらないというような意見があつたのでありますが、この復興特需というものは、国連朝鮮復興機関競争入札でありまして、現在の日本の物価高において、輸出が不振な折から、この復興特需に対して相当の自信を持つておられるのかどうか、その辺について御説明願いたい。
  13. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これはお説の通りでありまして、アンクラが出て来るということになりますれば、これは国際的な競争入札でございますから、コストの非常に高い日本といたしましては、将来非常に苦しい立場に立つと思います。その点におきましては、私は今後いろいろ金融の面とか、あるいは金利とかいうようなものにつきまして、またできれば税法上の何か措置でもとりまして、これに対応するようにやつて行きたい、こう考えております。
  14. 柳原三郎

    柳原委員 アジア並び太平洋諸国へ、MSA援助資金相当うまく流れていることは御承知通りでありますが、このアジア太平洋諸国MSA援助資金から、日本へ過去どれほどの買付が行われたか、御説明願います。
  15. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ちよつとまとまつた数字を記憶しておりませんので、もし政府委員が知つておりますれば、政府委員から御答弁申し上げさせます。
  16. 中野哲夫

    中野政府委員 昭和二十七年度の、いわゆる広義の特需内訳といたしまして、海外需要という項目がございます。これが今仰せになりました、アジア諸国に対するMSA援助資金のみではないのでございますが、それが二十七年度の実績において、二千六百万ドルと調査いたしております。
  17. 柳原三郎

    柳原委員 詳しい数字はわからないようでありますが、日本の国がこのMSA援助資金によつて相当外貨収入し、わが国産業が潤つていることは事実でございます。今年は御承知のように、このMSA援助資金が十億ドルを突破いたしました。そういうことになりますと、わが国は、日本を除くそのMSA援助資金というものに、重大なる関係を持つて参ります。そういうことになりますと、日本の国が今MSAをどうするかと国会でいろいろ議論をいたしておりますが、しばらく日本MSAを受けるか受けないかという議論は別といたしまして、この日本の国に重大なる影響をもたらすところのMSA援助資金というものを、諸外国はどういう条件でこれを受けておるかということは、通産大臣としては非常な関心を寄せられていることだろうと思いますが、過去、大臣はこのMSA援助資金について、諸外国との間にどのような条件で結ばれておるかということにつきまして、御勉強、御研究されたことにつきまして、概要でもけつこうでありますから御説明を願います。
  18. 岡野清豪

    岡野国務大臣 一応話は聞いたのでございますが、あまり広汎のもので、御答弁を正式にするだけの知識が固まつておりませんから、政府委員答弁させます。
  19. 中野哲夫

    中野政府委員 私もまだ勉強が足りませんが、私の存じておりまする範囲でお答え申し上げたいと思います。  その前に、この相互安全保障計画MSA内容は、軍事援助経済援助及び技術援助三つにわかれておるのでございますが、その内訳は、御承知通り五十数箇国、ヨーロツパ、あるいはNATO——北大西洋同盟諸国及び近東地区の各国及び北アフリカ諸国、台湾を含む東南アジア諸国ラテンアメリカ諸国というふうに大きく分類いたしますとわかれております。そのうちヨーロツパ近東アフリカ等を取除きまして、東南アジアにおきまするMSA状況を簡単に申し上げますと、これらの諸地域においては、共産主義勢力の侵略が行われ始めておる。しかも世界第二次戦争後の国力、経済力の疲弊がまだ回復しておらない。また戦後新たに独立を獲得したものもある。しかしてそれらの新独立国においては、政府の力がまだ獲得されておらぬというようなことでありまするので、MSAといたしましては、軍需品そのものの供与をいたしておるところもございますし、機械、原料等の供給をいたしておるところもございますし、また軍事技術援助訓練等をいたしておるというようなところもあるのでございます。今申し上げました国別援助金額等につきましては、後ほど資料にしてまとめられる範囲でお配りしてはいかがでございますか。
  20. 柳原三郎

    柳原委員 どうも勉強が足らないように思うのです。しからば、過去わが国MSA資金によつて買付行つた国はどこの国とどこの国か御説明願います。そういうことが通産省でわかつておらないということは不可解に思うのです。
  21. 山手滿男

    山手委員 今の問題に関連するのですが、駐留軍の方で発注しておる砲弾そのほかで、正式には今統計を申されました中に入つておるだろうと思うのでありますが、いわゆる特需になつてつて砲弾の引取りだけは保安隊がしておる、こういうものが相当の額に上つておるようでありますが、これはどのくらいあるものか。MSA援助日本が受けるとかなんとかいうことで適用されることになつた場合に、従来からすでにそういうふうに特需というてもらつてつたものを、これから振りかえられたりするような事態もあり得るわけです。そういうものがどのくらいあるか、ここで明らかにしてもらい煙いと思います。
  22. 中野哲夫

    中野政府委員 MSA援助に切りかえられるかどうかということは別問題といたしまして、日本において今日まで特需として兵器の受注を受けました金額は、二十七年度において四千百万ドルでございますが、この四月から六月にかけまして、さらに二千数百万ドルが追加されて、合計六千数百万ドルに相なる見込みであります。
  23. 山手滿男

    山手委員 品物向うが注文して、日本側砲弾なんかを受取れというふうな指令を受けておるものがどのくらいありますか。
  24. 中野哲夫

    中野政府委員 今まで向う兵器、弾薬の特需として発注せられたもの、それが製品としてでき上つて、そのうち日本が受取れと言われておる数字でございますが、それは保安庁その他の関係じやないかと思つておりますが、通産省としては存じておりません。
  25. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 これは大臣としても、通産省全般がどういうふうに考えておるかしらないけれどもMSAの問題を他山の石のようにお考えになつていやしませんか。これは外務大臣の問題ではありません。日本経済をどう持つて行こうかという、あなた方が考えておるところの産業構造の一端をどういうふうに持つて行こうかという経済基本的なものでなければならない。これを大臣も、また局長も、MSA問題は、よその問題と考えておるんじやないですか。これは日本経済の根本の問題でなければならない。今予算委員会でもMSAの問題がたくさん出ておりまして、主として外務大臣質問があるようでございますけれども、実際の国内経済という点から言つたならば、全部あなたが持たなければならぬ問題になつて来る。こういうような考えからいつて、それでは大臣に伺いますけれども、先ほど言つておる軍事経済だとかいうこの三つのうちで、MSA援助をとるとすれば、どれを基本としてあなたは受入れて行きたいというお考えを持つておりますか。
  26. 岡野清豪

    岡野国務大臣 今御承知通りMSAの問題が問題になつておりますが、それは何で問題になつておるかと申しますと、軍事援助になるだろうか、経済援助になるだろうかということで問題になつておるのだろうと思います。われわれといたしましては、これはいわゆる国家最高の問題でございまして、通産省貿易第一主義から申しますれば、むろん多い方がいいのでありますが、私どもといたしましては、経済援助の形においていただく方がぐあいがいいんじやないか、こう考えております。
  27. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 あなたのお考えはそれでいいと思います。そこで一つ伺つておかなければならない。しからばあなたは、輸出品のどういうところに重点を置いて今後日本産業の発展をはかろうと考えておりまするか。
  28. 岡野清豪

    岡野国務大臣 大分むずかしい問題と私は思います。と申しますことは、御知承の通り日本輸出貿易の大宗をなしておるものは、いわゆる軽工業品でございます。軽工業品というものは、日本輸出の約半額以上を占めておりまして、われわれとしてはこれをネグレクトすることはできない問題です。しかし東亜並び日本を中心とした貿易政策の上から行きますと、はたしてこの軽工業品によつて今まで通り日本輸出貿易が維持されて行くかどうかという点に対しては、私は多大の疑問を持ちます。そこでわれわれといたしましては、何といたしましても、貿易によつて立国し、同時に経済の自立をして行かなければならぬのでございますが、そうすれば、相手方の市場において何を欲しておるかということをよく探究して、その探究によつて、できるだけこちらでもその品物を出して売りたい、こう考えております。そういたしますと、ただいまの私の見通しといたしましては、やはり将来重化学工業品というものが、日本の重要なる輸出貿易品にならなければいけないのではないか。こういうような私の見通しであります。
  29. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 関連してもう一点……。私は大臣のお考えを云々するわけではないけれども、もうすでに大臣も、政策としてはつきりとこれでもつて行こうというお考えが出ていなければならぬ。朝鮮特需というような考え方、これがあつたために、現在の日本経済界というものが、世界的の経済から見て、いかに不幸であつたかということを一面考えてみなければなりません。しかしこれと並行して、あなたのお考えを早急に樹立して行き、樹立するばかりでなく、同時に積極的にこれを行つて行かなければならない時期が来ておるのでありまして、朝鮮特需なんというものは日本経済をいかに堕落さしてしまつたか、日本国民までも堕落させてしまつたか。私は日本国民として実に残念にたえない。けれども今日この特需があり、また一面この特需のために生きておつたとするならばやむを得ない。しかしながらこれらに対して、大臣が今言つたような方向に進んで行くというならば、これから考えて行くというのんきなことでなく、ほんとうに積極的にこれを行つてもらいたいと考えております。これに対して何か御意見があればお伺いします。
  30. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私の見通しといたしましても、やはりそういう方向へいろいろ施策をやつておるわけでございます。これはもうすでに前大臣当時からもやつておることでございますが、重化学工業品を買いたがつておるのは東南アジア方面でございます。東南アジア方面におきまして、そういうような買意欲というものがあります以上は、これに対して買わせるという意欲を促進するためには、やはり日本技術を知らせ、また日本貿易をさせるのに都合のいいようにして行かなければならぬのでありまして、東南アジア方面技術相談室とか、あるいは視察団の派遣をいたしますとかして、向う市場並びに需要状況を十分くみとるという施設をいたす。同時にただいままで非常に欠けておりましたことは、被占領下でございましたから、いたし方もございませんが、日本というもの、また日本生産品というもの、また日本技術というものが、向うにあまり、徹底しておりませんから、これを宣伝して、よく知らして、向うの買意欲をますます増す、こういう方向にいたすよういろいろ施策考えおります。
  31. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 もう一点ついでに伺つておきたいのですが、大臣のお考えで今後の産業を進めて行くとする場合、これらに対する長期計画も立てなければならぬし、長期金融の面も考えてやらなければならぬであろうし、国策としてやる以上は、当然考えなければならぬ。従つてこれらに対して何かお考えがありましたならば明らかにしていただきたい。
  32. 岡野清豪

    岡野国務大臣 大体の施策をまとめておりますから、ひとつ政府委員より御説明申し上げます。
  33. 中野哲夫

    中野政府委員 特需の見方はいろいろお話がございますが、当面外貨収支の上に占める影響が多いのでございまして、これを維持します特需振興対策といたしましては、まだ決定はいたしませんが、大体の考え方は、先ほどお話のありました通り輸出振興に準ずるというような考え方であります。と申しますことは、生産費の切下げ、合理化、価格による競争力をつける、また資金の調達をはかるというような観点からいたしまして、輸出振興外貨資金制度は今日まで特需には認められなかつたのでございまするが、これをある程度特需に適用してはどうかということも、目下研究いたしております。それから現在貿易手形に準ずるような金融措置を講じておるのでございまするが、その納期をさらに受注の期間に応じて延長するということを考えております。これは兵器及びその他一般の特需でございますが、そのうち兵器、弾薬あるいは火薬等の産業の助成措置といたしましては、先ごろ火薬等に実施しました通り、国有財産である旧軍工廠は払下げでなしに貸付にいたしまして、払下げ代金よりも貸付料金の方が安いわけでございまして原価に織り込まれる率も少い、価格も安いだろう、こういうことで、貸与の方針をとつております。また開発銀行の財政資金の貸出しでございまするが、昨年度、さらに本年度も、ある程度兵器産業についてわくを設定いたしたいと考えて研究を進めております。また場合によつては、その兵器産業に対する開発銀行の貸出し金利なども、下げる方向に向つて研究をいたしたい、かように考えております。そのほか兵器、弾薬類の製造に使います専用機械であつて、輸入を要するものにつきましては、輸入税の免除というような措置考えてみたい。それから兵器、弾薬、特需産業につきましては、ただいま企業合理化促進法によります初年度五割という特別償却制度が認められておるのでございますが、これも必要な兵器、弾薬の工業等については、特別償却等によつて、当該企業の内容を強化するというふうに考えております。  以上五、六の点について事務的研究を続けております。
  34. 永井勝次郎

    ○永井委員 関連質問をするつもりでありましたが、議事進行について……。  先ほど大臣は、朝鮮の捕虜問題についての話合いはついたけれども、あとには政治会談その他残つておるから、ここ二、三年はまだこういう状態が続くだろうというような、今の世界情勢、あるいは朝鮮事変に対する見通しの認識が相当にわれわれとずれております。運輸省では、もう朝鮮から引揚げて来る兵隊さんの輸送計画まで立てておる。そういうようなときに、二年以上こういう状態が続くだろうという認識の上に立つて経済考えておるというずれ方であります。またMSAの問題について、軍事援助経済援助技術援助という三つの方式があるというが、今問題になつておるのは五百十一条の軍事援助内容、軍備を拡張しなければならないという内容が入つて来ることが問題になつているのであつて、この法案自体はアメリカ防衛と安全のためにこれを行うのであつて日本経済、慈善事業のためにこれをやるのではないのであります。そういう問題が、現在大きく世界的な情勢の変化によつて経済的な転換の時期が来て、それが大きく日本に波打つて来ようというときに、朝鮮問題については二年以上こういう状態が続くだろう、MSAについては経済援助が希望だ、こういうような実態からずれた話をしていたのでは、全然問題にならないと私は思うのであります。でありますから、われわれはこうい議論を進めて行く場合にあたつて、一体朝鮮事変に対して大臣は正確にどういう認識をしているのか、MSAの現在の進度においてどういうふうな考え方を持つているのか、この意味するものが何であるか、こういう認識をまず明確にしなければ議論がはつきりして来ないと考えるのであります。そういう意味において、あらためて朝鮮事変に対する大臣考え方MSAが現在わが国において、政治問題としてこれだけやかましくなつている問題がどこにあるのか、こつちは経済援助を希望するのだ、その金額の問題が問題なのか、軍事援助というような内容が問題になつているのか、この二つの点をまず明確にしていただきたいと思います。
  35. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。朝鮮事変の見通しについて運輸省が準備をしていることと、私が考えていることと何か矛盾しているというようなお説でございます。これはおそらく軍の方面でそういうようなことの指令が出たのかもしれませんが、しかし御承知通り経済というものは何か動けばそのときに金がいることはわかつているのですから、むしろそういうことで、やまつたということそのものによつて軍の移動でもあるということになれば、やはり日本経済としてはそれだけ活動力が増すのでして、これはいわゆる貿易に関することでございますから、貿易はよくなる、こう私は考えていいと思います。  もう一つ、認識の点でございますが、これは先ほども申し上げましたように、捕虜問題がまだほんとうは片づいておらぬのですが、捕虜問題を片づけるにつきましても、一昨年の七月から約二年間かかつてここまで来ておるのでございますから、この問題よりもつと大事な政治会議があとに控えているということになりますれば、この朝鮮事変がほんとうに片づくというのは少し先の場合じやないか、そういたしますれば、やはり両方とも軍備というものをそうスロー・ダウンしてしまわない——少くとも朝鮮戦線において国連軍方面でスロー・ダウンすることはないのじやないかという私の考え方でございます。そこでアメリカの国務省方面でも言つておりますように、二年間くらいは日本に対する特需はあまりかわらないだろうということは、私もそうであろうと判断をしている次第であります。  それからMSAの問題は、なるほど予算委員会などでたいへん問題になつておりますけれども、このMSAの問題が軍事援助で来るのか、経済援助で来るのか、技術援助で来るのかは、まだ政府といたしても承知しておらぬ次第でございますから、私自身も承知しておらぬのであります。しかしながら私は貿易の面から申しますれば、日本に金の入つて来る何かのことがあるということは、まずわれわれが一生懸命に努力しております輸出第一主義に徹底するためにいろいろな準備をし、また政策を行いつつありますが、それを行うのに非常に都合がいいわけでございます。結局特需ある間にわれわれは自立経済に持つて行こう、その特需が一、二年確保されるという見通しがつくならば、われわれとして十分なる施策ができる、こういうことに考えられますから、その点は御了承願いたいと思います。  それから、きのうある議員からこういうようなおしかりをこうむりましたので、これは席が違いますけれども申し上げておきたい。私の言葉はときどき足りないものでございますから、事実として二年くらいは特需があるというようなことを見て計画を立てていると申し上げましたところが、世界の平和を希望するのはあに日本人ばかりではないが、特にわれわれは世界の平和を希望しているのだ、お前は特需が二年も続くと言うが、平和を欲しないのかというお言葉をいただきました。しかし私はそういう意味ではなくて、貿易政策の立場から、事実を事実として、そうしてそういうふうな余裕があるならば、その余裕の間に自立経済を立てて行くというふうに努力をますます深めて行かなければならぬ、こういう客観情勢を申し上げたのでありまして、決して私といえども世界の平和、東洋の平和というものに非常なる熱意を持つていないのじやない、これだけを御了承願つておきたいと思います。
  36. 柳原三郎

    柳原委員 話がMSAに入りますと、政府答弁は非常にわけのわからない形を持つて参ります。それは岡崎外務大臣が言うたごとく、まだ正式な交渉は受けておらない、こういうことでございますから、一応それで通るかもわかりませんが、さて時たまたま国会の予算委員会と相呼応いたしまして、二十三日にアメリカの国務省がこういうことを言つております。日本MSA協定締結については、確かに正式な交渉は行つてはおらないけれどもMSA援助計画の一般的性質を日本に知らしておることは事実であると言つております。そうしますと、これは先ほど言いましたように、MSAわが国産業というものが密接不離な関係である関係からながめまして、岡崎外務大臣も、この日本に知らしておるところの援助計画の一般的性質だけは確かに御存じだろうと思います。これは御存じないと私は逃げられないことだと思う。そこで大臣は今までどういうふうに——閣議においてでもけつこうです。岡崎さんと相談の結果でもけつこうです。援助計画の一般的性質を日本に知らしておると言つておるが、その一般的性質について大臣から御説明が願いたいのであります。
  37. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これはたしか昨日でございましたか、来たということを、予算委員会で臨席しておつて私は聞いたことであります。まだ岡崎さんとその話合いをする機会もございませんし、明日閣議がございますから、そのときに岡崎さんにいかなる向うのお示しがあつたのかよく聞いてみたいと思います。
  38. 柳原三郎

    柳原委員 それはおかしいと思うのです。国務相はごく最近に一般的性質を日本に知らしたのではないのです。もつと以前にされておるはずなんです。日本の誤解を招くごとき、こういうことをアメリカの国務省が発表した以上は、少くとも通産大臣である岡崎さんがその一般的性質を知られないということはないはずです。何かお忘れになつたのではないですか。
  39. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは正直に申し上げまして、今まで外務大臣にそういうことを聞きましたけれども、何も話がないので話す材料がないということで、閣議でもそう言つておられて、私自身といたしましてもわからなければいたし方がないだろう、こういうことであります。各大臣とも同じような立場でございます。
  40. 柳原三郎

    柳原委員 どうも岡野通産大臣は腰が弱いような気がいたしまして、将来の通産行政に前途暗胆たるものを思わせるものがあります。私は岡野さんが外務大臣に対して積極的に質問されてもしかるべきものだと思う。そういうことについて私は努力が足らないのではないか、こういうふうに思うのであります。まあ知られなければ知られないとして、今後とも大いに勉強してもらいたい。先ほど私が質問いたしました中の、日本の国にMSA援助によつてどれほど買いつけておるか、その国はどことどこか、こういうことについてはあとから資料でけつこうでありますから提出を願います。  それからMSAの問題につきましては、関連質問もただいまあつたごとく、また他の議員からたくさん質問があると思いますので、私はきようはまずこの程度でやめまして、後日の機会に質問を譲りまして、その問題とは離れますけれども大臣に一つ聞きたいのは、せんだつて首藤新八議員から質問がありました自転車の振興費についてであります。ここに競輪の法律がありますが、その第十条には、競輪による国庫収入の三分の一以内に相当する金額のものを、政府は自転車の振興のために必要なる経費に充てなければならない、こういうふうに義務規定がうたつてあるのであります。この法律に基いて、過去年々三億ないしは四億という金が、市中金融機関を通じまして、自転車の振興のために融資されておつたのであります。今年度も四億この予算が組まれておつたのでありますけれども、今回の中小企業金融公庫の中へこの四億が組み入れられてしまつたせんだつて首藤さんが言われたように、こういう単独法によつてそういう金が当然通産省へ出なければならない、振興費として使わなければならない、こういうことになつておるのにもかかわらず、中小企業金融公庫の方へ包含されてしまいますと、通産省の支配権からはずれてしまうんじやないか、こういう心配が起つておるのであります。今までは通産省の支配権と申しますか、支配のもとに四億というお金が使われておつたのでありますが、今回は通産省のわくからはずれまして、大蔵省に移管された形になり、そうして中小企業の金融公庫から出るということになると、通産省としては非常に大蔵省にいかれてしまつた、こみやられた話になりますが、この四億はもどしてもらいたい、金融公庫から出して、そうして振興費として四億を計上するのが当然じやないか、それがこの法律に盛られた趣旨なのであります。こういうことについて岡野さんは知つておられるかどうか。もし知られないとしたならば、大いに勉強してもらいたい。それから官房長からこの前の首藤さんの質疑について研究されるはずでございましたので、御発表を願います。
  41. 石原武夫

    石原(武)政府委員 この前質問がありました競輪の資金の問題について、お答えをいたします。ただいまお話がありました、法律によりますと、予算の定むるところによつて三分の一以下の金を自転車振興に使えという規定になつております。お話のように、予算の定むるところによりということで、今回の公庫から競輪の方に金を出すということが今の法律の規定の適用上、はたしてそれでよいかどうかというのが御質問の第一点だと思いますが、これはただいま予算書を持つておりませんが、政府機関の予算書に公庫の出資八十億の予算が載つておりますが、その中に明文で自転車関係の貸付を含むということを明記してございます。従いましてこれは大蔵当局の見解も確かめたのでございますが、今法律に要求しております「予算の定めるところにより」という条件は、一応それで満たされておるというふうに考えておるわけであります。次に、四億という金額は、実はそこにはもちろん載つておりません。八十億の中に自転車関係の貸付も含むんだという点だけがあるわけでありまして、四億という金額はその中にありません。従つて四億をいかに確保するかという問題になるかと思いますが、四億の点は、これは従来のいきさつもございますので、公庫の資金を運用いたします際に、その分はひもつきで自転車関係の振興のために使われるようにいたしたいと考えております。この点は大蔵省も同様に考えておりますので、公庫は大蔵省と通産省の共管でございますが、その点の確保については十分努力をいたすつもりでございますし、また間違いなく確保できる考えでおります。以上のようなことで、一応公庫に乗り移つて、四億という金額が入つておるような次第であります。
  42. 柳原三郎

    柳原委員 それは大蔵省と官房長が話されて、必ず四億というひもつきと申しますか、保証できますか。
  43. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましては、大蔵省の主計当局とも相談をいたして御返事を申し上げます。  先ほどの法律と予算との関係につきましては、大蔵省の解釈もまつたく同様であります。それから大蔵省といたましても、四億の金を自転車関係に出すことについては、まつたく異存がございません。またこれは今の法律の趣旨から申しましても、約三分の一に該当する金額を自転車関係資金に出さなければならないわけであります。従いまして従来とも予算面におきましては、自転車関係に明記されている金額は三分の一近くにはなつておりません。これは御承知通りかと思いますが、本年度予算におきましても、自転車関係の方に予算科目上明記されているのは一億弱じやないかと思います。ただこれは通産、大蔵両省の間におきまして、自転車関係に出す経費につきましては、おのおの積算をしているわけです。それで本年度におきましても、大体六億くらいの金を自転車に出す。昨年度におきましても同じでございますが、それは各費目につきまして、両省間でこの費目のうちこれくらいの金額は自転車に出すんだという了解ができているわけです。それで今回の場合につきましても、今申しました点は、たとえば試験研究の補助金でございますとか、各種の補助金につきましても同じようなことがありまして、一本で予算が出ているわけでありますが、そのうちのこれだけの金額は自転車関係に出すということが積算の基礎にあるわけです。これは両省の間にもちろん話合いのできているものでありまして、ただいまの四億についてもまつたく同様でございます。これにつきましては、通産省においても、もちろん大蔵省においても、異存がないと考えております。
  44. 柳原三郎

    柳原委員 そうすると、最初は通産省では公庫の中へ入れる気持でなかつたのだけれども、大蔵省の要請によつてそこの中へ入つてしまつたんじやないですか。そこら辺のいきさつは説明が困難かもわかりませんが、どうもわれわれから見ているとこみやられたような感じを受けてしようがないのです。説明できますか。
  45. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいまお尋ねの点は、率直に御返事を申し上げます。われわれが当初大蔵省に本二十八年度予算を要求いたしましたときは、お示しがありましたように直接貸付と申しますか、昨年度と同じような形で要求をいたしたわけであります。御承知のように公庫の問題は、当初通産省といたしましては、あるいは御承知かと思いますが、特別会計というようなことも考えておつたようないきさつもございますので、公庫から四億を自転車関係に出すという案ではなかつたのでありますが、その後予算折衝で、中小企業については公庫をつくるというような話になりまして、その際に現在の案のような形にかわつたわけであります。
  46. 柳原三郎

    柳原委員 ひとつ四億の確保については、極力努力してもらいたいと思います。これは通産省を鞭撻する意味で、私は特に申し上げたわけであります。  さて次に最近民間におきまして、日本のいろいろな商品が過剰生産である。そういうときにあたつて、この過剰生産を解決する意図において、また海外へのわが国の商品の宣伝という意味も加味して役務賠償ということもさることながら、現物賠償、こういうことについて盛んに検討が加えられているようであります。さきの国会で、御承知のように議員提出で中小企業安定法というものができまして、その過剰生産に対していろいろと苦慮している。今そういう段階だろうと思います。そういうときにあたつて現物賠償については、通産大臣は何か考えられたことがありますか
  47. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げあす。私は貿易という立場から見まして、現物賠償というものまで実は考えていないのです。せつかく国民の皆様が一生懸命に努力して、売れば外貨になるというもの——むろんその賠償も外貨の形で出て行くことに間接的にはなるでございましようが、非常な努力をしてつくつたものを、それを賠償に充てるということは私は否定的でございます。しかしこれは賠償の問題でございまして、大きな最からいろいろ検討しなければならぬのでございますが、通産大臣たる岡野考えといたしましては、役務賠償と書いてあります以上は、役務をやつていただいて、そうしてつくられた品物というものは、やはり代価をもらつて外国へやる、こういうことにして行きたい、こう考えております。
  48. 柳原三郎

    柳原委員 今わが国におきましては、過剰生産であるかないかということについて——質問が非常にややこしいのですが、輸出と国内消費という面からながめて、現在の生産というものについてどんなふうに大臣考えておられますか。
  49. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。石炭あたりが貯炭が多くなつて過剰じやないかというようなことが一部に言われておりますけれども、私は今後貿易によつて国を立てて行くという意味におきましては、ただいまのところ過剰生産とは認めておりません。ますます生産を増強し、同時にその品質をよくし、値段を安くして、そうしてたくさんの輸出貿易をして国際収支を合せて行きたい、こういうような念願を私は持つております。
  50. 大西禎夫

    大西委員長 加藤清二君。
  51. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は前者の質問と重複することを避けまして、主として中共貿易及びこれに少々関連のありまする外貨割当の点についてお尋ねしたいと存じます。もし前者に許されたほどの時間をいただけるものならば、この際肥料問題と繊維の問題についても、二、三お尋ねしたいと思うのでございます。  最初に、それらの問題に全部関係を持ちまする二、三の点についてまずお尋ねしたいと存ずるのでございます。第一には、道徳の高揚とか綱紀の粛正という二とを文部大臣時代に盛んにおとなえになりました大臣が、今度通産大臣になられましたことを、私は心から歓迎するものであります。なぜなれば——私はそういうことは信じたくないのでございますが、いろいろ通産省における忌まわしいことを、新聞面で見るのであります。こういうことになりますと、一体何が悪いのかということを私はいろいろと考えてみましたが、係の方々は、総理の言われる通り、ほんとうに薄給に甘んじて働いておられますので、決してその原因が働いている係の方々にあつたとは考えられない。これは多くはむしろとかく通産の仕事には金と権利がつきものでございますので、金と権利のつくところ、疑いが入つて来る。何もないところにうわさを立てられたのか、ないしはこれをとりまくところの業者、この業者を係官に誘導するところの政治家、そういう方々がその原因をつくつていらつしやるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。この点について、大臣としてはどのようにお考えになり、将来もしそういう問題が惹起したとするならば、どのような態度において事を未然に防ごうとなさるのか、その点をまず第一番にお尋ねしたいのでございます。
  52. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは前大臣当時からも非常に心を配つておることでございまして、文部省とは違いまして、業者がたくさんあり、その業者の権利もしくは利益というものに非常に密接につながつておる行政をしておりますものですから、いろいろ陳情がありましたり、あるいは特別の裁量をしてくれというようなこともないではないかと思います。現に私は就任後一箇月になりますが、各方面からいろいろな陳情が出て参ります。しかしながら、御承知通りに、今までとかくそういうようなうわさを立てられた省でございますから、今後私は十分職員を引締めて、絶対的にそういうような疑いのかからないような、ガラス張りの中の仕事にして行きたいと、こう考えて、就任の当時にもそういうことをよく職員諸君にもお願いをしておる次第であります。今後ともいわゆる陳情政治にならないことを念願してやつて行きたいと考えております。
  53. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 御説の通り業界と密接な関係がありますので、われわれ自身も業界からいろいろなことを頼まれることもなきにしもあらずでございますが、とかくここで論議されることか、多く業界の代弁になるというような傾向をよく見受けるのでございます。また大臣の施政方針の演説なるものが、過去においてもそうでございますが、日経連、経団連の陳情書を継ぎはぎにしたみたいな感じを受けることもございますけれども通産省といたしましては、一体民主主義の折からですから、業界の指導育成の立場上、意見は大いに徴さなければならないでございましようけれども、毅然とした態度というものが確立されているかいなやという点についても、もう一度念を押してお尋ねするわけであります。
  54. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。われわれはやはり日本経済の自立を目的としておるものでございます。同時に日経連とかあるいはその他の経済団体あたりも、やはり日本経済を進展さして行きたい、これは立場が違いまして、われわれは公平に全国のあらゆる国民にその意を得させるということが政治の要諦でございますが、しかし業者々々は自分の持場々々によりまして、自分の事業を進展して行こうという。しかしとにかく経済の対象はやはり日本の業界でございまして、事実はすなわち畑が同じでございますから、われわれの認めるところと業界の志すところとが同じようになります。しかしまた民主主義でございますから、業界並びに国民の皆様が、こういうふうに経済を運行して行きたい、こういうことはわれわれは十分尊重して政治をやつて行かなければならぬと思いますので、申し上げることも、業界のこともしくは中小企業のいろいろの方面と意見の一致する点もございますから、その点は御了承願つて、われわれといたしましては、日本の国民全体が、いかにしたら経済が自立でき、また民生が安定できているかという大きな立場からいろいろな方案を考え、実施をして行きたい、こう考えております。
  55. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 通産省の係官の不正をなじる前に、まず隗より始めよで、大臣の、われわれみずからがもつて範を示さなければならない、毅然とした態度でこれに臨まなければならないという御意見に対して、私は賛成するものであります。とかく社会党が質問すると、何でも反対するするというふうに、地元の人まで言うのでありますけれども、ほんとうに日本経済の復興、民生の安定を考えて行われることであるならば決して反対はいたしません。しかしその民生の安定、経済の復興を度外視して、ある一部分の少数の方々の利益を代表するような政策が打出されて来た場合には、遺憾ながらこれは反対せざるを得ないのでございます。  そこでもう一つだけそういう立場からお尋ねしたいのでございまするが、この省に限らずどこでもそうでございますが、特に先ほどからもお話が出ておりまするように、大蔵省、外務省、農林省あたりととかくつながりが多い。先ほどのお話にもございましたように、大蔵省に抜かれてしまつたではないか。あるいは中共貿易に例をとつてみましてもそうでございますが、大蔵省及び外務省との関連性が非常に多い。その場合ほんとうに通産省としての立場を強く推進されようとしていらつしやるのですか。あるいは長いものにはやむを得ぬから巻かれて行け、こういう態度で臨まれて行くのでありまするか、この点を内田さんがああいうふうになつた矢先でございますから、ひとつしつかりと承つておきたいと存じます。
  56. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは私の昔からの考え方でありますが、わが子となればかわいいということがございますから、通産大臣になればやはり通産行政をうんと進展して行きたいという意欲並びに欲望はたくさんあるのであります。ただ問題といたしまして、どうしたら民生安定、国利民福のためになるかという大きな立場から見まするならば、セクシヨナリズムにあまりとらわれることはよくない、こう考えまして、譲ることは譲りますけれども、これは何で譲るかと申しますれば、一番よい方法日本経済に役立つという結論に到達をいたしますれば、私はあまりセクシヨナリズムにとらわれるべきではない、こう考えておるのであります。これは私の考えでございます。しかしやはり人情は自分自身の通産省がかわいいから、通産省の事業の進展のために努力するという下心はむろんあります。
  57. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 セクシヨナリズムにならないということは、かつて通産大臣をやつていらつしやつた大蔵大臣にそつくりそのままその言葉を実行に移していただきますと、将来この通産行政がもつと円滑に行くのではないかと存じますので、ひとつかつて通産大臣であつた大蔵大臣によろしくお話いただきまして、ぜひ真に経済の復興に大蔵省としてもなお協力されるよう、ひとつ要請方をお願いするわけであります。  さて私のお尋ねしたい本論に入るわけでありますが、通産省は今度日本貿易の現状という一書を公にされました。そうして輸出貿易の不振の状況を明らかになさつた日本経済の将来ともなるということで、たいへんこれは感謝しておるわけでございますが、その白書によりますと、日本貿易の警鐘となると同時に、中日貿易を渇望としおります国民的感情に一層の拍車をかける原因となるではないかと考えておるものでございます。そこでこの際ぜひ中共貿易について岡野大臣の御所見を伺いたいわけでございますが、大臣は国会においても業界代表との懇談会におかれましても、日中貿易の拡大の公約を盛んに行つていらつしやるようでございます。これまた道徳の高揚と同時に私は歓迎するところでございまして、決して反対では、ございません。たといそれが抽象論であつたとしても、まさにおぼれようとしておるところの業界にとつては、地獄で仏に会つたような感じでいるではないかと存ずるわけでございます。しかるに岡崎外務大臣答弁より散見されるところから考えますと、日中貿易はそれほど期待がかけられていない。むしろ悲観材料の方が多い、こういう状態でございます。そこで一体通産省としてはどのような態度でこの中共貿易に臨もうとなさつていらつしやるのか。しつかりしたところを承りたいと存ずる次第でございます。
  58. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これはよく誤解がございますので、一応私の考えの基礎から申し上げます。御承知通り日本は国連協力をいたしておりますから、国連協力の線に沿うて国際的の義務を果すということは、これはどうしても免れないところであります。しかしながらその国連協力の範囲内においてもできるだけの努力をして中共に対して輸出ができる、そういうようなことに私は努力をしておる次第でございまして、個々においているいる制限物資などがございますので、われわれといたしましては、それをできるだけ制限をとりはずして、向うがほしがつておる品物を輸入をさせて行きたい、こう考えております。ただいつも申し上げますように、戦前と違いまして向う経済内容大分かわつておりまして、一般的に考えられておる、すなわち昔中国貿易をしておつた人の考えておるような調子に向うで物をほしがつておるかどうか。これは私はそうでないと思います。それから同時に向うは管理貿易でございますから、ある種のものは日本でほしくつても出さないものもありましようし、またこちらから売ろうと思うものを買わないというような、単独の意思によつて決定せられるというようなこともございまして、また今正式に日本政府の代表者を向うで受入れるとか、またこちらで向うの正式の政府の代表を受入れることは外交上の問題でございまして、どうもその辺は外交的にいろいろ不満があるのでございます。ただ私といたしましては、今までやはり二十七年度でも六十万ドルくらいの輸出貿易ができたということは、すなわちその間に貿易の道がついておるのだ、その道があるならばその道をどんどん拡大し、そうして売れる品物を国際信義にもどらないように広くして売り込んで行きたい、こう考えているわけです。それで大した期待はむろん初めから私は考えられないのでございますけれども、しかし輸出貿易第一主義に徹底します以上は、いかなるささいの輸出にいたしましても、これをぐんぐん伸ばして行く、こういうようなことが私は日本貿易を促進して行く一番大事な道だと思いまして、中共貿易考えている次第でございます。
  59. 大西禎夫

    大西委員長 加藤委員に申し上げまするが、まだ日程が二つありますのでなるべく簡潔にお願いいたします。
  60. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 簡潔にということですが、今国会始まつてから、私の質問は今までずつと棚ざらしにされて来て、きよう初めて許されたのでございますから、まことに恐れ入りますが、無理は言いませんけれども、もうしばらくお願いしたい。
  61. 大西禎夫

    大西委員長 実はぎよう土地調整委員その他の方にこちらへ来てもらつておるのでありますが、三時半ごろから帰られなければならぬような方がありますので、その間に始関委員の問題を議題にいたしたいという心組みから申し上げております。
  62. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 わかりました。それでは私は一方的な無理を申し上げても何ですから一歩譲るといたしまして、私の質問を途中で切られるわけなんですから、あとで継続していただくというお約束をしていただければ、少々延ばしてもけつこうであります。けれどもきようどうしても御質問をしておかなければならぬ緊急な問題が中共貿易以外にたつた一つだけあります。そこで中共貿易の途中ですから中共貿易のことをもう一点だけ御質問いたしまして、あとは途中で切りましてお譲りするとして、そのあともし時間がなくても一点だけ別な問題でお尋ねしたい、それでよろしゆうございますか。
  63. 大西禎夫

    大西委員長 どうぞ。
  64. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ではちよつとお尋ねいたします。ただいま、日本の去年の貿易は六十万ドルであつた、そこで道が開けたとおつしやいましたが、まさにその通りでございます。ところで、国情だとかあるいは思想だとか、いろいろな点がかわつおるので、それほど期待ができないというお言葉でございます。このお言葉を返すような材料でまことに恐れ多いことでございますが、一九五二年に日本大蔵省税関部の統計によりますと、英国は同じ中共に対して千二百二十八万ドルの大きな貿易をいたしております。スイスは千七百八十三万ドル、イタリアは千八百八十六万ドルというように、あげて来ればずいぶんたくさんで、はるか万里を越えたイギリスから日本のまさに二十倍の輸入が中共に行われ、その上、このことに味をしめたか、イギリスにおいてはすでに商務相がソ連に入り、経済代表がまたソ連から中共に向けて入つておるという情報を受けておるのでございますが、一体日本は、何がゆえにイギリスの二十分の一の貿易でしんぼうしなければならないのか。伝えられるところによりますと、イギリスは、ことしは去年の二十倍の中共貿易をもくろんでおるということでございます。かように考え来りますると、国情がかりにかわつたといたしましても、なお中共の購買力というものはさほど減少しておるとは考えられないのでございます。そこでお尋ねしたい点は、日本輸出制限をされておる根拠、一体西欧のパリ・リストに比較いたしまして過当な制限を受けておりまするその根拠をはつきりと承り、その根拠をいかにして脱却するか、いかにしてこれを除去して、国民的感情になつておりまする中共貿易促進に努力されんとするのかをお尋ねしたいのでございます。
  65. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これはごく率直に申し上げれば、日本が被占領国であつた惰性がまだ残つておる、こういう二言に尽きるのであります。と申しますことは、占領されておつたときには、御承知通り国連軍のさしずの通りにすべてのことが規制されておつたわけです。その規制されておつたのが、独立国になつて、だんだんと通常の状態に直すということに努力しておる。そして昨年九月ごろココムに入りまして、西欧並に中共貿易ができるように制限物資をはずす努力をしつつあるわけであります。そこで先般も申し上げたことでございますが、昨年からことしの一月までに九十七品物の制限物資の解除をし、それからまた一月以降最近までの間に四十数品目の解除をして、だんだんとその解除の範囲を広めて参りまして、そうして行き着くところは西欧並にやつて行きたい。ただいまいろいろ、ハリにおいて努力しておる最中でございます。
  66. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それではこれで次のお方にお譲りいたしますが、それに関連して承りたいことは、本年度の中共貿易の目標額、すでに三月までの日本銀行外国為替統計によりますれば、イギリスは一—三だけでもつて六百二十四万ドル日本の去年の十倍をすでに行つております。スイスは八百五万ドル、こういうようにあげ来ればすでに一—三だけでずいぶん行われておるわけでございますが、一体日本の今年の中共貿易の目標額、内容の何を第一ということについては、この次恐れ入りますが一時間半くらいはいただきたいと存じます。
  67. 山手滿男

    山手委員 今のにちよつと関連して大臣にお伺いしますが、日中貿易関係が英国やフランス並に行かないのは占領政策の惰性である、こういう御答弁でありまして、これを絶ち切つて新しい観点からやるという御意思はまことにけつこうで、早急にやつていただかなければならぬのであります。ところが今の御答弁と逆行したところが事実になつて現われて参りました。それは数日前に内閣から提案をされました旅券法の改正であります。今度あの旅券法の改正案が提案されたのでありますが、事実上経営者や産業人が海外に旅行いたしまして、商談の途中においてはあるいは予定をせざるところに飛んで行かなければいかぬ事態がきわめて多く起る。それを今度政府が出されたところの旅券法の通りをしやくし定規にやつて参りますると、商談のために海外に行く人たちは足を奪われ、縛られてしまう。これはまことに不可解なことでありまして、中共との関係を今大臣の御答弁のような趣旨で押して行くならば、この旅券法の改正という問題はまさに大臣答弁と逆な方向行つておる。これについておそらく閣議でも審議をされたことであろうし、関係閣僚は打合せをされたと思うのでありまするが、通産大臣はこれについて反対をされるべき性質のものである。その間において大臣はどういうような態度をとられたのか、御説明を願いたい。
  68. 岡野清豪

    岡野国務大臣 この点におきましてはやはり国連協力ということが非常に大きな政策基本をなすものでございます。それからそういう大きな国策に関して閣議がその方向向うならば、御承知通り閣議は多数決でございますからいたし方ありませんが、しかし私がこれに対して自分で自負するところは、旅券法が今までやかましく取締られておりましたときでさえ、昨年の六十一万ドルが一月三月の間に二百三十万ドル輸出貿易がふえたということは、あるいは旅券法が自由自在に行き来ができるということになればもつとふえるかもしれません。しかし要は物が売れ、品物の制限をはずして行くことが一番枢要なことでありますから、仰せのごとく輸出貿易第一主義で国際場裡の何もかも無視して商売をするということになればあるいはそういうことになるかもしれませんが、この点はしばらく御容赦願いたいと思います。
  69. 山手滿男

    山手委員 今の答弁ではわれわれはちよつと満足できないのであつて、現在の旅券法の状態においてでも良識ある者や、海外に商談そのほかで参ります者が、何も好んで共産圏や何かへ踏み込んで、いわゆるためにせんならぬ議論をして行くとは考えられない。あの改正案を出されるというと、私はおそらく今度は、さらに多くの人々が海外において立往生をするという事態が起きるだろうと思う。今日でしたら自由に行けるものが、何も共産圏ということでなしに行けるものが、かえつてあれで行動の自由を奪われてしまう。いわゆる共産主義圏に行くなどというふうなことでなしに、この善良な——政府考えでいえば善良な態度で商売をしに行くというふうな人々が足を奪われてしまうということになるのでありまして、私は今のままそつとしておいた方がいい。大臣はそう努力すべきである、こう思うのでありますが、もう一度その点を明らかにしていただきたいと思う。
  70. 岡野清豪

    岡野国務大臣 努力しましたけれども、負けましたのでございます。
  71. 大西禎夫

    大西委員長 次に鉱業法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の通告がありますからこれを許します。始関伊平君。
  72. 始関伊平

    始関委員 私はただいま議題となりました鉱業法の改正案に関連いたしまして、二、三御質問申し上げたいと思います。  今回の鉱業法改正の主たる眼目の一つは、鉱業と他の公益との関係につきまして、社会の実情により適応した調整方法を採用するという点にあるようでございますが、この問題は、日本の重要な資源でありまする地下資源の開発の点から申しましても、また国立公園、重要な文化財の保護という点から申しましても、きわめて重要な事柄だと考えます。この点につきましては、鉱業を主管されまする通産省の側におきまして、国立公園や文化財につきまして十分な認識と理解を持つことが必要でありますと同時に、国立公園や文化財を主管せられる側におきましても、これらの資源が日本にとつてかけがえのない貴重な資源でありまして、これが永久に地下に眠つて日の目を見ないということでは困るという点を認識され、また法律的な制度や運営の実際におきましても適切な配慮がなされなくてはならぬと考えるものでございます。  そこで以下項目をわけましてお尋ねをいたしますが、最初に国立公園の指定の場合におきまして、通産省は厚生省当局から何らかの協議にあずかる、そういう建前になつておるのかどうか、その点をまず最初に鉱山局長にお尋ねをいたします。
  73. 大西禎夫

    大西委員長 今鉱山局長は参議院へ金の問題で行つておりまして、連絡があつたらすぐ帰ると言いますので、すぐ呼ばせますから、何か他の方からお聞きくださいませんか。
  74. 始関伊平

    始関委員 それではただいまお尋ね申し上げました国立公園の指定の場合に、厚生省は通産省と何らかの形で御相談をなさるのかどうか、その点を厚生省の国立公園部長さんにお尋ねいたします。
  75. 甲賀春一

    ○甲賀説明員 国立公園部長は厚生委員会に出ておりますので、私国立公園の管理課長でありますが、かわつてお答えいたします。指定をいたす際に通産省に協議するかというお尋ねでございますが、これは通産省との協定によりまして、指定前にあらかじめその地域について協議をいたすことになつております。
  76. 始関伊平

    始関委員 次にこれも同じく厚生省にお尋ねをいたしますが、国立公園につきまして、国立公園審議会というものがあるように承知をいたしておりますが、これはどういう役割を持つものか。またその委員会の構成につきましてお尋ねをいたしたい。国立公園の方面の専門家のほかに、各方面の利益を代表されるような委員もこの委員会に入つておるのかどうか、そういう点をお尋ね申し上げます。
  77. 甲賀春一

    ○甲賀説明員 お答えをいたします。国立公園審議会は国立公園法によつて設けられております。国立公園の指定の場合あるいは国立公園計画の決定、事業の決定その他重要な事項について審議する、かように定められております。構成は政令で定められておりまして、関係各省の関係官、なお学識経験者から成つております。そのほかに事案によつて臨時に臨時委員を任命することができるようになつております。
  78. 始関伊平

    始関委員 ただいまの御説明で、たとえば鉱山関係につきましては通産省から代表が入つておるというふうに了承いたしました。  次に、これも厚生省にお尋ねをいたしますが、国立公園法におきましては、国立公園の指定によりまして、鉱業権者が事業の継続ができなくなり、事業をやめなければならないようになるといつたような場合におきましては、当然損害が起るわけでございますが、この損害を補償するような規定があるのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  79. 甲賀春一

    ○甲賀説明員 国立公園法によつて、国立公園の、特別地域と申しておりますが、特別地域内で鉱業を行うために工作物設置その他の出願がございまして、これが風致維持、景観の保護上さしつかえがあるということで不許可になつた場合に補償する道はございます。
  80. 始関伊平

    始関委員 次の問題は、厚生省と土地調整委員会と双方にお尋ねをいたします。それは地下資源の問題につきまして、地下資源と国立公園との関係の問題につきましては通産省と厚生省とが十分な話合いをいたしますれば、一見きわめて困難な問題でも、何とか解決の道が実際上あるはずだと存ずるのであります。たとえばかつて、一時は非常にめんどうな問題でございました阿寒湖の硫黄採掘の問題のごときも、協議折衝の結果解決をいたしたものでございますが、しかしながら本質的にはそれぞれの立場を尊重するといたしましても、通産省の立場、厚生省の立場それぞれ違うのでありますが、どう話合いましても話合いがつかないという場合も起つて参ろうかと存じます。そのために鉱業権者の方面などから非常な不服があるということもあると存ずるのでございますが、そういつたような場合におきましては、第三者的な立場にございまする一つの官庁によりまして、行政救済の必要が起ると存ずるのでありますが、そういつたような問題につきまして、厚生省では何かお考えがあるかどうか。また鉱業法と農林省関係のいろいろな問題のためには土地調整委員会という制度もございますが、土地調整委員会におきましては、こういう問題を自分のところで解決してやるということが適当であるというふうに考えておられるかどうか。その点をまず最初に厚生省から、次に土地調整委員会の方にお尋ねをいたします。
  81. 甲賀春一

    ○甲賀説明員 鉱山の開発について、行政救済の道があるかないかというお尋ねでありますが、私ども国立公園内で鉱山開発の場合、ほんとうにこれはかけがえのない景観であるというものについてのみ、非常に区域を限つて御協力を願うということで行政を進めて参つております。お尋ねの阿寒の場合はここを鉱区禁止地域にすることがよいという判断のもとに、厚生省といたしましては、土地調整委員会に鉱区禁止地域の申請をいたしました。ただ阿寒のすでに許しておる部分については、これを除外いたしまして、その他の地域について鉱区禁止地域の手続をいたしました。それ以外の行政救済については今のところ別段規定はないのであります。
  82. 豊島陞

    ○豊島政府委員 土地調整委員会は、鉱業、採石業と一般公益その他の産業との間の調整を行うためにできた委員会であります。従いまして今お話のありました国立公園との関係の公益との調整なり、あるいは農業、林業関係の公益との調整につきましては、現在のところ鉱業法によるいろいろな処分がなされました場合に、その処分が他との調整をする場合にのみ委員会がタッチしておるのであります。しかしながらかくいたしますと、土地調整委員会が、鉱業権の設定が公益との調整上さしつかえないと認定いたしました地区につきまして、他の法律によりまして、その鉱業権に対していろいろな許可を要するという場合、その法律によつて不許可処分を受けたという場合が起りますと、土地調整委員会の裁定の段階においてはよろしいと認めながら、他の官庁の処分によりまして事実上行使できない、有名無実の鉱業権ができるという結果を招来いたします。そうなりますことは、国家としても適当ではないと考えられますので、委員会といたしましては、他の法律の改正の都度そういつたような問題、すなわち鉱業権がありまして、この鉱権の行使をする場合に、他の法律により許可を必要とする場合の処分、そういうものにつきましても、公益との調整に関連したものにつきましては、土地調整委員会の裁定の道を開き、そうして土地調整委員会の裁定に対して不服がある者は高等裁判所に持つて行く、さらに不服があれば最高裁判所に持つて行く。こういうことにいたしますれば国として方針も一貫して参るのではないかと考えますので、今申し上げましたように、ほかの法律の改正の都度、ほかの法律で鉱業、採石業関係の処分をいたします場合に、その処分に不服のあるものは土地調整委員会に裁定の道を開くようにしていただきたいということにいたしまして、昨年国会に提出されました森林法の一部改正、それから農地法の一部改正、これにはその趣旨をとりまして、農地法あるいは森林法による処分によりまして、鉱業が事実上できなくなる、あるいはその処分によつて鉱業が逆に行われるようになる。そういつたような場合におきましても、いやしくもその処分が鉱業、採石業との関連のあるものにつきましては不服の申立てを土地調整委員会に持つて行くというような道を開きまして一貫性を持たせたのであります。  なお今お尋ねのありました国立公園の問題につきましては、まだ改正法案ができておりませんが、事務当局といたしましては、法律改正の際にはそういつたような規定を入れていただきたいということで事務的には話を進めております。
  83. 始関伊平

    始関委員 現在のところではそういつた行政救済の規定がないという点は了承いたしましたが、いずれにいたしましても非常に重要な国家の宝なり資源なりの調整の問題でございますので、ただいまお話のありましたような行政校済の制度、ついては高等裁判所なりあるいは最高裁判所なりに提訴の道を開くということが公益の調整、また資源の保護という点から申しまして適当だろうと私は考えますが、厚生省としてはまだ発表の段階にはないということでありますが、そういう点について何らかお考えなり、あるいは調査をしたという事実がございますか、その点を伺つておきたい。
  84. 甲賀春一

    ○甲賀説明員 ただいま御質問通り行政救済の制度を設けますのが適当であると考えまして、国立公園法の改正を事務的には検討いたしておりますが、ただいま土地調整委員会の方からお話のありました規定を案の中には取上げておりますが、まだ部内だけの案で外には出ておりません。考えてはおります。
  85. 始関伊平

    始関委員 国立公園の方はこの程度にいたしまして、次に文化財の関係につきまして、最近鉱業権との間に各方面で紛争が生じているようでありますが、これは国立公園法や、今日は問題にいたしませんでしたが、温泉法に比べまして文化財保護法の規定なり、あるいはその運用が、他の方面の利益との調整に対して不十分な点があるためではないかと思われるのでありますが、これらの点につきましてお尋ねをいたします。  初めに鉱業の側から見まして困つているような実情あるいは実例につきまして鉱山局長から御説明を願います。
  86. 川上為治

    ○川上政府委員 国立公園とかあるいは温泉関係につきましては、ただいまそれぞれの方から御説明がありましたように、行政救済とかあるいは裁判所への提訴とか、そういうような点につきましては、私どもの方から見まするとなお若干不備な点があると思うのでありますが、たとえば国立公園におきましての審議会に対しましては、私もまた委員として入つておりますし、また次官会議なりあるいは閣議におきまして最後は決定せられる場合もあるかと思いますし、その他厚生省との関係におきましてはこれを決定いたします前に、協議するような仕組みになつておりますので、そういうような点からいいまして従来におきましてはいろいろ問題を起しましても結局最後のところにおきましては相談して決定をするというようなことに相なつておりますし、また温泉関係につきましても、道府県知事がこれを決定します前に、あらかじめ行政官庁との協議をしなければならないという規定がありますので、そういう法律的な規定によりまして協議をいたしまして、最後に決定されるというようなことに一応なつておりますから、たとえいろいろ問題が起きましても、最後にはお互いに相談をした上で決定されるということに法律的にも相なつているわけでございます。ところが文化財につきましては、私どもとしてはもちろん文化財保護委員会の事務局としましても、極力お互いにいろいろ相談をいたしまして、鉱業権との関係に支障がないように努力をいたしておりますけれども、何分法律的な方面からいろいろ私どもの方では欠陥があるのじやないかと思いますが、そういう点から若干食い違いになりましたようなこともありまして、従来相当問題を引起しておつたものもあるわけでございます。ごく最近におきましては平尾台の石灰石の開発の問題に関連いたしまして、私どもの方としましてはさきに鉱業権をすでに豊国セメントに対しまして設定いたしたのであります。ところがあとで文化財の指定が行われまして、せつかく鉱業権はもらつたけれども、文化財の指定によりましてそのために採掘ができない、試掘ができないというような問題がありまして、現在なおいろいろ地方的にも問題を起しているわけであります。それは先ほども申し上げましたように、やはりある程度の法律的な欠陥、と申し上げますと間違いかもしれませんが、法律的に若干の不備がやはりあるんじやないかと私は思います。行政的にいろいろ連絡をとりましてもなかなかうまく行かないという点が、そういう法律的な不備の点からあるんじやないかというふうに考えるのであります。もちろん今後におきましても文化財保護委員会の事務局とは十分連絡を、私どもの方としてはやつて行きたいと思いますけれども、そういう法律的な問題が十分調整し得るように整備されてないと、やはり今後におきましても問題は起るのじやないか、そういうふうに私は考えます。
  87. 始関伊平

    始関委員 ただいま鉱山局長の説明で文化財等の関係について問題の所在がわかつたのでございますが、簡単に申し上げますとやや不十分な点はあるけれども、国立公園の方についてはどうやら連絡なり調整がうまく行つている。これに反して文化財の方の関係については現状ではどうもおもしろくない。その根本的な理由は法律制度なりあるいはその他いろいろな機構、建前の問題があるからだというお話なのでありますが、今度は文化財保護委員会の方にお尋ねいたしますが、文化財と申しましても何か非常に広い地域的な範囲を持つものが文化財として指定される場合がある。たとえば国立公園といつたようなものが文化財になることがあり得るわけでありますが、そうなりますとどうしてもほかの公益、ただいま地下資源の問題をここに問題にいたしおりますが、いろいろの調整を要する問題が起つて来ると思います。そこで文化財という観念につきまして、しろうとわかりのいいように御説明を願いたいと思います。と同時に文化財保護委員会といたしまして、公益との関係につきましてどういうふうにやつて行かれるおつもりか。その根本的な態度なり御方針を伺いたいと思います。
  88. 森田孝

    ○森田(孝)政府委員 ただいまの最初の文化財とはどういうものかということをちよつと御説明しますが、大体文化財保護法というものが占領中にもつばら当時の国会議員の方々の御発案により、占領軍との打合せによつてでき上つたのでありまして、これは政府の方は完全にノー・タツチでできたものでございます。しかしながらその責任をおつかぶせるという意味ではもちろんありません。われわれはそれに対して過去三箇年の実績に徴しまして、いろいろ不備な点があるように考えますので、目下関係官庁と御協議申し上げまして、国会提出あるいは政府提出いずれかの形においてできるだけ早い機会にこれを調整をして参りたいというような状態にあるわけであります。この文化財保護法の内容として規定されておりますのは、従来取扱われておりましたところの絵画、彫刻あるいはまた文書とかその他工芸品あるいは建物というようなもの、それから史蹟名勝天然記念物、それからそのほかに無形文化といたしまして、工芸美術その他の美術並びに芸能関係、それから地下その他の埋蔵文化、考古品、民俗資料というようなものが内容に入つてつているのでございます。われわれの方は、先ほどから国立公園と大分比較されているようでありますが、国立公園とダブつて指定しているというものは一つもありません。国立公園の中のある部分について、文化財によりましては高度な専門的な芸術的あるいは学術的な立場から史蹟名勝天然記念物も取扱つている関係上、特にそれに関連した部分だけが指定の対象になつているのでありまして、従つて一つの地域なり群というもの、いわばやや常識的な立場において文化的なものというものは取扱わないのであります。そういう意味で先ほど御質問がありました諮問機関としての専門審議会につきましても、われわれの方は非常な高度な専門家だけの集まりでありまして、むしろ各専門家でそれぞれの分科会及び部会を構成しておりますその分科会、部会においての審議指定というものに効力を持たしているわけでありまして、総会の決定に付するというのはきわめて少数の事項に限られているような状態になつております。以上文化財というものは大体そういう性質のものを今取扱つているということをお考え願いたいと思います。  次に御質問のあつた地下資源との関係でありますが、われわれの方の全般的な取扱いといたしましては、地下資源の開発並びに産業の開発ということは国家的な最も重要な事項の一つであることは私並びに委員すべてが考えておられるところでありまして、われわれの方といたしましては、この文化財として指定した基本線がそこなわれない限りにおいてはすべてこれを許可する方針をもつて、つまり許し得るだけ最大限の協力をして行くということを考えております。従つてただいま問題になりました平尾台につきましても、これはちよつと沿革がありまして、過去においては軍隊の演習地でありまして、軍隊から大蔵省に対して、これは指定すべきものであるけれども軍隊が使用しているから軍隊でこれを完全に守るから指定だけは延期してもらいたいという文書が大蔵省に入つているわけであります。そういう意味で過去に指定してなかつたのでありまして、終戦後において占領が解けまして、われわれの指定し得る立場になつた関係上これを指定したのでありまして、今こうこうなつたから指定したというようなものではないのであります。従つてわれわれといたしましては一応は指定したけれども、ただいま申し上げましたように指定の共本線さえそこなわれない限りにおいて、鉱山の開発について協力して参りたいという方針でただいま審議をいたしているような状態であります。  それからなお念のために申し上げておきますが、地下資源の開発と文化財との問題が現在起つているのは二つだけでございまして、ただいまの平尾台と、史蹟名勝天然記念物だけでも千七百件ぐらいの指定がありますが、その中で秋田の北投石温泉と福岡の平尾台と二箇所だけであります。
  89. 始関伊平

    始関委員 ただいまの御説明で、文化財の保護という観点のほかに、一般公益との関係も考慮されるということでありまして、なお法律的には不十分な点があり、その改正案の御研究中であるということでございますので、その点はけつこうでございますが、その法律の改正の場合におきまして、あるいはその場合には、これは運営の問題になるかと存じますが、国立公園の場合と違いまして、いわゆる文化財は非常に種類が多いもののように思いますので、すべての場合ということは私どうかと思いますが、国立公園でやつておりますように、特に鉱業に関係の深い場合には、通産省と何らかの形において協議をいたすというような建前にする意向はないかどうか。その点をお尋ねいたします。
  90. 森田孝

    ○森田(孝)政府委員 ただいま仰せのように、従来文化財保護委員会の方におきましても、ただいま鉱山局長から例にあげられましたように、鉱区の設定してある所に、おそらく鉱山局に無断で私どもの方では指定がされたと考えておりますが、また反対に、文化財の指定してある所に、無断で鉱区を設定した例が最近でもあつたのでありますが、そういうようなふうに、両方とも連絡がきわめて不十分であります。それにかんがみまして、鉱山局長とはよく協議をいたしまして、国立公園部と同じような、事前に協議する協定を結ぼうというので、目下両方で相談中でありまして、不日事前に協議する態勢ができることと考えておる次第でございます。
  91. 始関伊平

    始関委員 ただいまの御答弁はたいへんけつこうでございまして、両方で協議されまして、二つの大事な目的を、双方ともに達成されますように希望いたします。  ところでこれに関連が深い問題でございますが、あなたの方の委員会は、いわゆる行政委員会でございまして、その下に付属の専門委員会があるように伺つておりますが、この専門委員会にただいまでは、専門家ないしは技術方面に明るい方だけがいらつしやるように承知をいたしておりますが、文化財の指定なりあるいは文化財保護法の規定に基づきまするいろいろの処分をいたします場合には、どういたしましてもほかの公益との関係ということが必然的に問題になりますから、この専門委員会の構成を多少かえまして、特に関係の深い方面の公益を代表いたしまする委員を加える意思はあるかないか、また加えようとすれば現状のままでできるのか、あるいはかりに加える御意向があつても、それは法律の改正をまつてしかる後でなければできないのか、という二点をお尋ねいたします。
  92. 森田孝

    ○森田(孝)政府委員 ただいま仰せのような点につきましては、行政の委員会である関係か、法律的には純然たる専門的、技術的な学識経験の高い人というので構成されるように法律的にできておるわけであります。しかしながら関係各官庁の方々の御協力も得なければなりませんし、連絡も緊密にしなければならぬという意味におきまして、この専門審議会の構成を基本的にかえる意思はないのでございますけれども関係官庁の関係官の協力を得る態勢を考慮して参らなければならぬという点については、われわれも同様に考えているわけでありまして、この点につきましては、将来政令なり法律の改正が必要でありますので、その場合に同時に考えて参りたいと思つております。
  93. 始関伊平

    始関委員 ただいまの御説明で一応満足いたします。その次に損害補償の問題でございますが、これは鉱業法でも今度の改正案で、鉱業権を取消し、実際上鉱山の経営ができないようになるというような場合には、損害補償の規定を追加いたすような案になつておるわけでありますが、同時に国立公園法におきましても、同様の趣旨の規定があるように承知をいたしております。ところがあなたの方だけはないわけでありますが、これはもちろん法律が必要だと思いますけれども、法律の改正案をただいまお考えのようでありまして、かりにいろいろな手続を経た後に、鉱山なりその他のものが事業をやめなければならないというような事態に立ち至る場合もあるわけでありますが、そういう場合における損害補償の規定を設けるという意向があるかどうか。またとかく一方的になりやすい二つの利益の調整の場合におきまして、損失補償の規定があるということは、公正なものを出すという点からいいましても、きわめて望ましいのでありますが、この点を文化財保護委員会としてはどうお考えになりますか。
  94. 森田孝

    ○森田(孝)政府委員 仰せの点につきましても、われわれの方の今度の法律改正の研究問題として、目下重要な研究課題として関係官庁とも協議いたしておりますので、不日結論が出るだろうと考えております。
  95. 始関伊平

    始関委員 ただいまの御説明を一応了承いたしますが、私が申し上げましたような実情に到達することを、深く希望いたします。  もう一点、先ほど国立公園の場合に申し上げたのと同じ問題でございますが、両方の立場でいろいろ御相談になりましてやつて参りましても、どうしても結論に到達し得ない。たとえば指定の問題について不服がある、また文化財保護法の規定に基く処分につきまして、関係方面で非常な不服があるといつたような場合におきまして、これまたどの機関が適当であるかわかりませんが、第三者的な機関による行政救済制度、ひいては最高裁まで提訴のできるような、そういう建前をおとりになる考えがあるかないか、その点を伺います。
  96. 森田孝

    ○森田(孝)政府委員 この点につきましては、ただいままでの御答弁と少し違いまして、国立公園とは大分趣が違うのでありまして、御存じの通りに文化財につきましては、全国で一つしかないとか、あるいは二つしかないとかいうような、あるいはまた世界で一つしかないというようなものを含んでおるわけでありまして、無条件に、第三者による利害関係だけで調整をされるというのは、なかなかむずかしい問題だと考えるわけであります。ことにただいま議題になつております鉱業法だけの問題ではないのでありまして、都市計画あるいはまた電源開発その他いろいろの問題がからんでおりまして、土地調整委員会においての提訴の問題だけでは、問題の解決しにくい点もあるわけであります。従つて、従来土地調整委員会から申出がありましたので、われわれもまた国立公園部の方とも連絡をとりまして、共同で目下研究いたしておるのでありますが、なかなか適当な方法が現在まで見つかつておりません。しかしながら最終的には、法律の改正案が出るまでには、結論を得たいと考えている次第であります。
  97. 始関伊平

    始関委員 電源開発との関係その他地下資源とは別な、ほかの公益との関係につきまして、いろいろ問題があるという点は、私もよくわかるのでありますが、そういう広汎な問題につきまして、全般的にこれを処置するような行政救済の機関をつくることも、もちろん考えられましようけれども、さしあたりの問題といたしましては、そういう磯菊もないのでありまして、あなたのおつしやるように、文化財というのは、日本に一つしかない、あるいは世界に一つしかないという、そういう大事なものでありますが、同時に地下資源もどこにもあるというわけではございません。そこで採掘を認めない限りにおきましては、その地下資源は永久に地下に眠ることになるわけでありますから、そういつた点についての十分な認識を有する機関、たとえば土地調整委員会のようなものによる、第三者による行政救済の制度を御研究中だということでございますので、その点もただいま申し上げましたような趣旨で、お考えを願うことを希望いたします。  最後に一点だけ、ただいまあなたのお答えになりました趣旨は、大体において私は満足いたすのでありますが、それは確定したものではないにしても、文化財保護委員会としては、委員の皆さんも大体同様な方向でただいま御研究中であるということに了承してよろしゆうございますか。
  98. 森田孝

    ○森田(孝)政府委員 ただいま私が御説明申し上げました点は、委員会も含めてすでに何回も研究いたしておるということでありまして、これは私事務局長としてだけの意見ではなく、委員会としての意見と御了承願つてけつこうだろうと思います。
  99. 始関伊平

    始関委員 最後に、通産大臣がおいででございますので、お願いを申し上げておきますが、国立公園との関係ないしは文化財保護法との関係におきましては、昔からいろいろ問題が多いのでございまして、特に文化財保護法につきましては、法律の規定も不備であるということを委員会の方でもお認めのようでございますので、通産大臣といたしましても、これらの点に十分な関心をお持ちになりまして、適当な機会に改正法律案も出るごとになりますように御尽力くださいますようお願いいたします。これで私の質問は終ります。
  100. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 改正鉱業法の条文の二、三のこまかい点についてちよつと伺つておきたいと思うのです。  その前にひとつ根本的な問題としてお伺いしたいと思いますのは、鉱業法を根本的に改正しなければならぬということは、もう十五年も二十年も前から、この法を改正しなければ非常に欠陥が大きくて、いろいろこのための問題が起るということで、それぞれ委員会なんかも設けられたり何かしてやつておられるのですが、一向根本的な改正案の提案はされない。そのために、たとえば日本の鉱区が非常に古くなつているので整理統合もしなければならぬ、あるいは睡眠鉱区の開発もしなければならぬとか、あるいはそのために起つた鉱害問題の処置に困るとか、あるいは保安の問題が困るとか、そういうことで部分法ばかり出して整理に困るというようなことを次から次にやつておられるのですが、どういうわけで根本的な改正を、あれほど人を騒がせて、労を費してやつていながらやらないのか、その点を伺いたい。
  101. 川上為治

    ○川上政府委員 ただいま伊藤さんからお話がありましたが、鉱業法を根本的に改正しろといういろいろな騒ぎと申しますか、要請の声だけはよく御存じだと思うのですが、その後改正されまして、昭和二十五年十二月の二十日に現在の新しい鉱業法が実はできておるわけでございます。しかしながら、現在の法律は、その後三年来これを実施いたしておりますけれども、その際にも審議会等をこしらえまして慎重審議いたしましたが、こういう法律になりますと、なかなかむずかしい問題がたくさんありまして、現在すでに先ほど申し上げました、たとえば文化財との問題とか、あるいは国立公園との問題とか、その他いろいろな問題につきまして問題が起きておりまして、今回一部の改正を出しましたのは、そのうち特に今問題になつておりますものを、そしてそれがこの際比較的容易に改正され得るのじやないかと思うような点だけを改正いたしまして、なおほかにいろいろ問題がありますが、その問題につきましては今後全般的なさらに検討をいたしまして改正をしたいというふうに考えております。
  102. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 改正されたと言つておりますが、当時私もその委員の一人として加わつておりましたが、ところが根本的な問題を解決するという点においてちつとも改正されていない。たとえば当時非常に問題になつたのは、鉱区の整理統合の問題、睡眠鉱区開発の問題、あるいはよつて起る賠償上の鉱業被害の部分的な問題についてやらなければならぬということが、それぞれ審議の中心になつてつたのであります。そういう点はちつとも取入れられていない。たとえば鉱害の問題では、臨時鉱害、特別鉱害と出たが、具体的な解決に当つては、その事業にちつとも着手されて行かないじやありませんか。こういう根本的な重大な問題を、なぜ改正のうちに取上げられて出されませんか、こういう点を伺いたい。
  103. 川上為治

    ○川上政府委員 今お話がありました点につきまして、なお根本的に改正しなければならぬ点が相当あると思うのですが、この問題につきましては、その後におきましてもいろいろ検討をいたしておりますけれども、なお結論を得ていない状況にあります。そういう根本的な問題につきましては、なお私どもの方としましても、すみやかに全般的な改正を研究いたしたいと考えております。
  104. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 そういうことについて改正しなければならぬ点は、きわめて専門的にも相なつておるのですが、何か機関でもつくつてすみやかにやられるというようなお考えがあるかどうか。
  105. 川上為治

    ○川上政府委員 実は二十五年の暮れに改正されまして、その後二年そこそこでありますので、さらに前の改正と同じような大きな審議会みたいなものをこしらえて、この研究をさらにやるというようなところまでは研究いたしておりませんが、そういう根本的な問題もなおあると思いますので、この点につきましては、研究会なり、そういうようなものをこしらえてさらに十分研究を進めて行くという問題については、今後いろいろ相談いたしたいと考えております。
  106. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 この根本問題の点は、大きな問題ですから、いずれ後日のことにいたします。  内容にわたつて二、三点伺いたいのは、今度の改正法の三十五条の、「公共の用に供する施設」「これに準ずる施設」とは、具体的にどういうものを指しておるのか、これをひとつお伺いしたい。
  107. 川上為治

    ○川上政府委員 「これに準ずる施設」というものは、相当広く解釈いたしたいと考えておりまして、たとえば市街地というようなものもこの中に入るというふうに考えております。
  108. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 この「準ずる」ものを定められる場合には、どういう機関でお定めになりますか。
  109. 川上為治

    ○川上政府委員 この「準ずる」というのは、通産局長がもちろん認定することになつております。しかしながら、地方におきまして地方鉱業協議会というようなものを置くことになつておりますので、この協議会とよく相談をいたしまして、どういうものを「準ずる施設」にするかということは、その際いろいろ研究してきめたいというふうに考えております。
  110. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 すでに許可をされたものに対しては、どういうような扱いをされるつもりでございますか。
  111. 川上為治

    ○川上政府委員 すでに許可をしましたものと申しますと、そういう公共施設だろうと思うのですが、それにつきましては、今のところは特別に救済の規定は考えておりませんが、そういうものにつきまして方々におきましていろいろ問題が起るんじやないかと思いますので、その問題につきましては、今後法律の全般的な改正を考えます際に、十分研究して措置をとりたいというふうに考えております。
  112. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 五十三条の鉱業権の取消しによつて生じた損害を当該鉱業権者に対しては補償する、あるいはそのために、今度利益を受けた者に対しては、その利益の全部または一部をこの損失の補償金に充てるというようなことが書いてあるようでありますが、これを通商産業局長が扱うように書いてあるようですが、これはきわめて複雑ないろいろな問題が起つて来る思うが、こういうことを局長一人で一体解決できると思つておられるかどうか、それをひとつ伺いたい。
  113. 川上為治

    ○川上政府委員 受益者負担の問題につきましては、これは著しく利益を受けた者というふうに限定いたしております。その著しくという認定の問題がいろいろ問題になる思うのですが、この受益者負担につきましては、先ほど申し上げました地方の鉱業協議会にも諮り、そこでよく相談もしてきめたいというようなふうに考えております。
  114. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 その協議会の構成をどのような構成にしてやられようとしておられるのか。その点をもう少し具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  115. 川上為治

    ○川上政府委員 地方鉱業協議会につきましては、委員長及び委員を二十名以内というふうに考えております。その委員の選定につきましては、各方面からこれを選定いたしまして、最も公平な運営にしたいというふうに考えております。
  116. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 今局長は簡単におつしやつておられるが、こういう機関構成がなかなかうまく行かないということは、長年にわたつてずいぶん経験しておられると思う。たとえば先般ようやく構成をしました鉱害の事業団の構成のごとく、農林省と通産省との間に根本的に対立をする、あるいは被害農民と加害者である鉱業者との間に対立をするというようなことで、一年以上たつても、この構成というか、事業団の事業に着手し得ないというような、利害対立が非常に激化しまして、なかなかやれない。従つてあなたは今簡単におつしやつておるが、この構成というものは、今あなたがおつしやるようなことではなかなか簡単にできないと私は考えておるが、その構成の方法などについて、この法律と同時に具体的なことをお示しにならないということは、通商産業局長の官僚独善というか、そういう弊に陥る。あなたはまたこれからいろいろな利益関係者の問題も起つて来ると思うので、この法律とともに、こういう重大な問題を扱うのでありますから、この委員会の機関構成などもあわせて明らかにしておくべきであると思うが、そういう点に対してどのようなお考えを持つておるか承りたい。
  117. 川上為治

    ○川上政府委員 この法律の中におきましては、地方鉱業協議会のメンバーをどういうような方々から選定するというような基準は別にきめてないわけでありますけれども、たとえば府県の関係の代表者でありますとか、あるいは鉱山関係代表者、あるいはまた利益を受けるであろうという方面の代表者、あるいは関係官庁とか、そういうような方々を私どもの方としましては一応予定をしておるわけであります。
  118. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 鉱業権を取消された者の損失に対する補償は、利益を受けた者のみからこれを引当てにされるのか。国家補償による補償との比率というか、そういうような点はどのようにこれを解決されようとしておるのか。これらの点をひとつ具体的にお示し願いたいと思います。
  119. 川上為治

    ○川上政府委員 私としましては、著しく利益を受けるという者がはたしてどの程度出るか、相当疑問があると考えられるのでありまして、利益をあげるというものがそれほどないのじやないかというふうにも考えます。結局損害補償につきましては、国家がこれを取消すことになりますので、国家がこれを補償するという部面が相当大きな部面を占めるのではないかというふうに考えます。
  120. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 その補償に対する通産省の方の予算というか、そういうようなものに対しては、あらかじめどういうような用意をされておるのか承りたい。
  121. 川上為治

    ○川上政府委員 予算につきましては、大蔵省といろいろ相談をいたしておつたわけでありますが、本年度におきまして幾らということは、別にきめてございません。ただそういうような必要が起きましたときにおきましては、大蔵省の方で損失補償の予算を出すという一応の話合いになつております。ただこういうような問題は、しよつちゆう起らないように——私どもの方としましては、取消すというような事態が起きないように、極力やつて行きたいというふうに考えております。
  122. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 取消さなければならぬ、あるいはそのために損失を受ける者というのは、あなたの方で大体においておわかりになつておるものがあると思う。さらにまたそのために、およそ国家補償の経費というものをどのくらい、要するかということもわかるはずでございます。何も新たにやるものでなくて、もうすでに継続的にこういうものは処理をされておるわけでありますから、こういう点に対して、大体においてその件数、その金額というようなものは、当然私は二十八年度において、この法律案と同時に計画されなければならぬと思うのであるが、そういう見通しについて、どのようにこれをお考えになつておるかという点を少し具体的にお示し願いたい。
  123. 川上為治

    ○川上政府委員 実は今まで取消すというような問題は一回になかつたわけでありまして、今後におきまして、先ほど来いろいろ問題がありましたように、文化財の問題でありますとか、あるいは国立公園法との関係でありますとか、そういう問題から取消すという事態が相当起るのじやないかというふうに考えましたので、一応補償の規定をこの際入れるべきではないかと考えまして、今回この法律を改正して、補償の問題を入れてうたうことにしたいと思うのであります。実は今伊藤さんの方から相当事例があるのじやないか、またそれを基礎として金額もちやんとつくつておるのじやないかというようなお話があつたのですが、今まで例がありませんでしたし、また今後においてもそうないだろうというふうにも一応考えておりますので、今のところではそういう金額は具体的にはじいておかなかつたわけであります。ただそういう事態が生じたならば、国家として補償を行うということを、大蔵省との間に話をつけてあるわけでございます。
  124. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 今までなかつたとおつしやるけれども、取消されたのはありはしませんか。たとえば大きい会社などの鉱業権というようなものは、もちろんなかなか取消すことができなかつたと思うけれども、少さいところなどでは、やはり鉱業権を取消されたというようなことがいろいろな形において、あるいは税金を納めておらぬというか、あるいは一定の年限に対する義務を怠つておるとか、あるいはいろいろな形においてそういうことをやられたことがあることを私は知つておるのであるが、これをつくられると、そういうものに対してはどういう扱いをされるのか、全然それは過去のものであるから、そういうことは問題にならないのだということでされるのか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
  125. 川上為治

    ○川上政府委員 今までは法律をきわめて厳格に解釈いたしまして、そういう法律的な手続による取消しがないように努力いたしまして、今まで一ぺんも、私の知つておる限りにおきましては、覚えておる限りにおきましては、取消しをやつたことはないというふうに聞いております。あるいは何かいろいろな問題がありまして、鉱区の申請をします場合に、あるいはある程度減少して、そうしてこの辺でひとつ出しなさいという話合いによつて、その鉱区の減少の申請をさしたことはあるのじやないかと思いますけれども、そういう意味においては、反面から見ますと、自分が要求しました鉱区が全部認められなかつたということで問題があつたかと思うのでありますが、そういう問題は従来話合いによつて大体話がついておりますので、そういうものに対しまして、別にこの改正法律によりまして損害賠償しようというようなことは考えておりません。
  126. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 時間の関係もあるようでありますから、こまかい質問はこれ以上いたすまいと思つております。  ただ最後に希望しておきたいことは、先ほどから申しました通商産業局長のもとにおいて処理される委員会の構成でございます。この点に対しては、過去の委員会等で申し上げたように、その比率の関係やら他の省との関係やらで、なかなかいろいろ問題が起りまして、思うように行かない。また構成メンバーの出し方の問題によつてこれらがなかなかうまく運営されない。それからさらに役所の一つの風よけのためというか、防波堤のような形で実は委員会をつくつて、実質的には役所が独善的にやるというようなことが過去において繰返されて来ておるやり方でございます。よつて今度これによつてつくられる委員会は、そのような過去の弊が起らないように、それぞれの関係者がこれを信頼し、期待してまかすことのできるように、十分こういう点に対しては注意をして、過去における役所の独善的な、あるいは御用機関的な委員会でないというようなつくり方に対しては、特に通産大臣も、過去のことはおわかりにならないと思いますけれども、これらのものをつくつたのは今、私の申し上げるような弊害がほとんどの委員会にあるといつてもいいのでありますので、こういう点を通産大臣は特に注意をされて、そういう弊を再び繰返さないような委員会をつくられて、きわめて能率的な、明朗な委員会として運営のできるように十分目を注いでいただきたいということを一言希望申し上げて私の質問を打切ります。
  127. 大西禎夫

    大西委員長 他に御質疑はございませんか。
  128. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私はさきの質問に引続きまして、中共貿易の問題あるいは肥料、繊維についてお尋ねしたいのでございまするが、時間が限られているようでございまするので、緊急迫られた問題について一点だけお尋ねしたいと存じます。  それはほかでもございませんが、このたび政府の方でとられました毛製品リンク率の引下げの問題でございます。これにつきまして、御承知通り輸出入の業界では非常な恐慌を来しているということが繊維新聞のみならず一般の新聞にまでも出ていることでございます。これについて一体どのような理由でこういうことになつてつたのか、それから将来これに対してどうするか、あるいはこれから生じて参ります過去の輸出契約なるものがキャンセルに終つた場合に一体政府はこれに対してどのような責任をとろうとするのか、という点について承りたいと思います。  すなわち外国の毛製品輸入が、過去におきましてはOSS、SPSの独占になつてつたのでございますが、これが独立と同時に日本輸出入の商社に許されましたおかげで、バイヤーが日本市場を独占しておりましたものが許されなくなつたために、内地の消費者価格が引下げられて参りました。その上日本の毛織物及び毛製品の輸出振興の基礎となつたということで、これは貿易商社のみならず毛に関する製造業者がひとしくこの政府の態度に対して非常な喜びと歓迎をもつてこれを迎えておつたわけでございます。その後この制度によつて業界は非常に潤つてつたのでございます。従いましてたいへんいいことをやつてくれたというので、私野党でありましたけれども賛成しておつたわけです。ところがほんの内地のベイヤーの商社のサゼツシヨンのおかげでちよつと問題になりましたときに、さきの国会でこの問題について、将来ほんの商社のサゼツシヨンで日本の業者の輸入を禁止することがあるかないかということを私がお尋ねした場合に、そのようなことはないという御言明であつたと私は記憶しております。しかるにこのたび突如五月以降の毛製品リンクの外貨割当は全廃する、その上四月までの契約分に対しても四—六の船積みに限り四—九の割当の残額内で按分するというようなことになつてつたので、業界としては非常な恐慌を来しておるわけでございます。政府はさきにこの問題について補償しておつたはずなんです。ドル地域においては一〇〇%、ポンド地域においては九〇%の補償をしておきながら、今度の措置に出られますと大体その率が二〇%くらいに引下げられるのではないか、これが非常な問題でございまして、御承知通り、毛製品が輸入され、それが内地で販売された利益を、日本の毛製品を外国輸出する場合の出血の補填にされておつたことでよく御承知でございましよう。これが二〇%に引下げられてしまつて輸入がきかなくなり、すなわち出血補填の財源がここに失われるということに相なりますれば、当然今までの契約国に対しては出血輸出ができなくなりまするので、キャンセルという結果が生じて来るのでございます。このキャンセルの結果、大臣のお説きになります輸出振興とはおおよそ反対な結果が生じて参りまするし、業者にとりましても首つつて死ねどころか、せつかく得ましたところの海外市場に対して悪感情を抱かせる結果となり、やがては市場を失う、こういう結果が生じて来るではないかと思われるわけでございます。そこで今度化学繊維に非常に御努力あそばされて、これとても輸出しなければならぬでしようが、化学繊維もやはり日本の毛製品となつて出て行く場合があるでございましようけれども、将来に対してもこのためにキャンセルということを日本商社がやることによつて大きな痛手、悪影響をこうむるではないかと思考されるのでございます。そこでこういうような大きな影響を及ぼすことを何がゆえになされなければならないか。これにはきつと業者の指導育成を考えていらつしやる当局としては、何らかの理由があつたに違いない。そこでその点を明らかにされまして、ほうはいとして起つておりまするところの政府の策に対する反対の声に対する一服の清涼剤なりとも、この際出された方が当を得るのではないか、かように存ずるわけであります。そこで大臣さんにこうならねばならなかつた根本の原因を承り、詳細にわたつて繊維局長さんないしは通商局長さんから承りたいと存ずるわけでございます。
  129. 徳永久次

    ○徳永政府委員 はなはだ恐縮でありますが、私からお答えさしていただきたいと思います。今までやつておりました制度のあらましは大体御存じのようであります。けれども、もう少し補足して制度の趣旨から申し上げないとやめた事情がおわかりいただけないと思いますので、そこから申し上げたいと思います。  御承知のように、占領当時から日本に駐在いたします外人がふえて参りましたので、そういう人々の需要するであろう物資というものを、ある程度確保しなければならぬというようなことで、毛製品を輸入しておつたのでございます。先ほどお話がございましたように、占領終結前の間はOSSとかその他の店に輸入権が与えられておつたわけであります。その輸入の際に、輸入原価から国内販売価格に相当のもうけがあるというような事情がございました。それで先ほどお話がございました通り、占領の終了と同時に、この制度を切りかえまして、その輸入によつて国内に販売してもうけがあるならば、これを日本の毛製品の輸出振興に使おうじやないかというようなことで、この制度の切りかえをやつたわけであります。当時日本の毛製品は輸出金額相当少いのでございますが、なかんずく毛織物になりますと、ほとんどゼロといつてもいいというような状況でございましたので、それで毛織製品を輸出したら、ほぼ同金額の——これはドルとポンドで若干の差がございますけれども、ほぼ同金額の毛製品の輸入権を与えるという制度をやつたわけでございます。そういたしまして、やりました結果、その効果がだんだん出て参りまして、昨年の秋、暮れごろになりますと、だんだん調子がよくなりまして、こうなると、あの制度をいつまでも残しておくと、日本の毛の製品の輸出ができることはけつこうだけれども、それとほぼ同じ金額外国の毛製品を輸入しなければならぬということになるわけでございます。もともと起りは、ある程度毛織物製品を輸入することは、在日外人用の物資を確保する意味においても、また日本の遅れておる毛織工業の技術向上のための実物見本が手に入るという意味においても、けつこうであろうということで考えておりましたが、年間で七百万ドルぐらいと記憶いたしております。それくらいのものを予定しておつたのでありますが、一層伸びて来たものですから、だんだん伸びて来ますと、七百万ドルをふやさなければならぬ。こうなりますと、また七百万ドル輸入することによる利益を輸出振興に使おうとしたのですが、数量が無限大にふえることになりますと、この制度にも疑問が出て参ることになりますので、輸出振興はいいが、毛製品を輸出して、また同じ毛製品を輸入するのだということになりますと、問題がございますので、毛識物製品の輸出振興考えなければならぬが、制度としては別なことを考えなければならぬはめだ陥つて来たわけでございます。そこで私ども業界にいろいろと相談をいたしたのでございますけれども輸出の伸びておる状況等を見まして、今年の初めになりまして実は予告をいたしました。これは商売のことでございますので、注文をとる際には、先に輸入権をもらえるということになつているわけでしようから、その分が実行できないということになれば、今お話がございましたように、キャンセルの問題も起りましようから、今年の初めになりまして、この制度はどう見ても三月一ぱいぐらいしかできませんので、四月ごろから別なことを考えなければならぬ。少くとも率の軽減を考えなければならぬ。だから今の率はそのまま一年中続けて行くわけには参りませんということを実は予告いたしておりました。その後輸出がだんだん伸びて参つたものですから、予告通り中止せざるを得ないという状況になりまして、正式に中止いたしましたのはこの五月からということに相なつたわけでございます。それでただいま当面しております問題は、五月以降は別問題といたしまして、四月中にできました契約の分が実行されました場合に、従来の制度で約束しておつた輸入権というものを確保するための措置が起つて参りました。これが予想よりも実はオーバーいたしておりますので、七百万ドル以上輸入しなければならぬということになるわけですが、これはあまり歓迎することではありませんけれども、しかし一旦約束したものである以上、その約束に従つて、商社その他が輸出による犠牲と輸入による利益を勘定して商売しておられたわけであります。その方々に御迷惑をかけるわけには行かないということで、毛織物製品のわくをふやすか、あるいはその損失を他のものの輸入で補うか、この辺につきましては、目下通商局におきまして、私のところもお手伝いしながらいろいろと善後措置考えつつあるわけでございます。ともかく一旦約束して、打切り以前に起りました契約が実行されました場合には、約束通りのことになつて、御迷惑をかけないという線は貫きたいというふうに考えております。  それから第二の問題は、その制度をやめるとしますと、毛製品の輸出をどうするかという問題でございますが、今まで毛製品の輸入の利益を輸出の補填に充てるという制度でうまくすべり出しておつたのでございますが、これは今の程度でほつておいていいわけではございませんので、もつもと伸ばさなければなりませんが、そのためには私ども考え、現に励行いたしております事項は、紡績業者に対しまして毛製品の輸出をしたならば、その輸出金額の一七〇%、輸出金額の一・七倍の原毛の輸入権を差上げるという制度をやつておるわけです。これは金額で一・七倍でございますが、リンクの割合で数量に計算いたしますと約二・五倍、輸出した品物のうちに使つたであろう原毛の量に対して二・五倍の輸入権を上げるというような制度でございますが、この制度を今先ほどの制度の中止と引かえに実施いたしております。そしてその輸入による利益といいますか、輸入権を紡績だけでなしに商社も機屋もある程度のわけ合いが持てるようにということで輸出に努力していただく、紡績もそれから織布業者もまた商社もそれぞれの人に努力していただかなければいけませんので、そういう方々の努力にある程度報いるように輸入権の配分を考えておるわけです。それが現在とつております制度でございます。  さらになお私どもといたしましては、目下これはまだもうしばらくの御猶予をいただきたいと思いますが、これだけの制度で毛製品の輸出振興ということが十分であろうかどうかということにつきましては、若干の疑問を私どもつておるわけでございます。と申しますのは、毛製品の全体の輸入、それから輸出との割合を考えてみますと一億五千万ドルから七千万ドル輸入いたしまして、輸出がおととしで特需を含めまして四千万ドルくらいのところで、去年はそれが去年以前よりは減つております。そういうことでかせぎが少いというような事情にございますので、もう少し輸出に対する馬力をかけまして、業者が馬力をかけるような制度を打出したいというふうに考えておるわけでございます。これは目下私どもの繊維局内の議論の仕上りができておりません。あらかた荒削りができた程度でありまして、なお通商局その他とも相談して仕上げたい。しかしいずれにしましても、そう時間がかからないうちに、ここ一週間か十日ごろの間には仕上げたいということで今せつかく立案中であります。  以上が今お尋ねの問題で、廃止の事情は今のようなことでございますが、廃止に関連いたしまして、その善後措置の問題が二つあるわけでございます。実は業者の方に損失をおかけしないように、廃止するにかわるよりよい制度をどうするかという問題の概要を申し上げたのであります。
  130. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大体わかりました。これについて大体の概略はわかつたようでございまするけれども、私にはまだ納得できぬ点がある。これはおそらく専門の繊維局長さんもおわかりだろうと思います。それだけ承れば通商局長から承る必要もございませんですが、ここにぜひ考えておかなければならぬことは、かりに毛製品に限らず、自動車に限らず、時計に限らず、万年筆に限らず、日本人の趣味というものが、このメイド・イン・イングランドというものに非常にあこがれを感じている、こういう状況下において当然必要とされておりまする必要物資を、正式ルートから輸入されることを禁止した場合に、当然起り得る結果をどう処理するかという点について、はたしてお考えになつていらつしやるでしようかどうでしようか。それからこれは、私はこういうことをやればまたぞろやみ輸入がふえまして、そうしてそれ専門にやり得るOSS関係外国関係の業者のみを太らせてしまつて、銀座あたりの店の資本は全部外国人に握られてしまう。現にそうなりつつある、大阪の心斎橋筋でもそうなのだ。そういう結果が生じて来るではないか。これに対してどのような対策を講ぜられるかということが第一点。  次に技術振興の意味で技術のすぐれたところから実物を輸入しなければならぬということでございますけれども、この機械だとか薬品のように試験管の中で振つて調べたらわかる、あるいは一台、二台でテストしてみればわかるというものならば、これは少量輸入にとどめるほどよろしいでございましよう。しかしながらこの衣食住の中の、特に衣というものは外国製品を着て歩くことによつて初めて内地の業者を刺激するということになつて来る。自分たちの利益が侵害されるというところまで持つて行つて、初めて今あなたがおつしやつたように業者に馬力をかけるという原因が生じて来るわけなのである。それをやらせずにおいて、これを禁止して、一体どのようにして業者に馬力をかけさせようとするのか、この点をもつと実地に適した、実地に相マツチした方法をあと一週間ですか出されるならば、よくお考えでございましようけれども、それをよく考慮に入れてやつていただきたい、そう思うが、用意があるかどうかを承りたい。  それから次に輸入権、輸出した報奨用にこの一七〇%の輸入を認める。その原毛が認められる。それを紡績業者にやらしていたというのでありますが、これはけつこうなことでございますけれども、私が今日非常に遺憾に思つている点は、日本の毛製品についてはコスト高ということでございますが、これが輸出商売の最大障害である、技術は決して劣つておりません。はつきり申し上げますが、市販確保の面と原材料の選択を一誤らなければ、決して日本の毛製品の技術はイギリスに劣つておると私は考えません。比べてみたつてメイド・イン・イングランドと名前をつけさえすればけつこう幾らでも間違いなく売れて行く。外国でもそうだ。劣つている点はやや仕上げの点に一部ございますけれども、にもかかわらずコスト高のおかげで輸出が阻害されておるというコスト高の原因が那辺にあるかと、こういう問題、これはだれに聞いたつて、業界にいる者ならば、機場であろうと、輸出業者であろうと、糸屋であろうと、今日の原因は原料高の製品安なんだ。だからこそばたばたと機場が倒れて行くのです。この原料高の原因はどこにあるかといえば、限られた紡績の、いわばカルテルに似たあのやり方にあるのです。いわば紡績がもうけている、こういうことなんです。それは戦前の紡績のもうけ方に比較すれば、いやそうじやないということも言えるでございましようけれども、今日占領のような態度がまだ続いておりまするこの状態下における利益率の分配は、何としても紡績が多い。機場と輸出業者はそのために出血して行かなければならないし、銀行管理を食わなければならないし、やむなく、泣くなく不渡りを出さなければならぬ、こういうことなんです。そこでそういう矢先に紡績業者にのみ紡績用の原毛の輸入の権利が割当てられるということや、紡機の台数、自家用の織機の台数によつてそれが割当てられているというこの行き方については、すでに業界から大きな非難があるということを、大臣さんもほかならぬ大阪の御出身でございまするから、よく御存じでございましよう。これをまたぞろ三者分割の按分率とおつしやいますけれども、この権限を紡績にゆだね、法律によつてだれが何パーセント、だれが何パーセントとぱしつときめても、なおこれは何といつても原料を握つているところが強いのです。そこであなたのおつしやいましたように、三者に分割して、紡績業者のみならず、機場のみならず、輸出業者にまで馬力をかけさして輸出振興をはかろうというその親心をほんとうにわからせ、ほんとうに徹底させるには、どうしても通産省が権限をもつて何がしの方策に出ないことには、とうてい何とすることもできない。そうすれば輸出振興はおろか、毛製品の輸出についてはジリ貧の道をたどらなければならないということは、私のみならず、これに携わる方々のひとしく指摘するところであり、銀行業者までがそう言つている。これに対して、私は政府の態度あるいは繊維局の態度を難詰するものではございません。ぜひひとつ、このほんとうに手形に困つている機場、出血輸出を余儀なくされ、その補填をみずから働いた輸入の余力によつて補わなければならない状況下に置かされておりまする輸出業者、輸出商社、こういうものに対し、ほんとうに親心を示す態度をこの際実行に移していただきたい、かようにお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  131. 徳永久次

    ○徳永政府委員 お尋ねが二つございましたが、第一に毛製品の輸入をやめてしまうのじやないかということ。毛製品の輸入については先ほど申しました言葉が足りませんでしたが、ことしは予算を超過し過ぎたので、あの制度が続けられないという意味でございまして、超過し過ぎたということは、現実に契約が実行されました場合には輸入権を与えるわけでありますから、予定しているだけのものは入るというわけでございます。来年になりまして、何がしかの毛製品の輸入が行われるという場合に、それをどうやつて活用するかという問題は残された問題でありまして、終戦当時のようなことにならぬように——今の制度そのままでは動きがつかないと思います。それが輸出振興に役立つような使い方はしたいということは考えております。  それからもう一つお尋ねがございました、羊毛工業が糸高の製品安というようなことになつて、紡績がなまけておるのではないかということでございますが、ごく最近の糸価の状況がさような経緯をたどつておることも、毎日の新聞の相場欄に出ておる通りでありまして、私どもも非常に困つたことだと考えておるわけであります。ただその中に現状不安というようなことが反映してきめられておる、需給関係に現状不安という要素が働いてそういう糸価を形成しておるというふうな面が大部分であるというふうにいろいろな人から聞かされておるわけでありますが、私ども今現状不安の問題に対しましてはできるだけの必要原料を確保するごとく努力いたしておりまするし、またそのつもりでいるわけであります。ということは、同時に先ほど申しましたように、毛織工業というものが輸出の量が少いという悩みを持つておりますので、私ども通商局その他に原料の輸入をお願いするにしても、私の方ではこれだけのことをまさにやらんとし、やるのだという輸出振興に対する熱意をまず示し、それを業界において受取つて実行してもらうということが一番大事なことじやないかというふうに考えまして、その実行案を考えております。先ほど申し上げました一七〇%のリンク・リストという制度も、他の物資に比べますと相当優遇された制度かと思いますが、もう少し馬力をかけたいというふうに考えております。
  132. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 繊維局長さんの御苦衷と御努力は感謝にたえないところでございますが、お言葉のうちにあります現状不安の原因というものが、輸出不振、先行き不安ということですね。このおかげで一層拍車をかけて行くということなんですよ、これは言葉のやりとりになりまするけれども。だからこそその輸出振興のための輸入はこの際行つた方が、一層おつしやる目的にもよくマッチするではないか、その点は私は今でもそう思つている。いずれ繊維につきましては、この繊維だけを取上げまして、いろいろまた御質問申し上げるなり御指導を仰ぐなりいたしたいと思つておりますが、きようはこの程度にいたします。
  133. 大西禎夫

    大西委員長 それでは本日はこの程度にいたし、次会は明後日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十分散会