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1953-08-06 第16回国会 衆議院 懲罰委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月六日(木曜日)     午前十一時四十一分開議  出席委員    委員長 森 幸太郎君    理事 鍛冶 良作君 理事 高橋 英吉君    理事 河野 金昇君 理事 古屋 貞雄君    理事 中村 高一君       有田 二郎君    尾関 義一君       川村善八郎君    田渕 光一君       高橋  等君    永田 良吉君       長谷川 峻君    三和 精一君       山中 貞則君    高橋 禎一君       中野 四郎君    野原  覺君       山田 長司君    井伊 誠一君       池田 禎治君    中村 時雄君  委員外出席者         議     員 田中  元君         議     員 長  正路君         議     員 伊藤卯四郎君         議     員 森 三樹二君         議     員 小林  進君     ————————————— 八月六日  委員荒舩清十郎君及び田渕光一辞任につき、  その補欠として高橋等君及び尾関義一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員尾関義一辞任につき、その補欠として長  谷川峻君が議長指名委員に選任された。 同日  理事有田二郎君の補欠として鍛冶良作君が理事  に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  議員篠田弘作懲罰事犯の件  議員森三樹二君懲罰事犯の件  議員長正路懲罰事犯の件  議員伊藤卯四郎懲罰事犯の件     —————————————
  2. 森幸太郎

    森委員長 会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事有田二郎君より理事辞任の申出がありましたが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森幸太郎

    森委員長 御異議ないと認めます。よつて辞任を許可することに決しました。  その補欠を選任いたさなければなりませんが、先例によりまして私から指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森幸太郎

    森委員長 御異議ないと認めます。委員長鍛冶良作君を理事に指命いたします。     —————————————
  5. 森幸太郎

    森委員長 議員長正路懲罰事犯の件、議員伊藤卯四郎懲罰事犯の件を一括議題といたします。田中元君より懲罰動議提出理由について説明を求むることにいたします。田中君。
  6. 田中元

    田中元君 私は、同僚議員でありまする長君と伊藤君の懲罰提案をするという悲しむべき事態に対して、まことに心から残念であるということを、まずもつて申し上げたいと思うわけでございます。  実は、七月三十一日の夕刻、私ども自由党の北海道の代議士会をやつておりまする席上、いろいろと予算委員会模様等を承りまして、私と篠田君とが、それではひとつ行つてみようということで予算委員室に入つたわけでございます。私はうしろから入りまして篠田君は委員長席の方へ行つてつたようでございますが、私は、ちようどまうしろの分自党木村武雄さんやあるいは高木松吉さん等々と、いろいろと予算委員会模様等につきまして雑談まじりてお話をしておつたわけてございます。その間いろいろな問題が篠田君等にあつたようでございますが、私は、篠田君の方の問題については、当懲罰委員会皆様方の御審議中でもあり、私としては木村先生高木さんといろいろな雑談をまじえて話しておつたわけで、その方のことはあまり気がつかなかつた。笑い声が聞えたような気がしておりましたが、予算委員会の問題に限らず、ほかの問題等を話しておりましたので、そういう問題につきましては私はあまり気をとめなかつたわけでございます。  ところが、突然大騒ぎになつたものでございますから、見たところが、あの調子であつたわけでございます。そこで私は、上着をとりまして進んで参りまして、ぜひどうぞひとつやめてもらいたい——私の声が泣き声に聞えたということを皆で言つているそうでございますが、本来こういう声でございますので、やめてもらいたいということをしきりと言つたわけでございます。  元来私どもとしましては、その当時の事情にうとかつたかもしれませんけれども予算委員長を軟禁し、拘禁しておつたということに対しては、これは相当な問題があるのじやないかというふうに、篠田君も義憤を感じ、私自身もどういうわけでこういうことをしているのだ、これ自体国会にとつておかしいことじやなかろうかということで実は与党議員としては相当な義憤を感じてあの席に入つて、分自党皆さん方に一体どういうわけなんだということを私は大いに言つてつたつもりでございます。本来、こういう姿に対しても、もちろん議論がたくさんあるだろうと思うし、また、こういう問題についても考えてみなければならないと思うのでありますが、あの篠田君が俗に言われておりまする乱闘を続けておりまするときに、多くの野党の各議員方々もその雰囲気に負けて、相当な乱闘を続けられておつた。私は、こういう場合には、けんかをよせ、あるいはこういうことをやめろというように、お互いにやめさせる方向をとるべきであるのに、かえつて篠田君の頭をけつ飛ばしたり、あるいは相当篠田君に対して挑発的な暴力を振つてつたことを、私はまのあたり見たわけでございます。そして、相当激昂なさいましておやりになつてつた。私は、この方々はだれでしようかということを承りまして、その方々に対して私は懲罰動議を提出したわけでございます。  篠田君の問題に関しましては、この懲罰委員会において慎重御審議なさつて、その結論を出すでございましよう。しかし、篠田君のやつた問題それ自体がここにかけられると同時に、私は、国会議員として、——ああした場合におきまして、野党方々にも相当気分をこわされて大いにやられるという雰囲気は別でございましようけれども、ああいうふうな集団的な暴行をするということに、私は、国会議員として悲しむべきことではなかろうかと思う。議論の府であり言論の府でありまする国会である限りは、いかなる場合であつても、たとい片方がなぐられても、そうした場合にそういう暴力を振つたり、あるいは守衛けつ飛ばすというようなことをすることは、私は党派を超えて、ほんとうに悲しむべき行動でなければならぬと思う。私は、このお二方に対してはまことに申訳ない、懲罰は私自身気持においてはお気の毒だと思いますけれども民主国会を守つて行く意味におきまして、どうしてもこの方々を見のがせず、国会のあり方から考えてみましても、一応懲罰にかけなければならないことを悲しむと同時に、この点を皆さん方に申し上げたいと思うわけでございます。  どうか皆さん方は、これをきつかけとして、さらに各党派を越えて、かような問題の起らないことを私は心に念じつつ、両者に対してはまことにお気の毒でございますが、一応私の理由説明といたしたいと思うわけでございます。
  7. 中村高一

    中村(高)委員 今田中さんから提案理由説明がありましたけれども、具体的事実としてどういうことがあつたから懲罰にかけられたのか、具体的な事実があるのならばお示し願いたい。
  8. 田中元

    田中元君 篠田君が皆さん方に押されてやつて参りまする過程において、頭をなぐられたり、けつたりせられた方は、私はこの両者だと断定しておるわけであります。(「断定じやだめだ」と呼ぶ者あり)私はその場におつて見ておりましたから、あのときにおられた人は皆さんかけるべきだと思いますが、ともかく数が多いのですから……。(「皆さんじや、わからない」と呼ぶ者あり)あのときのニュースでもごらんになつたらおわかりになる通り……。     〔「野党諸君じやないか」と呼び、その他発言する者あり〕
  9. 森幸太郎

    森委員長 私語を禁じます。
  10. 田中元

    田中元君 野党諸君という言葉を使えば、また中村君のように一生懸命とめて助け行つた方もございましたし、そういうことは私はよくわかつております。盛んにけられてなぐられた方の代表者二人を私は出したわけでございます。
  11. 森幸太郎

    森委員長 田中君にちよつとお尋ねしますが、たくさん議員があつて野党与党入り乱れておつたようでありますが、特にあなたが大勢の中から長君と伊藤君を指名して懲罰動議をお出しになつたその理由を、もう少し詳しく御説明願いたい。
  12. 田中元

    田中元君 与野党と申しますが、与党ではおそらく私と、あと三役が何か委員長と話をしておつたようでありますが、私一人だつたわけでございます。そこで、そばにがたがた人が固まつておるところへ、あの人とあの人はだれだということを私の隣におる……(「具体的に言えと」呼ぶ者あり)私は、具体的にいうと、夢中になつておりましたから、議員の方に聞いたら、あれは長君と伊藤君だということを言われたので、私はそういう頭を持つておりました。
  13. 森幸太郎

    森委員長 あなたが長君、伊藤君を確認せられずして、そういう話があつたから長君、伊藤君と思つたのですか。
  14. 田中元

    田中元君 そうじやなく、私はやつておる場所を見ておつて名前を明いたわけです。私自身つて夢中です。これはその場におつてとめなければならないということも一面であつたが、ああいうときですから、あの様子皆さん方ごらんになるとおわかりの通り——私は中村君が一緒にやつた思つていたら、中村君は助けに来てくれたということで、中村君と守衛一緒に出て行つてくれたということを、私は様子を見ておつたわけです。あの状況ごらんになると連続的なものですから、これは一回なぐられたから一回なぐり返したという問題でございませんし、あの雰囲気そのものは別だと思います。
  15. 森幸太郎

    森委員長 これにて動議提出説明は終つたものと認めます。これに対する質疑は一応あとにまわしまして、ここに長正路君が御出席になつておりますから、一身上弁明を許します。
  16. 長正路

    長正路君 ここで一身上弁明をさしていただきます。  ただいま提案理由説明を私もここでお聞きしておりまして、どういう理由で私が懲罰委員会に付せられるのか、私自身もよくわからない、御説明を聞いてもなおわからない状態であります。しかしながら、三十一日の夕刻予算委員会の席上でああいう乱闘事件があつたことは事実でございます。私もその渦中におつたことも事実でございますので、その渦中の一人として、私は国会同僚議員皆さん方に御迷惑をかけたという意味において、この席上で皆さんに心からおわびを申し上げたいと思うわけであります。  そこで、私がどういうことをやつたかということですが、当時の状況については、昨日篠田君からお聞きになり、あるいは各委員から御説明もあつておろうと思いますが、私が確認しておる状況で申しますと、まず篠田氏が予算委員会の席上に突如として入つて参りました。当時の予算委員会の空気と申しますか、状況というものは、きわめて平静な状態であつたわけであります。もちろん、何時間か前に、委員長小便に行くとか行かぬとかいうことでもめたあとではありますけれども篠田君が入つて参りました当時の状況は、少くとも予算委員長はいつ便所へ行つても、だれもこれを抑圧したりとめたりしない、そういうきわめて平静なときに突如として篠田君が入つて参りました。そうして酒を飲んでおつたか飲んでおらなかつたかは、これは本人でないからわかりませんけれども、少くともわれわれが見た目は、赤い顔をして、ちようど酒を飲んだと同じような状況で、いささか興奮ぎみで入つて来ております。そうして、委員長を軟禁するとは何事か、小便にやらぬとはけしからぬじやないか、お前たちに委員長小便をひつかけてやる、こういうような暴言を吐いたわけです。皆これに大した応酬もしないし、むしろ笑殺している態度であつたと思うのです。それからさらに言葉を継いで野党の二十人や三十人はおれ一人で相手になつてやる、くやしかつたら出て来いというような暴言篠田君が吐いた。これは少くとも常識をわきまえた者であつたならば噴飯ものでありますから、皆異口同音に笑つた、笑うと同時に非常な興奮をした。そこで、春日君が、酒を飲んでこういうところへ来るとま何か、こういうことを発言したとたんに、篠田君が春日君に突進して行つて、そして事件が始まつた、私はこう見ておるわけです。春日君の方に向つてものすごい勢いで、灰ざらをつかんで突進して行つたので、これは春日君非常に危機に瀕したと思つて、私はかけつけて行つたわけです。  大体私は、春日君とは同じ党派議員であるばかりでなく、個人的にも非常に親しい間柄でありますし、また自由党篠田君もよく知つておる間柄でありますので、この二人の間であそこで灰ざらをもつてやり合うようなことはさせたくないという気持が私にあつたわけです。そして、これはとめてやろうという気持で向うに飛んで行つた。私は当時テーブルの上に乗つておりましたが、どうしてテーブルに乗つたかは、私ははつきり自分記憶がないのであります。しかし、おそらくああいうまんまるくなつてつておりますときでありますから、これをとどめるには高いところから飛び込んでとめるのが一番よかろうという判断をして、私は机の上に上つたのだろうと考えておるわけであります。昔からかさ屋小僧が骨を折つてしかられたという言葉がありますが、私は、先ほども申しますように、春日君も親友であるし、篠田君もよく知合いの間柄であるし、これをとめようという気持で中に割つてつた。そして、足げにしたかどうかについては私は記憶はつきりしない。写真を見て、そういう状況があるからこれを足げにしたというふうに考えておられる方があるかもしれないが、これは私が上から飛びおりてとめようという状況であつた本もしれない。その点、私も夢中になつておりましたので、足げにした、しないについては自分ではしたとは考えておらない。  それから先はどうしたかというと、私は、一度飛びおりてころんで、テーブルの横に倒れた。倒れたときにはすでに灰ざら春日君の方向に向つて投げられて、たしか中澤茂一君かだれかがこの灰ざらを受けて傷を受けたと思います。それから私は立ち上つて篠田君を取押えた。篠田君は無我夢中になつてあばれておりますから、これを取押えることが先決問題だと考えて、篠田君の首をつかまえてこういうふうにして押えたのです。その押えたときには私もしりもちをついておつた。そしてしりもちをついたまま篠田君の首を押えておつた。押えたり、たたいたり、けつたり、そういう器用なことはできるものではないので、私は終始一貫押えて、少くとも篠田君には指一本さしておらないということだけは、はつきり自覚をしておるわけです。そういうふうにして、私はあばれておる篠田君を取押えた。けつたり、なぐつたりは人がしたことであつて、私は知らない。要するに取押えた。取押えただけでこれが懲罰委員会に付せられるということは、これは、かさ屋小僧が骨を折つて主人にしかられると同じことだと、私自身は考えておるわけであります。たとえば、血に狂つたあばれ馬が、座敷の中に飛び込んで来て、これをだまつてはうつておいたならば、家ももちろんこわれてしまうだろうし、人もけがをする、そういうあばれた馬を要するに、取押えたにすぎないのであります。当時の状況のもとにおいては、そういうことでございますので、各委員の御了承をお願いしたいと思います。  なお、当日の事件について、全体が国会権威を汚すような、そういう問題であつたことについては、私も、大いに自粛自戒をして、今後議会権威を高揚するために努めて行きたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
  17. 森幸太郎

    森委員長 長正路君の弁明に対する質疑あとまわしにいたします。長君の御退席を求めます。適当な場所で傍聴されるのはさしつかえありません。  次に、伊藤卯四郎君が出席になりましたから、続いて一身上弁明を許します。伊藤卯四郎君。
  18. 伊藤卯四郎

    伊藤卯四郎君 事件の結果についてだけ、いろいろ議論をされおるようでありますが、私は、同僚各位にお聞きを願いたいと思つておりますことは、なぜ、だれがこの導火線をつくつたか、導いたかということを、冷静に御判断を願いたいと思うのであります。  あの予算委員、会が開かれました当時、御承知のように保安隊の問題、MSAの問題、再軍備の問題等が、この国会で最大の政治上の重大な問題として、なお割切ることができない状態にありましたので、野党各派から政府側質問要請をしまして、三十日の日に再開されまして、五人のそれぞれの党の代表者質問を展開することになつていたのでございます。最初に芦田さんがやり、その次に和田さんがやり、そういうことで質問が行われておりました当時、芦田さんが行われて、委員長は、理事相談をされて、その結果によつて暫時休憩をされたのでございます。その次に和田博雄君がやられてから、委員長は、今度は理事に諮らないで独断的に休憩を宣せられたのであります。  そこで、問題が紛糾しまして、当時の尾崎委員長に、なぜ独断で休憩を宣するかということが問題になつたのであります。ところが尾崎委員長は、政府が所労で休憩をしたのであるから、政府出席さして、質問を行わしめたらいいじやないか、再開したらいいじやないかと言つて尾崎委員長は非常に興奮されていたのであります。それはそうだということで、それなら自分政府側を迎えに行つて来ると言つて、当時の尾崎委員長は立たれた、ところが、聞くところによると、吉田総理大臣は、衆議院の表玄関から、いずれにか行かれてしまつた尾崎委員長も、政府側つれに行くと言つてどこかに行方不明になつた、そういうことで、野党側の方で、なお質問の残つておる方では、委員長政府側に一ぱいかけられた。大体委員会運営を円満にするためには、理事会に絶えず諮りながらやつておることは、お互い知つて通りであります。ところが、そういうことでペテンにかけられたというので、問題が残つたわけでございます。  ところが、その翌日皆さん承知のようなことになりまして、そこでまた尾崎委員長が、紛糾しておるところに、委員長席からおりて、いずれかに行こうとされておつたのであります。そこで私は、そういうことがなお繰返されるならば、また議場が非常に紛糾してはいかないというところから、尾崎さんに、あなたがお立ちになるのならば、またきのうのような紛糾が起つてはいけませんから、御相談をされて、理事でも代理に置かれて、よく話合いをしてお立ちになつたらどうかという相談をしていたのでございます。そこで紛糾いたしておりました。ところが、あと尾崎さんが、自分小便に行きたいんだと言われておりましたから、ちようど木村武雄君が横におりまして、小便に行くということなら、それは行かなければならぬというので、私と木村武雄君とで小便所におつれをしたのでございます。その当時自由党羽田武嗣郎君も一緒でございましたが、私と木村君に握手されて、ほんとうにありがとうと言つて、礼を言われておりました。それから尾崎さんも、お聞きになればわかりますが、ありがとう、ありがとうと言つて、何回か繰返して私ども礼を受けたのでございます。  そういうことが私どものありのままの姿でありましてそうして今度は、もうこの予算委員会の中はきわめて平和になつて、皆がじようだんを言つていたのでございます。その当時自由党の方で予算委員会開会について幹部会を開いているという話がありましたので、尾崎さんにも、あなたもお行きになつて、まとめられたらどうかという話もしましたけれども尾崎さんは、もうその当時別に委員長席から立とうともされなかつたのでございます。そういうことで、皆が談笑裏に、自由党の方から何か開会に対するまとまつたものが来たら開会をするか、あるいは休憩するか、とにかくそれを待つていたところであります。  そこへ篠田君が何を誤解されたか、血相かえて入つて来たわけでございます。そうして一人で非常にたんかを切りますので、そこにおりました皆はこれを笑つていたのでございます。あるいは皆が笑つていたから、なお興奮して、しやくにさわつたのか、それは知りませんが、私はそうでなかろうかと、いまなお思つておるのでございます。ところが、酒を飲んでおられたかどうかは私どもは知りませんけれども、非常に興奮して、顔が赤くなつて、一人でむちやくちやに怒つておりましたから、皆は笑つている。そこで今度、春日君であつたと思いますが、酒を飲んで来てそういうことを言うのは、けしからぬじやないかというような言葉がありました。そうしたところが、何を、というので、飛びかかつてつたことは、当時傍聴されたお方もおられることと思いますから、御承知であると思いますが、まるで猛獣が獲物に飛びついて行くような勢いで、春日君に飛びついて行つたのでございます。  それ以後というものは、そこで混乱に陥りましたから、だれがどういうことをやつたかということは、さつき田中元君が言われておりましたように、これは私は何人でもよくわからなかつたろうと思います。私もやはり年をとつている者の一人として、その問題に対していろいろあつせんしておつた一人として、何とかそういうことで、より以上混乱に陥れてはいかないというので、割込んで行つて、私も何とか中に入つてとめてやろうということで、自分の全力を尽してあつせんしたことは事実であります。しかし私には、篠田君をなぐらなければならぬという理中は何もありません。まただれをなぐらなければならぬという理由も、私には何もありません。ただ、問題がそういうことで、灰ざらを投げて割れる、水さしが割れるという状態になつている。そういうことをそのままにしておくことは、けが人でも出したり、いろいろ問題がより以上に重大化してはいけないという心配の余りに、飛び込んで行つて、何とか割込んでその状態をとめようというので、精一ぱいに努力をしたつもりでございます。  私は、自分としてはそれ以上に記憶もなければ、また何もありません。私は、皆さんに御判断を願いたいと思いますことは、尾崎委員長の問題についても、私は羽田君初め尾崎委員長からも感謝をされておる。なおまた、篠田君の問題についても、精一ぱい自分がとめたということが何でいけないかということを、私は心外にたえません。むしろそういうことを論ずるならば、予算委員会において、五人の質問者中二人しかやつておらないのであるから、あとの残りの三人になぜ質問をやらせなかつたのか、政府がなぜもつと国会運営に対して熱意をもつて、誠実に国会に対する義務を尽されなかつたかと、私は言わなければなりません。それさえやつてくれるならば、あの二日間にわたる混乱も何もありません。その責任を感じておられるから、尾崎委員長もおやめになつたことは明らかである。また、吉田内閣が、民主議会運営上そういうことをやつたことはいけないと思われておるから、さらに明日また予算委員会を開いて、質問戦を行おうとしておるじやありませんか。この事実を私は知つていただきたいのでございます。できた結果の派生的なことだけを論じないで、根本的に何がかくさせたかということについて、私は、民主的議会運営のために、同僚各位が冷静な気持でこういう点の御判断もお願いしたいと思うのでございます。  私は、今日この懲罰委員においでになつておる皆さんよりも、私が一番年が多い。もう皆さんが押せば私はひよろひよろしておる者でございます。この私が、一体そういうようなことをやるかやらないか、これは常識で御判断ください。そういうことよりも、むしろ、私が申し上げるように、よく骨を折つた感謝こそしてもらつても、私は懲罰に付せらるべき何らの事由がありません。私ははなはだ遺憾にたえないと存じております。  以上がありのままの真相でございますから、ひとつ冷静に皆さん方のおさばきをお願い申し上げます。
  19. 森幸太郎

    森委員長 伊藤君の弁明に対する質疑あとまわしにいたします。  次に、田淵君が今ちよつとからだのぐあいが悪くて、委員長室で寝ておられます。それでありますから、午前はこの程度に終りまして、午後一時から再開することにいたします。御了承願います。  暫時休憩いたします。     午後零時十四分休憩      ————◇—————     午後零時十四分休憩     午後二時十四分開議
  20. 森幸太郎

    森委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  議員森三樹二君懲罰事犯の件を議題といたします。鍛冶良作君より、懲罰動議提出理由について説明を求めることといたします。鍛冶良作君。
  21. 鍛冶良作

    鍛冶委員 提出者の田淵君が、病気のためにどうしても趣旨弁明ができないそうでありますから、私がかわつて趣旨弁明をさせていただきます。議員は、国権の最高機関たる国会の構成員でございまして、国民の模範たる行動をなし、その品位を高めなければならぬことは言うまでもないことと考えるのであります。しかるに、去る七月三十一日の本会議場におきまして、会期延長が議題となり、議長開会を宣言して、その趣旨を述べようとすると、議員森君はましらのごとく議長席の前に走り込みまして、遂に暴力をもつて卓をたたき、しまいには議長の前にありましたマイクをこわしました。そのために、議長の宣言が議場に徹底しないという、まことに情ない状態に陥つたのであります。かような行動は、議員としてまことにあるまじきことと心得ます。ことに、その目的は議事の妨害であります。何とかして議事をやらせまいとする目的のために、かような行動に出られたことは、議員として許すべからざる行為だと考えます。  この意味において、国会法第百十六条、衆議院規則第二百三十八条等によつて懲罰に付すべきものと考えますから、ここに懲罰理由といたします。
  22. 森幸太郎

    森委員長 鍛冶君に対する質問あとまわしにいたしまして、本人森三樹二君が御出席になつておりますから、この際一身上弁明を許します。森三樹二君。
  23. 森三樹二

    ○森三樹二君 ただいま自由党鍛冶君より、私に対しまして懲罰動議提案理由説明がございました。私は、拝聴いたしておりまして、まことに了解に苦しむものであります。私は、当委員会自由党より懲罰動議が提出されましたことにつきまして、先般来、その理由のいずこにありやを、実は非常に了解に苦しんでおつたのでございますが、本日鍛冶君より提案理由をお聞きいたしまして、私は、自分の信じておりましたことが明確になつたよう気持をいたしております。と申しますのは、去る七月三十一日の本会議におきましては、ベルが鳴りまして、開会の知らせがありましたので、私どもはだだちに本議場に入りました。そのとき盛んにベルは鳴つておりましたが、いまだ議場に入らない諸君は、右派社会党、分自覚あるいはわが党におきまして、多数あつたのであります。従つて私は、ふだんのように、ベルが鳴つてそれから開会するものと思つておりましたところが、とたんに議長開会を宣しまして、議事を進行せんとしたのであります。このときにあたりまして、わが党の議員山本幸一君より議長に対する不信任の動議が提出せられ、その不信任動議の書類は大池事務総長の手元に届けられたのであります。従いまして、不信任案が上程されました以上は、堤議長は、職権をただちに停止いたしまして、副議長に交代すべきものでございます。私は、この意味におきまして、とつさの間に、この不信任案が上程せられたせつなにおいて、議長はみずから職権を停止して副議長に交代しなければならぬということを、堤議長に対しまして私は要求したのでございます。これは、国会法に響きて、当然われわれがしなければならない義務であつたと、かように現在でも確信をいたしております。ただいま鍛冶君から、議事の運営に対してこれを妨害するがごとき云々とございましたが、私は議事を進行することにつきまして、協力こそすれ、妨害する意思は毛頭なかつたのでございます。  私は、昭和二十三年懲罰委員長に当衆議院において任命せられまして、懲罰委員長をやりました。国会議員がその職権を行使するには、もちろんその良識により、みずから国会議員として恥ずべき行為をしてはならないことは当然でありまして、爾来私は議員の行動につきまして実に注意をいたして参つたのでございます。しかるに、従来の例を見ますと、ややもいたしますと、ある政党より懲罰動議が出ますと、その懲罰動議を出されました政党は、反対にその懲罰動議を出した政党の議員をねらい撃ちいたしまして、そして懲罰動議を出すというような非常な悪例があつたのでございます。本件がはたしてそうであるかどうかは、私は今それを判断することはできませんが、私は、そのような従来の慣例というものは、非常に嘆かわしい国会の姿であつたと考えております。この意味におきまして、私は何ら議事の進行を妨害したことはない。しかも、先般八月一日の晩に、自由党に所属する松山義雄君が私に会いました時に、森君、君に対して懲罰動議自由党から出しておるが、ぼくは反対したよ、君に対してあのようなことで懲罰動議を出すということはぼくは反対だということを、明確に自由党所属議員の松山義雄君が述べられました。そのほか、私は自由党の多数の議員諸君から、自分の方から出したところの懲罰動議というものは、不当なものであるというようなお話をしばしば聞いております。私のやつたことは、議長の不信任案が出たことによつて議長がただちに職権をみだすから停止し、原副議長にその職権の行使をかわつてもらわなければならないにかかわらず、あえて国会法を無視して堤議長が職権を続行したことによるものであるということが、私は明確に自由党の諸君によつても証明されると思うのであります。  この意味におきまして、私は、私の良心で判断いたしまして、私の七月三十一日の夜の本会議においてとりました行動は、私の議員としての当然行うべきことだつたと了解しておる次第でございます。各位の公正なる御判断をお願いいたしまして、私の釈明にかえたいと思います。
  24. 森幸太郎

    森委員長 森三樹二君に対する質疑あとまわしにいたします。
  25. 森幸太郎

    森委員長 これより議員篠田弘作懲罰事犯の件を議題といたします。小林進君のきのうの説明に対する質疑を行います。通告順によつてこれを許します。鍛冶良作君。
  26. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は小林君の提案理由説明の速記録を読みまして、まことに驚いたのでありますが、速記録を見ればわかるようなものの、念のためにもう一ぺんあなたから要点を聞きます。第一に、冒頭に、「七月三十一日、この国会において、政府の職員により大乱暴狼藉が行われ」と、こうなつておりますが、これは篠田君が政府の職員として乱暴したということと解釈するほかはありませんが、間違いございませんか。
  27. 小林進

    ○小林進君 私は、篠田弘作君が農林政務次官であるということを、政府の職員という言葉で言い表わしたのであります。
  28. 鍛冶良作

    鍛冶委員 もちろん政府の職員の乱暴狼藉を追究しておられることは明瞭であります。  その次に、「まず第一に政府の責任をたださんとするものでありまするが、」とあるが、この懲罰委員会において、どういうふうに政府の責任をただそうとお考えになつたのか、その点を伺いたい。
  29. 小林進

    ○小林進君 私は、懲罰委員会において政府の責任をたださんとするのではないのであります。これは、提案者の私並びにわが党といたしましては、どうしても政府の責任をたださなければならないが、しかし、この委員会におきましては、委員各位にすべからく提出の理由を納得の上御調査願いたいというのでありまして、政府の責任までもこの委員会において御糾弾願いたいということをお願いしておるのではないのであります。あとの方をちよつとお読みくださればわかりますが、できれば立法府として、「政府の責任をあわせて御糾弾賜われば、まことに幸甚と存ずる次第であります。」こういうことをつけ加えておりまして、もしこの委員会政府を道徳的にも御非難を賜わり、御糾弾を賜わることが可能であれば、ぜひそのようにお願いいたしたいというのか提案理由てありまして、その点ひとつあらかじめ御了承願いたいと思います。
  30. 鍛冶良作

    鍛冶委員 まことに明瞭になりました。あなたは政府の責任を糾弾するつもりでない。1ここに書いてある。「まず第一に政府の責任をたださんとするものであります」。それから、今あなたの言われたように、私ももちろん聞こうと思つてつたが、「政府の最高官吏である政府の役人が、神聖なる立法府の議場において暴力を振い、実に六人に及ぶ多数議員に傷害を与えたる事実に対し、一体いかなる責任を政府はとらんとしているかという、政府の責任をあわせて御糾弾」願いたい。どこまでも政府の責任をこの委員会で糾弾することの目的であることが明瞭であります。しかし、なおまたそのほかにもありますから、もう一ぺん念のためにただしておきますが、「このたびの事件は、農林省政務次官という政府の高級官吏が、予算委員会の議場という立法府内において行つた暴力行為である点、まつたく前例のない特異な事件でございます。」これも官吏たる篠田君がやられた行為を糾弾することは明瞭でありまするが、あなたはどうお思いになりますか。
  31. 小林進

    ○小林進君 この問題は、申し上げるまでもなく篠田君は国会議員であります。われわれの同僚であります。われわれの同僚であると同時に、いま一つの職分上の人格としては農林政務次官という、国家の官吏という身分を持つておるのであります。従いまして私は、この篠田君の暴行事件に至る糾弾は、国会議員として立法府の品位を傷つける、こういう面において、この委員会において大いにひとつ糾弾願わなければならないと同時に、いま一つの人格を有しておりまする農林政務次官としても、これまたその暴行行為について政府みずからが何らかの責任をとらなければならぬ問題であると思うのでありまして、われわれ立法府は、同僚篠田議員に対しましては、この懲罰委員会において徹底的な御糾弾を願いたい。これはこの文章の全文にみなぎつておりまする私の提案事項でありまするが、あわせて立法府が行政府に対する指揮監督権がありまする以上は、同時に政府が、農林政務次官としての篠田君に対し、いまだ何らの処置を与えていないということは、立法府に対する軽蔑ではないか。懲罰委員会政府の責任を糾弾することが可能であるか可能でないかは、私はまだ寡聞にして知らないのであります。そこで最後に、繰返して言いますように、もし御糾弾賜わることができるならば、ひとつこの懲罰委員会においてあわせて政府の責任をも御糾弾願いたい、こういうのでありまして、私の提案している根本の理由は、あくまでも国会議員たる篠田君をひとつ懲罰委員会で御糾明願いたいのでありますが、あわせて農林政務次官としての篠田君の責任をも御追究願いたいというのでありまして、この点は私の説明の中で言葉の足らない点でありますが、賢明なる鍛冶委員におかれましては、どうかひとつ私の言葉の足りないところはよろしく御参酌の上に、御了承くださらんことをお願い申し上げる次第であります。
  32. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今訂正せられるのだが、この文章を読むと、あなたの言うように、このことはつけたりではありません。「まず第一に」と書いてある。そうして最後の結論にも内閣を糾弾してもらいたいと書いてある。冒頭にそれを述べて、最後の結論に述べて、それでそれがつけたりだとは、そんなことは通りやしません。  もう一つ私が驚いたのは、これはちよつと読んでみます。「━━━━━━━━━━━━━━━━━。」これはどうもたいへんなことで、内閣がこの行為をした、言いかえれば内閣が篠田君にこの行為をせしめて、━━━━━━━━━━━━━━━という論法でありますが、あなたはさようなことを今でも信じておりますか。
  33. 小林進

    ○小林進君 これは鍛冶さんがそのようにお考えになる文章の口調もあるいはあるかもしれませんが、私の申し上げておりまするのは、何も吉田内閣が故意あるいは作意によつて人を殺し、または殺さんとしたというような意味で申し上げているのではないのでありまして、吉田内閣というその内閣がとつている——七月三十日、同僚中君が死んだ。その死んだ中君は、私も生前話をしておりましたが早く吉田さんが退陣して、自由党が一本になることを念願としておると彼は言つたのであります。その望みを果さず帰んで行つたのでありますから、彼は━━━━━━━━━━━━━━━━━、こういう心境を申し述べたのでありまして、その中君が死んでその翌日に、またこういうような問題が同じ吉田内閣の中に起きるということは、世人はこれを称して━━━━というような汚名をつけるのではないか、私はこういつた意味合いなのでありまして、決して吉田さんや吉田内閣が手を下してそういう暴行行為をやつたという意味ではないのでありまして、この点よろしく御了承願いたいと思います。
  34. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私がこれだけ質問しまして、もうどなたにも明瞭になつたと思いますが、この冒頭において「七月三十一日、この国会において、政府の職員により大乱暴狼藉が行われ」これは冒頭です。そうして「まず第一に政府の責任をたださんとするもの」である。政府の官吏がかような行動をとつた、その行動の責任は政府にある、それゆえに、当懲罰委員会において、政府の責任を糾弾してもらいたいという申立てであります。これは明瞭であります。さらに、その中において、先ほど来私が読み上げたように、このことが政府の官吏によつて演ぜられたということでありまして、「農林省政務次官という政府の高級官吏が、予算委員会の議場という立法府内において行つた暴力行為である点、まつたく前例のない特異な事件」であるから糾弾をせい。さらにまた、今読みました━━━━━━━━━━━━━━━━━である。どこまでも政府にその責任をただそう、こういうことであります。最後に、結論といたしまして、小林君自身も言われましたように、「神聖なる立法府の議場において暴力を振い、実に六人に及ぶ多数議員に傷害を与えたる事実に対し、一体いかなる責任を政府はとらんとしているかという、政府の責任をあわせて御糾弾」賜わりたい、こうなつております。私は、小林君は善意でやられたのかは知りませんが、懲罰委員会はどこまでも、議院の品位保持のために、秩序を乱し品位を傷つける者に対する責任を糾弾するものでありまするが、官吏の糾弾、政府の責任糾弾のために懲罰委員会が使われたということ私はわが日本憲法始まつて以来の珍現象だと考えます。この意味において、私は、小林君の名誉のために、ただちに取下げられんことをここに動議として提出いたします。
  35. 小林進

    ○小林進君 繰返して申し上げましたごとく「政府の責任をあわせて御糾弾賜われば、まことに幸甚と存ずる次第であります。」、この「あわせて」というところをよくひとつ御含読を願いたいと思います。私も、あくまでもこの懲罰委員会において国会議員たる篠田君の責任を御糾弾賜わるが、あわせてひとつ農林政務次官の篠田君の責任をも立法府として糾弾できる可能性があるならば、あわせてそれもお願い申し上げたいという、この「あわせて」をひとつ御含読を願いたいと思います。
  36. 高橋英吉

    高橋(英)委員 今小林君が釈明されたうちに、なお鍛冶君の動議を裏づけするお言葉があるのです。どこまでも農林政務次官篠田弘作を懲罰してくれという御請求のようです。これは、懲罰委員会としてはむろんそれだけの権限はありません。権限がないことをここに懲罰してくれと言つて審議はできません。従いまして、国会議員篠田弘作ならばできます。(「国会法を読んでみろ」と呼ぶ者あり)議員外の身分のごときは対象になりません。(中野君「政務次官は代議士以外になれないですよ」と呼ぶ)だから代議士である篠田弘作君を懲罰してくれということならわかるけれども、しかしそれは議員としてであつて……。     〔発言する者多し〕
  37. 森幸太郎

    森委員長 私語を禁じます。
  38. 高橋英吉

    高橋(英)委員 どこまでも篠田君を農林政務次官としてやつてくれということを、先ほども繰返して言つているのではないか。それがよくわからぬか。とにかくわれわれは、吉田総理大臣の場合でも、吉田茂、国会議員として、代議士としてやつているのだ。審議の対象としてやつているのであつて、私も法律家だからそのくらいなことはわかります。農林政務次官が国会議員でなければならないということは、われわれがつくつた法律だ。私があの法律の提案者になつているのだからよくわかつている。しかし、身分が二つあるから、農林政務次官篠田弘作を懲罰に付して審議して懲罰してくれという要求と、国会議員篠田弘作に対する懲罰とは違います。これははつきり違うのでございますから、私は親切に申し上げますなら、この点をもう少しよく御研究になつて明確にしていただきたい。はたして御希望が農林政務次官篠田弘作を懲罰にするのか、国会議員篠田弘作懲罰にするのか、そこを明確にしてもらいたい。今中野君からやじが飛んだから、ぼくもちよつと議員外の者でも懲罰の対象になるのかと思つて確信がぐらつきましたけれどもはつきり議員以外の者は懲罰の対象にならないということを、ここで私は自分の確信をさらに裏づけることができましたから、私は親切に、この点は御撤回になるか、御訂正になるか。——はつきり国会議員篠田弘作なら、われわれはこれを一生懸命審議いたします。
  39. 小林進

    ○小林進君 私も国会議員でございますし、この懲罰委員会懲罰委員として来たことも、また被告席に立たされて懲罰にかかつたこともございますので、この内容は熟知いたしておるのでありまして、国会議員にあらざる者がこの懲罰委員会懲罰の対象になる、ならないということは、万々承知いたしておるのであります。しかし、今国民があげてこの懲罰問題に興味を持ち、同僚議員に対する公正な審判がくだらんことを要求しておりますのに、こういうような問題でいたずらに時間をかけることは、私自身やはり提案においていささか不備の点があつたことをみずから認めなければなりませんので、親切な高橋委員のお言葉によりまして、もし疑問な点があるならば、私はいま一度これを訂正して、あくまでも国会議員篠田弘作君に対してどうか懲罰の御審議を加えられんことを、あらためてお願い申し上げるわけであります。
  40. 鍛冶良作

    鍛冶委員 小林君が訂正すると言われる。訂正するというならば出直していらつしやい。明らかに官吏の暴行を糾弾する、「政府の責任をたださんとする」というのである。さようなものはこの委員会で受付くべからざるものである。君みずから取下げしなければならぬものならば審議を打切ろう。その点明瞭に出直して来たまえ。
  41. 小林進

    ○小林進君 私は、この懲罰委員会がこういうような枝葉末節な問題にけちをつけられて、せつかくの審議を延ばすことは、国民の負託にこたえるゆえんでないと思う。いれるべきところはいれて、収むべきところは収めて、謙譲の美徳を発揮しているのです。私も、こんなことは、先ほど高橋君も言われているように、国会議員でないものは農林政務次官になれない。明らかに政務次参官というのは国会議員に限ら凡ているから、私は国会議員の尊打をお願いすると言つている。国会議員たる政務次官の懲罰を……。
  42. 中野四郎

    ○中野委員 高橋君の御意見は……。(「知つたかぶりをするな」と呼ぶ者あり)知つたかぶりというならば、あなたがそうおつしやるならば、国会法をつくつたのはわれわれおつて、そういう御議論があればお述べくださればけつこうなので、今なるほど小林君と高橋君とのやりとりの中に、政務次官、いわゆる農林政務次官篠田弘作君、あるいは国会議員篠田弘作君をという議論があるのです。なるほどりくつとしては一応立ちますけれども、結論としては政務次官というものは国会議員だということははつきりしておる。そうして特に小林君も言葉説明がなかなか足りない点があるのですが、自分提案理由の中で述べておられる、「最後に委員各位に申し上げたいことは、第一に、篠田君は現農林政務次官であるとうことであります。」この「篠田君」というのは国会議員篠田君であつて、しかもそのあとには「現農林政務次官である」ということを付記しておられるのでありますから、この際はそのような問題に議論を集中せず、むしろ篠田弘作君の懲罰に対して審議を進められた方がいいのではないか。ただいま鍛冶さんからお話がありました、撤回して来い。——これはなるほどそういうりくつも成り立つけれども、時間的に明日一日に迫つておるときに、撤回してもう一度出直して来い。——出直して来ても同じです。篠田弘作君がかわつて化けて出て来ることはない。やはり本人にかわりはないから、お互い言葉のあやは御了承願つて、いわゆる審議を進めらわるようにしたいと私は思うのであります。
  43. 鍛冶良作

    鍛冶委員 中野君に私はもう一ぺんこの提案理由を読んでもらいたいと思うのですが、一ページを全部読みます。最初の一ページに「篠田弘作君の懲罰提訴の理由を御説明いたします。七月三十一日、この国会において、政府の職員により大乱暴狼藉が行われ、国家の官物が破損棄却せられたるのみならず、その暴力行為により、無慮百名に近い国会議員が直接間接の被害を受け、直接には打撲傷、内出血等、医師の診断を受け治療を要する者のみでも六名の多きに達するという、まさに日本憲法制定以来まれに見る大不祥事件が勃発したことは、すでに諸君御承知通りでありまして、この不祥事件につき、私は、まず第一に政府の責任をたださんとするものでありまするが、」こうなつております。どこにも議員篠田弘作を徴罰に付するということはありません。政府の職員がかような行動をしたゆえに、内閣の責任をたださんとするものである。これは明瞭だ。これは一点の疑いもないものだ。それを、今ごろになつて、他から言われたからといつてそれを訂正する、書いてないからと言うと、その意味は入つおるからと言うが、われわれはこれを読んでみてもどこにもそんなものは出て来ません。政府の役人を罰してもらいたい、続いて政府の責任をただしてもらいたい、さような懲罰事犯というものは、おそらくわが国憲法始まつて以来のことで、そんなことは小林君の名誉のために惜しむから出直しておいでなさいと言うのである。
  44. 野原覺

    ○野原委員 ただいま鍛冶さんからの、小林さんのこの提案篠田さんが政府の職員である云々ということは、間違いなしにこれは正しいことです。現に篠田さんは政府の職員であります。しかしながら、国会議員でないところの政府の職員をこの懲罰委員会懲罰に付することはできませんので、私どもが問題にしておるのは、これは政府の職員であると同時に、イコール国会議員としての篠田さんであります。
  45. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そんなことは出ていません、今読んだところでは。
  46. 野原覺

    ○野原委員 ちよつと待つてください。そこで私がこれをすなおに読んでみると、鍛冶さんの受取り方は少しどうかと私は思う。ということは、あなたももう一ぺん初めから読んでみたらどうですか。特質、特異点ということを強調しているわけでありますが、単に国会議員としての篠田さんの行為だけではなしに、政府の職員をも兼ねた行為であるということが一つの特異点です。従つて、本質として私どもが問題にするのは、何といいましても、これは自由党方々もお認めになるように、国会議員、代議士としての篠田さんの行動を問題にしておる。このことは、私どもが全体を読んだ場合に一貫しておることだと思うのです。従つて、撤回する必要はなし、このまま審議を続行されんことを望みます。
  47. 山中貞則

    ○山中(貞)委員 小林君の趣旨弁明についていろいろ論議があるのでありますが、要は、その表現が、事実を指摘しつつ非常に誇張したきらい、あるいは針小棒大のきらいがあつたために、こういう事態が起つたかと私は考えるのであります。従つて、先日委員会におきまして、小林君が自由党——という言葉を使われましたときに、その言葉については、委員長席から、不適当なる言葉は取消すことにするという決定があつたのでありまして、従つて私は、小林君のこの趣旨弁明中、不適当と認められる言葉、あるいはまた針小棒大に過ぎると思われる言葉を取上げますから、その点について委員長の善処がありまするならば、この審議の進め方は了承いたしてもよろしいと思うのであります。次に読み上げます。
  48. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は動議として提出したのです。     〔「採決々々」と呼ぶ者あり〕
  49. 森幸太郎

    森委員長 今発言中であります。
  50. 山中貞則

    ○山中(貞)委員 「無慮百名に近い国会議員が直接間接の被害を受け、」、そういう表現も、これはあの場合においてその場所に百名もおつたかどうかも疑問でありまするので、このような言葉。あるいはまた「━━━━━━━━━━━━━━━━」「━━━━━━━━━━━━━━━━━」というようなこと。あるいはまた篠田個人に対して、「━━━━━━━━━━━━━━━━━、」という表現。あるいはまた「━━━━━━━━━━━━━━━━━」という言葉。さらに「第三者の観戦記」というふざけた表現でもつて、その内容として「日本の民主政治を逆転する歴史的暴力行為開始の幕が切つて落された」というような表現。さらにまた「━━━━━━━━━━━━━━━━━。」、このような表現。さらに「春日君は自分の席にすわつてつて、酔つばらつて来るな、帰れと、同僚の議員にあたたかき忠告を与えておる」というような表現。さらにまた「現に私の同僚でありまする松平忠久君のごとき、あの篠田君の恐るべき形相を見て、まさに心臓が破裂せんとした、そのために爾後心臓病の併発を見るに至つたということを言つておるのであります。」、かような表現。さらに最も強く委員長において取上げられたいことは、「━━━━━━━━━━━━━━━━━。」、かような点については、これは附足するまでもなく、なくなられた議員を、しかもつい先日なくなられた議員を例に取出して、そのようなしいたる言動、表現をすることは、まことになすべき行為でないと考えますので、ことに強くこの点は指摘いたしておきます。さらにまた、次に、「━━━━━━━━━━━━━━━━━」、かような言葉もありますが、これなどは、私ども委員会自体、ひいては国会の品位を傷ける言葉になりますので、かような指摘いたしましたる点を含めまして、不適当なる言葉について、趣旨弁明中のそれらの表現について、委員長においておとりなしをお願いいたしたいと思うのであります。
  51. 森幸太郎

    森委員長 この際一言申し上げます。小林君の説明が不十分な点があつたといたしまして今もお述べになりましたが、この懲罰事犯は院議で付託されたものであります。もし説明が不備であり、内容に不穏当であるならば、それは懲罰事犯審議に際して、懲罰に該当するかいなかのときに、各委員判断すればいいと思うのでありまして、説明者に撤回を求めることは、付託が院議でなされているのでありますから、ちよつと無理と思われますので、委員会といたしましては、審議を進めて行くよりほかないと思うのであります。懲罰であるかないかは、その上で委員会が決定すればいいと思うのであります。
  52. 山中貞則

    ○山中(貞)委員 鍛冶委員動議と前後いたしましたので、私の考えが委員長にそのまま受取つていただけなかつたのはやむを得なかつたと思いますが、私のは、先日の委員会において、自由党——という言葉を小林君が吐かれましたときに、それに対して不適当なる表現があつた場合には、速記録から取消すということを委員長が言われましたので、私は提案理由についても納得いたしますけれども、その表現について過大に過ぎたる表現があることについて、委員長において、その字句について、きのう同様の取扱いを願いたいということを申し上げておるわけであります。そのようにおとりはからいを再度希望いたします。
  53. 森幸太郎

    森委員長 承知いしました。質疑を継続いたします。
  54. 山中貞則

    ○山中(貞)委員 委員長、今のはどうするのですか。
  55. 森幸太郎

    森委員長 速記録について不穏当の点がありましたならば、これを取消します。     〔「異議なし」と呼び、その他発言する者多し〕
  56. 森幸太郎

    森委員長 お静かに願います。高橋君に発言を許します。
  57. 高橋英吉

    高橋(英)委員 発言を求めましたのは、小林君に質疑をするつもりでおつたのですが、いろいろ情勢の変化によつて休憩動議を私は提出したいと思います。二、三十分休憩をしていただきたいと思います。
  58. 中野四郎

    ○中野委員 せつかく高橋君のあれなんですから、そこで質疑を打切つて、暫時休憩してやつてみたらどうですか。その方がいいじやないですか。質疑を継続中またそのまま休憩というのはおかしいから、これで質疑を打切つて、それで暫時休憩するという方がいいじやないですか。
  59. 高橋英吉

    高橋(英)委員 小林君に対する質疑だけを打切つてもいいです。
  60. 森幸太郎

    森委員長 今の篠田君に関係するのだけ、小林君や篠田君に質疑がなければ、皆さんの御意見によつて打切つてけつこうです。
  61. 高橋英吉

    高橋(英)委員 中野君の御発言中の質疑打切りというのは、小林君と篠田君に関する限りならば私も了承します。そういう条件付で休憩の御宣告を願いたいと思います。これを動議として提出いたします。
  62. 中野四郎

    ○中野委員 どうです。これは、お互いにここまで来れば、これ以上議論するということは煩を避けるべきであつて、もうたいがいの事情はお互いにわかつておるのですから、ここは一切の質疑を打切つて、そうして暫時休憩して、それから早いところ再開して適当なる処置をとるとしたらどうですか。その方が私はいいと考えるのですが、いかがですか。
  63. 森幸太郎

    森委員長 お諮りしますが、今高橋君なり中野君から同じ意味動議が出ております。ほかに小林君及び篠田君に対する質疑はありませんか。——なければ質疑は終りました。  この際暫時休憩します。三時半から再開いたします。     午後三時三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた