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1953-10-14 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月十四日(水曜日)     午前十一時三十八分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君    理事 松永  東君       河原田稼吉君    前尾繁三郎君       山本 友一君    鈴木 幹雄君       藤田 義光君    北山 愛郎君       滝井 義高君    西村 力弥君       伊瀬幸太郎君  委員外出席者         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 通則君         自治政務次官  青木  正君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林与三次君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      金丸 三郎君         大蔵事務官         (主計官)   鳩山威一郎君         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      稲田 耕作君         大蔵事務官   小口 芳彦君         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      大月  高君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 九月二十八日  委員三宅正一辞任につき、その補欠として竹  谷源太郎君が議長指名委員に選任された。 十月二日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として山  本幸一君が議長指名委員に選任された。 同月五日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として西  村力弥君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員鈴木幹雄辞任につき、その補欠として齋  藤憲三君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員齋藤憲三辞任につき、その補欠として鈴  木幹雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方自治に関する件  地方財政に関する件  町村合併促進に関する件  選挙の常時啓発についての財政措置に関する件  奄美群島実情調査に関する件     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  これより地方自治及び地方財政に関しまして調査を進めることといたします。質疑があればこれを許します。
  3. 門司亮

    門司委員 選挙の問題に関連してでございますが、この前出された通牒が、何かかわつた形でさらに通牒が出されたようでございます。これは自治庁としてははなはだ不見識な話ではなかつたかと思うのですが、大体その方針はどうですか。あれは従来通りということに、はつきり解釈しておいた方がよいのか、あるいは自治庁通牒を少しやわらげただけであるから、選挙管理委員会で適当にやれということになつて参りますと、また問題を起す危険性を実は持つておるのじやないかと私は思うのですが、それは選挙権というものが、二重になる危険性が出て来ると思うのです。だからもう少し自治庁としては、あれはどつちかに徹底した方がよかつたのじやないかというふうに考えるのですが、その点に対して何か自治庁の方でお考えでもありましたら、お答えを願いたい。
  4. 金丸三郎

    金丸説明員 実はあの通牒を出しましてからの、いろいろな世間の批評を聞いておりますと、学生住所があたかも学資出所いかんによつて認定されるというふうな誤解があると思いましたので、府県市町村選挙管理委員会自体は、六月の通達趣旨は、郷里に学生住所があると認められます場合と、下宿あるいは寮等選挙権がある、すなわち住所があると認定すべき場合と、両者の典型的な場合を抜き出して示したものであるということは、よく承知しておられると思つておりましたけれども、一般にそのような誤解があるように思われましたので、学資だけによつて住所認定が行われるのではない、そうでないような事情がある場合には、寮なり寄宿舎なりに住所があると認定すべきことはもちろんだ。それから当時新聞紙等であたかも撤回をするような報道が出ておりました。府県市町村では従来の方針名簿を調製するように、いろいろな事務を進めておりまして、若干府県の方で疑義を持つて問合せをして参るような向きもございましたり、また閣議等に正式に大臣から報告もし、了解も得ておりませんでしたので、次官会議閣議に六月の通達趣旨説明をして、その了解を求めたわけでございます。従いまして当時撤回をするのではないかというように報道されておりましたので、府県市町村に対して従来の線で名簿を調製するようにということをはつきりいたさせることもかねて通達を出した次第でございます。
  5. 門司亮

    門司委員 それで、これはかねて問題になつておりますが、従来通りだというふうに、はつきり解釈してさしつかえないですね。よろしゆうございますか。
  6. 金丸三郎

    金丸説明員 従来通りとおつしやいます御趣旨は、昭和二十一年の通達の線というお話でございますか。
  7. 門司亮

    門司委員 そうです。
  8. 金丸三郎

    金丸説明員 いや、そうじやございません。六月の通達がやはり基本でございます。
  9. 門司亮

    門司委員 そうしますと、これはまだ問題が解決していない、こういう結論に私はなると思います。そう申し上げますのは、選挙法に書いてあります住居というものは、きわめて簡単に書いてありまして、ただ住所を三箇月以来有する者というだけしか書いてないので、住所に関する規定は何も書いてないのです。従つて私はこの規定に当てはまつた者であれば、そこを住所とみなすかどうかという、いわゆる居所住所との関係でありますが、これは学生でありましようとも、いかなる者でございましようとも、そこで生活をしておる、うちから仕送りを受けておりましても、そこで三箇月以上生活しておる者は、やはりそこを一応住所とみなすべきではないかというふうに考えられる。こう考えていませんと、これは最初のお考え方のようなことにはならぬと思う。従つてこれは学生だけを特別に取扱つたものではなくて、全部の——二十一年の通牒のときにも出すということ自体が、少しどうかと実は思われておつた。何もそうむずかしい問題じやないのであつて選挙法に書いてある通りでいいのだというふうに解釈すると同時に、二十一年にせつかくああいう通牒が出て、そうしてそのことによつて大した問題が起らないで今日まで来ておる。たまたまいろいろあつたかもしれません。しかしそれにいたしましても、それの住居というものが、その人がはたして三箇月以上そこにいたかどうかということだけが問題になるのであつて、私は仕送りを受けておることが問題にならないと思う。従つてやはり従前の慣例、自治庁に言わせれば、二十一年の通牒が間違いだ、こうおつしやつておるようでありますが、間違つてつて間違つていなくても、一応私はそれが常識化されて、三箇月以上そこにおる者がそれに当てはまつておる。学生にいたしましても、自分選挙権がどこにあるかということについては、ある程度名簿の作成もございまするし、申告もありますし、本人自身選挙権というものに、かなり関与する機会が多いのであります。従つておのずからその選定はある程度本人にもできるはずであります。間違つておれば本人がそれを訂正する。従つて何もあの通牒をそのままで、直せという根拠にはならないのではないかというふうに考えている。これは六月の通牒そのままであるということになると、いろいろさつき申し上げましたような問題が起つて来る。同時に市町村では、今選挙管理委員会は、選挙啓蒙運動のために貸用がたくさんいるというお話でございましたが、こういう問題が出て参りますと、かなり各都道府県あるいは市町村選挙管理委員会費用はふえて来やしないか、一々学生の場合に厳選すれば、下宿先を照応して見ないと、選挙費がダブる。危険性が非常に出て来る。こういう点について自治庁は何かお考えになつていないか、そこまでお考えになつていないのですか。
  10. 金丸三郎

    金丸説明員 門司委員の御質問の御趣旨は、私どもにもよくわかるのでございますが、結論的に申しますと、選挙法住所選挙権が行使しやすいという見地から考えていいのじやないか。これが一般に言われている点でございます。ただ昭和二十一年の通牒はどちらかと申しますと、そのような気持に近いと言えるかと思います。ただ御承知のように最近若干の訴訟が起りまして、これはやはり従来の通説でございますが、民法住所がやはり選挙法においても住所なんだ、こういうような観点からの判決がございまして、また私どももこれが筋であるというふうに考えておりますようなことから、今回六月の通達を出したわけでございます。(「その点は法律をかえなければならぬ」と呼ぶ者あり)その点がいろいろ論議になつておると思いますが、この点は将来立法的に解決をいたしますよりほかはないかと存じます。  それからもう一つ名簿現実の調製のことでございますが、概数でございますけれども新制大学旧制大学学生が若干残つておるようでございますが、総体五十万ぐらいあるようでございます。そのうち、満二十歳以上に達しておると推定されます数が約二十万、そのうち自宅から通学をいたしております者が、これも推定でございますけれども、約半数ぐらいじやなかろうかと文部省で見られております。それから寮、下宿等におります者が約十万ということになつて参ります。その住所をどちらにあるか認定しなければなりませんが、その点につきましては、二重登録等の間違いが起りませんように、実際に親元の方に照会をいたしましたりしております。それによりまして、若干の費用はいると思いますが、それにつきましては、目下大蔵省とも折衝いたしておりまして、そう大きな額にはならないと私どもは思つておりますけれども、できるだけ住所認定の齟齬によつて間違いが起きないように、その点を十分に考慮をいたしております。
  11. 門司亮

    門司委員 今のお話ですが、これは議論しても始まりませんが、今のように民法規定があると言われると、これは問題が残されて参ります。私は民法の二十四条から二十五条までの間に、なるほど住所規定はありますが、あの場合の居所の場合が一つの問題になつておる。外国人または日本人においても住所を持たない者は居所をもつて住所とするこう書いてあります。さらに二十五条には特別の目的のために住所を定めることもできる、こう書いてある。さかのぼつて二十一条の方になつて参りますと、大体生活本拠住居という、とこう書いてある。こう三つの段階が民法の中には書かれておるのでありまして、従つてこれが選挙法住居の問題に関連いたして、もし民法から来る解釈だということになつ参りますと、そこにはいろいろな問題が出て来ると思う。同時に選挙法自体もこの中に一応届出というような形をして、申告というような形がとられて参りましたことは、やはり民法の二十五条の、特別の選挙権を行使する場合の自分住所はここだということをある程度加味した一つ方法ではなかつたかと考えておる。同時に生活本拠というものは、何も仕送りを受けているところだけが生活本拠ではないと考える。現実生活をしているところが、私は生活本拠だと考える。これは私は当然だと思う。そうしないと社会にはいろいろの誤解が出て来ると思う。だから少くとも社会通念的に考えて、三箇月以上そこで生活しているものを大体選挙法では一応の住居とみなして、そうして選挙権を与えるという行き方だと考えておる。従つて民法解釈選挙法解釈とは、この住居という問題ではそう食い違つたものはないと思う。同じような趣旨で、同じような考え方でできておると思う。従つて今のお話のように、親元にあるのかどこにあるのかということは、これはどうかと思う。年令を二十才で制限しておりますし、居住を三箇月とこちらの方には限つておりますし、従つて民法に言う居所というものは、そういう住居の一定したものを単なる居所と言つておるのである。私はやはりこのことをよく考えてもらいたいと思う。これは航海をしておるような諸君にいたしましても、あるいは行商人等にいたしましても——これは一つの極端な例でありますが、商売のためにあるいは三箇月以上自分の土地を離れる人があるかもしれない。しかしそれらの諸君生活本拠がどこにあるのかといつたら、一体商売をしているところが生活本拠なのか、ことに行商人などはどこにあるのか、そういうことを考えて参りますと民法解釈から来ているのだ、どうだこうだという解釈を、そうやかましく言わない方が社会通念上においていいのじやないか。選挙法には三箇月と書いてあるのだから、三箇月以上生活している者は、たといどこであろうと選挙人名簿の閲覧を許すこともできますし、また本人から申告させることもできますので、私は社会通念上の考え方でいいのではないかと実は考えておりますが、この点について議論いたしても始まりませんので、私はあまり議論をいたしません。  それから今問題になりました選挙啓蒙に関する費用でありますが、選挙管理委員会の方は、この費用はどのくらいいるか御明示がなかつたように思いますが、この費用は私は相当いると思う。同時に相当なければならないと思う。私は日本の政治の上で、選挙に非常に疑義を持つているのでありまして、選挙のどこに疑義があるかといいますと、投票の率であります。九〇形あるいは九九%などと、だんだん高くなつて行く率がありますが、これは一方においてある程度盛んに宣伝することもいいが、逆にそこには、利用された、買収というようなものがやはりつきものではないかということも、疑義を持てば持てるのであります。従つてこれが本人が自発的に入れて、全体が棄権しないように入れて行こう、遂行して行こうというのなら相当啓蒙運動が必要である。この啓蒙運動を行うのは、やはり独立の一つ行政機関でありまする選挙管理委員会が中心となつて行うべきである。悪く言えば、往々にして公明選挙が逆に暗黒選挙に利用される危険性が多分にあるのであります。従つてこれもあまり方々の者にまかしておくわけには行かないと思いますので、せつかく管理委員会が十分行うという御意思がありますならば、その費用は当然国が支出すべきだと考えておるが、一体自治庁としては、これらの費用がどのくらい必要であるのか、あるいは所要額は必ず出すというようなお考えがあるのかどうか。単なる事務的なものではありません。やはり啓蒙宣伝費を出すというようなお考えがあるかどうか、これをひとつ伺つておきたい。
  12. 青木正

    青木説明員 前段の学生選挙権の問題でありますが、お話のごとく法律上の解釈問題と、それから先ほど門司委員お話のいわゆる社会通念上から見た住所の問題、ここにいろいろと論争の行われる余地のあることはお話通りであります。また選挙権をできるだけ行使しやすくしなければならぬというようなことも当然考えなければなりませんので、単に法律上の解釈問題だけで、こういう問題を断定することはどうかということが、いろいろ論議になつているわけであります。しかしながら法律上の解釈というものを、ただ一方的と申しますか、従来の解釈等をそのままにしておいて、自治庁が独断で従来の法律上の解釈をかえるということも、これはまた考えなければならぬ問題だと思うのであります。そこで法律上の解釈問題、それと社会通念上の住所の問題、また選挙権を行使させなければならぬという選挙権の本来の目的ということから考えまして、この問題につきまして必要があるならば、やはり立法的な措置も講ずる必要があるのではないか、こういう考えに立ちまして選挙制度調査会を急速に開きまして、そこにかけまして各方面の御意見を承り、法律上の解釈の問題と、社会通念上の問題との調和点をそこに見出して、要すれば法律改正も行いたい、かように存ずる次第であります。大体今月の二十一日か二十二日ごろ第一回の選挙制度調査会を開催いたしまして、ここにお諮りいたしたい、かように存ずる次第であります。  それから公明選挙啓発啓蒙の問題でありますが自治庁といたしましても、先ほど選挙管理委員方々お話がありましたように、三十年には府県議会選挙が行われますし、従いまして明年度予算にどうしても公明選挙運動というものを、相当活溌に展開させなければならぬ、かような見解に立ちまして、大体一億五千万円ほどの予算を目下大蔵省要求をいたしておるのでありますが、その詳細の内容等につきましては、事務当局の方から詳細申し上げたいと思います。
  13. 門司亮

    門司委員 今選挙管理委員会お話を聞きますと、費用は相当あるけれども、どうもその費用が下に流れて来るときに、非常に少くなつて運動ができないというようなことでありますが、ほんとうに下に行つてほんとう啓蒙費になるのか、あるいは途中で事務費で消えてしまうのか、その割合は一体どのくらいになつておりますか。
  14. 金丸三郎

    金丸説明員 現在は額があまり多くございませんので、市町村まで現実に行渡らないのでございます。大体府県で使います費用になります。今回は一億五千万円の中で、府県と市と町村で使いますものが九千七百四十八万円現在考えております。これは公職選挙法の第六条に選挙管理委員会は、常時選挙に関して啓発しなければならないという規定がございます。ただこのような仕事は負わされておりますけれども、財政的な裏打ちがございませんので、公職選挙法費用の負担のところに、これに対応する規定を置きますと同時に選挙の執行の経費の基準の法律を改正いたしまして、府県と市と町村に行きます金額を法律で明記して、ただいま御懸念のように、市町村の分まで府県で使つてしまうとか、そういう疑念がさらさら起きないように、法律的な措置もあわせてできますれば講じたい、かように考えております。
  15. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま選挙の常時啓蒙宣伝経費のことについて重要な審議をいたしておるわけでございますが、この予算編成を担当しております大蔵省主計当局がいまだに姿を見せないのは、私はきわめて遺憾だと思うのでありますが、これは厳重に委員長から出席要求していただきたいと思うのでございますが、その点至急おとりはからいを願いたいと考えております。
  16. 中井一夫

    中井委員長 了承いたしました。政府委員の方で、大蔵関係の方は見えておりますか。だれも見えていない。どなたが見えているのですか。——ただいま出席の方は理財局資金課長補佐小口芳彦君が見えております。  小口君にお尋ねしますが大蔵省の方からは、あなた以外には御出席にならぬのですか。
  17. 小口芳彦

    小口説明員 ただいま銀行局為替局主計局の方に電話で連絡いたしまして、出席するように連絡中でございます。
  18. 中井一夫

    中井委員長 この出席については、きのうから委員会として要求を通告しているはずなんですが、そのことはきのうからお聞きにならないのですか。
  19. 小口芳彦

    小口説明員 私、理財局の方でございまして、主計局その他他の事務のことにつきましては存じませんので、その点は私としては全然存じておりません。
  20. 中井一夫

    中井委員長 加藤委員にお聞きいたしますが、今御出席要求主計局長とそれからだれですか。
  21. 加藤精三

    加藤(精)委員 主計局長理財局長いずれもこちらからはお願いしてあるのでございますが、なんのために出席できないのか、現在まで出席しない理由を御調査をいただきたいと思います。なおその上必ずすみやかに両局長出席をするように、出席請求をしていただきたいと思つております。
  22. 中井一夫

    中井委員長 小口君の御答弁を願います。
  23. 小口芳彦

    小口説明員 理財局長はただいま出張中でございますので、かわりまして、総務課長あるいは資金課長に至急こちらへ参りますように連絡いたします。主計局の方にもただいま使いの者が電話いたしておりますから、そのうちに返事が参ると思いますが、参り次第報告いたします。
  24. 中井一夫

    中井委員長 この委員会が本日開かれたのは、町村合併促進に関する問題、これはきわめて地方行政の問題としては重大なる問題である。この資金関係がこの問題を可能ならしめるかどうかのかぎになるのです。それほど大切な問題のためにこの委員会が特に開かれておる。選挙に関する問題もまたその一つであります。この際主計局長なり理財局長にかわるべき責任者が出られるにあらずんば、この委員会審議は無意味になる。こういう重要な意味において、大蔵当局出席をぜひとも要求いたすのでありますから、あなたはただちに本省に帰られて、局長等を連れておいでになるように要求いたします。従いましてそれらの人々の来るまで、他の方面についての御質問を御続行願いたいと存じます。
  25. 西村力弥

    西村(力)委員 選挙部長にお伺いしますが、学生選挙権の問題の通牒を出す前に、あるいは出した後、大臣から、学生選挙権が幾らかでも使いにくくなる、そういう場合の措置としまして、何らか便法を講ずるよう、その研究をせよとか、そういうことが命令がありましたかどうか、それをお伺いいたします。
  26. 金丸三郎

    金丸説明員 別に行使しやすいように研究をせよというようなことはございませんでしたが、趣旨がよく徹底いたしておりませんでしたり、また不在者投票が決して便宜とは申しませんけれども、私どものところへ参ります学生諸君も、全然不在者投票の手続も知りませんでしたりするようなこともございますので、できるだけそのようなことも周知するように、というようなことはお話もございましたり、また私どももそういうふうに感じておりましたので、地方選挙管理委員会当局へも、そういうことは通知をいたしてあります。
  27. 西村力弥

    西村(力)委員 今の答弁ですと、この前私の質問に対して、塚田大臣は、この問題について自分としては、どうしてもやはりいささか選挙権が行使しにくくなる。その緊急の措置として研究を命じてある、こういう答弁であつたのであります。そういうことなればてのままということになるのですが、それはそれとして、ただいま選挙管理委員会の陳情の際に、私語めいてお聞きしたのでありましたが、現在あらためて自治庁で出されましたために、ある県においては従来の——先ほどあなたが言われた従来でなく、従来の方法とやつておるところがある。あるところにおいては通牒に基いてやつておる。こういうような事情であるというお話であつたのです。そうしますと、それぞればらばらになつて、二重投票とかあるいは全然オミツトされてしまうというようなことも出て来るという場合があつて、これは非常に混乱するのじやないかと思われる。それでせつかく出されて、また解釈をかえられたわけですが、今に至つて見れば、全然撤回するか、あるいはこの前出された通牒をそのまま生かす方向に行くか、どつちか一本にきめるほかはないのじやないか。そうでなければ、ますます混乱するのじやないかと思われる。そういう点に対してはどういうぐあいにお考えになりますか。このまま混乱の状態をかまわぬで置くというようなことは、よろしくないことであると思うのです。それで、どちらか、それに対する徹底した方策をどうするか、お考え願わなければならぬと思う。それに対する御見解をお伺いしたいと思う。
  28. 金丸三郎

    金丸説明員 私どもはそのようにまちまちになつておるとは考えておりません。もしどういう県がそのような従来の、昭和二十一年の線で、はたして名簿を調整しておりますかどうかわかりますれば、至急に照会をいたしますけれども、そういうことはないと考えております。
  29. 中井一夫

    中井委員長 ちよつと西村さん、御相談ですが、奄美大島の問題につき、先般政府から調査行つたのであります。この機会にこの報告を得たいとの希望が委員の中にあります。そのために石井南方連絡事務局長出席をいたしておるのですが、午後一時半から、何でも会議があつて、その会議主催者なんだそうでして、始まると委員会に出ることが困難の状態になるそうであります。従いまして、できるならば、その報告を先に聞き、あなたの今の質問の問題はあとまわしにしていただけば、万事都合がいいと思いますが、いかがでしよう。
  30. 西村力弥

    西村(力)委員 私は何もめんどうくさいことを言うのじやないので、もう終るのですが、ただ今選挙管理委員の方のお話では、事実その通り昭和二十一年のああいう従来の立場でやつておるところもある、そうでないところもある、ということを先ほど聞きましたので、あなたはそういうことがないと仰せられても、これは実際あなたの方だけで、ないと思われるのでございますので、そこのところはあなたに御調査つて、混乱の起きないように、ひとつやつて行かなければならぬのじやないか、かように思うのです。それだけ申して終ります。
  31. 北山愛郎

    ○北山委員 議事進行について、お願いがあります。先ほど火力発電の世界銀行からの借款の問題について、大蔵省責任者出席をお願いしておつたのですが、これは地方行政委員会にとつては、あの借款に、地方公共団体の財産を担保に入れるという問題が関連しておりますので、そこで新聞報道等にもいろいろ論議されておりますが、その担当の官庁である大蔵省責任者出席をお願いしたい。委員長にお願いしておきます。
  32. 中井一夫

    中井委員長 その責任者はだれを呼べばいいですか。
  33. 北山愛郎

    ○北山委員 銀行局長をお願いいたします。
  34. 中井一夫

    中井委員長 銀行局長でよろしゆうございますね。了承いたしました。ただちに銀行局長の出席要求いたします。  それでは奄美大島の問題につきまして、先般政府から調査団が同島に行かれたとのことであります。これに関する調査報告を求めます。南方連絡事務局長石井通則君。
  35. 石井通則

    石井説明員 先般九月の十二日に鹿児島を立ちまして、中央から調査団員関係各省二十二名、鹿児島県及び鹿児島国警本部関係官十二名、合計三十四名が約二週間ないし三週間にわたりまして現地の調査をいたし、それに基きまして、復帰いたしまする奄美群島の引継ぎ事務措置を検討いたしておる次第でございます。余裕がございませんでしたので、書面では非常に簡単なものしか御配付いたしておりませんが、現地の概略の状況と、引継ぎの若干の問題点につきまして御報告申し上げたいと思います。  御承知のように昭和二十一年一月二十九日から奄美群島が沖繩群島とともに行政分離になりまして、現地の事情はいろいろ行政組織等にも変革を経て来ておりまするが、現在におきまして行政機構はお手元に差上げておりまするように、琉球政府の司法関係の機関、行政関係の機関が奄美大島にあるのでございます。この職員が概略でございますが、一般の司法行政に携わつておりまするのが約千五、六百名——若干報告の数字が食い違つておりまするので、今正確な数字を調べておりまするが、千五百数十名でございまして、教職員関係が別に千七百五名程度おります。これらの機関は、本土の各種司法行政機関と類似しておるのもございますが、本土の機構と相当かわつておるものがあるのでありまして、これに関しまして、まずこれらの機構並びにこれらの職員を、復帰と同時に本土内に引継がなければなりませんので、これらのそれぞれの機構の内容、実態、またどういうように職員を引継ぐべきかということを、それぞれ関係各省と協力して、調査して参つております。これらのうち、裁判所関係は当然裁判所の機構となるでありましようし、また法務局の検察庁あるいは登記関係事務あるいは刑務所等は法務省の所管になり、また税務関係、関税等は大蔵省とか、あるいは工務交通局の関係になつております郵政、測候所関係等は、それぞれの中央官庁の出先機関に引継ぐ。そのほか目下いろいろ検討しておりますが、それぞれ各省の所管別に、これらの機構をどう引継ぐかということを、現地でもいろいろ調査研究して参りましたが、今日もなお研究をしております。  次に現地におきましては、現在琉球銀行の手によりまして、一種の軍票でありますが、B円というものが流通いたしております。日本円の三円が琉球のB円の一円になつておるわけでございますが、このB円の兌換、交換を、復帰と同時にやつて行かなければなりません。これが私ども調査したときにおきましては、その金額等がまだ十分はつきりしておりませんが、その後の報告等を聞いておりますと、現在概略二億数千万B円が流通しておるように判断しております。これらの通貨の兌換あるいは食糧配給の切りかえ等の措置をいたさなければなりませんので、そういうことについて大蔵省と農林省とが、主としてこれの調査をいたして参つておる次第であります。  それから、さしあたり行政機構を引継ぎ、向うの予算の大体の目標の程度は、必ず引継いて行かなければならぬであろうと思いますので、現在の予算の概略も調査して参つておりますが、向うで言つております一九五四年度の予算——本年の七月から開始されまして翌年の六月までに至る予算が、奄美大島に予定されておるものは、総額二億八千万B円程度になつております。現在のところまだ復帰の日がきまつておりませんので、琉球政府といたしましては、一応二億八千万B円程度の年間予算を計上いたしまして、そのうち復帰までの間の予算奄美大島に流しまして、おそらく一億数千万B円残ると予想いたしておるようでありますが、それは他の方面に別途計画をして使用するというような考えの模様であります。一応この現在の機構、職員、それから継続事業等を引継ぐためには、その二億八千万B円を基礎にして、まず本年度の、来年三月までの予算のわくを考えて行かなければならぬ。しかしながらその職員の給与ベースといいましても、三千四、五百B円でございまして、本土の給与ベースよりも若干低くなつております。そういう点は復帰とともに本土並に考えなくちやならないと思うのでありまして、その基本予算についても、おそらくべースのふくらみということが考えられなければならぬと思います。  それから生活保護ですが、現地におきましては、保護法というような本土の法律に類似するようなものはございませんが、日本の旧来の救護法等を、そのままということでなしに、若干それに類似したものを行政措置としてやつておるのでございます。それで奄美大島関係で、被保護者というものが約七千七百人ぐらいあるのでありまして、それの支給額は最近若干上りまして、一人当り月七十B円ということになつております。七十B円といいますと、日本円にしまして月に二百十円、こういうような低い金額であります。これらの被保護者、並びにそのほかにもまだ日本の生活の最低基準から考えますと、相当数保護を与えるべき人数があるようでございますが、これらの給与、支給のべースも本土並に上げて行かなくちやならぬし、特に八年間のブランクがありまして、生活は逼迫いたしておりますので、生活保護の面におきましては、現在琉球政府が組んでおりますものよりも、相当金額をさしあたり計上いたさなければならぬのではなかろうかというように考えております。そういう基礎資料を各分野におきまして検討いたしましたとともに、なおその復帰と同時に、日本の法令が施行されて行かなければならぬのであります。ところが、現地は行政分離の際におきまして効力のあつた日本の法律は、別に軍令その他によつて変更せざる限り、そのまま効力を有するものということになつておりまして、民法、戸籍法その他日本の旧法が相当適用されております。それから奄美大島には、奄美支庁が廃止されましたあとに、臨時北部、南西諸島政庁というものができ、奄美群島政府というものができまして、そういう時代に施行されました法令というのが若干あり、昨年の四月に琉球政府が発足いたしまして、南西諸島全般に施行されております法令というものがありまして、現地の事情は非常に複雑でございます。しかしながら現地はできるだけすみやかに日本の法令の施行が行われるのを希望いたしておるわけでありますが、ただ日本の法令のあらゆるものをすぐに施行いたしますと、現地において非常に実情にそぐわない面もあるものがあるようでございます。また法令の施行について検討と申しますか、そういうものの必要のあるものもあるようでございます。一応法制局から派遣されました参事官を中心に、現地におきまして法令の実情並びに措置につきまして検討をいたして参つたのでございます。  最後に、奄美大島は八年間の空白があるために、経済的に非常に疲弊いたしております。一例をあげますれば、大島つむぎのごときは、戦前におきましては奄美大島の輸出金額の六〇%程度の額を占めておりまして、これによつて奄美大島の経済が潤つていたのでありますが、それが現在は戦前の一〇%程度に落ちている。その他黒糖にいたしましても、さつまいもあるいは水産物にいたしましても、産額が非常に落ちております。ただ産額の目立つてふえておりますものに木材がございます。これは琉球の建設、あるいはまた朝鮮方面にも相当流れたようでございますが、木材におきましては、戦前水準を若干上まわつておる。これが結局奄美大島の森林を相当濫伐したと言えば言えるというようなことを示しておるわけであります。そういう点から考えまして、また道路、港湾等非常に不便であり、悪いのでありますから、どうしても復興計画というものを立てなければならぬ。これは特に現地の方の要望も非常に強く、ことに最近行政復帰のダレス声明以前に、ますます奄美大島の経済が疲弊することを考えまして、琉球政府に対しまして奄美群島復興三箇年計画というものを立てておるのであります。これは学校その他教育的なもの、あるいは厚生的なものを除きました経済的な部分、あるいは土木、港湾の部分で、日本円にしまして約四十億くらいの金額で、三箇年計画を琉球政府要求いたしておつたのであります。この三箇年計画の内容と、それからそれと並行してつくりました教育施設の復興その他各般の復興計画の現在向うにおいて立てられております計画の内容を聞いて参つたようなわけでございます。それを一応土台にいたしまして、鹿児島県でも若干の復興計画を基礎にした計画を、現在一応つくつておるようでございます。  これらの現地の各般の事情はこまかく御説明すると非常に長くなりますけけども、要約いたしますれば現地の実情が非常に疲弊しておる、そうしてまた行政機構もいろいろ複雑のようでございますが簡素化々々々、また人員の削減ということで、人員も逐次非常に少くなつて来ておる、どうしてもこれらの行政機構をさしあたり国または県で引継ぎまして、この行政機構の整備充実をはかつて行き、それから各種の法令につきましてできるだけすみやかに、しかも実情に即して混乱のないように実施して行く、それからさしあたり緊要な学校の復旧あるいは生活保護という面におきましては、本年度予算におきましてもできるだけの予算を組み、なおこの復興計画につきましては、全般にわたりましてすみやかに総合的な年次計画でも立てて、奄美大島の復興、ひいては将来の自立経済の立ち得るように、政府も強力に指導し、また援助をして行かなければならぬのではなかろうか、こういうところが私ども調査団の持つて帰りました調査の結果でございます。  一応概略でござしましたが御報告申し上げまして、なお御質問がございますれば、御回答申し上げることにいたしたいと思います。
  36. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの御報告了承いたしましたが、特にこの機会政府にお願いいたしておきたいのは、この復帰の問題につきましては、日米両国の間におきまして受入れの手続完了次第復帰をせしめるということに発表せられておるのでありますが、ただいま実地の調査の御報告にありましたごとく、現地の事情というものが法制的に非常に特殊扱いになつているばかりでなしに、その日常生活におきまして格段の差を生じておるのであります。住民は一日もすみやかに復帰することの実現を要望しておるのでありますから、その受入れの手続を促進していただきたい。どうも伺いますと外交交渉が最近とどまつておるようでありまして、日本側からも積極的に受入れの態勢を整えられまして、完了されて、受入れの日が一日も早くなるように、特にこれは政府に要望したいと思う次第であります。  次に受入れ後の問題でございますが、ただいまお話がありましたごとく、これは当然予算を相当必要とすることと思います。この点に対しまして実地を調査して来られたのでありますから、遺憾のないところの予算をすみやかに補正予算において計上されるように、ひとつお願いしたいと思うのであります。  なお受入れに関しましては、当然特別立法が必要になつて来るものもあると思います。これに対しまして当然臨時国会をすみやかに開いて付議する必要があるのではないかと思うのですが、臨時国会が遅れましたために受入れが遅れるということになりましては、はなはだ遺憾に思います。この点も政府におきましては十分遺憾のないようにしていただきたい。私は受入れのために臨時国会を開いても、十分それだけの価値のあるものだと思つております。二十万以上の人口の死活に関する問題でありますので、すみやかに臨時国会を開かれる理由は十分にある。その他の問題も今日山積しておりますので、この手続に特別立法を必要となさるならば、その措置をすみやかに講ぜられるよう特にお願いしておく次第であります。  それからなお委員長にお願いしたい、また委員の皆様方にもお願いしたいのでありますが、内政並びに地方自治に関しまして、今後相当この地方に関しましては重要な問題が控えておる。当委員会におきましても、地方行政を円滑に実施するためにも、実際において現地を視察し、調査する必要があると思います。過般委員長ごあつせんのもとに現地調査という問題もあつたのですが、いろいろの関係上これが不成立に終つたのでありますが、今後適当なときにおきまして、これが実地調査等が当委員会におきましてもできまするよう御配慮を仰ぎたいと思います。
  37. 中井一夫

    中井委員長 了承いたしました。なおこの機会にちよつと私からお尋ねいたしますが、実は私どもは先般東南アジアに参ります際、沖繩に飛行機がとどまりますので、その機会に沖繩から奄美大島諸島に視察に参りたい、こういう計画を立てて極東米軍にその許可を申請したのであります。しかるに出発までにその許可が参りませんものですから、やむを得ず出発いたしました。帰りにはその許可が得られるであろうというので台北まで参りましたところ、台北への通知によりますと、奄美大島に行くことは許すが沖繩を経由して行くことは許されない、こういうことでありましたので、やむを得ずそのまま帰つて来たような次第であります。つきましてはただいま床次委員からの御質問の一項のうちにありましたように、受入れ手続か終れば、いつでもこの島に行くことができるわけなのでありますが、受入れ手続はいつごろ終る見込みでありますか。一説によりますと十一月の一日をもつて手続を完結するというようなことが、先般来伝えられておりましたが、今日政府は米国との間の交渉の経過は、どういう状態になつておりますか、この機会にひとつ御発表いただきたいのであります。
  38. 石井通則

    石井説明員 ただいま床次委員から、外交折衝をすみやかに進捗させるように、それから予算関係特別立法の関係の御要望がございました。また委員長から、渡航の問題と外交折衝の実情の御質問がございましたが、まず外交折衝の問題につきまして、私ども調査団のうち数名沖繩まで渡航しまして、若干現地において事務的な協議をいたすような予定で計画いたしたのでございますが、現地へ行きまして一切交渉あるいは話合いをすることは、現在のところ困るというような要望もありまして、外交折衝の問題になる項目につきましては、関係各省の御協力も得まして、主として私と外務省から派遣された事務官と二人で、いろいろ問題点を検討して参つたのであります。それらの問題点を整理いたしまして、外務省とも十分その交渉の問題について円滑に行くように、協議をいたしておるのでございますが、まだ具体的な折衝の段階に入つていないようでございます。いろいろ新聞等でも御承知のように、初め十一月一日に復帰するであろうという説が相当あつたのであります。私ども毎日現地の新聞を見ておりますが、現地におきましては十一月一日復帰の目標で、いろいろ検討しておつたようでございます。しかしそれも私ども公式に照会したところによりますと、正式に決定したものではないわけでありまして、まだアメリカ政府といたしましても、復帰の日については何も公式に決定いたしていないようでございます。今後何らかまた近いうちに意思表示があるかもしれませんが、現在のところは何ら公式には聞いておりません。そこで、その外交折衝の進行の問題は、私ども詳しくは承知いたしておりませんが、絶えず外務省にこちらの準備状況等も申し上げ、意見も申し上げております。これはおそらく、十一月一日説というものは若干延びるであろうというような判断を私どもはしております。というのは、沖繩側におきましても、最近十一月一日は延びるであろうというような説が、いろいろ出て参つておるようなことから勘案いたしましても、十一月一日は延びるであろう、しかしいつごろになるということは、はつきりいたしませんで、私どもといたしましては、この外交折衝の問題点を十分検討して、できるだけわれわれの要望の線が入りまするように努力をしますとともに、いつ復帰の日が決定されましても、予算措置あるいは立法的措置が準備できますように、議会が開かれますれば、すぐ補正予算あるいは特別立法を提出するように、関係各省と協力いたしまして、目下準備を急いでおるのでありまして、予算におきましては大蔵省で、目下各省からその予算要求資料を集めております。法制局におきましては、特別立法につきましての各省からの意見を集めておるような次第でございます。私どもとしても、できるだけすみやかに復帰がなるように、外務省とも協力し努力いたしますが、これは必ずしも日本側だけの事情で遅れるというわけのものでもないと思うのでありまして、結局日米間の会議によるとりきめがきまるまでということでございますので、必ずしも日本側は準備を怠つておるというわけではございません。私どもといたしましては、できるだけ早く準備が完了するように、万全の努力をいたしておるような次第でございます。  次に委員長から御質問のありました沖縄渡航の問題でございますが、奄美大島の問題については、現地に渡航する者は現在のところ、全部沖繩経由を拒絶いたしております。先般参りました調査団で、沖繩に渡航できたのは私と外務省の事務官だけであります。これはまあその代表者として那覇の南方連絡事務所長等と打合せをするということで、許可が与えられたようなわけでありまして、その他の人の許可につきましては、私ども奄美大島に参りましてからも、相当現地と折衝いたしましたが、遂に許可を得ることができなかつたのでございます。それらの事情につきましては、私どもから十分御説明はできませんが、現在沖繩側においても、新聞の報道するところによりますと、奄美大島返還に伴つて、いろいろ神経をとがらせるような記事が出ておるのでありまして、そういう関係からでございましようか、現在のところ奄美大島視察の目的では、どうしても沖繩経由を許可いたしませんので、この点何分とも御了承を願いたいと思うのでございます。
  39. 中井一夫

    中井委員長 それではこの問題については、この程度でよろしゆうございますね。     —————————————
  40. 中井一夫

    中井委員長 ただいま大蔵省から理財局資金課長稲田耕作君が出席されました。先般門司委員から御要求になつておる資料を提出されるそうでありますから、さよう御了承を願います。稲田耕作君。
  41. 稲田耕作

    ○稲田説明員 資金運用部資金の運用状況でございますが、お手元に差上げましたものは二十八年八月末現在における大体のバランス・シート的なものでございます。原資の部といたしまして預託金でございますが、郵便貯金及び郵便振替貯金、これが一番大きいものでございます。この資金額といたしましては二千九百四十五億何がしでございます。そしてその隣りが総額に対する。パーセンテージを表わしております。次に簡保の資金が千百十九億何がしになつておりますが、これは二〇%でございます。これは御承知のように、ことしは分難運用になりまして増加額の半分を大体計上いたしておりまして、来年度からは全額簡保の方で運用されることになつております。それから厚生保険が一二%ということになつておりまして、船員保険以下ずつとあります。そのほか国民貯蓄債券収入金というものがございます。これは御承知のように、六十億当初予定いたしておつたのでございますが、売行きが悪うございまして、大体八億程度のものにとどまつております。これは電源開発の資金にそのまま参つておるものでございます。大体預託金の方はそういうわけでございます。  それから運用の部といたしましては、長期国債といたしまして一般会計及び特別会計の貸付金が大体一%程度、それから特定道路整備事業特別会計、これは昨年度からやつて、昨年度の分であります。それから一般会計といたしまして電気通信事業に、そこにあります程度のものが出ております。それから問題は政府関係機関の貸付金でございますが、これが国有鉄道に四百八十億、住宅金融公庫に百七十六億、国民金融公庫に六十億、電電公社に百三十五億、農林漁業金融公庫に百四十億、それから地方債及び地方公共団体の貸付金が二千六百五十四億、それから特別法人債券及び貸付金で東京交通債券、これはあの帝都高速度交通営団が発行いたしまする債券を引受けておるのでありまして、その下にあります貸付金と合せまして、いわゆる地下鉄に貸し付けているものでございます。それからその次が金融債の九百七十八億でございます。それから電源開発株式会社の貸付金といたしまして八億でございますが、これが金額といたしましては、大体前に申し上げました通り、国民貯蓄債券の収入をあげて、こちらにいたして行くという当初からの計画でございまして、これが当初の計画通り六十億上りますれば、六十億こちらに上つただろうと思われる数字であります。それからその次にありますのは古いものでございまして、旧特殊銀行会社等の債券及び貸付金でございます。その次は流動性の資産といいますか余裕金でありまして、短期証券、つまり食糧証券のごときものとか、現金の手持ちとかいうことになつております。  そのほかに門司委員から御請求のありました金融債、政府関係機関の貸付金の表をただいま差上げますが、これは資金運用部資金の各年度別の貸出しの調べでございます。  金融債、政府関係機関、特別会計——この特別会計は郵政と特定道路と、あとで内訳が出て参ります。特別法人その他も内訳が出て参りますが、二十五年度、二十六年度、二十七年度と、二十八年度は計画といたしましてここに出したのでございますが、金融債について見ますと二十五年度が大体百八十億でございまして、二十六年度が三百億にふえております。四千二百万円の端数がついておりますが、これは二十五年度の分が延びて参つて、こういうことになつております。それから二十七年度が三百六十億、ことしの計画といたしましては三百億でございます。  それから政府関係機関は、前に御説明申し上げました国鉄、住宅金融公庫、国民金融公庫、電電公社、農林漁業関係、それから中小企業金融公庫というようなものでございますが、これは二十六年度が四百二十億でございまして、二十七年度が五百六十五億、ことしは四百九十億ということになつております。  それから特別会計は、最後のページに出て参りますが、二十七年度は郵政が十億でございまして、ことしは五億でございます。これは郵政特別会計の建設関係に参りまして、庁舎の建築におもに充当せられておるものでございます。特定道路整備事業特別会計は、二十七年度で二十二億でありますが、ことしがゼロになつておりますのは、これは三箇年新規の貸出しを行う特別会計であります。昨年度は二十二億、私の方の資金運用部から出たのでありますが、ことしは法律改正によりまして、一般会計から二十五億出資ということになつておるものでございます。それが特別会計であります。  それから特別法人その他は、最後の方にございますが、電源開発株式会社と帝都高速度交通営団の分でございます。電源開発は二十七年度八億で、これは前にも申し上げました国民貯蓄債券の収入金であります。二十八年度の計画といたしましては、五十億の計画をいたしております。それから高速度交通営団の関係は、二十六年度が八億、二十七年度が十億、二十八年度の計画といたしまして十五億、こう組んでおります。  その次の表は、金融債の引受け、買入れの実績を表にいたしました。興業債券、農林債券、商工債券、長期信用銀行ができましてから、長期信用の債券でございます。あとの勧業債券、北拓の債券は、本年度長期信用銀行ができましてからは、新規のものはございません。大体二十五年度、二十六年度、二十七年度、二十八年度の計画、こういうふうに一応表にいたしたものでございます。  その次は政府関係機関に対します貸出しの、同じような基準によりましての実績表でございます。国鉄、電電、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、それから中小企業金融公庫、日本開発銀行というものでございます。以上表にいたしたものでございます。
  42. 中井一夫

    中井委員長 御質疑はございませんか。
  43. 門司亮

    門司委員 帝都高速度交通営団の貸付金でございますが、これは事業内容はどうなつておりますか。仕事は今やつておりますか。
  44. 稲田耕作

    ○稲田説明員 高速度交通営団は、ただいま新線を建設中でございまして、その資金の手当に使われているのでございます。
  45. 門司亮

    門司委員 あとで一括して聞きたいことがありますが、その次に聞いておきたいと思いますことは、特別法人の内訳はわかりませんか。数はかなりあつたように私記憶しているのですが。
  46. 稲田耕作

    ○稲田説明員 特別法人でございますか、これの内訳はわかります。何でございましたら、またこまかく割つたものをそろえまして、御提出いたします。
  47. 門司亮

    門司委員 一応それを出しておいていただきたいと思います。きようは課長さんでございますから、あまり政治的のことをお聞きすることも実際はどうかと思いますが、よく問題になりますのは御存じのように資金運用部資金と地方債との関係でございまして、この表で見ますと大体四八%くらいは地方に出ているということがわかる。しかしその他に出ておりますものも、国家的な目的を持つているものがあるというように、始終大蔵当局答弁するのでありますが、すべてが公共事業に使つておるのだというような意見が、非常に強く響いて来るのであります。従つてこういう内訳を私要求したのでありますが、この中で見て参りましても、電源開発の貸付が、これは例の負債の部で見ますると、国民貯蓄債券の占める額が非常に少くなつたということでありますが、これではやはり将来も政府目的には足りないと思うのです。政府はこの国民貯蓄債券をやはりこれに充てられて、一般の資金運用部資金の方からは、大体これに充てられないという御計画でございますか。
  48. 稲田耕作

    ○稲田説明員 電源開発の関係を申し上げますと、二十七年度におきましては六十億の貯蓄債券の収入金を充てる計画でございましたが、それがなかなか消化できませんで八億になつたのでございますが、本年度といたしましては、電源開発の資金といたしまして、産業投資特別会計の見返り資金分から百五十億、それから資金運用部資金から五十億、合せて二百億の計画になつております。
  49. 門司亮

    門司委員 そうしますと、この一番最後の表にあります五十八億くらいが、今年の年度で大体資金運用部資金から出るというように、解釈してよろしゆうございますね。
  50. 稲田耕作

    ○稲田説明員 資金運用部資金といたしましては、さようでございます。
  51. 門司亮

    門司委員 もう一つこれで聞いておきたいと思いますことは、政府の当初予算によりますと、今年これに繰入れられるであろうと考えられております貯蓄高といいますか、そういうものは大体七百十億くらいだと、私は記憶いたしておるのでありますが、ある種の新聞によりますと、これが一千億を越えるだろうということを、私見たことがあるのであります。この数字が必ずしも合つているかどうかということは私わかりません。この資金運用部資金について、今年の国民の貯蓄高は大体どのくらいに見ておられますか。
  52. 稲田耕作

    ○稲田説明員 原資の方の関係でございますが、私どもの特別に関係ございます郵便貯金の関係につきましては、依然として根強い伸びがございまして、昨年度の計画は六百五十億でございますが、それに対してことし七百二十億の計画でございます。なおそれに対する補正なり、補正予算に伴います私どもの資金の改訂にあたりまして、いろいろ最近の状況を勘案いたしてみますと、もう二、三十億、年間に伸びるじやないかという傾向でございます。七百二十億の当初の計画に対しまして、七百四十億くらかは行くのではないかと思つておるのであります。そうしてこれはそのはつきりした何もないのでございますが、いろいろ銀行当局の話なんかによりますと、一般の預金にいたしましても、市中の関係、商業関係、会社関係というような預貯金の分につきましては歩積みの問題とか、ウインドー・ドレツシングができないという抑制の方法も手伝つておると思うのでありますが、減る傾向にあるようでございまして、都会の周辺地区におきます預貯金が銀行といたしましても、ある程度伸びておるというふうに承つております。これは別に私の方で調べたわけではございませんが、そういうことが言われております。私どもの取扱つております関係におきましては、郵便貯金の趨勢が非常に根強いのでございまして、それに対しましてつけ加えますと、厚生保険の方が伸び悩みでございまして、むしろ計画に対しまして下まわつているような状況でございます。ことしも当初二百四十億を見たのでありますが、それを今度の改訂では百八十億くらいに改訂せざるを得ないのではないかと思つております。
  53. 門司亮

    門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますが、この資金運用部資金と地方債との関係でありますが、これが数字の上では、だんだん地方に出ておる割合が減つておるのであります。そうしてその減つております一つの原因の中に、例の交付公債があることのために現金は割合に出ておらない。しかし実際の面では交付公債を差引けば、相当地方に出ておるという解釈が両方につくのであります。従つて地方の方から考えて参りますと、運用部資金の運用の率というものは、どうも交付公債の関係で差引かれて来ておつて、実際の現金は割合に来ていないのではないか。従つて中央に使う現金は、割合に地方に出る金よりも、ふえておるのではないかという感じを私どもは持つのであります。この点に対してのことしの——われわれも大体は了承いたしておりますが、交付公債による資金運用部資金との割合と、それから、大体資金運用部の借りかえのような形になるのでありますが、これの金高がどのくらいかおわかりになりますか。
  54. 稲田耕作

    ○稲田説明員 これはすぐわかりますが、ちよつと手元にございませんので、あとで旧特殊銀行の内訳と一緒に差出したいと思います。
  55. 門司亮

    門司委員 きようは課長さんでございますから、さつき申し上げましたように政治的のお話をすることはいかがかと思いますので、差控えたいと思いますが、一言だけここで聞いておきたいと思いますことは、さつき私が申し上げましたように、交付公債その他の形、それからもう一つは公債といいますか、起債が市中銀行から相当出るようになつておりますので、資金運用部の資金の利用の金高というものが、両方のものを差引いて参りますと、だんだん減つて来るような形を示しております。従つて一方においては市中銀行からの借入れを許可することによつて、資金運用部資金の利用の度合いというものがだんだん減つて来る。そういたして参りますと、資金運用部資金は地方債にまわる率よりも、ほかの事業にまわる率の方がふえて来ると考えられる。この点について地方債の地方銀行からの融資は、資金運用部資金が借りられれば一番いいのであるが、実際問題としては貸出しを渋つておることのために、一つの手段といいますか方法というようなことで、さらにもう一つの理由は地方の方が割合に借りることに都合がいい、あるいは書類その他の関係で便利であるというようなことも考えられないわけではないが、最も大きな原因は資金運用部資金は池田さんがなかなか出さなかつた——前の大蔵大臣のことを言うわけではありませんが、なかなか出さなかつたというところに原因がありはしないか。そういたしますと、地方の公共団体が使います金には、地方の住民の積み立てた資金運用部資金が利用されるということが、国民感情の上からいつても非常にいいのではないかと考えられる。この点についてもし課長さんにお答えができるなら、お答えのできる範囲をお願いしておきたいと思います。  それからもう一つは、ここにありますように、八月現在で二十八億ばかりの現金が残つておるようでありますが、これはただ予備金として残してあるのかどうかということ。もう一つついでに聞いておきますが、国債問題であります。これは私は長期国債でなくて、短期国債がありはしないかと思いますが、これは一番下に書いてあります短期証券と同じように考えてよろしゆうございますか。現金もここに書いてありますが、日本銀行にある現金にほとんどひとしいような短期公債が相当ありはしないかと思いますが、そんなものはございませんか。
  56. 稲田耕作

    ○稲田説明員 まず第一点といたしまして、今お尋ねのございました地方債の運用総額に対する。パーセンテージといいますか、比較的な数字が相当落ちて来ておるのではないか、また将来ますますそうなるのじやないかという御心配でありますが、私らといたしましてもこの点を常に考えておるものでございますが、大体申し上げますと、二、三年前には原資の方が非常に少うございまして、地方債におまわしできる金がその当時の許可額の半分にも満たないような状況でありまして、従つて資金運用部資金のほとんど全額をこれにまわしましても、なお足りない状況であつたのであります。例を申し上げますと、昭和二十三年度においては九八%資金運用部資金を融通いたしておるのでありますが、そのときの許可額が大体二百四十六億でございますが、それに対しまして二百四十億二千五百万を資金運用部で引受けております。それから二十四年度が許可額が三百十億でありますが、全額資金運用部資金でお引受け申し上げております。それから二十五年度が三百七十億でありますが、これも全額お引受けをいたしております。二十六年度五百四十七億でございますが、これも全額お引受けいたしております。ただこのときから公募が出て参りまして、公募三十億を含んでおります。二十七年度九百三十億につきまして資金運用部資金八百億でございまして、公募百三十億、二十八年度の計画は許可額が千九十億でございます。それに対して政府資金八百八十五億、運用部資金はそのうち六百九十五億であります。これは簡保の分離によつて百九十億が簡保の分であります。それから公募二百五億、当初の計画百八十億、それに老朽校舎の分二十五億を一応公募に入れてありますが、これはあとであれしたいと思いますが、この二十五種なかなか消化がむずかしいと思いますので、これは運用部資金からの捻出によりまして、二十五億はまかないたいと実は思つておるのでございますが、さしあたつて二十五億が公募の中に入つております。私らといたしましては、文教の関係につきましては公募というものは、非常に困難な状況になると思いますので、資金運用部資金の方から出したいと思います。そんな状況でありますが、原資の絶対額が少かつたという点もあつたかとも思われるのでございますが、その後幸いにいたしまして、原資の状況が相当ふえて参りまして、地方債の方も許可額も伸びて参りますし、私の方の資金も伸びて参りましたので、御融通申し上げておるのもふえて参つておるのでありますが、遺憾ながらパーセンテージとしては落ちて来ておるのであります。われわれとしては、原資のよつて来るところは国民の零細な金であります、原資の面で申しますと、郵便貯金、簡保、厚生年金というものでありますので、できるだけこの資金を地方還元いたしまして、地方債というものに重点を置いて行きたいと思うのであります。今年の問題といたしましても未曽有の災害が連なつておりますし、前国会でいろいろな特殊の立法がされているのでありますが、それにつきましても災害による歳入欠陥の特例の法律も御制定願つたのでありますから、これにつきましても原資の許す限りできるだけ多くをさきたいと思つております。  それからただいまお尋ねのありました現金でございますが、現金二十八億とういのは、ほんとうのキヤツシでございまして、短期証券の二百十七億何がしというのは食糧証券でございます。これは流動資産といたしまして御一緒にお考え願いまして、けつこうでございまして、資金がいる場合は、もうその日にでも日銀の方に売り払いまして、現金化できるのでございます。ただ短期の食糧証券というのは、御承知のように日歩一銭五厘ついておりますので、そういつた短期の運用をいたしておりますが、これはいつでも現金に換価いたしまして、手当のできる金でございます。
  57. 中井一夫

    中井委員長 それでは午前中の会議は、この程度で一応終了いたします。午後は正三時から開会いたします。     午後一時二十三分休憩      ————◇—————     午後三時三十二分開議
  58. 中井一夫

    中井委員長 これより午前に引続いて再会いたします。  休憩前に引続きまして、地方自治及び地方財政に関する調査を進めます。  ただいま大蔵省銀行局より大月総務課長出席されております。よつて北山君の質疑を許します。
  59. 北山愛郎

    ○北山委員 初めに質問の要旨を申し上げますが、例の火力発電の外資借款の問題であります。これは御承知の通りにもう新聞等で再々報道せられておりますが、中部、関西、九州、この三つの電力会社の火力発電の機械をアメリカから買う資金として、世界銀行から四千二十万ドルを借り受けるという問題でございます。この中で、この四千二十万ドルは一応日本の開発銀行が借りて、そしてこれを電力会社に貸すというふうな形になつておるようでありますが、それと並行して、日本政府が世界銀行に対して、債務保証をするという契約を別に結ぶということがあるわけであります。     〔委員長退席、加藤(精)委員長代理着席〕  そこでこの前の国会で、この世界銀行から外資を受入れるということに関して特別措置法律が出まして、七月の暫定予算の一般会計の総則の中に、保証限度というものがきまつたわけでありますが、問題になるのは、この一般保証以外に、政府の財産と地方公共団体の財産に、ある種の担保というものをつけるという条件が新聞等で報ぜられておるわけであります。私どもはこの問題は新聞などで、九月の半ばごろでありましたか、非常に苛酷な条件であつて、しかも日本銀行あるいは地方公共団体の財産まで担保に付するということは、憲法に違反するような疑いもあるのであるから、こういう苛酷な条件では拒否した方がよろしいというような意見が相当強い、こういう報道がございましたが、その後ついせんだつての今月の十一日、日本経済の報ずるところによりますと、その条件は相当に緩和されておるというふうに承つておるわけであります。そこでその間の経緯、ことにわれわれ地方行政委員としては、この地方公共団体の財産に対して、何らかの制限をつけるということについては非常に大きな関心を持つておるわけでありますから、それらの経緯についてひとつお答えを願いたいと思います。
  60. 大月高

    ○大月説明員 ただいま問題になつております火力借款に関連いたしまして、担保の条項について今までの経緯の概略を御説明申し上げます。  この火力借款の交渉につきましては、この前の国会に際しまして、政府保証が必要であるということで、国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律という法案が提出されまして、御審議の結果法律として成立いたしたわけであります。それからその裏づけといたしまして、予算措置といたしましては、昭和二十八年度の一般関係予算総則において、保証契約をしてもよろしいということにつきまして、国会の御承認を得ております。そういう権限のもとに交渉を進めて参つたのでありますが、大体におきまして、順調に参りますれば、この十五日の世界銀行の理事会で承認を得まして、同日の午後には調印になろうという運びになつております。その保証契約の内容に関連いたしまして、ただいまお尋ねになりました担保の問題があるわけでありますが、最初世界銀行から提示されました向うの案によりますと、世界銀行が別に同意する場合を除きまして、保証人たる日本政府が新たに外債を発行いたします際に、政府の資産に担保が設定された場合には、世界銀行の債権の担保権が同順位で自動的に及ぶ、こういうような提案であつたわけであります。さらにその条項につけ加えまして、そこの資産という言葉の中には、政府機関、日本銀行、地方公共団体の資産を含むというようになつておりまして、ただいまお尋ねのような問題が起きたわけであります。世界銀行とほかの諸国との借入契約によりましても、同様の規定がまず例外なく置かれておるわけでありますが、日本の法律的立場から申しますと、政府と独立の人格がある政府機関とか、日本銀行とか、地方公共団体に対して、直接この規定の適用があるということは許されないわけであります。第三者であるこれらのものに対して、契約者である世界銀行と政府との契約の効力が全然及ばないというのが、法律上の解釈でありますので、その後折衝いたしました結果、この保証契約を、交換公文の中におきまして、憲法の範囲内で政府措置する、こういう表現に改められておるわけであります。なおこの憲法の範囲内で政府措置するということの具体的な運用につきまして、世銀側では、この同意を与えることについては、十分好意的な考慮をなすという交換公文を出すことに、まず同意いたしております。それから世銀が同意するということに関しましては、別に政府として極力同意を求めるように努力をいたしたい所存でありまして、そういう両方の面からいたしまして、世界銀行の同意によりまして、現実に担保権について世界銀行が同順位になるというような事例はまず起きないものと考えております。もちろんほかの国との間に同様の規定はございますけれども現実にこの条項が発動した例はないというように聞いております。  なおこの担保権の及ぶ場合につきましても、具体的には、現在開発銀行が電力三社に貸すといたしますと、その債権を持つわけでありますが、その債権を世界銀行に質入れすることになつております。従つてもし債務不履行という問題が起きますれば、その債権質を実行されるというのが第一であります。第二点といたしましては、政府保証がついておるわけでございますので、政府がそのしりを見る。そして第三の問題として、ただいま御説明申し上げましたような具体的な担保の問題が出るわけであります。そういう順位から申しましても、具体的に適用になる場合は考えられないと考えていいのじやないかと思います。  なお地方公共団体等に対してこの規定が及ぶにつきましては、三つの例外があるわけでございます。第一番目には、地方公共団体が財産を購入する、たとえば港湾の施設としてクレーンを購入するというような場合につきまして、その財産の代金の支払いを保証するために、その当該財産の上に設定される担保権、こういうものについてはこの規定の適用はない、それから第二といたしまして、期限一年以内の商業取引を保証するために、担保を出した場合にはこの規定の適用がない、第三点といたしましては、期限一年以内の銀行取引を保証するために担保を出した場合には、この規定の適用がない、こういうように規定されておるわけでありをす。従いまして具体的な場合を考えてみますと、かりに地方公共団体が外債を発行いたしまして、そこに物的担保権を設定するということを考えますと、まず第一に必ず世銀の同意を必要とするかということになりますと、これは必ずしも同意は条件でない。しかしかりに世銀の担保権に関する同意なくしてやればそれが同順位になる、こういうことであります。なお先ほどの憲法の範囲内でという条文の入つておりますのは、今度の交渉におきまして日本の例が唯一の例でありまして、そういう面から申しますと、その点に関します限り世界各国の借入れ条件のうちでは、最もゆるやかなものと考えていいのじやないか、こういうように考えます。
  61. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、たとえばただいまの財産購入時の価格支払いのために担保として出すような場合とか、以下三つの種類があげてありますか、地方公共団体の資産については、そういう場合には担保の対象にならぬとか、そういうふうに条件がゆるめられておるわけですが、政府の財産についてはそういうことはないわけですか。
  62. 大月高

    ○大月説明員 ただいま申し上げましたのは全部政府についての条件でございまして、それが全部地方公共団体にも同様に適用がある、こういう原則でございます。
  63. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、政府あるいは地方公共団体に限らず、条件はいろいろこまかくありましようが、少くとも財産についての一つの制限というものを負担しておるということについては疑いないわけですね。
  64. 大月高

    ○大月説明員 具体的に、法律的に申しますれば、地方公共団体としては現在の状態においては、何ら財産的な負担はしておらない。しかしかりに外債を募集いたしまして、その外債に担保をつけるというような問題が起きましたときに、同順位の世界銀行の担保権がくつついて来るかどうかという問題が起きる、こういうことでございますが、これも当然に及ぶのではなくして、契約上の第三者でございますので、そういう状態が起きるためには、地方公共団体自体の同意を必要とする、こういうことであると思います。
  65. 北山愛郎

    ○北山委員 政府の財産についても、とにかくそういうふうな条件づきにせよ、財産についてのある種の権利を設定するということは、はたしてこの前の国会で通りました臨時措置に関する法律並びに予算総則の第六条によつて、そういう財産についての制限を受けるものであるかということが、非常に疑問なんですが、その点いかがですか。
  66. 大月高

    ○大月説明員 直接政府と世界銀行との保証契約によつては、何らの財産の負担は受けないことになります。もし地方公共団体の同意がかりにない場合には、世界銀行の担保権が同順位になるという効果は生じないわけでございますが、その場合にどうなるかと考えますと、政府が世界銀行に対して違約をする、こういうような関係になろうかと思います。従いまして、もしどうしても地方公共団体の外債の募集が必要である、そのために担保権の設定が必要である、そして世界銀行に交渉いたしましたけれども、どうしても同意が得られないというような場合には、そのままでありますれば、政府としては違約ということになるわけでありますので、そのためには政府法律案を提出いたしまして、そういうふうな事態になりました場合には、地方公共団体の同意がなくても、当然担保権は及ぶのだというような立法をかりにいたしますれば、契約違反という問題は起きないわけであります。しかしかりにそういう法案を提出いたしまして国会で否決になる、そうして地方公共団体も同意しない、こういうふうな事態が起きまして、はたして契約違反になるかどうかということになりますと、先ほど申し上げましたように、憲法の範囲内で政府措置する、こういうことでございまして、国会が憲法の条項に従つて否決をしたということをもつて政府の責任にはならない、こういうことで措置される前提になつておりますので、一般に財産権に対する負担を課するという結果にはならない。もしそういう結果になるためには、将来の行動がいる、その行動の結果表面上契約違反のような結果になつても、それは憲法の範囲内の行為であるので、別に政府には責任がない、従つて契約違反ではない、こういうふうな解釈になつておるわけであります。
  67. 北山愛郎

    ○北山委員 もつぱら地方公共団体の話でございますが、まず最初に政府財産について一体あの予算総則に盛られておる事項であれば、単に一つの金額を限度にして一般保証するというような予算上の要するに認許というか、そういうものが与えられておるということであつて一つの国の財産に担保をするというような権限は政府に与えられておらないのじやないか、そういう意味では政府のやつておることは、国の財産についても越権ではないか、私はそういうような疑問を持つがいかがですか。
  68. 大月高

    ○大月説明員 この担保権の問題の起きます場合は、将来政府が外債を募集いたしまして、それに物的担保をつける場合に、初めて問題として起るわけでございます。将来外債を起しますときには、今回と同様に予算上の措置を必要としますし、国会の承認を必要としますので、そこで初めて問題になることだと思います。
  69. 北山愛郎

    ○北山委員 しかしそれは考えようでありますが、結局将来そのような拘束を受ける契約を他に結ぶ、現在でも一つの条件づきの制約を受けるわけですが、将来そういう場合が起つたときに現実には制限を受ける。しかしそういう約束をすでに結ぶということは、国の財産についての一定のある種の条件つきの権利というものを他に設定をしてある、そういう行為じやないか。私はそういうふうに解釈いたしますが、いかがですか。
  70. 大月高

    ○大月説明員 この点は将来生ずべき事態について起るわけでございまして、現在の契約自体からは何ら財産的の制限も政府の義務も生じない、こういうふうに解釈できるのじやないかと思います。
  71. 北山愛郎

    ○北山委員 それはしかしそういうことになれば、国の予算でもそうです。昭和二十九年度の予算をあらかじめやるということは、そういう予算を使うという権限を与えるということを、事前に政府は委託されるといいますか、その権限を与えられるのである。事前にそういう権限を与える国会の承認なり、あるいは法律なりをやつておかなければ、それは越権じやないか。あとでそういうことが起きたときに、承認を求めるということが一般的に許されるなれば、予算ということについても、やはり同じような問題が出るのじやないかと思います。だから、将来そういう事態が起きたときに、ほかの外債を募集するというようなときに、一定の制限を受ける。しかしそれは現実に眠つておるかもしれぬけれども、現在でもそういう制約を受けておるのだ。そういう条件付の権利を他に設定するという場合——ほかにもたくさん法律があると思うのですが、やはりそういう場合には、事前に政府は、この前の法律でもつて国会の承認を得たと同じように、財産上の担保をつけるとか、そういうこともあわせて法律等でもつて権限をもらつておかなければ越権じやないか、このように考えられるのです。もちろん地方公共団体についても、同じようなことが言えるのじやないかと思いますが、どうでしよう。
  72. 大月高

    ○大月説明員 私どもへいたしましては、先ほど御説明申し上げましたような見解のもとに、契約を結ぶことにいたしておるわけでございまして、何ら法律上の問題はないと考えております。
  73. 北山愛郎

    ○北山委員 しかしすでに国有財産法などにおいても、国の財産については普通財産であるとか、あるいは行政財産とかとわけて、処分の一般的な原則というものをきめておるわけなのです。だから、そういう際にも私権の設定は云々という文句はあるわけです。従つて、外国に条件付にせよ、そういう重大な国の財産というものに対する権利を設定するというような場合は、あらかじめ法律等で承認を求めておかなければ、これは政府の越権だ、私はそのように考える。
  74. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 北山さん、どうも見解の相違みたいなので……。
  75. 北山愛郎

    ○北山委員 ではもう一つ。それからこの問題は自治庁などにも関係のある問題じやないかと思うのですが、自治庁としては承知いたしておらぬのですか。地方自治の本旨からすれば、憲法違友の疑いがある。憲法第九十四条によれば、地方の公共団体というもの一は、みずから自分の財産を管理処分する権限がある。それを国が憲法の範囲とかなんとか言つているけれども、結局条件付の制限、処分をやつている。これは憲法違友じやないか。それからその他の地方財政法の規定であるとか、いろいろな規定を見ましても、国は第三者であるのに地方公共団体の財産について、かつてにほかと契約するなどということは、それはもう明らかに逸脱の行為である、こういうように考えられるのです。自治庁としてはそういう点どうでしようか。
  76. 青木正

    青木説明員 ただいま大蔵省の方から答弁がありましたような次第でありまして、当初いろいろ問題の点もあつたのでありますが、先ほど説明したようなことで、直接地方公共団体の方が、そうした債務を負うということはないというふうに解釈をいたしまして、私の方としては別段これに対して特別の意思表示をいたしていないのであります。大体大蔵省の交渉によつて了承をいたしておるような次第であります。
  77. 北山愛郎

    ○北山委員 この問題は、結局これからいろいろ各委員会等でも問題になると思うのですが、ただ一つお聞きしておきたいのは、この前の国会で出ました例の臨時措置法律と、それからそれに基いた例の予算の総則の第六条の点というのは、これは国の財産についての処置を政府にまかしたものではなくして、一般的な補償百四十八億ですか、その範囲内で、政府予算外義務負担行為ですか、そういうものをなし得る権限を与えたのだ、国の財産については何ら権限を与えておらないのだというように解してよろしゆうございますか。
  78. 大月高

    ○大月説明員 あの法律の補償は、一般の補償を意味するわけでありまして、国の特定の財産を担保に供するということは含まないものと解釈いたしております。
  79. 北山愛郎

    ○北山委員 それでは一応打切ります。
  80. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 次に大蔵省主計局より主計官鳩山威一郎君が見えておりますので、主計局関係の問題につきましての御質疑をお願いします。
  81. 滝井義高

    ○滝井委員 先に自治庁から伺います。先般の閣議町村合併のために内閣が基本的な方針を決定いたしたようでございます。すなわちこの町村合併促進法が効力のある今後三箇年間の期間において、おおむね現在の一万百六十一の町村を三分の一に減少させる、こういうことになつております。そうして自治庁の方で計画をつくりまして、昭和二十八年度においては合併の進捗率が一五%で、町村の減少する数が九百九十三で、一府県の減少率が二十二だ、こういうような計画案と申しますか、目標を立てておるようでありますか、この計画を実行して行くためには、自治庁としては、二十八年度で大体どの程度の予算を、近く開かれる臨時国会に組むおつもりなのか、これをまず第一にお尋ねいたしたい。
  82. 小林与三次

    ○小林説明員 今お尋ねの問題でございますが、予算は実は自治庁といたしましては、大蔵省の方に要求はいたしておりますが、まだ具体的な数字は大蔵省の査定も受けておりませんので、きまつてはおりませんけれども自治庁といたしましては、二十八年度にわれわれとして最小限度できたらほしいという金額は、大体三十七億ぐらいの計算になつております。
  83. 滝井義高

    ○滝井委員 自治庁は内閣の閣議決定の方針従つて、二十八年度に少くとも三十七億の予算が必要である、こういうことでございます。そうしますと、現在大蔵省としては、災害その他の予算もあるし、米の供出奨励金もあるし、年末手当〇・二五の予算の問題もあつて予算の編成は非常に難航をいたしておると思いますが、少くとも町村合併促進法というものは、これはすでにそういう災害の起る以前から、既定の日本の地方自治体の苦悶を救うための重要な一つの政策として内閣も賛成し、衆参両院の地方行政委員会の非常な努力の結晶としてできた法案なのでございます。従つて、他の予算関係もあつて、いろいろ難航はいたしておるでしようが、三箇年間という寿命を持つておる法律でございますので、当然これは大蔵省としてもおそらく他の予算に優先はしないまでも、他の災害とかあるいは〇・二五とか、米の供出奨励金と同じ程度の比重を持つ予算として考えられておると思うのですが、大蔵省は二十八年度にこれをどの程度組まれる方針であるのか、それをひとつ御説明願いたい。
  84. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 補正予算につきましては、御承知のように、かねてから非常な編成難に遭遇しておるわけでございます。そのため町村合併の問題につきまして、ただいまのところどの程度を計上し得るかということは、いまだ目鼻が立たない状態にございます。確実なことは申しい上げられなのであります。
  85. 滝井義高

    ○滝井委員 大蔵省の鳩山主計官の今の答弁では、現在大蔵省としては二十八年度に町村合併促進のために、どの程度の予算を組むか見通しが立たないということでございます。しからば大体この合併促進法の寿命というものは二年間である、従つて二十八年度どのくらいの予算を組むかは見通しが立たないけれども、少くとも三箇年間に所要する額だけのものは、この閣議決定に従つて大蔵省主計局としてもできるだけやりたいという、そういうはつきりとした省議とでもいうものを決定いたしておりますか。
  86. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 町村合併の問題につきましては、将来の非常な経費節約とかいろいろな面で、財政上非常にけつこうなことであるということで、大蔵省といたしましても根本的な方針につきましては何ら異存がないのであります。むしろ大いに合併を促進いたしたいということで、法律もできましたので、これの促進に大いに努力いたすつもりでやつておる次第でございます。ただ予算に直接計上いたします部分については、合併に要します資金として、道路をつけましたり、役所を建てましたり、あるいは水道を引くとかいうような具体的な工事が、一番重要な問題になると考えておりますので、それらの問題につきまして各省の担当しております行政におきまして最大限度の御協力を得まして、合併に集中して行きたいというふうに考えております。そのような資金につきましては予算に計上いたすべきものは極力計上いたすべきものと思いますが、その他一般の金融ないし資金運用部資金をそれぞれのルートを通しまして、合併促進に使うというようなことが、一番大事じやないかとこう考えておる次第であります。なおそのほかにいろいろな行政処分でできる事項も相当ございまして、そのような現在の財政事情のもとにおきまして、三箇年間に最大限の成果をあげるということにつきまして、財政難とからみ合せまして最も能率的な手段を講じたい、こういうふうに考えております。
  87. 滝井義高

    ○滝井委員 どうも今の答弁は抽象的で、はなはだ不満でございますが、自治庁の方にお尋ねいたしたいのですが、多分内閣に町村合併推進本部が閣議決定で設定せられておると思う。その構成員は多分自治庁次長が出ておるのですが、次長がおいでになつておりませんので、政務次官でけつこうだと思いますが、こういう町村合併推進の本部ができて、そうしてこれは少くとも昭和二十八年度、すなわち本年度において、どの程度の町村の減少を来さしめるか、すなわち合併を具体的につくつて行くかということは、当然議題として上つておると思う。しかもそういう議題として上つたものを具現して行くための予算というものは、絶対にこの程度のものが必要であるということを、その推進本部では当然検討されておると思うのです。そしてそれは同時に大蔵省関係官も出て来ての上での話だと思う。ところがもう余すところ六箇月ないのですが、この予算が具体化して、いよいよそれが地方に流れるのは、今年の十二月過ぎ、来年の一月ぐらいになつてしまう。それでは具体的な合併はなかなかできないということになつて、今年の計画というものは、まつたく画に描いた餅にすぎないという形が十分出るわけです。     〔加藤(精)委員長代理退席、灘尾委員長代理着席〕  そこで自治庁としては今のような大蔵省答弁で御満足なのか、何かそれに対して積極的な手でも打たれておるのか、ひとつ御説明願いたい。
  88. 青木正

    青木説明員 先月十一日の閣議にお己まして、一応町村合併促進に関する閣議決定を得たのでありますが、これに基きまして推進本部を設けろということになりまして、その後推進本部の委員の人選につきまして、目下検討いたしておるのであります。近く発足することに相なつておりますが、いまだ具体的に各省と打合せをするという段階にまでは至つてないのであります。と申しますのは、町村合併促進法に伴いまする政令の関係から、目下折衝を重ねておりまして、政令が今月の五日にようやく公布になりまして、続いて今度は推進本部を設置して、先ほどの閣議決定の本年度中おおむね一五%という線に沿いまして、具体的にどのくらい本年度中実行できるかというような問題も、推進本部で検討して参りたい、かように思います。
  89. 滝井義高

    ○滝井委員 まだ推進本部の委員さえも決定していないという状態だということになれば、大蔵省答弁もごもつともな点もあるようにも感ぜられるわけでありますが、町村合併については、すでに各地方団体にこういう機運か動いている、十一月一日までぐらいには、各県に合併推進の審議会をつくれということであつたと思うのですか、そういうぐあいに地方にはやりなさい、やりなさいと非常に奨励しておつて、中央の方はまだ具体的に動き出さない、予算も見通しがつかないということでは困るのですが、大蔵省としてはそのための予算をいつごろになつたら、決定ができるおつもりでございますか。
  90. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 推進本部あるいは地方におきますいろいろな府県の合併促進協議会というようなものに、直接必要な経費につきましては、これは金額も大した額に上りませんので、予算措置は比較的容易につくのではないかと私ども考えております。ただ本年度合併いたします町村が、実際合併に所要するいろいろな工事費その他の経費につきましては、どの程度財源措置を要するか、まだ具体的計画が出ませんので、私どもとしてはちよつと推測がつかないのであります。事務経費につきましては極力早急に整理をいたしたい、かように考えております。
  91. 北山愛郎

    ○北山委員 この問題は、結局二十八年度で予算をどの程度つけるかいなかによつて町村合併が促進されるかどうかということがきまつて来ると思う。地方町村は、法律もできたし、合併をすればいろいろいいというようなことも、宣伝をされたと聞いておるのです。しかし問題は、合併の経費政府がどのくらい出してくれるかということにあるのだと思います。それを今注意をして形勢を観望しているのが実態じやないかと思います。ですから、今度の補正予算でもつて、合併促進の経費をつけるかつけないかによつて、この問題はきまるといつてもいいくらいだと思います。それからその費用の中でも、単に合併の啓発宣伝の事務費を置くというようなものでなくて、実際に町村が合併した場合に、その合併を統合実施をするような、何らかの施設なり事業なりの経費というものをもらわなければ、合併しても合併したかいがない。そういう経費を置くか置かないかによつてきまつて来るのじやないか。単に事務費の補助くらいでは、問題の解決がつかない。そういう点で、私ども地方の様子をまわつてみて感じた気持を率直に申し上げて、この事業をほんとうにやる気になるかどうか、これが今度の予算をつけるかつけないかによつてきまるという点を十分考慮せられて、思い切つて促進の経費を置いていただきたいと思うのです。しかもこの経費は、実際に予算を置いたからといつて濫費されるというものじやなくて、合併をすることを条件として出るような経費なんですから、合併をしなければ金が余つて、余つてというか使わなくて済む。してもしなくてもその金を使うというのじやない。だから、先ほどの話じやないが、条件つきの経費ですから、一応置いて、そうして促進をさせる。そうすればこの二十九年に合併の実績が予定の通り上るか上らないか、これが今度の補正予算で、大体きまるというような事情にあると思うから、その点を十分お含みの上で、大蔵省等においても、今度の処置については思い切つてつていただきたい、こういう希望を申し上げておきます。
  92. 門司亮

    門司委員 ちよつと私、大蔵省主計官に聞いておきたい。何かやるようなやらぬようなお答えではつきりしないが、これは政府から提案した法案ではないのであつて、問題は議員立法であります。従つてこの法律の制定を見るまでの間には、議員立法としてわれわれが十分な責任を果すことになりますので、それに関連して、大蔵当局は特に政務次官である愛知さんがここにおいでになつて、大体この法律を通しても、この法律に書いてある予算の処置はするという約束になつておるわけであります。従つてこの法律を通過させたという前提は、大蔵省においては、との法毎施行の際には、所要経費は大体出すということが、前提条件になつておるわけであります。これは政府の提出法案なら、いろいろものの考え方は別の考え方があります。少くとも議員立法であります以上は、政府委員会で責任をもつて答弁をいたしている以上は、金があつたら出す、なければ出さないのだというふまじめな、ふまじめということは言い過ぎかもしれませんが、そういうことでは私どもは了承するわけには参りません。従つてもう少しはつきりした答弁がどうしてできないのか。しかも閣議決定の内容をここで見てみますと、大体二十八年度には一五%くらいができるのではないかというような予定が書かれておる。そういたしますと、閣議においても大体そういうことは了承しておつたのではないかと、われわれはいわざるを得ない。法律を通すときにはそういうことにいたしましたが、通つてしまつたあとはどうもそういうことに行きませんからということでは、政府の御都合できめた法律なら、それでよいかもしれませんが、議員立法でやつて、しかもさつきも申し上げておりますように、これを十分に権威づけるためには、大蔵当局の意見を聞かなければ、われわれはわれわれの法案として通すわけには行かないということで、慎重な態度をとつております。従つて今の御答弁のようでは、はなはだわれわれ不満足であります。課長さんとしては、あまりはつきりしたことが言い切れないというなら、それでよろしゆうございます。あとでいずれ責任のある方に出ていただいて聞きますが、どうなんですか。この法案の立法の趣旨に沿うてやるということは言えないのですか。
  93. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 先ほど申し上げました通り大蔵省といたしましても、一応町村の合併につきまして非常に推進いたしたいと、かねぞれ考えておつたところでございます。議員立法をしていただきまして、これについては大いに促進いたしたいという気持にはかわりないと思います。ただ今度の補正予算におきまして、幾らを計上するかというようなことは、まだ大蔵部内といたしまして補正予算編成方針はきまつていない状況であります。今申し上げられないという趣旨は、政府部内でもきまつていないということでありまして、決してこの法律を無視するとかいうようなつもりはございません。
  94. 門司亮

    門司委員 もう少し先を聞いておきたい。そうだとすると、大体閣議で了承を得られておると思いますが、われわれの手元にあるものを見ますと、一五%くらいのものが実行されるであろうということの大体の目安はついておる。従つてこれを実行するに事欠かないだけの予算的の措置はするということに解釈してよろしゆうございますか。
  95. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 それは私といたしましては、部内でもいろいろ手続がございまして、上の方の決定を待たなければ金額もわかりませんので、はつきりそれは申し上げられません。ただいまのところ部内で私の聞いておるところでは、まだ方針を確定しておりませんので、どなたがお見えになつても、ちよつと金額を申し上げるわけには行かないのであります。
  96. 門司亮

    門司委員 私は金高を聞いておるわけではない。ただ方針だけを聞いておけばよい。さつき言われましたように、この委員会でもそういうことを条件にして——条件にしてということを言つてもいいと思いますが、十分な了解を得て立法をしたと、われわれは考えておる。同時に閣議でも大体の目安として一五%くらいを出したいということで、こういうものが出ておると思いますので、従つてそこまでは具体的に行つておる。あとは金がどれだけいるかどうかという数字の問題は別にして、ただそれだけの責任を持つてやるかやらぬかということです。金高は自治庁から出ておる。今の自治庁のお考えのような、大体三十三億を本年度必要だというようなことが妥当であるかどうかということは別途の問題だ。数字の問題はいろいろ検討されることだと思いますが、少くとも今までの経過だけは、責任を持つてやるということに政府考えが願えるかどうか。  もう一つこの機会に聞いておきたいと思います。これはちよつと話が前にもどるようでありますが、北山君の先ほどの質問に対して、自治庁答弁が非常にあいまいであつたように思いますので、もう一度聞き返しておきます。地方自治法の二百十三条によると、非常に重要な財産を処分あるいは他に貸すような場合に、もし必要があれば住民投票に問わなければならぬということが書いてある。そうすると、さつきのようなことは非常に重大な問題だ。住民投票に問うて住民が否決したらどうなるかという疑義が残るのではないか、そういうことは国の一存だけで、そう簡単にできるということにならないのではないかと思います。財産権は住民に最後の決定権を持たしておる。そこで住民が決定するということになると、国が力を持つているからといつて、国権で左右することはできないと思いますが、その辺の解釈自治庁としてはどうですか。
  97. 小林与三次

    ○小林説明員 さつきのお話の問題でございますが、実はわれわれといたしましても、いろいろ問題にもし、意見もいろいろあつたわけでございますが、法律上どうしても許せないかどうか、こういう問題になりまして、結局いろいろなことを考えて、あのことならば憲法の範囲内においてということで、さしつかえないんじやないだろうか、こういうふうに自治庁の方でも了承した形になつて、きまつたのでございます。
  98. 門司亮

    門司委員 憲法の範囲内といいますが、憲法でも公有財産はみな取上げてもいいとは書いてない。ただ財産権の処分については憲法二十九条に、私有財産は無償でこれをとつてはならないと書いてある。しかしこれは一つの私有財産かもしれないが、地方の公共団体も法人であることには間違いない。それから同時に、さつき言いましたように、これは条例で、非常に大きな財産等の処分については、当該市町村住民の投票に付さなければならないということが書いてある。そうすると財産の処分を住民に何も聞かないで、憲法の範囲でというが、どの辺が憲法の範囲かというのです。憲法の範囲でやれば何でもいいということになると、法律と憲法の解釈ですから、法律自身が憲法を侵してはならないことはわかり切つておるのであつて法律が憲法を侵しておるとは私は考えないのだが、さつきの答弁と今の答弁とを聞いておりますと、私は非常に不安なのです。もし大蔵省がそういう考え方であるとしても、自治庁としては単に憲法に違反しない範囲ならと言いますが、これはもう少し研究してみたらどうですか。私が考えますのに、自治法からいうと公共団体の財産の最後の決定権は、住民が持つておるというふうにしか解釈できないのです。その住民の意思をきかなくてもやれるという憲法は、私はないと思うのですが、この辺はどうなのですか。
  99. 小林与三次

    ○小林説明員 今お話通りでありまして、公共団体と国とは一応違う団体で、単に国家機関ではないわけでありますから、今お話通り、国家といえどもそうかつてなことは、自治団体の財産に対してできる道理はないと考えております。それは当然自治法の趣旨でもあるだろうと思つておりますが、今度の場合には、それなら具体的な財産がそれによつてただちに処分されるというような効果の発生は、すぐに起るわけではないのでありまして、ある町のある財産がどうこうなるということになれば、これは当然住民の意思も考慮されなければできないのでありますが、あれはきわめて一般的な、しかも間接的ないろいろな条件が加わつたあとの一般的な規定でありますので、許されるのじやないだろうか、こういう考えを持つておるのでございます。
  100. 門司亮

    門司亮君 そうしますとますますおかしくなるのです。問題はきわめて簡明だと思うのです。財産の処分権というものの最後の決定権は、住民にあるという解釈がつけば、その最後の決定権を持つ住民の意思も聞かないで、もしものがきめられておつた場合には、その猶余処分をするときに住民が反対したら、一体どうなります。それでも憲法に違反しないのだからと言つて、国が取上げることができるかどうか。かつてこういう例がないわけじやありません。警察の持つておる財産を国が無償で取上げた例があります。そのときは特別の法律をこしらえて取上げたのであります。法律をこしらえてやればやれると思いますが、しかしあの場合には必ずしもこれが重要な財産であるかどうかということは考えものであつた。警察の持つております財産の中には、われわれから見て警察の行政を執行する場合には必要かもしれないが、一般に財産としてこれがきわめて重要な財産であるとまでは考えられなかつたかもしれない。しかし法律をもつてすれば何でもできるということかもしれないが、少くとも現行法を建前にとつて行こうとすれば、やはり私は決定権は住民にあると思う。そこで自治庁としては住民が最後の決定権を持つということを再確認されるかどうか、もう一度聞いておきたい。
  101. 小林与三次

    ○小林説明員 具体の財産が具体的に動くということになれば、当然住民の意思、あるいは住民の意思が正当に代表されておる町村の意思というものを基礎にすべきものだと私は考えております。しかし今のはあれによつて当然に具体の財産か具体的にどうこう動くという効果が直接に発生するわけではありませんので、さしつかえないのじやないかというふうに考えております。
  102. 北山愛郎

    ○北山委員 今の答弁のような考え方をすれば、現実に、たとえば保証の債務の問題もそうなんです。予算総則にそんなことを書く必要はない。現実に契約した保証債務が起つて来たときに予算考えればいいのであつて、あらかじめ法律をつくつてみたり、あらかじめ予算総則にああいう金額を計上してみたりする必要はない。だから政府は原則として憲法なり法令によつて縛られておるのです。それ以上逸脱する行為は原則としてはできないので、だからして今度の保証債務を負うという場合においても、あらかじめ法律をつくつて国会の承認を得、それから予算の上にその保証限度をあげて、はつきりしておるわけなんです。それ以上のことをやるというのには、やはり別個の法律をつくるなり、承認を得なければ、政府としてはできないと思います。それはたとえば地方団体の問題もそうです。結局これをたとえてみれば、自分の娘が大きくなつた場合に、よそへ嫁に行くときには、あなたの同意を得るようにいたしますという約束をするのだ。今は嫁に行くわけじやない。まだ小さいからさしつかえはないのだ。娘が結婚するときにはあなたの同意を得ます、そういう約束をすると同じです。それは結局娘の基本的人権を侵害しておる。それと同じだ。今現実に嫁に行かぬからこれは実害がないのだというようなりくつはへりくつです。どうですか。
  103. 小林与三次

    ○小林説明員 ただいまのお尋ねでございますが、それは確かに問題はあるわけでございます。しかしながらその具体の財産がただちに具体的にどうこうということになれば、これは当然にその団体の意思を無視して一方的にやるためには、それだけの必要な法的根拠というか、あるいはものがなければ無理だろうと思うのであります。しかしながらあれによつて具体的に団体の財産の帰属とか運命にただちに処分の効果が現われるわけではないのでありまして、その程度の段階ならば、ただちにそれだけのことを要求しなくてはならぬというほどのこともないのじやないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  104. 北山愛郎

    ○北山委員 少ししつこいようですが、今後もこの問題はむし返されると思うのです。たとえば政府の財産についてもそうなんです。すでに国有財産法によつて国有財産の処分管理については法律によつて制限を受けておる。憲法ばかりではない、すでに法律で一定の制約を受けておる。それ以外に逸脱した行為を政府がやる権限はない。単に憲法の範囲内というけれども、具体的に憲法のもとにおける法律によつて制約を受けておるのであつて、その法律のもとで政府が行動しなければならぬわけです。それ以外のいろいろな制約があるわけです。だからして、単に憲法の範囲内で政府が適当に措置するというようなことで、自由に将来何か措置をすればいいというものではなくて、すでに法令の制約を受けているのだからという疑問もあるわけです。私どもは初めてこの問題を正式に政府から聞いたのですから、今後さらにこれはわれわれの方でよく研究もし、さらに問題があれば質問なりいたしたいと思つております。きようは私はこれくらいでとどめます。
  105. 床次徳二

    ○床次委員 先ほど以来町村合併促進法の対策について御質疑があつたのであります。これは実際現下各方面におきましても非常な輿論になりまして、この機運が来ておりますことは政府も御承知の通りであります。政府としましてはこの法案の趣旨に基きまして、が、その政令の内容を見て参りますと、当然これは政府が相当の補助をし、なお特殊な事業に関しましては合併促進のために、特別な援助をするという規定も、もちろんこれは法律にありますので、政令にも加えられておる、大体の補助の方針も明らかになつているわけです。これに基いて、先ほどから御質疑がありましたごとく、予算考えなければならぬわけでありますが、大体この政令によりまして方針が明らかになつておる。この機会に、政府からその補助金また特殊の補助に要する規則に関しての方針を、具体的に御説明いただきたいと思います。特にこの点を強調いたしますのは、従来ありまするところの予算のわくの中から、これを優先的に実施するという程度でありましては、とても今回のごとき大事業はできない。やはり合併促進に関しましては、別個の項目におきまして、合併を中心とした助成、補助というものが、当然必要になつて来ると思うのであります。先ほど以来、合併促進に対するいろいろな思想宣伝とか、事務的な経費の要望がありましたが、それ以外に、特にかかる意味の特殊の補助並びに事業費等の予算計上が必要だと思うのであります。この点に関しまして一応自治庁から御説明をいただきたいと思います。
  106. 小林与三次

    ○小林説明員 大体この間出ました町村合併促進法の施行令の十二条によりますと、「国が町村及び都道府県に対して交付することができる補助金は、町村合併に関する調査及び計画の作成、町村合併に関する啓発宣伝の実施、町村合併促進審議会及び町村合併促進協議会の運営その他町村合併を促進ずるための事務に関する経費の一部」こういう政令が出たのでございますが、ここに列挙されておりますのは、先ほどいろいろお話が出ておりました通り、合併を進める事務的な経費が、主としてここに列挙されておるのでございます。そこで、そのほかに合併を促進するための事務に関する経費として、今いかなるものが考えられるかというので、この政令をつくる際にもいろいろ論議がありましたが、それらはあげて予算折衝の問題にしようというので、そこは政令の方では具体化されていないのであります。われわれが考えております必要とする経費と申しますのは、一つ府県に対する補助と、いま一つは具体の合併を行う町村に対する補助と両方あるのでございまして、個々の町村につきましては、こうした啓蒙宣伝とか計画作成の事務経費のほかに、町村合併をやれば最小限度三役、特に助役とか収入役等の退職の問題がどうしても発生する。任期中にやめてもらうのでありますから、これはどうしても、退職金というものは一時に相当な額各町村において必要とせざるを得ないのであります。その臨時特別の支出というものは何か考えなければならない。それから合併をやれば役場を統合いたしますので、どうしても旧庁舎では手狭な場合がありはせぬか。そこで多少の庁舎の拡張というか、整備費というものがどうしても考えられる。そういう臨時的な経費を必要とする。その他事務の承継等につきまして、合併ないし廃止の問題になれば、町村としていろいろ行事等もやらざるを得ないので、そうした経費がどうしてもいるだろうという問題が一つあるのであります。それとともに、合併をやれば、先ほどいろいろお話が出ておりました通り、場合によつては道を通ずるとか橋をかけるとかいうことを、最小限度やらなければ統合の実が上らぬ、また統合しようにもしようがないという場合があり得るのでありまして、そうした最小限度の事業につきまして、ただ国が町村に直接ばあつとやるのも必ずしも適当でないので、県の段階においてふるいにかけて、県においても必要だと認めて県が補助した場合に、その補助費の半分を国が見る。そうした意味の事業費というものが、実際の合併の遂行上どうしても必要があるに違いないというので、その種の事業費の補助をわれわれとしてはぜひいただきたい、こういうふうに考えておるのでございます。それが一番主要な問題でありまして、また事実金額から申しましても、それが一番かさばつた金額になりますので、ここで今予算上いろいろ折衝なりが続けられる必要のある問題だと存ずるのでございます。
  107. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま御説明になりましたところの、県が合併町村に対して補助したものに対して、国が補助するということはまことにけつこうだと思いますが、なお、従来合併計画中に盛られました各種の事業において、合併関係に対しましては、優先的に政府が補助するということになつておる。こういうものに対しましても、特に合併を標準としました範囲において、経費を多額に計上する必要があるのじやないか。これがそうでありませんと、合併のなかつたところにおきましては、ほとんどその方面に必要な事業費のわく等が食われてしまうという懸念があるのであります。例をとつて申しますれば、たとえば鹿児島県あるいはその他の数府県の一部におきまして、相当規模の大きな町村がある。こういう府県におきましては、優先的に他に配属せられますために、事業の範囲が縮小するというような懸念も生ずるのではないか。かかることのないように、やはり合併事業に関連いたしましたものにつきましては、別個にできるだけわくを持つということが必要なのではないかと思うのであります。そういう方面におきましても政府は考慮せられる必要があると思うのでありますが、この点に関しまして当局はどういうふうにお考えになりますか。
  108. 小林与三次

    ○小林説明員 ただいまのお話もしごくごもつともでございまして、この合併の仕事について、先ほど鳩山主計官からもお話がありました通り、各省それぞれ仕事の総力をあげて、そこにできるだけ重点を仕向けて努力いたしたい、こういう考えを持つておるのでありまして、われわれといたしましても、直接町村の合併上必要な各省関係の諸般の施設その他事業につきましても、できるだけその精神にのつとるに足るような経費が計上され、しかも運用されることを非常に期待しておるものでありまして、できるだけその方向に持つて行くように努力いたしたい考えでございます。
  109. 床次徳二

    ○床次委員 なお先ほどのお話では、府県が合併町村に対して二分の一負担し、その二分の一を国が負担するということになつておりまするが、これはいい仕事でございまして、できるだけ府県も補助すべきだと思いますが、現在におきましてはなかなか府県におきましてもこの点困難があろう、この点に関しましてもやはり政府におきましては、この合併の法律の建前からいいまして、府県段階におきましても、合併促進に役立つように、特別な援助が必要ではないか、またそういう啓蒙指導も必要だと思うのであります。この点に関しまして、大体の見込みはいかようでありますか。
  110. 小林与三次

    ○小林説明員 お話のごとく、府県といたしましても、実は合併の推進指導のためには、相当な経費を要するのでありまして、現に合併計画もむしろ府県において全県的に総合的に立てて、その総合的な計画に基いて、個々の市町村が合併に努力するという態勢をとることが必要なのでありまして、従来の合併の実情を見ましても、ずいぶん府県で力を注いでいるのでございます。それで、そういう意味におきまして、府県において必要とする経費につきましては、国といたしましても当然これは見るべきだと考えておるのでございまして、町村の合併の指導促進のための経費とか、府県に設ける町村合併促進審議会の運営に要する経費、そういうものにつきましては国としてでも相当額を補助しなければならないというので、関係経費大蔵省の方に要求しているところであります。
  111. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいまの床次委員質問に対する御回答の中に、何でも町村合併に要する町村経費の二分の一を府県が補助して、その二分の一を国が補助するというようなことを承りましたが、そういうことが政令の中に入つておりますのかどうか。
  112. 小林与三次

    ○小林説明員 今のお尋ねの点は政令の上には現われておりません。先ほど読み上げましたのが補助に関する政令の規定でございます。
  113. 加藤精三

    加藤(精)委員 次に優先助成の問題ですが、具体的にお尋ねしたいのでありますが、この前加藤委員から政務次官に御質問いたしまして、実例をとつてでないと大蔵省から逃げられるおそれがあるから、実例をとつて質問すると申しまして、具体的に昭和二十七、八年度の国の予算では、保育所は全国で百三十箇所内外、それを町村合併の最も中心になつているような、たとえば二十九年度に際して何百という町村が合併する場合におきまして、この保育所の国庫補助が百三十箇所だけであるならば、それは優先助成の原則に従つて全部の国庫補助の箇所が合併町村などにとられてしまつて、保育所の最も必要なところでも合併しなければ助成できなくなる、そういう考え方からいたしますと、どうしても若干の別わく予算をとらなければとてもやつて行けない、それで例年度の予算編成従つて百三十箇所ぐらいであるならば、それを合併促進法の優先助成を可能ならしめるがために、二百箇所ぐらいそういう種類の法案に列挙してあるような助成については考えてもらえないか、すなわち別わく予算をとることであるかというお尋ねをしたら、別わく予算をとることだ。そうした方針予算を編成してくれる気があるかと尋ねましたところが、その二百箇所か百九十箇所になるか百八十箇所になるかは予算の都合だが、そういう町村合併優先助成を可能ならしめるために、別わく予算を準備することにするという愛知政務次官の回答だつたのであります。そういうような点につきまして、先ほど予算編成の都合で、全然そういう町村合併促進法を通過させるときの大蔵省の公約も、何もかもみな御破算にして、計上しないのだというように、鳩山主計官の御答弁は聞えるのですが、公約は守るのかどうか、そこを鳩山主計官からはつきりお聞きしたいのであります。
  114. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 愛知政務次官のこの委員会におきます御答弁は、私は正確にはちよつと記憶していないのでありますが、ただただいま具体的な例といたしまして、保育所の場合のお話をいただきましたが、この場合にたとえば同じ条件にあつた場合、片方は合併をすることになるといつた場合に、それは合併する町村の方に優先的にやるというようなお話があつたのじやないかと存じます。その結果従来と今度合併を要します分が、まるまる全部追加となつて新規に工事がふやせるかどうか、その点は予算編成などとにらみ合せた上で、決定いたすべきかと存じますが、少くとも合併町村よりも、より優先的な保育所をつくるようにしなければならない必要があつた場合は、そつちの方が緊急だから、優先するのじやないか、こういうふうに考えていいのじやないかと思つております。
  115. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいまのような御答弁は、普通の役人はするに違いないのですが、大体町村合併促進法案というものが、いろいろな合併の際の支障除去とか、あるいは優先助成という措置を講ずることによつて、誘い水をして、そうして井戸水が出るようにするという趣旨なんで、その精神から考えて、ただいまのような御答弁ではさつぱり意味がないのであつて、本気に町村合併、に対して、大蔵省が協力するかどうかという気持が中心なんです。愛知政務次官の答弁のことはよく読んでいないと言うが、こういうところに御臨席になるときは、関係の速記録を読んで勉強して来てくださることが必要なんです。はたしてしからばどの程度にこの合併促進法についてお考えになつておるか、予算編成にからんで、具体的にお尋ねしたいのですが、さつき府県の協議会とおつしやいましたが、府県審議会ですが、その審議会をつくつて府県が大々的に今命がけになつてつているわけです。これが完成すれば、年間三百億円くらいの経費節約になる。大蔵省として少しの予算を出して、そしてこれから年々相当な国費の節約になることだから、これは相当な助成をしなければ大蔵省自身が損なんです。それは別としてそうしたような国家の行政の根底を強固にし、国家行政の節約の基礎を定めるものであるから、国の支出すべき経費だ。また府県がやつてもこれは国の事務だろうと思う。機関委任の事務だから、これは府県審議会や府県自体町村合併に費すところの経費は、国で全額持つだろうと思うのですが、その予算査定をなさるときの心構えは、府県の固有事務で、何ら国家が関与しないというふうにお考えか、あるいは機関委任の国の事務だというふうにお考えになるか、そこのお心構えを承りたい。
  116. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 府県におきまする町村合併促進に要する事務が、法律的にはあり得る。これは府県自体の固有の事務ではないと考えまして、府県経費についてはなるべく国で全額を持つか、あるいはどの程度府県に御協力を願うか、その点はまだちよつと未決定でございますが、なるべく多額を国が持つような方針の方がいいのではないかと思います。
  117. 加藤精三

    加藤(精)委員 続けて簡単に申しますが、国で大規模な行政整理をするときは、平時の二倍ぐらいの行政整理の退職資金を出しますが、これは国家の行政の基礎を固め、国家経費の節約を年々三百億円するために町村合併をやるのだから、それに今度は事実上の行政整理です。町村長の数を少くしたり、吏員の数を少くしたりする。これに対して国実の官吏の行政整理のときの際の退職資金の特別優遇と同じ考え方で、この行政整理の退職者の資金を出す、これは国家の利益のためだから、これについても国家で十分助成するというお考えがあるかどうか、これも承りたい。
  118. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 ただいまの点につきましては目下研究中でございまして、まだはつきりした結論が出てないわけでございます。
  119. 門司亮

    門司委員 この問題は、この間の税法の改正で、例の国鉄その他の直接事業に供していないものに税金をかけることになつているのでありますが、最近話を聞いてみますと、自治庁で査定しました当初の三億くらいの金だと言われておつたのが、地方現実に当つてみると相当ふえるように考えられる。従つて国有鉄道の方では、二十九年度から実施されるのならかまいませんが。二十八年度から実施されることになりますと、予算の上でそれだけどうしてもマイナスができる。こういうことで別に法を定められたことに文句はないのだが、予算執行上少しさしつかえやしないかという話がある。従つて自治庁はこれの徴収にあたつて、政令か何かでいいと思いますが、当初の見込額くらいにとどめて、国有鉄道の経理の面に、あるいは大きな赤字といいますか、狂いの出ないような方法を講じてもらうことができるかどうかということであります。国有鉄道は御存じの通りこれはいろいろな問題を持つておりまして、ややともしますと、一方を押えて行くと、それが今度働いておる人間の勤務に影響して来たりなんかして問題を起したりすることになりはしないかと思う。従つて年度半ばでありますので、国有鉄道としては当初予算考えていなかつたのでありますから、そういう財源処置があつた考えられたらどうかというわれわれの考え方があるわけです。この点について一応当局の意見を聞かしていただきたいと思います。
  120. 青木正

    青木説明員 国鉄に関する例の固定資産税の関係の問題と思うのでありますが、実は運輸省側と私の方と大体予想される物件をお互いに出し合いまして、主として運輸省側から材料を提供してもらつてつたのですが、それに基きまして問題のない点は両者問題なしに——たとえば直接国鉄の用に供さない設備とか、はつきりしたものはいいのでありますが、それ以外の問題になりますと、なかなか議論がありまして、両者お互いに品目ごとに検討し合つておるのであります。なるべく早く政令をきめなければなりません関係上、急いでおるのでありますが、私まだその結果両者の意見が一致して政令を出すに至つたというようなところまでは聞いていないのであります。しかしお話のごとくこれは参議院でも問題になつたのでありますが、その結果として国鉄側が非常な負担を受け、そうしてそれがたとえば従業員の社宅と申しますか、公社のそういう建物に課税になる結果として、従業員の待遇にまで非常な影響を及ぼすということになりましては、私どももこれは考えなければならぬと思うのであります。しかし今日までの経過におきましては、そうした従業員の待遇にまで影響するほどの課税ということはおそらくないであろう、かように考えられたわけであります。最終的にどの程度の課税になりますか、私まだ最終的の結果を聞いておりませんので確答は申し上げられませんが、われわれの方としましても、そこまでの障害を来すようなことは万々あるまい、さような考えで交渉いたしております。     〔灘尾委員長代理退席、委員長着席〕
  121. 西村力弥

    西村(力)委員 質疑も大体終了したと思いますので、町村合併促進法の制定にあたりましては、これは議員立法でございまして、私たちといたしましては全会一致であり、異常なる熱意と期待をかけて、この法を成立させたわけなのでございます。そのことが全国に異常なる反響を及ぼしているわけでございますけれども、われわれといたしましては適正なる規模の町村をつくることによつて地方自治を確立し、日本の民主主義の基礎を確固たらしめなければならない。こういうことを主眼としており、副次的にはそのことによつて地方財政の不況というものが幾らかでも救われる、こういう立場をとつて来ているのでございます。それでこの法そのものを住民の十分なる理解と納得の上に具体化するために、ただいままで各委員からそれぞれ質問があつて、その要点に触れたわけなんでございます。ただ大蔵省からおいでになつたのは鳩山主計官だけでございまして、鳩山さんは、この間は危険校舎の問題について加藤委員から相当のきつい言葉をいただき、本日はまた一手にいろいろな質問を受けられおりますけども、その御答弁の御様子を見ますると、誠意はあるあると言いましても、大蔵省当局の法の意義そのものに対する認識が、まだ十分でないというぐあいに思われるのです。それでその蒙を開くというか、その苦しい立場を開くために、私たちはここで委員会の決議として強くわれわれの意思を掲げなければならない、かように思つているわけでございます。当委員会の決議は単なる儀礼的なものでなくて、すでにこの決議なるものがいかに強硬であり、自治庁側としては勇気凛々たらしめるものであるか、また大蔵省においても素直にそれを受取つてもらわなければならぬきついものであるということは、この前の第十六特別国会開会劈頭地方財政赤字解消に関する決議、その決議を実現するための委員長初め各位の努力、こういうことによつてすでに実証されておる、こう思うのでございます。それで本日の決議、これから読み上げますが、これを全員一致で可決願つて、この趣意の達成に努力願いたいと思うのであります。  それでは決議の文を一読いたします。    町村合併促進に関する要望書   町村合併の促進は、ひとり町村の行財政能力を充実せしめ、地方自治の基盤を拡大強化するばかりでなく、自治の運営を合理化して住民の負担を軽減し、かつ国政全般を通ず  る行政の合理的運営を確保するために現下喫緊の要務である。ことに近時不幸にして災害相次ぎ特に弱少町村の復興は遅々として進まない現状に徴するにも、強力な町村の誕生はその復興の基礎をなすものといつても過言ではない。   町村合併促進法は、今後三年間に、全国的な町村合併の大事業を遂行することをその趣旨とするものであるが、これがためには、政府においては、各省庁あげて異常な決意を持ち勇断事に当ることが必要であると信ずる。  本委員会は、全員一致の議決により、同法の適切な運用により、あらゆる障害を克服してすみやかに町村合併の画期的大事業を完遂することは、国政運営の基礎を固めるゆえんであることを確認し、政府において左のごとき措置をとられんことを強く要望する。   一、町村合併の大事業の成否は、一にかかつて町村合併促進法の運用に関する関係各省の積極的協力のいかんにあるのであつて、この協力態勢を早急かつ強力に確立すること。   二、町村合併の実施を促進するため町村及び都道府県に対する補助金並びに町村合併促進のため国において要する経費については、本年度補正予算から昭和三十年度予算にわたり町村合併促進法の目的を真に達成するに足るに必要なる額までは必ずこれを計上すること。   なお、町村合併を促進するための特別経費は、その一部を従来特別平衡交付金より支出しているが、大災害の発生等により特別の財政需要が著しく大なる事情にもかんがみ、特別の予算措置を講ずべきもので、特別平衡交付金より交付すべきものではないこと。   三、新町村建設計画の実施を促進するために、必要な関係各省庁の財政上の援助に要する経費及びその直轄事業のため要する経費については、法の趣旨を十分に達成するに足る額を計上し、かつ関係予算の優先的取扱いの方針を確立すること。   四、地方債の総額を拡大し、新町村建設計画の実施にかかわる事業に要する経費に対しては優先的に地方債を充当し得るよう措置すること。   右決議する。  以上でございます。
  122. 中井一夫

    中井委員長 お諮りをいたします。ただいま西村力弥委員から、町村合併促進に関して決議したい旨の御提案がございました。つきましては本委員会として政府に対しさよう決議をいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 中井一夫

    中井委員長 全員一致賛成。御異議なしと認めます。さよう決定いたしました。  なお字句の整理、手続等につきましては、委員長に御一任あらんことを希望いたします。  さように決定をいたします。     —————————————
  124. 床次徳二

    ○床次委員 過船委員長に対しまして奄美大島の実地調査に対し、当委員会より派遣すべきことに対する意見を申し上げたのでありますが、あらためて動議の形におきまして申し上げてお諮りをいただきたいと思います。奄美大島の実情につきましては、先刻石井南方連絡事務局長より報告のありましたところによりまして、わが国といたしましては、すみやかにこれが受入れ態務を整える必要があると存じます。しこうして政府といたしましては、すでに係官を派遣いたしまして、一応の調査をいたしたのでありますから、本委員会といたしましてもすみやかにその実情を確認いたしまして、正式返還手続のある日に備える責任があると存じますから、適当なる時期、方法において本委員会より現地調査のため、委員諸氏の出張を煩わすべきものと存じます。  ついてはその時期方法等については、向島引渡しに関する日米両国政府の交渉の経過とにらみ合せる必要がありますから、これを委員長に一任し、委員長はただちに理事会の意見をとりまとめ、議長ともしかるべく御相談の上、適当なる措置を講ぜられるようせられたいと存じます。  右奄美大島実情調査の動議を提出いたす次第でございます。よろしく御賛成を願います。
  125. 中井一夫

    中井委員長 お諮りをいたします。ただいま床次委員より奄美大島実情調査に関する動議の御提出がございました。右動議の通り決定して御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めさように決定をいたします。     —————————————
  127. 加藤精三

    加藤(精)委員 選挙に関する常時啓発経費の問題でございますが、われわれが選出されております山形県は、全国に先がけて公明選挙の運動を起しまして、投票率といい、その他の成績が比較的いいのでありまするが、これの実情を見ておりますると、あるいは婦人会、青年団が自発的にこの運動を巻き起し、あるいは市町村の末端に至るまで集団学習その他の方法をとつて、こまかくやられて、選挙生活との関係を結びつけんといたしておりまするが、何といたしましても日本は民主政治に習熟すること浅く、また婦人の大量が新しく選挙に参加いたしましたために、十分にアメリカ、イギリスのように生活選挙とが結びついていない、それから選挙がどうも地に足のついた形に行われがたいというような状況から考えまして、これについて特に政府の方としては、常時啓蒙宣伝経費について御考慮をいただくことが必要だと考えるのでありますが、幸いに本日は大蔵省主計官も来ておられますので、それについての御意見を承りたい、こう思つております。
  128. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 公明選挙運動に要します経費につきまして、従来は衆議院あるいは参議院の総選挙、あるいは普通選挙の際は力を入れて行つて参りましたが、本年からは常時啓発経費といたしまして、新たに経営の状態におきます経費を計上いたしたのでございます。従来よりかわりまして常時啓発の必要性に対しまして、そのような措置がとられたと存じております。これらの運動につきまして、その重要なることは、万々承知いたしておる次第であります。
  129. 門司亮

    門司委員 今の加藤委員の御質問に対して政府の御答弁があつたのでありますが、もうこういうことは公職選挙法の六条に御存じのように、はつきり書いてありまして、大体今ごろこういうものが考えられるということが、実はおかしいようなものでありますが、しかし事実はそうではなかつたのでありまして、どろぼうをつかまえてなわをなうというようなことをやつておりましたので、従つて今の御答弁に即応いたしまして、本委員会といたしましては、選挙の常時啓発に関する件について、一応決議をいたしたいと考えるのであります。    選挙の常時啓発についての財政措置に関する件   民主政治を確立するためにはその基盤である選挙が公正に行われることが必要である。   これがためには選挙に関する常時の啓発を実施することがその要諦である。   よつて政府においては公職選挙法第六条の規定趣旨にかんがみすみやかに必要な財政措置を講じ遺憾なきを期すべきものと認める。  以上であります。提案理由の説明は省略させていただきますが、ひとつ御可決を願いたいと思います。
  130. 中井一夫

    中井委員長 お諮りをいたします。ただいま門司委員から選挙の常時啓発に関する決議案が御提議になりました。これによつて政府に対し、当委員会の意思を強く要請せんとするものでありますが、これを決定するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さよう決定をいたしました。  なおこの決議案に関しまする字句の整理、手続等につきましては、委員長に御一任あらんことを希望いたします。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決定をいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時七分散会