○
中井(徳)
委員 ただいま上程にな
つております
地方財政平衡交付金法の一部を
改正する
法律案につきまして、私
ども日本社会党は、次に申し上げる
ような理由によ
つて、はなはだ残念ではありますが、反対せざるを得ないのであります。
先ほども北山
委員からお話がありましたので、多少重複はしますけれ
ども、シヤウプ勧告によりまして、
平衡交付金の制度ができました。そのときには、
全国の
自治体は実は非常に喜んだ。公正なる基準によりまして収支を
計算し、その差額は優先的に国家が
予算に盛るという
ような
趣旨でありました。当然それは盛らるべきものであるという
ような
趣旨が貫かれておつたわけであります。その根本の原則がぐらぐらするならば、シヤウプ勧告そのものが、実は全然
意味がないのであります。このことにつきましては、
自治庁の
事務当局の皆さんにおかれては、十分御案内の
通りだと思います。しかるに毎年々々
平衡交付金の金額を見ますと、この制度が少しも認められていない。逆に国が金をくれまして、それに押しつける、毎年々々
平衡交付金法を
修正するというふうな、まことに本末転倒の醜態を繰返しておる次第であります。すでにこれは数年に及ぶのであります。そして歴代の吉田内閣は、健全
財政である、国家が黒字
財政である、竹馬の足を切
つて黒字
財政が確立された、
日本の経済界も逐次安定をしておる、こう言うのでありますが、
日本全体の
予算といたしましては、単に国の
予算だけではありません。国の
予算とほとんど同額に及ぶ
ような、いわゆる
自治体の
予算があるのでありまして、その
自治体は毎年々々
赤字で大弱りである。天下でこれほど大うそはないと私は考えております。
地方財政には、軍事
予算はございません。
地方財政が扱
つておりますのは、民生安定に対するものであります。歴代の吉田内閣は、民生安定を言
つておりますが、その実は何にもない。こういうひどいことをや
つていることが、この
平衡交付金の問題
一つを取上げてみても、私
どもは
はつきり言えると思うのであります。そして
地方自治体はずいぶん膨脹をしておる、国家公務員よりも
給与は高いということを言いまして、それを
全国の新聞なんかに流すのであります。それは
全国には一万数百の
自治体がありますから、百や二百は国家公務員よりも多いところはありまし
よう。あるいは千や二千はあるかもしれません。しかし大方の
自治体の連中は非常に
赤字で、歯を食いしば
つてこの数年をや
つて来ております。そのうちのきわめて一部のものを取上げまして、大きく宣伝しておる。そして
地方財政は
もつと
節約しろと言うのであります。じ
ようだんじやありません。
節約の必要なものは、私はまず国家
財政だと思います。現に
昭和二十七年の決算を見ましても、保安隊の
経費は二百億近く余
つておる、そしてあれだけ騒いで、今度自由党と改進党でお話合いをなさ
つて、鬼の首で
もとつたようにしてまいたのが、五十億であります。な
つてないと思う。われわれは
もつとまじめな内政をや
つてもらいたいと思うのであります。この
ような
状態でありますと、そのうちに、内政はでたらめである、何かひ
とつ機構をつくらなければいかぬ、また内務省を復活し
ようかという話が、私は必ず出るのではないかと思うのであります。よく御存じでありながら、こういう
状態をそのままほう
つてあるという
ような、国民生活の上にあぐらをかいておる
ようなこういう
財政については、国民の名においてここに憤懣にたえない。そういう
意味において、この制度を根本的に
改正されるか、あるいはシャウプのすなおな
意見をそのまま推し進めて行くか、どちらかをとらなければいかぬ
段階に来ておると考えております。その
ような
意味において、小細工的な
修正は問題でない、か
ように考えるのであります。これが反対の第一点であります。
第二点は金額の点であります。現状のままとして、とうてい五十億ばかりで、
全国の
自治体が十分やれるとは思いません。今
全国の知事のほとんどが、一年のうち半分東京に駐在しておる。
全国の
府県の代表の縮舎が、全部東京にある。そして憲法は何と言
つておるか。
地方自治の確立である。
昭和二十年以前のあの
地方自治体と、新しい憲法に基きます
地方自治体と、本質がまつたくかわ
つておるにもかかわりませず、逆に知事や市長は、一年のうち半分、東京に駐在するという
ような、ばかげた
地方自治制度が世界にありますか。ありましたらひ
とつ出してもらいたい。この
ようないわゆる絵に描いたもちの
地方自治体、その最もひどい例は
平衡交付金なんであります。従いまして
全国の
自治体の長は
平衡交付金、特に
特別交付金をもらおうということになれば、たいへんなことであります。
自治庁の前の廊下は一、二箇月の間、人で満員であります。それでいけなければ今度は農林省に行
つて補助をもら
つて来る。それ厚生省へ行くとか、建設省へ行くとか、たとえば県においてはわずか十五万円
程度の災害でも国の補助をもらおうという、これは昔の五百円
程度であります。この
程度のことまでや
つておるが、それは全部
財政難から来ておる。
地方自治のあり方なんというものはどこかへ行
つてしまいまして、実にひどい現内閣の内政問題に対するやり方であると私は思います。本
年度の
予算におきまして、とにかく現状で行くとするならば、少くとも私
ども左右両派から出しました二百億
程度の
増額がありませんと、とうていこの難局を切り抜けて行くわけには行くまい、か
ように私は考えております。
第三に、以上の
ように根本的な非常な欠陥を内閣は知
つておりながらや
つておるのでありまするが、せめて私が
先ほど御質問いたしました
ように、その範囲内においても、
年度の当初に
全国一万の県や
市町村に、相当
はつきりした
程度まで金額をお示しができる
ようにしなさい。
全国一万の村会、町会、市会、
県会は今何をしに来ているのですか。
予算審議において一番大きな
平衡交付金、それはこれから奮闘いたしまして、せいぜんよけいとる
ようにいたします、はいそうですか、という
ようなことでありまして、
はつきりいえば
全国の
地方自治体は
予算は組んでない。
予算と決算とほとんど同じ
ようなかつこうにな
つております。これほど内政をばかにしたやり方は私はないと思うのであります。
その他いろいろ私はこの制度につきまして
意見はありまするが、き
ようはもう
最後の仕上げでありまするので、もう申しません。従いましてこれに対してまあ少しはいいだろう、あるいはまた何か附帯決議をつけておこうぜというふうなことでは、とうていわれわれは満足ができない、こう思うのであります。またこの附帯決議の第一でありますが、これは本法の第三条四項に、
平衡交付金をやりまするときには、条件をつけてはいけないということにな
つております。
地方自治体の自己の権利、意思を尊重するためにそういう条件をつけてはいけないという一項があ
つたように、私は
記憶いたしておるのでありますが、これは多少それに反する
ような決議ではなかろうかというふうな疑いを実は持
つております。しかしこれは決議のことでありまするからとやかくは申しませんが、とにかくこの決議の中にも現われておりまする
ように、あまり
地方自治体の
内容までこまかく立ち入
つて、それが
政府の親切であるというふうな考え方よりも、素朴に、
もつと金額をふやして、大いに
自治の本義を発揮していただく、このことがこの
法案の
改正に対する私
どもの率直な見解であります。
以上はなはだ簡単でありまするが、反対の理由を申し述べました。