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門司委員 お答えをいたしたいと思います。この問題は非常に重要でございますが、現在の
事故防止の
関係は、いろいろ宣伝等も必要でございましようが、要はやはり
一つは
運転者の心得になりますのと、もう
一つは
営業状態か非常に大きくこれを左右すると、私は考えておるのであります。そう申し上げますのは、現在
事故を多く起しておると思われます業態の中には、町の流しといいますか、タクシーの業者が非常に多いのでありまして、そうしてこれらの
運転者の所属いたしております会社によ
つては、
営業の
方針がまちまちでありまして、あるいは
一つの会社は、働いた働き高の歩合によ
つてこれを支給する、しかもその支給の
方法は一日かせいで参りましたものの幾割かを本人に与えるが、その場合全額を支給しないで半額を支給する、残りの半額は、月末に税金その他を差引いて支給するというような
方法をと
つてお
つて、まつたくその日かせぎと同じような待遇を受けている者もあるのであります。もう
一つは、ある一定の固定給を一応支給いたしまして、その上でなおかつ働き高の歩合をこれにつけているというような
取扱いをしているところもあるように、私ども見受けるのであります。こういう場合がありますので、
運転者といたしましては、自己の
生活を守ることのために、でき得るだけかせぎ高をよけいにするというところに、今日の非常に大きな無理が生じて、その無理がやはり
事故発生の
一つの大きな原因だと私どもは考える向きがあるのでございます一幸いお尋ねでございましたので、私からかようなことを申し上げるのであります。従いまして
事故の防止をしようといたしまするには、単に
運転者だけをその対象とすることなくして、やはり
営業を営みまする者の側の、そういう
事故発生の
一つの素因ではないかと思われるような
営業の
方針等に対しましては、私どもは相当な
取締りと言うと少し過ぎるかもしれませんが、注意を促して、
運転者が安心して、自分の
生活を維持することのできるような経営の
方法にかえることも
一つの
方法ではないかと考えておるのであります。
それからもう
一つの
事故防止の問題といたしましては、これはまつたく
運転者の教養の問題でありますが、たとえば外国の例等を見て参りましても、通行する人がかりに車道に降りておりますれば、
自動車は必ずその人の前に来たら、一応
停止をするというような態度をと
つている。あるいは交叉点等におきましても、ゴー・ストップのない交叉点においては、かりに歩道に人の影が見えまするならば、
自動車は必ずその前に
停止をする。そして一応人を通しておいて、そのあとから
自動車か通る。そういうような訓練が行われておれば、やはりこういう
事故の発生も少いと考える。しかしこれは相関
関係がありまして、歩行者の方も、何でも自分たちが通る間は車が通らないというようなことで、か
つてに通られれば、
運転者は仕事ができませんので、これらの問題はやはり
交通取締りに関する仕事の一環としておの互い歩行者の道徳的な観念の涵養と、
事故防止の観念というものを強くすると同時に、
運転者の方にもそれらの
事項を十分注意するようなことが、私は概念
措置としては現在考えられるのであります。こういうことが如実に行われて合理化されて参りますならば、私は
交通事故というものは、大体その
件数が減りますると同時に、無理なと申し上げまするような
交通事故の発生を、未然に防ぐことができる大きな素因になりはしないかと考えておるのでありまして、今お尋ねがありましたように、法が寛大になれば、人間がそれになれて、かえ
つて事故を頻発するのではないかというような御心配は、私はもつともだとは思いまするが、しかしそれだからとい
つて、私どもは今日の現状をそのまま放任しておくということもいかがかと存じますので、かくのごとき
法案を出したのであります。さようひとつ御了承をお願いしたいと思うのであります。