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1953-07-23 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十三日(木曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君    理事 床次 徳二君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君    生田 宏一君       佐藤 親弘君    前尾繁三郎君       山本 友一君    吉田 重延君       橋本 清吉君    藤田 義光君       北山 愛郎君    滝井 義高君       大石ヨシエ君    大矢 省三君  出席政府委員         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  山口 喜雄君         自治政務次官  青木  正君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      後藤  博君  委員外出席者         参議院議員   内村 清次君         参議院議員   石村 幸作君         参議院議員   館  哲二君         総理府事務官         (自治庁税務部         府県税課長)  柴田  護君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 七月二十二日  町村合併促進法案参議院提出参法第五号) 同日  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(町村金五君紹介)(第四九八七号)  同(岡本忠雄紹介)(第四九八八号)  同(櫻井奎夫君紹介)(第四九八九号)  同(横路節雄紹介)(第五一一七号)  同(佐竹新市紹介)(第五一三八号)  地方税法の一部改正に関する請願大西禎夫君  紹介)(第四九九〇号)  営業用トラックに対する自動車税軽減請願(  大西禎夫紹介)(第四九九一号)  自動車運送事業及び通運事業に対する事業税の  外形標準課税廃止に関する請願前田正男君紹  介)(第四九九二号)  同(足立篤郎紹介)(第四九九三号)  同(苫米地英俊紹介)(第四九九四号)  同(小川平二紹介)(第四九九五号)  同(岡本忠雄紹介)(第四九九六号)  同(柴田義男紹介)(第四九九七号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第五一一三号)  同(山崎岩男紹介)(第五一一四号)  同(風見章紹介)(第五一一五号)  同(原茂紹介)(第五一四六号)  同(中村幸八君紹介)(第五一四七号)  自動車税引上げ反対に関する請願小川平二君  紹介)(第四九九八号)  同(岡本忠雄紹介)(第四九九九号)  同(柴田義男紹介)(第五〇〇〇号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第五一一六号)  同(原茂紹介)(第五一四五号)  固定資産税算定に用いる田の指示平均価格改訂  に関する請願牧野寛索紹介)(第五〇二一  号)  固定資産税算定に用いる家屋指示平均価格改  訂に関する請願牧野寛索紹介)(第五〇二  二号)  金属くず回収業者古物営業法適用請願(長  谷川四郎紹介)(第五一三九号)  国庫補助公営住宅建設費市町村負担額の全額  起債認可に関する請願星島二郎紹介)(第  五一四〇号)  地方財政危機打開対策確立に関する請願(星  島二郎紹介)(第五一四一号)  地方債わく拡大並びに平衡交付金の増額に関  する請願永田良吉君外二名紹介)(第五一四  二号)  町村合併促進法制定に関する請願永田良吉君  紹介)(第五一四三号)  町村議会事務機構法制化に関する請願永田  良吉君外二名紹介)(第五一四四号)  高原村学校組合立新制中学校校舎新築費起債認  可に関する請願外一件(田中好紹介)(第五  一七一号)  農業協同組合並びに連合会経営の病院及び診療  所を課税対象より除外の請願伊瀬幸太郎君紹  介)(第五一七七号)  清掃施設費に対する財政措置並びに清掃法制定  に関する請願長谷川保紹介)(第五一七八  号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第五一七九号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇八号)  道路交通取締法の一部を改正する法律案門司  亮君外七名提出衆法第三八号)  町村合併促進法案参議院提出参法第五号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  まず昨二十二日本委員会に付託されました、参議院提出にかかる町村合併促進法案議題とし、まずその提案理由説明を聴取いたすことにいたします。参議院地方行政委員長内村清次君より発言を求められております。内村清次君。     ―――――――――――――
  3. 内村清次

    内村参議院地方行政委員長 参議院地方行政委員長内村清次であります。どうぞよろしくお願いいたします。  町村合併促進法案につきまして、提出議員を代表いたしまして提案理由並びにその内容概略を御説明いたします。  新しい地方制度によりましてから、ここに数年、その間における地方自治の発展には見るべき多くのものがありますが、同時に地方自治確立を目標とする数次改革にもかかわらず、その結果には予期に反するものも多いのであります。これは歴史的な特殊事情に基くことも多いのでありますが、同時に、最近までに行われました数次改革内容にいまだ至らざる点があることとあわせて、基礎的地方公共団体として都市と並ぶ町村規模があまりにも狭少にすぎ、新制度下において負担すべき責務に比較してあまりに弱小な場合が多いことも、一にの重要な原因と思うのであります。  新憲法根本精神を貫徹するについては、地方自治拡充がその前提であることはあまねく認められているところでありまして、それについては、まず現在の町村についてその規模を適正にすることが、まず出発点となるべきものと考えるのであります。  御承知のごとく憲法には特に地方自治の一章を設け、地方自治本旨について規定し、またその他の関係諸法規とあわせまして、地方公共団体については直接的な民主政治制度の要素を多く採用いたしまして地域的政治社会発達を期待し、それに伴うべきものとして権能の拡充、国の権力的干与の排除、自主的な財政権付与等をはかつているのでありますが、これを徹底し、またこれによつて国地方とを通じての民主政治の完成と行政能率化、ひいては住民福祉の増進を期待するにつきましては、町村規模適正化が先決問題であるということなのであります。  町村の数は昭和二十七年十月一日現在で九千七百七十四でありまして、これを明治二十二年の大合併によつて一万五千八百二十町村なつた当時の数に比較いたしますると相当の減少となつているのでありますが、その間の町村数減少の多くは市の設置あるいは市への編入によつたものであります。それでありますから、町村規模は現在におきましてもきわめて狭少のものが多く、数字的に申しますと人口段階別の調べでは人口五千以下の町村の数は全町村数の六三・四%、人口八千以下といたしますると実に八六・三%ということになつておるのであります。しかもそのうち、大部分を占めるものは人口二千ないし五千の町村でありまして、人口二千ないし三千のものが二〇%、八号二千ないし四千のものが一9%、人口四千ないし五千のものが一5%ということになつておるのであります。また面積の点についてみましても、北海道を除く全国平均は二八・六一平方キロということになるのであります  以上の数字が示すところは、要するに最近における交通通信の進歩、産業経済発達、あるいは町村単位とする行政内容の非常な向上にかかわらず、その単位としての町村規模は自然の推移に放任されたことによりまして、まつたく実情に合わないということになつていることを示すものであります。  ただ、私どもといたしましては町村規模適正化を急にするのあまりに、それについて国あるいはその他の機関が、権力的に干与するということは避けなければならないと考えるわけであります。他方自治本旨根本団体自治住民自治にあることを思いますときに、その合併促進いたしますについても、まず、考えられるべきことはその町村自主性ということであり、町村自発的意欲によつて合併の進むことを期待いたすべきものと考えます。本法案をまとめますについて私ども終始、念頭に置きましたのはこの点でありまして、促進についての勧奨的措置あるいは合併についての関係法令上の障害を除去する措置を中心として取上げて諸規定を設けているのもこり意味であります。  従来、国の方針として行われました町村合併は、市制、町村制実施に際して行いました明治二十一年の大合併であります。当時、憲法制定あるいは国会開設を前に、政府地方行政機構整備をその前提処置として取上げ、七万以上ありました町村をわずかに一年有余の間に強制的な合併によりまして一万五千八百二十町村減少せしめたわけであります。この時の知事会議における政府当局の訓示はあまねく知られているところがありますが、その中には「今や中央政府制度整備するに当り、これに先立つて地方自治の制を立てんとするは目下の急務なり。地方制度整備せずしてひとり中央組織を完備せんことを求むるは決して順序を得たるものに非ざるなり。故に国家基礎を鞏固にせんと欲せば必ずまず町村自治組織を立てざるを得ず。これをたとえれば町村基礎にして国家はなお家屋の如く、基礎、鞏固ならず、家屋ひとりよく堅牢なるの理あるべからず」と述べておるのであります。これによりまして徳川時代単位をそのままに受継いだ明治初年の町村は、近代国家行政単位に転換するに必要な程度の規模のものと改編されたのであります。  事情はやや異なりますが、町村を改編してその規模適正化をはかることは急務中の急務といわなければならないのであります。ただ、地方自治本旨にかんがみまして、その方法にもおのずから異なるものがあるべきことはすでに申し述べたところのごとくであります。  法案の第一章総則中に第一条目的として「この法律町村町村合併によりその組織及び運営を合理的且つ能率的にし、住民福祉を増進するように規模適正化を図ることを積極的に促進し、もつて町村における地方自治本旨の充分な実現に資することを目的とする」と掲げましたのも以上の趣旨によるものであります。  法案内容概要は第一章を総則といたしまして、右の目的を掲げましたほか、用語定義町村規模等総則的事項規定し、第二章は「他の法律特例」として議員任期定数等に関する特例のほか、町村合併について多くの法律特例規定いたしたのであります。これらはいずれも合併について勧奨的措置となるものを定めあるいはその障害となるものを排除した諸規定であります。第三章は「町村合併及び新町村建設計画実施」に関する諸規定を掲げ、第四章はその促進について規定し、第五章は「雑則」としてその他の関係規定をとりまとめて掲げたのであります。法案の各条項についての説明はお手元に要綱もお配りしてありますので、きわめて概要にとどめます、第一条は目的、第二条は「町村合併」、「合併町村」、「合併関係町村」の用語定義を明らかにし、第三条は町村規模としておおむね人口八千を最低の標準とすることを明らかにし、第四条は都道府県町村合併促進審議会、第五条は町村町村合併促進協議会を置くことができることを定め、第六条は町村合併に際しては、新町村建設計画を定むべきものとし、第七条はその内容住民の融和と協力を得べきこと等を根本とすることを明らかにし、第八条はその変更手続について規定したものであります。以上が総則に関する部分であります。  第九条以下第二十条までは諸法律特例について規定したものであります。  まず第九条、議員任期等に関する特例であります。これは地方自治法原則によるほか、二つの型を定めまして、そのいずれか一つをとる道を開いたものであります。すなわち旧町村議員新設町村においては合併後二箇年を越えない範囲協議で定める期間編入町村については編入をする町村議員任期の残りの期間合併町村議員として在任することを認め、新たに選挙することとする場合は、両者を通じて自治法原則による定員の二倍までを認めるということにいたしてあるのであります。第十条及び第十一条は、町村合併の際に、一部の区域境界変更について住民投票による特例を認め、第十二条は警察法特例として部分区域についての警察の維持を認め、第十三条は地方財政法特例として新町村建設計画事業について同法第五条第一項の規定にかかわらず起債を許すこととし、第十四条は合併町村について不均一の課税の例外を規定し、第十五条は地方財政平衡交付金法特例として五箇年度間は合併なかりしものとしての交付金を交付することを旨とし、第十六条は国有財産の払下げに関する特例、第十七条は国有林野整備臨時措置法特例、第十八条は部分区域国民健康保険を行い得る特例等、第十九条は水産業協同組合法特例、第二十条は農地法特例として合併による行政区画変更にかかわらず、小作地はそのまま保有することを得ることとしたものであります。  第三章は町村合併及び新町村建設計画実施に関する諸規定を設けてあります。まず、第二十一条は町村合併に対する知事等協力、第二十二条は関係町村事務の処理の方針について第二十三条は財産及び営造物管理引継ぎ等について、第二十四条は職員の身分の取扱いについて、第二十五条は公共的団体等統合整備について、第二十六条は新町村建設計画実施とその町村一体化等について規定したものであります。  第四章は町村合併及び新町村建設計画実施促進について国の補助金に関する規定等を、第二十七条以下、第三十三条までに掲げてあります。  第五章は雑則といたしましてその他の関係規定を掲げてあります。すなわち第三十四条、この法律施行前の申請にかかる町村合併についての適用関係、第三十五条、合併町村が市となつた場合の適用関係、第三十六条、市の区域を含む場合についての準用、第三十七条、市が設立され、または市に編入する場合についての準用その他の諸規定であります。  以上の提案理由、並びに内容概略を御説明申し上げましたが、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  4. 中井一夫

    中井委員長 参議院地方行政委員長の御説明は一応終りました。それでは本日は御説明だけを承つておくことにいたしまして、質疑は時をあらためていたすことにいたします。     ―――――――――――――
  5. 中井一夫

    中井委員長 次に去る二十五日本委員会に付託されました道路交通取締法の一部を改正する法律案議題といたします。まず提案者より提案理由説明を聴取いたします。門司亮君。     ―――――――――――――
  6. 門司亮

    門司委員 ただいま議題となつております道路交通取締法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  現在自動車の増加とともに交通事故もまた増加していることは御承知の通りであります。これら交通事故に対する取締りにつきましては、その多くは公安委員会行政的措置による運転者免許一定期間停止及び取消し等処分が行われているのであります。この場合運転者は、その措置が一方的であり不当に苛酷であると思いましても、行政訴訟等は多くの費用と日時とを要しまするので、容易になし得ないのであります。当該者にとりましては、その生活基礎を失うこの大事の問題の取扱いがあまりにも一方的であり、かつ簡単過ぎると思うのでありますので、一定期間免許停止及び取消しについては、その措置の適正と慎重を期するために当該運転者が十分に意見を申し述ベる機会を与え、さらに第三者の公平なる思慮と判断によつて措置の公正を期したいと思うのであります。これが本改正案提出いたしました理由であります。  なお案の内容につきまして御説明申し上げますれば、現行道路交通取締法の第九条の第六項中「前項」を「第五項」に改め、第五項の次に次の三項を加えようとするものであります。  一つは、公安委員会運転免許取消しまたは停止については公開による聴聞会を開かなければならないことにし、その手続等規定であります。これは現行旅館業及び古物営業、湯屋、質屋等の業種に対しましては、その営業停止等を行う場合には聴聞会手続をとつて公正を期しておるのであります。これと同様の趣旨によるもので、運転者の人権の尊重と生活権擁護のためであります。また停止に対しまして公安委員会の定める期間以上といたしましたことは、御承知のように運転者免許各地公安委員会によつて許され、その公安委員会関係地区によりまして、自動車の数も異なり、従つて事故発生件数にも非常に差異がありますので、一定規準を定めますことが困難視されますので、各地公安委員会において、実際上の可能な範囲において定めることが適当と思いまして、一任いたしました。  ここでお手元参考資料として昨年度における全国の各都道府県における事故発生数と、さらにこれの処分の表を差上げておるのでありますが、これによつてごらんのように、府県によりまして非常に少いところもございますし、それからまたたとえば警視庁などは一年間の件数が二万五千三百四十一、そして三十日以上九十日未満、いわゆる三箇月までの停止処分を受けたものが四百四十二件、さらに取消しは二十七件、三十日未満停止処分を受けたものが六千六百五十五件というような非常に大きな数字を持つております。次に大きいのは大阪で、取消しが九十三件、九十日すなわち三箇月以上の停止処分を受けたものが五百五十件、三十日以上九十日までの停止処分を受けたものが一千二百四十六件、一方奈良県等のごときは取消しはわずかに二件、三十日未満のものが三十四件にすぎないというように、非常に差異を生じておりますので、法律一定期間の線を画一的に引くことは、実際の運営の上にいかがかと存じましたので、かくのごとき処置をとつて参つたのであります。  その二は、聴聞会に際しまして、当該処分に係る者または代理人は当該事案につき意見を述べ証拠を提出して事案の公正なる判断資料を十分ならしめたのであります。  その三は、聴聞会を行う場合に必要と認めるときは、その道の専門的知識を有する者の参考意見を聞くことができるようにいたしまして、これまた公正を期したいと思うのであります。以下は条文の整理であります。  以上が大体本法案趣旨及び内容であります。なお、幸いにして御賛同を得ますならば、本年九月一日から実施いたしたいと思うのであります。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  7. 中井一夫

    中井委員長 本案につきまして御質疑はございませんか。大矢委員
  8. 大矢省三

    大矢委員 この制度実施後において、こういう処分は少くなるということは想像できる。それに反して罰金というか、科料というかそれが非常に多くなるおそれがないか。現にこういう法律ができるということを予測して、最近では非常に科料が多くなつて参りました。そのためにかえつて迷惑するというようなことが起つておると思うのであります。そういうことも考慮の上でこれをやつたのかということを一応お尋ねしたい。
  9. 門司亮

    門司委員 むしろ私から答えるよりも、だれか当該者が来てくれれば、その方がいいと思いますが、今の大矢さんからの御質問につきましては、一応この表を見ていただきますと、たとえばこの表で一番苛酷な取締りをしておると思われるのは大阪であります。大阪は全部の申請件数が五千四百三十一件、そのうち九十三件が取消し処分を受けております。東京の場合はこれの約五倍の二万五千三百四上上件申請があつたにもかかわらず、取消しはわずかに二十七件である。さらに九十日以上の営業停止を受けておりますものが、大阪にありましては五百五十件であつて東京警視庁におきましては一件もないのであります。さらに三十日以上九十日未満停止を受けておりますものが、大阪におきましては一千二百四十六件、それから東京警視庁におきましては四百四十二件、三十日未満処分を受けておりますものが、大阪では二千九百七十九件で、東京では六千六百五十五件であります。さらに案件によりまして処分はいたしておりますが、処分執行猶予をいたしております軽微なものが、大阪におきましてはわずかに八十八件でありまして、東京におきましては一万一千百九十二件という非常に大きな開きを見せておるのであります。さらにもう一つは、先ほど申し上げましたような奈良県のごときは、取消しは二件ございますが、九十日以上は一件もない、また三十日から九十日までのものも一件もございませんで、三十日未満がわずかに三十四件でありまして、処分執行を猶予いたしましたものが、五十件というようなことに相なつております。この表に現われておりますように、現在の取締り方法というものは、各地区公安委員会のいわば内輪の規定によつて、実は非常にまちまちにその処分が行われております。従いまして、ただいまの御質問のようなことがあるとは思いますが、それにいたしましても運転者生活権を守ることのだめに、生活に影響を及ぼすような無理な取締りは避けて、できるだけ軽微な取締りで済ませるということは、私の感じからいたしますならば、そのために特別に事件がふえるわけではないと思いますので、この法案趣旨に沿い得るものだと考えておるのであります。
  10. 大石ヨシエ

    大石委員 私は運転手が非常に苛酷な取締りを受けて生活権を脅かされておる、この点に同情しておるのですが、この際交通取締り警視庁警邏部長、それから国警公安委員、それから交通に関する事故取扱つておる人に来ていただいて説明を願いたいと思いますが、皆さんにお諮り願えますか。
  11. 中井一夫

    中井委員長 ただいまの大石委員からの御発言につき申し上げます。本案の問題につきましては国家警察本部から山口警備部長出席をいたしております。よつてもし山口警備部長に御質問の方があるならば、この際御質疑を願います。
  12. 大石ヨシエ

    大石委員 山口さん、私あなたにお尋ねしますが、運転手の人が、車に乗ると常に私たちに言うのです。われわれは妻子眷族を養うのに、あまりに警察が苛酷の取調べをするために生活権を脅かされる、そうして何か言うとすぐ本省へ来いという、何か言うとすぐ免許証は取上げてしまう、それを手柄のようにしておる、これはもちろん交通という事項は、アメリカにおきましても非常に大切に取扱つて交通のことに対しては人命に関することですから、それは当然のことと思いますが、もう少し運転手の人にやわらかい気持を持たせて、ほんとうにその日を楽しませて、そうして皆さんのために働くという気持を起さぜるように、警察当局はできぬものでしようか。そうして千円か二千円まいないを持つて行くと、それなりにして警察は許してくれるそうですが、そういうような人を私はよく聞いております。名前をとおつしやるなら、その警察官名前も私は知つておりますから言いますが、そういう人がたくさんある。運転手は非常に困つておるわけです。何とかもつと寛容な方法でもつて、その交通違反取締方法はございませんか。それをまず教えていただきたい。
  13. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 ただいまの御質問に対しましては、私もまつたく同様に感じておるのであります。数多い警察官の中には、状況によりまして交通取締りの現場に立つて、非常に早急の間に解決しなければならない、あるいはまた非常に大勢の人を相手にして、その間に適時処置をして行くというような関係から、場合によりましては、取締りを受ける側の方から見まして苛酷である、あるいはまたもう少し何とか親切な取扱いをしてもらいたいと思われる場合も、多々おありになるだろうと思うのであります。私どもといたしましては、平静からこういう面につきましてことに警察が一般の国民の方に接する一番多い部面を受持ちます外勤の警察官、ことに交通取締りにつきましては「絶えずいろいろの場合に注意はいたしておりますが、今日まだ十分にそこまで参つておりませんことは、まことに遺憾なことと存じておるのであります。
  14. 中井一夫

    中井委員長 御質疑はございませんか。
  15. 床次徳二

    ○床次委員 交通違反に対する取締りでありまするが、違反の程度においてそれぞれ運転手に対しましては、取消しあるいは停止ということになつておると思いますが、これが地方によつて相当区々であるのではないかと思うのであります。この基準に対してどういうふうにしておられるかということを伺いたいのであります。なお一般の交通違反に関しまして、たびたびいろいろの苦情も聞くのであります。先ほど大石委員からも御質問がありましたが、その決定いたしまするまでに、たびたび警察署に出頭を命ずる。そのためにずいぶん市民の迷惑も生ずるので、決定されましたところの科料その他がはなはだ多いということ、これは決して法の目的を達するゆえんじやないと思うのでありまするが、そういうことに対して今日いかような扱いになつておりますか、あるいはその指導の方針と申しますか、準則等大体のお考えを伺いたいと思います。
  16. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 処分の一応の基準といたしましては、事故の大小により、あるいは運転者の過失の軽重を勘案いたしまして、一応の基準となるべきようなものは、私の方から国警部内はもちろんでありますが、自治体警察につきましても、やはりある程度の均衡を保つ意味から連絡はいたしてあります。しかしもちろん御承知のように、ただいまの警察制度のもとにおきまして、これは各県あるいは各自治体警察公安委員会でされる処分になつておりますので、その間県あるいは都市によりまして差違がございますことは、先ほど御提案者からお話になつた通りであります。なお運転者にたびたび出頭してもらいまして、迷惑をおかけしておるというようなお話でございましたが、できるだけ私どもといたしましても、たびたび出頭しないで済むように取調べるなり、あるいは調査を進めて参りたいと思います。ただ交通事故によりまして、たとえば死傷者が出たというような場合、刑事事件として取扱わなければならないというような場合におきましては、あるいは一回で済まないというような場合もあろうかと思います。そういう場合におきましても、事柄の軽重によりまして、できるだけ現状におきまして、またその後の出頭によりまして事柄を解決いたしたい、こういうつもりで努力をいたしております。
  17. 床次徳二

    ○床次委員 提案者に伺いたいのでありますが、この聴聞をいたします場合、これは公安委員会でもつて大体の範囲をきめておるのでありまするが、これは丁寧なほどよいには違いないのでありますが、実際におきまして、この事件だけ公安委員会が非常にこまかく聴聞を行うということについても、いかがかと思うのでありますが、大体どの程度において聴聞を行うというような腹案なり、あるいは予想がおありになりますか、伺いたいと思います。
  18. 門司亮

    門司委員 大体腹案といたしましては、この表をごらんになりましても可能な範囲ということになつて参りますと、三十日以上というようなことが大体可能な範囲ではないかということも一応考えたのであります。さらにそれからもう少し下げて参りまして三十日未満のものに対しましても、たとえば大都市を除きました府県におきましては、一年間の件数がこのくらいの数字でございまするので、大体これにおいて行われるのではないかというようなことも考えられるのでありますが、いずれにいたしましても各地の公安委員会はその定数が三名でございます。従つて警視庁のように、あるいは大阪のように事犯の多いところにあつては、とうてい三十日未満のものにとりましては、実際の運営上は困難ではないかということで、これは公安委員会の定める一定の期間ということにまかしたのでありまして、提案者気持といたしましては、きき得るだけ短かい期間停止処分まで、やはり公正を期して行くというのがいいのではないかと考えているのであります。  それからさらにもう一つ、立つたついでで悪いのでありますが、つけ加えて説明をしておきたいと思いますことは、この法案の中の聴聞会を開くという規定と同時に、公開の聴聞会を開きまする場合に、二つの機会がここにあるといたして、一つ聴聞会を開いて、運転者の十分な意見を申し述べる機会を与えるということと、それからさらにもう一つは、必要のあるときは第三者の学識経験者に来ていただいて、さらにそれらの人たちの意見を聞くことができるという二段にわかれておるのであります。従いましてこれらの案件につきましては、当該公安委員会の実情に即した取扱いができればと考えまして、かくのごとき提案をいたして参つたのであります。従いまして私どもの理想といたしましては、短い期間停止処分までも、一応運転者の証拠並びに十分意見を申し述べることを、公開の場合にできるだけ与えたいというのが気持でありますが、どの辺かと言われれば、やはり実際実行でき得るのは、三十日くらいでなければできないのではないか、こういうふうに考えております。
  19. 床次徳二

    ○床次委員 三十日ぐらいの停止処分を受ける者は、どの程度の違反を犯した者か。これはわれわれには見当がつかないので、大体の基準がわかればお聞かせを願いたい。また取消しになる者はどのくらいか、大ざつぱな御質問でありますが、一応の概念がわかりますれば伺いたい。
  20. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 お答えをいたします。三十日以上の処分をするような場合につきまして、例を死傷の場合につきまして申し上げますと、全治二十日以上のけがをさせましたような場合におきましては、本人の過失のみの場合には、二十五日以上五十日以下くらいと考えております。先ほど申しました国警本部が一応の連絡をしました通牒――これはその通りに行われておるとも申し上げられませんが、他人の過失と競合します場合に運転者の過失率の方が、他人よりも大きいという場合には、十五日以上四十五日以下ぐらいと考えております。それから本人――運転者の方が他人の過失よりも小さいと認められる場合には二十五日以下。その次に今度は四十日以上ぐらいのけがの場合等を考えておりますが、私の方で示しております基準によりますと一箇月ぐらいのけがをさせた場合に一箇月ぐらいの処分を受けるというのが、大体の見当と申してよかろうと思います。
  21. 大石ヨシエ

    大石委員 提案者にちよつと申し上げたいと思うのですが、これは国警の人もよく聞いておいてください。現在の道路交通取締法というものは実に曖昧模糊なんです。たとえて言うと銀座なら銀座において、その銀座とはどういうふうになつておるか。右まわりになつておるか、左まわりになつておるかということすら、われわれは知りません。この道路交通取締法というものは曖昧模糊であつて根本的の改正を要するということを、まず第一に皆さんに申し上げたい。  それから第二点は、ここに旅館と、古物営業、湯屋、質屋、こういうものが停止されるときには、聴聞会を開かれて人権を擁護するのに、運転手免許を取上げられるときには聴聞会を開かぬということは、これは基本的人権を無視している。われわれは運転手の基本的人権を擁護する意味において、湯屋その他と同じように、ぜひとも聴聞会を開く必要があると思います。  私は国警の人にお尋ねいたしますが、この曖昧模糊な道路交通取締法案に対して、今後あなたはどういう観点から、どういうふうに改正する考えを持つているか。実際私たちはわからぬのです。ここは駐車場である。右まわり、左まわり、大まわり、右側通行と思うと左側通行、一体どちらを通行したらいいか、これがわからぬのです。あなたはこれをどういうふうに考えていらつしやるか、詳細に私に聞かせてください。
  22. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 道路におきましては、そういう場合にいろいろな標識できめておるのでありますが、一般通行の方におわかりにくいという場合もあろうと思います。また定め方が十分に意を尽してないという場合もあろうと思うのであります。そういう点につきましては、私どもといたしましては十分に注意をして改善をして参りたい。なお道路交通取締法の不備な点の改正についてお話がありましたが、その点につきましては私どもといたしまして、今後なお十分に取締るべく検討をいたして参りたいと考えております。
  23. 大石ヨシエ

    大石委員 この曖昧模糊な道路交通取締法改正することが根本です。この道路交通取締法は徹底を欠いておる。それでいかにしたら根本的に道路交通取締法が是正できるか、それを書いたものをわれわれにください。
  24. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 道路交通取締法の問題につきましては、単に交通取締るという見地のみならず、今日の交通の状況と、それから道路に関するいろいろな施設、たとえば道路の幅であるとか、駐車場であるとか、いろいろむずかしい問題があるので、私どもといたしましては、単に取締りだけでなしに、根本的にそういう見地から検討いたして参りたいと、常々考えて来ておるのであります。従いましてお話のような点につきましては、私どもといたしましても、御期待に沿い得ますように努力いたしたいと思います。
  25. 藤田義光

    ○藤田委員 昨今の都会における交通事故の頻発は、まことに憂慮すべき事態になつております。戦前に比べまして、各種自動車の数は約三倍になつているという交通量の激増は、今後どの程度まで深刻になるか予断を許さないという状況であります。専門的な立場から御意見をお聞きしたいのでありますが、大体現在東京大阪等の道路その他の関係から、どの程度の交通量をもつて限度とするかということ。それから限度に来た場合は、どういう方法を考えたらよろしいか。自動車は野放しに激増し、毎日のように自動車事故による死傷者を出しているという状況でありまして、われわれ国会としてもこの状況を放任するわけにいかない段階に来ているのじやないかと考えます。その点が一つ。もう一つは、この改正案提案者に簡単に聞きたいのでありますが、公安委員会はいろいろ用件が山積している。従いまして現在開かれている聴聞会のほかに、この運転手聴聞会が加わるということになると、相当事務も繁雑化するのじやないかと思いますので、おそらく一週間に一件ぐらいしか、現実には聴聞できないのじやないかというような気もいたしますが、これは政令あるいは地元の条例等で、適当に調整される予定であろうとは想像いたしておりますが、公安委員会の消化能力を、大体どのくらい見込んでおられますか。これは非常にこの聴聞会をなされます公安委員会としましては、重大な関心事であろうと思いますので、この機会にお伺いしておきたいと思います。
  26. 門司亮

    門司委員 今の藤田委員の御質問でございますが、その点は実はこの法案を考えますときに、最も関心を持つた点であります。従つて今お手元に差上げましたような表を見て参りまして、三十日以上ということにきめることができるのか、あるいは十五日以上ということによつてきめることができるか、というようなことを、ずいぶん勘案をいたして参りましたが、なかなかその線を引くということは困難でありますのと、それからもう一つの考え方は、この表にありますように、先ほど国警の方からもお話を申し上げましたように、一応の取締りの基準の通牒は出されておりますが、各地区公安委員会の、これは内規になつているのかどうかわかりませんが、大体内規のようなものだと思いますが、それによつて取締り方法がおのおの異つているのじやないかと思うのです。従つてここに現われているような非常にまちまちな数字が現われているのでありますが、これを一本の線で定めることが困難になりましたので、先ほど申し上げましたような公安委員会の定める期間以上ということにして参つたのであります。  さらにまた今お尋ねのほかの公聴会もあるというお話でございますが、実際は古物営業は多少私はあるとは思いますけれども、そのほかの湯屋、質屋あるいは旅館業というようなものに対しましては、きわめてこの件数はわずかと考えておりまして、公安委員会の業務にさしたるさしつかえのあるほどのものではないと考えます。もう一つは事前に本人に通告いたしますことを一週間と限定して参りましたので、この範囲で一応通牒ができるということで一週間にきめておつたのでありますが、事柄といたしましては私は何も一件ごとにこれをやる必要はないのじやないかと思う。たとえば一箇月のうちに三日なり四日なりの日をきめても、一週間以内に通告のできる範囲の人を集めて、処分することができるのじやないか。現在の取締りにいたしましても、必ずしも事件の起つたときに、ただちにこれの停止あるいは取消しを命じているわけではございません。やはり相当の期間をおいて、これが行われておりますので、この点は今の藤田委員の御質問に対しましては、さように私どもは考えておりまして、運営方法によりましては一箇月に一回なり二回なり、あるいは日をきめてもある程度これをこなし得るのじやないかというように考えております。
  27. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 ただいま御指摘になりましたように、都市における交通は確かに飽和状態といいますか、それ以上に参つて来ております。ことに今東京の状況等も御承知のように車がむしろ過剰の状態にある。これを何とかしますには、単に警察の立場からのみでは解決いたしがたい。むしろ根本的に都市計画というような問題に触れて参る。たとえば道路の幅員とか、あるいは交錯の状態であるとかいろいろな問題があるのであります。とりあえず警察といたしましてやり得るところから、着々と努力いたしたいと思いまして、たとえば駐車の制限であるとか、一方交通とかいろいろなやり方をやつておりますが、正直に申し上げましてごく当面の対策にすぎないという状況であります。また一方におきまして車両の増加を、何とかしてはどうかという考え方もありますが、交通の便利という点から見ますと、車両が発達するのをチェックするというわけにも参りません。しかしながら実際の交通状況が、もう飽和状態以上に達しているというような場合には、やはり自動車営業免許――運転免許でなしに営業免許等につきまして、まつたく野放しにふやして行くというのはどうかと思います。この点はただいま私どもの方は直接にはタッチいたしておりませんが、そういう点についてやはり十分慎重に考えて行かなければならない。たとえば道路の幅が非常に狭いのに、大きなバスの通るような免許を行うというようなことは、やはりよく考えて行かなければならない。かように存じております。
  28. 藤田義光

    ○藤田委員 山口部長の御答弁を聞きましても、根本的な解決策はなかなか困難のようでございますし。国会としてもよほど慎重に研究すべき問題であろうかと存じております。何か道路運送審議会その他の意見でもお聞きになつた機会には、ひとつ資料としてお知らせ願えれば、われわれ自身も研究したいと思つております。  それから自動車の騒音防止の問題、実は本日はこちら側の委員室を使つておりますが、反対側の部屋を委員会に使うと、審議ができないほどの自動車の騒音、国会においてすらそういう状態でありまして、まして市中にあります一般事務所等は、よほどこれによつて能率が低下しているのじやないかと想像されるのでありますが、これもなかなか解決困難な問題ではなかろうかと思うのでありますが、一般市民もこの問題には、相当真剣になつて来ております。何か研究されていることがありましたら、この機会にお聞きしておきたいと思います。
  29. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 お話がございましたように、最近いろいろ私ども自身もそういう経験をいたしているのでございますが、騒音防止につきましては単に自動車の騒音だけでなしに、都市におけるいろいろの面からする問題があろうと思うのであります。ことに繁華な地方におけるいろいろな宣伝のためにする騒音、いろいろの問題がございます。自動車につきましても、今日いろいろと論議せられているのであります。何とかいたしたいと思いまして、いろいろ考えてはおりますが、まだただいまのところ、こういう方法でやりたいということを、具体的に申し上げるまでに遺憾ながら至つておりません。
  30. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 取消しの点について山口さんにお伺いいたします。六百五件という取消しが書いてありますが、取消すようになつた者の行政処分として、次の試験を受ける余裕をまだ与えてくれるわけだと思うのですが、さような受験資格を与えることをしてくださつておるかどうか、その点……。
  31. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 取消し処分がありましてから、あと一年間は試験を受けることができません。一年経過しますと、試験を受けることはできます。
  32. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 一年という線を受けまして、そうして前のいわゆる前科があるというので、試験のときに幾らか手かげんをされて、こいつはこういう前科があるから許可しないというようなことがあるかないか。運転手は資格がなくなつてしまえば、その生命線ですから非常に困るのですから、そういう点について今までのお取扱い上、そういう前科を見ないで、多くは許可されるということにしていただいておるかどうか。
  33. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 この取扱いは、たとえば法規の上であるとか、何か定めの上ではそういう差別はいたしておりませんが、実際の問題としまして、取消し処分交通違反事故で受けるという場合、よほど大きな事故をやつた場合に限られております。従つておもにその人の精神的な面ですね。技術もありましようが、技術は試験をしてみればわかるのです。精神的な面、そういう面を試験官が多少注意して見るということは、これは人情としてある、こういうように私どもは考えております。
  34. 佐藤親弘

    ○佐藤(親)委員 それから停止の点でありますが、停止というのはお取扱い関係でスピード違反というのをあげれば、たいがいひつかかつてしまうのではないかというような気がするのであるが、スピード違反くらいのものはなるべく三十日未満でないような、次の欄にあるいわゆる条件付猶予という方に入つているのか、それとも三十日未満の処刑の中に多く入るのか、そういう場合をひとつ御参考までにお知らせ願いたい。
  35. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 ただ単にスピード違反で取締りを受けたという場合には、そういう停止処分まで至つておりません。何か事故を伴つた場合が、そういう停止処分になつておるのであります。
  36. 大石ヨシエ

    大石委員 山口さんにちよつとお尋ねしますがね。警察では報奨金を出して、一件ずつに何ぼか報奨金が出るのですか。一件を検挙したら幾ら、十件検挙したら幾ら、そうすると結局どろぼうをつかまえるより一番たやすいのは運転手です。運転手営業免許証を取上げるとか、停止命令を出すとか、やはりそれぞれ一件々々報奨金が出るのやつたら、一番つかまえやすい、一番弱い者いじめをするなら、運転手をつかまえるのが一番よろしい。そういうような規則があるのですか。
  37. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 私の承知いたしております範囲ではございません。
  38. 大石ヨシエ

    大石委員 それではですな、運転手の人がうそ言うておるわけなんですな。それで私はいつもハイや院に乗ると運転手さんが、おれらはほんとうに生活に実に困つてしまつている。警察へちよつと来い、ちよつと来いと言われると、三時間も四時間も待たされる。その間に自分の賃金をかせぐことができぬ。実に困る。警察はあんかんと構ええおるけれども、われわれは実際妻子眷族を養うことができぬ。いつそ東京都の警邏部長をみなでなぐつて殺してやろうか、こういうふうに言うておるのです。それでどうですか、皆さん、きよう一瀉千里で通したらどうです。通してやつてくださいよ。弱い人のためにも……。自由党もどうじや。
  39. 加藤精三

    加藤(精)委員 本件改正法律案は、趣旨におきましてもわれわれ賛成なんでございますが、実施にあたりまして類似法律古物営業法等を参照してみたのでありますが、運転手またその代理人が出頭しないような場合、私が見た範囲内では、出頭しない者に対しての罰則もないようでございますし、それから出頭しない場合は聴聞会は開けないのだろうと思いますが、そういうような関係取扱いに困ることがありやしないかと思うことが一つ。これにつきまして、従来は警察犯処罰令なんかに、出頭しないときの処置があつたように記憶しておつたのであります。軽犯罪法にはそういうものがないし、その他どうも見当らない。もしありましたら、お知らせいただきたい。  それからもし出頭しなかつた場合には、多数の聴聞会になりますと思いますので、場合によつては出頭しなかつた場合には、出頭しないままで聴聞会を開くこともあり得るので、法律改正案を修正いたしますことにしたらどうかということを提案者にお尋ねしたいと思います。  なおこれは公安委員会に対する法律による授権行為みたいなものでございますが、公安委員会の方としても、十分研究しなければならぬと思いますので、施行期間の九月一日を若干延期されて、慎重に研究さしていただくことがいいのじやないか。三箇月くらいは研究して、そうして適正な取扱いをなすべく十分研究する余裕を置いたらどうか。またこういう聴聞会等に関しまして予算を伴うのですから、予算措置等の期間地方団体との関係でいるんじやないかと思います。そういう点について提案者の御意見を伺いたいと思います。
  40. 門司亮

    門司委員 本人及び代理人が出頭しなかつた場合の処置でありますが、提案をいたしました者といたしましては、大体このことはきわめて普通の質屋あるいはその他の営業者と違いまして、本人自身に最も関係のあることでありますので、私どもの考え方からいたしますならば、大体本人ないし代理人が出頭しないことはないというように、実は考えておるのであります。しかし今お話のようなことは実は考えないわけにも参りませんので、もし法律の中に古物営業法等に書いてありますような本人不出頭の場合の処置等を考えることがいいという委員各位の御意見でございまするならば、私どもの方ではこれを修正することにやぶさかではございません。  さらに、施行期日の問題でありますが、こういう法案が出て参りますると、やはりできるだけ早い機会に実施する方が有意義だと考えて、九月一日なら大体一箇月くらいの余裕期間があるので、できはしないか、こう考えて九月一日を書いたのであります。しかし今の御意見のように、いろいろな公安委員会のたとえば内規といいまするか、これに伴ういろいろな考え方も、また必要かとも思いまするので、これがよろしいという御意見がおありのようでしたら、これまた私はある程度延ばすことに異議を申立てるものではありません。
  41. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいまの門司さんの御答弁の中でございますが、出頭はすることが本人の利益になる場合が大部分でございますので、出頭はするだろうと思いますが、取扱いの技術上の問題になつて提案者も御心配しておられるように聴聞日というものを、あるいは一週に何日かをきめまして、聴聞日にすることもやむを得ないのじやないかというお話もございましたのに関連いたしまして、こういう聴聞日の取扱いの整理の都合上、あるいはそういうふうにした方がいいのじやないかというふうに考えますので、その点無理のないように規定を置いていただいたらと考えます。  なお施行期日の問題でありますが、これは地方議会の招集というものが、非常にひんぱんにあるわけでないのでございまして、本件だけのために、市町村議会を開会するということもでき得ない場合が多いと思われるのでありまして、なお公安委員会の方は、臨時にいくらも開会できるわけでございますから、大したことはないのでありまするが、公安委員会が市町村議会に予算要求をしなければならぬというようなことをも含んで申し上げたのでございますので、その点御了承願いたいと思います。  なお古物営業法等に不出頭の場合の処置、その他不出頭でも会議が開けるかどうかということについて規定があるならば、それに従つてやるということでございますが、私の調べたところでは、そういうものは何もないようでございますので、御当局の方に承りたいと思います。
  42. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 お尋ねのような場合にはございません。従いましてその間行政処分はできない、こういうことになろうと思います。そういう場合の何か規定を入れていただくということは、必要であろうと私も考えておる次第であります。  なおはなはだ恐縮ですが、門司委員さんの御提案法案は、だんだんに御審議も進んでおるようですが、政府といたしましての正式のこの法案に対する見解につきましては、まだ正式にきまつておりませんので、本日この席上で申し上げかねますが、ただ私政府委員といたしましては、運転者の人権擁護という面と、交通事故処分をなるべく延び延びにならないように、早くして、一般の人々の福祉を守る、こういう両方の面のかね合いが、なかなかむずかしい点であろうと思います。委員会の御審議に際しまして、そういう点につきましていろいろと御審議あらんことをお願い申し上げます。
  43. 山本友一

    ○山本(友)委員 提案者と同時に係官にお尋ねするのでありますが、この案を概念的に考えますと、運転手に非常に同情されたことでございまして、社会通念上私はこういうことを是認いたします。しかしながらこの道路取締法というものの立法の精神は、とりもなおさず大きく一般社会の福祉をねらつたものであるというように、概念的に承知をいたしておるわけでございますので、私はこの事故防止の点をいかなる観点に、御提案者並びに係官が考えておられるかということについて承つてみたいのでありますが、交通事故は今日の趨勢上やむを得ぬところにまで行つておるが、それがちよつとゆるみますと、またも増大をするおそれを蔵しておるのではないかというような考え方から申しますと、交通違反に対しましては、より厳重にしていただきたい。私の厳重という意味は、運転手に対して決して苛酷を意味するのじやないのでありまして、より厳重に厳格に交通秩序を立て、そうして大きく社会の福祉を守つていただきたいというところに、私の考え方はあるわけでございまして、とにかくお互いもよくあることでありますが、法が緩慢になりますと、精神に弛緩を来すものでありますことは、これまた避けられぬ一つの事実であります。こういうことは運転手事故を起しまして、従来寛大にというようなことを、寛大を合理化さすような方向に堕して行きはしないかということを、おもんばかるわけでありますが、こういう点につきまして、互いの心のゆるみから、交通取締上に、また運転者、操縦者の精神上に非常にゆるみが来て、より交通事故が頻発に起るような感じも持たないわけではありませんが、こういうところについて、提案者におかれて、そういうことはないのだというようなことでございますれば、私どもは決してこれに心配をする一点もないわけでありますが、この大きな課題について、御説明願いたいと思います。
  44. 門司亮

    門司委員 お答えをいたしたいと思います。この問題は非常に重要でございますが、現在の事故防止の関係は、いろいろ宣伝等も必要でございましようが、要はやはり一つ運転者の心得になりますのと、もう一つ営業状態か非常に大きくこれを左右すると、私は考えておるのであります。そう申し上げますのは、現在事故を多く起しておると思われます業態の中には、町の流しといいますか、タクシーの業者が非常に多いのでありまして、そうしてこれらの運転者の所属いたしております会社によつては、営業方針がまちまちでありまして、あるいは一つの会社は、働いた働き高の歩合によつてこれを支給する、しかもその支給の方法は一日かせいで参りましたものの幾割かを本人に与えるが、その場合全額を支給しないで半額を支給する、残りの半額は、月末に税金その他を差引いて支給するというような方法をとつてつて、まつたくその日かせぎと同じような待遇を受けている者もあるのであります。もう一つは、ある一定の固定給を一応支給いたしまして、その上でなおかつ働き高の歩合をこれにつけているというような取扱いをしているところもあるように、私ども見受けるのであります。こういう場合がありますので、運転者といたしましては、自己の生活を守ることのために、でき得るだけかせぎ高をよけいにするというところに、今日の非常に大きな無理が生じて、その無理がやはり事故発生の一つの大きな原因だと私どもは考える向きがあるのでございます一幸いお尋ねでございましたので、私からかようなことを申し上げるのであります。従いまして事故の防止をしようといたしまするには、単に運転者だけをその対象とすることなくして、やはり営業を営みまする者の側の、そういう事故発生の一つの素因ではないかと思われるような営業方針等に対しましては、私どもは相当な取締りと言うと少し過ぎるかもしれませんが、注意を促して、運転者が安心して、自分の生活を維持することのできるような経営の方法にかえることも一つ方法ではないかと考えておるのであります。  それからもう一つ事故防止の問題といたしましては、これはまつたく運転者の教養の問題でありますが、たとえば外国の例等を見て参りましても、通行する人がかりに車道に降りておりますれば、自動車は必ずその人の前に来たら、一応停止をするというような態度をとつている。あるいは交叉点等におきましても、ゴー・ストップのない交叉点においては、かりに歩道に人の影が見えまするならば、自動車は必ずその前に停止をする。そして一応人を通しておいて、そのあとから自動車か通る。そういうような訓練が行われておれば、やはりこういう事故の発生も少いと考える。しかしこれは相関関係がありまして、歩行者の方も、何でも自分たちが通る間は車が通らないというようなことで、かつてに通られれば、運転者は仕事ができませんので、これらの問題はやはり交通取締りに関する仕事の一環としておの互い歩行者の道徳的な観念の涵養と、事故防止の観念というものを強くすると同時に、運転者の方にもそれらの事項を十分注意するようなことが、私は概念措置としては現在考えられるのであります。こういうことが如実に行われて合理化されて参りますならば、私は交通事故というものは、大体その件数が減りますると同時に、無理なと申し上げまするような交通事故の発生を、未然に防ぐことができる大きな素因になりはしないかと考えておるのでありまして、今お尋ねがありましたように、法が寛大になれば、人間がそれになれて、かえつて事故を頻発するのではないかというような御心配は、私はもつともだとは思いまするが、しかしそれだからといつて、私どもは今日の現状をそのまま放任しておくということもいかがかと存じますので、かくのごとき法案を出したのであります。さようひとつ御了承をお願いしたいと思うのであります。
  45. 大石ヨシエ

    大石委員 とにかくこれはどんなことがあつても、ぜひ通してもらわなければならぬ。  それから東京駅へ行きますと、左側通行をやつておる。外へ出ると右側通行でしよう。京都の駅も、やはり市中と反対です。これは曖昧模糊です。それで私はあなたに重ねてお願いいたします。道路交通取締法をもつと完備する必要がありますから、その案をあなたの方も練つてください。われわれも練りますから……。それでまず第一に、それはあなたは商売だし、それで月給をもらつておるのだから、それを詳細に書いた資料提出してちようだい。なぜ駅の方を市中と左右別にしているのか。そうするとあの中に入つた人はあからぬじやないですか。ああいうことすべてを統一する必要があると思いますが、あなたはどういうふうに思われますか。
  46. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 駅の例をお取上げになりましてお話がございましたが、ごもつともだと思います。ただ駅の構内につきましては、やはりいろいろの施設の関係上、どうしてもそうならざるを得ない場合がある、これはひとつ御了承願いたいと思います。そういう関係で、特別の例外といたしまして、駅によりましては駅構内で、そういうやり方をやつておるところもあります。
  47. 山本友一

    ○山本(友)委員 山口さんに御答弁を願いたいわけですが、この取締法の一部改正について、あなたの方はどういうような御見解を持つておられるかをお聞きしたい。
  48. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 先ほども申し上げましたが、もちろん運転手の人権を擁護する、処分にあたつて広く意見をお聞きしまして、慎重な処分をするということは、当然に考えなければならないことだと思います。ただ実際問題といたしまして、お話のように交通事故に伴ういろいろな処分が遅れるというようなことになりまして、運転する人に何か気持の上でゆるみを与えるというようなことがありましたならば、これは社会一般の交通事故をできるだけ少くするという一番大事な観点から考えまして、相当問題があろうと私は存じております。従いましてそういう点につきまして、この委員会におきましても慎重に御審議をくださいますように、私からもお願いをいたしたい、かように考えます。
  49. 山本友一

    ○山本(友)委員 今の山口さんの答弁はまことに抽象的です。抽象的ならざるを得ぬと私は思いますが、私はまずあなた方のような担当官の人は体験があられるわけでございますから、同じ事故のうちでも、他動的に起つた事故もあれば、運転手その他の直接の衝に当る人の心のゆるみから起つた事故もある。極端に言いますれば、酒を飲んで自己を失つて変な事故をやつたというようなことも、枚挙にいとまないほどあるわけです。こういうときに、一方的に運転手に寛大な合理化主義のごとき今日の法案がもし通過したとすれば、精神的にますます心のゆるみを生じて来る公算が私は非常は多いと思う。通念的に運転手取締りを厳重にせよということは、苛酷を意味するのではないのですが、こういう事故の、精神に基くものが大体どれだけの率を占めているか。自分の車がぶつかつたが、それは人の作用によつて他動的にぶつかつたのだというようなこともたくさんある。こういうようなことについて多少承つてみたいと思う。
  50. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 ただいま御質問のそういう事故に関する統計上の資料を持ち合せておりませんが、ただ一般の営業用の車を運転しております者の事故の場合においては、第三者の過失というものよりも、むしろ本人自体に属するべき過失、あるいは気持のゆるみという事故が多いということは言えると思います。純粋に本人の過失あるいは他人の過失が重なつた場合、あるいは不可抗力の場合の統計上の資料は持ち合しておりません。
  51. 山本友一

    ○山本(友)委員 そういうような資料があるものですかないものですか。不可抗力的のもの、あるいは自己の責任によつて起つた、あるいは技術その他のことによつて起つたというようなものはおわかりですか。それのパーセンテージか何かで出ておりますか。
  52. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 よく調べまして、できますならば御期待に沿うような資料を求めたいと思います。ただいまここでございますと、ちよつと確実に申し上げかねますが、できるだけ御期待に沿いますように努力して作成して行きたいと考えます。
  53. 大矢省三

    大矢委員 一体これはいつからいつまでですか。  いま一つは、先ほど藤田君からちよつとお尋ねがありまして、自動車は道路その他の関係で、飽和点に達しておるということでありますが、道路運送審議会に対して参考人なりその他意見を求められたことがあるかどうか、あるいは運輸省に対して意見を求められたかどうか、これを伺いたい。  それからこの法案が通過いたしましても、気がゆるむとかいうようなことよりも、もつとおそれることは、こういう聴聞会を開くというような煩瑣な手続を避けて、できるだけ問題のすぐ解決がつくような、いわゆる過料に重点を置いてこれを厳重にやられますと、かえつてこれよりかもつと苦しい結果になりはせぬか。スピード違反というのはなかなかむずかしいのであつて、一方は違反であるといい、一方はそうじやないという、その明らかでないスピード違反が三千円、これが二回、三回と重なつて来るとたまつたものではない。これが通るとまたしてもそういう非常に過酷な科料をとられるのではないかと心配されるのであります。そこでこれは地方々々で事情が違うと思いますが、私が言わんとすることは、もしこれが通過した後において、かつてにきめられて、科料をどんどん上げられたのでは、かえつて酷になつてしまうから、公安条例か内規で最高をきめておるものがあるか、これがためにより上げるような心配がないかどうか、この三点を伺いたいのであります。
  54. 門司亮

    門司委員 統計は大体二十七年の一月から十二月までの統計であります。  それから今御心配の点でありますが、提案者としては、こういう法律ができたからといつて取締り件数がふえるとは考えていないのであります。大阪は常に交通量が多くて少し過酷だと考えておりますが――統計に現われております数字が、こういう法律ができたから、それより以上に増すということになると、一つの問題を起すと思いますが、今のお尋ねのように、あるいは科料その他がふえるのではないかということは、一応想像されますけれども、私どもは取締りの公平が期せられることを、実は念願しておるのでありまして、この法が出たからといつて、特にスピード違反がふえて、過酷な取締りをするということは、大体ないのじやないかと考えております。
  55. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 運輸省その他の方面にはまだ連絡いたしておりません。それから御質問科料の点でありますが、実は科料は裁判所の方の問題でありまして、私の方は運転免許取消し、または停止行政処分の方だけ関係しておるのであります。
  56. 中井一夫

    中井委員長 加藤精三君。
  57. 加藤精三

    加藤(精)委員 質疑の通告を取消します。
  58. 中井一夫

    中井委員長 それでは本案については質疑は終了いたしたと認めて御異議はございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めます。よつて本案については質疑は終了をいたしました。     ―――――――――――――
  60. 中井一夫

    中井委員長 次に刑事訴訟法の改正案に関しまして、当委員会としては何らかの決定をして、これを法務委員会に申し出るというお話合いがございました。ここに藤田委員から決議案が提出されておりますから、これを朗読いたします。    決議案  今国会に政府から提出されている刑事訴訟法の一部を改正する法律案中、第百九十三条及び第百九十九条に関する部分は、新警察制度実施以来五年間に、民主的に育成され来た警察を検察官の隷属下に置き、刑事訴訟法中僅々数条を改めることによつて警察制度そのものをあげて強大なる権力組織に奉仕せしめるに至る危険を孕むものというべきである。   捜査の適正化、人権の尊重、いずれもきわめて重要な事項ではあるが、そのための方法としては、警察自体に自発的自律的粛正の実をあげさせることが有効適切であり、それによつて警察、検察の相互独立、相互抑制の建前を堅持して、権力の過度の集中を防ぐことこそ民主政治の要諦とすベきである。   地方行政委員会は、以上の見地から右の改正案に対しては、反対の意思を明らかにするとともに検察、警察が相互にその立場を尊重しつつ愈愈緊密に協力し、人権の保障と治安の維持に万全を尽すことを期待する。   右決議する。こういう案であります。この案を本委員会の決議とするに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めます。よつて本決議案は原案通り確定をいたしまた。  なおこの決議案の取扱いにつきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決定をいたしました。     ―――――――――――――
  63. 中井一夫

    中井委員長 次に地方税法改正案につき審議を進めます。御質疑はございませんか。
  64. 滝井義高

    ○滝井委員 ちよつとお尋ねいたします。固定資産税の中の償却資産に関する問題で、特に炭鉱における坑道の問題でございますが、現在固定資産などの償却資産のこの坑道の問題の決定は非常にむずかしいので、小さな市町村においてはその評価その他において、非常な困難を来しておるのが現状でありますが、実情は大体どういうぐあいになつておるのか、ちよつと御説明を願いたい。
  65. 後藤博

    ○後藤政府委員 坑道の償却資産の評価のお尋ねでありますが、実はこれは非常にむずかしい問題でありまして、私どもは基本的にはかように考えております。大体主要坑道の評価をして、その分を課税の対象にする、通風口とか切羽とかいろいろございますが、そういうものは大体はずして、主要運搬坑道を評価の対象にする。その主要運搬坑道の着炭点をどこまでにするかという問題があるのでございますが、大体最初の着炭点までを主要坑道の評価の対象としてもらいたい、これが通産当局及び業界、市町村それぞれの意見を調整いたしまして、私どものきめた評価の基準であります。そこで、最初の着炭点までの主要運搬坑道の評価にとどめておりますが、この最初の着炭点というところに問題があるのでありまして、その点で、九州におきましては、市町村とわれわれと業界とそれぞれ意見が多少異なつております。その点をもう少し調整いたしたいというので現在研究を進めておるわけであります。
  66. 滝井義高

    ○滝井委員 主要運搬坑道の最初の着炭点と申しますけれども、もちろん大手筋のようにボーリングも十分やつて、科学的な調査に基いたところは、これはもうこういう点が非常にうまく行くと思うのです。ところが現実に鉱産税あるいは固定資産税の対象になつて、中小の市町村の財政を潤しておるのは、中小炭山が多いわけなのでありまして、従つて、科学的なボーリングその他をやつて主要坑道をやるのではなく、一応目見当をもつてつてつて着炭いたします。ところが、そこまでを償却資産の評価の対象としておると、今度は今まで通風口であつたようなものが、だんだんいつの間にか主要坑道になつてしまつて、そういう方向に非常に大きな金をかけておるという現実が出て来ておつて、元の着炭点というものが、いつの間にか廃道になつておる、こういうことがありますので、実にこれは技術的に非常にむずかしい点をはらんでおつて、現在財政力の豊かでない小さな町や村が、この税金をかけるのに非常な難点が現実に出ておると私は思うのです、従つて、そういうものがいつの間にか政治的に解決をせられて、正当なるところの課税が行われないおそれがあると疑われる節もあるのでございます。従つてそういう点については現在いろいろな問題が自治庁の方に来ておると思うのでございますが、そういう点は大体どうやつておるのですか。
  67. 後藤博

    ○後藤政府委員 おつしやいますように、主要坑道の認定の問題につきましては、いろいろ個々の具体的な問題がございまして、非常に認定が困難であります。しかし、炭鉱所在の市町村というものは、非常に結束をいたしておりまして、全国的な結成をしておる団体もございますし、そことそれぞれ炭鉱業者との間の折衝もいたしておりまするので、多少政治的に解決する向きもあるかと思いますけれども、割合強く当つておるのではないかというふうに思つており、従つてまた問題が非常にたくさん出ているのではないか、こういうふうに見ております。個々のケ―スにつきまして私どもは一々評価の指導をいたすことができませんので、大まかな基準をいたしておるわけでありますが、その大まかな基準が個だのケースにあたつてやはり問題をかもしておりまするので、もつとこまかくいたしたいと思いまして、現在検討をいたしておるわけであります。
  68. 滝井義高

    ○滝井委員 政治的な折衝においては筑豊炭田の状態は御承知だと思いますか、炭鉱業者の勢力というものは、すぐに吉田内閣は石炭内閣と言われているくらいに、戦後における日本の政治資金というものは、土建と石炭のところから出ていると言われており、それくらい強力な業者を背景にしているわけであります。そういう政治的に強いものを相手にして、小さな政治力の弱い市町村は、とても太刀打ちできないというのが現状ではないかと考えます。従つて、主要坑道の決定にしても、市町村が、こいつは莫大な金をかけている、むしろここからとるべきだと言つても、現在のように自治庁自身におけるところの意見も明白でないということになれば、これは必然的に政治力の強い方の意見が勝ちを制して、せつかく市町村の財政を潤すためにつくつたところの主要坑道という重要な財源が、重要な財源でなくなつてしまうおそれが出て、そうして炭鉱所在地におけるところの固定資産税の比重というものが、非常に軽くなる可能性も出て来るわけでございます。従つて私は、そういう固定資産税、特に炭鉱に関する償却資産である主要坑道あるいはその他の設備資金からとるためには、現在の市町村課税能力、あるいは人的な能力では無理ではないかと思う。むしろこれは特にそういう償却資産に限ると、固定資産の中の家屋とか工地というようなものは、割合評価がしやすいのでございます。そこで、大きなセメントの設備とか発電所の設備というような、非常に償却資産的な要素の多いものについては、むしろこれは県税に持つてつて、もつと政治力のあるところでとる方が、もつと妥当な公正な課税ができるのではないかという感じもするのですが、自治庁の考えは、そういう点どういう考えを持つておられますか。
  69. 後藤博

    ○後藤政府委員 償却資産につきまして、県税にしてはどうかという御意見は、これはいろいろの方からございます。私ども検討をいたしておりまするが、ただ鉱山の場合もそうでありますが、市町村の公共団体と非常に関係のあるところの償却資産もあるわけでありますから、そういうものを一括して市町村から県に移してしまつてよいかどうか、両方でその税源の配分をする必要がありはしないか、そういう点で問題があるのであります。それから固定資産税の中から、その償却資産だけ特別に引抜いて単独の税をつくつてよいか悪いかという問題もございます。あれこれ考えまして、現在は検討しておるのでありますが、特に炭鉱地帯におきましては、償却資産の課税と法人税割と鉱産税とが、それぞれ県から市町村に参つております。従つて県から見ますると、鉱山関係の税は何も入つて来ないわけであります。従つて非常に鉱山関係の税が偏在をしておる。従つて何らかの形においてとるとは言わないが、財源としてよこしてもらいたいという要求もあるわけでございます。もつともな要求であると私ども思つておりますが、従つてその間の調整をどうするかという問題は、これは地方団体全体の非常に大きな問題でありますので、地方制度調査会あたりでも検討していただいておるのであります。私ども現在検討をしておりまして、まだどういうふうにするかということを決定しておらぬ次第であります。
  70. 滝井義高

    ○滝井委員 私が指摘したいと思つておつた点を部長が今指摘されましたが、実はただいま福岡県などは、非常に大きな鉄鋼産業である八幡の製鉄所がある。それから大小無数の炭鉱がある。従つて福岡県の財政力は非常にゆたかである、こういう評価を受けやすいのであります。ところが中味を抜いてみると、今言われたように炭鉱というものは税金を市町村に納めておつて、ほとんど本社は東京にあるというので、福岡県自体の県税にはちつとも貢献をしていない、といつては語弊があるが、いわゆる税の面においてはしていない。ところが県から今度のこういう災害の場合は、炭鉱の補助金その他を当然出さなければならぬという事態が起つて来ておるわけです。そうすると、平衡交付金その他の場合において、そういうものが十分考慮されておるかどうかというと、そうではなくて、これは炭鉱もあり、製鉄所もあるから富裕県だ、こういうような外形的な形によつて、非常に損をしておるのが実情なんです。従つて今言つたような非常に小さな町や村においては手に負えないという事態が、現在の坑道の問題などで起つておるわけです。たとえば市はある程度税務機構も整い、人的な要素も整つておるのでできる。ところが村になりますと、一つの大きな炭鉱がそこにできておりますれば、当然これは主要坑道その他の評価をするには、専門的な技術員を必要とするのでございます。現在の固定資産の評価員だけでは、とてもやり切れないというような実情だと思うのでございます。これ以上問題は追究しませんが、とにかく自治庁の税務部においても、もつとこの問題は検討して、そして適正な徴税機構をつくる。多くとつても気の毒なんですから、機構をつくつていただくということで、この地方税法審議が終るまでくらいに、ひとつ自治庁の公式見解を結論づけていただきたい、こう一応要望して質問を打切つておきます。
  71. 門司亮

    門司委員 私どもこの機会にお聞きをしておきたいと思います。いろいろ地方の財政のことについては見られると思いすまが、地方財政にからんでここに地方税法改正も出ておりますので、両方兼ねたような質問ですが、住民税の法人割の率を上げられる御意思はございませんか。一般住民だけよけいとられるような改正をしないで、このくらいの財源ならば法人税の税率を一般住民並に上げれば、大体私はカバーできるのではないかという感じがいたしますが、そういう御意思はございませんか。
  72. 後藤博

    ○後藤政府委員 所得割をオプシヨン・ワンからオプシヨン・ツーに移す場合は、大体法人税割の方の一二・五%というものを引上げておる例が多いのです。ただそれを引上げましても、法人が所在してないところでは問題にならぬのであります。そういう問題もありますので、法人税割を引上げても、その財源の補填はできない場合が相当多いのではないか。特に大都市におきましては、大体オプシヨン・ワンをとつております。それは工場がたくさんありますところは、大体オプシヨン・ワンをとつておりますので、オプシヨン・ツーをとつておるところは、大体工場があまり所在しないところが多いようであります。従つて多くの場合は、法人税割の税率も標準税率も上げておるようでありますが、それでもつて財源をカバーするということは、不可能ではないかと私は思つております。
  73. 門司亮

    門司委員 私の質問の仕方が悪かつたのかもしれぬが、とにかく法人に対する課税率と個人の課税率が違つておることは御承知の通りであります。これを私は両方同じようにすればいいんじやないかと思いますが、その点はどうなんですか。
  74. 後藤博

    ○後藤政府委員 お答えいたします。法人税割をおそらく一八%という標準税率まで上げたらどうかというお話じやないかと思いますが、私は一八%まで上げなければならないという理由は、別にないのではないかと思つております。もちろん法人税割をもつと上げたらいいとは思つておりますが、これは非常に偏在する税でございますので、法人税割を上げますということは、かえつて偏在度を増すのではないか、従つて現在程度がいいんじやないか、かように考えております。
  75. 門司亮

    門司委員 自治庁の考え方がそうだとすれば、非常にこれは誤りだと思います。地方財政全体の確保ができないで、私ども個々の部分でのどの村がどうだという議論をしておるわけではございません。平衡交付金制度もございます。従つて当局の考え方は一体どういう考え方なんですか。上げられないというが、昭和二十五年の税制改革のときは、法人割はなかつたはずであります。それがその次の税制改革をするときに、個人とあまり均衡がとれないということで、若干の法人割をかけたが、そのときにもわれわれは個人に百分の十八をかけるならば、法人にもかけたらどうかという意見を出したのでありますが、それは法人の資本の蓄積の意味も多分に政治的にからんでおつたし、それからもう一つは法人税の方でとるからということで、これが均一化されておらない。従つてわれわれは今日の段階になつて地方財政が非常に苦しんでおるときに、一体何を好んで、さつきのような法人割を上げなければならないりくつはないということが言えるのか。大体二十四年までのこうした地方住民税当時の法人割というものは、かなり大きな役割を演じたことは御承知の通りである。そのときは総額の三十七、八パーセントを占めておつた。それが二十五年度の税制改革のときに一つもかけないというのが、地方住民に税金のかかつた一番の原因であることは、御承知の通りであると思う。だから私は何も今日の段階になつて、法人といえども相当な利潤を上げておりまするときに、法人の資本の蓄積に汲々であることのために、地方住民の負担を大きくして、そうして応益税である住民税に不均衡を来すことは、私は避けたいと思います。工場があるとかいろいろのことを言われておりますが、工場があればあるほど地方の公共団体にそれだけ迷惑をかけておるので、従つて応益税の建前から言うならば、私は当然法人にかけるべきだと思う。住民がふえてもあるいは住宅がふえて参りましても――住宅がふえたら多少固定資産税がふえるかもしれませんが、しかし住民がふえてくればそこには学校の施設もしなければならぬ、そういうことを考えて参りますと、道路の改修その他の施設に費用を要することは当然である。従つて私の今申し上げておることは、これをやはり個人並に百分の十八なら百分の十八に引上げてしまう。あるいはオプシヨン・ツーをとつておるところはオプシヨン・ツーでいいじやないか。それで法人と個人との差別をなくすることによつて、私は地方財政の確保がある程度できるのではないかと思いますが、地方財源がない、ないと言いながら法人だけに特別の処置をとつておる段階ではないと思いますが、一体どういうふうに考えておるのか。
  76. 後藤博

    ○後藤政府委員 私の説明がまずかつたのでありますが、法人に対する負担も地方税の法人税割だけということでなく、やはり府県税の法人事業税、それから国税の法人税をあわせて考えなければならぬ。また個人の所得関係の税ともあわせて考えて行かなければならない。そういう現在の税負担の均衡の点から申しまして、これ以上引上げるということは無理ではないか。かように現在考えております。それからもう一つは、先ほど申しましたように、偏在を助長するということが私ども心配している点であります。国税との関係において常に法人税が一番偏在しているのではないか。これは私ども一番痛いところでありますが、その点をちよつと申し上げたわけであります。
  77. 門司亮

    門司委員 私は、税法の中で、税金をかけることによつてそれが偏在するからけしからぬという税金のかけ方は、実際どうかと思う。税金はやはり公平にかけるベきものであつて、偏在するからできるだけ法人に税金をかけないということではなく、そこに住んでおる地方住民の税率を下げればいいのです。それは何もむずかしい相談ではないと私は思う一特定の法人だけに税金を軽くするという理由は、今の自治庁の答弁ではわからぬのであります。それからもう一つは、法人税が高いからというりくつもあるかもしれませんが、しかし法人も法人ですが、個人にもやはり所得税がかかつているのでありまして、これも私どもは大した理由にはならぬと思う。また同時に、シヤウプのものの考え方は、法人といえども、その利潤は大体個人に返るのであるから、法人にはあまりかけないで、個人にかけるのが正しいというのでありますが、これは一体正しいかどうか。その議論は避けまするが、現実の問題としては、そういうことが如実に行われておるのです。これは少し言い過ぎかもしれませんが、国内の会社や工場などの社長あるいは重役の諸君の使つておる車は、実際は自家用にひとしい車であるが、会社その他の名義になつていて、やはり個人にそれだけの収入を得させれば、それだけ負担がよけいかかるというので、会社の負担で行われておる。一方においてのがれる道があるから、そこにだんだん上わ寄せされて来るのであつて、当局が考えておられるように、必ずしもこれは正しい行き方をしておるものではないと思うのです。こういう現実の姿を見ますると、やはり負担の公平を期するためには、特に市町村民税でありまするこれらの税金の負担割というものを公平にすることが正しいと私は考える。そのことによつて財源の確保もされることは、地方財政としてはかなり大きな問題だと思う。今の百分の十五を百分の十八まで引上げることによつてかなり大きな財源になる。これが、さつきのお話のように偏在するから、危険だということでオミットされることになると、これは自治庁の頭が少しどうかしておると思う。幾ら偏在したつて、それはかまわないじやないですか。あとにまだ平衡交付金があつて、これを十分平均化することができる制度がちやんと設けてある。その点をもう一応はつきりしておいてもらいたいと思うのです。
  78. 後藤博

    ○後藤政府委員 地方税全体につきましては、現在地方制度調査会においても検討されておりますので、いずれ結論を得るごとと思います。法人税が偏在すると申しますのは、実は、税率を相当上げて参りますと、現在平衡交付金の行かない団体に非常に、税がかさんで参るという危険があるのであります。従つて平衡交付金の調整作用がきかないことになる。しかし地方財源全体としてはふえたという、変なかつこうになる危険があるのであります。従つて地方自治体、特に市町村の税として、偏在度の少い税の方がよくはないか、こういうふうに私どもは考えております。従つて偏在度の多い税はできるだけ避けて行きたいというのが、私どもの心持であります。その点を申し上げたのであります。偏在度が高いから、その団体において他の税を下げたらいいかというお話でありますが、これは私ごもつともな話だと思います。しかし財政計画全体として見ますと、超過財源が出た団体を調整するところの方法はないのであります。国税と違つて、そういう地方税には偏在度の少いものを選ばなければならないというところに苦労があるのでありまして、その一端をちよつと申し上げたのであります。
  79. 門司亮

    門司委員 私はそういう議論が出て来ると、だんだん議論をしたくなるのであります。もし自治庁でそういうお考えであるとすれば、もう少し地方の自治体の実体というものを知つてもらいたい。それはたとえば、富裕県であると言われております東京都、それから神奈川県でありますが、今教育費のことが問題になつておりますけれども、あの教育費自体を考えてみましても、全国で一番よけいに二部教授をやり、ぼろ校舎を持つているのは東京でしよう。その次が神奈川です。県全体を外側から見ると富裕県のように見えるが、事業の実体を一つずつつかんで行けば、全国東京ほど悪いところはないと思う。戦災学校はいまだに復興いたしておりませんし、老朽校舎を相当持つております。二部教授は一番よけいやつておる。その次に二部教授が多いのは神奈川県です。しかしこれを外から見れば富裕県と見なされておる。自治庁は資金が偏在すると言われますが、自治体おのおのの実体というものは、必ずしも外から見た形のようなものではないのです。自治行政の最も大事なところはそこにあるのであつて、外から見ただけのものの考え方とりくつだけで、割り切るということではなく、やはり地方自主性というものは、十分それらを勘案されて、そして地方の自治体のすべての事業が平衡化するように、財政的な物事を運んで行つてもらいたいと思う。東京都や神奈川県のようなところは、先ほど来申し上げておりますように、なるほど一定の基準というものから考えてみますならば、そういうことは考えられる。しかしその基準の中には、戦災学校に対する基準は見ておりません。老朽校舎に関する基準も見ておりません。別な角度からこれを見て来ておる。従つて今自治庁の考えておる地方財政のわくの中には入つていませんが、自治体個個に当りますならば、これは当然財源措置を必要とするのであります。こういうことも自治庁としては、十分お考えになる方がいいと思う。そういうお考えにならないと、今のような答弁が出て来て、そして偏在するものはなるベくとらぬことにする。偏在をするような財源を持つておるところは一体どうなるかというのです。先ほど申しましたように、住民がふえて来れば、学校を建てなければならぬことはわかりきつているのである。だから私は、自治庁の今の見方については賛成しがたいのであります。私どもといたしましては、税の公平を期することのために、応益税の性格の強い市町村民税のごときは、ぜひそういうことにおいて財源の獲得をしたいと思いまするが、この機会に私は、もし現行制度で法人税割を、たとえば百分の十八まで引上げたとしたら、一体どれだけの税が増収になるか、その額をひとつ調査しておいてもらいたいと思います。
  80. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいまの門司委員からの御質問に対する税務部長の御回答は、どうも私も、市町村の実体から見まして、ことに住民税のオプシヨン・ツーを採用しなければならないという、非常な苦痛を感じている市町村当局としては、ああいう考え方ではたいへん困るのであります。法人税割を上げない理由は他にあるのだろうと思いますので、この次の地方行政委員会のときまでに十分お考えになつて、御回答いただくようにされたらいかがかということを、税務部長さんにお尋ねいたします。
  81. 後藤博

    ○後藤政府委員 お答えいたします。私ども現在地方制度調査会において、地方税に関する問題点の説明をいろいろいたしておるのでありますが、現在の地方税についての負担関係を法人と個人とにわけて見ますと、全体としてはいいのではないか、こういう観点に立つておるのであります。ただその間の財源の偏在といいますか配分といいますか、そういうものをもつと公正にすれば、超過団体等の問題も起らなくなつて参るのであります。ただ現在の平衡交付金基礎になつております財政平衡化の方式、それ自体に関係する問題でありますので、その方式がかわつて参りますれば、税に対する考え方も、もちろんかわつて参らなければならぬ。門司さんのおつしやいましたような問題も、この平衡化の問題と関連して、考えるべき問題であろうと思つておるのであります。  それから法人税割に関する問題につきましては、おつしやる通り研究して、また別の機会に御答弁申し上げます。
  82. 加藤精三

    加藤(精)委員 これは水かけ論になりますから申し上げませんけれども、門司さんの御質問は、現在の地方税法の運用としての問題を論じておられるので、この運用上さしあたり不合理だと思われるところを、その範囲で直して行こうということに立脚して論じておられる。税務部長さんのは、地方税制全体を、国税との関連において、地方制度調査会で根本的に直す場合の議論に一つの論点をとつておられるので、どうも私は質問と回答とに根本的に食い違いがあると思うのであります。実際深刻な財政難に悩んでおつて、オプシヨゾ・ツーをとらなければならないところで、しかも法律のスライドも少ししかできない、オプシヨン・ツーのスライドも少ししかできないというようなところにおいて、現在の法人税割と住民税割とが均衡を失するということについての現実を、税務部長がおわかりにならぬわけはないと私は思います。その点を論じておられるのに対して、どうも税源の所在を均衡にするという、これはまつたく生産力が違い、地方の国民所得がみな違うわけですから、その問題は、その限りの段階の議論としては何ともしようがないはずです。そういう場合には個人所得も上げるが、場合によつては法人所得も上げる。あるいは全国的に法人所得が、上げる余地のあるものなら率を上げるということは、考えることは考えられると思います。この問題は見解の相違になりますので、これで打切ります。
  83. 中井一夫

    中井委員長 それでは本案に関する質疑は、本日はこの程度で終ります。次会の開会は公報をもつて申し上げます。  なお、政府におかれてはどうぞ御出席の時間を、何とか御勉強いただきたいと思います。     午後一時二十三分散会