○柴田
説明員 お
手元にお配りいたしております
地方税法の一部を
改正する
法律と
改正前の
法律との
新旧対照表、便宜これによ
つて説明をして行きたいと思います。
第九條の
改正は、納税
義務の承継に関する
部分の
改正であります。従来
地方税法の納税
義務の承継については、清算人は無限責任であつたわけでありますが、国税徴収法上の
建前は二十六年の
改正で有限責任にいたしております。それで、従来歩調を合せる機会を失しておつたのでありますが、清算人についても無限責任にいたしては、実情から考えて酷でありますので、国税の
規定に合せて清算人も有限責任としたのであります。
それから相続人の納税
義務の承継でございますが、これについて、相続人が二人以上あつた場合の
措置が、
地方税法によりましては明確を欠いておつたのであります。これも国税に準じて、相続人が二人以上ある場合におきましては、その相続人または包括受遺者につきましては、被相続人の納税
義務について、相続または遺贈によ
つて取得した財産の価額に按分した額を引受ける、しかしその場合におきまして、取得した財産の相続人の納税
義務の承継の限度と、それから連帯して負う場合の連帯責任の限度は、当該相続または遺贈によ
つて取得した財産の価格を限度として、連帯責任を負うのだ、こういう
ような
規定にいたしたわけであります。この
規定は国税徴収法の四條の二及で四條の四、この
規定に照応するのでありまして、むしろ
地方税法の
建前が国税徴収法と一致しておりませんでしたのを、合わしたという
建前であります。
第十條はすでに納税
義務がきまりましたものについての納付または納入の
義務の承継の問題でありますが、これにつきましても清算人の場合及び相続の場合につきまして、第九條と同じ
ように清算人につきましては有限責任とし、相続人につきましては、一定限度については連帯して納める
義務を負うのだ、こういう
ような
改正にいたしたわけであります。これも国税の
改正に準ずるものであります。
第十
一條の
改正は共同事業者の定義でありまして、これは従来
規定が明確を欠いておつたのでありますが、共同事業から生じた租税債務につきましては、共同事業者が連帯して納付の
義務を負うのでありますが、まつたく経営者が名義だけでありまして、実態はそれと一定の資金
関係その他で、つながりの多い人が経営しておるにかかわらず、
法律は名目上の経営者が租税納付の
義務があ
つて、実態上事業を経営しております人が、全然租税の納入
義務を負わないということは、租税の徴収という観点から行きまして、適当でない場合が多々ありますのみならず、この間隙を利用いたしまして、最近は頻頻と脱税が行われますので、そこで
法律上の経営者がまつたく無
意味であり、実際はその経営者の一定の
関係にあります人が経営しております場合においては、その両者を共同事業者と見なして、納税の
義務を負
つていただく、さ
ような
改正をいたしたのであります。ここに
政令で定めるものと書いてありますのは、大体現在
地方税法の十條の三に、特定の場合におきましては、納税
義務が一定の
関係がある人に転負して行く場合があるのでありますが、その場合に準じまして、大体親族その他実質上経済的に、そのものによ
つて生業を維持しておるものといつた
ような、ごく特殊の経済的
なつながりの多い者に限定する
趣旨を、
政令に譲
つておるのであります。
それから先取特権の十
五條の
改正は、これは現在
地方税の国税の租税債権の順位については、原則としては同順位でありまして、先着順によ
つてその先後がきまるわけでありますが、その場合に
地方税につきまして差押えを行いました場合の優先順位につきましては、第十
五條の二項に
規定があるのでありますが、国の徴収
義務を滞納いたしまして、そのために滞納処分をいたしました場合の国税と、
地方税との優先順位の
規定が明らかでないのであります。いわば
現行法の第十
五條の二項の
規定の裏になる
規定が欠けておりますので、特に三項を入れたわけであります。そういう場合には
地方団体の徴税
吏員が、国に対して
交付を求めるわけでありますが、その求めた
地方団体の徴収金は、差押えを受けた財産の価格を限度として、差押えをいたした国の徴収金について先取しない、つまり十
五條の二項の裏の
規定を置いたわけであります。これも国税徴収法の第
二條三項に見合う
規定であります。
第十六條の七の
改正は、特別徴収
義務者について担保の提供を命じ得る
規定でありまして、これも最近経営者が頻々と交代いたしまして、そのために納入金を確保できないという場合があるのであります。そこで本條では、入場税、遊興飲食税につきまして、保全をなすに必要がある場合には、特別徴収
義務者に対して、期間及び金額を指定して、その徴収金を保全するために必要な限度において、相当の担保の提供を命じてもよろしいという
規定を置いたのであります。この
規定は現在の酒税法の三十
一條二項と大体同
趣旨の
規定でありまして、間接税的な入場税、遊興飲食税法の徴収の確保をはかる
意味におきまして、経営者の頻繁な交代による脱税を防ごうという
趣旨に立脚するものであります。
それから七十
七條の
改正は、軽減税率、入場税率の安い税率を適用いたします場合につきまして、現在総理府令でその運動競技の
範囲をきめておりますけれども、これは従来
地方財政
委員会規則できめておつたのであります。
地方財政
委員会規則できめておりましたのを、自治庁ができまして
地方財政
委員会がなくなりましたときに、総理府令に読みかえたのであります。しかしながら一種の軽減税率の適用
範囲の問題を、一
省令できめますことは適当ではございませんので、それを
政令にめげることにいたしたのであります。
地方財政
委員会から自治庁へ移りましたときの法規のミスを直したのあります、
内容に変更を加えたわけではないのであります。
それから八十四條の
改正は、現在入場税につきましては入場券を公給いたしております。それによりまして脱税等を防いでおるのでありますが、最近入場券の前売引換券というのを発行いたしまして、その前売引換券を売るときに税込み料金を徴収しておきながら、引きかえを十分に行わない、そのためにせつかくの票券公給制度がつぶれてしまうというおそれがあります場合が、あちこちでぼつぼつ出て参りました。そこで前売引換券を禁止するわけではないけれども、前売引換券を出す場合も、やはり道
府県が作成する用紙を用いることにして、票券公給制度の確保をはかることにいたしたのであります。その場合「前項各号に掲げる場合及び道
府県の條令で定める場合を除く外、」と書いてありますが、八十四條の二項の後段の方の、当該道
府県の條例で定める場合というのは、大体株主に対して出します優待。ハスといつた
ようなものを予想いたしております。それから第七項は、入場券等引換券を発行いたしました場合において、公給券とまた引きかえるという
ように
現行法ではなりますので、非常に
手続が煩雑であります。そこでそれを道
府県の條例のきめるところによ
つて、検印をしたものについては、その後の入場券等引換券が、そのまま入場券になるのだ。それで一々引きかえるという
ような
措置を講じなくてもよろしいという
規定を置きまして、公給制度の運用の簡素化をはかつたのであります。あわせてその引きかえの際におきます脱税防止を、検印ということによ
つて防ごうとしたのであります。
第八十
五條の
改正規定は、入場券等引換券を公給することにいたしましたために伴います
規定の
整備であります。
八十
七條の
改正は、これも入場券等引換券の発行を認めますことによります
規定の
整備でありまして、徴収いたします場合におきましては、現実に引換券を売るのでありますから、その売つた際に税込料金を徴収することを
建前にいたしております。そこで「道
府県の條例で定める場合を除く外」というのは、これは成文の通りでありまして、引換券をかりに発行いたしましても、現実に引換券を売らないということが明瞭である場合等を予想しておるのでありますが、大体において道
府県の自主判断において、適当に制限
規定を設けておるのであります。
九十
二條の
改正は、八十
七條の
改正に伴います
規定の
整備であります。
九十四條も同じく八十
七條の
改正に伴います條文の
整備であります。
九十
五條の
改正規定は、入場税について更正決定を受けました場合に、通常
現行法では、更正決定の通知をいたしました日から一月を経過した日が、納期限であるのでありまして、更正決定につきまして特別徴収
義務者に対して、一月間の納期限の権利が確保されておるわけであります。ところが更正決定の納期限が一月でありますために、実際は徴収上その間にいろいろ移動したり、あるいはいなく
なつたりする
ようなことがありまして、一月という非常に長い期間のために、みすみす税金が逃げてしまうといつた
ような場合もございますし、かたがた申告税額が少い場合と更正決定の場合でありますので、これを十五日、——半月に短縮いたしまして、その間の徴収の確保をはかつたのであります。同條の第二項は、やはり八十
七條の
改正に伴います
規定の
整備でありまして、條文の読みかえであります。
九十六條も同じく八十
七條の
改正に伴います條文の読みかえであります。
百十四條の二の
改正規定は、遊興飲食税の非課税の
範囲に関するものであります。これも先ほどの入場税の
改正規定と同じ
ように、従来は
地方財政
委員会規則できめておつたのでありますが、それを
地方財政
委員会がなくなりましたために、総理府令に読みかえたのでありますが、事の性質上
政令できめることを適当といたしますので、
政令に改めまして、総理府令の
規定を
政令に引当て
ようとするのであります。
第百十六條の
改正規定は、
現行法のもとにおきましては寮、クラブの経営者に対しまして質問検査ができない
ようにな
つております。これはこの前の
改正の場合のいわばミスであつたのでありまして、徴税
吏員が寮、クラブの経営者に対しまして、質問検査ができません
ようでは、実際徴税上支障がございますので、この場合におきましては、ある程度質問ができるのだという
ように
改正いたしたのでありまして、ミスの補正であります。
百二十
五條の
改正規定は、遊興飲食税の更正決定の場合の納期限を短縮いたしました。先ほど御
説明申し上げました九十
五條の
規定と同
趣旨の
規定であります。
百四十
七條は自動車税の標準税率の
改正でありまして、現在の税率に対しまして一率に五割
引上げております。 百八十
一條の
改正規定は鉱区税の賦課期日の
改正であります。鉱区税の賦課期日は従来十一月一日であるのであります。十一月一日で一年分の税金がかか
つて参ります。従いまして十一月一日以降において鉱区の承継がありました場合においては、月割課税の
規定が働くのでありますが、四月一日から十一月までの間におきまして、鉱区の変動がありましたものにつきましては、
現行法の
建前におきましては、月割課税の
規定が働かないのであります。従いましてたとえば五月に鉱区を取得して、十月にその鉱区を売
つてしまつたといつた
ような場合におきましては、五月から十月まで鉱区を持
つておつた人は、鉱区税がかか
つて来ないといつた
ような不合理があります。これを四月一日に改めまして、その間の負担の不公平をなくし
ようとしたのであります。
百八十
二條は鉱区税の納期でありますが、これも賦課期日をかえましたに伴いまして鉱区税の納期を一箇月遅れの五月に改めたのであります。
二百九十
二條の
市町村民税の
改正規定は、第一項の総所得金額の
改正では、従来ある
規定は退職所得を含むかどうかということにつきまして疑義があつたのであります。
現行法でもやれないこともないのでありますが、その疑義を一掃いたしますためには、
規定を
改正いたしまして
整備をはかつたのであります。
第五号の
改正規定は、特別減税国債法の
施行に伴いまして所得税法におきまして所得税額から一定の税額が軽減されるのでありますが、
地方税の場合におきましては特別減税国債法による減税額というものは考えないのだ、入らないのだという
趣旨をここに明らかにしたのであります。それから第五号の後段十五ページの終りの方にあります「同條第四項の
規定によ
つて徴収される重加算税額」これは従来の
規定のミスを補正いたしたのでございます。 第七号の扶養親族の定義でございますが、これは国税の所得税が二十六年から七年に
改正にな
つておりまして、扶養控除の額が上
つておりまして、扶養親族の所得額が一万五千円から二万円に上
つております。
市町村民税は前年の実績所得に対しましてかけるわけでありますから、二十七年の国税所得税に合わす必要があるのであります。それに合せまして一万五千円から二万円に改めたのであります。
十一号の法人税額の定義の
改正も、これも特別減税国債法の実施に伴います
規定の
整備でありまして、国税の場合は法人税額から特別減税国債法規によりまして、その購入額の一定割合を控除されるのでありますが、
地方税の場合におきましては、それは考慮しないということの
規定を明らかにしたのであります。
二百九十六條は
市町村民税の非課税
規定でありますが、漁船保険中央会を——これは事業税とあわせて
改正いたしたのでありますが、従来忘れておりましたものを、ここでミスを補正したのであります。
三百三條の
改正規定は、今回
市町村民税の特別徴収の方法をかえまして、従来は四月から翌年の三月までに源泉徴収することにいたしておりましたものを、五月から二月までの十箇月間に、十分の一づつを徴収するという簡便な方法にすることといたしました結果、申告
義務につきましても、今までは源泉所得だけの人、申告所得だけの人、申告所得と源泉所得と両方あります人、この三者につきまして、二月と四月末と二へん申告を要したのでありますが、その
手続を毎年三月末という
ように簡略化いたしたのであります。三項、四項は右の
規定によりまして不要になりました條文で削除いたしたのであります。
三百
七條の「給与支払報告書の提出
義務」の
規定でございますが、これも三百三條の
改正に伴いまして、現在の二月十日を二月末日に延ばしたのであります。
三百
八條は昭和二十五年の特例でありまして、年度が終りまして現在該当がございません。それで不要になりましたので削除いたしたのであります。
三百十條は三百三條の
改正に伴います條文の
整理であります。
三百十三條は所得割の税率であります。従来
市町村民税の課税方法につきましては、所得税額を課税標準にいたしますオプシヨン・ワンといわれる方式と、課税総所得金額を課税標準といたします第二方式、オプシヨン・ツーといわれる方式と、課税総所得金額から所得税額を控除いたしました所得税額控除額を課税標準といたしますオプシヨン・スリーといわれる三つの方式があるわけでございますが、最近そのオプシヨン・ツーの方式に移
つて行く傾向が非常に強くな
つております。しかしながら第一方式を標準にと
つております
市町村におきまして第二方式によりたいと思いましても、課税標準の
調査等につきまして第二方式をそのまま採用しがたいという
市町村も相当あるわけでありまして、その
ような
市町村の課税方法の便宜といつた
ようなことから、所得税額を課税標準にいたしまして、
市町村民税を課する場合におきましては、その方法によ
つて課しました所得割の金額が、いわゆるオプシヨン・ツーの方式によりまして課税した場合の所得割の額の制限を越えない場合には、オプシヨン・ワンの方式による課税の場合の税率は問わない、つまりオプシヨン・ワンの標準税率を百分の十八、制限税率百分の二十という税率を削除いたしまして、オプシヨン・ワンの方式でも
つて課税する場合においても、その課した税額がオプシヨン・ツーによる課税の制限額を越えない
範囲においては、税率を
市町村が自由にきめてよろしいという
ような方式にしたのであります。
三百十四條も昭和二十六年度分の
市町村民税に関する特例
規定でありまして、これも不要になりましたので削除いたします。
三百十四條の二につきましての
改正は、條文の
整理でございまして、條文がずり上つたわけであります。
三百十四條の三につきましても同様であります。
三百十九條の二と三百二十條の
改正規定は権利能力なき社団及び財団につきまして、もちろんこれに対しましても
市町村民税がかかるのでありますが、それが従来単に法人ということにな
つておりまして、解釈が明確でなかつたのであります。それを権利能力なき社団及び財団につきましても、均等割がかかるという原則をここで明らかにいたしまして、
規定の
整備をはかつたのであります。
三百二十
一條の四の
改正規定は、
市町村民税を徴収する場合に、特別徴収の方法によ
つて徴収する旨を、一定の期日までに特別徴収
義務者及び納税
義務者に通告しなければならないのですが、源泉徴収の方法を五月から十箇月に改めましたので、それに伴いまして、従来の四月十五日を四月三十日に延ばしたのであります。
三百二十
一條の五は、先ほど来申し上げております
市町村民税の所得割の源泉徴収分にかかる特別徴収の月割額にかかるものでありまして、従来は四月から翌年の三月まで毎月十二分の一ずつを徴収することにいたしておつたのでありますが、
市町村の実情は四月十五日までに納税
義務者に通知しますことは事実上困難であり、また十二箇月にわたりまして十二分の一ずつを徴収することは、徴収技術上もはなはだ煩雑でありますので、これを五月から翌年の二月まで十箇月にわたりまして十分の一ずつ徴収することにいたしまして、徴収の合理化と簡素化をはかることにいたしたのでございます。
三百二十
一條の八は、法人税法で今回清算所得につきましても課税することに
改正され
ようとしております。それは法人につきまして、法人の清算所得につきましても個人の
段階よりか法人の
段階で源泉徴収をし
ようという考え方に立脚するのでありますが、それに伴いまして、
市町村民税の法人税割につきましても、清算所得にかかる法人税につきまして、法人税割を徴収する
ようになるのであります。それに伴う
規定の
整備であります。
三百二十
一條の十三も、同じく清算所得に対して課する法人税について法人税割がかかることによる
規定の
整備であります。
三百四十
八條は、固定資産税の非課税の
範囲の
改正でありますが、第二項の「(第十号の固定資産を除く。)」というのは、「船舶公団が所有する船舶及び産業復興公団が所有する償却資産」これの該当がなくなりましたので、十号を削除することにいたしたのであります。
第五項の
改正規定は、農業災害補償法に基きます農業共済組合の固定資産につきまして、その
事務所及び倉庫について非課税にする旨の
改正でありますが、これはさきの
国会で本
委員会等におきまして、いろいろ
意見が開陳されましたために、その
意見を参酌いたしまして、ここに非課税とする
改正をしたのであります。
三百四十九條の二は、発電、送電または変電のためのいわゆる電源開発
関係の固定資産、おもに償却資産でありまして、償却資産と償却資産を収納する価格にかかるのでありますが、これは最初に
登録された年度から三年間は百分の〇・八、現行の標準税率の半分の税率で課税するという
規定でありますが、
現行法に不備がありまして、
現行法では昭和二十八年度及び二十七年度中に建設されました発電、送電または変電の償却資産につきましても軽減されない、二十九年度から軽減されるといつた
ようなことにつきまして、せつかくの効果が発揮できません。そこでこの
規定の不備を直しまして、この條文制定の
趣旨に合せたのであります。
第三百八十九條は移動性償却資産の配分の方法でありますが、これは従来は
地方財政
委員会が、
地方財政
委員会設置法に伴います
地方財政
委員会規則制定権を発動いたしまして、この配分方法をきめておつたのでありますが、
地方財政
委員会はなくなりましたので、その配分方法についての規則の
根拠規定がなくなります。そこで今回
法律をかえまして、総理府令の定めるところによ
つてその価格をきめるというふうに改めたわけであります。
第四百八十九條の電気ガス税の非課税の
範囲につきましても、入場税、遊興飲食税と同じ
ように
地方財政
委員会から自治庁に移りかわりますまでの
規定の不備を是正いたしまして、非課税の
範囲を定めることにいたしまして、現在の
省令規定事項を
政令規定事項に
引上げたのであります。
第六百二十條の
改正規定は、入湯税の標準税率の
引上げであります。現行は十円であります。これを二十円に
引上げようとするものであります。
第七百四十
二條の二の
改正規定は「資産又は事業から生ずる収益が
法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であ
つて、当該収益を享受せず、その者以外の者が当該収益を享受する場合においては、当該収益に係る事業税は、当該収益を享受する者に課するものとする。」これは実質課税主義の宣明であります。法人税法の
七條の三、所得税法の三條の二の
改正に見合うものであります。要するに名目の事業経営者と実質の事業経営者が違います場合には、実質の事業経営者に対して課税するということであります。
第七百四十
二條の
改正は、事業税の非課税の
範囲でございますが、これはおおむね
規定の
整備でありまして、特に新らしいものはございません。従来除けていたものを入れたり、あるいはもはや現実に存在しなく
なつたものを削除したのであります。
七百四十四條の九項の
改正は、基礎控除額の
引上げでありまして、三万八千円を五万円に上げたのであります。これは事業税の課税標準である所得が前年の実績によ
つておりますので、
現行法の三万八千円の
規定は、昭和二十六年の国税の所得税の基礎控除の額に準じてきめているのでありますが、本年度の事業税の課税標準は、昭和二十七年中の所得をとるわけであります。昭和二十七年中の国税の基礎控除額五万円に準じて、事業税についても基礎控除額を五万円に
引上げたのであります。
第十一項の
改正規定は、
医療法人につきましての
健康保険にかかる損益計算の特例であります。これは先の
国会で判定されたのでありますが、先の
国会では
国民健康保険と
健康保険だけでありました。ほかのものは全然
規定さされてなかつたのでありますが、それがたとえば船員保険だとか、あるいは共済組合に基くものだとか、あるいは未帰還者給与法その他に基くものにつきまして、性質の類似するものが、その他にもたくさんあつたのでありますが、これとの間のバランスがとれなくて非常に一線では苦労したわけであります。そこで
国民健康保険、
健康保険について課税標準の算定の基礎を設けられた
趣旨によりまして、これらのものと同じ性格を持つものについてすべて課税標準算定の特例を設けることにしたのであります。それからまたその場合にそれらの
健康保険法による家族療養にかかるものを、どうするかという問題があつたのでありますが、これも家族療養者にかかるものを含むものだという
ように
改正いたしまして、運用の便宜をはかつたのであります。
十四項は繰越し欠損金の
範囲であります。青色申告書の提出を認められている法人については二年であつたのでありますが、これを三年にいたしました。これは事業税がさらに一年間延期され、昭和二十八年度におきましても事業税及び所得税が存置されることになりましたに伴いまして、青色法人につきましては一年延期することといたしたのであります。
その
新旧対照表にミスがございますが、三十二ページの(二種の事業又は業務をあわせて行う場合における事業税額等の算定)その次に「第七百四十
七條の二略」というものが入るのでありますが、この
改正規定の「三万八千円」を「五万円」に
引上げますのは、二種の事業または業務をあわせて行う場合に関します基礎控除額の配分方法でありまして、基礎控除額の
引上げに伴います
改正であります。
七百六十
二條の三の
規定は、同族会社の行為または計算の否認に関する
改正でありますが、これは法人税法の三十
一條の三の第二項の
改正規定と見合うのでありまして、同族会社ではございませんが、実質上同族会社と同様な
関係にある
ような法人につきましても、同族会社の行為または計算上の否認の
規定に準じまして、その同族会社の行為または計算につきまして否認を行う、そして租税負担の均衡を保持するという
趣旨であります。
七百七十六條の
改正規定は、あん摩、はり、きゆう、柔道整復その他の医業に類する業務、これは従来は
施行令できめておつたのでありますが、あん摩、はり、きゆう、柔道整復その他の百医業に類する業務についても、
国民健康保険その他
健康保険に関します課税標準の特例を準用いたしました結果、これを法文の技術上
法律のところに掲げて参つたのであります。
第七百七十六條の二の
改正規定は、事業税の七百四十
二條の二の
改正規定と同
趣旨でありまして、実質課税主義を宣明したのであります。
七百七十
七條の
改正規定は特別所得税の課税標準の
改正でありますが、その第三項は基礎控除額の特別所得税に関します
引上げの
改正であります。
それから七百七十
七條の第四項の
改正規定は、
医療法人と同じく医業及び歯科医業につきまして、
国民健康保険等によりまする保険給付にかかる収入金額または経費につきまして、課税標準算定上の特例が設けられていたのでありますが、この適用
範囲を、医業及び歯科医業のみならず、薬剤師業、助産婦業、あん摩、はり、きゆう、柔道整復師まで拡げました。またその
内容につきましても、
医療法人に準じまして、
国民健康保険法のみならず、
船員保険法、共済組合法、未復員者給与法その他の性質の類するものを加えたのであります。
附則の第一項は
施行期日をきめたものでありまして、八月一日から原則として
施行をする。ただ総則の
規定以外の
部分、それから法人税割及び法人の行います事業に対する事業税にありましては、昭和二十八年一月一日の属する事業年度分の
地方税から適用するということにな
つております。
二項はその裏の
規定であります。
三項は租税債務の承継並びに納入金または納付金の納入
義務の承継につきまして、その
施行期日を定めたものであります。
四項から八項までは、大体
施行に伴いまする規則であります。そのうちの六項につきまして、鉱区税の賦課期日は四月一日に改めたのでありますが、本年は、四月一日と申しましても事実上できませんので、九月一日の目標を持
つております。
九項から十項、十一項、十二項、十三項、十四項までが、昭和二十五年度分以前の法人事業税につきましての是正の
規定でありまして、昭和二十五年以前の法人事業税につきまして、課税標準の算定その他が間違
つていましたために、課税が間違
つているものが相当あるのであります。これを是正するといたしますと、一度賦課処分を取消しまして、さらに再賦課処分をしなければならないことになるわけでありますが、そういたしますと、非常に納税
義務者側に不測の迷惑をかけるわけであります。この迷惑をかけない
ように、簡便な方法でそのミスを補正するという
建前から、昭和二十五年度分以前の法人事業税で、課税標準の分割
基準その他が間違
つておりましたために賦課したものについては、各
府県でそれぞれ正しい額に引直して、計算をし直す、その計算をし直したものの帳じりだけを、
府県その他において差引決済する。そうして納税
義務者に対しましては、すでにもう納ま
つております総額について誤りがあるわけではないのでありますので、納税
義務者については、全然影響を及ぼさずに、
府県間において間違いを是正して、そうして正しい姿に直すことにしたのでございます。非常にわかりにくい
規定でありますが、
趣旨はさ
ような
趣旨であります。
第十六項、これは外国船舶の所得税等免除に関する
法律の一部
改正であります。これは日本に住所を有しない外国人または外国法人に対しては、外国の船籍を有する船舶の所得及び純益につきましては、所得税または法人税、営業税を免除するという
法律が昔からあるのでありますが、これが占領の間におきまして、ずつと効力が実際上ストップしておつたのであります。講和発効後この効力が生きて参りますので、営業税を事業税に改めまして、
規定の
整備をはかつたのであります。
十七項は鉱業法の
改正であります。鉱業法を
改正いたしました
理由に、鉱区税もやはり定額課税でありますので、他の例に準じまして、
引上げるべきでありますが、炭価の問題が現在非常にやかましい折から、鉱区税につきましては
引上げをやめまして、徴収の強化ないしは確保をはかることとしたのであります。そこで鉱業法の一部を
改正いたしまして、試掘権延長の許可をする場合、あるいは試掘権から採掘権に転願する場合の転願許可につきましては、現に鉱区税を滞納しておるものに対しては、許可してはならないという
ようにいたしまして、従来捕捉が非常に困難をきわめておりました試掘鉱区に対する捕捉の強化をはかつたのであります。
十八項の
国庫出納金等端数計算法の
改正は、これは従来の
規定の不備を是正いたしたものであります。
はなはだ簡単でありますが、以上で逐條
説明を終ります。