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門司委員 大体理由は一応わかりましたが、私
どもはそれらの理由が妥当であるかどうかということについては、かなり多くの疑問を持つものであります。それはこの
警察法にはすでにここに書いてあります
通り、四十条によ
つて十月の三十一日までに廃止を決議したものは翌年度からこれを廃することができる
ようにな
つておりますが、これは一にかか
つて地方の財政と国家財政を考慮したからであります。
従つて自治警がたといここで両方合せまして約三十名近いものが国警に移るといたしましたならば、自治警の持
つております
町村の予算がそれだけなくなると同時に、国家予算はそれだけ膨脹するのであります。
従つて国家予算に影響があるかないかということも、なお確めなければなりませんし、また国警は定員を持
つておりますから、おのずからこの定員をそれだけオーバーすることになるのであります。
従つてこれらの事情はもう少し
はつきりして、こういう決議をしても国警においてさしつかえがあるかないか、あるいは定員においてさしつかえがあるかないかという
ような事態を、わたしは際もう少し明確にしておかなければならないと思うのであります。
それからもう
一つの問題は、この法案は七月の三十一日までに議決して、さらに八月の二十日までにこれの手続の終了したものということにな
つておるのでありますが、当日はまだ七月の三十一日ではございません。若干の日にちがあるのであります。
従つてこれらの事案が実際は立法的に行い得ないとは思いますが、しかし漏れて伝わ
つて参りますならば、またこれに便乗するものがないとは限らないのであります。これは昨年一昨年においてこういう法案は二回出ております。そのたびごとにいろいろな理由をつけて
特例を出しておるのでございまして――私は
警察法の四十条の
特例というものはいいかげんでやめた方がいいと思う。これを認めてお
つたならば、いつまでこれが続くかわからぬ。もし
警察法に欠陥があるというなら、私は
警察法自身を
改正すべきであると思う。
事件の起
つたたびに
特例々々と
特例が出て来ることになると、これは法をみだすものである。法の権威というものはちつともない。こういう取扱いをするということがいいか悪いかということです。われわれは去年あるいは一昨年に出て参りました法案の中には、かなり苦い経験をなめております。しかし当時は自由党の絶対多数で、これが無理に押し通されておる。国会の知らない間に――町長が町会でこのことを今決議しておけば、必ずこの法案が国会に出るのだから、今のうちに決議しておけということを町長自身が
言つておるこれは明らかに政治力の濫用であります。私
どもはか
つてこういうものによ
つて、本
委員会において二回も苦い経験を持つおる。われわれはこういうふうに法をも
つてあそぶということが一体いいか悪いかということです。事情はわれわれも十分了承いたしておりますし、十分これを見るべきものであるということは了承はいたしておりますが、しかし法の取扱いについてま、いま少慎重であ
つていいのではないか、
従つてもしこれかここで
審議されるとするならば、私はやはり国警の予算なりあるいは国警の人員なり、さらに当該両町の財政の内容なりという
ようなものが、もう少し明確にな
つて、そうして
特例法に値するだけのものが出て来る必要があると私は考える。そういたしませんで、これらの問題は一切ほおかむりをしておいて、そうして困るからこれを何んとかしてやるんだということにな
つて参ると、法が濫用されて来るのおります。そもそもこういう問題が起りました
原因も、やはりそこにあ
つたのである。たまたま一、二箇
町村がわずか一日あるいは数時間の違いで、当然廃止さるべきものが、役場の書記の手続の違いから廃止されなか
つたという理由で、われわれはそういう気の毒なものは、何とか
特例法をこしらえて見てや
つたらどうかという考えで行
つたことが、先ほど申し上げました
ようにこれが政治力の濫用にな
つて来る。そうして法の威信を傷つける
ような
状態にな
つていることは、同僚各位も御存じの
通りであります。われわれは自治
警察の制度あるいは
警察法の制度自身に欠陥があるのならば制度自身を改めるべきであり、法に欠陥があるならば法を
改正すべきである。そうしてこういういたずらなる――いたずらという
言葉は悪いかもしれませんが、無理な
特例法というものは、あまりこしらえない方がいいのではないかという
ように考えるのであります。
従つてわれわれの納得の行く資料を、さらに国警その他の
意見なり、あるいはもし国警にしてさしつかえがなければ、現状の
警察制度の上における
意見等もわれわれは聞いて、その上でなおこれの処置をして行きたいと考えておるのであります。
従つて委員長はひとつそういうふうにおとりはからいを願いたいと思います。