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1953-07-09 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月九日(木曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 富田 健治君    理事 灘尾 弘吉君 理事 床次 徳二君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君       佐藤 親弘君    山本 友一君       吉田 重延君    橋本 清吉君       北山 愛郎君    滝井 義高君       伊瀬幸太郎君    大石ヨシエ君       大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      後藤  博君         運輸政務次官  西村 英一君         運輸事務官         (運輸省自動車         局長)     中村  豊君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 七月八日  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(佐藤親弘紹介)(第二九八七号)  同(花村四郎紹介)(第二九八八号)  同(中澤茂一紹介)(第二九八九号)  営業用トラツクに対する自動車税軽減請願(  相川勝六紹介)(第二九九〇号)  地方税法の一部改正に関する請願外一件(相川  勝六紹介)(第二九九一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二九号)     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案議題として、前会に引続いて質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。門司君。
  3. 門司亮

    門司委員 私はこの機会地方財政、それから今議題になつております平衡交付金その他に、きわめて大きな関係を持つております都市公共事業、いわゆる公営企業との関連を、一応運輸当局に聞いておきたいと思うのでありますが、これを聞きます内容は、すでに運輸省でも御承知のように、最近公営企業法が出て参りまして、従来都市行つておりました運輸交通事業が、独立採算制に切りかえられて参りました。従つて都市財政の上には、これらの業態が赤字になつて参ります場合には、やはり一般予算からある程度の補給をし、さらにこの問題が、これらに勤めております従業員その他にも、たとえば賃金の問題に関連したり、あるいは給与改訂等の場合には、非常に大きな問題になつて参つておりまして、いわゆる国鉄専売等中央で問題になると同じように、予算上あるいは資金上の問題で、当然給与を増額すべき状態にあるにもかかわらず、予算がないということで結局これが行つておられない。従つてそのはけ口はやはり料金値上げになつて参りまして、地方住民がそれをよけいに負担をする、こういう形になつておるのであります。従つて最近都市ではこれら電車賃あるいはバス料金値上げが行われておるのであります。これの一つの大きな原因としてでき上つておりますものが、地方の私の企業との競願あるいは競争であります。すでに東京横浜あるいは大阪においても、御存じのように公営企業から来ておりますこれらの運輸事業というものは、実は採算最初は度外視しておりました。そうして採算路線も不採算路線もほとんど考えないで、市民便益のためにひたすらこれらの事業計画が行われ、実際の運用がされておる。その結果が先ほど申し上げましたように、往々にして採算上の全体的のものの考え方からすれば、非常に不如意なものが出て来ておる。これらのものがやはり電車賃値上げとなり、あるいは争議の一つ原因ともなつておる。ところが最近の状態を見てみますと、私の企業に基くこれらの営業者が、かなりたくさん市中の営業許可申請しておることは、当局御存じ通りだと思います。これが都市交通行政の上に、きわめて大きな支障を来しておるということも、先ほど申し上げましたものが一つの理由であり、さらに具体的に実情を申し上げてみますと、たとえば横浜の例をとつてみましても、一つの起点から一つ場所に行くまでの間に、横浜市営があり、あるいはそれに中央バス許可権を持つておる。あるいは東急が許可権を持つおるということになりますと、一つ路線に対して三つの異なつ営業バスが運転されておる。しかもそれはいずれも一日のうちに三回が五回ずつであつて、これはどれも採算がとれない形になつておる。ある場所に行けば朝と晩とのラッシュ・アワーだけ一回か二回ぐらい運転されておる。単にそこの路線権利を保持するというだけにとどまつてつて、決して住民交通考えられておらなければ、何もされておらない。単なる利権を確保しておるというような状態に置かれておる。こういう状態でありますと、都市行政の上からみましても、きわめて不合理であり、さらに運輸行政あるいは住民利便の上からみましても、もちろん財政的にみましても、きわめて不合理なものがたくさん出て来るのであります。従つて運輸当局といたしましては、これらの統制といいますか、統制というと、少し言葉が強くなるかもしれませんが、都市における運輸行政に対して、一体どういふうにお考えになつておるか、この機会にその所信を承つておきたいと思います。
  4. 西村英一

    西村(英)政府委員 お尋ねの件は、都市内における各交通機関があるが、その調節がうまく行つていないのじやないか、ことに公営企業独立採算性なつたために、そのために赤字が出るというようなこともあるので、この調節はどうするのかというようなお尋ねであつたと思いますが、都市内の交通調整につきましては、これは公営にしましても私営にしましても、おのおのやはり経過的な発達があるわけでありまして、はなはだしく不合理に競争が行われており、そのために公営企業赤字を出すのだというようなものにつきましては、これはまた別な観点から調節しなければならぬと思いますか、各公営にしましても、私営にしましても、その分野に応じておのおのやはり持前を守つてもらうように調節をして行きたい、かように考えておる次第であります。
  5. 門司亮

    門司委員 今当局答弁がありましたが、そういたしますと当局は、道路運送法の百二十三条の立法の趣旨を十分に尊重されるということになるのでございますか。
  6. 西村英一

    西村(英)政府委員 道路運送法の中で市長意見を聞くという条項であつたと思うのですが、現在百二十三条の適用は、六大都市とその他広島と仙台の二都市に、許しておるだけでありまして、これは特別にその区域で交通都市内交通が非常に混雑をしておる、従つて市長意見を聞いて、その上で許そうということでありまして、その他の都市につきましては、一々市側意見を聞くということにはなつておらないわけであります。
  7. 門司亮

    門司委員 法文はその通りであります。また今のお話のようですが、現在限られておりますのは七大都市でございますが、東京を含むと八つになりますが、これらの問題については当然そうあるべきだと思いますが、一つの一貫したこの法律をこしらえました趣旨というものにつきましては、やはり十分に考慮していただきたいと考えるのです。同時に具体的に申し上げて参りますならば、すでに東京都においては御存じのように官庁の循環用バス等民営になつているかもしれない、当局の御答弁の中にありましたように、これらのバスの今までのいきさつというようなものを考えて参りますと、あのバスのできました最初いきさつというものは、民営に移して行くというような考え方のもとにやられたものではなかつたと私は思います。いろいろあれでは問題を起しております。さらに名古屋においても御存じのように、二つあるいは三つ民営会社がすでに申請して来ておる、あるいは神戸を初め各都市においては、最近バス事業が非常に盛んになつて参りますと同時に、それらの問題をたくさんかもしておるのでございます。そしてこれらの問題の解決のためには、やはり各都市相当苦慮しております。従つて運輸当局は今道路運送法の百二十三条の規定を十分に尊重せられて、そして都市交通行政に万遺漏のないように、また公営企業が成り立たないようなことのないように、むだな競争のないようにぜひしていただきたい、われわれはこう考えて、実は質問を申し上げたわけであります。従つてお話のように法のできておるのと、適用を受けております範囲は、われわれも存じておりますが、今申し上げましたような実情にありますときに、それらの問題が尊重されるかどうかということであります。ただ意見を聞くというだけでありまして、ここに阻止権も何もないのであります。従つて許可権運輸省が持つておりますので、運輸省がこれを許可しようとすれば許可ができるのであります。都市住民利便のために、ほんとうにそういうものが必要であるとするならば、これはまた格別でありますけれども都市住民利便と同時に、都市財政考え方から参りますと、この条文のできました趣旨は、住民便益都市財政の問題と交通統制三つの問題を加味した、きわめて重要な一つ条文だと私は心得ておる、従つてこの条文には今の次官のお話のように、ただ聞くようになつておるからというだけでは私どもは困るのであります。私どもが先ほど申し上げましたように、この条文を尊重されるかどうかということは、十分それらの意見が反映した、いわゆる行政をつかさどつております市長あるいは都知事の意見が反映した行政を行うように、運輸省は努められておるかどうかということです。
  8. 西村英一

    西村(英)政府委員 お話にありましたように東京都内における交通で、観光バス等にきましてはいろいろむずかしい問題があります。その他都内交通につきましても、かなりむずかしい問題がありますが、これらもある一定原則をきめていろいろするというようなことはできまいので、やはり個個の場合に応じて考えなければならぬのでありますが、この法律に示されておるように、その公共団体の長の意見を十分尊重してやるつもりでございます。また従来もそうでありましたが、今後とも都内交通につきましては、なかなか調節のむずかしいところもありますが、とにかく公共団体の長の意見は十分尊重してやるつもりでございます。
  9. 門司亮

    門司委員 この問題はその程度にしておきまして、もの一つお聞きしておきたいことは、これは先ほど申しました単なる路線の権益の確保だけが行われておつて、そこは先ほど申しましたように都市といたしましては、住民要望にこたえて、バスを通さないわけに行かない。しかしそれはきわめて不採算的の路線であることは間違いない。そうなつて参りますると、先ほども申し上げましたように自己の権利を持つております私営会社は、権利だけを確保するために一ぺんか二へんしか通さないで、その権利だけは確保している。しかし住民要望にこたえるには、やはりこの公営企業都市の車がいやがおうでも走らぬわけには参りません。従つてこういう不合理のものができ上つているのでありますが、それらの整理統合について、もし当局にお考えがありましたならば、この機会に伺つておきたい。
  10. 西村英一

    西村(英)政府委員 権利だけを確保するということはあり得ないのでありまして、権利のあるところ必ずこれは義務があるのでありまして、ことに自動車運送は非常に公共性の高いものでございまするから、ただもうかる路線だけやつて、ほかのところは市民利益を顧みないというようなことは、これはもし公共利益のためであれば、その系統が必要であるというような場合には、現在でもこれは運輸大臣がその事業に新たにそこに路線を設定するというようなことを命ずることができる、それだけの義務を負わせることができる、かように考えております。またそうしなければならぬと私は思うのであります。
  11. 門司亮

    門司委員 今の答弁でも、答弁だけはそれでもけつこうでありますが、私の考え方ちよつと食い違つたのがあります。これは新しい路線をということではありませんので、私の申し上げましたのは、そういう新しい路線などについても、いろいろな問題が出て来るでありましようが、長い間権利を握つてつて、ある一定期間運行しないと結局権利はなくなるということにならざるを得ない。従つて権利確保のために一日に一ぺんか二へんしか出してなくても、それがやはりひとつ権利になつて依然として残されている。公営企業は一日に一ぺんや二へん出すわけに行かないので、やはり不採算路線でもある一定の時間を置いて出さないわけに行かない。それがだんだんしまいには、どういう形になつて来るかと申しますと、都市の発展に従つて大きな将来を見越した権利になつて来るということは当然でありまして、そういうことで無益な競争が行われているわけです。私どもから考えてみますと、今無益な競争はできるだけ避けて、公共性を持つているものである以上は、やはり公共団体がそういうものは不採算的な路線ではあつても、それにまかせてやるべきであつて、どうももうからない、といつて権利を取上げられるというのは困るからと、朝晩一度か二度くらいしか動かさない、それで済ませているのでありますが、しかし実質上の義務を負わず、形式上の義務だけを遂行しておれば、いつまでも権利が逃げずにおつて、それで市との間にやがて大きな競争をつくる原因を起している。こういうものについても整理をされる御意思があるかどうか。
  12. 西村英一

    西村(英)政府委員 利用者の不便があるという場合におきましては、たとえばそれは運行回数が少かつた運行回数をふやすとか、あるいはサービスが悪かつたサービスの改善というような業務命令は、当然出せるのであります。またそうしなければならぬと思つております。ただいたずらに権利とつたら権利の上に眠るというようなことがあつてはならない、さように考えているのでございますが、もしそういうようなことが現実にあれば、それはその個々の問題につきましてまたお話を伺いまして、われわれの方でも十分に注意をいたしたいと、かように考えております。
  13. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 門司さんの質問と関連するのでありますが、先に具体的の例を申します。国鉄バスが通つているところで、いま少し延長すれば住民利益になるから、そこを延長してくれという嘆願が、しきりにあるのであります。しかるにそれを許さぬ、今度は他の民間事業の方で、ただちに競争出願して来るから、それで困るのだというので、国鉄バス延長をしない。沿線の関係町村長は、バスを通さんがために道路を非常に費用をかけて、これなら完全だという状態にまでしても、なおかつ許さないという状況で、現在そういう場所が数多くある、そういうところは一般民衆のために考え公益性を考慮して採用する方が——今の門司さんの質問のように、権利だけとつておけばいいのだというのでなく、競願がされるというのでおそれをなすというようなことでは、一般住民が非常に困る、こういう例が栃木県にあるのですが、私もたびたび本省に行き、また地方営業所にも行きました。一般住民町村長がさように憂慮しておるような場合においては、躊躇することなく許可されるようお願いしたいのであります。
  14. 西村英一

    西村(英)政府委員 佐藤さんのお尋ねは、どういうのですか、国鉄バスがあるところで、それをちよつと延ばせば薪になるのだが、なかなか延ばさないというような話だつたと思います。一々事例に当つてみないとわからぬと思いますが、たとえばその延ばす先に私営バスがある、従つて競争になるかというようなことかもしれません。やはり個々の場合でないと、そういうことはちよつと論ぜられないと思います。大体国有鉄道バスというものは、鉄道に附帯したバスでございまして、従つて鉄道に関連した以外に、あらゆるものに便利だから、国有鉄道バスをやろうというような方針は立てておらないのであります。これはやはり一般私営にまかした方がいいと考えておりますが、今そこに国有鉄道バスがあつて、しかもその先をちよつと延ばしてくれれば便利がいい、それをなかなか延ばしてくれぬいうようなことについては、ちよつと事例を知らぬと返答ができませんが、とにかく利用者の便利をはかるようにはいたしたい、かように考えております。
  15. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 東北本線宇都宮駅から出ているバスなのですが、それが支線となつて脇に入つて運行しているバスがある。     〔委員長退席西村(力)委員長代   理着席〕 そのバスが他の方面に今少し延ばせば烏山の方のバスに連絡する、その中間のところが開通していない、途中までになつておるのであります。それが開通すれば非常に住民の便利になる、こういう場所があるので、私ども町村長などとともに心配してお願いをした。この線は宇都宮市にも便利であり、国鉄にもいい、関係町村民がみんな便利である、ただ国鉄の方で出すならば、民営の方でも出したいという、競願をおそれて、それがために延長をしないということだが、国鉄一般自由企業のものと競争をすると、一般住民のためにはますます便利になるのだから、さようなことは躊躇せずに延長していただきたい、こういう趣旨であります。
  16. 西村英一

    西村(英)政府委員 私まだそれは承知しておりませんが、よく調査して、なるべく利用者の便をはかりたいと思います。
  17. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 大矢君。
  18. 大矢省三

    大矢委員 私は審議会運営並びにこれの今日までのあり方について、一応お聞きしたい。審議会メンバーというのは、前に運輸省におられたか、大都市郊外電鉄その他に関係のある人が大体多いと思う、そのために決定が、どつちにも顔を立てなければならぬというので、非常に鈍る、それから運輸省の方は、審議会の答申を尊重するというか、何かそこに責任を転嫁して、そこの決定を待つというぐあいで、願書が出てから相当長期間たつにかかわらず、未決定のところが相当ある、特に最近大都市交通というものは、郊外から連絡をとるために乗入れておりましたが、各会社では、中央部にずつと乗入れの申請をしておる、それが高架であるとか、地下であるとかいうものと一緒に、自動車もたくさん申請が出ております。これはだれが決定にあたつても、なかなか困難なことと思います。しかしこれは大所高所の上に立つて、先ほど來門司君が言われたように地方債に影響があるし、また特に地方住民の便利というものを考慮してやれば、厳正というか、公平に思い切つた処置ができるはずだ。ころがそういうものに気がねし、会社はそれに関係のある人を顧問もしくは重役にして、たえず牽制をしておる、こういう状態であつて、この問題の処理にはまつたく困つておる、われわれがこれを主張すれば、かえつて感情を悪くするから、あまり言わないようにということを、むしろ気がねして言つておるのであります。単に当事者がそれらの話合いに都合が悪いからといつて、そのままにすべきではなくして、今申しましたように大局の上から思い切つて、できるだけ早くこれらに対する処置をしてもらわなければ、地方では計画を立てても進まないということで、まつたく迷惑をしておる。この点は、審議会の今日までのあり方あるいはメンバー、たとえば大都市その他には利害関係のない人もあるように思う、そこでこれらの構成並びに運営について、直接携わつておるところの当局の御意見を、この機会に一ぺんお聞きしたいと思います。あれが一番いい方法だ、あるいはそのために非常に仕事がやりにくいというか、やりいいというか、特に私鉄公共団体の経営しておるものに対しては、同一に扱うのか、多少何らかの差異をもつて扱うのか、この点は取扱いの上に重要な問題でありますから、この機会に御意見を伺いたいと思います。
  19. 西村英一

    西村(英)政府委員 大矢先生のただいまのお尋ねでありますが、審議会というのは道路運送審議会のことであろうと思います。道路運送審議会につきましては、これは自動車交通のことのみをつかさどつておるので、私鉄その他の方には直接関係はない。道路運送審議会は今まで数年やつてみましたが、ただいまも御意見がありましたようにいろいろ問題があるのでございまして、実は今回道路運送法改正がございまして、従来の道路運送審議会を改めるということになつておるのでございます。もう一つの問題といたしまして、都市交通のことについて調節がうまく行つてないじやないか、また大分いろいろ出願そのほかもあるけれども、なかなか早く裁断が下らないじやないかというお話がございましたが、ごもつともでございます。しかし東京都はことに交通調節が非常にむずかしいところでございます。われわれといたしましてもこの調節はただいませつかく研究中でございます。これを現任のままほうつておきますと、都内相当ビルデイング等ができまして、困難の状態になりますが、これに国鉄はもちろん私鉄バスその他あらゆる交通機関相互調整をはかりましてやらなければならぬ。また従来の経過等もありますので、なかなか困難はありますが、調節につきまして一定方針をきめなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  20. 大矢省三

    大矢委員 これは具体的になりますが、大阪のトロリー・バスをどうして途中で切つたか。あれだけりつぱな道路がついておつて、大和川まで行けば非常に便利だが、南海電車があるので、途中で半分に切つちやつた。それでは非常に迷惑で、ごうごうたる輿論が起きている。具体的に御存じでしたら、どういうわけで途中で切つたか、伺いたい。
  21. 西村英一

    西村(英)政府委員 私はそのトローリー・バスについては詳細に聞いておりませんが、よく調べましてお答え申し上げます。
  22. 大矢省三

    大矢委員 この機会運輸省にお願いいたしますが、五大都市のほかに広島もありますが、大都市共願中央乗入れの高架あるいは地下、あるいは各社の届出の年月日、今までの処理経過について、それから最近許可なつたもの、これらをひとつできるだけ早い機会に出していただきたい。  もう一つお尋ねしたいことは、実はこの間九州に参りましたときに、九州では一つ会社しか許可を受けていないで、乗客が非常に迷惑をしている。これは自動車のことですが、こういうところには幾つもの会社許可いたしますると、勢い競争の結果、経営が困難になるというおそれがありまするから、あまり多く許可することはどうかと思いますが、一つ会社に独占さすそういうこともどうかと思う。これは非常に近い区間を非常に高い料金をとる。そのほかにないから、いたし方なくこれを利用することになりますので、やはり相当都市においては、少くとも二つ以上の会社許可していいのじやないかと思いますが、戸数その他、どうしても一つでなくてはならぬという基準があるのかどうか。共願会社があつた場合には一つということにせずに、独占させないことをお願いしたい。これは単にあそこだけではない、方々にあると思うのです。
  23. 西村英一

    西村(英)政府委員 独占にする気持はございませんが、さりとてやはり競争線になつて来ますと、いろいろそこにまた弊害が伴いまして、結局共倒れになり、サービスがだんだん悪くなるということになりますので、一社でなければならぬという原則は立てておりませんが、その箇所々々に応じて調節をとつて行かなければならぬと考えております。しかしこれもまたむやみにやりますと、互いに競争によつて結局立ち符かないということも従来の例があることだから、この点はよろしきを得て調節をとつて行きたいと考えております。
  24. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 自治庁長官がおいでですから、長官に対する御質疑を願います。
  25. 床次徳二

    床次委員 長官お尋ねいたしたいのでありますが、過般の予算委員会におきまして古井委員から、過去の地方財政赤字に関しまして、その処置方について政府に対して方針を聞かれたところ、政府におきましては、やはり起債によりましてこれを処置するという方針を明らかにせられたようでありまするが、今日長官地方財政の窮迫に対する処置に対してお考えになつておりまする構想を、すでに当委員会においてたびたび議論になつていることでございますが、大体の所信はお立ちになつたと思いますから、お述べいただきたいと思います。
  26. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 先般本委員会でも何がしか申し上げたと思いますが、御指摘のように予算委員会古井委員お尋ねに対して、大体の考え方を申し上げたのであります。そのときに申し上げたのは、二十七年度の決算がまだはつきりしておらぬけれども、大よそ想像されるところでは、実質上赤字考えられるものが二百億くらいあるのじやないか。ただ二十七年度は特に赤字が大きく生じる事由があつたように思われる。その事由と申しますのは、年度内に給与改正がありましたのと、朝鮮動乱後一時非常に景気が出まして、事業税収入が非常にふえたのが、二十七年度はそれが逆に減つて来たという時期に際会しまして、この需要の面の特殊の事情と、収入の面の特殊の事情がからみ合つて、二十七年度に非常に大きく財政の困難を増したと考えられるが、二十八年度の事情はそれほどじやないのじやないかと考えておる、しかし二十八年度は赤字は何がしか生ずるかもしれないが、大したことじやない。そこで過去の赤字をどういうぐあいに解決するかということに対しましては、自分としましては、今の平衡交付金及び起債の配分のやり方を通して、赤字が生じないように一応やつてあるつもりであるが、しかし現実にはやはり赤字を生じておることは今申し上げた通りなんであり、しかもこれらの赤字はおそらくみな短期のつなぎでもつて辛うじてその場を糊塗しておられるが、こういうことは地方財政を長く困窮に陥れておく原因になりますから、これはほつておけない。従つてこれを解決する方法は、長期債にでも借りかえて長い間に解決して行くよりほかにいたし方がないのじやないか。ただそれをいつやるかということは、自分としてはやはりこういうものは、政府が今せつかく企図しております二十九年度の予算編成の際において、地方財政全般の再検討をする時期に考慮することにいたしたい、こういうようにお答えいたしました。今もそのように考えておるわけであります。
  27. 床次徳二

    床次委員 赤字解決のために二十九年度予算編成の際に考慮したいと言つておられるのでありますが、現在地方におきましては、この赤字をすみやかに解決する方針を示されることが、財政計画にも非常にいいので、当委員会におきましても、起債によりまして、この赤字を解決するということも、一つの重要な方法ではなかろうか、そういう意味において、再建整備とでも申しますか、地方団体の財政再建のために特別な処置を講じ、必要なるものに対しましては、赤字を埋めるための起債を認める特例をつくりたいという趣旨で、今日研究しておるのでありますが、長官におかれましても、十分なる御協力を得たいと思うのであります。なお時期的に相当おそくなるかもしれないようなお考えもあるかと思いますが、これはできるだけすみやかなることが必要だと思います。早い時期にこれを実施いたしたいと思いますが、この点に関しまして長官の御意見を伺いたい。
  28. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 今当委員会において、そういうようなお考えがあるということは、私も承知しておりますし、考え方としては私も全幅の賛意を表しておる考え方でありますので、私としましても今後できるだけの御協力を申し上げるつもりでおりますが、ただ時期は何といたしましても、すでにもう予算の大体がきまり、起債のわくの大体もきまり、ことに起債のことしのわくの状態というものは、一般金融情勢とにらみ合せて、最大限に使い果しておる状態で、起債のわくにゆとりがほとんどない状態でありますので、今そういう計画をいたしましても、実施がほとんど困難じやないかということを考えております。そうかといつて今二十八年度の予算に予定してあります起債のわくの中からそれを控除し、そうしてそちらに向けるということは、もうすでに大体できそうな予算を目当てにして、それを各費目別に配分し、それをさらに個々の府県、市町村別に細分をするという作業を、どんどん進めておる段階でありますので、それもほとんど困難じやないか、従つてやはりどうしてもこういうような相当大がかりな異動を生ずる会計というものは、新しく予算を組むときでなければ実施が困難じやないか、こういうような考え方で、二十九年度という考え方を持つておりますが、できるならばできるだけ早くしたいということは、床次委員と同じ考え方なのであります。そのように御了解願いたいと思います。
  29. 床次徳二

    床次委員 できるだけ早く実施したい、しかし現在は起債の関係と、非常に実行が困難ではないかということでありました、この点は相当御苦心もあろうかと思うのです。但し私ども特に必要と思いますのは、たとえ現在において融資が困難であるという場合がありましても、融資をいたすという実際行為が始まるのには相当時間がかかる、それまでの間に地方財政をほんとうに調査しておいて、いかなる程度に窮迫に陥つているか、いかなる融資を供給すればいいかということを少くとも調べておく必要があると思う。従つてできるだけすみやかに調査に着手する必要がある。起債はまだ先でもいいかもしれません——これは早い方がいいのですが、しかしその前提として調査は少くともしなければならぬ、この調査のために要する経費は、そう大した額ではないと思うのでありまして、あるいは現在の予算でもまかなえるかと思いますが、まずその調査に着手するということを明らかにし、しこうしてその方針は起債によつて解決するのだということを、明らかにせられれば、地方といたしましては非常に解決の目途を得たことになると思う。ぜひそうお願いしたいと思いますが、調査費に対しまして特別な考慮を願いたいと思います。何か御意見がありますれば、その調査についてお漏らしいただければ、非常にけつこうだと思います。
  30. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは二十七年度の決算の結果が逐次集まつて参りますれば、自治庁において十分その程度の調査はできるかと思うのでありますが、さらにそれに若干の努力をいたしまして、その内部の分析というようなことも、すでに現在自治庁にあります調査課の作業としてできるのではないかと思いますが、その程度のものならば、今提出して審議を願つております自治庁の予算の中で、予算的な考慮もできるのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  31. 床次徳二

    床次委員 長くなつて恐縮ですが、今の自治庁の事務的な範囲において、赤字状態が大体わかるのじやないかというお話でありますが、地方財政赤字の判断、いかなる額になるかということについては、これは自治庁だけで、はたしていいかということについて相当疑問を持つております。第三者と申しますか、いわゆる財政方面の経験者を入れて、なお当事者側の立場も考慮して、両方公平なる立場から、これをきめて行くことがよいのではないかと思います。もしも自治庁の経費が足りなければ、この点は多少経費を増額してでも、実際に合うところの調査ができるように、ひとつ考えをいただきたいと思います。     〔西村(力)委員長代理退席、委員   長着席〕
  32. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 なるべく、御希望に沿うように、もちろん自治庁が調査をいたすといたしましても、最終的には自治庁の一存だけできめる意思は毛頭ございませんので、下調べの調査は何ですが、いざ最終決定になりますば、あるいはもう少し何か適当の機関に諮るということも考えるべきであろうかと考えておりますから、御希望に応ずるように努力いたしたいと思います。
  33. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 ただいまの床次委員質問に関連した事項でございますが、われわれはどうしてもふに落ちないのは、地方財政赤字に対しての御当局の認識なのでございますが、ただいま大臣は二百億と推定されるとおつしやつたのですが、あるいは衆議院の予算委員会あるいは参議院の予算委員会等で、いろいろお答えになつたのが新聞、速記録その他でいろいろ私たちは拝見いたしております。その御説明が必ずしも同一の御説明ではないように思うのでございますが、地方財政赤字が幾らあつて、この地方財政の不健全というか不均衡というか、そういう問題がどのくらいの大きさの政治問題であるか、どのくらいの大きさの国政問題であるかということにつきましては、衆議院の地方行政委員会の大きな利害関係を持つておる直接関心事であります。これの決定というものは、私の考えでは政府が認定をするという性質のものであろうと私は考える。それなくしては国政の上で地方自治を育成して行こうというような自治庁の基本方針は立たない。ただいま二百億程度だという御推定の根拠を、これを印刷して何月何日現在においての推定は、こういう理由によつてこうだということを発表していただきたい。それでなかつたら、いつまでたつて地方財政赤字の問題、地方行政委員会で決議しました決議第一項の問題は解決しない。これは私は見ようによつては政府の責任だと思う。  それからこれは参考のためにお聞きしておきたいのでございますが、二十七年度決算において、これは集計の途中だと申しておられますので、この集計の途中においての推計というものも、われわれとしては現実問題として必要なんです。二十七年度集計の途中において、こういうように歳入の欠陥かあるということを、このようにして推計したのだということを、経過的であつても資料としては尊いのですから、はつきりしていただきたい。その推計なされる技術的な方法についてお伺いしたいのでありますが、二十八年度財政から繰上げ充用しておるものについては、これは大体において私は赤字と認めていいと思うのでありますが、それ以外に事業の繰延べとか、歳入の過大見積りとか、その他諸種の赤字を推計する技術的方法もあると思います。その技術的方法は大体どういうふうにやつておられるかということの概略、われわれにわかりにやすいように話しておいていただきたいのであります。これは非常に差迫つた問題であると思いますので、正式に文書をもつて地方行政委員会に提出をしていただきたいのであります。  なお政府の予算編成財源と、地方財政赤字に対しての国家的な御配慮との関係についてのお話がございましたが、これは政府として二十八年度で、地方財政赤字がこれだけ重大な政治問題になつておる、この問題に対して予算の支出が、財源的に絶対に不可能だということが、もし、ございましたら、他の国の支出に対しても、同等な意味におきまして、同等の理由で、絶対不可能だと思うのであります。しからば、政府は財源的に今年度中に補正予算を組むだけの財政上の余裕が絶対ないのか、この問題は重要な問題でございますので、その点もあわせて御質問申し上げる次第であります。私はおそらくこの問題につきましては、どうしても政府のお考え地方財政というものをもう少し重視して、その財政の不均衡による住民生活に及ぼす影響、地方のかわいい学童に対しての危険の迫つておる状況、その他地方住民が、住民所得の中からもうぎりぎりの線まで苦しい負担をしている状況、また地方府県、ことに窮乏市町村におきましては、国政行政事務あるいは固有事務が、非常に錯綜複雑いたしまして、大きな重圧になつてつて、市町村吏員の、一面におきましては給与の不払いあるいは負担過重による吏員の健康上の負担、相当程度結核の罹病率等は高いと思う。これらの深刻な状況にかんがみまして、他の国費の支出では、ある場合には補正をするというような余裕があるとするならば、どうして地方財政の救済のためにそういう支出ができないか、これはどうしても私は納得が行かない事項でございます。日本の国は、たびたび申し上げますように、国庫財政におきましては、均衡財政の主義をこの数年堅持し、それ以前からでもございますが、おそらく毎年度数百億の国庫剰余金を出しておる。また明治年間から蓄積した公債の累積と申しましても、おそらく二千数百億にすぎないと思う。均衡財政ということからいえば、世界一の、どこの国にも負けない均衡財政だろうと思う。しかるにかかわらず、わが国のいわゆる市町村財政、府県財政相当の数にわたつて、きめて不健全で、不均衡なものがあると私は考えるのであります。  おそらく地方財政全般から見て、世界的に見ましても財政の状況の悪い、不均衡の著しい国の一つだろうと思うのであります。これを国全体の大きな政治、大きな行政から見まして、この国庫財政の健全性と地方財政の不健全性と、最極端のものを二つつておるということは、決して私は妥当な姿じやないと思う。わが国におきまして、国氏所得の中からその二〇%を税として徴収して、その約七五%を国税でとつているようであります。そうして仕事の分量といえば、新して憲法、新しい地方自治法、またシヤウプ勧告その他の線に沿つて、次第に行政事務は下の方におろしておる。毎年度の国会におきまして新しい法律ができて、地方行政事務の負担が多くなりつつあることは御承知の通りであります。かりに五〇%の行政事務が地方であつて、五〇%の行政事務が国で、私は府県の行政事務は五〇%以上あるだろうと思うのでありますが、それだけの事務費かいるわけであります。しかるに、国税、地方税を通じてとつた税の中の四分の一しか、地方の財源になついない。そうして足りない二五%以上の財源不足に対しては、平衡交付金、国庫補助金等によつて、何らかの形で国から援助されるわけでありますが、その収入の不足を通じて、国からこずきまわされておる形であります。この状態を改善することが、国政上非常に重大な意義があることだと私は考えておるのであります。これらの緊急な問題に対しまして、政府におかれましては、制度改革があつてから、それを見てどうするということを、口ぐせのようにおつしやいますけれども、こうした税財政の大改革というものは、従来のわが国のそういう大改革の経験から申しまして、決して地方財政をゆまたにするという効果をあげる例は、あまりないのであります。われわれはそういうものに、あまり信用を置いていないのであります。  そうしたことから、この際政府としては刻下の地方財政の窮乏を処理するために、できるだけすみやかなる時期におきまして措置をぜひやつていただきたい。この点につきましては、現在地方団体の中では、短期資金につきまして相当高利の利子をもつて短期債を借入しておりまして、そのために塗炭の苦しみをしておる地方団体が非常にたくさんある。そういう団体におきましては、あるいは積雪何メートルの地域等におきましては、これは児童の生命の危険な、建築基準法によつて使用禁止、使用制限になつておる校舎にまで、児童を入れて置いて、そうしてそういう危険を毎日心配しながら、なお財源がなくて、この改築もできないでおる。その他大きながまん、小さながまん、あらん限りのがまんをして苦しんでおる実情である。どうして一年間あるいは半年間、そういう窮乏や、そういう不如意や、そういう地方団体の当然なすべきことを手控えて、そうして苦労しなければならぬのか、そういう点がどうしても私には納得が行かない。これは非常に長く申し上げ過ぎたようにも思いますけれども、最後まで、私はそういう地方財政の救済を、一刻も早く政府が処置してくださることを、強くお願い申し上げる。その点についての大臣の御所見を承りたいのであります。
  34. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 二十七年度の赤字が、どういうようになつておるかということは、概数だけ申し上げて詳細申し上げられませんのは、地方からの報告、ことに市町村からの報告が、まだ整つておりませんために、そういうことになつており、まことに申訳なく存じております。ただいま加藤委員からの御希望もありましたので、とりあえず現在集まつている程度のものを早急に集計をいたしまして、お手元に差出されるだけのものはぜひ差上げて、御検討願いたいと考えております。  どんなふうに赤字を推計しておるのかということでございますが、これは繰上げ流用になつておりますのは、決算の上にはつきり繰上げ流用と出ておりますのでわかるのであります。しかし繰上げ流用になつておる数字だけを私どもは必ずしも赤字考えておるわけではないのでありまして、毎年実際に形式的に繰上げ流用という形で出て来ておる赤字と、その上にさらに実質の赤字というものがある。たとえば当然しなければならない、絶対的に必要なものを延ばしておるという事情があれば、そういうものも含めて実質赤字というものをいつも検討しておる。そういうようにしてまた二十七年度の数字も、なるべく早い機会にお手元に差上げたい、こういうふうに思つております。そこで地方財政が非常に窮乏をしておるという、非常にいろいろな需要があるのにかかわらず、財源が十分ないということは、私も加藤委員の御指摘になつ通りだと思うのであります。なぜそれを措置しないかということでありますが、これは一つは、措置をする方法を考えて行きますと、御判断がつかれると思うでありますけれども、私はこういうようなものは、日本の国の財政にもやはりあるのだと考えておるのであります。やらなければならない仕事をやらないでおるという状態は、必ずしも地方だけではない。国もやはり同じような状態である。それじや国も地方も通じて、なぜそういう状態になつておるかということになると、要するに国民負担との判断の見合いによつて、そういう結果になつておると考える。ただ地方の場合には、そのほかに当然国がめんどうを見るべきものであるにかかわらず、めんどうを見ないでおる面がある。たとえば今御指摘になりましたように、仕事の量からすれば、国のやつておる量と地方がやつておる量とでは、相当地方に重点がかかつておるにかかわらず、地方に十分財源を見ていない。こういう面の不足というものが確かにあると思います。ただそういう問題になつて参りますと、今それでは平衡交付金を五十億、百億ふやすことによつてそれでもつて措置が十分つくかということになると、もちろんふやしただけのものか何かの形で、各都道府県なり市町村に行くのでありますから、何がしかは財政窮乏をやわらげるという意味において、役に立つにはさまつておるのでありますが、国がめんどうを見て、国の支出をあるいは削り、もしくは国民負担をふやして、出した額に応じては、地方財政窮乏の状態というものが、そのようには解決できない。それは今の税財政制度そのものに原因がある。国から百億出しましても、百億だけ赤字がなくなるというような形には行かない。  そういうような問題をいろいろ考えてみますと、どうしても大きい意味の赤字地方財政の窮乏というものは、制度自体を根本的に考え直すときでないと、とてもできないんだ、こういうように自分には思えるわけであります。そのときになれば、今御指摘のように、やはり国と地方との事務配分の分量も考え従つてそれに応じて地方財政と国の財政とのわくの大きさというものも考えて行かなければならない。過去の例を幾つかお考えになつて、こういう改革にはあまり期待ができないという御意見もありましたし、私も事実そういうように感じておるわけですが、しかし今度の改革の場合においては、過去にそうであつたからというようなことで、またそのような中途半端な解決をしてはならぬのだ。今度は皆さん方の御意思も十分体し、またこれはすでに世論になつておる、国民の常識になつておる問題でありますから、国民の理解も得られると思いますので、今度の改革においては、そういう面も徹底的に解決すべきであるし、また成果を上げたい、こういうふうに思つております。そういう気持で当面の措置ができずにおるわけでありますので、どうぞ御了承を願いたいと思います。
  35. 床次徳二

    床次委員 ただいまの長官の言葉を聞いて、はなはだ意外に思うのです。私が先ほど御質問を申し上げましたときには、その点までは深追いせずにと思つて質問をしておつたのでありますが、ただいまの御言葉によりますと、政府の御意見があまりにはつきり出ておるので、その御答弁は私どもははなはだ遺憾にたえない。なぜかと申しますならば、今少しくらいの平衡交付金あるいは起債を増しても、地方はそれほど大したことにならないんだ。もちろんあまり赤字が多いため、政府からわずか入れましても、根本的解決にならぬことは明らかであります。しかし今日わずかでも交付金なり起績がふえるということは、どれくらい地方団体に役に立つかといえば非常なものだと思う。この熱望に対して大臣のお言葉はあまりにも私はおかしいと思う。しかも当委員会は、たびたびこの増額に対して意見を発表しております。その点当委員会意見と明瞭に反対だ。大臣は別の見解をお持ちになつておることを表明されたように、私どもは受取れる。この点はなはだ遺憾に思うのであります。実際において国が金がないから出せないんだということをお話になるなら、一つの方法でありますが、出してもしかたがないんだというふうに、私ども聞えておるのでありまして、ただいまのお答えは、はなはだ遺憾だということを私は申し上げたい。ぜひさらに努力を続けられまして、今後とも増額するように、努力を続けられたいということを重ねて申し上げます。
  36. 滝井義高

    ○滝井委員 地方財政赤字の問題に関連がありますので、議題になつておる平衡交付金の問題について、長官に意向をただしたいと思いますが、シヤウプ税制勧告の根本的な思想というものは、現在地方団体には大体三つの段階がある。どうしても平衡交付金というようなものでまかなわなければ、どうにもやつて行けないというものが一段階。第二段階としては、平衡交付金も少しはもらわなければならぬが、そこに相当の独立財源というものを持つているんだ。その独立財源で標準的な行政あるいは施設というものをやつて行けるが、幾分足らない。ここにひとつ平衡交付金をつぎ足して標準的なものをやる。第三の段階は、平衡交付金というものをもう全然受ける必要はないんだ。国の奨励的な補助金を出してやれば、これはもううまくやつて行け る。こういう三つの段階がある。シャウプの勧告というものは、そういう第一の段階から第二の段階、第二から第三の段階へと、地方自治体をだんだんと進めて行くという思想のもとにできたのが、いわゆるシヤウプ勧告における平衡交付金だ、こう考えるわけでございますが、そうしてみると、平衡交付金というものは過渡的なもので、恒久的なものでないと思うのですが、大臣はそう理解しておりますか。
  37. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは制度自体のあり方として過渡的なもので、恒久的なものでないというように申し上げられるかどうか、私も自信がないのでありますが、考え方としては、平衡交付金にたよらずに、独自の財源で各自治団体が十分まかなえるというような財政制度が考えられるならば、これは一番いい。しかし今の日本のこういう状態、ことは府県も市町村も、非常に個個の単位が小そうございますし、小さい上にさらに単位の大きさがそろつていないものでありますから、こういうそろつていない、しかも小さいものがたくさん並んでいるところに、どんな税制度というものを考えても、なかなか財源の偏在しないようなものは、とうてい見つからぬのじやないか。偏在しないものが見つからないということになると、財源のないものはまかなえる範囲でやつておけというわけにはいかぬ。少くとも自治という考え方と、それから近代の政治という考え方から、これはほつておけないもんですから、そうすると、平衡交付金というような制度で、その間を調整しなければならぬ。そういうような考え方から現実のものの見通しをいたしますと、やはり平衡交付金というものはやめるわけに行かない、長くこういう制度を保存して行かなければならないんじやないか、こういうように考えております。
  38. 滝井義高

    ○滝井委員 今までわれわれが平衡交付金をやる前には、配付税を持つてつた。その当時においては、大体地方税の収入と配付税との比率というものは、地方税に対して配付税は三〇%か四〇%というのが、参今までの状態つたと思います。ところがたとえばことしの地方財政計画を見てみましても、三千四十七億の地方税収入に対して、今までわれわれが義務教育費半額負担を一応平衡交付金に入れておりました。それを入れると千七百九十億、そうするとこれは五割を越えておるわけです。昭和二十五年、平衡交付金の初めてできたころを入れると、これは六割以上になつておる。こういうぐあいに現在地方自治体の収入の支柱というものが、税と平衡交付金という二本によつて、ささえられておるというのが、現在の地方自治体の姿だと思う。ところがこれをもつとこまかく分析して入つて行くと、それじや市町村なり、県はどこでもそういう状態にあるかというと、そうじやない。今大臣も言われたように、地方自治体の内部における不均衡があまりに出て来ている。今貧弱な府県、たとえば山形、秋田、岩手、島根、鳥取——名前をあげては、それらの県の方には失礼ですが、それらの県は平衡交付金というものは実に税収の二倍、三倍になつておるということなんです。これでは憲法に地方自治の本旨ということを言つておりますが、まつたく現在地方財政平衡交付金というものが、地方自治の本旨を没却する形が、如実に出て来ておるということなのでございます。この点についてはどうお考えになりますか。
  39. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その点は私もまつたく同感なのであります。これはそういうぐあいに中央から金が来るということでは、地方自治というものは、財政の独立がなければ絶対にできないものだし、観念としてもむしろおかしなものです。国から金が来ておつて自分が自治だというのは、親から小づかいをもらつて、自分は一人前だと言つているむすこと同じような状態である。ですから今度の改革では、今申し上げたように、平衡交付金をなくするわけには行かないけれども、もう少し独立財源というものを検討しまして、なるべく独立財源を確立するという改革をぜひしたいと、自分としては考えておる次第であります。
  40. 滝井義高

    ○滝井委員 独立財源を制度改革でやるということで、八月の終りに結論が出るであろう、その制度改革が一切の責任を負うことになるのですが、問題はやはり私は現実論から行かなければならぬと思う。大臣は制度改革を非常に言われておるけれども、どうも今の地方制度調査会の審議の経過その他中間報告みたいなものをわれわれ受取りましたが、それのニュアンスから感じるところは、そんなにわれわれの期待するほどのものはできないんじやないかという感じが非常に強いのです。従つてなおこういうところで言わなければならぬのですが、現在地方財政平衡交付金の制度のみが、どんどん先に独歩している感じが非常に強い。一切のそういう地方の自治などというものをほつぽり出して、現在の日本の資本主義の発展の不均衡の状態そのまま、現在都市がどんどん伸びて行つておる。しかもその伸びて行つている都市は、現在の日本で言えば特需で伸びている。そういうところはたとえば入場税とか、遊興飲食税とかいうものが、どんどん入つて来ておるが、これらのものは平衡交付金をもらわない富裕県として残つて行く。ところが一方資本主義の発展の不均衡のために、残されている封建制の強い農村においては、自治というものはただ名だけで形式的に与えられている。実質的には国にすがりついて、いわゆる中央集権的な強い統制のもとにおらなければ、その府県の財政さえも維持することができないという、こういうまざまざとした不均衡が出て来ておるわけなんです。こういう状態は、単に独立の財源だけで片つく問題ではないと思うのです。私は今のような状態で、どんどん平衡交付金だけが進んでおるということを、三つの面から考えなければならぬと思うのですが、まず第一は、今申しました独立の財源を何らかの形で確立してもらうということが当然のことだと思う。そうしてさいぜん申しましたところの究極の段階としての平衡交付金というものは、その基準財政需要額と収入額との差額を、ほんとうに埋めてやるという本来の目的のものとしての平衡交付金として、これは大臣が今言われます通り、恒久的になくちやならぬと考えますけれども、そういう形の独立財源を与えるということが一つ、これが第一前提である。第二前提は、中央地方行政事務の再配分、これはおそらく地方制度調査会で取上げられておると思いますが、とられなければならぬ問題でもあります。その問題をまず具体的にしなければならぬ。いま一つはこの平衡交付金の制度というものが、非常に科学と技術を必要とする制度なのでございます。ところが現在のその科学と技術を必要とするところの平衡交付金制度の複雑怪奇な測定の単位、それから単位費用というものは実にむずかしい。これをほんとうにこなす人は、自治庁の専門家以外はこなせぬ。いわゆる科学と技術を必要とする。そのような科学と技術を必要とする算定の基礎を、ぴしやつと自治庁の当局がつくつていただいたものが、その通りに現に実行されておるかということなんです。そういう科学と技術というものは、われわれは中立でなければならぬ、客観性を持たなければならぬと思う。その科学と技術が現在中立でない。これは中央のいわゆる大蔵省の主計局なら主計局の政治的な意図、あるいは財政上の事情によつて、もつとわかりやすい言葉で言えば政治によつて、これが左右されておるということなのでございます。従つてまず独立の財源ができ、合理的な中央地方の事務の配分ができ、そうして客観的な科学と技術に基いたデータによつて平衡交付金が交付される、こういう形で出るならばいいのです。ところがこういうことは、地方制度調査会ができも、ほとんど不可能な状態であることが、現在の客観的な政治の姿から考えられる。そうしてみると、今や今申しましたような資本主義社会におけるところの貧弱府県の不合理というものは、これは日本の資本主義の発展の運命的なものであつて、そういうことを救うことは、現在ほとんど不可能じやないかという結論が出るのですが、科学と技術をほんとうに守る、そういう特需に依存を受けない貧弱なものまで、大臣は救う決心があるかどうかということなんです。これは非常に根本的な問題であります。
  41. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 決心をお聞きになるなら、決心は確かにいたしておるし、何とかしなければなりません、こういうふうに考えておるわけですが、しかし私はそんなに平衡交付金制度自体というものの困難さを感じておらないのであります。何年かやつてみて参つて相当に初期のころには自治庁内部にも、やはりいろいろ困難があつて、なかなかうまく行かなかつたという面もある。私は平衡交付金制度の今仰せになりましたような面は、一つ平衡交付金の総額を算出いたしまする個々の単位の問題だと思います。財政需要をどういうぐあいに算定して行くかという問題は、ものの考え方によつては、それが小さければ独自の財源をよけい与えるという形で、全体的に行けばいいのでありまして、今大体標準のある規模というものを想定し、そこで過去の例をとつて、こういう費用には、これくらいかかつておるというものを基準にして計算をしておりますから、そんなに御想像になるほど、めんどうな状態になつておらないと思う。長年検討しておりますから、その検討の上に、たとえば教育費の単位費用が足りないということであれば、それをもう少し考え直すということもでき、そうしてだんだん積み上げて行けば、その面から総額がふえる。必要なことはそういうぐあいに検討いたしました場合に、その積み上げた数字を、必ず大蔵省に認めさせるということが一つ、これは確かに御指摘のように必要だと思います。今のような平衡交付金制度で、むしろ逆に大蔵省がこれだけだといつて、総体のわくをきめて予算ができ、それをの基準でだんだんと配分して行くというような考え方は、私は平衡交付金制度のあり方自体としては、逆だと考えております。  もう一つ大事なものは、総体のわくを個々の市町村、府県に配分する場合に、意図した間違いはないにしても、計算の上の誤まりその他で、個々の市町村の配分に誤まりが出て来ないようにしなければなりません。この二つに気をつければ、かなり平衡交付金制度というものは、目的を達し得るのではないか、こういうふうに考えております。  それから今日のような財政窮乏は、資本主義社会においてはやむを得ないのだというようにお考えになつているようですが、それはまさにそういうこともある立場から言えば言えると思いますが、私はむしろそれよりもそういう面の困難というものは、今の市町村と府県を通じての自治団体の境界というものに原因があると思う。あまり小さいものをたくさん並べておくからそうなるのでありまして、相当大きく再配分して行きますと、かなりその面の困難というものは解決できるのじやないか、そういう意味におきまして、今参議院において、せつかく御検討中という話を伺つておる市町村の合併促進の考え方、それをできるならば村県なども、この間の予算委員会で、古井委員のお問いに対してお答えしたのですが、もう少し合併をするならして、大体この大きさをそろえて、もう少し数の少いものにすれば、そういう面の困難はかなり解決できるのではないかと思つている。従つてそれが今すぐできないにしても、将来の方向としては市町村も、府県もなるべく大きなものに、しかも粒のそろつたものにまとまるようになると、法的ないろいろな措置をいたします場合に、非常に困難さがなくなつて来る、こういうように考えております。
  42. 滝井義高

    ○滝井委員 今の問題は、平衡交付金法の三条のところなんですが、結局科学的な合理的な数字を出して行く、そうするとそれを大蔵省に認めさせるということは、理論的に当然なことであるにもかかわらず、現実はそれが逆になつて来ているということなんです。平衡交付金制度というものは、せつかくこういう科学的な数値を基礎にしてできておるものが、骨抜きにされている。骨抜きとまで言うのは語弊があるかもしれませんが、現実にそういう形が出て来ておるわけです。そこに私は問題があると思う。このやり方をかえて、たとえば自分のところの税収その他を基礎にすれば、年度初めの予算を組むときには、市町村は自分のところではつきりわかるのだ、こういう形にしてもらつた方が、大蔵省に対する自治体のほんとうの自主性も主張できると思う。ところが現在は三条の精神というのは少しも行われていない。これは長官も認められた通り従つて今後地方自治体の赤字を解消して行くというためには、三条の精神というものを、やはりそのまま生かしてもらわなければいかにここにりつぱな数字を積み上げても、その数字が生きて来ない形が出て来る。これはぜひ長官にもがんばつていただいて、その精神をやはり生かす方向に持つて行かなければならぬ、こう思うのですが、ひとつその見解を伺いたい。
  43. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その点はまつたく御指摘の通り、私が年来主張しておりました考え方と、まつたく同じなんでありまして、今後そのような方向に、努力をいたしたいと考えております。
  44. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 審議の都合もございますので、何月何日現在の地方団体の赤字がこれだけあるということを、何日までに書面で御回答いただけるかということを、お尋ねいたしたいのであります。これを御要求申し上げる真意は、地方財政赤字の問題の議論をいくらしておつたつて、大臣と地方行政委員会とが、赤字の量及び質について認識が違つてつたら議論にならないのです。すでに十五国会から同じ赤字の問題を、ずつと何十回となく繰返しておりますが、結論がつかない。この辺でもう結論をつけた方がいいと思います。それをひとつ御回答いただきたい。つけ加えて申し上げておきますが、二十七年度の決算の集計がまとまらなければ、回答はできないというとでなしに、最も近い現在で、集計のまとまらぬ分は合理的な推計方法で、最近の政府として赤字と認められる額を出していただきたい。  それから第二番目の問題は、ただいま改進党、社会党あるいは自由党方面におきましても、歳入欠陥の問題を非常に重視しておるのでありまして、諸種の政治的動きがあると私は理解しておりますが、ただいま長官は、二十八年度においては地方財政の収入欠陥補填のために、政府は財政措置をすることはできないとおつしやつたと思いますけれども、これについては諸種の状況にかんがみ、事きわめて重大だと思う。この重大性にもかかわらず、政府全体のお考えとしては、補正予算を年度内に出す意思は全然ないかどうか。この次の委員会に、政府としてのはつきりした御決心を御回答願いたい。つけ加えて申し上げますが、根本的な政府のものの考え方として、農業用の公共施設が、天災地変によつて災害を受けた場合に、政府がその災害復旧費の三分の二あるいは四分の三というような国庫補助をしてくださつて、残りは全部起債で処理するというようなことがあるように思うのです。しかるに市町村の経費を直接入れなければならない学校の災害復旧に対しては、二分の一の国庫補助しかない。これは市町村財政をあまり政府が重視してくれない一つの例であります。また木船再保険法におきましては、発動機漁船が使えなくなつて代船を建造する場合に、その利子を政府が払つてくれる。そういう場合たとえば学校が老朽して使えなくなつたときに、政府はそれだけの責任を持つてくれるかどうかという問題。そういうようにすべてものの考え方が、公共的な消費的需要は、個人的な、船をつくるとか、たんぼを直すとかいうものよりも軽く見ておられるということは、地方行政に対して何か間違つているのではないかというように考える。  それからなお根本的に、地方財政が膨脹するから、インフレを誘うのだという考え方が、政府にあると思いますが、それならば国の財政が膨脹してもやはりインフレになるので、この考え方もやはり一つの例であります。輸出工業その他基本工業等に対する補給金のごとき、その他利子補給のごとき、日本の実業界の識者は、そういう制度はとつてもらいたくない、実業界の権威が言われるようなものは、相当国の予算には入つておると思う。実業界は実業界として自主的に処理すべきであり、公共的な需要を優先すべきではないかと考える。そういう点から見まして、政府が地方財政だけを特に酷に扱う根拠がどうしてもわからない。それらに関連して、地方財政をもう少し重視する方針に、政府が切りかえていただく方がいいのじやないか。  なお最後にお願いするのでありますが、長官がいつもおつしやいます平衡交付金を一千億出しても、一千億の赤字は消えないということは当然の話で、われわれが赤字を消そうと思うのは、これは自然休会前の地方行政委員会の決議の第一項目に属するものでございます。第二項目につきましては、二十八年度の地方財政計画においては赤字を出さないようなものにしてくれ、これに対してはそういうことに善処するという大蔵政務次官の御回答も得ておるのであります。しかるにもかかわらず、予算はそういうふうになつていない。これは私たちの非常な失望であります。しからば第二項の決議に沿うように御考慮くだすつたことによつて、第一項の決議の赤字整理という問題が解決されるものではないのでありまして、その第一項の累積した地方赤字地方財政を病的なものにしている、神経過敏なものにしている。若干の赤字整理したつて何にもならないというようなお口ぶりに、大臣の御答弁はいつでもわれわれ感ずるのでありますが、市町村、府県の財政における公債費、元利支払い等の負担の軽減も、最も苦しいきゆうくつな地方財政の場合におきましては、限界効用度がきわめて高いということを、常に念頭に置いていただきたいのであります。でそれらの御救済によりまして政府の親心がわかる場合におきましては、地方団体は財政を健全化させようという一つの熾烈なる奮起心が起きて来るのであります。そこを考えていただきたい。現在のように政府に対して願い出ても、とりつく島がない。府県知事会は今度はまた府県知事だけの利害関係によつて政治運動をしておる。しかも一たびも府県知事の国から、県知事が、市の財政をどうしてくれ、町村の財政をどうしてくれということを聞いたこともない。そうして府県知事会は二つに分裂して、互いに自己の利益だけを主張しておる。こういうような状態では、これを極限して、市の財政、町村の財政、市町村行政という面から見ても、国もかまつてくれない、県知事も考えてくれない、こういうようなことでは、まるで実際暗黒な世界に住んでおるようなものであります。そういう点を十分御同情になつてくださるのが、自治庁であると私は考えておる。これらのことに関しまして十分お考えの上、政府としての御回答をいただきたい。
  45. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 最初の御希望の、なるべく早く資料を出してくれということでありますが、事務当局の意向では、五日から一週間くらいゆとりをいただきたいということでありますので、そういうふうにお願いいたします。  それからなお国費と資金そういうものが、全体としてどうも地方財政の方面に持つて来る分量が少い。それは地方財政に対する考え方が間違つているからなのだという御意見でありました。あるいはそういうことかもしれませんし、そういう面も若干影響しておるかもしれないと思うのでありますが、一応政府といたしましては、今のものの考え方で、限りある国の歳入とそれから資金の量というものを、それぞれの分野にあるいは産業の分野に——産業の分野のうちでも、こういう分野にどういう配分をしておるか。その結果が今度の二十八年度の予算になつておりますので、これは御意見を十分体して、今後地方財政の面にさらに一段とそういう考慮の払われるように、私も努力いたしたいと考えております。
  46. 中井一夫

    中井委員長 この機会に御報告をいたすべきものがございます。昨日、本委員会委員でありました生田宏一君が、北九州の水害の視察に行つておられまして、その出先から委員長あて電報が参りました。もとよりこれは私報ではありますけれども、特にこの際御報告をいたしまして御参考に供したいと存じます。すなわち「福岡、大分を経て熊本に来た。被害は想像以上にして、特に熊本の被害は重大なり。今や財政の貧弱なる現地地方公共団体は、政府援護資金の到着まで積極的な救護、復旧措置に出ずることにあたわず、焦慮にかられあり。ここにも地方公共団体財政に十分なる財源を与え、自主的活動の範囲を拡充し、中央依存を脱却せしむるの必要を痛感する。委細帰京の上」  こういうふうに申して参られました。御報告をいたしておきます。大石君。
  47. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私は簡単に塚田大臣にお尋ねいたします。第一点は、ただいま滝井さんがおつしやいました通り、農村は非常に窮迫しております。そこで農村の人々が映画を見に町へ、市へ行きます。そうするとその市は入場税が入つて非常に楽になります。農村はだんだんと窮迫いたします。  それからもう一つ簡単にお尋ねしたいのは、地域給をたくさんもらつている所、たとえて言うと四級地なら四級地、五級地なら五級地、そういう府県へは平衡交付金がたくさん行きます。そういうふうにこの地域給というものは非常に不公平なものです。そういうような実際に地域給にありつかねばならない所が地域給にありつかずに、無級地というところがあるのです。自然そういうところは貧乏ですから、この国会に運動に来ません。そうすると無級地のたくさんある府県は平衡交付金が少い。そして地域給の五級地、四級地に上つておるところは平衡交付金が多い。これはどういうふうにして是正してくださいますでしようか。私はこの点非常に困つとるのです。
  48. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 入場税の農村から出た金が、都市へ落ちてしまうというお話でありますが、税というものにはよくこういうことがあるのでございまして、そういうことを頭に置いて、なるべく税が偏在しないようなものを考え出したいというようなことなので、これをなくすというわけには税というものの本質からできないのじやないかと思います。ですから今後制度改革をいたしますときには、そういうことも考慮に置きながらやはり改革をいたしたい、こういうふうに考えております。  それから地域給の不公平は、これは御指摘のような状態が確かに私もあると思うのであります。地域給は御承知のように人事院が一応原案をつくり、国会の人事委員会において慎重に御審議になつて、きめられておるわけであります。従つてどもとしては、現実にはどういうぐあいになつておるかは別として、一応これだけの手続を経てきまつたものは、この段階においては一応公平なものじやないのか。従つて自治庁といたしましては、その財政需要を検討いたします場合、計算いたします場合には、その一応きまつたものを基準にする以外には方法がないので、それを考慮に置いて平衡交付金を算定しておる、こういうことであります。従つて不公平があるといたしますれば、これはその面において検討していただいて、そういう不公平を是正したい、こういうように考えるわけであります。
  49. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 赤字整理の問題は、ぎりぎりのところまで来ておりますので、政府におかれましては、二十七年度末までの間に生じた歳入欠陥の救済措置について、今年度中は措置をしないということを正式に了解していいのかどうか。その点を、多分明日だろうと思いますけれども、この次の地方行政委員会までに、正式にひとつ御回答をいただきたい。これは明日まででぐあいが悪かつたら毎日地方行政委員会は開きますから、この次の次の委員会でもけつこうですから、その点をどうぞひとつおとりはからい願いたい。これに対する大臣のただいままでの御言明では、大体そう解してもいいのかしらんと思いますけれども、事重大でございますので、大臣の従来までの御説明ではそこが必ずしも明日でなく、そういう政府の方の御決定があるとは考えませんので、その点についての御回答をいただけるかどうか。この点かなり重要なことだと思いますので、大臣の御意見を承りたいと思います。
  50. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私の考え方といたしましては、今まで申し上げておる通りに、二十七年度までの赤字は、二十九年度の本格改革の際にということでありますが、しかし加藤委員がお答えを御希望になつておるのは、おそらく、それはお前個人だけの、自治庁長官だけの考え方であるのじやないか、政府としての考え方を聞きたいというようにうかがわれますので、これは一応閣議などに諮つて、みんなの意見ども聞きました上で、お答え申し上げたいと思います。明日は閣議のある日でございますから、その後の委員会においてお答えを申し上げます。
  51. 中井一夫

    中井委員長 委員長として特に大臣に申し上げておきますが、ただいまの加藤委員の御質疑は、大臣も御承知の通り、先般来地方赤字をどうするか、場合によつてはこれを臨時の独立立法として、赤字解消のためにする法案を、政府が出されるのがあたりまえではないか。しからずんば委員会自身の意見で出したらばどうかというようなことで、各派一致のような状態で、よりよりお話の進んでおることは、御承知の通りなのであります。従いまして、この問題に対する政府の状態、決意というものは、いろいろな意味で非常に重要な関係を及ぼすことになります。長官がこの問題につき、自治庁の当局の皆様さんとともに格別の御配慮になつておることは、委員会もよく了承いたすところでありますが、この段階におきましては、何分の解決の方策を見出すにあらずんば、はなはだ政治的に困却すべき事態になるおそれがあります。願わくは加藤委員質問機会に、この委員会の空気を政府にお伝えをいただいて、政府全体の御相談の結果を、委員会趣旨に導かれ、いわば色よい返事をしていただくということが非常に望ましいのであります。特にこのことを私からも皆さんの御意思を代表して申し上げておきます。従いまして御回答は必ずしも明日の必要はございません。あるいに一両日を経まして、慎重にかつ格別の御努力をいただいた上の御回答の方が、けつこうであろうかと思います。もとより大蔵当局との関連もございましようから、特にこのことを附加いたしておきます。
  52. 北山愛郎

    ○北山委員 先ほどから聞いていて、私ちよつと変だと思うのは、一体政府は地方自治体の財政赤字の実態をつかんでおらぬで、これから調査しようというわけです。これから調査しようというものについて、あしたかあさつてかに、これは二十九年度以降に処理してもさしつかえないというような結論が出るということがおかしいのじやないかと思う。赤字々々といつても、ただ非常に漠としたような、相当赤字があるということだけを前提にして論議しておつて、実際の赤字の数字というものは、これから政府は調査しなければわからぬのです。それはあるいは調査の結果、非常に重大な数字になつて、これは二十九年度ではだめだから、二十八年度において応急の措置をしなければならぬという結論が出て来るかもしれない。ですから、そういう実態がわからぬうちに、二十九年度でやることが大臣の個人的な意見であるか、政府の意見であるかというようなことを早く回答できるという二ともおかしいのじやないか。むしろ理論的に言うならば、まず赤字の実態をはつきりと把握するということが、政府としては第一にしなければならぬ仕事じやないか。その上でこれはどうしても二十八年度において何とか一部分でも処理しなければならぬというならば、そういう結論があるいは出て来るかもしらぬ。こういうふうに思うのですが、その点についてひとつお答えを願いたい。  もう一つは、先ほど赤字の調査を一週間以内にされるということを言われましたが、一体どういう内容、どういう形式のものを調査されるのか、ただ決算の上で繰上げ充用になつているものをされるのか、あるいは事業繰越しとか年度調整とか、あるいは支払いの繰越しというような、いわゆる実質上の赤字まで含めて調査しなければ、ほんとうの赤字が出て来ぬと思うのですが、どういうふうな形で調査されるのか、その点をお伺いしたい。
  53. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 正確には赤字の数字がきまつておりませんので、今調べますと申し上げておる通りなのであります。しかし赤字が大体生じている、そして大体の見通しからすれば二百億くらいであるということは見当がついておるのでありますから、赤字をどうするかということの判断をいたしますに必要な程度には調査はできておると申し上げてもいいわけであります。  さらにどういう赤字を調べるのかということでありますが、もちろん繰上げ充用という形で出て来ておるものだけでなしに、実質の赤字考えられるものも、あわせて調べる、こういう考え方であります。
  54. 大矢省三

    大矢委員 けさほど新聞で御承知かと思いますが、例の義務教育費国庫負担の特例に関する法律案、あの問題を中心として、知事会が分裂しそうだということであります。この問題について私の聞き及んでいるところでは、これは大蔵省並びに自治庁から出たことしやないかと思いますが、もしあの法律案が通らなければ、結局富裕府県に行くところの教育費の半額負担を平衡交付金の中から出すことになる、いわゆる割込みが来るということになる。そうすると、他の貧弱府県については非常な痛手になる。だからあれを通してもらわなければ困るという一方と、それからこれは法律ですでにきまつておる、しかも義務教育費というものの半額は、平衡交付金の性質と違うから、当然これは置くべきものだということは明きらかだ。先だつてもしばしば答弁がありましたように、平衡交付金とは関係がないと言つておるが、しかし総わくはきまつておるのだから、どこから出さなければならぬということになると、これはこの中に入つて来るおそれがあるから、非常に真剣に反対している。こういう分裂、こういう問題が起きたのは、自治庁のいわゆる平衡交付金に対する態度が明瞭でないから、あるいは明瞭かもしれない、しかしそれが徹底していない。そこでこの機会に、これはあのいわゆる義務教育費半額国庫負担の法律の特例が通る通らぬは別としても、これには関係がないんだということを、各府県に文書をもつて通達をして明らかにする必要がある。そうしなければやはり依然として心配だから、やはりこの法律を通そうとする。一方はどうしても権威ある法律で約束したんだから、すでに組んでいる予算だから、ひつくり返すというようなことをする、これは経過から皆さん御承知の通りでありますが、すでにちやんとそれを予定して、また国が地方団体に約束した金なんだ、その金があるかないか、特に富裕府県といいましても、富裕府県の中で一番重要な教育費というものを、非常に大きなパーセンテージで負担しているのは市町村だ。この市町村が赤字だといつているのです。先ほど言つたように、府県は入場税が多少よく上つたとか何とかいうために、多少黒字を出しておるからといつて、町村の非常な困難をしている教育費を削ろうというようなことを、どうして考えているか、あるいは閣議でそういうことが必ずあつたと思う。もしこれがいろいろ移行して、仮定でものを言うことはどうか知りませんが、いわゆる今日の法律が効力を発する場合に、予算にないのです。そうなると補正予算をするか、あるいは地方財政法によるとそういう金は月々払わなくちやならぬということを十条にちやんと規定してある。そういう規定から行きますと出さなければならぬ、この法律に対しては、予算はないということになりますと、一体どうするつもりなのか、この点を私どもは非常に心配している。従つて私の今の質問の点は、第一に平衡交付金とは関係がないということを、この機会に文書をもつて各府県に通達するか、それからこの法律は現存しておるのですから、この法律通りに出さなければならぬにかかわらず、予算が組んでないので、補正予算を出すかどうか、通つた場合は別ですけれども、こういう法律があるのですから、当然法律従つて予算を組まなければならぬと私どもは思つておるが、どういうかげんか、こういう法律を無視するような、政府みずからが法律を破るようなことをやつておる。また自治庁が地方財政に非常に関係の深い教育の問題についてそういう予算を組んでない、それを平気でいるということが私はどうしても納得行かないのです。何か特別の事情があつてそういうことをしたのかどうか、予算措置はどうするのかという点について、今せつかく知事会が円満に行つているものを、いわゆる事務の手続が徹底を欠いているために、こういう問題が起きたのは非常に遺憾なことでありますから、至急この手続をとつていただきたい、こういうことです。
  55. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはいつか委員会で、そのようなお問いがあつてお答えしたと思うのでありますが、私どもとしてはそういう点については、一度も疑点をさしはさんだことがないのであります。と申しますことは、義務教育費の半額国庫負担の法律、それに伴う特例措置の法律が、その運命がどうなろうとも、千二百五十億の平衡交付金には全然影響は来ない。それはそういうような考え方で計算をして出て来たのが千二百五十億という数字であるから……。ただ、地方がそういうように誤解をしておるといううわさは、私は聞いておらぬのでありますが、もしそのような誤解があるといたしますならば、これは何とか処置してそういう誤解を解くようにいたします。  それから法律があるのになぜ予算を組まなかつたのかということでありますが、まさに形をごらんになつていれば、その通りなのでありますけれども、これはこの法律ができたいきさつをお考えくださると、ある程度御納得行くのではないかと思うのでありまして、これは半額負担の法律自体ができましたときに、当時地方行政委員会と文部委員会の間に、かなり意見の食い違いがあつて地方行政委員会としては、国からやるものは、なるべくたくさんのものを一本にまとめてひもつきで、これをばらさない方が金を効率的に使う意味においてはいいのだ、従つて平衡交付金からこれを抜き出すということは、結局どつかにロスをでかすからいけないという意味で、かなり反対があつたのにかかわらず、あれができましたのは今の平衡交付金の形で行く場合に、これが教育費に確保されないという危険が非常にある。この危険はだんだんと地方財政の窮乏が度をはげしくするに従つて一層強く感じられるから、せめて国が憲法でも保障している教育費というものは、国から出す場合にひもをつけて出して、そういうおそれの万ないように努める。そういう教育の目的のために財政面の目的がある程度譲歩して、妥協したという形になつておる。従つて当時あの法律ができたときから、富裕府県にロスができるということは、当然考えておつたことなのでありますから、それであの法律ができたときに即時施行しないで、二十八年の四月一日からということにして、それまでにあの法律にマッチするように、税財政制度の改革をするつもりで実はおつたわけであります。それがいろいろな事情で延び延びになつて、こちらが遅れてしまつたものですから、今日のような結果になつたわけでありますが、法律がある以上はそのロスをなくするために、別個の法律でもつて国会の御賛成を得て、そうしたい、こういうようになつておるのであります。どうしても国会の御賛成を得られないで、あの特例法が通らないということになれば、これはどうしたつて平衡交付金からもまわされないのだし、まわすべきでないのでありますから、補正予算を組まざるを得ないということになると考えております。
  56. 大石ヨシエ

    ○大石委員 塚田さんに一言申し上げたい点ですが、地域給というものは非常にうるさい、不公平なものです。運動した町は地域給が四級になり、五級になつておる。運動しないところは二級地であり、一級地である。そうすると、それに対して平衡交付金をお出しになるということは、私はこれは弱い者いじめであると思うのです。この点についてどういうふうにお考えになりますか、この点と、それからもう一点、私は京都ですから、特別市制がもしできましたときに府下は全滅いたします。そうすると今からわれわれ出身代議士は考慮せねばならぬ。大臣はこの五大府県の特別市制に対して、どういうふうなお考えを持つていらつしやいますか、それをちよつとお聞かせ願いたい。
  57. 中井一夫

    中井委員長 ちよつと皆さんに申し上げますが、実はこの委員会の室は、他の委員会が午後一時から使うことになつております。先ほどから委員長は、この室外に立つてつておられるのであります。従いましてただいまの大石さんの御質問はきわめて重大でありますから、長官の御答弁は次会にお譲りをいただきたいと思います。  なおこの機会に申し上げますが、明日は地方財政法の一部を改正する法律案質疑は終了いたしておりますので、修正案等がございましたら、それをお出しいただいて討論に入り、採決をいたしたいと存じますから、御用意をお願いいたします。  本日はこれをもつて散会をいたします。     午後一時三十分散会