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1953-07-04 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月四日(土曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 富田 健治君    理事 灘尾 弘吉君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君    佐藤 親弘君       山本 友一君    吉田 重延君       鈴木 幹雄君    橋本 清吉君       藤田 義光君    北山 愛郎君       滝井 義高君    伊瀬幸太郎君       大石ヨシエ君    大矢 省三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 戸塚九一郎君  出席政府委員         国家消防本部長 瀧野 好曉君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         建設事務官         (計画局長)  澁江 操一君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局保険課         長)      狩谷 亨一君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 七月三日  委員滝井義高君及び中助松君辞任につき、その  補欠として萩元たけ子君及び田中彰治君が議長  の指名委員に選任された。 同月四日  委員萩たけ子辞任につき、その補欠として  滝井義高君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月二日  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(前尾繁三郎君外一名紹介)(第二二七五  号)  同(山花秀雄紹介)(第二二七六号)  地方税法の一部改正に関する請願尾崎末吉君  紹介)(第二二七七号)  同(山花秀雄紹介)(第二二七八号)  同(林信雄紹介)(第二三三四号)  同(高橋等紹介)(第二三三五号)  営業用トラツクに対する自動車税軽減請願(  尾崎末吉紹介)(第二二七九号)  同(山花秀雄紹介)(第二二八〇号)  同(生田宏一紹介)(第二三三六号)  同(野田卯一紹介)(第二三三七号)  同(竹尾弌君紹介)(第二三三八号)  同(黒金泰美紹介)(第二三三九号)  同(楯兼次郎君紹介)(第二三四〇号)  同外一件(平野三郎紹介)(第二三四一号)  地方議会権限縮小反対に関する請願塚原俊  郎君紹介)(第二三四二号)  医業に対する特別所得税免除等に関する請願(  中曽根康弘紹介)(第二三四三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  消防施設強化促進法案内閣提出第二五号)     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 ただいまより会議を開きます。  前会に引続きまして、消防施設強化促進法案を議題とし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。滝井委員
  3. 滝井義高

    滝井委員 この消防施設強化促進法案によりますと、国が補助金を三分の一だけ市町村に出すことになつておりますが、こういうことになりますと、残りの三分の二を当該市町村負担しなければならぬということになるわけであります。そうしますと、いろいろのこういう補助金等は県を通じて行われておりますので、市町村としてみれば、三分の二を自分が負担するということは、どうも財政上不可能であると思います。従つて必然的に三分の二の市町村負担するうちの三分の一くらいは県に負担してくれという要望が強くなつて来るだろうと思いますが、県にそういうものを負担する意向があるものかどうか。あるいは政府の方で将来県が負担するような財政措置をとる考えがあるかどうか。この点をひとつ同時に明らかにしておいていただきたいと思います。
  4. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 ただいまのこの補助に伴います三分の二の負担部分に対します措置でございますが、もちろんこれを受けます市町村にとりましては、残り部分措置には非常に苦慮するわけでございます。それで、現在のところはつきりとはいたしませんけれども都道府県によりましては、あと残り負担部分につきましての補助をいたしたいという意向を持つておる府県もございます。この具体的ないろいろの措置はつきりといたしておりませんので、明確にわかりませんが、そういう事情になつております。今後町第九号もわれわれといたしましては、都道府県に義務づけるわけには行きませんけれども消防施設強化のためのこの国の補助に即応いたしまして、補助をできるだけしていただくようにお願いするつもりであります。御参考までに申し上げますが、現在の消防組織法に第十八条の二というのがございますが、これの中にも「都道府県は、消防に関し、左に掲げる事務を掌る。」とありまして、それの四号に「消防施設強化拡充の指導及び助成に関する事項」というものが、はつきりと載つておるような次第でございまして、現在国か補助いたしませんでも、単独で府県で相当の補助をいたしておる府県もあるような状態でございます。  また、三分の一補助いたしますが、市町村負担部分につきましても、自治庁の方に交渉いたしまして、他の一般補助事業と少くとも同程度になるように起債の面も考慮していただくよう折衝いたしまして、大体他の補助事業と比べて、あまり見劣りのしない程度の充足がしたいという御意向のようでございますので、申し添えておきます。
  5. 滝井義高

    滝井委員 できる限りそのように県に対して指導いたしたいということでございますが、現在の府県財政はきわめて貧困な状態にあります。従つて、あなた方から言われなくても、出そうというような府県は、おそらく財政ゆたかな府県あるいは消防施設強化しようというに熱心な府県に限るのじやないか。従いまして、この法案の中に現在府県がそういう補助金を出すという規定を設けることはできないでありましよう。しかりとするならば、その規定のかわりの何らかの行政措置によつて、いわゆる三分の二のうちの三分の一を府県負担するという具体的な方法は、何かできないものかどうか。
  6. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 ただいまは非常に的確な、また有効な行政措置をとるとお答えするよりほかございませんが、主務課長あるいは知事さんにも通牒などで極力要望するというような措置をとりたいと考えております。
  7. 滝井義高

    滝井委員 そうしますとこの補助率が三分の一になつておりますので、将来あなたの方で府県に対してそういう行政措置あるいは法律改正というようなことを強制的にやることは、現在の民主主義の原則から考えても、必ずしも合理的でないという御意見だと考えます。そうするならば、三分の一の補助率を二分の一に引上げるというような御意思があるかどうか伺いたい。
  8. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 ごもつともでありまして、三分の一というような低率の補助は好ましくないとも考えますが、当初の計画はもちろん二分の一程度のものを考えておつたのでありますが、予算化する財源が非常に少いのと、最近におきます補助事例等を見ましても、二分の一は非常に無理だというので、一応やむなく三分の一ということにしたわけでありますが、今後は、予算化する財源等の趨向に応じまして、率を上げて行きたいと思つております。とにかくこれは最初のスタートでありますので、この程度で今回は始めるということでございます。
  9. 滝井義高

    滝井委員 将来は補助率を二分の一くらいにしたいということでございますが、わずかに二億五千万程度では、現在の市町村消防力強化とは言えないと思うのであります。しかも六十億も起債の申請があつて、それに対する起債の許可というものが、今までの実績からいつて三%か四%というような貧弱な状態ではどうにもならぬと思います。もう少し国家消防本部の方も馬力をかけて、大蔵省なり自治庁長官なりに交渉して、この補助率をふやす方向に持つて行かなければならないと思います。  それから念のためにお聞きしておきますが、今年の自動車ポンプ補助の中の二億五千万円というものは、これは三輪自動車ポンプと手引きのガソリンポンプ小型自動車ポンプというようかいろいろな種類のものが含まれての補助である、そう確認してさしつかえないかどうか。
  10. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 さよう御了解いただいてけつこうであります。
  11. 滝井義高

    滝井委員 最後にお尋ねしておきたいのは、水上消防署海上警備隊との関係と、海上保安隊保安庁との関係を、ちよつと御説明願いたいと思います。
  12. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 これは消防法第二条の中に一応うたつてあるわけでありますが、水上消防署あるいは消防団というふうなもの、いわゆる繋留中の船舶と、それから湾内でありますれば動いておりましても二十トン以内の船舶、これを一応の線として、消防責任の対象にいたしております。その他は海上警備隊範囲というふうなことで、大体海上警備の当局とも協定をいたしまして、それぞれ消防関係の方に通達をしてやつているわけであります。一応の責任範囲というものは、かような線でやつております。実際面といたしましては、事緊急な災害でございますので、それぞれ協力し合つて通報し合うというふうなことも、協定をいたしているのであります。一応の責任範囲というものは、かような線で協定をいたしております。
  13. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと二十トンくらいの小さい船は、水上署でやるけれども、大きな船舶火災、それから海上における遭難というものは、海上保安庁でやるということで、そういう場合は水上署の方は出動しなくてもいいということに解釈していいのですか。
  14. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 先ほど申し上げました責任の分野というものは、一応法律上の責任範囲をきめてあるわけなのでありまして、実際問題としてはそんなことを言つておられないので、いろいろ事例もございますように、海上遭難の場合に消防が出かけて行きまして、人命を救助するとか、あるいは大きな船舶でありましても消防がかけつけまして火を消す、あるいは人命救助に当るという例が幾多ございますように、事実問題は法律上の問題とは一応別と考えまして、先ほど申し上げたように緊急事態でございますので、相互に手近なところから極力救難に当るというふうなことになつております。
  15. 滝井義高

    滝井委員 そうすると水上署には、火災予防のための消防艇というものがあるはずですね。そうすると、今度の九州における水害等において非常に舟に困つたわけなんです。そういう消防艇水上署にはあるわけなのでございますが、そういう船を今度の水害に対して国家消防本部においては、大体どういうふうに活用したのか、実績があれば御説明願いたい。同時に海上保安庁というものが今度の水害に対してどういうぐあいに出て行つたか、もしそれもお知りであれば御説明願いたい。
  16. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 ただいまのところ水上関係消防艇を用いて、消防がいかなる活躍をいたしたか、あるいは海上警備隊がいかなる活動をしたかの的確なる報告をまだ受けておりませんが、おそらく消防は保有いたしておりますそういう器材、装備を最高度に活用して、奮闘したであろうと思つております。まだ正確なる報告なり資料を得ておりませんので、ここで申し上げることができないのを、はなはだ残念に思つております。
  17. 滝井義高

    滝井委員 どうも九州水害で非常に船舶が不足しておつたということでありますが、こういう点から考えて、今の本部長の御答弁等からも考えてみますと、現在の水上署の設備、機能というものはほんとう湾内における火災あるいは遭難というものに対して、必ずしもどうも万全でない感じがいたします。従つて消防施設強化促進法が出ているが、これは主として市町村消防強化考えられておつて水上署に対することは一つの盲点になつている感じがいたしますので、今後この点ももつと研究充実をせられまして、日本におけるこういう災害の際にもいつでも出られる態勢を当然考えて行かねばならぬと思います。あと銀行局長もおいでになるそうですので、一応これだけのことを要望して私の質問を打切ります。
  18. 大石ヨシエ

    大石委員 私関連して一点消防本部長質問いたしますが、水上消防署保安庁と、海上保安庁警備隊とは一体どういうふうに区別なされているのか。この点今滝井さんがお聞きになつた点について私納得が行きません。同じようなものが三つ四つもありますが、一体どうなんですか。これでほんとう機能を発揮しているんですか。詳細を聞きたいと思います
  19. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 先ほど説明いたしましたように、水上署消防については、そういうような限界で大体責任範囲をきめておりまして、法律上の問題といたしましては一応線が引いてあるわけでございますが、実際は湾内なら湾内火災の場合に、法律上これは責任がないのだから、かけつけないというようなわけのものではなく、事実上最も附近にあるもので早く知つたものが連絡をして、それぞれ相互に協力し合つて火災を消す、あるいは人命を救助するというのが実態なのであります。でありますから具体的な火災なら火災という事件のケースを見なければわかりませんけれども、ものの考え方といたしましては、法律上の責任範囲は先ほど申し上げましたような線で、一応相互にきめているわけでありますから、実際問題としては力のあるものが、その力に応じた方法でもつて、その災難を防除するというのが実情でございます。
  20. 大石ヨシエ

    大石委員 私の質問しているのは海上保安庁、それから保安庁と今度できた警備隊、それから水上消防署というふうに同じものが四つありますが、水上消防署はこの三つのものに比較して、どれだけの権限を持つているのかということを詳細に知りたい。四つとも海上消防に努め、海上救難に当るとなると、この区別はどういうふうになつているのか。
  21. 中井一夫

    中井委員長 ちよつと大石さんに御了解を得たいと思います。大蔵省銀行局長が他の委員会出席中のところ、特にこちらへ出席を要求しましたところ、繰合して出席になりました。よつてあなたの御質問あとまわしにしていただいて、先に河野銀行局長に対する質問を開始いたしたいと存じます。河野大蔵省銀行局長
  22. 河野通一

    河野(通)政府委員 先般の当委員会で一、二点特に損害保険に関するいろいろの御質問があつたようであります。ちようど私、他の委員会に出ておりまして出席できなかつたのでありますが、出席いたしました保険課長から伺いました点につきましてお答え申し上げます。  まず第一は、主として火災保険料率に関する問題であると思うのであります。火災保険料率は、御案内のように終戦直後消防施設あるいはその他の関係から非常に危険率が上りまして、火災保険料率も勢い非常に高くならざるを得なかつたのであります。それにさらにつけ加えまして、御案内のように昭和二十二年から三年にかけて保険会社を含めて、金融機関全般について、再建整備をいたしたのであります。こうした関係から従来それらの損害保険会社が持つておりました蓄積を相当程度吐き出してしまつた、いわば裸に近い状態にいずれの保険会社もあつたのであります。そういつたふうな事情もありまして、勢い火災保険料率も相当高くなつたのでありますが、その後において経済界が安定し、消防水道等も逐次整つて参りますに応じまして、損害保険会社自体内容もだんだん整つて参ります。そういつた事態に応じまして、災害保険料率も逐次下げて参りまして、去る六月にも住宅料率につきまして相当大幅の引下げ行つたのであります。今後におきましてもこれらの損害率等の推移によりまして、一方損害保険会社経営合理化を極力進めますとともに、他方におきましてただいま御審議をいただいておりますような消防に関する施設が、逐次充実するといつたようないろいろな条件が整うに応じまして、今後とも火災保険料率引下げをできるだけ進めて参りたい、かように考えておる次第であります。これによりまして一般産業界、あるいは国民生活負担というものをできるだけ下げて行くように努力をいたしたいと考えておる次第であります。  それから第二点として伺つておりました点は、損害保険事業に対する基本的な考え方の問題であります。具体的には一体損害保険というものは公営でやるべきか、民営でやるべきかという御議論のようであります。この点につきましては、先般保険課長からもお答え申し上げたと思うのでありますが、基本的な考え方は、私どもはやはり損害保険事業というものは民営本旨とし、これを中心として運営さるべきものであろうと考えております。ただ損害保険のうちにも非常に社会保険的な性質を有しておるものが多々あります。たとえば農業関係保険でありますとか、そういつた特殊の性質を持つておるものにつきましては、民営つまり自己採算の立場に立つ民営では、なかなかその危険をカバーすることができないといつたような事態のものにつきましては、これはどうしても国営保険と申しますか、公営保険といつたようなものが必要になつて来るのではないかと思うのでありますが、一般損害保険につきましては、民営本旨として行くべきではないかと考えます。現在の地方公共団体等におきまして、それらの公共団体損害保険につきましては、事実上の公営保険が行われておるようであります。これらの問題につきましての考え方につきましては、私どもまだ最終的の結論を得ておりませんが、もしそれが民営保険をもつて十分にカバーできないような事態があるならば、これは公営保険ということも当然考えて参らねばならない。具体的にしからばこの問題をどう考えるかにつきましては、今にわかに私もまだ結論を持つておりません。民営本旨として行きながら、民営でカバーできない点につきましては、公営保険ということも当然これは考えられねばならない、かように考えている次第であります。  なおお答えが御質問の点と——私間接に伺つたのでありまして、あるいは少し見当がはずれたようなお答えを申し上げたことになつておりましたならば、さらに御質問によりましてつけ加えてお答え申し上げたいと思います。
  23. 北山愛郎

    北山委員 ただいまの御説明では、火災保険民営の方がよろしいような御説明でございますが、きよう配付されましたこの資料によりますと、二十七年度の普通火災保険の成績、これを見ますと保険料収入が四百十一億円、これに対して支払われた保険金は七十六億円にすぎないのであります。しかもこの事業費として百六十九億円も保険会社は使つている、保険金として七十六億しか払つておらないのに事業費として百六十九億使つているというような民営あり方でございます。こういうようなあり方をそのまま認めて、そうして民営が適当であるとお考えでございますか。
  24. 河野通一

    河野(通)政府委員 この点につきましては、先ほど来申し上げておりまするように、保険会社経営合理化をはかつて、できるだけ事業費節減して行くということには、努力はいたしたいと考えている次第であります。それによりましてできるだけ保険料率を下げて行くということに、尽力はいたしている次第であります。ただ問題は戦前の状況と比べまして、こういつた一種の資金を扱いまする金融ないし金融に準ずるような機関経費率と申しますか、コストというものは相当高くなつて参つている。これは一般銀行につきましても、同じような事情がございます。その中にはもちろん相当一般企業会社と同じように、むだな点がないとは言えません。従つてそういうものはできるだけ合理化をはかつて経費節減に努めきせるのでありますが、御承知のように一般収入保険料、あるいは銀行預金、そういつたものをお考え願つても、実質価値でこれを計算いたしますると、非常にわずかな数字になつている。預金については御案内のように実質価値に直すと、戦前の四割にすぎない。保険につきましては損害保険は大体計算いたしますと二割くらいの実質価値しかないと思います。そういつたふうな関係から、一方の経費の方はそれほど下らないというふうな関係で、経費率というものが勢い戦前の正常の時期に比べますると、どうしても高くなつている。これは極力下げるように今後とも経費節減をはからせるように努力はいたしますが、これによつて保険料率をできるだけ下げて行く努力はいたしたいと考えております。
  25. 北山愛郎

    北山委員 とにかく支払われた保険金が七十六億に対して百六十九億というような事業費を使つているということは、節約とかそういうこと以上の大きな問題じやないかと思うのです。それでちよつとお伺いしたいと思うのですが、どうして四百十一億円の保険料を集めるのに百六十九億円というような大きな事業費がかかるか、その内容についてちよつと御説明を願いたいと思います。
  26. 狩谷亨一

    狩谷説明員 あらかじめお断りしておかなければなりませんのは、保険事業損益計算書は、実は見方がたいへんめんどうなのでございまして、そのめんどうな原因は、再保険契約関係勘定であります。従つて保険関係勘定があるがために、計算的に見れば両建的なものがあるわけです。保険料収入として入つております中に元請の保険料収入と、再保険関係保険料収入とが一緒に計上されるというかつこうになつております。しかしながら同様に保険金として上つております勘定の中には、元請契約に基く保険金支払いと、再保険関係保険金支払いと、両方が二重計算になつておる、こういう点がございます。今申し上げました点は、それぞれ反対側勘定に上つておるわけでございます。ですから反対側勘定と差引しなければならないというような点がございます。しかしながらそれは多分に技術的な点があるのでありまして、正確な計算をすればそうするという程度でございます。いずれにしましても事業費の百六十九億という点については、これは間違いない数字でございます。ただ事業費につきましても同様な点がございまして、利益の部のところにあります再保険手数料等の差引いたしましたものがネツトの事業費でございます。従つて概略百三十億円余りが保険会社事業費に当るわけでございます。それに対しまして保険料として収入いたします金額は、利益の部にあります四百十一億から、損失の部にあります再保険料百三十二億を差引きました約二百八十億が正味の保険料収入ということになります。二百八十億の保険料収入に対して、ただいま申しました百三十億、概略五割弱を保険事業費として使つておるというのが、火災保険実態になるわけです。  そこで五割の事業費というのは高過ぎる、極力圧縮しなければならないということは申すまでもないと考えておりますが、その事業費内訳をごく大ざつぱに申しまして、まず代理店手数料なるものがございます。これは火災保険を募集いたしますのに、代理店機構を通じて募集いたしますので、代理店に対するコミツシヨンが必要になります。そのコミツシヨンの額の割合は、普通のものでございますと一五%というのがきまりでございます。大口の工場物件等につきましては一〇%が基準になつておりまして、大体一〇%ないし一五%が基準であります。一応かりにその分を控除いたしますと、あと保険会社の社内の経費、いわゆる私ども社費と呼んでおるものでございます。今の五〇%のうち、代理店手数料に支払われる分が多いとして約一五%と仮定いたしますと、あと三五%弱がこの社費になります。その社費内訳は、人件費物件費に一応わけて、大体その割合は二対一ないしは六対四程度のところになつているかと承知しております。これらの点につきましては、今後保険事業契約が伸びて行くというような仮定がありますれば、おのずからその社費の一人当りの扱い件数がふえて行くというようなことになりまして、ますます合理化方向をたどることになると思います。同時に保険料の増収その他を別にしましても、特に公益性の強い保険事業につきましては、合理化ということが必要であると考えておりますので、合理化の必要を私どもとしましても痛感し、そのための警告を発しているというような現状でございます。
  27. 北山愛郎

    北山委員 この問題は門司さんの質問から始まつたことですから、私は早く打切りたいと思いますが、とにかくただいまのお話のように、火災保険というものが非常に公共性の強いものだということ、それからこれを事務的に見ると、特定の現場を持つてやるような事業でなくて、いわば紙とお札でもつて済む仕事であります。そこへもつて来て今のように五割もの事業費がかかるというようなことでは、われわれはよくお役所仕事が非能率で、非常にむだが多いということを言うわけでありますが、このような民営保険事業においてこそ大きなむだがあつて、そうしてそのむだは結局たくさんの火災保険に加入しておる人からしぼつておるということを、はつきり言わなければならぬのであります。そこでこのような状態でもなおかつ民営でなければならぬのであるか。私どもはやはりその強い公共性からいつても、このように事業費に非常にむだな費用をかけておる、しかもそれが大衆の負担になつておるというような点から見て、公営が妥当だと思うのでありますが、それでもなおかつ民営でなければならぬという根拠は、どんなところにあるのでしようか。
  28. 河野通一

    河野(通)政府委員 経費が非常に高いという点につきましてはお説の通りでありまして、私どももできるだけ下げるように努力をいたしますが、損害保険会社経費率というものは、戦前におきましても大体四五%から五〇%くらいになつており、外国の保険会社の例を見ましても、これは御承知だと思いますが、大体四三%から四五%くらいの経費率になつておる。それがいいということではもちろんないのでありますが、そういうことがあるにかかわらず経費率はできるだけ下げるように私ども努力いたしたいと考えております。私は損害保険事業というものが、非常に公共的性質を持つておることについては、今の御質問に対してまことに同感に考えております。その立場から私どもも特別な法律により、特別な監督、検査をし、特別な責任準備金の積立方を強制し、契約者に対して迷惑をかけないように、しかもできるだけサービスを向上するように、監督を厳重にいたしておるつもりであります。しかしながら保険事業は、やはり一般の企業と同じようなベースに立つた民間の事業であることが、当然原則でなければならぬと私ども考えております。この点につきましてはいろいろ御議論があるかと思いますが、たとえば銀行等の金融機関につきましても、これは同じように公共的性質が強い。これらに対して、その公共性が強いがゆえにこれを国営にすべしという議論も、たびたび耳にいたすのでありますが、私はやはり銀行というものは公共的性質に徹しなければならぬけれども経営までもこれを国に移すということは適当でないという考え方に立つております。それと同じ意味におきまして、保険会社についてもやはり民営を中心として考えるべきじやないか。かように私ども考えております。しかしそれかといつてその民営ということは、普通の事業のようにまつたく自由な企業ではなく、その公共的性質が強いゆえをもつて特に監督もし、また産業界に対するサービスを向上させるようにできるだけの努力は払つて参つたつもりでありますし、今後におきましてもそういう点に重点を置いて、私どももできるだけの指導もし、監督もして行くつもりであります。
  29. 中井一夫

  30. 門司亮

    門司委員 私、銀行局長さんにちよつとお聞きしたいのであります。この前保険課長からいろいろ話を伺つたのでありますが、われわれが当時質問をいたしておりました趣旨は大体おわかりだと思います。これは、今度の国会に消防施設強化促進の法案政府から提案されております。この内容は二億五千万円を政府が出して、これを三分の一として、従つて地方であと五億の金を支出して消防強化しよう。これは地方財政の面ではまだいろいろ議論もありますが、その前にわれわれが概念的に議論をすべきものとして、消防強化のために非常にたくさんの金が使われる、そして町村は借金をしてまでもこれをやる。その結論として利益を得る者は、それの対象となつておる地方住民であることには、一応間違いがないのでありますが、しかし保険業を営んでおります保険業者が、これによつて影響を受けることは当然である。従つてこの保険の業務について直接監督をやつておいでになる大蔵省銀行局の意見も、実は聞きたいと考えておるのであります。  この前の委員会で御承知のように東京都から出して参りました例の火災保険に関する申請があつたはずであります。そしてこれに対する認可をしておらない一つの条件として、この前の会議で明らかになつて参りましたものが、今銀行局長が御答弁になりましたように、保険事業というものの建前は大体民営である、従つてこれが公営であることがどうかと思うというような一つの意見があり、さらにもう一つの大きな意見としては、いわゆる保険は非常に広範囲のというか、力強いバツク・アツプがなければ、その実行は非常に困難だという、これは再保険の問題でありましようが、こういう一応の理論の成り立つた答弁があつたのであります。しかし保険自体をずつと見て参りますと、先ほども質疑がありましたように、保険が非常に公共性を持つておるということについては、銀行局長も一応これを肯定されておる。そこで私はこの機会に率直に聞いておきたいと思いますことは、この日本全体の住民の住んでおります家屋の中で、保険につけておるものがどのくらいあるのか、保険につけてない家屋がどのくらいあるのか、この数字がおわかりになるなら発表願いたいと思います。
  31. 中井一夫

    中井委員長 ちよつと門司さん、御了解を得たいのですが、実は銀行局長は他の委員会質疑応答中を、こちらで出席を要請したのです。今向うから問合せが来て返してもらいたいというのですが、どうしましよう。あなたの質問を続けられるなら、機会を新たにしましようか。それともきわめて簡単なら、この際局長にお願いしたいのですが、いかがでしよう。
  32. 門司亮

    門司委員 それではもう一つだけ局長にお聞きして、あと数字のことはいずれまた別のときに伺います。それで、局長にお聞きしたいと思いますことは——私が今質問申し上げております前提は、大体公共性がどのくらいあるかという具体的な事実と、さらに先ほどからお話のありましたように、これが民営である場合との比較をはつきり知りたいということで、一応責任のある答弁を求めたのであります。局長は先ほど、こういうものはやはり個人の企業がいいことはいいんだというお話でありますが、率直な話を聞いておきたい。現在の状態の私企業でありまして、全国の国民がこの恩恵に浴しないということで、もしこの保険料率が高いとか、あるいは保険業者に行き届かぬところがあるというような欠陥があるとするならば、その責任はやはり政府でお負いになりますか。
  33. 河野通一

    河野(通)政府委員 責任を負う負わぬの問題は別といたしまして、私ども保険料率はできるだけ下げるようにして、公衆と申しますか、保険会社の公益的性質をできるだけ貫徹できるようにつとめたいと思います。保険料率が一体高いか低いかということの比較論になると思いますが、先ほど来申し上げましたように、できるだけ保険料率の低減に伴いまして、また経費をできるだけ節減させて合理化を進めることによりまして、今後とも保険料率をできるだけ下げて行く、そして民間保険による普及にもできるだけ努めて参りたい、かように考えておる次第であります。
  34. 門司亮

    門司委員 それではさらにもう一つ聞いておきます。今保険料率云々という話がありましたが、保険料率も一つの問題でありましようし、保険経営の立場からいえば再保険の問題も出て来るでございましようし、保険が堅実であるかどうかということ、従つてさつきの答弁の中にも公益性を持つているということはお認めになつておる。従つてわれわれの立場から言えば、公益性を持つておるものである以上、全部の国民がこの恩恵に浴する制度が望ましいと私は思うのですが、これについて局長はどういうお考えでありますか。
  35. 河野通一

    河野(通)政府委員 できるだけ全部の国民が保険の制度を利用できるように、普及に努めて参りたいと考えております。またこの点は保険会社としてもできるだけ努力はいたしておると思います。ただその場合に、言葉は悪いのですけれども程度問題だと思います。公共的な性質を持つているからと言いまして、これは強制保険をやるわけにはもちろん参りません。国営にした場合においても、強制保険ということは困難じやないかと思います。そういつた場合におきましては、できるだけそういう普及率を高めて、国民に対する損害をできるだけ補填するような措置を講ずるために、努力するということは必要でありましようけれども、その点は努力いかんにかかるのであつて、今の状態においてこれをただちに国営保険に直したら、それは非常に普及するかどうかということにつきましては、私は必ずしもその通りというわけに参らぬと信じております。
  36. 門司亮

    門司委員 私は今局長と国営の問題を議論しておるわけではありません。私が聞いておるのは基本観念でありまして、実際は基本観念としてどうあるべきかということを聞いておるので、私はただちにこれを国営にしなくてはならないということは考えておらない。国営にしなくても方法はあると思う。従つて今日の日本の事業形態をごらんになればよくわかりますように、国営もその一つの方法でしようし、地方の自治体でやつておる公企業も一つの方法でしようし、あるいは私企業も一つの方法でしようし、いろいろ段階はあると思う。ただわれわれの基本観念として——政府考えておる問題は、先ほどから数字はつきりしておりませんから、申し上げるわけには参りませんが、今日保険の普及云々ということを言われておりますけれども保険料率が非常に高いということ自体が、国民に一つの迷惑をかけておるということは言えると思う。それからもしこの普及が完全でなかつたとするならば、日本の国民はこのことのために非常な損害をこうむるということも言えると思う。こういうふうにずつと考えて参りますと、やはり国民相互の間で、できるだけこの損害を少くして行くということは、一つの国の施政の方針でなくてはならぬと思います。従つて局長はそういう意味で一体是認されるかどうかということです。私はこれを国営に移すとか、あるいは私企業がいいということで議論しておるのではありません。公共性を持つなら持つだけに、やはり広範囲に施行せられることが正しい行き方であると思う。その行き方には、先ほど申しましたようにいろいろな行き方があると思う。あなたの方では私企業でやつたらいいと言われましても、また別の考え方は、国営でやつたらどうかという考え方もございましようし、あるいは公営企業のような形でやつたらどうかというような考え方もございましようし、いろいろ考え方はあると思います。従つて基本観念の問題を一応ここで聞いておいて、われわれのこういう問題が出ておりまする判断の資料にしたいと考えておりますので、基本観念だけをはつきりしておいていただきたい。
  37. 河野通一

    河野(通)政府委員 あるいは御質問の趣旨をはき違えてお答え申し上げることになるかもしれませんが、そういたしましたらまた重ねて御質問願います。私どもは今申し上げましたように、企業の形態そのものがどうであろうと、保険というものは、ことに損害保険というものは、国民経済に対して、国の損害としてこれを補填するという非常に大きな役目を持つておることは、私どもは十分に承知しておるつもりであります。従いまして国民のすべての人にできるだけ安い価格でもつて普及するように、その組織なり経営の形態がいかようであれ、そういう努力をして参らなければならぬと考えております。しかもその努力保険会社自体もやつておると思いますけれども、なおその点について熱意が足らぬとか、あるいはサービスが十分でないという点がありましたならば、そういう点についてはできるだけ是正をさせて極力サービスの向上に努めさせ、それによつて公の性質からみて非常に重要な保険というものの普及をできるだけはかつて行くように努力いたしたいと考えております。
  38. 門司亮

    門司委員 どうも銀行局長の観念は今の私企業を認めた上に立つてのお考えだから、そういう答弁ができると思うのであります。私はさつきから申し上げておるように、そういうものを議論をしないで、こういう損害保険というものは、国民の経済に非常に大きな影響を持つから、できるだけというよりも、むしろ国民全体がこのわくの中に入ることができて、しかも安心していられるという、大きく言えば一つの民生安定の方法でございましよう。そういうものをお認めになるかどうかということでございます。私は私企業の問題は今の保険実態についてはもう少し議論しなければ、今の銀行局長の答弁でははつきり出て来ないと思う。今のような答弁をされるならば、私は時間があるなら、もう少し聞きたいと思う。先ほど数字を聞きましたように、一体建築に対してどれだけのものが焼けているのか、そしてその焼けているものの中で、保険に入つているものはどれだけあるか、こういう厳密な数字であなたと議論をしてみたい。しかしそういうことを議論して行くことになると、時間もかかるし、問題になるので、私は率直に基本観念だけを聞いておる。従つて私企業を今監督するとか、あるいはこれを広げるというようなことを私は聞いておるのではありません。保険自体は国民の福利といいますか、民生の安定のためにかくあるべきであるということ、その方法としては私企業があり、公企業があり、あるいは国営があるかもしれない。しかしかくあるべきであるという基本観念だけを言つておいてもらえば、それでけつこうだと思います。
  39. 河野通一

    河野(通)政府委員 その点につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、保険事業というものが私企業であるかどうか、そういう企業の形態がどうであるかということは別として、こう申し上げておるのであります。私ども損害保険というものが国民経済にとつて非常に重要な公共的な意味を持つておるのであるから、これができるだけ低い価格でもつて、しかも普及するように努めなければならぬ、かように申し上げておるわけであります。低い価格というのは、保険料をできるだけ下げて、これは民営であろうと国営であろうと問わない、できるだけ低い価格でもつて普及をして行かなければならぬ、そういうふうに努力しなければならぬ、その企業形態がどういうものであろうと必ずそうしなければならぬ、こう申し上げておのるであります。
  40. 門司亮

    門司委員 大体はつきりして参りましたが、そういたしますると、念を押しておきますが、今の御答弁に大体間違いがないとするならば、方法のいかんにかかわらず、具体的に言うなら保険料率が安くて安心していられる制度であるならば、それでけつこうだ、こういうことに解釈してよろしゆうございますか。
  41. 河野通一

    河野(通)政府委員 その点は先ほど申し上げましたように、私どもはできるだけ原則は民営で行くべきだということを申し上げておるのでありますか、この問題については触れないというお話でございますから、私は今その問題については触れない、こう申し上げておるのであります。
  42. 門司亮

    門司委員 一体銀行局長はどうお考えになつているのですか。私は私企業がいけないということは一口も言わない。今までの私企業がけしからぬということはだれも言わない。公営がいいとも言わない。国営でなければならぬとも言わない。それに対して、今のあなたの答弁は一体何です。だれが私企業を批判しましたか。私はそれよりか、そういう銀行局長の基本観念を是認してもいいかどうかということを聞いたのです。それだけお答え願えればけつこうである。それから先の問題は、われわれが批判し、判断しなければならぬ。また今まであなた方のとられた処置についても、これが批判する一つの対象にしなければならぬ。従つて基本的の観念を聞いているのであつて、私は決して私企業がけしからぬということも、公営でなければならぬということも一口も言わない。そういうふうに間違つた答弁をされるのは、一体どういうわけですか。
  43. 河野通一

    河野(通)政府委員 先ほど申しましたように、私ども保険料ができるだけ安くて、しかも契約者に迷惑をかけないという意味におきまして、会社の内容自体を十分に吟味をしなければならぬ。これを保険料をいたずらに下げて、しかも会社なり企業なりの内容が悪くなれば、終局においては保険契約者に迷惑をかけることになりますから、保険料をできるだけ下げるけれども、それは企業自体が成り立つようにして行かなければならぬ。そういう観点から、そういう条件のもとにできるだけ保険料を下げ、しかもこれをできるだけ普及して行くという努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  44. 門司亮

    門司委員 いくら言つてもわからぬのですか。私企業を監督するとか何とか、そういうことは私は言つていない。言わぬことをあなたはどうしてよけいなことを言うのですか。あなたでわからなければ、大臣に出てもらいましよう。銀行局長は、ただ自分の所管であるからといつて、私企業だけを擁護するような言葉は慎んでもらいたい。あんたの行き方がいいとか悪いとか言つて、われわれは責めているわけではないのであります。われわれがこれから立法する一つのものの考え方のもとに、一応政府意向を聞いているのです。政府意向を聞かないで立法することは、政府と衝突したり、立法の上でいろいろな問題が起きて来る。従つて冒頭に申し上げましたように、国と地方とが七億幾らというような金を出して——今までも非常にたくさんの金を出しておりますが、しかもそれが全部地方に行つては金がないので起債になつておる。消防施設強化をはかることは地方の公共団体としては、当然やらなければならぬ仕事である。それをやり得るものは保険会社である。しかもそういう事業をやつているところにも、いまだに保険に入つていない人がたくさんあるということである。従つて焼けた場合にそれらの保険に浴さない場合がある。こういう問題をどう解決して行くかということがわれわれの仕事である。従つて政府意向は一体どうであるかということを聞いているのであつて私は今までの質問の中に、保険会社がけしからぬということは一口も言わぬし、また事業実態はかくあるべきであるということも言わないはずである。にもかかわらず、ややもすると保険料率を下げるために保険会社を監督すると言う。あなたは保険会社の中から出て来た重役ですか。私は、政府の役人としてもう少し虚心坦懐に、そういう状態にこだわらないで、御答弁を願いたいと思います。しかし監督者の立場としてそれ以上のことは言えないというなら、大臣に来てもらつて話をする以外にない。従つて委員長に、ぜひ大蔵大臣に出て来ていただくようお願いします。
  45. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 前回の地方行政委員会の問答から今回にかけまして、私も他の委員と同様に、大蔵省の答弁の態度につきましては、きわめて遺憾に感ずるものであります。まずこの地方行政委員会火災保険料のことを問題にしたのは、消防が予防的な措置として地方治安の上に、大きな影響があるということに関連し、また地方財政の窮乏に関連し、実にまじめな国家を思う至情から出ているのであります。しかるにもかかわらず、保険課長さんが説明されたことについて、各委員が詳細に質問するのに対して、御答弁がきわめて不十分であり、また誠意がないと認めるのであります。ことに最近地方自治法の改正によつて実施されました公有物件の共済組合との事業経営の資格の問題等につきまして質問いたしますると、そういうものは調べたことがないということを言われました。国の保険行政を主管するところの主管課長が、こうした大きな問題しかも火災保険料率その他についても、十分均衡をとる必要のある問題に対して調査してないというのは、私はいけないことだろうと思う。なお保険課長さんの説明におきまして、加入者の少ないことによるコストの増加という問題に関連いたしまして、地方公共団体が連合して実施する場合におきましては、そういう問題が解決できるのじやないか、加入率も多くなるのじやないかというようなことから、まじめな研究をして進めているのであります。しかるにかかわらず、そういうような地方行政委員会質問が、銀行国営とかあるいは保険事業の国営とかに関連するものであるかのごとくに予断せられまして、民営か国営かというようなことで比較論を答弁せられましたり、どうも地方行政委員会がまじめに研究している方向を、大蔵省の万では了解しておられないように思うのであります。お忙しいことはきわめてお忙しいであろうと思いますけれども保険課長からなお十分この地方行政委員会の空気を上司にもお伝え下さいまして、大蔵省としての確固たる考えをまとめて御答弁願いたいと思います。本日の地方行政委員会におきましてはこの質疑を打切りまして、次会において十分責任ある御回答をいただきたいと思つております。
  46. 門司亮

    門司委員 私ちよつと資料を頼んでおきます。先ほど申しましたように建築に対する家屋の焼失数の比例。これを間違いのない数字を次の会までに出していただきたい。これは消防本部でもわかると思いますが、もしおわかりにならなかつたら建設省との間で御調査を願いたい。次に大蔵省にお願いいたしますのは焼失した家屋のうち保険をつけたものはどのくらいか、これの間違いのない新らしい数字を出しておいてもらいたい。さらにもう一つは、現在やつております保険会社の中で、一番高い保険料率はどこであるか。それからもう一つは各保険会社保険につけておりますものの分布状態がおわかりになればお出し願いたいと思う。たとえば東京火災はどの辺を主として、どこがどういうようになつているとか、これは大体わかると思いますが、これだけお願いしておきたい。なお自お庁の諸君がきようは来ておりませんが、お願いしておきたいことは、もしできれば日本のどこでもよろしゆうございますから、一つの県の中で市町村別に火災保険に入つております状態がどういう率になつているか、この状態を一応知りたいと思います。これは都市と農村との関係を見ておきたいと思いますので、もしわかればそういう資料を出していただきたい。これを要求しておきます。
  47. 床次徳二

    ○床次委員 なおこの機会に大蔵省に研究をお願いしておきたいと思いますことは、火災保険会社の運営につきまして、できる限り消防に協力するという立場から、今後消防施設を相当拡充いたしますが、この拡充に対しましては、あるいは将来起債等によつて拡充することが最も適切ではないか。その場合の起債財源として、保険会社自体が公募に応ずるという方法も必要じやないかと思う。この点はほかの事業と違い保険会社であります以上は、消防施設起債に対しまして、特別の便宜をはかるということは必要ではないかと思いますが、こういうことに対しまして将来道を開いたらどうか。ひとつ大蔵省自体御研究していただきたいと思います。
  48. 中井一夫

    中井委員長 河野銀行局長に対する御質問は、本日はこの程度で一応打切ることにいたします。  戸塚建設大臣が御出席になりましたから、建設大臣に対する質疑を開始いたします。
  49. 門司亮

    門司委員 建設大臣は、この前委員会で、九州地方の被害状況を御報告なすつたことは私ども承知いたしておりますが、今度の被害は普通の被害と非常に形をかえておりまして、かなり深刻なるものがあるかと思います。従つて地方財政にかなり大きな致命的といつていいほど、場所によつては打撃を受けていると思います。これらに対してはもとより自治庁の方で、財政的の処置その他はすると思いますが、しかしそれの基礎になるものは、やはり建設省がいろいろな問題をされることが非常に多いと思います。従つて今後の罹災地に対しては、政府の方としては非常にやりにくいことでございましようが、たとえば学校の問題は文部省がやるとか、あるいはその他の土木関係については建設省がやる、それからさらに行政関係については自治庁がやるとかいうことであつては、私は急速に行かないと考えておりますが、この点について大臣のお考えとしてそれでいいものかどうか。たとえば学校の問題にいたしましても、倒壊している修理の復旧が、往々にして文部省関係であつて、文部省の予算から出され、文部省が仕事をするということになり、地方の自治体に参りますと、仕事は全部一まとめに下の方でするが、上の方は幾つかにわかれていて仕事をされている。従つてその仕事が今日スムースに行かないという危険を持つていたのでありますが、こういう大きな災害に対しては、これを何とか一本化してやることのために、政府としてどういうお考えをお持ちになつているか。今もしおわかりでしたらお聞かせ願いたい。
  50. 戸塚九一郎

    ○戸塚国務大臣 今回の災害が異常なものであつて、従来の扱いと考え方をかえてやらなければならぬ点も、だんだんあるだろうと思います。政府としては御承知のように現地にもまた中央にも、各関係省と連絡をとるために、またそうしたような取扱いについて十分緊密な連絡ができるようにということで、また事を早く運ぶというようなことも考えまして、対策本部を設けております。お話の点については特に対策本部で連絡を密にしてやるように考えて行きたいと思います。
  51. 藤田義光

    ○藤田委員 消防に関連してお伺いしたいと思いますが、その前に門司委員から災害問題が出ましたから、それについて私も簡単にお伺いしたいと思うのであります。まず第一点は対策本部がでまましていろいろと手が打たれております。ところが私が最も不満に思いますのは、通信連絡が途絶えました、たとえば国立公園の阿蘇地区内のごときは長陽村という村におきまして、百数十名の部落が全滅しております。一人も生きた者がないという、さんたんたる状況であります。そのほかに国家警察はやられ、あるいは山津波が七箇所に起きているという最も悲惨な地区に関しましては、何ら関係方面から発表もなければ何もない。せつかく建設大臣行かれましたが、現地の状況を、せめてアメリカの軍用機で視察してもらいたいというのが、地元の熱望であつたようでございますが、結局熊本県におきましては、熊本市だけが取残されている。現在阿蘇十五万の土地の人々は、毎年約十五万石の米を供出いたしております。しかも国家に対する税金を相当多額負担して、おそらく税金の問題等に対する不平も一回もなかつたのでありますが、今回の未曽有の災害に関する国家の冷たいしうちに、非常な不平を含んだ電報が毎日のように来ておりまして、私は思想的にも相当憂慮している一人であります。これらの極端な被害地に対しまして、実は昭和二十五年単年度だけで中止になりまして地元の負担能力の全然ない、被害が昔の予算の数十倍というようなところに対しましてシヤウプ博士が勧告いたしたことがありますが、災害復旧費の全額国庫負担という特例を、この際ぜひとも実施すべきである。いろいろ政府計画されましても、要は地元負担が全部前提になつておりまして、これでは地元の救済に全然ならぬと思います。私はこの際こそ文教施設、土木、耕地関係災害復旧に関しましては国家の親心を示しまして、前例もあることでありますから、災害復旧費の全額国庫負担、これを特例として、あるパーセントを引きましてもけつこうでございますが、極端な災害地に適用する、発動する、こういうことをぜひともやつてもらいたいと思いますが、この際何かこの点に関しまして——実は政府の有力な方々とも二、三相談しまして、私の意見として持つておりますが、どういうふうにお考えでございますが、お伺いしておきたいと思います。
  52. 戸塚九一郎

    ○戸塚国務大臣 阿蘇地帯に冷淡であるというお話でありますが、実はまだ私が行つておりました時分にも通信も連絡もできない、私は熊本市に飛行機で行つてあの付近を見て来た、時間ももちろん関係しますけれども精一ぱいであつて、県としてはもちろん阿蘇のことは話をしておりました。だがまだ実際の状況をつまびらかにしない、これは僻遠の地であるし、やむを得ないことじやないかと考えます。その後もう本日ごろには、もちろん十分連絡もできておることと思いますけれども、私が帰つて参りました七月一日程度では、阿蘇のみではなく各地ともまだ通信も連絡もできないところが多かつたのでありますから、ただちに阿蘇にまだ入らなかつたということについて御非難を受けても、ちよつと無理じやないかと思います。お話の意味はよく了解いたします。  それからなおそういう意味で、現地にもただいま申し上げましたように災害本部を設けて、なるべく緊急の措置を誤らないようにという趣旨でやつておるのでありますから、その方で適当に処置はして行くだろう、かように考えます。災害復旧の特例等に関しては前例も考えましようし、事態の実相を明らかにした上で私どもの方でも考えたい、こういうふうに思います。
  53. 藤田義光

    ○藤田委員 実はこれは選挙区の関係で、こういうことを申し上げては恐縮でありますが、全国十九の総合開発特定地区の一つであります国家的な大事業を待つておる地区として、むしろ熊本市よりもこういう総合開発地区に対しまして、建設大臣として特に力を入れて、地上からの視察が不可能ならば、せめて飛行機ででも視察していただくという親心を実はほしかつたのでありまして、随行のある政務次官には徹底的に抗議を申入れたような次第でございます。それで政党的な問題を、こういうところにからませることは非常に危険でありますので、私は地区に対しましては現在政局を担当せる政党と一体になつて、すべての手を打つておるつもりであります。ただ今特例に関しましても御研究のようでありますか、本年度の土木予算でたとえば道路、橋梁あるいは砂防工事等に対しまして、予算の査定は一応終つております。これは災害前のもので、災害を予想せざる査定でありますが、こういう査定がありましたものの取扱いは、今後どうなるかというようなことも、各地元の自治体の財政運用上非常に大きな関心事になつておると考えております。交付金とか起債問題は、ほかの所管大臣にお伺いしますが、この点に関しましていわゆる災害を予想せざるこの地区に対する土木建設予算の査定の内定したものを、今後どう処理されますか。何か方針があればお伺いしておきたいと思います。
  54. 戸塚九一郎

    ○戸塚国務大臣 御質問の趣旨をあるいは私が取違えているかしれませんが、従来の復旧その他についての査定が、今回の災害と加わつて来てどうなるか、こういうような意味に考えてよろしゆうございますれば、今回の災害についてはもちろん今後調査をして考える。しかし前のどういうふうな意味でありますかしらぬが、それを実施することはもちろん当然のことでありまして、今回のものにつつくるめるというように考えていいだろうと思います。
  55. 藤田義光

    ○藤田委員 実は新聞報道だけの資料でございますが、熊本地区の被害は七百億、福岡地区は約五百億、今後激増するだろうと思います。ところが大蔵省のつなぎ資金の融資額を見ますると、福岡県が五億で熊本県はわずか一億八千万、こういう問題に関しまして、私も数日の短期間現地を見て帰つて来て、徹底的にその真相を究明したいと思います。どういう基準で福岡県と熊本県のをきめられたか、しかも被害の実相は熊本県が相当広範囲に深刻な被害を受けているのに、つなぎ融資に関しましては福岡が数倍する割当をまず受けております。こういう事態で今後推移するとなれば、私は熊本県二百万の県民がおそらく相当いろいろな憂慮すべき事態を惹起することがこの際予想されるのでありますが、つなぎ融資金額の査定に関しまして、被害額と相応せざる内定をされましたいきさつ、これは建設大臣は留守でございましたから御承知ないかしれませんが、御存じでありましたらお知らせ願いたいと思います。
  56. 戸塚九一郎

    ○戸塚国務大臣 つなぎ資金の割当が均衡を失しやしないかということでございます。これは私はその割当をしたことはございませんでした。しかし今度の災害というものの損害の額でありますが、これも今福岡が五百億、熊本が七百億と称せられても、今後の実際の調査から行つてどうなるかということはわからぬと思います。それからまたつなぎ資金は本会議上において御説明申し上げたときにも、とりあえずということで申し上げたつもりでございます。私は今回の復旧ということが急を要する、わかつたところはすぐ早くやつた方が一番いい、こういう災害に対する措置というものは、荏苒日を遅らせることが最もいけないのだ、わかつたところをやる、こういうような気持でありましたから、割当がどちらであろうと、それはわかつたところを合計したという感じで受取つて行きたいと思う。しかしただいまお話もありましたように、現地ではその後あるいは多少だんだん明瞭になつて来たじやないかと思いますが、その割当は中央でしたのではなくて、現地で直接やりたいから、あれは御破算にしてくれというような照会がありまして、たしかただいまそういうふうに運んでいるはずであります。なお今申し上げたように、急を要するものをやつて行くという建前から、第二次のつなぎ資金の要請が、たしか昨日電報で来ているようであります。どういうふうにきまりますか、要するに今後の考え方はわかつたところで急を要するところ、一番必要なところ、早く言えば国道なら国道の幹線を直す、橋を早くかけかえる、あるいはまた堤防を早くということ——次のことを考えなければなりませんから、そういう点を、とにかく今後復旧のための資材の送り方ということも考え、また今後の農作というものも考えて、一番必要なところをまず早くやろうというのが建前でありますから、今のところどちらの割がどうだとかいうような考えにはなつていただかない方がいいのではないか、こういうふうに考えます。
  57. 藤田義光

    ○藤田委員 私は本部の構成に関しても非常に不満であります。これは昔の内務省の美点の一つでありますが、災害に関しましては内務大臣が全責任を持つてつておりました。むしろ現在の農林省の農地局は、即時建設省に合併すべきであるという持論を持つておる一人であります。この際におきまして、国務大臣が現地の最高責任者になつたり、あるいは東京の本部の責任者になるということは絶対まずいやり方ではないか。むしろ建設大臣が名実ともに再建の最高責任者になりまして、建設大臣のもとに各省の担当者を集合して、本部をつくるべきであつたと思う。これはできてしまつておりますが、でき得べくんばこの国会中に、現地の責任者等ももう一回考え直す必要があるのではないか。閑職の大臣を当てるというような安易な気持で、この深刻な災害対策をやるべきではない。建設大臣には仕事が多くて気の毒でありますが、全責任を持つてつていただきたい。特に福岡県知事等もやられまして、現地の情勢も最もよく知つておられ、知事として長年現地を研究されておる建設大臣が在任されておりますから、この点は私たちの党の立場として、本部の再構成に対しまして強硬に要求したいと考えておる一人であります。この点に関しましては該当大臣でありますから御答弁はいただきません。災害の問題についていろいろお聞きしたいのでありますけれども、本日出て来られました趣旨が違うようでありますから、私は次に消防の問題に関して簡単にお伺いしたいと思います。  昭和二十六年から貯水槽その他に対して国の補助金が出るようになつております。これが従来国家消防本部におきまして各自治体に対する配分を決定いたしまして、実際の出納の面は建設省の計画局で担当しておりましたので、行政の運営上非常に不便でありますと同時に、変態的な処理をされておりました。この際内政行政に詳しい建設大臣を迎えておりますので、私はやはり国家消防本部という政府機関が厳存しておる限りにおきましては、これを計画局から分離して運用した方が、行政能率上最も適当ではないか、かように考えておりまして、本日大臣の御出席を願つたわけでございます。金額はわずかでございますが、国家消防本部としては重要な費目でありますので、この際大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  58. 戸塚九一郎

    ○戸塚国務大臣 都市の水槽のお話でありますが、これはつい先ほど私も聞いただけのことでありますが、しかし従来の扱いは都市計画の一環として扱われておつたものだこういうふうに考えます。しかし消防本部の機能をだんたん発揮する意味から、ただいまお話のようにこの予算の転換をするということも一向さしつかえない。ただ現在は従来通りの予算になつておりまするので、本年度についてはいかがかと思いますけれども、お考えはまことにごもつともと思います。私ども事務的に考えてもこれはさしつかえないことだ、かように考えております。決してこだわる気持は持つておりません。ただ予算のことでありまするから、一応大蔵省の方にも意向を聞いてみた方がいいんじやないかというくらいに気がついたわけであります。
  59. 藤田義光

    ○藤田委員 そこでお伺いしたいのは、この機会に国家消防本部の予算の分離運用の問題に関連いたしまして伺いたいと思います。それから土木事業で最も重大なことは、地方自治体の地元負担であります。地方財政の問題が常に関連して来る問題であります。私はこの機構問題に関連してお伺いすることは少し早過ぎると思いまするが、この際建設省に地方財政責任官庁である自治庁あるいは国家消防本部等を吸収することが一応の案として考えられるのではないか。行政運営上最も能率を上げるためには、こういう分離運用の小さい問題から考えましても、ぜひともこれは一つの省に集約してやつた方が、国家的にも非常にプラスになるのではないか、かように考えておりますが、自治庁あるいは国家消防本部という、官庁の濫立を防ぐ意味におきまして、この際建設省を、あるいは内政的な役所にしまして、たとえば災害等の場合には、一貫した運営ができるというふうにすることは、非常に国家的にプラスになるのではないかというような感じがいたします。私も十分研究はいたしておりませんが、この点に対しまして長年内政方面をやつておられます建設大臣としてお考えがありましたら、お伺いいたしておきたいと思います。
  60. 戸塚九一郎

    ○戸塚国務大臣 自治庁あるいは消防本部を建設省と一緒にするということは、私もただいま初めて伺つたことでありまして、はたしてそういうふうな制度の改革がいいかどうか、ちよつと考えさせられる点があります。しかし私は自分の考えとしては、機構の改革が今後の日本の行政に相当大きな役割を持つて行くのではないかということは考えております。しかし今お話の自治庁とか、消防本部とかを具体的にどうとかいう意味ではないのであります。もう少し私は研究、検討をいたしたい。ことにこういうデリケートな問題は、あまりいいかげんなことを言いふらすということはいいことでないと思いますので、その問題についてはもう少し研究、検討をいたしたいと思います。ただ地方行政との関係では地方の負担、ことに災害等に対する負担などの関係もありましたので、なるほど御心配はごもつともだと思いますが、これは一つは地方制度の改正ということが大きく役立つものでありますので、そういうような関係をもあわせ考慮して行きたい、かように考えております。
  61. 中井一夫

    中井委員長 他の委員の方からは御質問はございませんか。——それでは戸塚建設大臣に対する質疑は一応これをもつて打切ります。     —————————————
  62. 中井一夫

    中井委員長 なおあらためて消防に関する問題について質疑を始めます。北山君。
  63. 北山愛郎

    北山委員 前にも申し上げました通り、今地方の消防施設で、一番拡充しなければならぬ重点は水利、それから消防機構間における通信施設の問題だと思うのです。もちろん機械化ということも必要でございますが、やはり水利、それから消防団、あるいは消防署間の通信連絡の施設そういうふうに私は考えております。ところが本年度の、この法律に基いた国庫補助の予算案を見ますると、消防ポンプ自動車、火災報知機、こういう二種類に立案されておるわけであります。それで貯水槽の問題、消防水利については別に取扱うといたしましても、この消防団、あるいは消防署等の通信連絡の施設を、本年度も補助の対象に入れていただく必要があるのじやないか、私はそう思つているのですが、そういうような運用が、この法律ができ上つた場合に、本年度においてもでき得るかどうか、その点をお伺いします。
  64. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 関連して。ただいまの問題は消防施設強化促進法を審議する上において、実質的な重要な面をなすだろうと思います。私も現在の日本の消防において、一番急を要するものは水利と通信だろうと思います。そのほかに門司委員が始終唱道しておりますごとく、消防機関の近代化というか、あるいは共同化というか、そういうものの促進であります。個々の市町村消防経営することの問題については、社会経済の状態から見まして、今少し無理がある。究極におきましては、常備消防団の調整に関する問題にも第三の問題は関連いたします。しかしながらまずとりあえずこの水利と通信の問題はどうしても解決しなければなりませんので、補助の対象になります施設を政令できめることになつておりますが、その政令でどういうことをきめるかということを、あらかじめ文書をもつてお示しいただきたい。その際にはただいま御指摘になられましたごとく、ポンプと市街地における火災報知機以外に、必要な水利施設、たとえば都市計画を実施していない地域における防火用の貯水槽等も、当然助成の対策になるべきものだと考えます。僻陬の地にありまして、海岸の漁村部落、東からも西からも、その海岸の密集漁村に参りますのに三キロも四キロも離れておつて、しかも密集しているというような場所においては、都市計画の施行地域になつておりませんでも、そこに若干の防火用貯水槽がありますことは、致命的な消防の必要を満たすものであります。また同時に消防のポンプがある程度整備いたしておりましても、消防のポンプを操縦して出動しますのに、電話、通信が不十分でございますと、とうてい迅速なる出動ができない。それで火災の同時電話、すなわち消防の出動命令を発する部署から、各消防ポンプの担当者まで電話が、同時に同文で到達するような施設に対する助成、こういうものもきわめて重要なものだろうと思います。なおさらに雪国の場合におきまして、たつた一つ雪の平原、または山野の中に離れて存在しておる部落、あるいはそういう所によくあることですが、分教場がいずれの部落からも遠く離れておるというところにおきまして、これに対しまして雪上を走り得る消防のスクーターないし自動車、そうしたようなものが、きわめて必要度の高い場合があるのです。これは今まで日本の消防におきまして、置き忘れられておつた一つの大きなブランクになつております。そういう場所に対しても国家の恩恵が、ある場合には及び得るということは、これは積雪の最もはなはだしい地帯に対しても、日本の政治がこれを忘却しておらないのだということにつきましても、国民精神を安定させる上におきまして、非常に重要なことだと考えます。以上のようなことを政令をきめなさる上におきまして、十分御考慮をしていただいて、そうして次の委員会におきまして、補助対象になる施設の案をお示しいただきますことをお願いいたします。
  65. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 まず先ほどの北山委員の御質問お答え申し上げます。お説のように消防にとりまして最も急を要する場合に、通信施設を充実するということが先決問題になつて参るわけであります。消防の三要素といいますか、消防ポンプ機械はもちろんでありますが、水利と通信というものが非常に大きな悩みとなつておるということは、私もよく存じております。この点を今後急速に強化して参らなければならぬと存じております。しかしながら本年度におきましては、金額も御承知のように、はなはだわすかでございます。また初めてのことではありますし、要望が非常に多いわけでありまして、町村方面におきましては、連絡用の電話施設等を設けることは、はなはだ必要であると存じますが、初年度はむずかしいと考えられれば、次年度あたりから始めたらどうか、これは予算措置も十分講じまして、ぜひやつてみたいと存じております。  それからただいまの加藤委員の御質問でございますが、政令でこの補助の対象となりますものを明らかにするわけでありますが、これは腹案でございますので、政令に書かんとする腹案は次の機会にお示ししたいと存じます。都市計画施行地以外の比較的不便なところでも、非常に防火用貯水槽がいるんだ、あるいは消防署、あるいは消防団等におきまして、一斉指令のための電話施設、あるいは雪国等におきます雪上ポンプといいますか、雪上機械、そういつたものが非常に要望されておるということもよく承知しておりますが、ただ初年度からこれをただちに盛り込むということは、予算の内容から見ましてもう少上検討を要するのではないか、ただいまの御意見は十分拝聴いたしまして、一応腹案を次の委員会にお示しすることにいたします。
  66. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 私国家消防本部長の御答弁をお聞きしますと、どうもその論旨につきまして、いつでも疑問に思うのでございますが、この水利と通信が他の消防施設よりも優先的に考慮される必要があるということをお認めになつておられる以上は、ポンプ重点主義の補助対象ということをおきめになるのに、若干反省をしなければならぬということを、その御回答の中に含んでいるものだと思つているのです。そうでなければ、それは当然北山委員や加藤委員の言うのはあまりよろしくない、目下のところはポンプを主として助成するということが急務だ、ポンプの不足が致命的なんだ、そういうふうに率直に反対をされたらいいと思うのです。しかるにもかかわらず、水利と通信が他の施設に若干優先して必要なんだということはお認めになつておるのです。ごく少数の市街地の火災報知機だけでもつて通信の方がきまるわけでもないのです。それからポンプ以外の防火用貯水槽というものは、たまたま都市計画施設としてあるといつても、この都市計画の施行地は、どつちかといえば、地方財源の豊富なところが多い。大体恵まれない僻陬の山村とか、僻陬の漁村とかいうものは、国家消防本部長の頭の中にあまりないのじやないかという感じを、今の御答弁では受けるのです。そういうところをもうちよつと親切に、また正直に御答弁いただきたいと思います。  もう一回お尋ねいたしますが、現在の消防施設で第一番目に欠陥とされているところは、水利に関する問題と通信に関する問題ではないかと思うが、それについて消防本部長さんの御意見はどうか。もう一回念を押してお尋ねいたします。
  67. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 お答えいたします。概念的、一般的には、この三者がほんとうに調和して行くところに、消防力の総合的な力が発揮されるのだと思います。ただ具体的には、市町村の様相によつて、水利は豊富だが、それに即応するポンプがなお十分ではないとか、ポンプの数はあるが、非常に老朽していて役に立たないということで、まずポンプを要請するというところもありましようし、ポンプは相当そろつておるが、それに即応する水が十分でないというところもありましよう。そういうこと通信についてもいろいろ言えると思うのであります。一概に水利をあとにしてポンプのみで行くのだというふうには、具体的な市町村の要望あるいは実情から申しまして、きまらぬのじやないか。しかしながら従来の各市町村消防機関等の情勢から見まして、あるいは予算が最初の年でもあるという関係からいたしまして、まずポンプを今度は相当認める、そして予算の内容を豊富にいたしまして、この三者を総合的に整備する意味におきまして、調和を考えながらやつて行く。決して水利や通信を非常に弱く見ているのだということはないのでありまして、先ほど申しましたような点を考えながら、この三者を調和して参りたいと考えております。
  68. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 とにかく三者の調和を考えるということでございましたら、政府の方でもひとつその誠意を示していただきたい。ポンプは比較的十分であるが水利がごく悪いという場合、都市計画地域内はこれの調整の道があるからつり合い上よいとして、都市計画区域外の山間僻地の他より非常に離隔した僻遠の地にある密集部落に対しては、この助成でもつて防火用貯水槽の整備ができるようにしていただきたい。そうしなければ三者を並行調和して施設するということにならないと思います。ばかの一つ覚えのようにポンプだけではいけない。これは地方の実際を見た上からいつてもそれを要求したい。これはポンプの補助火災報知機の補助だけに限れば事務はきわめて簡単、報告さえとれば机上でもできるかもしれないが、消防本部はわが国の国内消防の全般を統割する役所として重大な責任を持つておるのですから、この点は十分研究していただき、地方に行かれましても、そういうふうな僻陬なところの消防状態等も御視察くださいまして、地元民の声を聞いてもらいたいと思います。また町村の火災通知の報知機なども、大した金をかけないでも、ポンプを買う経費の三分の一か四分の一くらいの金で、非常に有効な同時報知の施設ができるのです。しかしながら地方財政の非常に困窮しておる折柄、役場の提案に際しましては、何かの誘い水がないと、なかなか議会の承認も得られないような気の毒な立場にあるのです。そういうような実情を十分にお考えになつて、この二億五千万を十分生かして、かゆいところに手が届くようなふうにお使いを願いたい。そうして足りないところは予算の増額要求をしていただきたい。予算の増額要求をする場合におきましても、ポンプや火災報知機だけの項目でなしに、たくさんの項目につきまして、大都市消防等も含めてやればヴアライエテイがあつて、予算を査定する場合におきましても、いろいろ消防の知識を増しながら査定して行くということで、非常によい効果を上げるように思いますので、原案に拘泥することなく、国家消防本部といたしましては、十分な御研究をお願いしたいということを申し上げておきます。
  69. 中井一夫

    中井委員長 午前の審議はこれをもつて終了し、休憩いたします。午後は一時半より続行いたします。     午後零時三十八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた