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塚田国務大臣 ただいま
提出いたしました
地方財政法の一部を
改正する
法律案の提案理由及び
内容の概略を御
説明申し上げます。
終戦後インフレーシヨンの抑制と経済の安定に寄与いたしますため、
地方財政の面においても極度に健全
財政の方針を貫き、
地方公共団体が
地方債をも
つて財源とすることができる場合を強く制限して参
つたのであります。
しかしながら、近来ようやく経済も安定の段階に入
つて参りましたし、他面規模の小さい
団体の多い
地方財政の面においては、公用施設といえ
ども臨時に多額を要する経費を一般
財源でまかなうことを一律に強制することは困難でありますので、一面には
地方債をも
つて財源とすることができる場合を拡張し、他面には
地方債の分量を
増加するとともに
公募債によ
つても、相当の資金を集めることができるようにする必要があるのであります。これがこの
法律案を
提出する理由であります。
以下
内容の概要を御
説明申し上げます。
改正の第一は、
地方公共団体は公用施設の建設事業費の
財源とする場合においても、
地方債を起すことができるものとすることであります。
地方財政法が
制定せられました
昭和二十三年のころは、なお悪性インフレーシヨンの進行しているさ中でありまして、その経済情勢を背景として、健全
財政を確保いたして参りますためには、住民一般の使用する公共施設の建設については、
地方債をも
つてその
財源とすることを認めても、行政全体の直接の用に供する公用施設は、
地方債をも
つてその建設費に充てることは認めないのも、やむを得ないとされたのであります。しかしながら、これらの規定が実施されて四年有余を経た今日、経済情勢も大いに異な
つて参りましたので、臨時に多額を要する経費について、
年度間の調整をはかろうとする
地方債の本来の機能を発揮せしめて、公共施設のみでなく、公用施設の建設についても、
地方債をも
つてその
財源とすることを認めるのが適当ではないかと
考えられるに至
つたのであります。
改正の第二は、
公募債を中心として
地方債に関する規定を整備しようとするものであります。
地方債は従来そのほとんど全部を
政府資金によ
つてまかなわれ、民間資金を募集するいわゆる公募は、ほとんど行われなか
つたのでありますが、
昭和二十八
年度においては、
地方財政計画上百八十億円の公募資金を予定しているのであります。これらの
地方債を育成し、その信用を高めるためには規定を整える必要があるのであります。
その一は、公共施設または公用施設を建設するために起した
地方債の償還年限は、当該施設の耐用年数を越えないようにしなければならないものとすることであります。償還年限を耐用年数以上に延長いたしますと、当該
地方債によ
つて建設した施設が老朽し、再建のため再び資金を借り入れなければならない際、いまだ旧債が償還されていないということにな
つて、いたずらに債務が加重して参るのであります。その結果は、
財政を健全な基盤の上で
運営することができなくな
つて、
地方債償還についての信用をも損するに至るおそれがあるからであります。その二は、証券発行の
方法による
地方債の発行及び償還について、技術的な事項を政令で規定するものとするほか、この種の
地方債について割引発行及び抽籤償還をすることができる旨の規定を設けることであります。その三は、証券発行による
地方債について商法の社債に関する規定の一部を準用することであります。証券による
地方債について、公衆の保護をはかる必要がありますため、募集の委託を又けた、いわゆる受託会社の権限及び義務について、商法の規定の一部を準用し、一面には、
地方債権者のために、
地方債の償還を受けるに必要な一切の裁判上または裁判外の行為をなす権限を保障することにより、受託会社が、
地方債権者にかわ
つて適切な行為を行うことができるものとし、他面には受託会社が
地方債の償還を受けた場合は、遅滞なくその旨を公告するものとするほか、受託会社が二以上あるときは、
地方債権者に対し、連帯して償還額の支払いをなす義務を負うものとしたのであります。
その四は、資金調達を容易ならしめるために、
地方公共団体が一部事務組合を設けて起す
地方債については、当該組合と当該組合を組織する
地方公共団体とが連帯してその償還及び利息の支払いをなす責に任ずるものとすることであります。
その他に、個人に対する
市町村民税の所得割について、標準税率とみなすべき場合の税率の算定
方法を規定し、
地方公営企業法の施行により、不必要と
なつた規定を削除する等必要な規定の整備を行
つております。
以上
地方財政法の一部を
改正する
法律案の概要を御
説明いたしたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されんことをお願いいたす次第であります。
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