運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-05-30 第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年五月三十日(土曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 富田 健治君    理事 灘尾 弘吉君 理事 床次 徳二君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君       田中伊三次君    前尾繁三郎君       山本 友一君    吉田 重延君       橋本 清吉君    藤田 義光君       北山 愛郎君    滝井 義高君       横路 節雄君    伊瀬幸太郎君       大石ヨシエ君    大矢 省三君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      武岡 憲一君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)       後藤 博君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月二十九日  委員青柳一郎君辞任につき、その補欠として灘  尾弘吉君が議長の指名で委員に選任された。 同月三十日  理事青柳一郎君の補欠として灘尾弘吉君が理事  に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  地方財政に関する件     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議開きます。  初めにお諮りしたいことがございます。それは、理事青柳一郎君が委員を辞任せられましたので、その補欠として灘尾弘吉君が御就任になりました。つきましては、理事補欠を必要とすることになつたのでございますが、理事の選任につきましては、投票の煩を省いて、委員長が指名することをお許しをいただきたいと思いますが、御意見はいかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中井一夫

    中井委員長 異議なしと認めます。さようにとりはからいます。すなわち、青柳一郎君の補欠といたしまして、灘尾弘吉君に理事を煩わすことにいたします。     —————————————
  4. 中井一夫

    中井委員長 これよりきのうに引続きまして、地方財政に関する件について、調査を進めることといたします。まずお手元に配付をいたしました資料につきまして、政府より説明を聴取し、そのあとで質疑を進めたいと存じます。武岡政府委員
  5. 武岡憲一

    武岡政府委員 お手元にお配り申し上げました資料につきまして御説明を申し上げます。これは昨日の当委員会の御要求によりまして作成をいたしたものでございますが、上の方の表からまず御説明を申し上げます。  この表は、都道府県及び市から提出されました資料に基きまして、昭和二十七年度決算見込額を一応推計したものでございます。ただこの資料の中で、町村分に関しますものにつきましては、ただいまのところへまだ資料としてお示しするようなものがございませんし、実は関係団体の方にも照会をいたしましたけれども資料がございませんので、省略をいたしてございますから、あらかじめ御了承願いたいと思います。  この表の左の方の欄でございますが、昭和二十七年十二月末現在の決算見込みとございまするのは、昨年の十二月末現在で各地方団体から、本年度末の決算見込みとして報告のございました数字をそのまま集計をいたしたものでございます。すなわち、都道府県のものは、歳入におきまして四千五百九億二千九百万、それに対しまして、歳出が四千九百九十五億二千二百万、差引四百八十五億九千三百万の歳入不足、こういう数字に相なつております。五大都市も同じく歳入歳出差引をいたしますると、六十四億三千二百万の歳入不足でございまするし、その他の一般市でございますが、これは東京の二十三区は入つておりません。その他の各市の分といたしまして、歳入不足分が百八十五億二千六百万、これを合計いたしますると、七百三十五億五千二百万の歳入不足額見込額、こういう数字に相なつてつたのでございます。これに対しまして、その後本年に入りましてから、すなわち十二月末以降、地方団体の方に追加せられました財源が、特別交付金及び起債の未配分——この地方債の中には、年度末にいわゆる特別融資を行いました分も入つておるのでありますが、それらによりまして、地方に新たにこれだけの財源が追加されたわけでございます。すなわち特別交付金におきましては、府県と市を合せまして八十七億一千六百万ばかり、地方債におきましては七十八億二千六百万、これだけが追加せられておりまして、結局これらのものを追加財源として差引をいたしますると、最終的には、この推計からいたしますと、都道府県は三百六十五億一千六百万の赤字、それから五大市は、四十九億七千六百万円、市におきましては百五十五億一千七百万円、合せまして約五百七十億一千万円程度歳入不足になるのではないか、かような一応の推計数字になつておるのでございます。  それから次の表でありますが、これは昭和二十六年度決算見込額数字でございましてこれはさきに国会に提出をいたしました地方財政状況報告などの中にあります数字を抽出して表にしたものでございます。これによりますと、二十六年度地方団体決算見込みは、都道府県におきましては、歳入歳出差引が百七十七億九千万円、五大市におきまして二億三千三百万円、市におきまして赤字が八億九千六百万円、町村歳入残が六十五億五千万円、特別区が九億七千九百万円、以上合計いたしまして二百四十六億五十六百万円というものが歳計剰余金になつておるのでございます。この中かり翌年度に繰越しました事業に充当すべき財源、これを各団体別に調べてみますと、合計百八十二億二千七百万円となつておりますので、これをそれぞれから差引きますと、純剰余金都道府県におきまして六十四億九千八百万円、五大市赤字が七億六百万円、市は同じく赤字が三十九億八千九百万円、町村におきましては、純剰余金が四十二億円、特別区におきまして四億二千七百万円、合せまして、結局差引をいたしますと六十四億二千九百万円、これが純剰余金という数字に相なつておるのでございます。表の説明は簡単でありますが、一応これで終ります。
  6. 中井一夫

    中井委員長 質疑通告がございますから、通告順によつて質疑を進めることにいたします。床次徳二君。
  7. 床次徳二

    床次委員 大臣がおいでになつてかり根本的な御答弁をいただきたいと思いますが、あらかじめ伺つておきたいと思います。ただいまの御説明にありましたごとく、昨年度におきましては、地方団体財政上非常に窮迫に陥つてつたことは一目瞭然であります。しかもこの問題は多年の累積でありまして、その解決には非常に骨を折らなければならぬことはわれわれもすでに承知しておるところでありますし、また政府にもたびたび要望しておつたのであります。政府も今日までいろいろと努力されたことは認めておるのでございます。しかしながらなおこの数字に示されたごとく、大きな赤字を持つておるということは、今日の日本の経済界財政面から見まして容易ならぬ問題だと思うのです。特にこの表におきましては、町村に対する赤字がまだ計上してございません。町村のを加えまするとさらに大きなものになるだろうということは予想されるのでありますが、今回予算が不成立のために暫定予算が組織されました。この暫定予算で推移したという影響は、地方団体に悪影響が最も大きかつたと私どもは見ておるのであります。国の方におきましては、とにかく暫定予算によりまして一応のつじつまは合つて進行するのでありますが、市町村事業がずれ、なお従来から赤字を持つておりまするために、その窮迫の度がひどくなつたということを私ども推測しておる次第であります。なお本年度におきましては相当多額の公募公債等も予想されておるのでありまするが、今日の経済状態から申しますと、はたして予定通り公募公債が公募し得られるかどうかということにつきましても、疑問なきを得ないのでありまして、この際政府におきましては、相当根本的にこの赤字対策を立てられることが必要だと思うのです。事務当局におきましては今日この対策をいかにされるか。過般来予算総会等におきまして、すでに質疑が一部行われておるようでありまするが、根本的な地方財政全体からの数字を見ましての議論にはまだ及んでおらなかつたように見受けるのでありまして、この機会に全体的の立場から政府の所信を伺いたいと思う次第であります。なお町村赤字というものが予想されておりまするが、町村を加えた場合にはどのくらいの赤字になるかということを伺いたいのであります。  なお重ねてお伺いいたしたいのは、一応この赤字決算赤字でありまするが、ほんとうの赤字というものがなお隠されておる、ということは、過般の委員会におきましても調査を要望せられたところでありまして、本日かかる意味におけるところの町村財政上の赤字というものに対しまして、すでに大体の御調査ができておりまするならば、この数字のお示しを願いたいと思う次第でございます。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方団体赤字の問題をお尋ねでございますが、ただいま財政部長から御説明申し上げましたよう数字を一応用意いたしたわけでございまするが、これは何分昨年の十二月末現在の見込みのものを基礎にいたしましたもので、その後の財源措置をただ機械的に引いただけのものでございますので、今日の状態で二十七年度決算、いわゆる出納閉鎖が五月三十一日でございますから、そこが最終的にきまつて参りませんと、最後の締めにおいてどういうかつこうになりまするか、これはちよつとまだ見当がつかないのであります。ただ一般的に申しまして、確かに地方状況は苦しくなつて来ておる。ことに今回は暫定予算関係等もございまして、きゆうくつなものになつて来ておるということは、疑い得ない事実であろうと思うのであります。どの程度赤字があるかということは、なおわれわれも検討を要する問題でありまして、ここで今的確なことを申し上げるだけの資料がまだ集まつていないのでございますが、この解決はやはり根本的な解決をいたしませんと困難ではないかというふうに考えておるのであります。御承知ように、地方制度調査会審議がだんだんと進んでおりますが、これをできるだけ急いでもらいまして、地方制度改革の基本的な問題とともに、当面の問題につきましても、やはり地方制度調査会におきまして、この赤字対策の問題などを含めまして、暫定的なものとしても答申をもらいまして、それらのものを政府としては基礎にいたしまして、できれば二十九年度通常予算編成の際にはさようなものを盛り込んで、予算的にもまた制度的にも解決の緒を得たいというふうに考えておるのであります。方向といたしましては、私どももとより都道府県市町村の自主的な固有の財源すなわち税源を強化拡充する、ことに偏在度のないものを拡充するという根本的な方針については強く希望いたしておるのでございますが、それらの点につきましても調査会の結論をまちたいというふうに考えておる次第でございます。
  9. 床次徳二

    床次委員 具体的の数字に対しましては、まだ御調査がまとまらぬようでありまするが、大体すでにおわかりになつているという推測のもとに、一、二お尋ねしたいと思うのであります。二十七年度決算見込みに対しまして、二十七年度の当初の財政規模見込額とどれくらいの開きがあつたかということを第一にお尋ねしたい。第二の問題といたしまして、二十八年度予算編成されまする当時におきまして、いかなる見込みのもとにやつておられたか、その見通しと、現在の決算見込額数字と比べましてどれくらいの差ができているか。この点がおわかりになつているだろうと思うのですが、過去のお見込みの当時と現在のこの数字を得られました状態との開きを、大体の数字でけつこうでありまするが、お答えをいただきたいと思います。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 実は提出いたしました資料は昨年の十二月末の数字でございまして、財政計画項目別に、それぞれ具体的にどの経費が幾らという決算のしりを出しましたものが費目別にはないわけであります。そういうわけで、各財政計画費目決算見込みにおける費目との食い違いがどの程度であるかということは、実はまだ的確にできないと思うのであります。税収につきましては、都道府県につきましては大体の報告は徴しておりまするので、これはおおむねの数字は出るのでありまするが、市町村の方の市につきましてはいくらか困難の状況でございます。結局総体につきまして、財政計画とこれがどういうふうに食い違つているかということは概略わかると思いますので、財政部長の方から御説明申し上げます。
  11. 武岡憲一

    武岡政府委員 この一応の推計に現われました数字によりますると、都道府県及び市だけでもつて歳入総額が六千百十五億、歳出で六千八百五十億という数字になつているわけでございますが、実はこれに町村分が入りませんと、全体の規模がわかりませんので、ちよつとそのまま財政計画数字比較するわけに参らぬと思いますか、参考までに二十七年度財政計画数字を申し上げますれば、御承知ようにこれは七千四百三億ということに相なつているわけであります。ただこの決算に出ておりまする数字の中には、各地方団体間の重複分がございますので、ただその総額数字だけを、計画数字決算数字とを比べましても、これはちよつと比較にならないと思うのであります。いずれこの決算に出て参りました数字の中から、そのよう財政計画の対象になつておらぬと申しましようか、重複額等を控除いたしまして、この数字比較いたしますれば、計画に対して実際の運営の実績がどのくらいであつたか、こういう数字が的確に出ると思いますが、その数字検討には若干時日を要します。
  12. 床次徳二

    床次委員 なおお尋ねしたいのですが、ここには大体推計額として五百七十億の赤字が予想されております。これはこの前のお答えによりますと、十二月の推計でありますが、二十八年度予算を計上されるときに、この推計を考慮して計上されておつたかどうかということを伺いたい。その後の状況によつて、さらにその赤字がふえておるかどうかということも大体おわかりだろうと思いまするが、その御推測の大要を伺いたいのです。
  13. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 昨年の十二月末以降の状況につきまして、その後ふえておるかどうかというお尋ねでございますけれども税収等歳入の方から考えますと、道府県税につきましては、八体財政計画数字が入るのではないかというふうに考えております。三月小現在で参りますと、なお百工、三十億の、計画に達しない数字がございますが、これも四月、五月で大体その線に達するのではないか。従つて道府県税につきましては、大体計画通り数字が入つて来るのではないか。市町村税につきましては、結局昨年の数字等基礎にして考えますと、大体これも計画の線には及ぶのではないかと考えております。そうしますと、税収につきましては、結局計画数字を満たすということになろうと思います。その他の起債なり交付金なりは、計画数字になつておるわけでありますから、結局問題は歳出の面にあるのではないかと思うのであります。歳出の面におきましてはやはり給与問題——財政計画給与基礎になつております数字と、実際の地方団体において支給しております給与基礎になつております数字との間には、これは若干の開きがあると考えております。大体二十八年度では二十七年度比較いたしまして、百五十億ぐらいの開きがあるのではないかというふうに考えております。ことに人件費のうちの給与関係経費は、都道府県において比重が多うございまして、都道府県赤字の主たる原因は、その辺にあるのではないかと思います。それから市町村の側におきましては、やはりこれも今的確に数字がつかめないのでありますけれども単独事業、その他のいわゆる事業費が、やはり赤字の主たる原因ではないかというふうに考えられるのであります。これは何と申しましても、戦時中の事業の抑制と、終戦後の資材、資金の枯渇によります、やむを得ざる事業縮小というようなことから、最近において、その重圧が一時にかかつて参りまして、いろいろな老朽のものを改築、新築しなければならぬということやら、また各種の新法令によつて、新しい義務的な施設を設置しなければならぬというようなことで、いわゆる単独事業に属します経費が、市町村財政に非常に大きな重圧を加えておるように思うのであります。これがあるいは財政計画上の数字を相当上まわつておるのではないか。そこらにやはり赤字原因があるのではないかと思うのであります。もちろんそのほかに公共事業費各種補助金、あるいはその他の事業費補助金で、実際の支出額補助単価基本額というものがやはり食い違つておりますから、それらの関係でも事業費の上で、経費支出の面に重圧を加えておるのではないかと思うのであります。そういうふうに大体赤字の主たる原因は、都道府県におきます人件費給与費と、市町村における事業費、これらがやはり主たる原因をなしておると考えられるのであります。各地方団体で二十八年度の繰上げ充用をしなければ二十七年度決算の帳じりが合わない。もちろん事業の繰越しをしたり、支払いの繰延べをしたりしましても、どうしても合わないというようなところが、やはり若干はあろうと思います。二十六年度におきましてもさよう団体で六十三億くらいの繰上げ充用があつたのであります。それらの数字から比較いたしましても、やはりそれを若干上まわるくらいの繰上げ充用団体が出て来るのではないかというよう——これは見通し推測でございますが、大体さように考えております。ここに出ております最終決算見込額の五百七十億という数字事業繰越しも含んでおりますし、また歳入の減、税収の減などを、よほど大きく見ているようにも思われますので、この数字はよほど減つて来るのではないかと考えます。
  14. 床次徳二

    床次委員 この赤字対策に対しまして、さらに大臣が参りましたならばお尋ねいたしたいと思うのであります。  先ほど事務当局のお言葉によりますと、根本的な対策は二十九年度において考慮したいという答弁でありましたが、しかし本年度におきましても幸いにして——あるいは不幸にしてと申すか、まだ本予算が提出されておらない、いずれさらに今後審議を要する立場になつておりますので、二十八年度の本予算におきましても、やはり若干赤字対策に対して考慮すベきではないかと思います。現在の地方財政の窮状を無視したままにしまして、この問題を二十九年度予算まで待たせるということではならぬ。地方は相当窮迫状態に達しておつて、あまり猶予を許すべきでないと思います。できるならば二十八年度においてやはり赤字対策を講ずべきである。すなわち平衡交付金を増額するとか、あるいは起債額を増加するとか、こういう臨時応急の施策がとられてもよいものだと思います。この点につきましては大臣が来られましたら、大臣からお考えを承りたいと思います。私の質問はきようはこれで打切ります。
  15. 中井一夫

    中井委員長 次は横路節雄君。
  16. 横路節雄

    横路委員 ただいまの都道府県及び市より提出された資料に基く昭和二十七年度決算見込額推計赤字なんですが、今鈴木次長から都道府県赤字のおもなるものは人件費給与費であるというお話でありまして、私もそうだと思う。そこでこのままの状態で行けば二十七年度赤字もこの通り、そうすると人件費給与費についてとにかく自治庁でどういうようにか考えなければ、同じよう赤字が累積するわけです。その赤字がこういうように累積した原因は、私が申し上げるまでもなく自治庁が一番よく承知なんで、これは昨年の十一月に補正予算が出ました場合に御承知よう地方公務員については、国家公務員との実態調査をしないで一方的に高いと言つて三百四十八円——今日にすれば一人平均月千円くらい、年間一万二千円からの額が実際には支払つているにかかわらず、平衡交付金で少くやつておられる。この問題が解決されない限りこの赤字の問題は解決しないわけです。この点については今次長からも都道府県赤字人件費給与費であるというので、一体自治庁としてはどうなさるのか、行政整理でもやるというのか、それとも給与準則でもつくつて給与の切下げを敢行するというのか、一体どういうようにしてこの赤字人件費給与費について——このままで行けば当然二十八年度赤字になることはあたりまえなんです。この点に対してどうなさるのか、この点をやはり明らかにしていただきたいと思います。まずそれを第一点にお尋ねいたします。
  17. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この給与費の実際の給与支給額財政計画上の給与算定基礎になつております額との開きの問題でございますが、これは二十六年以来の問題でありまして、実際問題として現在の給与の決定は、御承知のごとく各地方団体がこれを自主的に決定する、こういう建前になつておるわけであります。従つて政府としては、やはり一定の計画基礎にいたしましたものによつてこれを算定して行くほかはない。その算定の際に、昭和二十六年度予算編成の際において、御指摘のように従来の基礎といたしておりましたものを調整して引下げたことは事実であります。そこでその差を詰めることは、政府といたしましては、各地方団体においてでき得る限り行政規模縮小できるものは縮小をする。ひとり人件費にその重圧をかけるということでなく、全体として調整をして、できるだけ財政計画基礎による運営ができるようにしてほしい、こういう一般的の希望を持つてつたわけでありますが、それが必ずしも実現せられてない。実現せられてない理由は、この赤字を詰めることが、地方団体の責任だけで解決できない面が確かにあるわけでございまして、行政規模圧縮につきましても、やはり国の法令に基きまして定められておる事項が非常に多いわけでございますから、そういうようなものとにらみ合せて行かなければ、全体の地方自治行政規模従つて財政規模圧縮ということは困難であります。しかるにそれが従来政府もいろいろ意図をし、計画をいたしたのでございますが、事志違つてなかなか実現していないというようなことが累積して、今日に至つておると思うのであります。そういう意味で、これは給与費だけで問題を解決するということでなく、やはり地方制度全体の問題として、行政規模の問題、従つて財政規模の問題あるいは行政組織の問題というようなことともからみ合せて、根本的に解決しなければならぬというのが、われわれ事務的に必要ではないかというふうに考えておるのであります。ただ二十八年度の問題としましても、できるだけ解決をはかるように努力をいたしたいというふうに考えております。しかしながら先ほど申し上げましたように、根本的な解決は、どうしても二十九年度以降によるほかはないというふうに考えておる次第であります。
  18. 横路節雄

    横路委員 この都道府県赤字人件費給与費になつておるというのは、次長も御存じの通り、実際には人件費給与費で一ぱいなんです。だからどうしても今申し上げました——昨年も地方行政委員会で問題になりまして、特別の小委員会をつくつて実態調査をやらなければならない、こういうよう委員会でも話があつたわけであります。これはやはり私ども当時も指摘いたしましたが、自治庁の方で失礼ですが少し腰が弱いのではないかと思うのです。それは実際に国家公務員地方公務員比較をして、御承知よう地方公務員が高いのだというなら話がわかるのですが、国家公務員については全然調査をやらない。地方公務員だけ法律第何号、給与準則第何号で当てはめて、地方公務員が高いから差引く、その金だけでも昨年度すでに全国知事会あたりでも約百五十億近くからなつておる。こういう問題について、今財政規模について圧縮するとか何とかいうことを、しかも抽象的にお話がありましたが、その問題をどうなさるかということを私は聞いておる。やはりこの問題を解決しなければ、当然昭和二十八年度だけでも——ことしは人事院といたしましても、当然相当額の給与ベースの勧告をするでしよう。そうすると、また今日百五十億程度給与ベースの赤字というものが、二十八年度になると、給与ベースの新しい改訂の勧告によつて、二百億くらいになることは明らかであります。だからその点について、自治庁としてはどういうように今後大蔵省その他と折衝なさるのか、それとも実際にはそれだけ高く払つておるのだけれども、どうも大蔵省の方でそう言うから平衡交付金だけは差引いて渡すというのでありますか。その点ひとつ具体的にお話をしていただきたいというのが私の質問の要旨です。ですからその点ひとつはつきりきようお話をしていただきたいと思います。
  19. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 二十八年度予算編成につきましては、政府も至急に編成を終つて国会に提出することに相なると思うのでありますが、その際におきましては、私どもといたしましても、できるだけ今の地方財政の窮乏を救うという意味の努力はいたしたいと考えております。ただ国全体の財政との関連において、結果がいかようになりますか、これはわかりませんけれども、私どもといたしましては極力努力をいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  20. 横路節雄

    横路委員 今の点はどうも何べん聞いても具体的にはなかなか御返事がないようですから、次の御質問を申し上げます。  次に二十七年度赤字については、塚田国務大臣のきのうの説明を聞いてて何かどうもはつきりしないのですが二十七年度赤字につしては二十八年度ではその分は見ない。そして二十九年度で二十七年度赤字について見ますというようでもあるし、それからまたきのうの答弁を黙つて聞いていると、いや二十九年度というわけでなしに、筋の通つたものについては二十八年度でも見ると言うし、その点一体どちらがほんとうなのですか。自治庁としては二十七年度の五百七十億という赤字については、さらに町村から来れば七百五十億か八百億くらいの赤字になるでしよう。それを私たちもそのまま認めるわけではないのですけれども、しかしとにかく推計したときには三百億や四百億の赤字は出るのじやないか。六月十五日に出して来る二十八年度予算平衡交付金査定の中には、この赤字については全然見ないのかどうか。せつかくこれだけの資料が出たのですから……。六月十五日ですから、あと半月しかない。どうなさるのか、その点お聞かせいただきたい。
  21. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 二十八年度予算編成につきましては、政府といたしましてもまだ最終的な決定にはもちろん至つておりませんし、まだ折衝の何といいますか、緒に入つたといいますか、その程度でございます。これから折衝等の段階でございまして、御意見を十分私ども尊重いたしまして、極力努力をいたしたいというふうに考えております。
  22. 横路節雄

    横路委員 そうすると今のお話では、二十七年度赤字については、六月十五日に出される二十八年度地方財政の総体のわくの中で、平衡交付金に組むように努力をしますということなんですか、その点どうなんですか。どうも鈴木さんのお話は、ちよつとあとの方が消えてなくなるものですから、はつきりおつしやつていただきたい。どうも耳が悪いわけでもないので、よろしくお願いします。
  23. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 二十八年度予算につきましては、前内閣時代に一応できました地方財政計画があるわけでございますが、これらの地方財政計画をやはり一応の基礎にして出すということになると思いますが、自治庁といたしましてはその財政計画をさらに改善するということについて極力努力いたしたいというふうに考えております。
  24. 横路節雄

    横路委員 どうもはつきりしないですね。その点と関連して聞きますが、二十八年三月二日に、一旦衆議院で成立をいたして、あとで解散してだめになりましたが、当初計画されました政府地方財政平衡交付金のわくは、義務教育費国庫負担金と合せて千七百二十億であつたわけです。私は千七百二十億のわくは、はるかに増額をすると思う。増額をしなければならないという私たちの考え方の第一は、今申し上げました赤字について、この間大蔵大臣は、六月十五日に本予算を出した以上は、昨年のように十一月ごろに至つて補正予算などは提出しないと、こう言つておられる。もちろん本予算を出すときに、十一月ごろになつて私は補正予算を出しますなんと言つては本予算を出せないのですが、おそらく時期的にいつても出せないだろう、その点がまず一つと。それから国会に先般の予算は一月の二十九日ごろ出されたわけですから、そのときよりは約半年間今日たつているわけで、昭和二十七年度赤字についても、こういうようにやや具体的に数字が出ているのですから、当然千七百二十億プラス赤字というものが第一。  それから第二といたしましては、この間の国会で、とうとう流産してしまいました義務教育学校職員法案にからんでの義務教育国庫負担金が、当時政府が考えた、いわゆる全額国庫負担と、ただいま施行になつています義務教育費国庫負担法、すなわち半額国庫負担とはずいぶん違つて来るわけであります。これは次長も御存じのように、実際の支出額の二分の一というので、私たちが考えても、義務教育費の中には不交付団体の二百五十四億にわたる点につきましては、いずれは政令でやるというようなお考えがあるかもしれませんけれども、少くとも政令が出ていないのですから、不交付団体の一年間通して二百五十四億の分については四、五、六の暫定予算の中に組んでいるわけです。従つて、実際の支出の二分の一ということになりますと、御承知ように、これまた地方の教職員が高いといつてさつ引いて渡してやる総体の額、人によると約百億とも言う、この額が実際の支出額の二分の一ということになれば、義務教育費で半額持つことにいたしましても五十億だけは増額しなければならぬ。従つて、私は千七百二十億のそのわくは大幅に増額されると思う。第一は赤字の問題、第二は義務教育費国庫負担が、いわゆる政府の考えた全額国庫負担でなしに、半額国庫負担による実際支出額の二分の一、こういうことになりますので、当然私は大幅に増額修正になると思われる。そこで次長お尋ねしたい点は、まずどの程度増額修正になると考えて大蔵省と折衝なさるのか、それとあわせて赤字についてはどの程度一体見るのか、全然見ないというのか、これは一月に予算を組んだ場合とは違う。さらにそれに合せて義務教育費国庫負担法が実際の支出額の二分の一ということになつて、当然この問題が起きて来るわけであります。この点についてあまり抽象的でなしに——地方行政委員会としてもできるだけ大蔵省を督励して、地方財政平衡交付金が増額集るように、われわれも努力したいと思いますから、はつきりした数字言つていただきたいと思うのです。その点をお尋ねいたします。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 二十七年度赤字の問題、それから御指摘の義務教育費国庫負担法の半額実施に伴いましての問題、いずれも地方財政計画と実際との開きの問題になつて来るわけであります。後者の問題は、一応先般きまりました財政計画との開きということになるわけであります。地方団体赤字原因は、これは二通りつて、一つは、やはり地方団体それ自体の財政運営の適切を欠くという面から生じておるものがあろうと思います。いま一つは、御指摘のよう給与上の問題でありまして、給与の実際支給額と財政計画額との間の開きというものを何らか調整して参りませんと、これはベース・アツプのたびごとにその開きがふえて参る。従つてこれは何らかの形において調整しなければならないというふうに私どもも考えております。ただ実支給額ということで、各団体が実際支給しておりまする額それ自体をすべて適正なるものとして、それと計画額との開きを補填をするということは、やはり適当でないと思うのでありまして、どうしてもその間に適当なる線を引いて、その線と財政計画額との開きを調節する、こういうことになろうかと思うのであります。その線をどこに引くか。たとえば、かつて実際計画上とつておりました数字の線まで持つてつて見る、こういうふうにするかどうか、その辺が一つの問題でございますが、われわれといたしましては、やはり給与に関しまするこの開きを何らかの方法で補填いたしたいという強い希望は持つておるのであります。  義務教育の関係は、実支出額というものをどういうふうに押えるか、これは政令をどういうふうに制定するかという問題で、文部省の方の主として決定される問題でございますが、それらとのにらみ合いによつて、やはり調整はしなければならないと考えております。いずれにいたしましても、過般の計画できまりました千七百二十億という数字は、これは臨時事業関係公共事業費等の関係基礎になりまする国の補助金がかわつて参りますれば、当然に地方負担額もかわつて参りまするので、この数字はおそらく動いて来ると思いまするが、国の補助金の額の変動に伴いまする当然の変更ということは、これはやむを得ざる当然の結果であります。そのほかに、今のような問題は一つの研究問題として折衝をいたしたいというふうに考えておる次第であります。具体的な数字につきましては、なお検討を要すると考えております。
  26. 床次徳二

    床次委員 議事進行について。ただいま政府委員から御答弁がありましたが、非常に抽象的な御答弁でありまして、われわれといたしましては、はつきりとした概念を得ることが非常に困難であります。これは将来の予算の問題とも関連いたしますので、もう少し具体的な概念をわれわれ得たいと思うのであります。政府といたしましてもまだ正式な資料がないようでありますが、ある程度までわれわれが概念を持ち、研究をする機会がほしいと思います。しばらく速記を中止しまして、懇談会の形によりまして政府から説明を聞きたいと思います。お諮り願います。
  27. 横路節雄

    横路委員 今の床次委員の発言、私も反対しないのですが、公開の席上で記録にとどめて、もう少しお聞きしたい点があるのです。今赤字財政その他等につきましては床次委員の発言の点でよろしいのですが、もう少し私は公開の委員会でしつかりお聞きしたい点が二、三ございますから、質問を続けさしていただきたいと思います。お願いいたします。
  28. 中井一夫

    中井委員長 床次委員ちよつとお伺いいたしますが、ただいまの御提案は私もごもつともと思います。横路さんからああいうような御意見が出ましたが……。
  29. 床次徳二

    床次委員 もう少し聞かれたあとでけつこうです。
  30. 中井一夫

    中井委員長 そうしますか。あなたの今の御提議についてはあとでお諮りいたします。では横路さん続けてください。
  31. 横路節雄

    横路委員 鈴木次長お尋ねしたいのですが、昭和二十七年度の四月、五月、六月分の平衡交付金につきましては、大体年間予算の三〇%を都道府県並びに市町村に配付している。ところが今回の四月、五月の暫定予算並びに六月の暫定予算を通してみましても、当初考えた千七百二十億の二五%くらいしか支出されていない。この点が非常に地方財政を圧迫しているのだ、こういうようにそれぞれの地方自治団体は言うわけなんです。この点について私たちにぜひお聞かせいただきたいということが一つ。  それからもう一つは、予算の四月、五月、六月分の地方財政の点について、私ははなはだ了解ができませんことは、実はこの間主計局長から予算委員会等にこういう説明があつたのです。地方財政窮迫をしているので、平衡交付金のほかに地方債三十億、これはわかるのですが、資金運用部資金の短期融資については百六十億を見たのだ、こういうお話なんです。きのうの予算委員会でも自由党の代表の方の予算委員会での六月分の暫定予算に対する賛成討論を聞いておりますと、実は六月分については、平衡交付金の足りない分を、資金運用部資金の短期融資で百六十億もやつているから賛成だ、こういうよう言つておる。主計局長の説明もそうなんですが、これを見ると、なるほど四月、五月、六月で百六十億ですが、四月、五月百五十億で、六月分はわずか十億しか計上していない。それを一括しておいて六月分の暫定予算には短期融資百六十億やつています、こういう説明をしている。またきのうの討論の中にもそういうことがあるので、この配付されました資料で実態を見て、この点がわれわれとして、はなはだどうも理解できないのです。しかも御承知ように、政府は公共事業等につきましては、いわゆる寒冷地帯等については十二月までに事業を完成する必要等もあつて、六分の一を計上しておる。そういう点についてはあるいは平衡交付金で見ているのかもしれませんが、この短期融資については四月、五月百五十億、六月が十億、これではあまりにもひどい見解だと思うのです。従つてその二つの点についてお聞きしたい。  それともう一つ、一間一答でやると長くなりますから、その次、七月分の暫定予算については、六月十五日に本予算を出しましてから、それをもとにして七月分の暫定予算を出されると、こういうのですが、なおこの際七月分の暫定予算等についても、自治庁として一つの見通しがあれば、お話をしていただきたいと思うのでございます。きのうも実は東北、北海道の各県の県会議長並びに道会議長等が参りまして、地方財政窮迫している状態で、ぜひひとつ政府でも何とかめんどう見てもらわなければ困る。こういうように今全国的に地方財政が困窮している状態でもありますので、その点もあわして第三番目に七月の暫定予算は大体どういうようになるのか、この三つの点についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  32. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 四月、五月分暫定予算関係で、地方団体が非常に赤字で困つておるという点は確かにさような結果になつておりますので、私どもも非常に遺憾と思つておるのでございます。四月、五月分暫定予算では百八十七億の地方財政平衡交付金を計上したわけであります。これは例年でございますると、四月と六月にそれぞれ平衡交付金が四分の一ずつ出る。従つで四月と六月の二回の交付金を合せますと、平衡交付金のおおむね半分出るというのが、従来の法律上の原則でございます。今回二十八年度財政計画できまりました千七百二十億のうち五百億円は義務教育の関係で、文部省の方から出るわけであります。従つて残りの千二百二十億というのが基礎になる数字であります。その数字のうち特別交付金が八%含まれております。それを引きました残りが普通交付金の額に一応なるわけであります。それの二分の一といいますと、大体五百六十億くらいの見当になるのであります。従つて本来ならば、四月、五月に二百八十億計上し、それからさらに六月に二百八十億計上する。要するに、四月に二百八十億、六月に二百八十億、合せて五百六十億というのが例年の行き方であるわけであります。ところが四月、五月はほんとうにすべての経費ぎりぎりで行こう、こういうことでございました、従つて月割額四分の一といいますと、三箇月分でありますが、三箇月分でなくて、二箇月分結局計上する、こういうことになりまして、百八十七億というようなことになつたのであります。しかし今度の六月暫定予算におきましては、原則通り二百八十億を計上いたしておりまするので、それから申しますると、二百八十億と百八十七億で四百六十七億、これを五百六十億から引きますと、やはり約百億あまりなお不足しているわけであります。その百億あまりのものを七月の暫定予算平衡交付金として計上いたしたいというふうに大体の見当をつけて考えているわけであります。従いまして四、五、六一七全体を通じますると、大体規則通りのものが出て行くというふうに考えているわけでございます。  それから短期融資の問題でございますが、これは百五十億円、四月、五月分として資金運用部から短期融資をする、こういう計画になつておるのであります。六月分におきましては、長期債の三十億のほかに、短期融資として十億ということでありまして、六月だけで百六十億という意味ではございませんで、四、五、六全体を通じて百六十億、こういう意味であります。今度の六月分の暫定予算も、六月分だけということではございませんで、四、五、六三箇月分の暫定予算ということになつておりまするので、今度の予算で百六十億というのは、予算に関連をして百六十億という表現も、一つの表現の方法であろうと考えるのであります。  それから七月分の暫定予算につきましては、大体それぞれの月割額をはじき出して参りまするのと、各省の暫定予算として計上いたしまする補助金を伴う経費、それに関連をして地方負担額というものを見合つて計上いたす考えでございますが、なおそのほかに新規の事業等が季節的な関係その他で若干計上せられることになろうと思いますけれども、そういうものに伴いまするものは当然これを見て参りたい。その結果として全体が幾らになりますか、これはまだ政府部内で話合いがついておりませんので、結局地方の暫定の七月の財政計画は、各省と大蔵省との間の話合いがつきまして、地方負担が幾らになるかということが明確になりませんと、はつきりいたさないわけであります。ただ先ほど来申し上げましたように、従来の原則で参りまするならば、平衡交付金はさらに百億程度計上したい。その他は七月には税収も、だんだんとふえて参りまするので、さようなもので大体まかなつて行けるというふうに考えておるのであります。
  33. 横路節雄

    横路委員 鈴木次長お尋ねいたしますが、義務教育費国庫負担の中で、当初政府側の説明では、千百五十五億から下交付団体並びに減額すべき団体の二百五十四億を差引いて九百一億を算定、教材費十九億で九百二十億をはじいたわけであります。そうすると、今度義務教育費半額国庫負担法でその通りに参りますると、二百五十四億の半額、約百三十億近いものだけは半額国庫負担で行くわけです。それをあの法律の第二条の最後の、政令でもつて定めることができるという場合に、下交付団体の二百五十四億、半額としても百三十億について政令で一銭もやらないというようにするのか、まずその点が一つ。もしもやるとすれば、下交付団体百三十億と政令で押えて、かりにそれを五十億か七十億でとどめるとしても、義務教育費と平衡交付金と合せて総体の額がたとえば二千億になつた、こういう場合に義務教育費で五十億なら五十億食つたために、平衡交付金だけはそれだけ減額になるというのか、平衡交付金はいわゆる平衡交付金とし七全然別わくでやつて、義務教育費の方がそれだけふくれても、こちらに地方財政一般の交付金を圧迫をしないのか、その点自治庁としては今後大蔵省並びに文部省と折衝なさるときに、この二百五十四億の下交付団体に対する二分の一の問題が、県の非常に重要な問題になると思う。その点自治庁はどういう態度で文部省や大蔵省と折衝なさるのか、そして平衡交付金をどういうようにしてその分だけが影響しないようにやるのか、その点をやはりここで明らかにしていただきたいと思います。
  34. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 義務教育費半額国庫負担法の実施に伴いまして、地方財政平衡交付金の中から抜けて参ります額は先ほど申し上げましたように五十億と考えておりますが、それは実際支出額を押えますためにその半額を国がやる、従つて平衡交付金算定基礎になつております基準財政需要額よりも上まわつておるわけでございますが、その上まわつている分を計算しまして、それだけ国から負担金を出すからというので、平衡交付金総額の中からその分を差引く、こういうことはもちろん適当でありませんので、そういうことは私ども絶対に承服できない点でございます。そういうふうにはもちろん相ならぬと考えております。またそのような考え方はまず大蔵当局にもないと承知しております。政令をいかように定めるかということは、これは大蔵、文部両当局とわれわれの方も若干の関係はあるわけでありますが、まだ話合いはついておらぬよう状況でございます。
  35. 横路節雄

    横路委員 今の点だけ御質問しますが、まだ話合いがついていないということはわかりますが、自治庁としてはその不交付団体二百五十四億の半額百三十億というものをどうなさるのか、やはり百三十億出すということになつても、やはり私はいわゆる平衡交付金、義務教育費、両方合せた総体のわくの中で占める百三十億というものは決して軽いものでないと思う。従つて自治庁としては、平衡交付金の方に影響ないように努力すると言つても、百三十億だけそつちへはみ出して来れば必ず圧縮されて来るわけです。そこでその百三十億については自治庁としてはどうなさるのか。これは東京、大阪、京都、愛知、福岡というような富裕府県等の関連がございますから、その点自治庁はどうなさるのかということを私はお尋ねしているわけです。
  36. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 半額負担法の実施に伴いまして政令をかりに定めないというような場合におきましては、富裕団体におきましても計算通りのものが国庫負担金として参るわけでございますが、その国庫負担金を平衡交付金を交付していない団体に交付する場合には、それだけは国としては余分の持出しになるのでありますから、それを平衡交付金総額の中から差引くということは、これは絶対にできないと思うのであります。と申しますのは、もしさようなことをいたしますると、結局これは富裕団体に国庫負担金を交付いたしまするために、他のすべての地方団体に対して犠牲をしいるということになるのでありまして、そういうことは絶対にあり得ませんし、私どももそういうことは絶対にせしめないということをかたく申し上げたいと思うのであります。従つて半額負担法に伴いまする富裕団体に対する負担金の交付というものは、現状のままにおきましては、これは国の何らかの財源を捻出しておやりになればやつてもらいたいというように考えている次第であります。
  37. 滝井義高

    ○滝井委員 平衡交付金の同じその問題ですが、具体的になるわけですが、四、五、六月分については当然これは義務教育費半額国庫負担法によつて、たとえば東京、大阪というよう平衡交付金を現実にもらつていない府県についても、これは四、五、六月分については半額はやらなければならぬことになるわけです。そうしますると、その後に政令においてそういうものをきめても、これは平衡交付金関係のものについて政令が出るだろうと思う。すると東京、大阪のような全然平衡交付金にかかわつていない二つのものの処置というものは具体的にどうやられるのか、その点ひとつ御説明願いたい。
  38. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の政令の定め方にもよるわけでありますが、政令でたとえば超過団体、富裕団体に対しては差引くということをやらないと、こういうことにするならば、結局その分は国からの純粋の持出しになると思うのであります。先ほど申し上げますように、そういう東京、大阪その他六団体に対しまする分につきましては、これはやはり平衡交付金からは引かない。しかしそれは国がそれだけの持出しをする財政上の余力が一体あるかどうか、こういうことが問題になつて来ると思うのであります。地方団体の富裕団体以外の、要するに交付金をもらうべき団体からその分だけをかき上げて、富裕団体に交付するというようなことは、これはあり得ないであろうというように考えております。
  39. 中井一夫

    中井委員長 ちよつとお諮りいたしますが、先ほど床次委員からお話のありました懇談会に入るということですが、時間は十二時ちよつと過ぎましたが、いかがですか、午後にまわしますか、引続いてやりますか。——それではこれから先ほど床次委員からの御発言のあつたように、秘密懇談会に移ります。従つて委員外の諸君はひとつお立ち去りを願います。     —————————————     〔午後零時十九分秘密懇談会に入る〕     〔午後一時二十四分秘密懇談会を終る〕     —————————————
  40. 床次徳二

    床次委員長代理 これにて秘密懇談会を終ります。  本日はこの程度にいたしまして、次会は追つて公報をもつて御通知申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十五分散会